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幻の湖(映画) - (2025/03/24 (月) 12:43:52) の１つ前との変更点
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&font(#6495ED){登録日}：2014/12/10 Wed 1:00:00
&font(#6495ED){更新日}：&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red)
&font(#6495ED){所要時間}：約 6 分で読めます
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&link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧
&tags()
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&bold(){幻の湖}とは1982年に公開された&del(){Z級}映画である。
原作･監督･脚本は橋本忍。&bold(){東宝創立50周年記念作品}。
*[あらすじ]
琵琶湖を臨む雄琴のトルコ風呂(今で言う[[ソープランド]]。以下ソープ)「湖の城」で働くNo.2ソープ嬢「お市」。
愛犬のシロと琵琶湖西岸をジョギングしたり、客相手に電波を垂れ流したり、先輩「淀殿」のいびりに遭ったり、ジョギング中に聞こえてくる笛の音が気になったりする日々を送っていた。
ところがある日友人のローザを送り出したお市の元にシロが倒れていると連絡が入った。
シロは何者かに殺されたのだ。
お市は犯人が大物作曲家日夏圭介であると突き止め、シロの無念を晴らすべく彼の事務所のある東京に向かうのだった。
*[概要]
橋本プロダクション制作の『砂の器』、『八甲田山』につづく三作目。
プロダクション代表の橋本忍氏(1918年〜2018年、以下氏)が自ら原作･監督を担当。
一昔前の人なので知らない人もいると思われるので氏について簡単に説明しておくと、黒澤明監督の作品を始め、数多くの名作の脚本を担当してきた日本を代表する脚本家である。担当した作品を(共同含めて)挙げると『羅生門』、『生きる』、『[[七人の侍]]』、監督も手掛けた『[[私は貝になりたい]]』、モノクロ映画版『白い巨塔』、『[[日本沈没>日本沈没(映画)]]』など、往年の氏の偉大さが解るだろう。
さて話を本作品に戻すと1500人以上に及ぶオーディション、舞台の琵琶湖に一年の長期ロケを行うなど気合いの入ったもので、監督としての3作目となる氏も「日本映画の興行記録(当時)30億円のヒットを狙う」と自信を露にした。
しかし生まれたのは後の『[[北京原人 Who are you?]]』、『シベリア超特急』に並ぶ邦画史に残るトンデモ映画だった。
問題点を大雑把に書くと……
***【題材】
一言で言うと&bold(){『ペットを殺された風俗嬢の復讐劇』}。
…この時点で何かがおかしい。
ちなみに公式のジャンルは『ネオ・サスペンス』
***【脚本】
本作最大の問題点。
上映時間2時間40分のうち、話の軸はぶれまくり、全体的に[[説明不足]]、ご都合主義の多発、常に視聴者の予想の斜め上を突っ切っていく超展開、テンポも最悪と完全に体をなしていない。
***【ジョギング】
&bold(){ある意味本作の象徴。}
やたらジョギングシーンが挿入されるので一部ではジョギング映画とも。だいたい映画の半分は走っていると思ってかまわない。
そして特筆すべき点は&big(){&bold(){敵討ちの相手との対決ですらジョギングで行う}}ことだろう。
よく解らないだろうから経緯を書くと(劇中2回対決する)
・初回
ようやく敵の日夏を見つける。
↓
日夏がジョギングしているのを見る。
↓
なぜか一旦帰郷し、ジョギングの準備をして再び日夏のところへ。
↓
ジョギングしている日夏を追いかけ、自分もジョギングを開始
↓
日夏が疲れ果てた時を狙うも、自分が先にバテてきた上、執拗に後ろから煽ったせいで不審がられ、全力ダッシュで撒かれてしまう。
・二回目
ソープに偶然日夏が客としてくる。
↓
お市包丁を振り回し、日夏に襲い掛かる。
↓
日夏逃走。お市も追いかける。
↓
何故か二人ともペースを考え始めてジョギング対決化。
↓
