清掃局員の人(攻殻機動隊)

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&font(#6495ED){登録日}:2022/04/01 Fri 00:02:13 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 7 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- 清掃局員の人とは、漫画[[攻殻機動隊]]の第3話「JUNK JUNGLE」に登場するキャラ。&font(#ffffff){映画版「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」にも登場。(後述)} 名前は特になく、扱いとしてはいわゆる[[モブキャラ]]の一人である。 &font(#ffffff){ルパート・サンダース監督作品の実写映画版「ゴースト・イン・ザ・シェル」にも登場するがこちらは立ち位置が少し異なる。} 原作では聖庶民救済センター((第1話で登場した劣悪な「福祉施設」である。押井守版の映画では背景までは不明。))出身で、現在は清掃局でごみ収集の仕事をしている男性。 相棒と共にごみ回収車で毎日巡回路を回っており、ごみの山にカラス避けのガスを[[ぶっかけ]]ながら、 えたいの知れない注射器やら謎の液体が入ったポリ袋やらが混じったごみを回収するという、劣悪な環境の仕事を続けている。 これでも既婚者であり子供もいるが、現在妻から浮気を疑われており別居中。 本人の様子を見ると身に覚えがないようだが、妻からはそれを信じてもらえず顔も見せてはもらえていない。 向こうが雇った弁護士がやり手で妻と会えないらしく、さらに子供からも他人顔されるという、何ともやるせない日々を送っている。 そのためどうにかして妻の気持ちを知りたいがために、仕事の合間を使って妻の[[電脳>電脳(攻殻機動隊)]]へゴーストハックを試みている。 何でも最近飲み屋で「親切な奴」と知り合ったらしく、防壁破りの方法を教わったのだと言う。 一ヶ所でハッキングしていては逆探知されてバレる可能性が高くなるため、ごみ回収車での巡回場所近くにある公共端末に防壁破りの道具を用意してもらっており、 これによりハッキング元を転々と移動することで、居場所を悟られることなくごみ収集をしながら妻の電脳の防壁破りを進めていた。 なお電脳へのハッキングは当然犯罪なのだが、あまり気にしている素振りはなく、相棒に「後半俺がゴミ運んで、お前が(ハッキングのための)電話するってのどう?」と持ちかけたりもしていた。 当然、却下されていたが。 そんなこんなで仕事の傍ら、離婚を持ち出す妻の気持ちを知るためにゴーストハックを進めていたのだが……。 ***・実は 彼がゴーストハックしていた相手は、&bold(){妻ではなく外務大臣の通訳}。 飲み屋で知り合った親切な男の正体は「テロリスト」であり、彼に騙されて会談襲撃の準備を知らず知らずのうちにやらされ、テロの片棒を担がされていたというのが真相だった。 テロ発生前に、手に入れた情報から通訳へのハッキングを察知していた公安9課は直ちに捜査を開始。 場所を細かく変えながら着々と防壁を破り続ける相手の特定に苦慮するものの、やがてハッキング元の端末の移動経路と清掃局の回収車の巡回経路が一致していることを特定。 件の回収車の確保に向かう。 一方その頃、専務からの連絡で警察がこちらの巡回路を聞いてきたことを知った清掃局員の人は、ハッキングがバレたと大慌て。 巡回場所を一か所すっとばして、相棒を乗せたまま回収車で遁走する。 予定よりさらに先の端末で防壁破りの用意をしているであろう「親切な男」と合流し、警察が感づいたことを知らせるため移動を開始した。 その後何とか相手と合流しかけたものの、既に9課の追っ手が迫っており、これを「テロリストの男」に「自分を警察に売った」と誤解されてしまう。 本人は単にバレたことを知らせようとしただけだったが、そんなことを知らない相手から怒りの銃弾を叩き込まれ、回収車は爆散。 奇跡的になんとか生きていたが、ハッキングはバレるわ、バレたことを知らせようとしたら銃弾撃ち込まれるわと、踏んだり蹴ったりな目に合うことに。 やがてその場から逃亡したテロリストは、9課の手で確保。テロは未然に防がれた。 そして騙されて通訳をゴーストハックをしていた彼も、あえなく御用となるのだった。 