牙琉霧人

登録日:2014 /08/18 Mon 10:31:31
更新日:2025/06/23 Mon 20:32:47
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・・・・裁判長のコトバは正しかったようですね。
彼が立つ法廷は、メチャクチャになる。・・・・かならず。



牙琉霧人(がりゅうきりひと)とは、『逆転裁判4』の登場人物。

CV:山本亮治(サウンドチーム、本編)/津田健次郎(PV)


紺色のスーツを身に纏った、眼鏡をかけた理知的な容姿とドリル状の金髪が特徴的な男。32歳。
詩的な言い回しを好み、常に穏やかな笑顔と腕組みを崩さないほか、モーションも気取ったようなものが多い。

『牙琉法律事務所』を経営している弁護士であり、『法曹界でもっともクールな弁護士』、そして『現在の法曹界で最高の弁護士』と謳われる男でもある。
サイバンチョからの信頼も篤いが、詩的な言い回しについては上手く解釈されないことも。

また、今作の主人公・王泥喜法介の師匠であると同時に、前作までの主人公・成歩堂龍一の親友でもあるキーパーソン。
成歩堂が弁護士資格を剥奪された際、それに只一人彼が異議を唱えた…というのが親友となった経緯。
王泥喜が彼に師事するまでの詳細は不明。

弟である牙琉響也も検事で、兄弟そろってドリル。(しかもこちらは7年前からずっと同じ髪型。)
一見、兄とは対照的なラフな服装と口調かつ「女の子にモテたい」という理由でバンド活動までしている響也とは真逆の印象を受けるが、
彼がポエムを詠む理由も「女の子にモテたい」からだと推測されており、根本的には似た者同士なのかもしれない。


第1話『逆転の切札』から登場。
本作における所謂 ”助手ポジション” のキャラクターであり、千尋さん同様、師匠として初弁護の王泥喜のサポートをしてくれる。


ただ、1話の事件の依頼人(=被告人)は成歩堂なのだが、成歩堂は何故か親友である彼ではなく王泥喜に弁護を依頼した。
恐らくは自身の裁判すら利用して王泥喜を成長させようという計らいと、ゲームチュートリアルとして主人公を操作させる為のご都合主義のようなものだろう。


その後はシリーズの宿命通り、千尋さんと同じように第2話にて退場してしまう…などという事もなく、
最後まで新米弁護士である王泥喜の良き師匠であり続け、彼の成長を成歩堂と共に見守った。





追記・修正はアニオタ界でもっともクールなwiki篭りになってからお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポエムッと/
そう・・・・そのときから、なんだよ。
ぼくの友人の項目が、ちがって見えだしたのは・・・・



















以下、ネタバレ注意。











 *  うそです   +
      ∧_∧ _∧
 +  (* ´∀`)´∀`)
   n/    \n  \n
 (((ヨ  )   ノ\E) ノ\E)))
     (_⌒ヽ ⌒ヽ
      ヽ ヘ | ヘ |
  ε≡Ξ ノノ `Jノ `J 









第1話の事件の真犯人。

最後まで王泥喜の良き師匠であり続けたというのは全くのであり、彼は殺人罪で独房に収監、弁護士バッジも剥奪されてしまう。
成歩堂が彼に弁護を頼まなかったのも上記の理由からではなく、被害者・浦伏影郎(うらふしかげろう)の死体発見後に彼に電話をかけた際、彼の話しぶりに違和感を覚えたため。

王泥喜の隣のポジションも成歩堂に奪われさすがに弁明を試みるも、成歩堂のアドバイスを受けながら状況を読み解いていった王泥喜の推理と現場からの報告によって暴かれ、遂に犯行を認めてしまう。
こうして王泥喜は、第1話にしていきなり師匠と職場を失うこととなった…。


それまで逆転シリーズ第1話どころかほぼ全ての犯人は、裁判で召喚される検察側の証人であることが通例だったため、
まさか主人公の師匠という主要キャラが被害者どころか犯人だったという展開に衝撃を受けたプレイヤーも多いだろう。

彼が浦伏を殺した理由は1話では明らかにされないが、流石に1人の殺人だけでは死刑判決までは下されなかったようで、
第4話で成歩堂が刑務所の彼を訪ねた際には刑務所の作業に参加している事が明らかになっている。


+ 更なるネタバレ


認めぬ! 認められぬッ! こんな・・・・こんな法廷など!
法が・・・・法律だけが❝ゼッタイ❞なのだッ!



