黄金のたてがみのアジャニ/Ajani Goldmane(MTG)

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黄金のたてがみのアジャニ/Ajani Goldmane(MTG) - (2023/02/26 (日) 10:20:19) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2011/06/02 Thu 08:41:58
更新日:2024/03/28 Thu 09:58:01
所要時間:約 5 分で読めます




強者が弱者を蹂躙する時、そこに私がいるだろう。


概要

黄金のたてがみのアジャニ/Ajani Goldmaneとは、マジック:ザ・ギャザリングに登場する、ナカティルというナヤ次元のレオニン*1である男性プレインズウォーカーアジャーニではない。
その容貌は『左眼の潰れた、直立した大柄な雄ホワイトライオン』と言えば大体その通り。なお、ファンからの愛称は『 アジャにゃん 』。アジャにゃんもふもふ

彼はナカティルのとある群れの王であるジャザル/Jazalの弟だが、ナカティルは彼の体が死の色とみなす白色である事から「縁起が悪い」として忌避しており、そのせいかしばしば死の危機に瀕し、その都度ジャザルに助けられていた。
黄金のたてがみ/Goldmaneという(二つ)名もジャザルに与えられた、白い体毛が太陽の光を透かすと黄金色に見えるさまを称えてのもの。*2
しかし年に一度の祝祭の夜、群れを襲撃した悪鬼達によってそのジャザルが殺害されてしまう。アジャニのプレインズウォーカーの灯が点ったのは、この事への怒りからであった。
以来、アジャニはジャザルの死で離散してしまった群れの再建と、兄の仇を討つ事を目指したのをきっかけに旅を続けている。その中で知り合った他のレオニン族からは単なる客人以上の歓迎を受けており、またエルズペスなど多くの知人・友人も得ている。



ゲームでの性能

を代表するPWという扱いから登場頻度は高く、魂の光/Soul's Lightという魔術の使い手である事の再現として、主にライフに関連した能力と、クリーチャーや他のPWを支援する能力を持つ。
登場時の色は基本的に白だが、他の登場PWとの色バランスの兼ね合いから緑白となる事もあり、1度だけ赤白で登場した事もある。

Ajani Goldmane / 黄金のたてがみのアジャニ (2)(白)(白)
プレインズウォーカー -アジャニ(Ajani)
[+1]:あなたは2点のライフを得る。
[-1]:あなたがコントロールする各クリーチャーの上に+1/+1カウンターを1個置く。それらのクリーチャーは、ターン終了時まで警戒を得る。
[-6]:白のアバター(Avatar)・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。それは「このクリーチャーのパワーとタフネスはそれぞれ、あなたのライフの総量に等しい。」を持つ。
初期忠誠度:4

ローウィンで初登場した時のアジャニ。レアリティはローウィンではレア、基本セット2010及び基本セット2011では神話レア。
能力はそれぞれライフゲイン、クリーチャーパンプ、セラのアバター召喚と中々優秀だが、特に2つ目の能力が頭一つ抜きん出る効果。

[-1]:あなたがコントロールする各クリーチャーの上に+1/+1カウンターを1個置く。それらのクリーチャーは、ターン終了時まで警戒を得る。

まさに白ウィニーに入れろと言わんばかりの内容である。
クリーチャーが除去されていなければ、このアジャニが出る頃には2、3体は並んでいるはず。それらクリーチャーに警戒を発動ターン中与えつつ持続的な強化を撒き、攻撃しても相手ターンのブロックへ回せる。

プラス能力も持久戦に貢献する上、奥義とシナジーするため使う価値は十分。
奥義はセラのアバター召喚。+1効果で増やしたライフが10も残っていれば十分に強いが、削られていなければとんでもないパワーとタフネスを叩き出す。