色々あった末に日夏が限界を迎え、お市がそれを追い抜いて勝利宣言
……わけがわからないよ
ちなみに、ランニング監修を担当したのは60～70年代の日本マラソン界を代表する名ランナー、宇佐美彰朗。
***【時代劇】
後半になって[[織田信長>織田信長(戦国武将)]]の妹のお市の方と彼女に仕かえたおみつの物語が約30分挿入される。
長尾が持つ笛にまつわる話だそうだが、無論本筋とは関係がない。
***【宇宙へ……】
ラストシーン、お市が日夏を刺殺すると同時にシャトル発射のシーンへ差し替わる。そして琵琶湖上空の衛星軌道上で……&del(){てかここまでまとめるので限界。勘弁してください。}
余談だが特撮が時代を考えてもしょぼい。&del(){アレどう見ても透明なアクリル板の上に置いているだけ……}
当然こんな意味不明な内容で客足が伸びる訳もなく、&bold(){公開2週間と5日で打ち切り。}
また橋本氏も映画業界から干され、本人の体調不良も合わせこの後の映画脚本作品は僅か3本((ちなみに最後の映画脚本は過去脚本のリメイク作品でもある2008年映画版『[[私は貝になりたい]]』。))・ドラマ脚本も過去映画のリメイク脚本計3本分のみと、かなり本人の創作活動に致命傷を与える結果となった。
その後ソフト化されることはなく映画界の闇に葬られたが、95年頃某映画雑誌で紹介されてそのあんまりな内容が一部の好事家に受けカルト化。
この「再評価」を受けたのか03年にDVD化された。
2022年2月16日にはブルーレイの販売も告知されている。
とここまで色々書いてきたが、無論評価点もない訳ではない。
実は先ほど述べた時代劇の完成度は高かったりする。もしも時代劇に絞って映画を撮っていれば良作になったかもしれない。
また次から次へ突っ込み所が湧いてくるので、クソ映画愛好家は常に退屈せずに見れるのもポイント。世の中にはネタにすらならないクソ映画だってあるのだ。
*[登場人物]
&bold(){尾坂道子/お市}(南條玲子)
雄琴のソープ"湖の城"のNo.2トルコ嬢。源氏名は「お市」で他の登場人物からは基本的にこっちで呼ばれる。
愛犬のシロと毎日ジョギングをするのが日課だったが、シロを殺され復讐を決意する。
破綻した脚本の影響をもろに受け、本作屈指の電波に。後述の迷言集の大半は彼女によるもの。
ちなみに、演者の南條氏は宇佐美氏の指導のもと、撮影のために&bold(){4500キロ以上}も走ったらしい。
それで出来た映画の出来を思うと……
&bold(){シロ}(ランドウェイ・KT・ジョニー)
お市の愛犬。捨て犬だったが、形容し難い経緯で道子に拾われる。
日夏に殺されたが、どうやら放し飼いだった模様で、しかもお市が許可証を持っていなかったことも言及されている。
これお市も悪くないか……
&bold(){長尾正信}(隆大介)
道子がランニング中に聴いていた笛の音の主。正体はNASAの職員で、研究分野は本人曰く「&bold(){宇宙パルサー}」。
&color(whitesmoke){「宇宙パルサーって何ぞ」と思って検索しても『幻の湖』関連しか出てこないので、あしからず。}((普通に考れば[[中性子星>ブラックホール]]のことだろう(わざわざ「宇宙」が付いているのは既に日産・パルサーが走っていたためか)…と思いきや、小説版では毒電波全開の発言をしている。))
なぜかシロの墓がわかったり 、唐突に自分の先祖の悲劇を語ったりする電波。
お市いわく一番好きな人。倉田ェ……
&bold(){倉田修}(長谷川初範)
お市の彼氏で銀行員。いい人なのだが電波なお市に振り回される。
&bold(){日夏圭介}(光田昌弘)
大物作曲家。
シロを殺した犯人で、他にも女をヤリ捨てしたりしているなどわかりやすい悪役。
ジョギングが趣味でお市と壮絶なジョギング対決を二度繰り広げる。
&bold(){ローザ}(デビ・カムダ)
お市の同僚で友人の外人嬢。源氏名は キリシタンお美代。
シロが殺される直前、クソ映画史に残る迷言、
&big(){&bold(){｢ファントムではなく、イーグルだ。イーグルは既に実戦配備に付いている｣}}
を残し国に帰った……
と思いきや 東京で日夏に会えずヒステリーを起こしていたお市と再会。
お市に助け舟を渡した彼女の正体は、なんとCIAの[[スパイ]]！
ソープで働いていたのは日本の性風俗の調査のためだったのだ。どんな調査だよ……
&bold(){淀君}(かたせ梨乃)
"湖の城"のNo.1ソープ嬢。
