SCP-2616-JP

「SCP-2616-JP」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

SCP-2616-JP - (2020/10/19 (月) 07:51:13) の1つ前との変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

&font(#6495ED){登録日}:2020/10/19 Mon 03:37:56 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 8 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){&font(b,blue){あの小屋!あれはおかしい。あれがなかったら死ぬところだったが、あの小屋は絶対におかしい。}} SCP-2616-JPは、シェアード・ワールド「[[SCP Foundation]]」に登場するオブジェクトの一つである。[[オブジェクトクラス>オブジェクトクラス(SCP Foundation)]]は&color(#60EE3C){Safe}。 メタタイトルは「雪中送炭」((雪の中で凍えている人に暖のもととなる炭を送ること。転じて困っている人に救いの手を差し伸べることを意味する。))。 **概要 SCPの世界に於けるSafeと言ったら、「管理された核爆弾」「きちんとロッカーにしまわれている殺戮兵器」といったものが頻繁に引き合いに出される程度には危ないモノ揃い((一応、「管理下なら安全」という基準はある))だが、このオブジェクトに関しては、異常性自体は人間に何ら害は無い。 SCP-2616-JPは、南アルプスの山岳、小河内岳の山頂近くに存在する、避難用の山小屋である。管理者、所有者、建築年月は一切不明、自治体にも記録されていない。 内外装は非常に質素で、二階建ての木造建築、電化はもちろんされていない、木組みの床、そしてテーブル、石製の大型暖炉といった具合で、避難生活に必要最低限の装備しかない。暖炉の横には、バーナーと火かき棒、そして薪が一束置いてある。 問題なのはこの暖炉で、積雪二センチ以上、その地面を観察する人物が近くにいない時、暖炉で燃料を燃やす事で異常性が発動する。 くべられた燃料は酸素が十分でない時も完全燃焼され、二酸化炭素のみが排出される。この時、山小屋の中は常に快適な温度に保たれる。それが燃え尽きた瞬間、玄関が何者かによってノックされる。これはドアを開けない限り、永遠に続くことになる。&s(){それ割とホラーじゃね?} ドアを開けると、先ほど燃やした燃料が新品の状態でドア横に置かれている。例えば、付属の薪は束ねられた状態で、液体燃料は瓶に入った状態で復活する。ドアの先にはいくつかの足跡も発生するが、このどちらも起源は不明。また、足跡の方はじきに消失する。 **特別収容プロトコル 財団はこういった異常性を有用だと考えており、特段収容措置を取っていない。というのも、異常性発動条件の一つが「積雪二センチ以上」なので、必然的に冬にしか見られない。仮にバレたとしても、民間人に対して害は一切無いので、冬季にこの山小屋を通る登山ルートを閉鎖する、というプロトコルに留めている。 そして、条件が整わない雪がふらない季節には一般開放されることになっている。 他のルートから遭難してきた登山客がSCP-2616-JPに辿り着いた場合は、機動部隊ら-14("スキー場巡り")が回収し、インタビューと(状況によっては)[[Aクラス記憶処理>記憶処理(SCP Foundation)]]を施す。また、「周辺地面が監視されていない」という発動条件に干渉しないよう、監視カメラの類も設置されない。一応、(財団に向けて)遭難信号を発信することができるように、発信機が山小屋に置かれる。 **補遺 2014年2月、財団は平成26年豪雪の煽りを喰らって遭難し、SCP-2616-JPに滞在していた登山客二人を保護した。以下は、その二人へのインタビューの引用である。 インタビュー記録-2616-JP-05 実施日: 2014/02/17 質問者: 高山部隊長(以下質問者) 対象者: 森川氏、山村氏(以下森川、山村) [記録開始] 質問者: 落ち着きましたか?森川さん、山村さん。いくつかお話をお伺いしたいのですがよろしいでしょうか? 森川: (青ざめた顔で)あ…ああ。大丈夫だ。 