1話限りのキャラだが、彼を通して、作中の日本の町並みや生活環境、電脳化が日常になった世の中、頭のなかをハッキングされてしまう電脳犯罪やテロリストの暗躍など、 作品世界の日常風景が色濃く写し出されており、[[攻殻機動隊]]の世界観描写に一役買っている[[モブキャラ]]の一人。 1話2話が、主人公である[[素子>草薙素子]]や公安9課の活躍に焦点が置かれているため、作中で初めて電脳化が進んだ世界の日常生活が描かれているのがこの話であり、 電脳化や義体化といった要素や世界観が人気を博し、その後のシリーズが発展したことなどを考えると、ある意味功労者の一人と言えるキャラかもしれない。 &font(#ffffff){更に言えば「清掃局員の人」も「親切な男」もこの作品の裏主人公と言える「人形使い」に操られた「人形」であったことから、さらにその被害の度合いや立ち位置はこの作品を象徴した存在と言える。} 追記・修正は、電脳にハッキングしてでも妻の気持ちが知りたい方がお願いします。 #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ } #include(テンプレ3) 「は? 疑似体験!? どういうことです!!?」 捕まって取調べを受ける彼に、9課から本当の事実が告げられる。 彼の浮気話は、[[事件の黒幕>人形使い/P-2501]]が自身とクライアントの関与を隠蔽するために用意した『テロリストに騙された一般人が起こしたハッキング事件』という偽装のため、&bold(){電脳に植え付けられた偽の記憶だった}。 さらに言うと&bold(){実は子供はおろか彼は結婚すらもしておらず、妻や子供などどこにも存在していなかった}。 本来の彼自身はただの独身男性で、逮捕されたテロリスト((捕まったテロリストも、そのような記憶に書き換えられたただの一般人だった))共々偽装工作に利用されていただけであり、そのために記憶を改竄されていたのである。 そのことを取調室で聞かされ、全部偽の記憶だったというまさかの事態に泣きながら「そのウソ夢消す方法ありますか!?」と問いかけるものの、 事情聴取していたイシカワからの答えは、成功が2例報告されているだけでとてもお勧めできない、というもの。 もはやどうにもならず、失った家族の夢と八方塞がりな現実のダブルパンチに、取調室の机の上で頭を抱えてしまう。 後日釈放された彼は再び清掃局の仕事に戻り、相棒からは離婚の話はどうなったか聞かれるが、 「消えたの!」と、散々な目にあった様子で答えるのだった。 ちなみに[[攻殻機動隊]]2では荒巻素子が使っていたセボットが逆探知されたことに気づき、付けられていた発信機を[[ゴミ捨て場]]に投棄して時間稼ぎをした後の場面で若干だが登場している。 **・Ghost in the Shell -攻殻機動隊- CV:[[山路和弘]] 2.0版:目黒光祐 劇場アニメ版にも登場しており、概ね原作と同じキャラクター。 原作と比べるとギリギリ青年風だった外見が、こちらでは中年と呼べる風貌になっている。 同じく相棒(CV:[[千葉繁>千葉繁(声優)]] 2.0版:中博史)と共に清掃局の仕事をしているが、こちらでは関係が少し掘り下げられており、 相棒からは「(ハッキング作業で仕事が遅れるため)不法就労でパクられた前の相棒のほうがマシ」と言われたり、逆に相棒に子供がいるかどうか聞くなど、ゴミ収集の仕事に就いてから日が浅いらしい様子が描かれている。 また子供が娘になっていて、娘のことを「俺の命」「天使」と言って溺愛しているため、別居で会えなくなった現在は肌身離さず写真を持ち歩いている。 作中&bold(){これを相棒に喜々として見せようとした}が、「他人ん家のアルバム覗く趣味はねえよ」とにべもなく断られてしまっていた。 原作と同じく「飲み屋であったやたら親切なやつ」からゴーストハックの方法を教えてもらい、回収車で巡回しながらのハッキングで離婚調停中の妻の気持ちを知ろうとするが、やはり騙されておりハッキング先は外務大臣の通訳だった。 やがてハッキングがバレて警察の手が迫ってきていることを知ると、教えてくれた男にこれを知らせようとするものの、追ってきた9課のトレーラーごと銃撃を食らい回収車は激突して停車。 何とか生きていたらしいが、そのまま拘束されることになってしまった。 清掃局員「……疑似体験って、どういうことです?」 トグサ「だから、奥さんも娘も離婚も浮気も、全部偽物の記憶で夢のようなものなんです。あなたは何者かに利用されて、政府関係者にゴーストハックを仕掛けてたんですよ」 清掃局員「そんな、まさか……?」 イシカワ「あんたのアパートに行ってきたんだ。