厭味なキャラだったが終盤唐突にデレる。
&bold(){受付嬢}(荒木由美子)
日夏音楽事務所の受付嬢。
客に対してやたらと態度が大きい。
*[迷言集]
・うちの家の裏には、桐の木があるんです…… その桐の木でタンスを作って、私はお嫁入りするんです。((桐の木は成長が早いので、娘が産まれた時に植えると嫁入りの時期にタンスにするのにちょうどいい大きさになる。よって昭和の時期では娘のために桐を植えるという家はあった。))
・&bold(){ひとりぼっちで寂しそうな島ねェ…… 沖の島、あの沖の島が、今の私だわ……}
・ない……ない。 どうして、琵琶湖だけが……
・それなら子供を産んでから、その子供の血液証明をもっていらっしゃい。
・&bold(){廣島の女の子とアタシの犬は、事情も違うし、相手もちょっと違うわよ。}
・&bold(){憎い……日夏が憎たらしい……！東京中の人間が日夏を庇っている……}
・日夏には、後ろに目があって……アタシを引きずり回し、楽しんでいる……
・シロ……いくわよ。ゴーッ！
・沖の島……あれが沖の島……沖の島はアタシだと思ってた。&br()ひとりぼっちの寂しい島だと思ってたのに……裏側には、あんなに家の……大勢の……大勢の人が……。
・どうしてアタシは倉田さんと……
・&bold(){僕の仕事は宇宙科学、宇宙パルサー。}
・お前なんかに、琵琶湖に沈んだ女の恨み節なんてェー！
*[余談]
本作は予告編からして異様な雰囲気を醸し出している。昔の映画の予告編が分からない人でも『砂の器』や『八甲田山』と比べるとよくわかる。
主演の南條玲子はその後昼ドラなどに出演していたが現在は引退している。
追記・修正はランニングバトルしながらお願いします。
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#right(){この項目が面白かったなら……＼ポチッと/
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}
#include(テンプレ3)
#openclose(show=▷ コメント欄){
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- この映画の記事なかったのか、なにはともあれｇｊ -- 名無しさん (2014-12-10 01:20:22)
- 東宝創立50周年記念作品で一番有名なのは南十字星かもしれない -- 名無しさん (2014-12-10 01:47:50)
- ↑主題歌は売れたから -- 名無しさん (2014-12-10 01:48:19)
- 面白そうだ。レンタルあったら借りてこよう。ツッコミのいい練習になるかな -- 名無しさん (2014-12-10 02:56:26)
- 文章だけでこのイミフさw某クソ映画マイスターに是非レビューして欲しい -- 名無しさん (2014-12-10 10:21:49)
- ついに出来てしまったかgj -- 名無しさん (2014-12-10 11:23:33)
- 滋賀県民としてどう反応すればいいんだ。笑いすぎて死ぬ -- 名無しさん (2014-12-10 12:05:48)
- 予告編観てきたけどランニング対決の辺りで「ん？」ってなった -- 名無しさん (2014-12-10 13:04:50)
- レビューとか紹介を読む度に面白そうとは感じるが、自発的に観る気も湧かない。 -- 名無しさん (2014-12-10 17:27:32)
- とりあえず・・・親日国トルコに詫びろ！！ -- 名無しさん (2014-12-10 17:36:03)
- ↑作中トルコって言っていたから、トルコって書いたけど気に食わんようだったから直しといた。トルコ風呂って表現もアレだしね -- 作成者 (2014-12-10 18:59:31)
- ｢桐の木で嫁入り道具の箪笥を作る｣って別に迷言じゃなくて普通の風習じゃない？シチュエーションが噛み合ってないの？ -- 名無しさん (2014-12-10 19:39:04)
- 戦国コレクションの最終回はこれのパロディだったなぁ -- 名無しさん (2014-12-11 08:13:28)
- 後のランニングデュエルである -- 名無しさん (2014-12-11 21:13:00)
- 橋本さん、なにがあった -- 名無しさん (2014-12-11 21:21:29)