基本的にウィニーは-1能力を使うものの、クリーチャーの数が少ないならライフゲインしつつ-1能力の回数を稼ぐという選択肢もある。プレインズウォーカーらしく臨機応変に使おう。奥義はまぁインクの染みでいいだろう。
ただ白ウィニーに採用するにしては4マナと若干重いのが弱点で、さらに白ウィニー以外に採用するにはプラス能力がほぼ「何もしない」と同義だったため、白ウィニー以外での採用は見送られがちだった。
しかしやはり出た時期が素晴らしい。当時は白ウィニーの一種「白キスキンウィニー」が大盛況だった頃であり、それらのデッキに入れることもあった。
……必須じゃなかったのって?使用感がちょっと癖があって……さらに当時のプレインズウォーカーは非常に物珍しいタイプであり、《野生語りのガラク》が大活躍したことから連鎖的に高値を付けられる傾向にあった。
つまり「貧乏デッキ」という側面のある白ウィニーに「高額なくせに4マナと重いカード」を入れるという冒険をすることになるため、採用しない人も結構多かったのだ。

余談だが、同じ白のプレインズウォーカーである「遍歴の騎士、エルズペス」とは相性が良い。二枚並べるなら他のクリーチャーを並べろ、と言われるだろうがエルズペスのトークン生成とアジャニのライフゲイン&クリーチャーパンプの組み合わせは中々しぶとい。もし奥義まで粘られたら破壊不能化した大量のクリーチャー(・トークン)が+1/+1カウンターガン積みかつ警戒持ちで殴り込んでくるというとんでもない状況になる。
実用性はともかく、中々ロマンがあるのではないだろうか。実際、奥義まで粘ることが皆無とはいえアジャニの小マイナスとエルズペスの相性がいいことには変わりない。

Ajani Vengeant / 復讐のアジャニ (2)()()
伝説のプレインズウォーカー — アジャニ(Ajani)
[+1]:パーマネント1つを対象とする。それはそれのコントローラーの次のアンタップ・ステップの間にアンタップしない。
[-2]:クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。復讐のアジャニはそれに3点のダメージを与え、あなたは3点のライフを得る。
[-7]:プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーがコントロールするすべての土地を破壊する。
初期忠誠度:3

アラーラの断片で登場したアジャニ。時系列的には初出時より前、ジャザルの死から間もない頃であり、そのためか赤が混ざっている。
アジャニのカードの中では非常に珍しい、かなり攻撃的なテキストである。

能力はそれぞれアンタップの制限、《稲妻のらせん/Lightning Helix》、1人限定の全土地破壊と攻撃的。
特に小マイナス能力が強力であり、スタンダードはもちろんエクテン・レガシーまで活躍し、青白コントロールがこれのために色をタッチする事例も多かった。
特にワールドウェイク発売後は、フェッチランドと、そのフェッチと異常に相性のいい神ジェイスのおかげでまったく違和感なく入れることができることから人気を博す。そしてデッキの値段がとんでもないことになってる
プラスも強烈であり、土地を寝かせることができたり、脅威となるタフネス4以上のクリーチャーを寝かせたり、変わったところでは《ギデオン・ジュラ》を寝かせてクリーチャー化能力を牽制することもできた。
そして奥義もまたえげつなく、膠着状態になってしまうと奥義で逆転を完全に断たれ、かといってクリーチャーを出して対処しようとしてもプラスで寝かされたり隣の《遍歴の騎士、エルズペス》などで攻撃が通らなかったり。
弱点は4マナだが初期忠誠度が3でプラスが1と低く、マイナス能力を気軽に使いづらいという点。そのため使い勝手には若干癖があり、馴れが必要である。

当時の赤はまだ衝動ドローどころかルーターすら存在しなかったため多色化において入れる理由が希薄であり、「赤は《稲妻》と《復讐のアジャニ》のために入れる」という意見も根強かった(アジャニがスタン落ちしてからは《稲妻》のみ)。
さらに当時の赤は本当にプレインズウォーカーが弱くたいへん嘆かれたが、大体クソリプ的に「アジャニが弱いってお前バカか?」と返されて嘆く姿も見受けられた。
再度言うが青白コンにタッチして使う事例が多かったカードである。ルール的には赤だけど運用は赤じゃねぇんだよこいつは!