山村: 僕も大丈夫です。 質問者: では、お二人はどうしてこの時期に山に入ったのです?もう数日前から大雪警報が発令されていましたが……あ、これは決してお二人を責めているわけではありません。ただ事実関係を把握する必要がありますので。 山村: 僕は森川さんに誘われて……森川さんは山歩きの達人なので、きっと大雪でも彼がいれば大丈夫だろうと思いました。 森川: あ、ああ。俺は何度も真冬の山を登ったことがある。今回はこいつを鍛えたくて連れてきたんだが、まさか遭難するとはな。 質問者: 失礼ですが、お二人はどういうご関係で? 山村: 森川さんは大学の登山サークルでの先輩です。僕、いつも森川さんのお世話になってばかりで……今回も、僕があんなにトロくなければ遭難することもなかったのに。 森川: ああ、全く。あの小屋を見つけなかったら、 二人とも野垂れ死にするところだったぞ?お前はもっと体を鍛えろとあれ程言ったのに。 山村: はい、すみません、先輩! 質問者: 森川さんの顔色が随分と悪いように見えますが、あの小屋で何かあったのですか? 森川: あの小屋!あれはおかしい。あれがなかったら死ぬところだったが、あの小屋は絶対におかしい。 質問者: おかしい、とは具体的に言うと? 森川: 当時は外がすごい吹雪いてたから、部屋の中に置いてある薪で暖炉に火をつけたんだ。意外と燃えがよく部屋があっという間に温まったが、そのせいか薪がすぐ燃え尽きてしまった。すると、小屋のドアを誰かが叩いたんだ。もしかしたら他の遭難者かもしれないと思って、ドアを開けてみたんだが、誰も居なかった。代わりに、ドアの横に薪の束が置かれていた。 質問者: もしかすると、近所の親切な人かもしれませんね。 森川: 俺もそう思ったんだけどよ。けどその薪の束を使い切ると、またそいつがドアをノックしてきて、ドアの横に薪の束が置かれてたんだ。何度も何度も。気になって薪の束をよく見たら、木目の位置もさっきまで燃えていたものと同じなんだ。それって、どう考えてもおかしいよな?? 質問者: なるほど……確かに不思議ですね。その件については私たちも調べてみます。ところで…山村さん、先程から会話に参加していませんが、当時は何か気になることはありましたか? 山村: 僕?部屋があたたまるとすぐ寝てしまったもので、ノックの音も気づきませんでした。でも途中で急に寒くなって、起きてみたら自分が玄関のところで寝転がってたのでビックリしましたよ。 森川: 暖炉の換気が悪くなって一酸化炭素が出てしまったんだ。俺がお前を外に運び出したんだぞ?せいぜい感謝しろよ。 山村: はい!命の恩人です!先輩! 質問者: 他に何か気づいたことはありますか? 森川: それ以外はないな。ただあの小屋が絶対におかしいことだけは断言できる。 山村: ほとんど寝てましたので、特にありません! 質問者: それでは質問は以上となります。ご協力ありがとうございました。 [記録終了] 終了報告書: インタビュー後、両名はクラスA記憶処理を施された上で解放されました。また、発言にはオブジェクトの異常性と矛盾した点が見られるため、財団は調査をすすめるとともに両名の動向を監視しています。 取り敢えず、財団としてはこのオブジェクトを利用していく方針は変えないようである。 追記・修正は、暖炉に薪をくべてからお願いします。 #include(テンプレ2) #include(テンプレ3) #center(){ &bold(){燃やせるのは、薪、アルコール、ガソリン、それから…} } さて、SCPオブジェクトとしての異常性は、本当にこれだけである。ただ単に、無限に燃料を供給できる暖炉、それだけである。 …しかし、ここまでの記述の中に、一つ矛盾している点がある。インタビューの最後にも指摘されていたが、皆さんはどこなのか気づいただろうか。 「くべられた燃料は酸素が十分でない時も完全燃焼され、二酸化炭素のみが排出される。」 森川: 暖炉の換気が悪くなって一酸化炭素が出てしまったんだ。俺がお前を外に運び出したんだぞ?せいぜい感謝しろよ。 そう。財団の調査不足という可能性を除けば、彼は完全に異常性と矛盾した発言を行っている。 &bold(){&color(#F54738){…森川氏は何を燃やしたんだ?}} #openclose(show=真相(ネタバレにつき折りたたみ)){ ページの一番上に戻って、タグを確認してみよう。いくつか不穏な文字が並んでいるだろうが、注目してほしいのはその一つ。 &bold(){&color(#F54738){…「死体」。}} それから、インタビューをもう一度確認してほしいが、山村氏は目覚めたときに、「外で寝っ転がっていた」という供述をしている。それに対して、森川氏は「一酸化炭素中毒で外に運び出した」と言っている。 何度も言うが、オブジェクトの異常性から考えると、一酸化炭素中毒は起こりようがない。 …もうお分かりだろう。 &bold(){&color(#F54738){森川氏は、山村氏を暖炉の燃料として燃やしたのである。}} 大雪警報が出されていたにも関わらず、森川氏は後輩、かつ初心者である山村氏を登山に誘った。経験豊富な彼なら、初心者が豪雪の中を歩いたらどんな大惨事になるか想像がつくはずである。恐らく最初は、彼を凍死させて、自分だけ逃げて帰ろうとしたのだろう。 しかし、運が良いのか悪いのか、山小屋を見つけてしまった。そこで森川氏は、一度暖炉に薪をくべ、部屋が温まって山村氏が寝たところで、彼を殺害し、暖炉で死体を焼却、証拠を隠滅しようとした。そうした方が、山に放置するよりも確実性が増すからである。「ノックの音にも気づかなかった」?そりゃそうだ。&bold(){燃料が燃え尽きるまでは}、ドアが叩かれることはないのだ。だが当然、これはSCP-2616-JPのトリガーとなる。 森川氏が恐慌状態になっていたのは、薪が復活したからではない。コンコン、どなた?と扉を開いてみたら、&bold(){&color(#F54738){自分が今燃やしたはずの山村氏が、玄関先で寝っ転がっていたからである。}}しかも、何の偶然だろうか、生きた状態で。 当然、一酸化炭素中毒というのは真っ赤な嘘である。何故彼が後輩に殺意を抱いていたのかは本人に聞かなければ分からないが、少なくともそれが尋問されるのはだいぶ先のことになるだろう。殺そうとした相手に「はい!命の恩人です!先輩!」と全力で感謝されるとは、中々皮肉なものだ。最も、その相手は&bold(){「新品」}なのだが。 } このオブジェクトは、財団日本支部7周年記念企画の一つ、「2020年嘘のコンテスト」に出品されたオブジェクトの一つである。やはりというか何というか、ディスカッションでは「ゾッとした」「血の気が引いた」「嘘の手本のようだ」といった&s(){変態たちによる誉め言葉}阿鼻叫喚の様相を示しており、空想虚構賞を受賞、SCP部門で「SCP-2144-JP」と同率優勝を掻っ攫った。 追記・修正は、暖炉に何をくべるか考えてからお願いします。 #right(){CC BY-SA 3.0に基づく表示 SCP-2616-JP - 雪中送炭 by BenjaminChong http://ja.scp-wiki.net/scp-2616-JP この項目の内容は『[[クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス>https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/deed.ja]]』に従います。 } #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,1) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 書かれてるけど本当に森川は何があってそんな事したんだろう。山村は一緒に雪山に行くくらいには信頼してるみたいだけど -- 名無しさん (2020-10-19 03:49:33) - 日頃から山村がメンバーの足を引っ張って森川にいろんな責任が降り掛かってたんだろうか、あるいは出発時点では本当に殺意はなく遭難してから発生したのか -- 名無しさん (2020-10-19 04:37:58) - ディスカッションだと「人間を暖炉の火にかけると…?」とあったので、えっ人間って燃やすと一酸化炭素が出るのか! と変な勘違いしてしまった -- 名無しさん (2020-10-19 07:01:02) - 山村は一生、財団の監視下だろうな。フロント企業への就職が決まったようなもんだから、本人的にはラッキーかもしれんがw -- 名無しさん (2020-10-19 07:29:39) - 恐ろしい話ではあるが…新品の人間として復活させる手段として使えなくもない…? -- 名無しさん (2020-10-19 07:34:40) #comment(striction) #areaedit(end) }