誰もいやしない。独りもんの部屋だ」 清掃局員「だから、あの部屋は別居の為に借りたアパートで……」 イシカワ「あんたはあの部屋でもう10年も暮らしてるんだよ。奥さんも子供もいやしない。あんたの頭の中に『だけ』存在する家族なんだ」 始まった取調べで彼を待っていたのは、自分は何者かに偽の記憶を植え付けられていただけの独身の男で、 &bold(){愛していたはずの妻や娘など最初からいないという事実だった}。 ゴーストハックを仕掛けていた相手も、妻ではなく政府関係者だったことを知らされ、 さらに今住んでいる場所も実際は既に10年暮らしており、別居している家族などどこにもいなかったことを告げられる。 呆然とする彼に、さらにトグサから一枚の写真が渡されるが……。 トグサ「ご覧なさい。あなたが同僚に見せようとした写真だ。誰が写ってます?」 清掃局員「確かに写ってたんだ……。俺の娘……。まるで、天使みたいに笑って……」 娘の名前や、奥さんとは何時何処で知り合い、何年前に結婚したかを聞かれるが、なにも答えることができない。 家族などどこにもいないのだから、当然そのような記憶など始めからない。 またそんな細かな設定など、犯人は用意していなかったのである。 そして彼が相棒に見せようとしていた写真に写っていたのは、&bold(){散歩をしている自分と犬だけ}で((犬と一緒に写っているため飼い犬との写真にも見えるが、よく見るとリードは別の人が引いているので他人のペットと考えられる))、&bold(){天使のように笑っている娘など、どこにも写ってはいなかった}。 あまりの絶望からボロボロと涙を流し始め、「そのウソ夢、どうやったら消せるんです……?」とすがるように問いかけるものの、 トグサからは「残念ながら現在の技術では……。成功が2例報告されているだけでとてもお薦めできません。お気の毒です」という残酷な答えが言い渡される。 この様子を外から素子と共に見ていた[[バトー]]は「疑似体験も夢も、存在する情報は全て現実であり、そして幻なんだ。どっちにせよ一人の人間が一生のうちに触れる情報なんて、僅かなもんさ」と、情報という観点から見れば夢も現実もさして大差ないということをつぶやくのだった。((原作では荒巻部長の台詞だった。)) 原作から内容そのものに大きな変化はない場面だが、劇場版では現実と虚構を描く監督・押井守の演出とそれを引き立てる川井[[BGM]]、大切だったものが全て幻だった清掃局員の人役の声優の演技が合わさり、悲壮感が20倍くらい増している。 さらに原作にはあった「その後一応立ち直った」という描写が存在せず、通訳ハッキング事件はこの取調べのシーンで終わるため、とにかく救いが無い。 この場面は原作3話と同じく、電脳化によって他人に自分の脳をハッキングされる世界観を象徴するような一幕であり、 事の顛末のあまりの悲惨さと演出の妙も合わさり、清掃局員の人共々知名度が高く、劇場版攻殻でとても記憶に残るシーンの一つとなっている。 映画版の描写はネットミームとして度々引き合いに出されているほどになっている。 **・イノセンス 劇場版の続編である『イノセンス』では、残念ながら彼自身の登場はなし。 が、ハッカーのキムが仕組んだ疑似体験の迷路から抜け出した後、本当に物理現実に帰ってきたのかナイーブになっているトグサに対して 「家で待ってる女房や娘が本当に居るかどうか。いやそもそも自分は未だに独り者で、どっかの部屋で家族の夢を見ているんじゃないか」と彼のことらしき話を踏まえた上で、[[バトー]]がケアをするシーンがある。 前作では清掃局員の人を慰めていたトグサだが、まさか数年後に同じような体験をして不安を抱えることになるとは思いもしなかっただろう。 **・[[ゴースト・イン・ザ・シェル]] ルパート・サンダース版にもゴミ収集車の男たちは登場するが、二人ともクゼにゴーストハックにされて直接オウレイ博士を襲う役割に変更されている。 ゴーストハックにより、記憶を書き換えられて「人形化」されたところまでは同様だが、「テロリストの男」と「清掃局員の人」の役割を兼ね備えたキャラクター配置となった。 **・余談 ・1995年の劇場版で声を担当しているのは、俳優・声優両方で活躍し、[[仮面ライダー剣]]の[[烏丸所長>烏丸啓(仮面ライダー剣)]]や[[ドラゴンボール超]]の[[ヒット>ヒット(ドラゴンボール超)]]などで有名な山路和弘。&br()現在は渋く重い演技が持ち味だが、こちらは今と比べるとかなり若々しい演技になっている。 ・劇場版ではとにかく悲惨だった彼だが、原作では演出の違いもあって割とあっさり元の生活に復帰しており、アニメから原作に入ったファンだとその落差に驚くことが多い。&br()主人公の素子と同じく、原作とアニメの違いを代表するキャラとも言える。 確かに追記・修正したんだ……。俺の記述……。まるで神項目みたいに、なって……。 #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,18) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 疑似体験のくだりがなかったら、彼は「戦闘力5のおじさん・攻殻バージョン」扱いされていたかもしれない。 -- 名無しさん (2022-04-01 00:57:30) - 劇場版はほんと悲惨。相棒が写真見てたらどうなってたんだろうか -- 名無しさん (2022-04-01 01:24:51) - えっ、なにこれ…つっら -- 名無しさん (2022-04-01 01:35:46) - 実写版でも清掃員の人出ててちょっと笑っちゃった 記事にもある通りモブだけど重要キャラなんだよな -- 名無しさん (2022-04-01 10:44:42) - エイプリルフールにこの記事作る作成者が畜生で草 -- 名無しさん (2022-04-01 14:04:08) - 実写は更に酷い結末になった… -- 名無しさん (2022-04-01 15:48:41) - 出番は短いのに本当に印象的だよね -- 名無しさん (2022-04-01 15:59:49) - 劇場版の方は悲惨なんだけど、記憶改ざんだけで写真を誤解するのがちょっと解せないんだよな。描写なかっただけでウィルス仕込まれてて、取り調べ前に除去されたのかな? -- 名無しさん (2022-04-01 23:15:12) - ↑厳密には記憶「のみ」を弄られたわけじゃないんだろうな。人に指摘されるまで思い込みから抜け出せないのは現実の人間もやる -- 名無しさん (2022-04-01 23:32:29) - ナイス項目!漫画版との比較助かります!ただ『散歩をしている自身と飼い犬の姿』ですが、犬のリードは他の人が持っているので、映画版ではペットの犬すら偽りの記録だと思います。最高に悲惨 -- 名無しさん (2022-04-01 23:47:02) - ↑修正しました。自宅のシーンでもペット用品のCM流れてたから、あれずっと飼い犬だと思ってたわ -- 名無しさん (2022-04-02 00:36:16) - いい着眼点だ。個人的には双方いいと思うけどね、原作リスペクトを感じるし。 -- 名無しさん (2022-04-02 01:36:02) - 劇場版の写真に写っていた犬はバセットハウンドで、押井監督の愛犬ガブリエルがモデル。愛犬家として有名な押井なのでそれを知っているファンからは「ああ確かにアンタの天使のような愛娘が写っているな…」という図になっていたりする -- 名無しさん (2022-04-02 01:52:48) - 劇場版の後は裏で漫画版の展開に繋がってくれるのかなぁ -- 名無しさん (2022-04-02 12:49:47) - あんまり触れられないけど「人間が手に入れられる情報はごくわずか」ってのも重いよな。多くのことを知らないのにまるで全てを知ってるかのように降る舞う人がいかに多いことか -- 名無しさん (2022-04-04 08:00:20) - つい最近Ghost in the Shellを見たがちばしーはまんまだったけど山路さんはマジでスタッフロール見るまで気づかなかったな -- 名無しさん (2022-04-04 08:11:33) - 原作のオチの騙されたの!みたいなある感じ、ゴーストハック自体は割りと普遍的な犯罪としてあるのかなって世界観も紹介している感じ -- 名無しさん (2022-08-06 22:33:22) - 修正されているけど「後半俺がゴミ運んで、お前が電話するってのどう?」って台詞は原作でもあるぞ。少なくともKCDXの単行本にはある -- 名無しさん (2022-11-09 20:47:50) - ああ、確認したらありました。失礼しました。 -- 名無しさん (2022-11-09 21:04:46) - 漫画はコミカルなブラックジョークなオチだったのよな、「嫌な夢見せられて散々だ!」って感じでたくましく仕事続けてる アニメのはちょっと可哀想過ぎる -- 名無しさん (2025-02-26 23:51:12) #comment(striction) #areaedit(end) }