Ajani, Caller of the Pride / 群れの統率者アジャニ (1)(白)(白)
伝説のプレインズウォーカー — アジャニ(Ajani)
[+1]:クリーチャーを最大1体まで対象とし、それの上に+1/+1カウンターを1個置く。
[-3]:クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで飛行と二段攻撃を得る。
[-8]:白の2/2の猫(Cat)クリーチャー・トークンをX体生成する。Xはあなたのライフの総量である。
初期忠誠度:4

基本セット2013のアジャニ。基本セット2014でも再録された。
能力はいずれもクリーチャー特化であり、プラス能力でクリーチャーを強化しつつ小マイナス能力で重い一撃を通すか、奥義の数の力で押し切るかになるだろう。
当時は白ウィニーで採用されることがあったのだが、その白ウィニーが《終末》《至高の評決》を皮切りとした全体除去の嵐のせいで鳴かず飛ばず。評価は推して知るべし。


Ajani, Mentor of Heroes / 英雄の導師、アジャニ (3)()()
伝説のプレインズウォーカー — アジャニ(Ajani)
[+1]:あなたのコントロールするクリーチャーを1体、または2体か3体対象とする。それらの上に3個の+1/+1カウンターを望むように割り振って置く。
[+1]:あなたのライブラリーの一番上から4枚のカードを見る。あなたはその中からオーラ(Aura)・カード1枚かクリーチャー・カード1枚かプレインズウォーカー・カード1枚を公開してあなたの手札に加えてもよい。残りをあなたのライブラリーの一番下に望む順番で置く。
[-8]:あなたは100点のライフを得る。
初期忠誠度:4

テーロス・ブロック第3セット「ニクスへの旅」で登場したアジャニ。この辺りから他のPWとの差別化の兼ね合いで緑が入るようになった。この時の他の白PW枠はエルズペス
100点のライフを得るというあまりにも投げやりなシンプルな奥義が際立つが、それ以外は手札補充、割り振り強化とバランスのいい能力が揃っている。忠誠値が上げやすいのが強み。
環境ではタルキール覇王譚期以降のアブザン(白黒緑)系デッキで採用されたが、ぶっちゃけアナフェンザや包囲サイをはじめとしたグッドスタッフ系のデッキであり、アジャニはそこまで目立ったカードではなかった。入れない型も多かったし。
一方でテーロス期には《時の賢者》という追加ターンを得るカードがあり、この《時の賢者》に毎ターン5つの+1/+1カウンターを乗せるギミックを完成させることで無限ターンを得るというカジュアルデッキが存在した。
それらのデッキにおいては《前哨地の包囲》ともども「状況を選ばずにカウンターを乗せることができる」という点で活躍した。


Ajani Steadfast / 不動のアジャニ (3)(白)
伝説のプレインズウォーカー — アジャニ(Ajani)
[+1]:クリーチャーを最大1体まで対象とする。ターン終了時まで、それは+1/+1の修整を受けるとともに先制攻撃と警戒と絆魂を得る。
[-2]:あなたがコントロールする各クリーチャーの上に+1/+1カウンターをそれぞれ1個、あなたがコントロールする他の各プレインズウォーカーの上に忠誠(loyalty)カウンターをそれぞれ1個置く。
[-7]:あなたは「いずれかの発生源があなたかあなたがコントロールするプレインズウォーカーにダメージを与えるなら、そのダメージを1点を残してすべて軽減する。」を持つ紋章を得る。
初期忠誠度:4

基本セット2015で登場した、M15枠初かつ1年ぶりに白単なアジャニ。+1能力は単体強化、-2能力はカウンター配置、奥義はダメージの軽減。色拘束が緩く4マナなのも程良い重さ。
シングルシンボルなのはテーロスでの旅の果て、大切な友のエルズペスを不当な仕打ちで以て殺めたテーロスの神々に対し、「信心を捨てる」程の怒りを覚えた事の表現だろう。
プラス能力は回避こそ効かないが迎え撃ちつつしぶとく戦え、-2能力はトークン含むクリーチャーやPWをどんどん出すデッキに相性抜群。また奥義もランプに多い少数精鋭で攻めるデッキによく刺さる。
ただ正直4マナ使ってやるようなことではない上に、奥義も勝ちにつながらず、すべての能力が他のカードの併用を前提にされているため本当に使いづらい。たとえば全体除去の返しに引いても全然役に立たない。
そのためまったく活躍することなくスタンダードを去っていった。


