&font(#6495ED){登録日}:2011/11/09(水) 02:52:20 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 9 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- 剣(けん/つるぎ) 剣とは人間が古来より用いた刃を持つ武器。[[刀]]の原型となった刃物である。区別の為、この項目では「刀身に反りを持たない」ものとする。 #center(){{{ 敢えて言おう、 剣とは、&font(#ff0000){ロマン}であると! }}} 日本の誇る美しき武の芸術品[[日本刀]]もさることながら、様々な作品に登場し、 &font(#ff0000){時には主人公が}、&font(#800080){時には敵が}、己の意志を貫き通す一助となるその刃に、童心を鷲掴みにされなかったアニヲタがいるはずがあろうか。 打ち鳴らす剣撃の極致に、舞い踊る剣閃に、憧憬の念を抱かぬ野郎がいるはずがあろうか。いや無い! ゲーム、小説、ファンタジーにおける主役が命を預け、その人生に随伴するその様は最高レベルの&font(#ff0000){燃え}である。 あのときの感動を思い出しながら、この項目を読んでほしい。 【剣とは】 剣とは古来より神聖なものであり、力の象徴、王権の象徴であり、おそらくは人類史上で初めて&font(#ff0000){人が人を殺す為に生み出された}武器。 ……いきなり童心を打ち砕く言葉で申し訳ない。だが聞いていただきたい。 まず、人は獣と違い武器となるような爪や牙を持たず、そのままでは獣に勝てなかった。 故にそれらの代わりとして物で殴ることを覚え、こうして打撃武器の始祖・棍棒が誕生した。 それから人はより安全でより豊かな生活のために武器を発展させていった。 棍棒で格闘することの難しい大きな獣を打倒するために相手の爪牙が届かない位置から攻撃するための武器として[[槍]]や[[弓]]が生まれた。 木々などの動かないが硬いものを伐採・加工するために破壊力に特化した武器である[[斧]]が生まれた。 このように、古来の武器はその多くが他分野に使われる器具から発展した物である。 槍も弓も、打撃武器の祖たる棍棒等も元来は&font(#994c00){狩猟用}であり、斧や[[ナイフ>ナイフ(武器)]]は木材や食品の&font(#994c00){加工用}である。 だが、剣は大型の獣の一撃を避けられるほどに長くなく、斧のように木を切り倒すほどの威力もない。では剣が想定する相手とは何か? 刃は棍棒と違って叩きつけずとも滑るだけで肉が切れ、硬い骨を貫けずとも肉や筋を断つには十分な威力を持つ。 先を尖らせれば押しつけるだけで肉を貫き、柄に比して長い刀身は有効面を大きくして相手が掴むことを許さない。 『爪や牙を持たず』『柔らかい肉の体を持ち』『武器を掴もうとし』『裂傷や刺突傷が有効打となる』『敵』 …そんな相手は&font(#ff0000){人間以外ありえない}のだ。 剣はシンプルな形状ながら攻撃方法に様々な応用が効き、無限に近い思考・行動パターンを持つ『人間』を打倒することに特化している。 我ら人間が&font(#ff0000){同族殺し}を至上目的として生み出した、非常に業が深い武器なのである。 一方で人は、剣を神聖で気高いものと考えてきた。上記のように権威や力の象徴だったのが良い例だろう。 「アーサー王が石の台座から剣を引き抜き王位を得る」エピソードや、 北欧神話にて「英雄ジークフリートの父が木に刺さった剣を引き抜いてその力を得る」エピソードが有名なところだろう。 この二つは西洋の伝承だが、『何かに刺さった剣を引き抜く王者』のモチーフは中央アジアの伝承等にもみられる。 これらから、剣は人間の文化的背景を持っているとも言えよう。 【剣の歴史】 剣が発生した時代、それを作る冶金技術は神聖なものであった。剣を神聖なものとする考えはここから来ていると考えられている。 『剣=西洋』というイメージの人が多いと思われるが、東洋にも両刃の直剣はあった。 日本の神話にも、皇室に今も伝わる神器『草薙の剣』を始めとして、多くの剣が登場する。 事実、埋葬品としての刀剣もポピュラー。 とはいえ日本は早い段階で反りを持つ刀へと変遷していったので、長期に渡って普及していた西洋を中心に解説しよう。 西洋剣はローマ時代から中世の前半まで、次第に長く分厚く大型化していった。これは次第に分厚く重装甲化する防具に対応する為であったと言われる。 8~10世紀における西洋剣は、実質的には鈍器であったらしい。