- 日夏の事務所の所員の鬼対応がな… -- 名無しさん (2014-12-11 21:50:46)
- 戦コレ最終回ってこれもモチーフなのかよ！ -- 名無しさん (2015-03-30 01:14:54)
- 男子高校生の日常でヒデノリがやっさんに追い掛けられる流れもこれがモチーフ -- 名無しさん (2017-01-19 21:13:23)
- 世界の映画史に残る橋本忍のスーパークソ映画という… -- 名無しさん (2017-08-31 20:42:42)
- ジョギングバトルは斬新すぎて後に続かなかったなぁ・・・ -- 名無しさん (2017-08-31 21:04:19)
- 監督自身も「当初から脚本に自信が持てず、無理なシチュエーションや不自然なシチュエーションを強引にシナリオで押し通した」っていうんだから辛い･･･ -- 名無しさん (2017-09-12 02:02:49)
- どこの国でもそうかもしれないがうん十周年記念作品なんて大抵ロクなものが作られねえ… -- 名無しさん (2017-09-22 12:59:11)
- やりたいことがよくわからない… -- 名無しさん (2018-09-12 01:41:29)
- 後の『ジョン・ウィック』である -- 名無しさん (2020-03-14 07:35:17)
- 和製ザ・ルーム -- 名無しさん (2020-03-14 09:20:05)
- 「難解な映画」と評されることが多いけど、真の敗因は「なまじっか分かり易くしていてシラケる」ことにあるのでは？現代篇の登場人物たちと戦国篇の登場人物達が互いの存在を意識しながら混沌状態のまま話が進む形式なら却って面白くなったかも。 -- 名無しさん (2020-04-22 17:59:43)
- あるアニメレビュー動画でいい演出家でも監督になると駄作を作ると言ってたけど、映画でも似たようなことになるんだなぁ。(この映画は脚本家だけど) -- 名無しさん (2020-08-10 10:09:42)
- ↑2 いや普通にクソ分かりづらいよこれ。2周してもどこまでが話の本筋でどこからがサブなのか判別することすら困難 -- 名無しさん (2020-09-08 15:18:31)
- 映画の構想のきっかけは「八甲田山」の撮影中にぶなの木に話しかけた時に思いつく←この逸話がすでに意味不明というか…八甲田山のむちゃくちゃ苛酷なロケで頭が変になってたんかな -- 名無しさん (2020-09-08 18:10:38)
- Wikiにあった筋書きを読んだ限りでは、そんなひどいとは思わなかったんだけどなぁ。やはり、説明不足というか描写不足だったのかな。 -- 名無しさん (2020-09-08 18:15:31)
- ジョギングシーンをカットしたらまともになる可能性があるかも…？ -- 名無しさん (2020-09-08 18:41:31)
- 思いついたシーンひたすら詰め込んだら支離滅裂になったケース？ しかしジョギングシーンに拘った理由が謎だ。 -- 名無しさん (2020-09-13 10:00:37)
- 砂の器見てマジ泣きしたので、マジで何があったのか心配になる。 -- 名無しさん (2020-10-01 22:33:43)
- 意外と感動というか、達成感のようなものを感じた。 まあ絶対に一般受けしないカルト映画なのだろうけどw -- 名無しさん (2021-02-03 09:33:15)
- 主人公の彼氏役の人はこの作品が映画デビュー作だとか -- 名無しさん (2021-11-03 15:51:21)
- 「敵討ちの相手とジョギングで対決」っての、比喩でも誇張でもなく本当にジョギングで対決してるのがホント意味分からない -- 名無しさん (2021-11-03 19:43:46)
- あーそういうことね、完全に理解した -- 名無しさん (2021-11-11 17:26:44)
- 敵討ち相手とのジョギングでの対決だけでも意味がわからないが、その背景が謎すぎる -- 名無しさん (2022-01-02 16:03:57)
- ラン・ローラ・ランやポストマンブルースと、かけっこバトルの脈 -- 名無しさん (2023-05-23 10:10:46)
- 和製フォレストガンプかって位走る -- 名無しさん (2024-05-24 00:25:29)
- ↑6 長谷川初範さんかな？ -- 名無しさん (2024-05-24 06:30:48)