Ajani Unyielding / 不撓のアジャニ (4)()()
伝説のプレインズウォーカー — アジャニ(Ajani)
[+2]:あなたのライブラリーの一番上からカードを3枚公開する。これにより公開されたすべての土地でないパーマネント・カードをあなたの手札に加え、残りをあなたのライブラリーの一番下に望む順番で置く。
[-2]:クリーチャー1体を対象とし、それを追放する。それのコントローラーは、それのパワーに等しい点数のライフを得る。
[-9]:あなたがコントロールする各クリーチャーの上に+1/+1カウンターをそれぞれ5個と、あなたがコントロールする他の各プレインズウォーカーの上に忠誠(loyalty)カウンターをそれぞれ5個置く。
初期忠誠度:4

カラデシュ・ブロック第2セット「霊気紛争」で2年半ぶりに登場したアジャニ。+2能力は限定的サーチ、-2能力は剣を鋤に、奥義はカウンター配置。
名前が読めないが「ふとう」、不屈の類語。しかしこれのせいで直前の「不動(ふう)のアジャニ」と非常に混ざりやすい。

プラス能力はドローがやや不確実だが、出てすぐこの能力から入ればそうそう落ちない。ドローしやすくするなら構築段階から非パーマネント呪文を少なくする、占術持ちを入れるなどのフォローをしたい。
マイナス能力はソーサリー・タイミングかつ1ターンに1回かつ相手のライフが回復するが、追放なので破壊不能を貫通でき、厄介なブロッカーをどかすのに便利。ただ初期忠誠値が4なのに忠誠値の減り方がえげつなく、下手すれば「6マナのソープロ」というクソみたいなカードになりかねない。
そして奥義だが、横に並べないと活きづらく、勝利へ直結する事もそう無く、十分に活きる状況ならそもそも発動前に勝利しがちなのが悩みどころ。6マナな手前出るのが遅くなりがちというのもあり、どうにも活かしづらい。
良くも悪くも緑白らしく堅実にアドバンテージを稼ぐPWだが、ボード・アドバンテージにあまり貢献しないのが難点。登場当時のスタンダードに-2能力の効かない機体・アーティファクトが多かったのも向かい風となっている。
フレンズ(プレインズウォーカーを軸にしたデッキ)での活躍が目されたが、6マナと重いわりに勝利に直結する効果を持たないこと、そもそも機体の性能が強すぎてプレインズウォーカーに逆風が吹いていたこと、カラデシュ期が禁止カードが連発するほどのインフレ環境だったため、空気のままで終わった。
それどころか肝心のフレンズデッキですらアジャニ様のより一層のご健勝とご活躍を心よりお祈りされるなど、非常に扱いの悪いカードだった。
ぶっちゃけこのカードに寄せるだけの価値がなく、評価できるマイナス能力がまったく刺さらない環境だったのがひどい。

冗談抜きでストーリーでの《絶妙なタイミング》あたりが一番の活躍だったかもしれない。


Ajani, Valiant Protector / 勇敢な守護者、アジャニ (4)()()
伝説のプレインズウォーカー — アジャニ(Ajani)
[+2]:クリーチャー最大1体を対象とし、それの上に+1/+1カウンターを2個置く。
[+1]:クリーチャー・カードが公開されるまで、あなたのライブラリーの一番上からカードを1枚ずつ公開する。そのカードをあなたの手札に加え、残りをあなたのライブラリーの一番下に無作為の順番で置く。
[-11]:クリーチャー1体を対象とし、それの上に+1/+1カウンターをX個置く。Xはあなたのライフ総量に等しい。ターン終了時まで、そのクリーチャーはトランプルを得る。
初期忠誠度:4

霊気紛争のプレインズウォーカーデッキに登場したアジャニ。
大プラス能力は群れの統率者、アジャニの+1能力を丁度2倍にしたような効果。サイズの伸びが良いため、小型のクリーチャーでも大型に育てやすい。白に多い二段攻撃持ちや、歩行バリスタのような+1/+1カウンターを扱うクリーチャーとの相性も抜群。
少プラス能力はクリーチャーの掘り当て。追加のクリーチャーが欲しい時に+2能力の代わりとして使うのが主な使途か。唱えるマナが別途必要ながら忠誠度を増やせ、出したクリーチャーを落とされなければこちらのクリーチャーをどんどん増やせるため、どんな相手も物量で押し切れる。
小型を引いてしまっても+2能力で強化すれば良いので自己完結性も高く、こちらから入っての忠誠度5も簡単には落ちない。非大型クリーチャーを非クリーチャーからのトークンに委ね、大型クリーチャーを出したい時に確実に引き当てるというロマンティックな運用も可能。
奥義は1体にライフ総量分の+1/+1カウンターを置いてそのターン中トランプルを付与。アジャニらしさ満点のフィニッシャー作成能力だが、+2能力だけでは発動まで4ターン掛かり、6マナという重さを勘定すると発動までに勝負が付きやすい感が否めない。
また劣勢時だと修整に伸び悩み、また除去耐性が付かないので処理も楽、と勝利へのつながりやすさはどうにも不安定。持久戦へのプレッシャーにはなるのが不幸中の幸いか。
いずれも単純ながら確実に戦場を強固にでき、特にビートダウン系デッキとの相性が良い。総合すると終盤の息切れ対策として期待できる一枚であり、PWデッキ産らしからぬパワーの持ち主と言えなくもない。


Ajani, Adversary of Tyrants / 暴君への敵対者、アジャニ (2)(白)(白)
伝説のプレインズウォーカー — アジャニ(Ajani)
[+1]:クリーチャー最大2体を対象とし、それらの上に+1/+1カウンターをそれぞれ1個置く。
[-2]:あなたの墓地から点数で見たマナ・コストが2以下のクリーチャー・カード1枚を対象とし、それを戦場に戻す。
[-7]:あなたは「あなたの終了ステップの開始時に、絆魂を持つ白の1/1の猫(Cat)クリーチャー・トークンを3体生成する。」を持つ紋章を得る。
初期忠誠度:4

基本セット2019で白単としては4年ぶりに登場した、ブロック制廃止後初のアジャニの片方。忠誠度能力は2体までの単体強化、小型クリーチャーのリアニメイト、トークン生成紋章の獲得、と白ウィニー向け。
当時のスタンダードではやはり白ウィニーに多く採用され、ローテーション後は加えてトークン生成と全体強化を軸としたセレズニア(緑白)デッキでも採用。ラヴニカの献身期には+1/+1カウンターとのシナジーを持つ《成長室の守護者》と併用するタイプも登場した。
忠誠度能力がシンプルかつ腐りにくいのもあり、ウィニー特化でなくとも白がある程度濃ければとりあえずで採用できるのは優秀と言えるだろう。
スタンダード以下の環境でもまれに見受けられる。アジャニの長い歴史の中でもかなり活躍した方だろう。


Ajani, Wise Counselor / 賢明な助言者、アジャニ (3)(白)(白)
伝説のプレインズウォーカー — アジャニ(Ajani)
[+2]:あなたは、あなたがコントロールしているクリーチャー1体につき1点のライフを得る。
[-3]:ターン終了時まで、あなたがコントロールしているクリーチャーは+2/+2の修整を受ける。
[-9]:クリーチャー1体を対象とし、それの上に+1/+1カウンターをX個置く。Xはあなたのライフ総量に等しい。
初期忠誠度:5

基本セット2019のプレインズウォーカーデッキに登場したアジャニ。ライフゲイン、全体修整、単体強化といずれもクリーチャーありきの内容。
プラス能力などでライフを稼いでから、奥義を除去耐性か回避能力持ちに積んでも良いが、そこまでのんびりできないならどんどんマイナス能力を使って攻め、盤面のアドを握るのも手だろう。
手札アドを稼ぐのが苦手な白のため、クリーチャーの安定供給を考えるならデッキを多色化し、その手段を増やしたいところ。


Ajani, the Greathearted / 寛大なる者、アジャニ (2)()()
伝説のプレインズウォーカー — アジャニ(Ajani)
あなたがコントロールしているクリーチャーは警戒を持つ。
[+1]:あなたは3点のライフを得る。
[-2]:あなたがコントロールしている各クリーチャーの上に+1/+1カウンターをそれぞれ1個と、あなたがコントロールしている他の各プレインズウォーカーの上に忠誠(loyalty)カウンターをそれぞれ1個置く。
初期忠誠度:5

灯争大戦に登場した、霊気紛争以来の緑白アジャニ。灯争大戦のPW共通の忠誠度能力でない能力は《セラの祝福》。忠誠度能力はライフの固定値回復と、自分のクリーチャー及びPWへのカウンター配置。
元々アンコモンとして登場予定だったとあってかそう派手な能力は無いものの、回復シナジーに全体強化と他PWの延命兼奥義への加速など、サポートとして優秀ないかにもアジャニらしい内容となっている。
クリーチャー兼PWには両方のカウンターを置け、自身にもクリーチャーになっていれば+1/+1カウンターが乗るなど、実用性度外視の独創性に富んだ戦法・戦術の種になりえる一枚……かもしれない。

ただ初期忠誠値が高いものの、全体的に使いづらさが目立つ。この時期から「フレンズ」と呼ばれるようになったデッキにも入ることはなかった。
そもそも灯争大戦以降は環境が一気にインフレし、アジャニはおろかアジャニよりも活躍しそうだったカードたちすら次々とデッキから抜けていくというシビアな時代だった。
結局さっぱり活躍することなく、スタンダードから落ちる時は「なんだっけこのアジャニ」というほどに空気となっていた。
一概に比較は難しいが、《黄金のたてがみのアジャニ》よりも弱いと評価する向きもあるほど。スポイラーの時点でプロプレイヤーの行弘賢に「アジャニよ、、、弱い」とまで評された。



Ajani, Strength of the Pride / 群れの力、アジャニ (2)(白)(白)
伝説のプレインズウォーカー — アジャニ(Ajani)
[+1]:あなたは、あなたがコントロールしているクリーチャーの総数とあなたがコントロールしているプレインズウォーカーの総数の合計に等しい点数のライフを得る。
[-2]:《アジャニの群れ仲間/Ajani's Pridemate》という名前で「あなたがライフを得るたび、アジャニの群れ仲間の上に+1/+1カウンターを1個置く。」を持つ白の2/2の猫(Cat)・兵士(Soldier)クリーチャー・トークンを1体生成する。
[0]:あなたのライフが、あなたの初期ライフ総量よりも15点以上多いなら、群れの力、アジャニと、対戦相手がコントロールしている各アーティファクトと各クリーチャーをそれぞれ追放する。
初期忠誠度:5

基本セット2020に登場したアジャニ。忠誠度能力はライフ回復、トークン生成、自身と相手の追放。
回復とそこからシナジーを得られるクリーチャーの生成を自前で備えるという回復シナジーの軸にしろと言わんばかりの内容が最大の特徴。奥義も構築段階からしっかりケアすれば十分に狙える上、忠誠度を溜める必要が無いため理論上出して即発動できるのが嬉しいところ。
とはいえ条件が厳しい事には変わりが無く、コントロールが強い環境となると投入はそうそうできない。これまたライフ回復に富む白単信心なら安定した活躍を見込めそうなのが不幸中の幸いか。《アジャニの群れ仲間》をしっかり育てて確実に勝ちを狙いたい。


Ajani, Inspiring Leader / 鼓舞する指導者、アジャニ (4)(白)(白)
伝説のプレインズウォーカー — アジャニ(Ajani)
[+2]:クリーチャー最大1体を対象とする。あなたは2点のライフを得る。それの上に+1/+1カウンターを2個置く。
[-3]:クリーチャー1体を対象とし、それを追放する。それのコントローラーは2点のライフを得る。
[-10]:ターン終了時まで、あなたがコントロールしているクリーチャーは飛行と二段攻撃を得る。
初期忠誠度:5

基本セット2020のプレインズウォーカーデッキに登場したアジャニ。PWデッキ産にしては中々のカードパワーの持ち主。
プラス能力は終盤の延命とライフ回復シナジーに貢献し、クリーチャーをコントロールしていなくてもとりあえずでライフ回復目当てに起動できるのが嬉しいところ。
マイナス能力は回復量固定の《剣を鋤に/Swords to Plowshares》。無制限追放の強さを考えれば忠誠度-3と2点回復程度のデメリットではお釣りが出るというもの。これで脅威を取り除いてからプラス能力で強化したクリーチャーをぶつけるのが定石か。
奥義はそのターン中限定だが飛行と二段攻撃を与えるというもの。回避能力だけでなくパワーを実質2倍にするという中々派手な内容で、事前に並べておけたならゲームセットは目前。
また、同時収録のカードに相性の良いものがあるため、PWデッキ同士の対戦では中々強力。奥義を目指すかそれ以外でアドバンテージを刻むかは状況を見ながら見極めたい。


