逆転裁判4

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逆転裁判4 - (2015/08/02 (日) 14:22:28) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2010/04/01(木) 22:32:41
更新日:2024/02/27 Tue 15:16:05
所要時間:約 6 分で読めます




『逆転裁判4』は、カプコンの『逆転裁判シリーズ』第4作目のニンテンドーDS用ソフトである。


逆転裁判といえば、ゲームボーイアドバンスでスタートした「法廷バトルもの」のアドベンチャーゲームであり、
その良く練られたシナリオ、シリーズを通した伏線の展開と回収、強烈な個性を誇るキャラクターたちなど、その後のアドベンチャーゲームに大きな影響を与えた傑作である。


3で大団円を迎えた逆転裁判は、その後しばらく移植こそされるものの新作の展開はしばらくなく、
3から4年の時を経て登場した本作の情報にファンは歓喜した。


4は、3から飛んで7年後の物語!シリーズがDSに進出!
1話目の被告は、「元」主人公成歩堂龍一!
成歩堂にムスメがいる!


ファンの期待は高まり、発売前には予約が殺到しパンクし公式サイトでお詫びするといった人気作ならではの事態まで発生。
シリーズ最高の65万本をも売り上げた。


しかし売上とは裏腹に、肝心の中身の評価は芳しいとは言えず、ファンからはガッカリゲー、黒歴史扱いを受けていることも多々見られる。




【あらすじ】

『3』から数年後――
新米弁護士王泥喜法介(おどろきほうすけ)は、師である牙琉霧人(がりゅうきりひと)と共に初めての公判に向かう。
それは彼の憧れの存在、数々の難事件を解き明かし一時代を築いた元弁護士、成歩堂龍一が被告の殺人事件の裁判だった――



【エピソード一覧】

  • 第1話『逆転の切札』
  • 第2話『逆転連鎖の街角』
  • 第3話『逆転のセレナード』
  • 第4話『逆転を継ぐ者』



【主な批判点(多少のネタバレ含)】

◆シナリオがこれまでのシリーズより微妙。

これまでも突っ込みどころや無理矢理に感じるところがなかったわけではないが、今作の後半の3話と4話はそれらが際立っている。

3話はプレイヤー目線での明らかなムジュン(凶器は扱いの難しい大口径の銃なのに華奢な少年が容疑者にされているなど)には説明がなく、突っ込みもさせてもらえない。
プレイヤーは胸にモヤモヤを抱えたままゲームを進め、ぼんやりしたままひとまずの解決に納得するしかない。

4話序盤で扱われる事件は、依頼者ザック、被害者の身勝手な行動により起きた事件で、さらに依頼者のせいで成歩堂が弁護士資格を失うことになる。

他にも多々あるが、全編通して上げていくとキリがない。


◆キャラクターの魅力が薄い。

新主人公・王泥喜は主人公(笑)と揶揄されるほどキャラが薄い。

パートナー・みぬきは基本的に王泥喜を信頼していない。

ライバル検事・響也は矛盾をつきつけても「確かにおかしいね。じゃあどうしてこうなったのか一緒に考えようか」とダメージ0。
それどころか千尋さんばりにヒントまでくれる。
勝ち負けよりも真実を重要視しているためだが、過去の検事たちのかたくなさやリアクションを求めていたファンからは不評。

依頼人は皆なにかとスネに傷持ちで、なんとか助けたいという気持ちが起こりにくい。

前述のザックが所属していたマジック一座は、揃いも揃って思考・行動が理解しがたい。

ラスボスは小物で邪気眼でうっかり屋なせいでネタキャラ扱い。

前作までの主人公・成歩堂はやさぐれていながら、弁護士でない自分は動けないからと王泥喜に皮肉を吐きながらこき使う。
ラスボスを追い詰めたのも結果的には成歩堂なので、王泥喜は完全に出番を喰われている。