なんと彼は最終話の事件の犯人でもあり、成歩堂が弁護士資格を失うことになった元凶でもあった。
早い話が、本作のラスボスかつ黒幕


その本性は歪んだプライドの持ち主で、1話で浦伏(という偽名を使っていた或真敷ザック)を殺害したのも、
「7年前の事件の裁判で自分を担当弁護士から外したから」という極めて身勝手な動機によるもの。

7年前の或真敷天斎(あるまじきてんさい)殺人事件において、ザックの弁護を引き受けた彼は無罪立証のために1000万もの大金をかけて証拠品を捏造。
しかしその本性を見抜いたザックは、担当弁護士を彼から成歩堂に変えてしまった…というのがその経緯。
まあ当のザックの本性も大概最低なのだが。本性を見抜いたのも捏造証拠品云々ではなくまさかのポーカーであり、普通の感性を持った弁護士でもキレても仕方ない。

こうして自身のプライドを傷つけた成歩堂とザックを恨むようになった彼は、
事件の担当検事だった響也に、偽の証拠品の制作を依頼しておいた絵瀬土武六(えせどぶろく)を召喚させるように仕向け、成歩堂には証拠品捏造の罪を押し付けることで失脚させた。
(ちなみに、響也はこれが自身初となる法廷だった。)

その後、偽の証拠品を実際に制作した土武六の娘・まことを口封じのために殺害するべく毒入りの切手を彼女宛に送るも計画は失敗、
そして父・土武六が7年後の今になってその切手を舐めてしまった…というのが、最終話の事件の真相である。
また、サブプランとしてまことには毒入りマニキュアまで贈っており、執拗なまでに証拠隠滅を図っている。

裁判では成歩堂からの「差し入れ」を受け取った王泥喜および響也によってその事を追及されるも、それを証明する確たる証拠は存在せず、2人の主張は ”可能性” 止まりでしかなかった。
しかしその裁判には密かに『裁判員制度』が試験導入されており、一般市民である裁判員たちは、容疑者であるまことの無罪を疑わなかった。


なるほどう・・・・なるほどう・・・・

なああああぁぁぁぁぁぁぁああぁぁるううぅぅぅぅうううぅぅぅぅぅほおおおおおぉぉぉぉぉぉぉおおぉどぉぉおおおおおぉぉぉおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ

裁判員制度の導入を取り仕切っていたのが成歩堂だと知った彼は、自身の感情を爆発させるかのように、
ダイナミックに納得しながら親友だった男の名前を叫びながら『法の絶対性』を訴えるも、判決は覆らずあえなく御用となった。


何よりも ”法” を絶対視し、「無知な民衆が法廷に関わるなど許されない」とまで言っていた彼だが、
その彼自身は何度も法の ”抜け道” を探しては数々の悪行を行ってきた外道であり、劇中でも実際に響也にそのことを指摘されていた。


今回・そして7年前の事件は解決したが、「法廷では証拠が全て」とする裁判の鉄則は決して完璧ではないことが証明された形でもある。
そして、『法曹界の暗黒時代』と呼ばれるに至った事件はもう一つ起きており、成歩堂や王泥喜は更なる戦いに挑むこととなる。


また、彼は成歩堂にも解除することができない黒いサイコ・ロックを劇中で発現していた唯一の人物である。




+ 彼に関する余談


ここまで記したように、この牙琉霧人というキャラクターは、前作の主人公である成歩堂を陥れて弁護士資格を剥奪するばかりか、
今作の主人公である王泥喜の前にも最後まで立ちはだかり続ける、恐るべきラスボスとして描かれたはずだった。

そう、そのはずだったのだが……

ファンからは殆どネタキャラとして扱われているというのが現状である。


実際、彼が劇中で行った犯行は抜け穴やツッコミ所だらけのものであり、その小物臭プンプンの言動や最後の自爆っぷりからも、
「シリーズ最弱のラスボス」としての呼び声も高い。

以下、その一例。
〇1話
  • まずラスボスのくせに1話で捕まっている時点で残念。
  • 直接ゆさぶられたわけでもないのに、犯人しか知り得ない情報を勝手に喋って勝手に追い詰められていく。
    • 1話で成歩堂に疑われたのも、「キズひとつないボーンチャイナにヒビを入れたのは‥‥」と被害者についての無駄なポエムを口走ったことが原因。
    • 続けて法廷でも「静かな情熱‥‥青い炎を背にまとったカードだけが~」などと現場に関するポエムを詠んだことで、成歩堂に犯人だと確信される*1
  • 成歩堂が偽造した証拠品にまんまとひっかかる*2
  • ザック(浦伏)殺害の際、標的が来るかどうかも分からないのに隠し通路でずっと殺害の機会を窺っていた。
    • そもそもザックは指名手配されていたので、その場で警察に通報すれば(殺人に拘らなければ)復讐は完遂できていた。
  • 逮捕の際、「これが7年前の復讐ですか」と余計なことを呟いたせいで、成歩堂に弁護士資格剥奪事件との関与を疑われる。