余談

上述の通り《復讐のアジャニ》のトーナメント実績が頭一つ抜けており、当時のスタンダードどころかレガシーですら見かけたカードである。
あとは正直当時のスタンダードをプレイしていないと分からないか、していても記憶がおぼろげになりやすいほどしょっぱい性能。
派手な活躍で名をはせた白のPWであるギデオンやエルズペスの陰に隠れやすい。
ストーリー的にはどんどん人格がぐう聖寄りに成長しているため、ストーリーラインが下る=人格が完成していくごとに空気になっているという、実に皮肉な存在である。


スタンダードなどでよく使われた《英雄的介入》のフレーバー・テキストがたまに話題になる。
「強者が弱者を蹂躙しようとするとき、そこに私がいるだろう。」
――黄金のたてがみのアジャニ
イラストや効果などから素直に普通にとらえるなら「アジャニは弱い者いじめを決して許さない正義の味方だ」となるのだが、このテキストは別にどちらに立つとは言ってない
つまり「黙れ!私は常に強い者の味方だ!」的なクソ外道のようにもとらえられる、という言葉遊びである。
他にも灯争大戦の《団結の誓約》が公開された時は、そのイラストの構図から「最終痴漢電車」と呼ばれたりなど、ネタっぽいイラストやテキストには何かと事欠かない。


アジャニは概要で説明したようにレオニンなのだが、小説「Forsaken」で諸事情あって居間の隅で寝ていた時の姿はチャンドラの述懐に曰く「世界で一番大きな飼い猫のようだった」との事。やっぱり猫じゃないか

エルズペスに頼られる人格者でもあり、子供やチャンドラにもかわいいと言われるような愛嬌も併せ持った、まさに「気は優しくて力持ち」を地で行く正義のレオニン。
カードの方はイマイチなものが連綿と続いているが、ここ最近では「ニューカペナの街角」の背景ストーリーで登場。エルズペスの愚痴を聞いて献身的で建設的なアドバイスをするという重要な役目を果たした。
2022年の「団結のドミナリア」のキービジュアルでも、いかにも主人公然とした勇猛なたたずまいを見せつけている。
きっとこれからもセレズニアカラーのPWの顔役として、ギデオン亡き後の白PWの常識人枠として、えてして殺伐としたMTGにおける癒し枠として、そして何よりローウィンから登場した最古参組の白PWとして活躍を続けていくことだろう。




白ウィニーの使い手は追記、修正お願いします。

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Φ-ALL_WILL_BE_ONE-Φ-


 アジャニは無傷の目を恐怖に見開いた。やめろ、やめろ、やめろ。彼は拒むようにかぶりを振り、くぐもった呟きを発して自身の腕を強く掴んだ。まるで皮膚の下に走るファイレクシアのケーブルに抵抗し、それを出させまいとするかのように。だがそれらは彼を貪り食い、筋肉と毛皮を引き裂き、彼自身の下に組み込まれていたファイレクシアの筋組織を露わにした。滑らかで、密な。
 アジャニは完成されていたのだ。彼こそがスパイ、裏切り者だったのだ。彼はシェオルドレッドに連合を売ったのだ。

潜伏工作員、アジャニ (1)(緑)(Φ/Φ)(白)
伝説のプレインズウォーカー — アジャニ
完成化((Φ/Φ)は(緑)でも(白)でも2点のライフでも支払うことができる。ライフで支払うなら、2個少ない忠誠カウンターで戦場に出る。)
[+1] あなたのライブラリーの一番上にあるカード1枚を公開する。それがクリーチャーやプレインズウォーカーであるカードなら、それをあなたの手札に加える。そうでないなら、それをあなたのライブラリーの一番下に置いてもよい。
[-3]クリーチャー最大3体を対象とし、3個分を割り振る。それらの上にその割り振った個数の+1/+1カウンターを置く。ターン終了時まで、それらは警戒を得る。
[-6]「あなたがクリーチャーやプレインズウォーカーである呪文を唱えるたび、対戦相手1人を対象とする。それは毒カウンター2個を得る。」を持つ紋章を得る。
初期忠誠度:4

