ヤッツィー

登録日:2025/06/12 (木) 22:32:00
更新日:2025/06/14 Sat 06:58:56
所要時間:約 13 分で読めます






【概要】

『ヤッツィー』は5つのサイコロの出目で得点を競うゲーム。
サイコロで行うポーカー、と言えばイメージが湧きやすいだろうか?


歴史は古く、1954年にとあるカップルが考案。ヨットに乗って遊んでいた時によくプレイしていた事から、このゲームにヨットゲームと名付けたのだとか。
その後、そのカップルの友人でゲームや玩具の販売員だった人がゲームの権利を買い取り、販売を開始。
当初このゲームの売れ行きはそんなに良くなかったといわれるが、販売側の努力もあって徐々に広がっていき、今では紙とペンとサイコロがあればプレイできるゲーム、ロールアンドライト(Roll and Write)*1と呼ばれるジャンルのゲームの先駆けとなった、と評される程になっている。

ただ、似たようなゲームはもっと古くから、かつ世界各地にあったようで、あくまでもこの『ヤッツィー』というゲームの起源がこうだという事である。


現在はハスブロ社が販売元となっており、専用のパッケージの他、役表兼得点表であるスコアシートもバラ売りされている
また派生ルールを取り入れたバージョンのパッケージとスコアシートも販売されている。
もちろん役と配点を覚えていればスコアシートも不要。まさに紙とペンとサイコロ1つ……ならぬ5つだけでゲームが出来る。

デジタル向けとしてはWindows/iOS/Androidそれぞれでアプリがあり、BGA(BoardGameArena)でもプレイ可能。BGAでは無料会員でも新規ゲーム卓立てが可能。




【ルール】

基本的にはプレイヤーは5個のサイコロを振って、その出目で役が作れるかどうかを確認する。
不要な出目のサイコロがあれば、それを選んで1ラウンドにつき2回まで振り直す事が出来る。
振り直すサイコロは複数同時に振り直してもいいし、振り直したサイコロの再振り直し、あるいは1回目には振り直さなかったサイコロを2回目で振り直すのもOK。


うまく役を作れたら、スコアシートに記載されている役の中で今回どの役を作って何点を獲得したかを記録する。


ただし、一度作った役は再利用はできない
つまり一度"1の目"の役の項目に点数を記録したら、その後、より高得点が期待できる出目が出たとしても点数は上書きできないという事である。

また、何の役も作れなかった場合でも点数を記録する必要があるので、その場合、とにかくどこかの役に0点と記録する事になる。
当然ここで0点を記録した役は以降利用できなくなる。


これを13回、つまりスコアシートにあるすべての役に何らかの点数が記録されるまで繰り返し、その合計点数が高い方が勝利する、という流れになる。




【役】

  • 1の目~6の目
その名の通り、サイコロの出目の結果に目的の数字が1個以上あれば成立する役。
点数は目的の数字*個数で、1が1個なら1点、1が2個なら2点、6が5個あれば30点となる。
単純な得点だけ見れば大したことがないように見えるが、後述するボーナスの条件と絡んでくるので、実は勝負を大きく分ける重要な役である。

  • 3カード/4カード
これもその名の通り、サイコロの出目に同じ数字が3個あるいは4個あれば成立する役。
1の目6の目に似ているが、こちらでは点数がサイコロの出目の総合計になる為、より大きな点数を取得できる可能性がある。

  • フルハウス
サイコロの出目の内3個が同じ数字、かつそれとは別の数字が2個ある時に成立する役。
ポーカーの同名の役と同じで、点数は25点固定。

  • 小さいストレート(Sストレート)
サイコロの出目が4つ連番(1-2-3-42-3-4-53-4-5-6のどれか)になっていれば成立する役。
連番になっていればよいので数字は問われず、点数は30点固定。

  • 大きいストレート(Bストレート)
サイコロの出目がすべて連番(1-2-3-4-5または2-3-4-5-6)になっていれば成立する役。
これも連番になっていればよいので数字は問われず、点数は40点固定。

  • ヤッツィー
サイコロの出目がすべて同じ数字であれば成立する役。
どの数字でも良く、1回目の点数は50点。
2回目以降は達成した数字の目の項目(4を5個出して達成したのなら4の目の項目)に点数を記録するが、そこが利用済みの場合、点数表下半分のどれか(3カード~チャンス)の項目に記録する。
その際の点数は、ヤッツィー2回目ボーナス100点+そのマスの点数を獲得出来る(例えば1の目なら105点、大きいストレートなら140点。5のヤッツィーを3カードに入れたら125点)。
まあこうなったら相手が2回目を出さない限りだいたい勝ちであるが、対応する目と下の項目が全部埋まっている場合は、残りのマスのどこかに0点を記録しなければならない。

