巷説百物語(小説)

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&font(#6495ED){登録日}:2011/07/05(火) 06:59:57
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#center(){「御行 奉為……」}





◆巷説百物語


「こうせつひゃくものがたり」は京極夏彦の小説作品。
師・水木しげるの提唱に応えて荒俣宏と京極夏彦の協力により刊行された季刊『怪』誌の連載を経て、書き下ろしを加えた単行本が99年に角川書店から刊行。
現在では同社から文庫版が、中央公論社から新書版も発売されている。
同作を原作としたTVドラマ、アニメも存在するが本項目では小説作品のみの紹介に止どめる。

裏稼業に精通した御行一味が、彼方此方で起きる不可思議な出来事や、表沙汰には出来ない揉め事に怪異と云う形を与えて祓い落とす「妖怪時代小説」である。
「[[妖怪シリーズ>妖怪シリーズ(小説)]]」と並ぶ氏の代表的シリーズの起点となった作品であり、連載作品と云う事からも判る様に、基本的に短篇形式により紡がれているのが特徴。
また、「妖怪シリーズ」が鳥山石燕による『画図百鬼夜行』を題材としているのに対して、此方では竹原春泉による『絵本百物語(桃山人夜話)』が題材として扱われており、各話のタイトル、物語の骨子は同作に掲載されている妖怪、怪異から抜き取られている。



【物語】

#center(){ざ。ざ。ざ。ざ。ざ。ざ。ざ。}

#center(){ざあざあ。どうどう。}

#center(){しょき。}


……越後の山中。枝折峠と呼ばれる難所の更に奥……。


折からの激しい雨に足を止められた僧・円海は、山中で出会った札売り御行に導かれる様に、雨をやり過ごす為の荒ら屋へと導かれる。

……狭い荒ら屋の中には、既に十名には及ぼうかと云う先客達が居た。

#center(){近所の農民。}
#center(){担ぎ物売り。}
#center(){垢抜けた傀儡師の女。}
#center(){隠居した商家の主人。}
#center(){得体の知れぬ若い男。}
#center(){檻褸を纏った主人と思しき老人。}

……そして、自らを誘い入れた札売りの御行が言う。

「こうした夜は長いもの、ここはひとつ江戸で流行りの百物語と洒落てみやせんか……」

……そして、心許無い蝋燭の灯の揺らめく中……過去の大罪を暴く為の「仕掛け」が始まる……。


#center(){御行 奉為……。}



【七つの怪異】


#center(){&blankimg(101 azukiarai.jpg,width=76,height=102)}
#center(){●小豆洗い}


#center(){&blankimg(102 hakuzouzu.jpg,width=76,height=102)}
#center(){●白蔵主}


#center(){&blankimg(103 maikubi.jpg,width=76,height=102)}
#center(){●舞首}


#center(){&blankimg(104 shibaemon.jpg,width=76,height=102)}
#center(){●芝右衛門狸}


#center(){&blankimg(105 shiono.jpg,width=76,height=102)}
#center(){●塩の長司}


#center(){&blankimg(106 yanagi.jpg,width=76,height=102)}
#center(){●柳女}


#center(){&blankimg(107 katabira.jpg,width=76,height=102)}
#center(){●帷子辻}



※物語はそれぞれ独立した構造を持つが、後のシリーズにて補完されている作品もある。



【概要】

「憑物落とし」の京極堂が活躍する「妖怪シリーズ」に対して、「化物遣い」の御行の又市が活躍する「巷説百物語シリーズ」最初の作品。

短編、中編によるオムニバス作品と云うスタイルもあってか「妖怪シリーズ」と比べて映像化の機会も多い。

「妖怪シリーズ」とは丁度真逆の構造となっており「妖怪」を祓い、仕掛けを解く京極堂と仲間達に対して、「妖怪狂言」の仕掛けにより、事件を化物の仕業として八方丸く収めると云う構造は、京極夏彦のこよなく愛する「必殺シリーズ」を下敷きとしている。



【主要登場人物】

・御行の又市
「御行 奉為(したてまつる)……」
白装束の行者姿で、細面に目つきの鋭い、善く通る声を持つ男。
……かつては「弥勒三千(海千山千)」「小股潜り(大嘘吐き)」の異名を取る江戸から来た小悪党だったが、今は理由あって札売り御行(乞食坊主)の姿で国中を回り様々な「仕掛け」を請け負っている。
以下の一味の中心人物であり、本シリーズの象徴にして実質的な主人公でもある。

・山猫廻しのおぎん
「このあたしを、本当に狐公か何かと思うておいでじゃあるまいね……」
江戸紫の着物に草色の半纏を纏った山猫廻し……傀儡師を名乗る女芸人。
垢抜けた江戸者の美人だが、口調もキツく一味の一人として「仕掛け」に参加する。

・事触れの治平
「おうよ。薄汚ェ野郎だ。あンなのと一緒にされたんじゃ鬼も虎も肝ァ立てるぜ」
一味の一人で五十過ぎの小柄な老人。
商家の主人や百姓に化けるのを得意とする他、様々な特技を持つ。

・山岡百介
「凡ては小豆洗いの所為で良いのでしょう」
江戸から来た戯作者志望の若者で、越後山中での「仕掛け」に偶然に立ち会った事を契機に、後々まで一味と関わる事になる。
百物語の出版の為に全国を巡り怪異を蒐集しており、その知識が「仕掛け」に活かされる事も多い。
又市と並ぶ、本作の主人公にして代表的な語り部でもある。



【仕掛けの協力者】

・四玉の徳次郎
見世物小屋の座長で『塩の長司』にて登場。
呑馬術を得意とする。

・玉泉坊
『帷子辻』に登場。
僧形だが又市とは懇意の小悪党で、玉泉坊の名は天狗から戴いたと云う無頼漢。

・靄船の林蔵
『帷子辻』に登場。
元は公家の出とも云われる小悪党で、又市の昔の仲間。
靄船とは叡山に伝わる七不思議の一つ。

・横川のお竜
『帷子辻』に登場。
林蔵の仲間で、可憐な風貌乍ら「仕掛け」にて重要な役割を果たす。





【余談】

本作の象徴である京極夏彦作品に於ける[[京極堂>中禅寺秋彦(京極堂)]]と並ぶダークヒーロー、御行の又市は本作では無く、四谷怪談を下敷きに描いた『[[嗤う伊右衛門>嗤う伊右衛門(小説)]]』が初登場となる。







※以下、若干のネタバレ。





#center(){&font(#0000ff){&u(){&font(#ffffff){「人に魂などない!」}}}}



#center(){&font(#0000ff){&u(){&font(#ffffff){「何!」}}}}


#center(){&font(#0000ff){&u(){&font(#ffffff){「況や冥界などというものはない!」}}}}



#center(){&font(#0000ff){&u(){&font(#ffffff){りん。}}}}



#center(){&font(#0000ff){&u(){&font(#ffffff){鈴の音。}}}}



#center(){&font(#0000ff){&u(){&font(#ffffff){「な。ない……?」}}}}



#center(){&font(#0000ff){&u(){&font(#ffffff){「生きた躰そのものが魂で御座居ます。生き残った者の心中にこそ……冥府はあるので御座居ます。だから……死したるものは速やかに、あなたの心の中にお送りせねばならぬのです……(中略)あなたの一方的な妄執で黄泉津比良坂を通されたのでは……女達も堪りませぬぞ。」}}}}






















#center(){道を通せば角が立つ。}

#center(){倫を外せば深みに嵌まる。}

#center(){彼誰誰彼丑三刻に、そっと通るは裏の径。}

#center(){所詮浮き世は夢幻と、見切る憂き世の狂言芝居。}

#center(){身過ぎ世過ぎで片をばつけて、残るは巷の怪しい噂……。}



#center(){追記修正 奉為……。}

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