- 詰め込み過ぎなのとそこからの取捨選択を間違えてるからわけのわからんことに。さよならジュピターもそんな感じ -- 名無しさん (2024-05-24 07:40:55)
- 脚注でフォローされてる箪笥のくだりだけど、あそこが電波なのは「来年にはトルコ辞めて桐の箪笥持ってお嫁に行きます(要約)」を「結婚相手すらまだ見つかってない状態で」宣言したことなんで… -- 名無しさん (2024-08-05 14:35:01)
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&bold(){幻の湖}とは1982年に公開された&del(){Z級}映画である。
原作･監督･脚本は橋本忍。&bold(){東宝創立50周年記念作品}。
*[あらすじ]
琵琶湖を臨む雄琴のトルコ風呂(今で言う[[ソープランド]]。以下ソープ)「湖の城」で働くNo.2ソープ嬢「お市」。
愛犬のシロと琵琶湖西岸をジョギングしたり、客相手に電波を垂れ流したり、先輩「淀殿」のいびりに遭ったり、ジョギング中に聞こえてくる笛の音が気になったりする日々を送っていた。
ところがある日友人のローザを送り出したお市の元にシロが倒れていると連絡が入った。
シロは何者かに殺されたのだ。
お市は犯人が大物作曲家日夏圭介であると突き止め、シロの無念を晴らすべく彼の事務所のある東京に向かうのだった。
*[概要]
橋本プロダクション制作の『砂の器』、『八甲田山』につづく三作目。
プロダクション代表の橋本忍氏(1918年〜2018年、以下氏)が自ら原作･監督を担当。
一昔前の人なので知らない人もいると思われるので氏について簡単に説明しておくと、黒澤明監督の作品を始め、数多くの名作の脚本を担当してきた日本を代表する脚本家である。担当した作品を(共同含めて)挙げると『羅生門』、『生きる』、『[[七人の侍]]』、監督も手掛けた『[[私は貝になりたい]]』、モノクロ映画版『白い巨塔』、『[[日本沈没>日本沈没(映画)]]』など、往年の氏の偉大さが解るだろう。
さて話を本作品に戻すと1500人以上に及ぶオーディション、舞台の琵琶湖に一年の長期ロケを行うなど気合いの入ったもので、監督としての3作目となる氏も「日本映画の興行記録(当時)30億円のヒットを狙う」と自信を露にした。
しかし生まれたのは後の『[[北京原人 Who are you?]]』、『シベリア超特急』に並ぶ邦画史に残るトンデモ映画だった。
問題点を大雑把に書くと……
***【題材】
一言で言うと&bold(){『ペットを殺された風俗嬢の復讐劇』}。
…この時点で何かがおかしい。
ちなみに公式のジャンルは『ネオ・サスペンス』
***【脚本】
本作最大の問題点。
上映時間2時間40分のうち、話の軸はぶれまくり、全体的に[[説明不足]]、ご都合主義の多発、常に視聴者の予想の斜め上を突っ切っていく超展開、テンポも最悪と完全に体をなしていない。
***【ジョギング】
&bold(){ある意味本作の象徴。}
やたらジョギングシーンが挿入されるので一部ではジョギング映画とも。だいたい映画の半分は走っていると思ってかまわない。
そして特筆すべき点は&big(){&bold(){敵討ちの相手との対決ですらジョギングで行う}}ことだろう。
よく解らないだろうから経緯を書くと(劇中2回対決する)
・初回
ようやく敵の日夏を見つける。
↓
日夏がジョギングしているのを見る。
↓
なぜか一旦帰郷し、ジョギングの準備をして再び日夏のところへ。
↓
ジョギングしている日夏を追いかけ、自分もジョギングを開始
↓
日夏が疲れ果てた時を狙うも、自分が先にバテてきた上、執拗に後ろから煽ったせいで不審がられ、全力ダッシュで撒かれてしまう。
・二回目
ソープに偶然日夏が客としてくる。
↓
お市包丁を振り回し、日夏に襲い掛かる。
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日夏逃走。お市も追いかける。
↓
何故か二人ともペースを考え始めてジョギング対決化。
↓
色々あった末に日夏が限界を迎え、お市がそれを追い抜いて勝利宣言
……わけがわからないよ
ちなみに、ランニング監修を担当したのは60～70年代の日本マラソン界を代表する名ランナー、宇佐美彰朗。
***【時代劇】
後半になって[[織田信長>織田信長(戦国武将)]]の妹のお市の方と彼女に仕かえたおみつの物語が約30分挿入される。
長尾が持つ笛にまつわる話だそうだが、無論本筋とは関係がない。
***【宇宙へ……】
ラストシーン、お市が日夏を刺殺すると同時にシャトル発射のシーンへ差し替わる。そして琵琶湖上空の衛星軌道上で……&del(){てかここまでまとめるので限界。勘弁してください。}
余談だが特撮が時代を考えてもしょぼい。&del(){アレどう見ても透明なアクリル板の上に置いているだけ……}
当然こんな意味不明な内容で客足が伸びる訳もなく、&bold(){公開2週間と5日で打ち切り。}
また橋本氏も映画業界から干され、本人の体調不良も合わせこの後の映画脚本作品は僅か3本((ちなみに最後の映画脚本は過去脚本のリメイク作品でもある2008年映画版『[[私は貝になりたい]]』。))・ドラマ脚本も過去映画のリメイク脚本計3本分のみと、かなり本人の創作活動に致命傷を与える結果となった。
その後ソフト化されることはなく映画界の闇に葬られたが、95年頃某映画雑誌で紹介されてそのあんまりな内容が一部の好事家に受けカルト化。
この「再評価」を受けたのか03年にDVD化された。
2022年2月16日にはブルーレイの販売も告知されている。
とここまで色々書いてきたが、無論評価点もない訳ではない。
実は先ほど述べた時代劇の完成度は高かったりする。もしも時代劇に絞って映画を撮っていれば良作になったかもしれない。
また次から次へ突っ込み所が湧いてくるので、クソ映画愛好家は常に退屈せずに見れるのもポイント。世の中にはネタにすらならないクソ映画だってあるのだ。
*[登場人物]
&bold(){尾坂道子/お市}(南條玲子)
雄琴のソープ"湖の城"のNo.2トルコ嬢。源氏名は「お市」で他の登場人物からは基本的にこっちで呼ばれる。
愛犬のシロと毎日ジョギングをするのが日課だったが、シロを殺され復讐を決意する。
破綻した脚本の影響をもろに受け、本作屈指の電波に。後述の迷言集の大半は彼女によるもの。
ちなみに、演者の南條氏は宇佐美氏の指導のもと、撮影のために&bold(){4500キロ以上}も走ったらしい。
それで出来た映画の出来を思うと……
&bold(){シロ}(ランドウェイ・KT・ジョニー)
お市の愛犬。捨て犬だったが、形容し難い経緯で道子に拾われる。
日夏に殺されたが、どうやら放し飼いだった模様で、しかもお市が許可証を持っていなかったことも言及されている。
これお市も悪くないか……
&bold(){長尾正信}(隆大介)
道子がランニング中に聴いていた笛の音の主。正体はNASAの職員で、研究分野は本人曰く「&bold(){宇宙パルサー}」。
&color(whitesmoke){「宇宙パルサーって何ぞ」と思って検索しても『幻の湖』関連しか出てこないので、あしからず。}((普通に考れば[[中性子星>ブラックホール]]のことだろう(わざわざ「宇宙」が付いているのは既に日産・パルサーが走っていたためか)…と思いきや、小説版では毒電波全開の発言をしている。))
なぜかシロの墓がわかったり 、唐突に自分の先祖の悲劇を語ったりする電波。
お市いわく一番好きな人。倉田ェ……
&bold(){倉田修}(長谷川初範)
お市の彼氏で銀行員。いい人なのだが電波なお市に振り回される。
&bold(){日夏圭介}(光田昌弘)
大物作曲家。
シロを殺した犯人で、他にも女をヤリ捨てしたりしているなどわかりやすい悪役。
ジョギングが趣味でお市と壮絶なジョギング対決を二度繰り広げる。
&bold(){ローザ}(デビ・カムダ)
お市の同僚で友人の外人嬢。源氏名は キリシタンお美代。
シロが殺される直前、クソ映画史に残る迷言、
&big(){&bold(){｢ファントムではなく、イーグルだ。イーグルは既に実戦配備に付いている｣}}
を残し国に帰った……
と思いきや 東京で日夏に会えずヒステリーを起こしていたお市と再会。
お市に助け舟を渡した彼女の正体は、なんとCIAの[[スパイ]]！
ソープで働いていたのは日本の性風俗の調査のためだったのだ。どんな調査だよ……
&bold(){淀君}(かたせ梨乃)
"湖の城"のNo.1ソープ嬢。
厭味なキャラだったが終盤唐突にデレる。
&bold(){受付嬢}(荒木由美子)
日夏音楽事務所の受付嬢。
客に対してやたらと態度が大きい。
*[迷言集]
・うちの家の裏には、桐の木があるんです…… その桐の木でタンスを作って、私はお嫁入りするんです。((桐の木は成長が早いので、娘が産まれた時に植えると嫁入りの時期にタンスにするのにちょうどいい大きさになる。よって昭和の時期では娘のために桐を植えるという家はあった。))