&font(#6495ED){登録日}:2020/10/19 Mon 03:37:56 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 8 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){&font(b,blue){あの小屋!あれはおかしい。あれがなかったら死ぬところだったが、あの小屋は絶対におかしい。}} SCP-2616-JPは、シェアード・ワールド「[[SCP Foundation]]」に登場するオブジェクトの一つである。[[オブジェクトクラス>オブジェクトクラス(SCP Foundation)]]は&color(#60EE3C){Safe}。 メタタイトルは「雪中送炭」((雪の中で凍えている人に暖のもととなる炭を送ること。転じて困っている人に救いの手を差し伸べることを意味する。))。 **概要 SCPの世界に於けるSafeと言ったら、「管理された核爆弾」「きちんとロッカーにしまわれている殺戮兵器」といったものが頻繁に引き合いに出される程度には危ないモノ揃い((一応、「管理下なら安全」という基準はある))だが、このオブジェクトに関しては、異常性自体は人間に何ら害は無い。 SCP-2616-JPは、南アルプスの山岳、小河内岳の山頂近くに存在する、避難用の山小屋である。管理者、所有者、建築年月は一切不明、自治体にも記録されていない。 内外装は非常に質素で、二階建ての木造建築、電化はもちろんされていない、木組みの床、そしてテーブル、石製の大型暖炉といった具合で、避難生活に必要最低限の装備しかない。暖炉の横には、バーナーと火かき棒、そして薪が一束置いてある。 問題なのはこの暖炉で、積雪二センチ以上、その地面を観察する人物が近くにいない時、暖炉で燃料を燃やす事で異常性が発動する。 くべられた燃料は酸素が十分でない時も完全燃焼され、二酸化炭素のみが排出される。この時、山小屋の中は常に快適な温度に保たれる。それが燃え尽きた瞬間、玄関が何者かによってノックされる。これはドアを開けない限り、永遠に続くことになる。&s(){それ割とホラーじゃね?} ドアを開けると、先ほど燃やした燃料が新品の状態でドア横に置かれている。例えば、付属の薪は束ねられた状態で、液体燃料は瓶に入った状態で復活する。ドアの先にはいくつかの足跡も発生するが、このどちらも起源は不明。また、足跡の方はじきに消失する。 **特別収容プロトコル 財団はこういった異常性を有用だと考えており、特段収容措置を取っていない。というのも、異常性発動条件の一つが「積雪二センチ以上」なので、必然的に冬にしか見られない。仮にバレたとしても、民間人に対して害は一切無いので、冬季にこの山小屋を通る登山ルートを閉鎖する、というプロトコルに留めている。 そして、条件が整わない雪がふらない季節には一般開放されることになっている。 他のルートから遭難してきた登山客がSCP-2616-JPに辿り着いた場合は、機動部隊ら-14("スキー場巡り")が回収し、インタビューと(状況によっては)[[Aクラス記憶処理>記憶処理(SCP Foundation)]]を施す。また、「周辺地面が監視されていない」という発動条件に干渉しないよう、監視カメラの類も設置されない。一応、(財団に向けて)遭難信号を発信することができるように、発信機が山小屋に置かれる。 **補遺 2014年2月、財団は平成26年豪雪の煽りを喰らって遭難し、SCP-2616-JPに滞在していた登山客二人を保護した。以下は、その二人へのインタビューの引用である。 インタビュー記録-2616-JP-05 実施日: 2014/02/17 質問者: 高山部隊長(以下質問者) 対象者: 森川氏、山村氏(以下森川、山村) [記録開始] 質問者: 落ち着きましたか?森川さん、山村さん。いくつかお話をお伺いしたいのですがよろしいでしょうか? 森川: (青ざめた顔で)あ…ああ。大丈夫だ。 山村: 僕も大丈夫です。 質問者: では、お二人はどうしてこの時期に山に入ったのです?もう数日前から大雪警報が発令されていましたが……あ、これは決してお二人を責めているわけではありません。ただ事実関係を把握する必要がありますので。 山村: 僕は森川さんに誘われて……森川さんは山歩きの達人なので、きっと大雪でも彼がいれば大丈夫だろうと思いました。 