過去作で科学捜査官に憧れていた茜は成人し刑事となったのだが、
「科学捜査課に配属してもらえなかった」という理由でかりんとうを食いながらブーたれており、若き日の情熱を感じさせない。


◆新システム「みぬく」
法廷パートの新たなシステムとして、証人が嘘を吐いたり動揺した時のしぐさを見抜いて暴くというものが追加された。
しかし、今までの作品における「法廷では証拠がすべて」という原則に真っ向から反しているせいで評価は高くない。
場合によっては言いがかりのように見えることも少なからずあり、それに対して検事側も追及しないため余計にモヤモヤする。


◆メイスンシステム
最終章で突如現れる、成歩堂が作ったシステム。
システム上の二つの時代を行き来してシステム上のキャラに聞き込みをしながら、シリーズお馴染みのサイコロックを解いていく。
つまり、過去の時代に現代で手に入れた証拠を持ち込め、そこでシステム上のキャラに証言をさせてしまう物。
しかもこれは成歩道が単独で造ったシステムなので、客観性には大いに疑問が残る。


◆裁判員制度
現実のものとは違う独自のものにされているが、今作のそれは「確固たる証拠が無くても裁判員がメイスンシステムの印象で有罪にしてしまう」かのように描写されてしまっている。
さらにテストの管理者が成歩堂なのだが、彼には小学校の学級裁判で証拠無しに犯人と決めつけられそうになったというトラウマがあったはずなのに…



【登場人物】

新主人公にして新米弁護士。毎日発声練習を欠かさないので声がデカい。
成歩堂に散々振り回された挙げ句ラストで美味しい所を成歩堂に全て持っていかれたかわいそうな人。
熱血設定だが、それが現れるのは1話の成歩堂を殴りつけるシーンくらいであり、そのシーンも急遽付け足されたものであった。

  • みぬき
マジシャン見習いの女の子。
名字はゲームを進めていくと分かる。あとパンツと帽子。
証拠品を見せてもリアクション薄い。主人公(プレイヤー)そっちのけで推理を進めていってくれる。

検事兼バンド・ガリューウェーブのリーダー。霧人の弟。
イケメンで有能で、さぞイヤな奴かと思いきやそんなことは無かった完璧超人。
しかしリアクションが薄い。

弁護士にして法介の師匠。
変態紳士。逆転屈指のネタキャラ。ボーンチャイナ。

元弁護士。
弁護士辞めており、なんか性格がひねくれてしまった。

科学捜査官になれず普通の警察官になりイトノコ刑事ポジションに。

毎度おなじみ。

髪が変な方向に進化。



このように整合性に欠けてしまった感のある今作のシナリオだが、これには開発中に上層部から出された「成歩堂を登場させろ」「(当時導入されたばかりだった)裁判員制度入れろ」の指示に従ったことも少なかれ影響されているだろう。
特に成歩堂は、既存の全く別キャラの見た目と名前を成歩堂にすげかえて開発されたため、まるで別人になるのもそりゃ当然なのだ。
もちろん、この二点がまともだったからって名作扱いされるということもないけれど。


基本的なシステムは過去作のものを受け継いでいるのでそこは問題なく遊べる部分であるし、
「甦る逆転」で登場したカガク捜査、BGMなど評価が高い部分もないではない。



なお逆転裁判お馴染みの台詞である

「発想を逆転しろ!」
「弁護士はピンチの時ほどふてぶてしく笑うもの」

は作中一度も使われない。
続編ではこの反省が活かされ、成歩堂たちの信念としてピックアップされている。


更に続編『逆転裁判5』では翌年にて返り咲きを果たした成歩堂が主人公となったが、王泥喜くんもまたプレイヤーキャラとして登場。
しかもそれだけではなく、本作とは逆に主人公の座を逆転させるまでの大穴キャラとなった。良かったね王泥喜くん!



追記修正はハミガキのみぬきポイントをじっくり正視しながらおねがいします。

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