登録日:2011/11/09(水) 02:52:20
更新日:2022/06/22 Wed 16:45:38
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剣(けん/つるぎ)

剣とは人間が古来より用いた刃を持つ武器。の原型となった刃物である。区別の為、この項目では「剣身に反りを持たない真っ直ぐな」ものとする。




敢えて言おう、


剣とは、ロマンであると!

日本の誇る美しき武の芸術品日本刀もさる事ながら、様々な作品に登場し、
時には主人公が時には敵が、己の意志を貫き通す一助となるその刃に、童心を鷲掴みにされなかったアニヲタがいるはずがあろうか。


打ち鳴らす剣撃の極致に、舞い踊る剣閃に、憧憬の念を抱かぬ野郎がいるはずがあろうか。いや無い!


ゲーム、小説などファンタジーにおける主役が命を預け、その人生に随伴するその様は最高レベルの燃えである。

あのときの感動を思い出しながら、この項目を読んでほしい。

目次

【剣とは】

剣とは古来より神聖なものであり、力の象徴、王権の象徴であり、おそらくは人類史上で初めて人が人を殺す為に生み出された武器。

……いきなり童心を打ち砕く言葉で申し訳ない。だが聞いていただきたい。

まず、人は獣と違い武器となるような爪や牙、角を持たず、そのままでは獣に勝てなかった。
故にそれらの代わりとして手を使って物で殴る事を覚え、こうして打撃武器の始祖となる棍棒が誕生した。

それから人はより安全でより豊かな生活のために武器を発展させていった。
棍棒で格闘することの難しい大きな獣を打倒するために、相手の爪牙が届かない位置から攻撃するための武器としてが生まれた。
更に木々などの動かないが硬いものを伐採・加工するために破壊力に特化した武器であるが生まれた。
そして斧により新たな素材を得て、更にそれらを複合させる技術を得た事によりが生み出された。

このように、古来の武器はその多くが他分野に使われる器具から発展した物である。
槍も弓も、打撃武器の祖たる棍棒等も元来は狩猟用であり、斧やナイフは木材や食品の加工用である。

だが、剣は大型の獣の一撃を避けられる程に長くなく、斧の様に獣の毛皮や筋肉を断つ程の威力も無い。では剣が想定する相手とは何か?
刃は棍棒と違って叩き付けずとも滑らすだけで肉が切れ、硬い骨を貫けずとも肉や筋を断つには十分な威力を持つ。
先を尖らせれば押し付けるだけで肉を貫き、柄に比して長い剣身は有効面を大きくして相手が掴む事を許さない。
『爪や牙を持たず』『柔らかい肉の体を持ち』『武器を掴もうとし』『裂傷や刺突傷が有効打となる』『敵』
…そんな相手は人間以外ありえないのだ。

道具として作られた棍棒や槍、斧もまた誕生直後から人間に対しても武器として用いられてきた。
しかしこれらはいずれも人間との戦闘に用いるには一長一短であった。
棍棒は構造が頑強でそうそう壊されることは無かったが斬ることも突くこともできないので動く相手に当てづらく威力もあまり期待できない。
槍は「突く」ことで相手の防御を貫くことができ、攻撃範囲やリーチにも優れるがふところに入られると効果が半減し折られてもしまいやすい。
斧は「切り裂く」ことで防御もお構いなしに大打撃を与えられるが、構造の弱さと当てづらさという槍と棍棒の両方の弱点を持っていた。

人類はこれらの欠点を克服しようとし、さらに攻撃力・耐久力・攻撃範囲・攻撃速度といった武器に求められる様々な要素を高いレベルで追求していった。
その結果長く重い一枚の金属板を加工し、長い刃渡りと鋭い切っ先さらに握り手も一体として形成するという発想にたどりつく。
この結果、突くことも斬ることもできることによる高い攻撃力に速い攻撃速度、長い攻撃射程に広い攻撃範囲、そして一体形成による頑強な構造をすべて兼ね備えた武器・・・
すなわち「剣」が完成したのだ。

剣はシンプルな形状ながら攻撃方法に様々な応用が効き、無限に近い思考・行動パターンを持つ『人間』を打倒する事に特化している。
我ら人間が同族殺しを至上目的として生み出した、非常に業が深い武器なのである。


一方で忘れてはならないのは、剣とは人が手にする事ができるものの中では最良の防具でもあるということだろう。
斧や棍棒よりもはるかに素早く正確に振り抜く事ができる形状、斧や槍と違い柄というものを持たない頑強な構造。
相手の攻撃を受け止め逸らし切り払い捌く道具としては、他のどの様な形状の武器よりも優れているだろう。
防御の動作がそのまま反撃に直結するという点においては盾にさえ勝る部分がある。
優れた技量を持って振るわれる剣は敵の攻撃を尽く斬り返し、弓矢でさえも叩き落とし得る。

リーチは決して長くないが敵の攻撃を受け止められる剣は、相手と至近距離での攻防を行うことが前提となっている武器である。
相手をただただ安全に一方的に殺してしまいたいなら、まず不意打ちしてしまうのが確実。
可能なら槍や弓を用いて遠距離から攻めればなおいい。
そして殺し切れずに近づかれて反撃されそうになったなら、何もかにも放り出して逃げてしまえばそれが一番安全だろう。
不意を衝いて一撃で殺し、しくじったら逃げるつもりでいるのならあえて剣を使う必要はないのだ。
真正面から向かう相手とその場で斬り結び合う戦いにおいてこそ、攻防に優れた剣の特性は最も発揮される。
剣は殺戮するためでなく「戦闘」するための武器なのである。


そんな剣の性質にもっとも合致していたのが逃げることの許されない戦い・・・
守るための戦いであった。
住み慣れたいつもの生活の場、元々戦うべきではない場所。
何かが起きるまで武器を振るう事は許されず、最初の一撃は常に許していかなくてはならない。
そして一度何かが有れば、たとえ敵の攻撃に晒されようと、一歩も退かず踏み止まらなくてはいけない。
まずは自分の命を。 そしてその場所、そこに居る人達を守るために ―

そういう状況でこそ攻守に優れた剣の特性は活かされた。
いや、そういう状況を乗り切るための意志が剣という形状に結実したのだろう。
そのためか古来より人々は、剣を神聖で気高いものと考えてきた。
上記の様に権威や力の象徴だったのが良い例だろう。
「アーサー王が石の台座から剣を引き抜き王位を得る」エピソードや、
北欧神話にて「英雄シグルドの父が木に刺さった剣を引き抜いてその力を得る」エピソードが有名なところである。

この二つは西洋の伝承だが、『何かに刺さった剣を引き抜く王者』のモチーフは中央アジアの伝承等にもみられる。
これらから、剣は人間の文化的背景を持っているとも言えよう。



【剣の歴史】

剣が発生した時代である青銅器時代、それを作る冶金技術は神聖な物であった。剣を神聖なものとする考えはここから来ていると考えられている。そのため東西を問わず、高貴な身分を示すシンボルであった。

『剣=西洋』というイメージの人が多いと思われるが、東洋にも中国のジエンを始め両刃の直剣はあった。
日本の神話にも、皇室に今も伝わる神器『草薙の剣』を始めとして、多くの剣が登場する。
事実、埋葬品としての刀剣もポピュラー。

とはいえ日本は早い段階で反りを持つ日本刀へと変遷していったので、長期に渡って普及していた西洋を中心に解説しよう。


ヨーロッパの剣古代ローマ時代から中世盛期まで、次第に長く分厚く大型化していった。これは次第に分厚く重装甲化する防具に対応する為であったと言われるが別にそんなことはなく、現代の説では否定されつつある。
特に青銅製の剣や8~10世紀における剣は、古くは鈍器のような代物だったといわれ、当時は技術が未成熟だった為に、刃の硬さと軽さを両立できなかったからであるという説が主流であったが、現代では当時の剣は斬擊重視のために幅広だが薄い剣身をもっており、敢えて薄くすることで、弾力性を持たせ、斬りつけた際にしならせることで耐久性を向上させる意味合いがあったのではないかという説も出てきている。

また、ヨーロッパ世界における剣は、中世の長期間にわたって貴族や富裕層しか持てないほどの高級品であり、中世の時期によっては*1、先祖代々にわたって受け継がれることもあるような貴重品として扱われることもあった。そのような理由から、もし鈍器のような使い方をしようものならあっという間に消耗してしまうので、に覆われていない部位を狙って斬りつけたと考えられている。
ヨーロッパの兵士たちと言えば「鋼鉄の甲冑でその身をガチガチに固めている者が多いというイメージは強い。しかし、当時の甲冑もまた剣と同様に高級品には違いなく、基本的に甲冑を着れたのは「少数の特権階級」のみに限られており、身に付けていても下半身や手などは無防備状態ということは珍しくなかった。そして多くの兵士は普段着と変わらない格好で戦い防具は盾のみだったのは当たり前だったのである。*2

このように剣や甲冑が貴族や金持ちしか手に入れないような高級品だったのは、技術的な理由もあるが、何よりそれ以前に存在していたローマ帝国が崩壊してしまったことで、それまで整備されていた物流路が機能不全に近い状態*3となり、原料となる鉄鉱石が採掘はできても、必要な場所へ運べず、結果的に入手が困難になってしまったためである。

それでも、時代が下るにつれ物流路が海路から徐々に復興してくると剣(と甲冑)は、まだまだ高級品には違いなかったとはいえ、一般人にも普及するようになっていく。これは忘れがちなのだが、この中世という時代は我々が生きている近現代からすれば、武装したならず者が跳梁跋扈していた無法同然の世界でもあり、警察も法も頼りにならなかったので、たとえ民間人でも武器を所持する必要性があった。そのなかで携帯性が高く、普段日頃から身に付けている武器である剣は、戦場よりも日常で偶発的に発生することがある(ならず者との)戦闘や喧嘩で有効だった*4

13世紀ごろから剣は細長くなり、鍔も相手の剣を受け止めることができるほど大型化する。この時期の剣の使い方としては、鎧や盾ごと相手を殴り付けることだったが、巨人がこん棒を振り回すがごとく闇雲にやればいいわけではなく、相手の隙にあわせてタイミング良く殴ることが重要だったとされ、当時の戦士たちの剣術は意外と精密かつ高度だったといわれる。それで致命傷を与えるのは難しかったが相手の心を折って降伏させることが可能だったらしい。

また後のルネサンス期に流行する大型剣の原形が現れだしたのはこの時期からとされる*5。この大型剣は両手で使うことからトゥーハンデッドソード(両手剣)と呼ばれ流行こそしたものの、刀剣類と長柄武器の性質を持つ特殊な武器であったことと、制作費用が高かったことから、扱いには体力だけではなく、従来の刀剣類よりも高度なテクニック(剣術)と財力が要求されたため、一部の専門兵士しか扱えず、片手剣のニーズを奪うことはなかった。

15世紀のルネサンス期になると、細く頑丈で鋭い剣が作られ始める。錬金術研究が流行した副産物として冶金や金属加工技術が発展した為であった。
そして16世紀には既に大型剣は廃れ、イタリアとスペインで誕生したレイピアなどフェンシングの剣にみられる様な細剣にシフトしていくのである。


尤も細剣は大型剣や槍などに代わる優秀な武器として取って代わったというよりは、
相手を殺さず生け捕って身代金を取りたいという戦文化への転換・護身用に持ち運びが便利且つ持ち運びに便利な長さの関係で使い勝手が良好・個人間における決闘文化などの影響が大きい。

また、船内など狭い所で持ち運んだり運用したり乱戦になることが多い海戦などについては元々槍などはあまり活用されておらず、
雷菅などの発明により、完全に銃社会になるまでは細剣台頭前後も通常の剣が戦場でよく運用されていたりもする。
その他に王や貴族が狩りに使うハンティング・ソードや、護身用にベッドの枕元に吊るしておくピロー・ソードという物もあった。

では他の地域…例えば中国では時代や地域にもよるが、騎馬民族との交流から2~3世紀までには、軍用の刀剣の主流は剣から刀に移り変わっていったが、軍から払い下ろされた剣は文官や民間人の護身用として近代まで活用されていた。当時の町の外には盗賊や猛獣が彷徨いていて危険がいっぱいだったのは洋の東西問わないのであったし、現代でも危ないとことは危ない。

日本においては剣は古代には用いられていたものの、大陸の中国の影響からすぐに刀に切り替わっているが、中国とは異なり、剣は宗教的な祭器としての用途に限定され、戦争の道具どころか平時の護身という実用の立場から完全に退いている*6。ちなみに「刀が主要武器として流行ったのは江戸時代において銃や弓や槍など主要な武器があらかた規制され、更に刀の長さにまで規制が入ったことが大きい」といった感じの解説をされることが多いが、これは「戦乱期における戦時」に限定された話を「安定期の平時」という、本来の単純比較すべきではない事例に無理やり当てはめたモノであり、主要武器なる言葉も場面によって変わるため一概にいえないことに注意すべきである*7


ともかく西洋では17~18世紀辺りから徐々に銃やその他兵器が既存の武器を排他していき、剣もその煽りを受けて次第に実戦装備として見かけることは無くなっていき、やがて高貴な身分の象徴となっていった。中には柄に金メッキや宝石などの豪華な装飾が施された物も作られた。
現在では、ドレス・ソードと呼ばれる軍人が式典などで身に着けるアクセサリーとして用いられるのが主である。

ちなみに銃剣なんて存在もあるが、あっちは分類的に短剣(刃の部分)か槍(長さや扱い方的に)の方に近い。
他にも携帯性や活用策などの面からも剣を持つぐらいなら短剣や軍用スコップ持っとけ…みたいな感じの扱いになっていき、再び儀礼用や収集品的な扱いに回帰していった。



【剣の構造と種類】

剣は大きく分けて、

剣身:Blade(ブレイド)
柄:Hilt(ヒルト)
の二つの部分から成る。

最初は剣身と柄が一体形成だったが、その後別々になった物が作られるようになった。

剣身は敵を攻撃する刃の部分で、
切先:Point(ポイント)
刃先:Cutting Edge(カッティング・エッジ)
中間部:Middle Section(ミドル・セクション)
等々に分けられる。

柄は持ち手周辺を指し
握り:Grip(グリップ)
鍔:Guard(ガード)
柄頭:Pommel(ポメル)
に分かれる。

更に西欧剣に見られる、ナックルガード(護拳)等がつけられた複雑な形状の柄を『スウェプト・ヒルト』と呼ぶ。サーベルやカットラスがいい例。
部分による呼び方は全て解説するとそれだけで項目が出来てしまうのでここでは一部だけを紹介している。


基本的に剣身の形状や全体的な使用法で細かく分類される。
まず片手持ちか両手持ちかで、片手剣と両手剣、俗に言うトゥ・ハンデッド・ソードに分かれる。

刀剣類は「斬る」「突く」「薙ぐ」といった使い方をするが、基本的に片手剣は「斬る」、両手剣は「薙ぐ」(振り下ろしを含む)使い方をする。
反りの無い直剣は刀と比べて「突く」ことの方か得意であり、それ程切断に向いていないのは確かだが、それでもほとんどの剣の使い手は「斬る」(或いは鈍器のように打つ)ことを重点においていたし、斬った場合でも殺傷性に大きな差があるとはいえなかった。というのも人間は戦闘による緊張感にさらされると「突く」という行為が難しくなるのが大きな理由だ。また「突く」攻撃は「斬る」攻撃に比べて相手を絶命させやすいが、相手の攻撃行動を止める力に欠けているという特性があった。例えばレイピアを使用した決闘では相討ちになりやすかったといわれる。

「突く」片手剣は古代ローマの歩兵用短剣でとともに用いたグラディウス(剣闘士が用いた事から英語のグラディエーターの語源となった)を別とすればその時代の剣の標準からやや外れたものが多く、具体例としてレイピアなど決闘用に特化していった細剣や、中央ヨーロッパで使われた鎖帷子も貫くパラスク等がある。
ブロードソードは「ブロード=幅広」であることからゲーム等では両手剣扱いされることもあるが、
実際は幅が広い*8だけの片手剣である。
変わり種としてはインドのマラーター王国で使われたガントレットと一体化したような形状のパタがある。こちらは斬撃用である。

最も扱いやすく多く使われたであろう片手剣はショートソードであるが、この剣の明確な定義はなく、時代によってはデカイナイフとしてみられていたりする。

両手剣においては、ドイツのランツクネヒトが使用したツヴァイハンダーやスコットランドのクレイモアが有名だろう。その大きさと重さで敵を薙ぎ払い叩き伏せる大剣であるが、ただの筋肉バカが扱える武器ではなく、高い技術を持つテクニシャン向けの得物であるのは先述したとおりである。初動が遅いことを考慮して回すように振るうことで、動きが止まるのを避け、使用後に動きが止まりやすい突きや振り下ろしは極力行わず、体力の消費を避けるため、いかに振りをコンパクトにするかに気を使ったといわれる。
柄を含めた全長が2.8メートルとかいう馬鹿げた逸品(誉め言葉)もあったらしいが、実用的なものは全長約150cm程度が限界だったらしい。
クレイモアは両手剣には珍しい「斬る」剣である。現在は同名のえげつない対人指向性地雷が存在する。


なおゲームや漫画にて「破壊者の剣」の名目でバスタードソードが出てくることがあるが、このバスタードは「混血」といった意味なので間違いである。
本来のバスタードソードは片手剣と両手剣の性質を合わせ持つ「ハイブリッド・ソード」の意味。




さて、ここまで長々と語ったが、剣が我らアニヲタのみならず、多くの野郎共の心を奮わせる燃えであることは既知の事実である。

だが伝説で、あるいは人類の長くて浅い歴史の中で、幾多の英雄が戦い、また幾多の凶刃が振るわれたことを、我々は忘れてはならない。




忘るることなかれ


剣の歴史は、人の“業”そのものだということを

【剣は実用性が低いロマン武器?】

純粋な武器としてみればリーチ面で槍などのポールウェポン(長柄武器)に劣り、しかも刃の部分が多い為に生産に大量の金属を必要とする。
その為に接近戦を強いられ、更に金属を多く使う事で重くなるので技量の乏しい者同士の戦いだとどうしても不利になってしまう。

金属部分が多いという事は錆び等の劣化防止の為の手入れもこまめに行わなければならず手入れ自体の時間もそれなりにかかるという事である。
コストの高く、習熟と整備にも手間のかかる武器というのが剣の紛れもない実態である。剣が権力者のステータスだったり装飾を施されて儀礼用の武器扱いされるのもやむ負えなかったのかもしれない。

じゃあ剣はただのロマン武器か?
…実はNOだったりする。

まず槍などのリーチの長い武器は開けた戦場で号令と共に使われた時に尤も効果を発揮する。
建物内など狭く入り組んだり敵味方が入り混じる場所では、障害物や味方に当たってしまうデメリットから効果を発揮しづらいのだ。
半面、剣なら(当然大きさにもよるが)小回りが利くのでこういう状況にも対処できるのである。

更に不意打ちやとっさに武器を構えなければならない時、
斧や槍は先端の覆いを取る、或いは刃の剥き出しのまま立てかけてあるのを取って先端部分を向けなければ武器として効果を発揮しない。
これに対して剣の場合は鞘に納めれば安全なので腰に差して所持したり、手元に気軽に置いておける。敵の襲撃時も鞘から引き抜くだけで武器として機能する。また槍などを持っているときに予備の武器として持つことも可能である。

次に象徴や威圧効果。
上記の通り剣を使う=財力と技量に優れるという意味合いを持つ。
この項の有効性自体は木の枝を手頃な長さと太さに加工した棒切れでも十分発揮できてしまえる事である(しかも手入れがほとんどいらない上に軽くて安価で済む)。
…しかし待って欲しい。
ただの棒切れを持っている者と剣を持っている者、一見だけならどちらが強そうに見えるだろうか?
剣を持つという事は一般人ではなく「戦闘の従事する者」という事を内外に示す意味合いをもつのだ。
そのためかヨーロッパでは、紳士のステータスシンボルとして所持することが一般的だった時代もあった。

剣は特化こそしていないがトータルバランスに優れた武器なのだ。
上記を試みればファンタジー系小説で冒険者がメインウエポンとして用いるのも納得できるだろう。


【以下、有名な剣や登場作品等】

実在するもの・伝説の中だけのもの・そこから名称を取った兵器など色々ある。
大剣魔剣/妖刀インテリジェンスソードも参照の事。

エクスカリバー/アーサー王伝説、ゲーム等
言わずと知れた聖剣の代表格。実はアーサー王が手にする以前には人を惑わして裏切りを働かせたりしていたという話が一部ではあるらしい。
両刃の豪奢なロングソード、所謂「ナイトソード」系で描かれる事が多いが、舞台と時代的には肉厚片刃のサクスやファルシオン系の剣ではないかとも言われる。
西洋ですら両刃で描かれているのが基本なのは広まった時の宗教的事情がごにょごにょだとか。
アーサー王伝説そのものが元来はケルト神話のモブキャラと実話を混ぜたり、語り手の創作意欲が湧いたりして発展していったものと言われているので、
エクスカリバーも他所の神話からパクったものだと言われている…最初の頃は無かったとも言われているが、神話が各地に広がり始めた頃には既に登場している(元ネタとしてはケルト神話とも他の神話からとも言われている)。
「持つ者は一切傷を負わない」という能力が備わっているが、特殊な能力を持つ剣には珍しく 能力は鞘の方に宿っている
エクスキャリバー、エスカリボルグ、カリバーン、カレトヴルッフetc……と別名が多いが、全て"エクスカリバー"をドイツ語など別々の言語で表記したもの。
これはアーサー王伝説は時代と地域別の世情によって大きく話が変わったり言葉の違いによる表記揺れが激しいため*9
なお「アーサー王の剣」である事は間違いないが、同じくもう一つのアーサー王の剣"カリバーン"と混同されている事が多く、
資料によって湖の乙女から貰った剣であったり石から引き抜いた剣であったりとはっきりしない。

†デュランダル/ローランの詩、ゲーム等
名将ローランの愛用した剣。キリスト教の偉人の聖遺物が数多く収められた特級の聖剣でもある。
どこぞの議長で知ってる人もいるだろう。
やたら頑丈。

†グラム/北欧神話、他
北欧神話の英雄親子二代に渡って使われたドラゴン・スレイヤー。
引き抜かれたり、砕けて打ち直されたりと逸話が似通っている為にエクスカリバーの元ではないかとも言われる。
槍ではない。

†バルムンク/ニーベルンゲンの歌、他
ドイツの英雄叙事詩ニーベルンゲンの歌に語られる英雄ジークフリートの所持する名剣。
小人のニーベルンゲン族から手に入れた。物語のパターンが非常に多いため全てではないが原典を同じくするグラムと同様に竜殺しを成し遂げた至高の剣とされる。
だが持ち主が悉く殺されるなりして死んだいるためかなり厄介な魔剣でもあるのかもしれない。

†フランベルジュ/シャルルマーニュ伝説、ゲーム他
名前は「炎」を意味するフランス語「フランボワン」に由来。
その名の通り剣身が炎の様に波打っている剣の総称。見た目は美しいが、揺らめく刃が傷を押し広げる機能を持つ残酷な剣。
ただしその分製造は難しいし、プレートアーマーのような板金鎧系には利かない、同じクラスの普通の剣と打ち合うと形状の分、力が変に掛かって折れ易いなどの弱点もある。
伝説にもなっているがドイツのフランベルクなど実在もしている。それと両手剣・片手剣・その中でも細身の剣やら色々ある。
明の時代に開発された長柄武器の蛇矛も同様の用途を持つ。
なお「フランベルジェ」は誤り。

†クルタナ/英国王室
イギリス王室に伝わる王権の象徴。切っ先が無く、他者を傷つけない誇り高き慈悲の剣。
革命で一度失われており、現在在るのは打ち直されたもの。

天叢雲剣(アメノムラクモノツルギ)/日本神話
日本神話を代表する神剣にして三種の神器の一つ。
他に「都牟刈大刀(ツムガリノタチ)」「都牟羽大刀(ツムハノタチ)」「八重垣剣(ヤエガキノツルギ)」など別表記も多い。
須佐之男命が魔獣・八岐大蛇を討ち取り、尻尾をぶった切ったところ中に入っていた。
因みに須佐之男命は発見こそしたものの、自分ではほとんど使っていない。
後にヤマトタケルノミコトの武器となり、草薙剣(クサナギノツルギ)の名前が与えられた*10
現在の所在地は2ヶ所。つまりどちらが本物なのかはっきりしていない。更に言うと何度か紛失・喪失と再発見・レプリカ製造を繰り返しているため、
現存する(とされる)天叢雲剣が神代から伝わったオリジナルであるかは不明。
なお、神道ではこういった神器について、たとえそれがレプリカでも本物から内包している神を移せば『本物』になるとの立場が取られることも多い。
その点で言えば現存するとされる天叢雲剣はまぎれもなく『本物』なのだ。

ロトの剣ロト三部作
古の時代に勇者ロトが扱っていたとされる伝説の剣。
その斬れ味は竜王ですら倒すほど。
同じ材質の剣をゾーマは3年もかけて破壊したが(リメイク版の追加台詞)、原材料を用意したらあっさり似た様な剣を製造された。大変でしたね…無駄な苦労をして。

天空の剣天空シリーズ(ドラゴンクエスト)
天空の勇者にしか扱う事が出来ない伝説の剣。
見た目が派手で、道具として使うと凍てつく波動を放つ力がある。
「ラミアスの剣」という前身ではないかとみられる剣も存在する。

神剣ファルシオンファイアーエムブレムシリーズ
神竜ナーガの牙から作られた伝説の神剣。
あらゆる竜族に特効し、敵からの直接攻撃を封じたり、HPを回復させる力を持つ。
元ネタは直刀の一種として実在する剣で、ナイフ代わりとして使われていたらしいと言われている。

マスターソード/ゼルダの伝説
お馴染み、悪しき者は決して触れぬ退魔の剣。
「達人の剣」というニュアンスでファイアーエムブレムシリーズにも登場したことがある。

宝剣ギャラクシア星のカービィシリーズ
メタナイトの所有する2〜3対の枝分かれのある七支刀のような金色の剣。詳しくは項目参照。
元々アニメ版で登場したものだが、後にゲームでも逆輸入されて使用している。

†フレイムソードロックマン8
炎を纏った剣で攻撃する、ソードマンの特殊武器。茨や茂み等の特定のオブジェクトを燃やす事が出来る。

ドリームソードロックマンエグゼシリーズ
多くのタイトルに登場する巨大ソード攻撃で、複数のバトルチップを組み合わせて発動する「プログラムアドバンス」の代名詞。
初登場は「2」からだが、モデルになったのは初代のラスボス「ドリームウイルス」のソード攻撃。

バリアブルソード/ロックマンエグゼシリーズ
使用から0.8秒以内に特殊なコマンド入力をすることで様々な派生を行う、変幻自在のテクニカルソード。プレイヤーの腕前に応えるバトルチップ。

アイスソードロマンシング サ・ガ
このゲームに登場するある聖戦士が30000金はたいて購入したねんがんの名剣。作中でもある魔物に恐れられるほどの業物。
なのだが数多くのプレイヤーに狙われた結果、「な なにをする きさまらー!」という断末魔を木霊させまくった、ある種のネタ武器でもある。

ギュスターヴの剣サガフロンティア2
新しき鋼の時代を築き上げた王、ギュスターヴ13世がこしらえた名も無き鋼の剣。苦労の末にたどり着いたプレイヤーの前で名場面を生み出した。

†ドラゴンころしベルセルク
主人公ガッツが愛用する、ブ厚くて鈍重すぎる鉄塊。
鎧も怪物も石壁も関係なく斬り伏せる巨大剣。こんなもん振れるか。*11
一応材質上は普通の金属剣だが人外の魔物を斬り過ぎたせいでその手の霊的存在も斬れる様になってしまったある意味変わり種な部分も持つ。

†ストームブリンガーEternal Champion(永遠の戦士)
主人公エルリックが混沌の神から与えられた意識ある魔剣。5フィートほどの長さの大剣。
殺した生物の魂を喰らい、持ち主の力に変える能力を持つ。虚弱体質のエルリックが大剣を武器に過酷な旅ができるのはこれが理由。
性格は邪悪極まりなく、敵はもちろん隙あらばエルリックを裏切り味方まで殺す。海に捨てても戻ってくるなどまさしく呪われた魔剣。
名前に「ストーム」とついてはいるが風属性ではなく、呼ぶのは嵐のような大騒乱である。

贄殿遮那灼眼のシャナ
主人公兼ヒロインのシャナが愛用する大太刀。本人の名前に由来ともなった。
自在法を含めたあらゆる力の干渉を受け付けないためどんな相手であっても純粋な近接戦闘に持ち込むことが可能。
さらに決して壊れないチート仕様で持ち手の力・技量が高ければ高いほどほど強く成りうる「強者のための刀」。
元ネタは毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)、つまり太陽神・大日如来。

ライトセーバーSTAR WARS
銀河の平和を守るジェダイの騎士と、それに敵対するシスの暗黒卿、ダークジェダイが操る武器。
「光る刀身を持つ剣」であり、デザイン的な影響力は大きい。

アルテマウェポンFINAL FANTASYシリーズ
持ち主の生命力に応じて刃が活性し攻撃力が増す「究極の武器」。
青く光る刃を持つという形態であることが多い。初登場の時は上記ライトセーバーそのもののデザインだった。

†グラットンソードFINAL FANTASY XI
FFXIに登場する七罪武器の1つ。
一級廃人の証で、手に入れるとうらやましがられて尊敬され「グラットンすごいですね」と言われる。
尖った部分が多くあの部分で敵に致命的な致命傷を与えられるし、隔が長いから遠くの敵にも届く。
色も黒っぽいのでダークパワーが宿ってそうで強い。
ちなみにダークパワーっぽいのはナイトが持つと光と闇が両方そなわり最強に見えるが、暗黒が持つと逆に頭がおかしくなって死ぬ。
とある謙虚なナイトにより、その凄さを猛烈にアッピルされた。

†ドンパッチソードボボボーボ・ボーボボ
ネギ。

エクスカリバーソウルイーター
伝説の剣、もしくはとことんウザいナニカ。


【剣がモチーフのキャラクター】

建御雷神(タケミカヅチノカミ)/日本神話
日本神話における、雷と剣と戦いの神。
神剣・天之尾羽張(アメノオハバリ)の霊力とカグツチの血から生まれるというあまりに殺伐とした生まれのお方。
SUMOの最中に腕を剣に変えたり、剣の切っ先の上で空中浮遊したり、自身の分身である布都御魂剣(フツノミタマノツルギ)を与えて東征軍のデバフを解除したりと逸話も剣尽くし。