森川: あ、ああ。俺は何度も真冬の山を登ったことがある。今回はこいつを鍛えたくて連れてきたんだが、まさか遭難するとはな。 質問者: 失礼ですが、お二人はどういうご関係で? 山村: 森川さんは大学の登山サークルでの先輩です。僕、いつも森川さんのお世話になってばかりで……今回も、僕があんなにトロくなければ遭難することもなかったのに。 森川: ああ、全く。あの小屋を見つけなかったら、 二人とも野垂れ死にするところだったぞ?お前はもっと体を鍛えろとあれ程言ったのに。 山村: はい、すみません、先輩! 質問者: 森川さんの顔色が随分と悪いように見えますが、あの小屋で何かあったのですか? 森川: あの小屋!あれはおかしい。あれがなかったら死ぬところだったが、あの小屋は絶対におかしい。 質問者: おかしい、とは具体的に言うと? 森川: 当時は外がすごい吹雪いてたから、部屋の中に置いてある薪で暖炉に火をつけたんだ。意外と燃えがよく部屋があっという間に温まったが、そのせいか薪がすぐ燃え尽きてしまった。すると、小屋のドアを誰かが叩いたんだ。もしかしたら他の遭難者かもしれないと思って、ドアを開けてみたんだが、誰も居なかった。代わりに、ドアの横に薪の束が置かれていた。 質問者: もしかすると、近所の親切な人かもしれませんね。 森川: 俺もそう思ったんだけどよ。けどその薪の束を使い切ると、またそいつがドアをノックしてきて、ドアの横に薪の束が置かれてたんだ。何度も何度も。気になって薪の束をよく見たら、木目の位置もさっきまで燃えていたものと同じなんだ。それって、どう考えてもおかしいよな?? 質問者: なるほど……確かに不思議ですね。その件については私たちも調べてみます。ところで…山村さん、先程から会話に参加していませんが、当時は何か気になることはありましたか? 山村: 僕?部屋があたたまるとすぐ寝てしまったもので、ノックの音も気づきませんでした。でも途中で急に寒くなって、起きてみたら自分が玄関のところで寝転がってたのでビックリしましたよ。 森川: 暖炉の換気が悪くなって一酸化炭素が出てしまったんだ。俺がお前を外に運び出したんだぞ?せいぜい感謝しろよ。 山村: はい!命の恩人です!先輩! 質問者: 他に何か気づいたことはありますか? 森川: それ以外はないな。ただあの小屋が絶対におかしいことだけは断言できる。 山村: ほとんど寝てましたので、特にありません! 質問者: それでは質問は以上となります。ご協力ありがとうございました。 [記録終了] 終了報告書: インタビュー後、両名はクラスA記憶処理を施された上で解放されました。また、発言にはオブジェクトの異常性と矛盾した点が見られるため、財団は調査をすすめるとともに両名の動向を監視しています。 取り敢えず、財団としてはこのオブジェクトを利用していく方針は変えないようである。 追記・修正は、暖炉に薪をくべてからお願いします。 #include(テンプレ2) #include(テンプレ3) #center(){ &bold(){燃やせるのは、薪、アルコール、ガソリン、それから…} } さて、SCPオブジェクトとしての異常性は、本当にこれだけである。ただ単に、無限に燃料を供給できる暖炉、それだけである。 …しかし、ここまでの記述の中に、一つ矛盾している点がある。インタビューの最後にも指摘されていたが、皆さんはどこなのか気づいただろうか。 「くべられた燃料は酸素が十分でない時も完全燃焼され、二酸化炭素のみが排出される。」 森川: 暖炉の換気が悪くなって一酸化炭素が出てしまったんだ。俺がお前を外に運び出したんだぞ?せいぜい感謝しろよ。 そう。財団の調査不足という可能性を除けば、彼は完全に異常性と矛盾した発言を行っている。 &bold(){&color(#F54738){…森川氏は何を燃やしたんだ?}} #openclose(show=真相(ネタバレにつき折りたたみ)){ ページの一番上に戻って、タグを確認してみよう。いくつか不穏な文字が並んでいるだろうが、注目してほしいのはその一つ。 &bold(){&color(#F54738){…「死体」。}} それから、インタビューをもう一度確認してほしいが、山村氏は目覚めたときに、「外で寝っ転がっていた」という供述をしている。それに対して、森川氏は「一酸化炭素中毒で外に運び出した」と言っている。 