当時は技術が未成熟であった為に、刃の硬さと軽さを両立できなかったからである。 剣というにはあまりにも大きすぎた。大きく、ブ厚く、重く、そして大雑把すぎた。 それはまさに―――『鉄塊』だった。 というのも、あながち間違いではなかったのだ。 しかし15世紀になると、細く頑丈で鋭い剣が作られ始める。[[錬金術]]研究が流行した副産物として冶金や金属加工技術が発展した為であった。 そして16世紀には既に大型剣は廃れ、フェンシングにみられるような細剣にシフトしていくのである。 もっとも細剣は大型剣や槍などに代わる優秀な武器として取って代わったというよりは、 相手を殺さず生け捕って身代金を取りたいという戦文化への転換・護衛用に持ち運びが便利且つ持ち運びに便利な長さの関係で使い勝手が良好・個人間における決闘文化などの影響が大きい。 また、船内など狭い所で持ち運んだり運用したり乱戦になることが多い海戦などについては元々槍などはあまり活用されておらず、 完全に銃社会になるまでは細剣台頭前も台頭後も通常の剣が戦場でよく運用されていたりもする。 日本においても刀が主要武器として流行ったのは江戸時代において銃や弓や槍など主要な武器があらかた規制され、更に刀の長さにまで規制が入ったことが大きい。 もちろんそれまでも広範的に使われていたのだが、あくまでも弓や槍(あるいは[[長巻]]など)などが主要な武器であった。 ただ補助的にはやはりいずれの地域においてもよく使われているため、刀剣の存在が軽視されていたというわけではない。 和洋東西に関わらず、『剣術』というものが発達するのが合戦の時代や戦国時代が終焉を迎えてからであったという事実は、歴史の皮肉なのかもしれない。 その後は完全に銃やその他兵器が既存の武器を排他していき、剣もその煽りを受けて次第に実戦装備として見かけることは無くなっていった。 ちなみに[[銃剣]]なんて存在もあるが、あっちは分類的に短剣(刃の部分)か槍(長さや扱い方的に)の方に近い。 他にも携帯性や活用策などの面からも剣を持つぐらいなら短剣や軍用シャベル持っとけ…みたいな感じの扱いになっていき、再び儀礼用や万集品的な扱いに回帰していった。 【剣の構造と種類】 剣は大きく分けて、 剣身:&font(#0000ff){ブレイド} 柄:&font(#ff0000){ヒルト} の二つの部分から成る。 剣身は敵を攻撃する部分で、 切先:&font(#ffdc00){ポイント} 刃先:&font(#ff7800){カッティング・エッジ} 中間部:&font(#ffb74c){ミドル・セクション} 等々に分けられる。 柄は持ち手周辺を指し 握り:&font(#800080){グリップ} 鍔:&font(#0000ff){ガード} 柄頭:&font(#008cff){ポメル} に分かれる。 更に西欧剣に見られる、ナックルガード等がつけられた複雑な形状の柄を『スウェプト・ヒルト』と呼ぶ。[[サーベルやカットラス>刀]]がいい例。 部分による呼び方は全て解説するとそれだけで項目が出来てしまうのでここでは一部だけを紹介している。 基本的に剣身の形状や全体的な使用法で細かく分類される。 まず片手持ちか両手持ちかで、片手剣と両手剣、俗に言うトゥ・ハンデッド・ソードに分かれる。 刀剣類は「斬る」「突く」「薙ぐ」といった使い方をするが、基本的に片手剣は「突く」、両手剣は「薙ぐ」(振り下ろしを含む)使い方をする。 「斬る」こともできるが反りの無い直剣はそれほど切断に向いていない。 とは言え思い切りぶったたけば斬れても斬れなくてもとんでもないことになるので、結局の所殺傷力に関してはあまり問題無い。 それなりの腕力と体力(あと握力が保てるかどうか)さえあれば、斬れるかどうかより武器が保つかどうかなどの方が大事。 「突く」片手剣は両刃であることが多く、刺突に特化した細剣や古代ローマで剣闘士が[[盾]]とともに用いた短剣のグラディウス(英語のグラディエーターの語源となった)等がある。 ブロードソードは「ブロード=幅広」であることからゲーム等では両手剣扱いされることもあるが、 実際は幅が広い&footnote(それもあくまで当時主流だったレイピア等に比べてなので実際は普通のロングソードと同じ位の幅だったりする)だけの片手剣である。 両手剣においては、ドイツのツヴァイハンダーやスコットランドのクレイモアが有名だろう。その大きさと重さで敵を叩き伏せる剣である。 柄を含めた全長が&font(#ff0000){2.8メートル}とかいう馬鹿げた逸品(&font(#ff0000){誉め言葉})もあったらしい。 クレイモアは両手剣には珍しい「斬る」剣である。現在は同名のえげつない対人指向性地雷が存在する。 ゲームや漫画にて「破壊者の剣」の名目でバスタードソードが出てくることがあるが、このバスタードは「混血」といった意味なので間違いである。 本来の[[バスタードソード]]は片手剣と両手剣の性質を合わせた「ハイブリッド・ソード」の意味。 さて、ここまで長々と語ったが、剣が我らアニヲタのみならず、多くの野郎共の心を奮わせる&font(#ff0000){燃え}であることは既知の事実である。 だが伝説で、あるいは人類の長くて浅い歴史の中で、&font(#0000ff){幾多の英雄が戦い}、また&font(#ff0000){幾多の凶刃が振るわれた}ことを、我々は忘れてはならない。 #center(){{{ 忘るることなかれ 剣の歴史は、人の“業”そのものだということを }}} 【以下、有名な剣や登場作品等】 実在するもの・伝説の中だけのもの・そこから名称を取った兵器など色々ある。 †[[エクスカリバー]]/アーサー王伝説、ゲーム等 言わずと知れた聖剣の代表格。実はアーサー王が手にする以前には人を惑わして裏切りを働かせたりしていたという話が一部ではあるらしい。 両刃で描かれることが多いが、舞台と時代的には片刃とも言われる。海外ですら両刃で描かれているのが基本なのは広まった時の宗教的事情がごにょごにょだとか。 アーサー王伝説そのものが元来はケルト神話のモブキャラと実話を混ぜたり、語り手の創作意欲が湧いたりして発展していったものと言われているので、 エクスカリバーも他所の神話からパクったものだと言われている…最初の頃は無かったとも言われているが、神話が各地に広がり始めた頃には既に登場している(元ネタとしてはケルト神話とも他の神話からとも言われている)。 更にアーサー王伝説は時代と地域別の世情によって大きく話が変わったり言葉の違いによる表記揺れが激しいため、最初の頃はむしろエクスカリバーではない名称(ウェールズ語など)の方が有名だった。 †デュランダル/ローランの詩、ゲーム等 名将ローランの愛用した剣。キリスト教の偉人の聖遺物が数多く収められた特級の聖剣でもある。 [[どこぞの議長>ギルバート・デュランダル]]で知ってる人もいるだろう。 †グラム/北欧神話、他 北欧神話の英雄親子二代に渡って使われたドラゴン・スレイヤー。バルムンクやノートゥングとも呼ばれる。 引き抜かれたり、砕けて打ち直されたりと逸話が似通っている為にエクスカリバーの元ではないかとも言われる。 槍ではない。 †贄殿遮那/[[灼眼のシャナ]] 自在法を含めたあらゆる力の干渉を受け付けない上、決して壊れないチート仕様。 元ネタは毘盧遮那仏、つまり太陽神・大日如来。 †フランベルジュ/シャルルマーニュ伝説、ゲーム他 刀身が波打っている剣の総称。見た目は美しいが、揺らめく刃が傷を押し広げる機能を持つ残酷な剣。 伝説にもなっているが実在もしている。それと両手剣・片手剣・その中でも細身の剣やら色々ある。 明の時代に開発された長柄武器の蛇矛も同様の用途を持つ。 †クルタナ/英国王室 イギリス王室に伝わる王権の象徴。切っ先が無く、他者を傷つけない誇り高き慈悲の剣。 革命で一度失われており、現在あるのは打ち直されたもの。 †ドンパッチソード/ボーボボ ネギ。 †[[ロトの剣>ロトの剣(DQシリーズ)]]/[[ロト三部作>ドラゴンクエストⅠ]] 古の時代に[[勇者ロト>主人公(DQⅢ)]]が扱っていたとされる伝説の剣。 その斬れ味は[[竜王>りゅうおう(DQ)]]ですら倒すほど。 同じ材質の剣を[[ゾーマ>ゾーマ(DQ)]]は3年もかけて破壊したが(リメイク版の追加台詞)、原材料を用意したらあっさり似た様な剣を製造された。大変でしたね…。 †[[天空の剣]]/[[天空シリーズ(ドラゴンクエスト)]] [[天空の勇者>勇者(DQⅣ)]]にしか扱う事が出来ない伝説の剣。 見た目が派手で、[[凍てつく波動>いてつくはどう]]を放つ力がある。 †[[神剣ファルシオン>ファルシオン(FE)]]/[[ファイアーエムブレムシリーズ]] [[神竜ナーガ]]の牙から作られた伝説の神剣。 敵からの直接攻撃を封じたり、HPを回復させる力を持つ。 元ネタは直刀の一種として実在する剣で、[[鉈]]や[[ナイフ>ナイフ(武器)]]代わりとして使われていたらしいと言われている。 †[[マスターソード>マスターソード(ゼルダの伝説)]]/ゼルダの伝説 お馴染み、悪しき者は決して触れぬ退魔の剣。 †ドラゴンころし/[[ベルセルク]] 主人公ガッツが愛用する、ブ厚くて鈍重すぎる鉄塊。 鎧も怪物も石壁も関係なく斬り伏せる[[巨大剣>大剣]]。こんなもん振れるか。 …というか作中の制作者の意図からして頑固さを発揮して作った、元はジョークグッズのような逸品。 †ストームブリンガー/[[Eternal Champion(永遠の戦士)]] エルリックが混沌の神から与えられた意識ある魔剣。人間の魂を吸い取りたがりしばしば持ち主を裏切るとんでもない剣。 その代わり最強に等しい力を得ることができる。 †ソード人/[[コブラ>コブラ(寺沢武一)]] どういう進化をたどって来たかは知らないが、剣そのものの姿をした異星人。 テレパシーで甲冑を操って自分の手足とする。 †天叢雲剣/日本神話 日本神話を代表する神剣にして三種の神器の一つ。 須佐之男命が魔獣・八岐大蛇を討ち取り、尻尾をぶった切ったところ中に入ってた。 後に草薙剣と名前を変えてヤマトタケルの武器となる。 †仮面ライダー剣 ( 0w0)<ウェーーイ #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,3) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - RPGで剣が主人公の武器として最適だといわれるのは「理性」の象徴といわれ「邪・魔」を切り裂き断つからといわれている。 -- 名無しさん (2013-10-21 11:04:48) - おい!ドンパッチソードwwwwww -- 名無しさん (2013-10-21 13:11:06) - ( 0w0)ウェーイ -- 名無しさん (2014-02-07 21:10:55) - 平成仮面ライダーではクウガタイタンのタイタンソードが初。 -- 名無しさん (2014-10-31 23:59:32) - いいよね。ファンタジーの王道! -- 名無しさん (2015-01-25 19:35:39) - 特殊能力が強いとかはいいんだけど、攻撃力でまで斧を超えたりするのは解せぬ -- 名無しさん (2015-05-18 14:37:01) - ギルガルド -- 名無しさん (2015-05-18 14:54:49) - ジェナス・ディラのアブソリュートソードはヤバすぎる。なんたってリミッター解除して地面に突き刺すだけでクソでかい地割れ起こせるんだから、 -- 名無しさん (2015-05-18 15:03:54) - ハンドル剣を初めて見たときは笑った -- 名無しさん (2015-11-09 21:48:59) - 剣なのに変なビ-ムとか斬撃とか出てくると一気に萎える。 -- 名無しさん (2016-06-17 06:07:00) - 剣は人気がある主人公属性という割に、ポルポルのチャリオッツは弱いとかしょぼいとかディスられる件 -- 名無しさん (2016-06-17 07:41:17) - 大体は主人公の標準装備。差別化?の為か二刀流だったり大剣のキャラもいるけど -- 名無しさん (2016-06-17 10:04:10) - 斬撃は許してやれよ剣なんだから ビームはあれだけど -- 名無しさん (2016-08-06 20:17:34) - 近代火器の存在する現代劇に出てくると子供だましになるんだよな・・・撃たれるリスクが増えるうえに相手を切り裂いて殺す得物とか効率無視のバトルジャンキー御用達のようにしか思えん -- 名無しさん (2016-08-31 12:16:18) - 70年代辺りの特撮作品に出てくる剣は、ショッカー戦闘員の剣みたいな細剣タイプが多かったな。当時の日本では、剣というと細剣というイメージがあったのか? -- 名無しさん (2016-08-31 22:17:30) - スーパー戦隊シリーズでは、レッドの武器としても印象深い。 -- 名無しさん (2016-08-31 22:19:16) - ひとくいサーベルは反りのある剣だから、この項目には当てはまらないんじゃないか? -- 名無しさん (2016-08-31 23:02:04) - 草薙剣がないとは… -- 名無しさん (2016-08-31 23:37:08) - 両手剣は「大振りに薙ぐ」よりも、敵の動きに合わせて手首等の小さな動きで「置く」みたいな動きが多い気がする -- 名無しさん (2016-09-14 14:57:50) - 人が、人を殺すために!? -- 名無しさん (2017-05-10 22:36:24) - 「比較的向いてない」ってだけで斬れ味自体は相当あるよな -- 名無しさん (2017-05-14 21:59:46) #comment #areaedit(end) }