&font(#6495ED){登録日}:2022/04/01 Fri 00:02:13 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 7 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- 清掃局員の人とは、漫画[[攻殻機動隊]]の第3話「JUNK JUNGLE」に登場するキャラ。&font(#ffffff){映画版「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」にも登場。(後述)} 名前は特になく、扱いとしてはいわゆる[[モブキャラ]]の一人である。 &font(#ffffff){ルパート・サンダース監督作品の実写映画版「ゴースト・イン・ザ・シェル」にも登場するがこちらは立ち位置が少し異なる。} 原作では聖庶民救済センター((第1話で登場した劣悪な「福祉施設」である。押井守版の映画では背景までは不明。))出身で、現在は清掃局でごみ収集の仕事をしている男性。 相棒と共にごみ回収車で毎日巡回路を回っており、ごみの山にカラス避けのガスを[[ぶっかけ]]ながら、 えたいの知れない注射器やら謎の液体が入ったポリ袋やらが混じったごみを回収するという、劣悪な環境の仕事を続けている。 これでも既婚者であり子供もいるが、現在妻から浮気を疑われており別居中。 本人の様子を見ると身に覚えがないようだが、妻からはそれを信じてもらえず顔も見せてはもらえていない。 向こうが雇った弁護士がやり手で妻と会えないらしく、さらに子供からも他人顔されるという、何ともやるせない日々を送っている。 そのためどうにかして妻の気持ちを知りたいがために、仕事の合間を使って妻の[[電脳>電脳(攻殻機動隊)]]へゴーストハックを試みている。 何でも最近飲み屋で「親切な奴」と知り合ったらしく、防壁破りの方法を教わったのだと言う。 一ヶ所でハッキングしていては逆探知されてバレる可能性が高くなるため、ごみ回収車での巡回場所近くにある公共端末に防壁破りの道具を用意してもらっており、 これによりハッキング元を転々と移動することで、居場所を悟られることなくごみ収集をしながら妻の電脳の防壁破りを進めていた。 なお電脳へのハッキングは当然犯罪なのだが、あまり気にしている素振りはなく、相棒に「後半俺がゴミ運んで、お前が(ハッキングのための)電話するってのどう?」と持ちかけたりもしていた。 当然、却下されていたが。 そんなこんなで仕事の傍ら、離婚を持ち出す妻の気持ちを知るためにゴーストハックを進めていたのだが……。 ***・実は 彼がゴーストハックしていた相手は、&bold(){妻ではなく外務大臣の通訳}。 飲み屋で知り合った親切な男の正体は「テロリスト」であり、彼に騙されて会談襲撃の準備を知らず知らずのうちにやらされ、テロの片棒を担がされていたというのが真相だった。 テロ発生前に、手に入れた情報から通訳へのハッキングを察知していた公安9課は直ちに捜査を開始。 場所を細かく変えながら着々と防壁を破り続ける相手の特定に苦慮するものの、やがてハッキング元の端末の移動経路と清掃局の回収車の巡回経路が一致していることを特定。 件の回収車の確保に向かう。 一方その頃、専務からの連絡で警察がこちらの巡回路を聞いてきたことを知った清掃局員の人は、ハッキングがバレたと大慌て。 巡回場所を一か所すっとばして、相棒を乗せたまま回収車で遁走する。 予定よりさらに先の端末で防壁破りの用意をしているであろう「親切な男」と合流し、警察が感づいたことを知らせるため移動を開始した。 その後何とか相手と合流しかけたものの、既に9課の追っ手が迫っており、これを「テロリストの男」に「自分を警察に売った」と誤解されてしまう。 本人は単にバレたことを知らせようとしただけだったが、そんなことを知らない相手から怒りの銃弾を叩き込まれ、回収車は爆散。 奇跡的になんとか生きていたが、ハッキングはバレるわ、バレたことを知らせようとしたら銃弾撃ち込まれるわと、踏んだり蹴ったりな目に合うことに。 やがてその場から逃亡したテロリストは、9課の手で確保。テロは未然に防がれた。 そして騙されて通訳をゴーストハックをしていた彼も、あえなく御用となるのだった。 1話限りのキャラだが、彼を通して、作中の日本の町並みや生活環境、電脳化が日常になった世の中、頭のなかをハッキングされてしまう電脳犯罪やテロリストの暗躍など、 作品世界の日常風景が色濃く写し出されており、[[攻殻機動隊]]の世界観描写に一役買っている[[モブキャラ]]の一人。 