何度も言うが、オブジェクトの異常性から考えると、一酸化炭素中毒は起こりようがない。 …もうお分かりだろう。 &bold(){&color(#F54738){森川氏は、山村氏を暖炉の燃料として燃やしたのである。}} 大雪警報が出されていたにも関わらず、森川氏は後輩、かつ初心者である山村氏を登山に誘った。経験豊富な彼なら、初心者が豪雪の中を歩いたらどんな大惨事になるか想像がつくはずである。恐らく最初は、彼を凍死させて、自分だけ逃げて帰ろうとしたのだろう。 しかし、運が良いのか悪いのか、山小屋を見つけてしまった。そこで森川氏は、一度暖炉に薪をくべ、部屋が温まって山村氏が寝たところで、彼を殺害し、暖炉で死体を焼却、証拠を隠滅しようとした。そうした方が、山に放置するよりも確実性が増すからである。「ノックの音にも気づかなかった」?そりゃそうだ。&bold(){燃料が燃え尽きるまでは}、ドアが叩かれることはないのだ。だが当然、これはSCP-2616-JPのトリガーとなる。 森川氏が恐慌状態になっていたのは、薪が復活したからではない。コンコン、どなた?と扉を開いてみたら、&bold(){&color(#F54738){自分が今燃やしたはずの山村氏が、玄関先で寝っ転がっていたからである。}}しかも、何の偶然だろうか、生きた状態で。 当然、一酸化炭素中毒というのは真っ赤な嘘である。何故彼が後輩に殺意を抱いていたのかは本人に聞かなければ分からないが、少なくともそれが尋問されるのはだいぶ先のことになるだろう。殺そうとした相手に「はい!命の恩人です!先輩!」と全力で感謝されるとは、中々皮肉なものだ。最も、その相手は&bold(){「新品」}なのだが。 } このオブジェクトは、財団日本支部7周年記念企画の一つ、「2020年嘘のコンテスト」に出品されたオブジェクトの一つである。やはりというか何というか、ディスカッションでは「ゾッとした」「血の気が引いた」「嘘の手本のようだ」といった&s(){変態たちによる誉め言葉}阿鼻叫喚の様相を示しており、空想虚構賞を受賞、SCP部門で「SCP-2144-JP」と同率優勝を掻っ攫った。 追記・修正は、暖炉に何をくべるか考えてからお願いします。 #right(){CC BY-SA 3.0に基づく表示 SCP-2616-JP - 雪中送炭 by BenjaminChong http://ja.scp-wiki.net/scp-2616-JP この項目の内容は『[[クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス>https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/deed.ja]]』に従います。 } #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,1) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 書かれてるけど本当に森川は何があってそんな事したんだろう。山村は一緒に雪山に行くくらいには信頼してるみたいだけど -- 名無しさん (2020-10-19 03:49:33) - 日頃から山村がメンバーの足を引っ張って森川にいろんな責任が降り掛かってたんだろうか、あるいは出発時点では本当に殺意はなく遭難してから発生したのか -- 名無しさん (2020-10-19 04:37:58) - ディスカッションだと「人間を暖炉の火にかけると…?」とあったので、えっ人間って燃やすと一酸化炭素が出るのか! と変な勘違いしてしまった -- 名無しさん (2020-10-19 07:01:02) - 山村は一生、財団の監視下だろうな。フロント企業への就職が決まったようなもんだから、本人的にはラッキーかもしれんがw -- 名無しさん (2020-10-19 07:29:39) - 恐ろしい話ではあるが…新品の人間として復活させる手段として使えなくもない…? -- 名無しさん (2020-10-19 07:34:40) - ↑理論上燃やせるものなら復活可能みたいだから何かに利用できそうではある -- 名無しさん (2020-10-19 07:51:13) #comment(striction) #areaedit(end) }

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: