大魔王ケストラー

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大魔王ケストラー - (2017/02/12 (日) 16:09:19) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2011/04/29(金) 20:46:29
更新日:2024/01/02 Tue 21:21:12
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※少年漫画のキャラです だいたいこいつのせい まさに外道 アニメでは哀しき悪役 アニメでは悲劇の人物 エゴイスト カス クズの中のクズ クズ野郎 サディスト チート ド外道 ネタが多すぎてタグに困る項目 ハーメルとサイザーの不幸の元凶 ハーメルンのバイオリン弾き パワハラ ラスボス 下衆 人類の敵 作中最強 作者にも嫌われた男 傲慢 全ての元凶 共存不可能 勇者の父で愛の勇者の義父で人類の女王の義父 勝てる気がしない 名悪役 圧倒的存在感 外道 大量虐殺 大魔王 天上天下唯我独尊 天災 孫に悪を吹き込む不良ジジィ 家族を餌としか思ってない←家族に家族扱いされない←自業自得 対話不可能 少年漫画史上最悪のラスボス 底なしの悪意 快楽殺人鬼 悪意の塊 愛せない外道 暴君 残忍なイケメン 残虐非道 毒親 清々しいまでのクズ 清々しいまでの外道 清々しいまでの悪役 濃すぎるキャラクター性 父親失格 独裁者 相互理解不可 純粋にして究極の悪 絶対悪 絶望 続編でまさかのネタキャラ化 聖杯 腐れ外道 自分が悪だと標榜して恥じない邪悪を通り越した極悪 自己中の極み 覇王 騙し討ち 魔族 黒幕



なぁギータよ…
―生きる資格―について…どう思うかね…?

“生きる資格”だよ…ほら…
万物すべてが持ち得ている、人間にも…
そして、魔族にもな…

―生きる資格―
生物には皆共通して存在している
我が娘サイザーもそんなことをほざいていたな…
己の存在を確認するための理由みたいなものだろうが…
何でお前らがそんな資格を持つことができた思う?わかるか?
それはな…

私が“与えて”やっているからだ

私が“殺さない”から…生きていけるという…

資格をな…



大魔王ケストラーとは『ハーメルンのバイオリン弾き』の登場人物にしてラスボスである。
CV:上田祐司(現:うえだゆうじ)

【概要】

“北の都”魔都ハーメルンに本拠を構える全ての魔族の王であり、魔族に永遠の魔力と命を与える存在。
主人公ハーメルとその妹サイザーの父にして、物語における全ての元凶である。
口癖は「小賢しい」
名前の由来はオーケストラの捩り(王(おう)+ケストラー)。

太古の昔に神から命を受けた天使によって「箱」に封印されてきたが、ある一時に復活を果たす。
そして今。配下である魔族が完全な帰還を果たさんと暗躍している。
作中では序盤からその存在を語られていたが、本人は「箱」の中に封じられ、眠っている状態のため如何せん露出度は皆無である。
この時点のビジュアルイメージでは天使と悪魔の翼を背負い、二本の巨大な角を持った堂々たる姿で描かれた。
また、本編と結構関係のあるギャグ短編ではシルエットの姿で、本編とは違いおとぎ話の魔王のような役回りであった。
実際の本編でのビジュアルは、ハーメルを大人化したようなボリュームのある金色の長髪と大きな2本角を持つイケメン。
その他、金色の装束や肩や胸を覆う金色の鎧、刃物のように長く鋭利な両手の黒い爪が特徴的。

とにかく、前述の理由(彼を早く解放しないと魔族の生命線である魔力が補給できず、遅かれ早かれ魔族は滅ぶ)もあり、部下である魔界軍王達は奔走する。
その一環として主人公ハーメルの持つ魔王の血を呼び覚まし、共鳴させてその目覚めを早めさせようなどとしている。
ということで物語序盤〜中盤の暗鬱とした展開の元凶もコイツということになる。
そして紆余曲折あった末、遂に復活を果たす。

しかし、やはりその復活は不完全なもので身体の大部分が“欠けて”いる。
具体的には左半身の上半身を残した状態である。
ここから魔族はケストラーの完全復活のための聖杯=生贄の収集を開始。
それを危ぶんだ人類諸国は総力を結集し、怒涛の最終決戦になだれ込んでいく――。


【性格】

後述の絶望的な実力と並びこの大魔王の悪名を知らしめた最大の特徴。
性格は狡猾にして残忍、そして冷酷非情にしてこの上なく腐り切った人間性の持ち主。
そして究極なまでに卑劣で傲岸不遜、自己中心的な暴君。

絶望的な強さを持ちながら、魔王系のボスによくありがちな崇高で立派な信念や哲学、悪の美学とは全く無縁の、徹頭徹尾ただ「クズ」「腐れ外道」としか言いようのない最低最悪のエゴイストである。
信念や美学などを持ち合わせてない一方で、真に己の思うがままに在るがままに在る存在であり、天上天下唯我独尊を体現した姿は大魔王その物と言っても過言ではない。
逆に言えば信念や美学を考えるほどの難事すらこの大魔王には無かったのかもしれないが。
漫画やラノベ界隈には数多くいる魔王でもここまで何のしがらみもなく自由かつ感情の赴くままに人類を甚振り大魔王を満喫しているのは彼くらいだろう。

人間の存在を「自身に利用されるための道具」「人間に生きる目的など必要ない」ど豪語し、
人間の情を理解した上で他者を身も心も徹底的に弄んで踏み躙るのを好む生粋のサディスト。
加えて仲間や友情、助け合いといった人間的に美徳とされる行為を只管唾棄し忌み嫌っている。

自分の配下である魔族を含めた全ての存在をただの「道具」や「餌」としか見ておらず、
気分で配下である魔族数百人の命を吸い殺しておきながら、「マズい」と吐き捨てた事もある。
……というか、配下の魔族も彼にとっては暇潰しの道具の延長線上のような存在でしかなく、「この世には大魔王ケストラーだけおればいいのだ!!このオレがなーー!!」と言い放つなど、魔族の王として振る舞っていながら配下である筈の魔族に価値を全く見出していない。

なおそんな扱いの魔族は基本的にケストラーから魔力の供給を受けており、ケストラーに逆らうと魔力の供給を止められ寿命が来て死亡するので逆らえないという、文字通り生殺与奪を握られている状態にある。
…まぁ逆らって勝てるかどうかは兎も角として。

そのため統治の手法としては、カリスマによる統率ではなく絶対的な力と支配による典型的な恐怖政治により魔族を率いている。


最悪なことに、妻のパンドラや自分の子供達に対する認識ですらなのだから始末に負えない。
ハーメルとサイザーの母親のパンドラは、ケストラーにとっての「最高の聖杯(極上の血を持つ餌)」を作らせるために、(仮復活して人間として近づいてきた)ケストラーに騙され恋に落ち、孕まされ子を産んだことになる。
なおこの事実をパンドラに明かした上で、更に爽やかな笑顔で「パンドラの血も飲みたい」とパンドラの前で語っている。
その後は聖杯を極上の味にするために、封印される際に外に出ていた配下達に天使の特徴を持つサイザーを拉致させ魔族側に置き、
逆に魔族の特徴を持つハーメルをパンドラの下に残す事で、2人の人生にあえて苦難が降りかかるように仕向け、
2人の悲劇と成長を演出する非道な真似も行っており、これらの行為を「親心」と嘯き、悪びれもせず平然と笑っていたりする。
しかしその後地球全土を無差別爆撃して人類を虐殺した後、

死んだ人間は、オレの魔力を上げる生贄となる!!聖杯になぁー!!大した量じゃないか!!

この世のすべての人間(モノ)がオレの道具だ!!ハーメル、御苦労だったなおまえも

おまえの存在、生き方自体が生け贄(どうぐ)だった
魔でありながら人の中で、生き苦しみ、身をこがし…もがき…

様々な抵抗と苦悩があったろう!それはな、おまえ自身の(あじ)を高めるためなのさ

オレの欲しかった血のサイザーやオーボウも届けてくれた
おまえの元でみんな苦しみ、憎み、いい(あじ)になってくれた!

おまえもパンドラに似てお人良しの愚か者だな!みんな美味しかったぞハーメル!

とすぐさま裏の本音を吐き出しハーメルを激昂させた。
当初の親心という話も単なるハーメル達の心を弄ぶ為の嘘。実際は二人をより良い餌にする為のだけに行われた物であった。


このようなあまりにも腐り切った冷酷で悪辣極まる下衆な性格と後述の理不尽すぎる強さから、少年漫画史上最悪のラスボスの1人として名が挙げられることも。


【戦闘力】

ファンタジー系作品のラスボスでは珍しく、なんと特筆すべき戦闘に使用する固有の特殊能力や必殺技は一切使ってない。
技らしき技を強いて言うならば、刃のように鋭利な爪を伸縮させての斬撃や刺突くらい。
しかしその分、基礎的なスペックが常軌を逸した怪物レベルであり、その気になれば数億の人間を片手間感覚で瞬時に虐殺できたり、人類を一晩で滅ぼせる絶望的な力の持ち主。
因みに人類を滅ぼそうとしない理由は「自分にとって利用価値のある“道具”だから生かしてやっている」という傲慢なもの。
また自身は永遠の命の持ち主であるため完璧に滅ぼすことは不可能。


パンドラの箱に封印されたまま、それもギータ曰く「寝返り」を打っただけで北の都に壊滅的な打撃を与え
復活直後の身体が左半身の上半身くらいしかない殆ど不完全な状態でさえ、
人類屈指の法力使いクラーリィにやや勝ると評されたハープ=シコードを瞬き一つで消滅せしめ、城外に展開された数万の兵の命に至っては手を下すまでもなく、自身から垂れ流された瘴気だけで皆殺しにしている。
また主人公一行は遥か遠方に飛ばした思念体に触れることすらできなかった。
脚を取り戻した際には、鼻歌混じりに思いっきり地面を踏み付けただけで天変地異も言わんばかりの大地震を引き起こしている。
要するに一挙手一投足はおろか何気ない仕草ですら必殺どころか天変地異クラスに匹敵する破壊力を誇る。

近接戦においては隔絶した身体能力が生む怪力で「小細工など無用」とばかりに正面から叩き潰すバトルスタイルを取るが、
その単純な身体スペックだけで、魔族の血を極限まで引き出しパワーアップしたハーメルやサイザー、
更には(ケストラーを除けば)魔族最強の実力を誇るオーボウをも軽々と捻じ伏せ蹂躙する戦闘力は最早理不尽の域。
当然ながら魔術の破壊力も桁外れを超え規格外なレベルで、冥法王ベースのような魔法技能など使わずとも、
北の都の自身の城から一歩も離れる事なく、単純な魔力弾の連射によって世界各国を爆撃し、国々を壊滅或いは消滅に追い込む大惨事を巻き起こしている。


戦闘面以外の能力で代表的なのが、死した人間や魔族の血肉や魂を、自らの生贄である「聖杯」として吸収する能力*1
これは簡単に言えば他者を殺せば殺すほど、他者の血肉や魂を喰らえば喰らう程ケストラーの魔力が高まりケストラーが強化されていくという特性。
遠くの相手に対しては死者から魂を吸収したり魔法陣から力を奪ったりするが、直近の相手に対しては 圧力で押し潰して凝縮し、肉塊に変えて血を搾り取る という残虐極まりない手法で奪う。
この特性を生かして、不完全であった復活直後の肉体の再生を図っており、終盤ヒロインである聖女フルートの血を飲み完全体に至った際は、溢れんばかりの魔力がアメーバめいた悍ましい異形の怪物へと変貌。(あるいは魔族の原初の姿がこれなのかもしれない)
怪物は無尽蔵に城から湧き出して人類軍に襲い掛かり彼らを蹂躙している。

総じてその力は最早魔族と分類していいのかさえ分からないレベル。
正しく作中最強最悪の敵だが、何が酷いってこんな規格外のスペック持ちでラスボスなのに、
「死んだフリをして背後からの騙し討ち」といった三下の悪党がするような下衆い戦法も平然で行って来るところだろう。
ケストラーの性格上、相手に希望を与えた上で無慈悲に叩き潰し絶望させるのを好んでいるので、むしろこの手の戦法や演出を好んでいる節まである。

というかこの大魔王、最終回でフルートが覚醒するまでの間、
本気になったり普段の憎たらしい余裕ぶった態度が崩れることが微塵も無ければ、戦闘でもダメージを受けているような描写が全く無かったりする。
余裕な態度が崩れた瞬間は、最終回以外だとせいぜいパンドラに再封印された時ぐらいだろうか。
仮に(数も稀でしかないが)苦戦しているかのような素振りを見せる事があっても、実際はケストラーの迫真の演技だったというオチが待ち受ける。
もうやだコイツ。


【ストーリー上の展開】

パンドラの箱から復活し、始めてその姿を見せたのは26巻から。
復活後は本格的に主人公一派に干渉を開始しつつ自身の完全復活を目論み、「聖杯(強い魔力を秘めた人間の血肉)」の収集を魔族に命じている。
この間いらん茶目っ気を出して息子ハーメルや娘サイザーをいたぶる一方、合間に桁の違う力を振るって絶望を植え付けたり、随所に出てきてトラウマを抉る罵詈雑言をぶつけてハーメルやサイザーの精神を追い詰めていた。

最終決戦では、オーボウが寿命が尽きる事も厭わず魔族の姿に戻って全力で立ち向かい、未だ眠るパンドラからのバックアップを受けたハーメルが人間を辞めて*2更に寿命間近という満身創痍になりながら、ケストラーの肉を喰らって起死回生のドーピングを図ることで漸く倒す事に成功した。

こうして怨敵ケストラーは倒れ、ギータの死を以って魔界軍王も全滅。
最愛の母パンドラも復活し、サイザー、ライエル、トロンボーン、フルートが合流したことで普段のギャグムードも久々に息を吹き返し、ハーメル一行と人類の大勝利。このまま本編も大団円を迎える……

コラコラオーボウ 私の后に手を出すとは いかんな…

しかし随分と…にぎやかになったではないか

素敵なパーティになりそうだ…

歓迎するよ主賓として…この私の…

ばっ…
(馬鹿な・・・)

復活祭のなー!!

馬鹿な…死んだはずじゃ…

この大魔王がか?ハハハ…!チッチッ


かと思いきや、なんとこの魔王、自分の血肉を食わせて息子の味をより高める為にわざとやられただけでピンピンしていた。
当然ながら大魔王自身はあの長く激しい死闘など無かったと言わんばかりに全くのノーダメージである。
もうやだこの大魔王。

そのまま騙し討ちに等しい背後からの奇襲で、パンドラと感動の再会を果たしたオーボウを殺害することでハーメル親子感動の再会シーンと読者のハッピーエンドムードを一瞬にしてぶち壊した。
そのまま娘サイザーの前で母=自分の妻パンドラを嘲笑いながら血を吸いつくした後頭を踏み潰して殺害。
激昂し魔族化したサイザーの攻撃を容易くいなしつつ、自らを苛つかせる発言をしたライエルを切り刻み甚振り抜いて虫の息にし、
瀕死だったサイザーの恋人ライエルを盾にすることで、サイザーの攻撃を防ぎながらライエルをサイザーに殺させ、ショックで崩れ落ちたサイザーも背後からの一撃で殺害するなど、もののついでで旅の仲間を片付けていき、それまでのハーメルの苦難も何もかも嘲笑った。

最終的には主人公一行はハーメルとフルートを残し全員殺され死亡。
そのままフルートの生き血を喰らい完全復活を果たしたことで溢れ出した魔力は、
魔族を強化すると同時に魔力そのものが異形の怪物となって最後に残された人類軍を襲い、人類が守りたかった全ては終わってしまうかに思われた。


しかしその時、ヒロインフルートが目覚める。

なんだ…なんだ…この…!!忌まわしい光はぁ!
なんだというのだあ!小娘がぁ!!

さがりなさいケストラー!!
私は人類の守護国スフォルツェンドの 女王フルートです!!

ケストラーを一喝するその姿は人類を守護するスフォルツェンドの女王に相応しいものであった。
幾多の聖人に見守られたフルートは奇跡を起こし、蘇る主人公一行。
そして、連載中盤から長く取っていなかった母のバイオリンを手に取ったハーメルは、同じくピアノを取ったライエルと共に最後の魔曲を奏でる。


いくぜケストラー!!貴様には……地獄の交響曲を聴かせてやる!!
ベートーヴェン交響曲第九番……『第九』だあ!!


ぬうっ、おのれェ、雑魚どもがああ!!小賢しいわああ!!


交響曲九番「歓喜の歌」
それは音楽家でありながら難聴に苦しんだ大作曲家が最後に遺した交響曲である。
それは苦難に打ち克つための喜びの歌。
希望を象徴するかのようなこの曲は聖女二人の歌声に乗せられて大魔王にも届いた。
それまで何をしても傷一つ付かなかったケストラーを確かに揺さぶっていく。

かっ……体が……弱って……いく……

再生……できない!!人間……めェ……

このケストラーに利用されるだけ……の……存在のくせに……!道具の……くせに……!仲間?くだら……ん!!

その歌を、やめろお―その曲を――!!

「憎しみ」ではケストラーに勝てないと聖母は言った。ケストラーを打倒する力は「信じる力」のみであるという。
憎しみを乗せた一人の拳には無敵を誇っていたとしても、「人々が繋がり信じる力」には勝てなかったのか。
魔曲の後押しを受け、最後に北の都に残った兵たちの攻撃と時を合わせるかのように五つの希望の戦いは始まり、ケストラーを確実に弱めていった。
今までの終始余裕ぶった態度から一転。
これまで「ただの餌」としか見ていなかった存在達に追い詰められていく事への困惑を見せると同時に余裕な態度をかなぐり捨て、
初めて勇者たちの前で真に怒り狂った憎悪と憤怒の形相を見せるケストラー。

ケストラああ……!

この…人間めェェェ!!

最後は魔族も人間でもなく彼に流れる最後の血、天使の力を発現させたハーメルの一撃の前に敗北。
比類無き絶望的な力で人間にも魔族にも恐怖と絶望を齎し続けた大魔王の肉体は、
勇者一行との死闘の果てに、死に際の魔族のようにひび割れ砕けた満身創痍の姿と化す。

ぐ…う…、おのれ…、にっ…人間…どもめェェェ!!

こ…ざ…か…し…

そしてハーメルを「人間」と忌々しくも認め、弱り切りながらも憎悪の感情を乗せた怨み節を残し、
遂にケストラーは聖女フルートの手でオリンが造った新しい「箱」へと永久に封印された。



■ シェルクンチク

続編『ハーメルンのバイオリン弾き 〜シェルクンチク〜』では、自らの因子を色濃く受け継ぐ孫であるグレートの前に幻聴・幻影の形で現れ、グレートの父であるハーメルにしたように魔族の血の暴走を働きかける。
しかしグレート自身が魔王の血の克服を誓ってからは扱いが小さくなった。
トドメにグレートが弁当を横取りされてキレた場面で魔族の血に働きかけて彼の学友に「出てくんな」とツッ込まれる出オチのネタキャラに成り下がっている。



■アニメのケストラー

アニメでは原作と180度違う別キャラとなっている。

普段は極めて穏やかで優しい青年で、妻を真剣に愛している

行き倒れたパンドラを助けたことがきっかけで結婚し、二人で村はずれの小屋で農業を続けていた。だがある日パンドラが土の中から見つけた箱を見つけてから態度は一変。
日に日に痩せ衰え性格も険しくなり、夫婦の家以外の土地で異常気象が発生するように。
そしてある晩、村人が彼らが異常気象の原因だと暴徒となり押しかける、その時ケストラーはパンドラに「この箱を開けてくれ」と頼む。愛する夫の言う通り、箱を開くパンドラ。
すると中から軍王をはじめとする魔族が解放されてしまう。

やがてハーメルとサイザーを出産し育てるも、周りに魔族が控え日毎に魔族に近づく夫に恐れをなしたパンドラは双子を連れ家を飛び出す。
しかし理性が失われつつあるケストラーは彼女に自分を封印するように頼んだ。
自分が自分でなくなり、愛する妻を殺してしまう前に…
完全に異形の姿となった夫の姿に恐怖したパンドラは箱を閉じてしまい、大魔王ケストラーは箱に封印された。

実は「パンドラの箱」は大魔王の血を半分引く天使(パンドラは一般人)と大魔王を愛した女しか開けない仕組みとなっており、この時すでにパンドラは箱を開けなくなっていた。そこで魔族側は新たに箱を開く者としてサイザーを誘拐し洗脳することにしたのだ

アニメにおける大魔王とは、神と悪魔のハーフであり魔族に魔力を与え続ける因子的存在でしかなく、原作とは真逆に魔族に利用され生きていくしかなかった。オーボウら妖鳳族は魔族にその力を悪用されないよう監視をするのが役割。