  • チャンス
単純にサイコロの出目の総合計がそのまま得点になる役。
すべての数字が揃っていればヤッツィーが達成できるので、1-1-1-1-2の6点から6-6-6-6-5の29点まで取得できる。

  • ボーナス
厳密に言えば役ではないが、1の目6の目で記録した点数の合計が63点以上の場合、さらに追加で35点が貰える。
1~6の目を3つで記録した場合にちょうど63点になる。追加で35点はかなり勝敗を分けるが、ボーナスばかり狙いすぎて下半分の役が疎かになっても勝てないので、バランスが難しい。



【派生ルール】

歴史が長いゲームである為派生ルールは多く、すべてを紹介しきれないが、BGAで実装されているルールとそこでの変更点を紹介する。
…が、それも長いので折りたたんでおく。











それぞれに特徴的な変更が加えられており、これに加えて後述するトリプルオプションの有無も設定可能。
色々試してみて欲しい。




【戦略】

「戦略も何も、サイコロの出目次第じゃねーか」と思うのはもっともだが、振り直しが出来る事と、どの役を使用するかをプレイヤーが決める事が出来る事で、見た目より思考するポイントが出来てくる。


例えばゲーム最初のラウンドで、出目が[2-5-2-1-2]だったとしよう。
そしてフルハウスを狙って5を2回振り直し、結局[2-2-2-1-2]となったとしよう。

「このまま24カードとして点数を記録してもいいが、4カードサイコロの出目の総合計が点数になる役。」
「それならもっと大きい数字で揃った時の為に4カードは残しておいて、今回は2の目に8点として記録した方がいいだろうか?」
「あるいは、今回は1の目に1点と記録して、2の目も後々の為に残した方が良いだろうか?」

といった判断が必要になってくる。
この例ではゲームの最初のラウンドである為、4カードを後に残しておくという選択肢も良いように思えるが、これがゲーム中盤以降であれば「残りのラウンドの中でもう一度4カードが揃うだろうか?」という懸念も出てくる。


また、ゲームが進んでいくにつれて使用できる役も少なくなってくるため、

「終盤になって[1-3-1-1-3]」のフルハウスが出来たが、フルハウスの役も1の目の役ももう使っている。」
3の目に6点と記録するか?いや、まだ使っていない2の目に0点と記録して、後ほど3が3個以上出る事に期待した方が良いか?」

とか

「残っている役は4の目3カードの2つしかないが、サイコロの出目が揃わなかった。」
「さてどちらに0点を記録して、どちらを最終ラウンドに残すべきか…?」
「相手との点数差は13、4の目を残して次で4が4個でれば16点入って勝ち、でもその為には4が4個出ないとダメ」
「…それなら3が3個かつ5か6が1つ、または4、5、6のどれかが3個出れば勝てる3カードの方を残す方が有利だ!」

といった決断を迫られる。

アカギやカイジ等のギャンブル物で、登場人物達が勝ち筋について思考を巡らせたり自信たっぷりな推論を立てたりして自滅する場面を読むのが好きな人は、この辺りを楽しめると思う。
その際に相手からの直接的な妨害は無いので、純粋に自分の中だけで完結できるというのもポイントが高い。


なお、計算によると最初のラウンドでサイコロを振って振り直しの前に5個同じ数字が揃っている、つまり初手でヤッツィーを達成している確率は6/7776=0.077%。
そして2回の振り直しを使ってヤッツィーを達成できる確率は、つまり最初の出目が1-2-3-4-5だった場合から6-6-6-6-5だった場合までを計算すると4.603%となるそうで。

状況を考慮せず、ひたすらヤッツィーだけを追及すればだいたい25回に1度、概ね2ゲームに一度はヤッツィーを達成できる事を期待できる確率になるらしい。




【オプション】

上記の派生ルールとは別に、トリプルというオプションルールがある。
基本的なルールと役は同じなのだが、役表兼得点表であるスコアシートが横に拡張され、点数が2倍の項目と3倍の項目が追加されている。
その為、同じ役でも高い出目が出たラウンドは3倍の項目に、上手く行かなかったラウンドは等倍の項目に、等の使い分けが出来るようになっている。
その分ゲーム時間が長くなる+点数計算が大変になるが、派手に点数が積み重なっていくのはなかなか爽快なので是非。




追記・修正はヤッツィーに拘って0点を記録しまくった方にお願いします。



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最終更新:2025年06月14日 06:58

*1 現在では紙ペンゲーム、という呼び方の方が主流かもしれないが