・&bold(){ひとりぼっちで寂しそうな島ねェ…… 沖の島、あの沖の島が、今の私だわ……}
・ない……ない。 どうして、琵琶湖だけが……
・それなら子供を産んでから、その子供の血液証明をもっていらっしゃい。
・&bold(){廣島の女の子とアタシの犬は、事情も違うし、相手もちょっと違うわよ。}
・&bold(){憎い……日夏が憎たらしい……！東京中の人間が日夏を庇っている……}
・日夏には、後ろに目があって……アタシを引きずり回し、楽しんでいる……
・シロ……いくわよ。ゴーッ！
・沖の島……あれが沖の島……沖の島はアタシだと思ってた。&br()ひとりぼっちの寂しい島だと思ってたのに……裏側には、あんなに家の……大勢の……大勢の人が……。
・どうしてアタシは倉田さんと……
・&bold(){僕の仕事は宇宙科学、宇宙パルサー。}
・お前なんかに、琵琶湖に沈んだ女の恨み節なんてェー！
*[余談]
本作は予告編からして異様な雰囲気を醸し出している。昔の映画の予告編が分からない人でも『砂の器』や『八甲田山』と比べるとよくわかる。
主演の南條玲子はその後昼ドラなどに出演していたが現在は引退している。
追記・修正はランニングバトルしながらお願いします。
#include(テンプレ２)
#right(){この項目が面白かったなら……＼ポチッと/
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}
#include(テンプレ3)
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- この映画の記事なかったのか、なにはともあれｇｊ -- 名無しさん (2014-12-10 01:20:22)
- 東宝創立50周年記念作品で一番有名なのは南十字星かもしれない -- 名無しさん (2014-12-10 01:47:50)
- ↑主題歌は売れたから -- 名無しさん (2014-12-10 01:48:19)
- 面白そうだ。レンタルあったら借りてこよう。ツッコミのいい練習になるかな -- 名無しさん (2014-12-10 02:56:26)
- 文章だけでこのイミフさw某クソ映画マイスターに是非レビューして欲しい -- 名無しさん (2014-12-10 10:21:49)
- ついに出来てしまったかgj -- 名無しさん (2014-12-10 11:23:33)
- 滋賀県民としてどう反応すればいいんだ。笑いすぎて死ぬ -- 名無しさん (2014-12-10 12:05:48)
- 予告編観てきたけどランニング対決の辺りで「ん？」ってなった -- 名無しさん (2014-12-10 13:04:50)
- レビューとか紹介を読む度に面白そうとは感じるが、自発的に観る気も湧かない。 -- 名無しさん (2014-12-10 17:27:32)
- とりあえず・・・親日国トルコに詫びろ！！ -- 名無しさん (2014-12-10 17:36:03)
- ↑作中トルコって言っていたから、トルコって書いたけど気に食わんようだったから直しといた。トルコ風呂って表現もアレだしね -- 作成者 (2014-12-10 18:59:31)
- ｢桐の木で嫁入り道具の箪笥を作る｣って別に迷言じゃなくて普通の風習じゃない？シチュエーションが噛み合ってないの？ -- 名無しさん (2014-12-10 19:39:04)
- 戦国コレクションの最終回はこれのパロディだったなぁ -- 名無しさん (2014-12-11 08:13:28)
- 後のランニングデュエルである -- 名無しさん (2014-12-11 21:13:00)
- 橋本さん、なにがあった -- 名無しさん (2014-12-11 21:21:29)
- 日夏の事務所の所員の鬼対応がな… -- 名無しさん (2014-12-11 21:50:46)
- 戦コレ最終回ってこれもモチーフなのかよ！ -- 名無しさん (2015-03-30 01:14:54)
- 男子高校生の日常でヒデノリがやっさんに追い掛けられる流れもこれがモチーフ -- 名無しさん (2017-01-19 21:13:23)
- 世界の映画史に残る橋本忍のスーパークソ映画という… -- 名無しさん (2017-08-31 20:42:42)