そして最終回。
娘サイザーによって箱は開けられる。が、何十年も箱に封印されたケストラーは「鳥になれなかった鳥」の化石となっていた。

だが、箱の開放をもって大魔王の力がすべて後継者ハーメルに継承され、文字通りの復活はなってしまう…


【ケストラー語録】

  • フッ、“完璧”…では…ない… 私も“完璧”ではないのだよ…
  • 人の生命(いのち)を弄んでおいて 貴様だけ“生きよう”とは虫のいい話だなあ ハーメルンの赤い魔女よ
  • 人間を“生かしてやっている”のも恐怖で苦しむのが楽しいからだ。魔族らも私の“手足”として便利だからな。ハハハ
  • 価値のないモノに期待などせん。ポーンがクイーンに敵うわけないだろ
  • おまえだよおまえ おまえ“自身”が聖杯だろ?
  • どんなに小賢しい“野望”を抱いていようとも所詮は私の手のひらの上で遊んでいるにすぎんのだよ
  • 待てェー!!……聖女の“血”も飲みたいな。ハハハ
  • くだらぬ“想い”のために…私に逆らった。この全てを支配する魔王にな…“想い”とやらのためになー。ハハハハーくだらんなーまったく。小賢しいー!!
  • 父さんから最愛の息子への…プレゼント。にせパンドラ(・・・・・・)
    ハハハ楽しかったろう?何せおまえの大好きな母さんだからなーー!偽物とはいえ死ぬところが見れたんだからなーー……
    人殺しが好きなんだろ?大魔王(オレ)の血が流れてるんだからなあ。大魔王(オレ)の。ハハハハハハ!
  • おまえは変わった奴だ…魔王の子なのに人間なんぞを“仲間”にしてなぁ。殺すための連中(モノ)だぞ?あれは……
    いつ殺すんだ?後継者として私の後を継いでからか?喰うのか?それとも私にくれるのか?最愛の父へのプレゼントとして……。
    そいつはいい……おまえは、いいこだね
  • 魔の視点で…考えてみろ。魔族側からのな……。
    こんなに嬉しいことはない……魔力は上がったし、人はいっぱい殺せたしなあ!!よかったじゃないか!!
  • これが“限界”だ…人間のな…
  • 生命力の強い血は格別だな…いい血があるぞ…()ってみるか?パンドラの血だ。美味いぞおー最高の美酒だ……
  • だが…ようやくこれで…久しぶりの大地だ…
  • 仲間?人間?あんなものは魔族(オレ)たちの…エサだろ!?エサ!!
  • ハーメル…おまえはパンを食べるのに麦の数をいちいち数えて食べるのか?そんなこと知るか!まざっていたかもしれんなあ。あの中に
  • さあおいでハーメル…パンドラ…父さんと一緒になろう。父さんを“完全体”にする…“餌”になるんだよ
  • おまえが魔王の血をーー!強く受け継いでよかったぞ!!
    人間界において…よかった…苦しんで苦しみ抜いてあがき…母親と別れ……数々の孤独を経験して…仲間を得たり……数々の生死を分けた戦いをし…上等な“聖杯”となった!!ハハハ……!
  • 完璧な魔族である貴様だが、まだ…“愛”だの“情”だのにほだされている。仕方がない…このオレがそれを…断ってやろう
  • パンドラ…おまえは…なんて…いい女なんだ…そしてね…
    どこまでもオレに…利用される…馬鹿で…!愚かで…!可愛い女…なんだろうねェェ…!!
  • どうしたんだい?サイザー?私の…愛しい娘よ。なんで悲しむんだい?
    おまえの母親は…死んで骸と化した。
    まるで水晶のように冷たくなったぞ
    おまえのよく知った…母親の姿に戻っただけ(・・)だろうがっーー!なあ!赤い羽根の魔女ちゃんよ!!
  • たいしたお人好しぶりだな。オレはそういう奴が、一番むかつく…!
  • 人間などはな。この大魔王に利用されるための道具だ。生きるのに目的など…ないのだ!
  • この世には大魔王ケストラーだけおればよいのだ!!このオレがなー!
    ハーメル、おまえを“魔王”にとか我が息子にとか挑発していたのも、おまえの(あじ)を熟成させるためだよ!上等のーー聖杯としてな!!
  • 脆弱な人類どもよー!!支配してやるぞぉー!!この大魔王ケストラーがなあああ!!
  • 人間どもめ、苦しめ…悲しめ!!もがき絶望に堕ちるのだ!このケストラーが恐怖を与えてやる!苦痛を…怨みを、狂じる憎悪を、闇を、混沌を!!死をな、ハハハ!


【余談】

作中における魔族達は多かれ少なかれ「絶対悪」と言っていいほどの下衆な連中*3ばかりなのだが、
このケストラーはほぼラストに登場しながら主人公との距離の近さと悪辣な行動によって、*4描いていた作者ですら、
連載終了後に「作品が終わったのは寂しいけど、ケストラーをこれ以上描かないで済む点にはホッとしている」といった旨のコメントを残す程にコイツが憎かったという凄まじいまでの印象の悪さを残している。



そうだあァ、wiki籠もりを喰えぇ……追記なんか編集のエサなんだからなぁ……!

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