1話2話が、主人公である[[素子>草薙素子]]や公安9課の活躍に焦点が置かれているため、作中で初めて電脳化が進んだ世界の日常生活が描かれているのがこの話であり、 電脳化や義体化といった要素や世界観が人気を博し、その後のシリーズが発展したことなどを考えると、ある意味功労者の一人と言えるキャラかもしれない。 &font(#ffffff){更に言えば「清掃局員の人」も「親切な男」もこの作品の裏主人公と言える「人形使い」に操られた「人形」であったことから、さらにその被害の度合いや立ち位置はこの作品を象徴した存在と言える。} 追記・修正は、電脳にハッキングしてでも妻の気持ちが知りたい方がお願いします。 #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ } #include(テンプレ3) 「は? 疑似体験!? どういうことです!!?」 捕まって取調べを受ける彼に、9課から本当の事実が告げられる。 彼の浮気話は、[[事件の黒幕>人形使い/P-2501]]が自身とクライアントの関与を隠蔽するために用意した『テロリストに騙された一般人が起こしたハッキング事件』という偽装のため、&bold(){電脳に植え付けられた偽の記憶だった}。 さらに言うと&bold(){実は子供はおろか彼は結婚すらもしておらず、妻や子供などどこにも存在していなかった}。 本来の彼自身はただの独身男性で、逮捕されたテロリスト((捕まったテロリストも、そのような記憶に書き換えられたただの一般人だった))共々偽装工作に利用されていただけであり、そのために記憶を改竄されていたのである。 そのことを取調室で聞かされ、全部偽の記憶だったというまさかの事態に泣きながら「そのウソ夢消す方法ありますか!?」と問いかけるものの、 事情聴取していたイシカワからの答えは、成功が2例報告されているだけでとてもお勧めできない、というもの。 もはやどうにもならず、失った家族の夢と八方塞がりな現実のダブルパンチに、取調室の机の上で頭を抱えてしまう。 後日釈放された彼は再び清掃局の仕事に戻り、相棒からは離婚の話はどうなったか聞かれるが、 「消えたの!」と、散々な目にあった様子で答えるのだった。 ちなみに[[攻殻機動隊]]2では荒巻素子が使っていたセボットが逆探知されたことに気づき、付けられていた発信機を[[ゴミ捨て場]]に投棄して時間稼ぎをした後の場面で若干だが登場している。 **・Ghost in the Shell -攻殻機動隊- CV:[[山路和弘]] 2.0版:目黒光祐 劇場アニメ版にも登場しており、概ね原作と同じキャラクター。 原作と比べるとギリギリ青年風だった外見が、こちらでは中年と呼べる風貌になっている。 同じく相棒(CV:[[千葉繁>千葉繁(声優)]] 2.0版:中博史)と共に清掃局の仕事をしているが、こちらでは関係が少し掘り下げられており、 相棒からは「(ハッキング作業で仕事が遅れるため)不法就労でパクられた前の相棒のほうがマシ」と言われたり、逆に相棒に子供がいるかどうか聞くなど、ゴミ収集の仕事に就いてから日が浅いらしい様子が描かれている。 また子供が娘になっていて、娘のことを「俺の命」「天使」と言って溺愛しているため、別居で会えなくなった現在は肌身離さず写真を持ち歩いている。 作中&bold(){これを相棒に喜々として見せようとした}が、「他人ん家のアルバム覗く趣味はねえよ」とにべもなく断られてしまっていた。 原作と同じく「飲み屋であったやたら親切なやつ」からゴーストハックの方法を教えてもらい、回収車で巡回しながらのハッキングで離婚調停中の妻の気持ちを知ろうとするが、やはり騙されておりハッキング先は外務大臣の通訳だった。 やがてハッキングがバレて警察の手が迫ってきていることを知ると、教えてくれた男にこれを知らせようとするものの、追ってきた9課のトレーラーごと銃撃を食らい回収車は激突して停車。 何とか生きていたらしいが、そのまま拘束されることになってしまった。 清掃局員「……疑似体験って、どういうことです?」 トグサ「だから、奥さんも娘も離婚も浮気も、全部偽物の記憶で夢のようなものなんです。あなたは何者かに利用されて、政府関係者にゴーストハックを仕掛けてたんですよ」 清掃局員「そんな、まさか……?」 イシカワ「あんたのアパートに行ってきたんだ。誰もいやしない。独りもんの部屋だ」 清掃局員「だから、あの部屋は別居の為に借りたアパートで……」 イシカワ「あんたはあの部屋でもう10年も暮らしてるんだよ。