- ジョギングバトルは斬新すぎて後に続かなかったなぁ・・・ -- 名無しさん (2017-08-31 21:04:19)
- 監督自身も「当初から脚本に自信が持てず、無理なシチュエーションや不自然なシチュエーションを強引にシナリオで押し通した」っていうんだから辛い･･･ -- 名無しさん (2017-09-12 02:02:49)
- どこの国でもそうかもしれないがうん十周年記念作品なんて大抵ロクなものが作られねえ… -- 名無しさん (2017-09-22 12:59:11)
- やりたいことがよくわからない… -- 名無しさん (2018-09-12 01:41:29)
- 後の『ジョン・ウィック』である -- 名無しさん (2020-03-14 07:35:17)
- 和製ザ・ルーム -- 名無しさん (2020-03-14 09:20:05)
- 「難解な映画」と評されることが多いけど、真の敗因は「なまじっか分かり易くしていてシラケる」ことにあるのでは？現代篇の登場人物たちと戦国篇の登場人物達が互いの存在を意識しながら混沌状態のまま話が進む形式なら却って面白くなったかも。 -- 名無しさん (2020-04-22 17:59:43)
- あるアニメレビュー動画でいい演出家でも監督になると駄作を作ると言ってたけど、映画でも似たようなことになるんだなぁ。(この映画は脚本家だけど) -- 名無しさん (2020-08-10 10:09:42)
- ↑2 いや普通にクソ分かりづらいよこれ。2周してもどこまでが話の本筋でどこからがサブなのか判別することすら困難 -- 名無しさん (2020-09-08 15:18:31)
- 映画の構想のきっかけは「八甲田山」の撮影中にぶなの木に話しかけた時に思いつく←この逸話がすでに意味不明というか…八甲田山のむちゃくちゃ苛酷なロケで頭が変になってたんかな -- 名無しさん (2020-09-08 18:10:38)
- Wikiにあった筋書きを読んだ限りでは、そんなひどいとは思わなかったんだけどなぁ。やはり、説明不足というか描写不足だったのかな。 -- 名無しさん (2020-09-08 18:15:31)
- ジョギングシーンをカットしたらまともになる可能性があるかも…？ -- 名無しさん (2020-09-08 18:41:31)
- 思いついたシーンひたすら詰め込んだら支離滅裂になったケース？ しかしジョギングシーンに拘った理由が謎だ。 -- 名無しさん (2020-09-13 10:00:37)
- 砂の器見てマジ泣きしたので、マジで何があったのか心配になる。 -- 名無しさん (2020-10-01 22:33:43)
- 意外と感動というか、達成感のようなものを感じた。 まあ絶対に一般受けしないカルト映画なのだろうけどw -- 名無しさん (2021-02-03 09:33:15)
- 主人公の彼氏役の人はこの作品が映画デビュー作だとか -- 名無しさん (2021-11-03 15:51:21)
- 「敵討ちの相手とジョギングで対決」っての、比喩でも誇張でもなく本当にジョギングで対決してるのがホント意味分からない -- 名無しさん (2021-11-03 19:43:46)
- あーそういうことね、完全に理解した -- 名無しさん (2021-11-11 17:26:44)
- 敵討ち相手とのジョギングでの対決だけでも意味がわからないが、その背景が謎すぎる -- 名無しさん (2022-01-02 16:03:57)
- ラン・ローラ・ランやポストマンブルースと、かけっこバトルの脈 -- 名無しさん (2023-05-23 10:10:46)
- 和製フォレストガンプかって位走る -- 名無しさん (2024-05-24 00:25:29)
- ↑6 長谷川初範さんかな？ -- 名無しさん (2024-05-24 06:30:48)
- 詰め込み過ぎなのとそこからの取捨選択を間違えてるからわけのわからんことに。さよならジュピターもそんな感じ -- 名無しさん (2024-05-24 07:40:55)
- 脚注でフォローされてる箪笥のくだりだけど、あそこが電波なのは「来年にはトルコ辞めて桐の箪笥持ってお嫁に行きます(要約)」を「結婚相手すらまだ見つかってない状態で」宣言したことなんで… -- 名無しさん (2024-08-05 14:35:01)
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