〇4話
  • 刑務所内の独房は豪華でVIP待遇かと思いきや、作業には参加させられている情けなさ。*3
  • 捏造した証拠品を使う予定だった相手が初めて裁判に挑む弟(17歳)。
    • その捏造証拠品の文面が「いざ、さらば!」などとやたら大袈裟で、ファンからは「自分で必死で考えた」と馬鹿にされる。
  • 切手での殺人トリックは、わざわざまことがファンだった或真敷一座の切手を使ったせいであっさり失敗。
    • そもそもそのトリックも「切手は舐めるもの」という前提で組まれた雑なトリック。弟からは「切手を舐めるような人とは仲良くしたくない」と言われる。
  • 改めてまことを殺害すべく送った毒入りマニキュアは、自分と同じ物を使ったため成歩堂と響也にあっさり特定された。
  • 自身が「最高の親友」だとする独房で飼っているに手を咬まれており、まことに「悪魔」と評された手の傷跡はその傷跡だとファンからネタにされる。
  • 当時12歳のまことに手の傷跡である「悪魔」を見られており、悪魔が見えるタイミングが緊張する瞬間であるため、少女の前で緊張することからロリコン疑惑が浮上。
  • 後に黒いサイコ・ロックは「深層意識から無意識に発現したもの」と明らかになるが、隠されていたのは「嫉妬と逆恨み」という何のことはない動機。
  • 依頼を断られただけで傷つくという、狩魔のカンペキ主義と比べるととんでもなくちっぽけなプライド。
  • 実に7年もの間、自身の犯行の発覚を恐れてたった1人で事件の関係者をストーキングし続ける。
  • 最終話で「独房にいても様々な情報が入ってくる」などと豪語するが、自分の法廷が初の裁判員制度導入裁判として生中継されていることを知らない。
  • そのせいでまたしても要らんことをベラベラ喋りまくる。まるで成長していない。
  • その上、結局は証拠不十分で起訴できない状態だったにもかかわらずあっさり自白し自爆。その時のブレイクモーションと併せて滑稽さが際立つ結果に。
  • プレイヤーの手でトドメをさせない。

などなど、そのマヌケっぷり故に逆にファンからの人気は高く、2013年の人気投票では16位を記録している。(『4』のみ登場するキャラの中ではトップ
一応、1話でいきなり敗北するも再び立ち塞がる…という流れ自体は前作ちなみと同じであり、
さらに殺人以外の犯行にも目を向ければ「伝説の弁護士・成歩堂龍一を法曹界から追放する」という別格の実績*4を持ってはいるのだが、
やはり「つまらないミスを連発して敗北」と「しょうもない動機で人を殺す器の小ささ」という点が、どうしようもなく評価を下げてしまっている。


ただ唯一、彼が成歩堂を庇った理由は最後まで不明であり、順当に予想するならば、
「形だけでも庇うフリをすることで、自身が成歩堂を陥れた犯人だと思わせないため」
「どうせ資格剥奪の結果は覆らない、ということを見越しての余裕の表れ」
辺りが妥当なのだろうが、彼が劇中で(自業自得とはいえ)弟子や弟など近しい人物に次々と見放されることから、
実は本当に成歩堂の親友になろうとしていた(=だから弁護士資格を奪い、そこにつけ込んだ)のでは?
と、それすらもファンからネタにされる始末。
とはいえもしも本当に彼が「見下していたはずの成歩堂と本当は気の置けない友達になりたかった」とすれば、
自己愛の権化のような霧人にとって、それは認めてしまえば精神崩壊ものの話と言えなくもないわけで、
成歩堂から犯行動機を聞かれた際、単なる嫉妬程度で黑いサイコロックが現れた事実と妙に符合が一致してしまっている…。

余談だが、ゲームPVで牙琉兄のCVを担当した津田氏はニンテンドー3DSの『大逆転裁判』においてもバロック・バンジークスの声を担当。
過去シリーズのキャラと声優が同じという、数少ない例となった。









追記・修正は、黒いサイコ・ロックを発現させてからお願いします。

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最終更新:2025年06月23日 20:32

*1 提出された現場写真はモノクロだった

*2 とはいえ捏造を嫌う成歩堂が違法な手段を講じるはずがないと考えるのは自然である

*3 まあこれは当然と言えば当然

*4 続編である『5』『6』における成歩堂の活躍を踏まえれば尚更である。