「団結のドミナリア」のストーリーにて再登場。「この中にファイレクシアの工作員プレインズウォーカーがいる!」という剣呑な流れにおいて、第5話で突如ファイレクシアの工作員がアジャニだったことが判明。
これまで平然とファイレクシアンと戦い続け、窮地を乗り切った矢先での出来事だった。
14年間もの間ストーリーで活躍を続け、エルズペスやタミヨウのよき相談役であり、ゲートウォッチの一員だったレオニンがファイレクシアの手先だったという非常に衝撃的な展開が待ち受けていた。
キービジュアルは「アジャニは完成化する前と後を用意した」という説明、つまり絵違い商法のために準備したものだったのだ。
これが公開されたのが深夜ということもあったのだが日本のTwitterでトレンド入りを果たし、さらにファイレクシア化した瞬間にヤヤ・バラードに重傷を負わせ*3カーンを無力化するという真面目に悪いことをしでかす。
ここでストーリーは「次回に続く!」と閉じられる、つまりヤヤの死(疑惑)とアジャニの完成、そしてカーンの行く末がクリフハンガーとなっている。

ヤヤの死(疑惑)とアジャニの「完成」。これはファイレクシアが好きなプレイヤーには盛り上がる展開だったが、その一方でオールドプレインズウォーカーやヴォーソスに大変なショックを与え、
特にアジャニ好きのケモナーは「俺たちのことを気軽に曇らせてもいい存在だと思ってないか?」とかなり真面目に落胆するなど非常に大きな反響を与えた。
ぽっと出感の否めないタミヨウに比べると、アジャニはこれまでプレイヤーがともに歩んできた、いわば主人公格の1人。それが「完成」したというのはとんでもない衝撃だった。
匿名掲示板などでも連日スレが大盛況であり、灯争大戦のレビュー期間以来の盛り上がりとなっている。

この描写を見ると「ファイレクシアの工作員は本当にまったく自覚症状がないままファイレクシアの手先として動いている」というコズミック・ホラー的な要素が強いようであり、
特にアジャニの正体が露見する寸前の絶望的な描写はその筋の人を大興奮させたこれまでのファイレクシアとは全く異質な、「身内を疑い始めたらキリがないが確実に身内におり、そして工作員本人自身が自覚していない」という厄介さを示している。
ザンチャやギックスの頃のような「自覚があるファイレクシアンが一般社会の中に混ざって工作を行っている」というあり方から大きく変化していることが伺える。
MTGのストーリーはたとえそれ以前にどれだけ人気があろうと悪堕ちすると本当にまったく同情できなくなるレベルで晩節を汚す(cf:ウルザ、アーテイ、ジャラド、ギセラなど)ため、アジャニ好きには推しキャラの死よりもむごたらしい運命が待ち受けていると考えるのが自然。
とりあえずエルドラージ化と違って「死んだ」というわけではないようなので、ひょっこりファイレクシア化がなかったことになって戻ってくるかもわからない。アジャニ好きの中にはこの路線を熱望している人もいるなど、ストーリーが大変に盛り上がっているところである。

ちなみにカードの方だが評価が非常に芳しくなく、Twitterのサジェストでは「アジャニ」と検索しようとすると「弱い」と出てくるなど前評判は大変低い。
どちらかというとルールテキストがこれまでのMTGに慣れていると違和感しかないことが指摘される傾向にある。もっぱら性能の話ではなく背景ストーリーの方が盛り上がっている始末で、新ファイレクシアが初登場した「新たなるファイレクシア」の頃とは正反対の現象が起きている*4。本当にいい時代になりましたね……。

アジャニの最後、あるいは最後への秒読みのカードがこんな評価でいいのだろうか……といってもまだ発売前の情報。
このまま「《復讐のアジャニ》の頃が一番強かった」と言われて終わるのか、それとも有終の美を飾るのか。これからの環境に期待したい。


自分の知識が足りないとしても、誰かに追記修正のチャンスを与えるために追記をするのだ。


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