奥さんも子供もいやしない。あんたの頭の中に『だけ』存在する家族なんだ」 始まった取調べで彼を待っていたのは、自分は何者かに偽の記憶を植え付けられていただけの独身の男で、 &bold(){愛していたはずの妻や娘など最初からいないという事実だった}。 ゴーストハックを仕掛けていた相手も、妻ではなく政府関係者だったことを知らされ、 さらに今住んでいる場所も実際は既に10年暮らしており、別居している家族などどこにもいなかったことを告げられる。 呆然とする彼に、さらにトグサから一枚の写真が渡されるが……。 トグサ「ご覧なさい。あなたが同僚に見せようとした写真だ。誰が写ってます?」 清掃局員「確かに写ってたんだ……。俺の娘……。まるで、天使みたいに笑って……」 娘の名前や、奥さんとは何時何処で知り合い、何年前に結婚したかを聞かれるが、なにも答えることができない。 家族などどこにもいないのだから、当然そのような記憶など始めからない。 またそんな細かな設定など、犯人は用意していなかったのである。 そして彼が相棒に見せようとしていた写真に写っていたのは、&bold(){散歩をしている自分と犬だけ}で((犬と一緒に写っているため飼い犬との写真にも見えるが、よく見るとリードは別の人が引いているので他人のペットと考えられる))、&bold(){天使のように笑っている娘など、どこにも写ってはいなかった}。 あまりの絶望からボロボロと涙を流し始め、「そのウソ夢、どうやったら消せるんです……?」とすがるように問いかけるものの、 トグサからは「残念ながら現在の技術では……。成功が2例報告されているだけでとてもお薦めできません。お気の毒です」という残酷な答えが言い渡される。 この様子を外から素子と共に見ていた[[バトー]]は「疑似体験も夢も、存在する情報は全て現実であり、そして幻なんだ。どっちにせよ一人の人間が一生のうちに触れる情報なんて、僅かなもんさ」と、情報という観点から見れば夢も現実もさして大差ないということをつぶやくのだった。((原作では荒巻部長の台詞だった。)) 原作から内容そのものに大きな変化はない場面だが、劇場版では現実と虚構を描く監督・押井守の演出とそれを引き立てる川井[[BGM]]、大切だったものが全て幻だった清掃局員の人役の声優の演技が合わさり、悲壮感が20倍くらい増している。 さらに原作にはあった「その後一応立ち直った」という描写が存在せず、通訳ハッキング事件はこの取調べのシーンで終わるため、とにかく救いが無い。 この場面は原作3話と同じく、電脳化によって他人に自分の脳をハッキングされる世界観を象徴するような一幕であり、 事の顛末のあまりの悲惨さと演出の妙も合わさり、清掃局員の人共々知名度が高く、劇場版攻殻でとても記憶に残るシーンの一つとなっている。 映画版の描写はネットミームとして度々引き合いに出されているほどになっている。 **・イノセンス 劇場版の続編である『イノセンス』では、残念ながら彼自身の登場はなし。 が、ハッカーのキムが仕組んだ疑似体験の迷路から抜け出した後、本当に物理現実に帰ってきたのかナイーブになっているトグサに対して 「家で待ってる女房や娘が本当に居るかどうか。いやそもそも自分は未だに独り者で、どっかの部屋で家族の夢を見ているんじゃないか」と彼のことらしき話を踏まえた上で、[[バトー]]がケアをするシーンがある。 前作では清掃局員の人を慰めていたトグサだが、まさか数年後に同じような体験をして不安を抱えることになるとは思いもしなかっただろう。 **・[[ゴースト・イン・ザ・シェル]] ルパート・サンダース版にもゴミ収集車の男たちは登場するが、二人ともクゼにゴーストハックにされて直接オウレイ博士を襲う役割に変更されている。 ゴーストハックにより、記憶を書き換えられて「人形化」されたところまでは同様だが、「テロリストの男」と「清掃局員の人」の役割を兼ね備えたキャラクター配置となった。 **・余談 ・1995年の劇場版で声を担当しているのは、俳優・声優両方で活躍し、[[仮面ライダー剣]]の[[烏丸所長>烏丸啓(仮面ライダー剣)]]や[[ドラゴンボール超]]の[[ヒット>ヒット(ドラゴンボール超)]]などで有名な山路和弘。&br()現在は渋く重い演技が持ち味だが、こちらは今と比べるとかなり若々しい演技になっている。 ・劇場版ではとにかく悲惨だった彼だが、原作では演出の違いもあって割とあっさり元の生活に復帰しており、アニメから原作に入ったファンだとその落差に驚くことが多い。