†ザ・ソードス超新星フラッシュマン
両手が剣になっていて、頭から剣状の刃物が生えている獣戦士。

ケンヅノー超獣戦隊ライブマン
鎧武者がモチーフの頭脳獣で、剣要素は薄い。

†サーベルギン地球戦隊ファイブマン
剣型の銀河闘士銀河剣士ビリオンと合体してサーベルビリオンになる。

舵木折神侍戦隊シンケンジャー
モチーフはカジキとの合成。

黄金の剣轟轟戦隊ボウケンジャー
レムリア文明の剣で、レムリアを守る戦士、大剣人ズバーンに変型する。

†ケンロイド特命戦隊ゴーバスターズ
メサイアのバックアップであるメサイアカード「09」が日本刀と融合して誕生…するはずだったメサイアロイド。劇中ではエンターにより近くで誕生しようとしていたタテロイドと合体させられケンタテロイドとなった。


†ハチサーベル/仮面ライダーV3
漫画版に登場。片腕がレイピアになっているハチの怪人。

†グラディウスDevil May Cry4
グラディウスに変形する下級悪魔。

ギルガルドポケットモンスター
XYから登場した、剣と盾を組み合わせたような姿をしたポケモン。見た目通りに、「せいなるつるぎ」をはじめとした斬撃モチーフの技を多く覚える。
盾も飾りではなく相手の攻撃技を無効化し、接触技を受けると相手の攻撃力を2段階(後に下方修正され1段階に)下げる専用技、「キングシールド」を覚えることができる。

ザシアン/ポケットモンスター
物語の舞台に合わせて、エクスカリバーをモチーフにしたと思われるポケモン。「剣の王」「妖精王の剣」とも評される。
「くちたけん」を得てフォルムチェンジし、ダイマックスポケモンすら一刀両断する「きょじゅうざん」が得意技。

†エクスカリバー半熟英雄 ああ、世界よ半熟なれ…!!
とがった頭を振り回して「エクスカリバる」ことで相手を真っ二つにし、「マサムネる」と敵陣を十文字に切り裂く、エッグモンスター。
自分を使ってくれる勇者がいないことを嘆いているが、一度見ればそれも納得いく。

仮面ライダー剣
( 0w0)<ウェーーイ

追記・修正は心に剣を携えながらお願いします。

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最終更新:2022年06月22日 16:45

*1 ヨーロッパの中世は日本史の中世とは異なり、西暦500年から西暦1400年代までを指すことが多く、そのなかでさらに、アーサー王の活躍した時代からバイキングが暴れまわっていた時代の中世前期、ルネサンス期の中世後期、その中間の中世盛期と3つに分けられている。

*2 そもそもヨーロッパの剣が鈍器だったとか、鉄塊のような代物だったといわれる原因は、20世紀の終わりまで武具や用法の研究が進んでおらず、19世紀のイギリスの学者たちの推論そのままだったためでもあり、鉄塊の様なものだったといわれる所以も、儀礼用の剣を戦闘用の剣と勘違いしたのがきっかけである

*3 具体的には、街道の近隣住民が治安の悪化で山賊化したり、民族移動で移住してきた異民族がその周辺に陣取ったりして、治安維持の名目で往来する人々を襲い、或いは勝手に縄張りを作って違法な関所を設けることが横行していたといわれる。

*4 後述にもあるが剣という武器が、弓矢などの飛び道具や槍を代表とする長柄武器と比較して、間合いや威力が大きく劣るにも関わらず、特別視されていたのはこのためで、携帯性や即応性に劣る弓矢や長柄武器の苦手分野でもあった。主人公の武器が刀剣類がメインなのも、そのモチーフとなった作品が戦場ではなく日常の延長だからである。

*5 この大型剣の一部は死刑執行人が斬首に使う武器として発展していくのは別の話。

*6 大身槍のような剣に似た性質の武器が例外的に存在するのみ

*7 比較するのであれば、「安定期の戦時」が存在しないことを考慮して「戦乱期の平時」と「安定期の平時」という同じ状態で比較しなければならない。戦乱期というと四六時中戦争を行っていたというイメージは強いが、実際には戦争の準備期間たる平時状態の方が長い。このようなチグハグさは日本史において「戦乱期における平時」に対する研究が戦後しばらくないがしろにされてきたからでもあるし、時代小説の影響もあるがここでは割愛。

*8 それもあくまで当時貴族階級にて主流だったレイピア等に比べてなので実際は普通のロングソードと同じ位の幅だったりする

*9 最初の頃はむしろエクスカリバー以外の名称(ウェールズ語など)の方が有名だった

*10 「草薙剣」に名前が変わったタイミングについても諸説あり

*11 …というか作中の制作者の意図からして頑固さを発揮して作った、元はジョークグッズのような逸品。