&br()主人公の素子と同じく、原作とアニメの違いを代表するキャラとも言える。 確かに追記・修正したんだ……。俺の記述……。まるで神項目みたいに、なって……。 #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,19) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 疑似体験のくだりがなかったら、彼は「戦闘力5のおじさん・攻殻バージョン」扱いされていたかもしれない。 -- 名無しさん (2022-04-01 00:57:30) - 劇場版はほんと悲惨。相棒が写真見てたらどうなってたんだろうか -- 名無しさん (2022-04-01 01:24:51) - えっ、なにこれ…つっら -- 名無しさん (2022-04-01 01:35:46) - 実写版でも清掃員の人出ててちょっと笑っちゃった 記事にもある通りモブだけど重要キャラなんだよな -- 名無しさん (2022-04-01 10:44:42) - エイプリルフールにこの記事作る作成者が畜生で草 -- 名無しさん (2022-04-01 14:04:08) - 実写は更に酷い結末になった… -- 名無しさん (2022-04-01 15:48:41) - 出番は短いのに本当に印象的だよね -- 名無しさん (2022-04-01 15:59:49) - 劇場版の方は悲惨なんだけど、記憶改ざんだけで写真を誤解するのがちょっと解せないんだよな。描写なかっただけでウィルス仕込まれてて、取り調べ前に除去されたのかな? -- 名無しさん (2022-04-01 23:15:12) - ↑厳密には記憶「のみ」を弄られたわけじゃないんだろうな。人に指摘されるまで思い込みから抜け出せないのは現実の人間もやる -- 名無しさん (2022-04-01 23:32:29) - ナイス項目!漫画版との比較助かります!ただ『散歩をしている自身と飼い犬の姿』ですが、犬のリードは他の人が持っているので、映画版ではペットの犬すら偽りの記録だと思います。最高に悲惨 -- 名無しさん (2022-04-01 23:47:02) - ↑修正しました。自宅のシーンでもペット用品のCM流れてたから、あれずっと飼い犬だと思ってたわ -- 名無しさん (2022-04-02 00:36:16) - いい着眼点だ。個人的には双方いいと思うけどね、原作リスペクトを感じるし。 -- 名無しさん (2022-04-02 01:36:02) - 劇場版の写真に写っていた犬はバセットハウンドで、押井監督の愛犬ガブリエルがモデル。愛犬家として有名な押井なのでそれを知っているファンからは「ああ確かにアンタの天使のような愛娘が写っているな…」という図になっていたりする -- 名無しさん (2022-04-02 01:52:48) - 劇場版の後は裏で漫画版の展開に繋がってくれるのかなぁ -- 名無しさん (2022-04-02 12:49:47) - あんまり触れられないけど「人間が手に入れられる情報はごくわずか」ってのも重いよな。多くのことを知らないのにまるで全てを知ってるかのように降る舞う人がいかに多いことか -- 名無しさん (2022-04-04 08:00:20) - つい最近Ghost in the Shellを見たがちばしーはまんまだったけど山路さんはマジでスタッフロール見るまで気づかなかったな -- 名無しさん (2022-04-04 08:11:33) - 原作のオチの騙されたの!みたいなある感じ、ゴーストハック自体は割りと普遍的な犯罪としてあるのかなって世界観も紹介している感じ -- 名無しさん (2022-08-06 22:33:22) - 修正されているけど「後半俺がゴミ運んで、お前が電話するってのどう?」って台詞は原作でもあるぞ。少なくともKCDXの単行本にはある -- 名無しさん (2022-11-09 20:47:50) - ああ、確認したらありました。失礼しました。 -- 名無しさん (2022-11-09 21:04:46) - 漫画はコミカルなブラックジョークなオチだったのよな、「嫌な夢見せられて散々だ!」って感じでたくましく仕事続けてる アニメのはちょっと可哀想過ぎる -- 名無しさん (2025-02-26 23:51:12) #comment(striction) #areaedit(end) }

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