紅の豚

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紅の豚 - (2015/11/22 (日) 14:21:22) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2010/06/27(日) 18:52:26
更新日:2024/04/10 Wed 13:06:36
所要時間:約 12 分で読めます




スタジオジブリ制作の長編アニメ。
原作・脚本・監督:宮崎駿

1992年7月18日公開。
当時の劇場用アニメ興行成績の日本記録を更新した。

キャッチコピーは
『かっこいいとはこういうことさ』


本当にかっこいいから困る。



元々はJALの機内上映用アニメとして制作されたため(しかしハッスルしすぎて長くなってしまい劇場アニメに)、
子供向けに作られた他のジブリ作品と違い、働き盛りのビジネスマンをターゲットにした少し大人向けの作品に仕上がっている。
宮崎駿曰わく「疲れて脳細胞が豆腐になった中年男のためのマンガ映画」
自分と同世代に向けて作られたアニメであるせいか、宮崎の趣味が非常に色濃く表れている。
宮崎駿自ら執筆した原作漫画が存在しており、こちらは『雑想ノート』で読める。



あらすじ

この映画は、飛行艇時代の地中海を舞台に、

誇りと女と金をかけて空中海賊と戦い、

紅の豚とよばれた一匹の豚の物語である。


↑この文はオープニングで流れるもので、日本語以外の言語でも書かれる。


時は世界恐慌真っ只中。
賞金稼ぎの飛行艇乗りポルコは、アドリア海にある、無人島のアジトでのんびり暮らしながら、時折飛行艇を駆って仕事を請け負う気ままな生活を送っていた。
しかしある日空賊たちに雇われたカーチスと呼ばれる優秀な飛行艇乗りの襲撃によってポルコの飛行艇は大破してしまう…



登場人物

  • ポルコ・ロッソ (Porco Rosso)
声:森山周一郎(青年時は古本新之輔)
本名:マルコ・パゴット。
1893年生まれの36歳。
口ひげをたくわえサングラスをかけた小太りの中年男性。ただし顔が豚。なぜこうなってしまったのかは一切不明。
劇中でフィオが幻視した本来の姿はスリムな体型だったので、小太りなのは豚になった際の副次効果である模様。
真紅の飛行艇サボイアS.21を駆る賞金稼ぎ。
捻り込みを得意とし、かつてはその技でイタリア空軍のエースパイロットまでのし上がったが、
目の前で幼なじみでもある戦友を失ったことと軍隊社会に嫌気がさして軍を去った。現在は反体制的と秘密警察に追われる身。
フェラーリン曰く「反国家非協力罪・密出入国・退廃思想・破廉恥で怠惰な豚でいる罪・猥褻物陳列で逮捕状が出される」との事。
離れ小島の海岸を住居としているが、所在は空賊連合に割れており劇中で待ち伏せに遭った。

ポルコ・ロッソとは赤い豚という意味であり、イタリア語では最悪の暴言。
「豚に国も法律も無ぇ」
「飛ばねえ豚は、ただの豚だ」
「俺は俺の稼ぎでしか飛ばねぇ」


  • マダム・ジーナ (Gina)
声:加藤登紀子
本作のヒロイン。ポルコの幼なじみで、彼をマルコと呼ぶ数少ない人。
ホテル・アドリアーノのオーナー兼歌手。
その優しい母性的な性格から、アドリア海の飛行艇乗りはみんな恋をすると言われるほどの美女。
過去に三度、ポルコの幼なじみの友人たちである飛行艇乗りと結婚したが、全員と死別している。
「マルコ…今にローストポークになっちゃうから…私イヤよ、そんなお葬式…」
「ここではあなたのお国より、もうちょっと人生が複雑なの」
「貴方、もう一人女の子を不幸にする気なの?」



  • フィオ・ピッコロ (Fio Piccolo)
声:岡村明美
本作のもう一人のヒロイン。
ピッコロおやじの孫娘で飛行機設計技師。ポルコが愛機を任せるほどの腕前を持つ。
肝が座った男勝りな性格でその肝っ玉母ちゃんなところから空賊たちのハート鷲掴み。
尻がデカい。
ちなみに中の人はこれがデビュー。後の航海士風のサーガである。
「やっぱり!こんな過激なセッティングで、よく水から離れられるわね…」
「さっきの請求書、水増ししとけばよかった!損しちゃったぁ」
「ポルコは、アドリア海の飛行艇乗りの名誉と誇りのために、カーチスと一対一の対決をしにここへ戻ってきたのよ!意地も見栄もない男なんて最低よ、堂々と戦いなさい!」


  • ドナルド・カーチス (Donald Curtis)
声:大塚明夫
空賊連合が用心棒として雇った一流の飛行艇乗り。祖母が4分の1イタリア人のアメリカ人。
自分と同じ名前を持つカーチスR3C-2の改造機に乗る。
性欲を持て余しており、ジーナにもフィオにも会うなり求婚した。
生身の格闘もできるがCQCは使わない。
映画俳優になった後にアメリカ大統領になるのが夢。
勘違いしている人が多いが「レースに優勝したカーチス」とは彼ではなくカーチス社の飛行艇のこと。
「ぶうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅたぁぁぁァァァァァァァァァァッ!!!!!」
「逃げるな!みんなに言いふらしちゃうぞー!」
「引き分けなんかに、しねぇからなァッ!」

  • マンマユート・ボス (Mamma Aiuto Boss)
声:上條恒彦
空中海賊マンマユート団の親分。大柄で髭面。
空賊らしくない人情に厚い人物。
ポルコの過去に詳しいが、何故詳しいのかは不明。
ちなみにマンマユート団は、直訳するとママ助けて団、もしくはママ怖いよ団という意味。
序盤の客船襲撃・幼女拉致のシーンでは仲間外れを作っちゃ可哀想という理由で15人もいる幼女全員を連れて行っている。いいヤツすぎるだろ…
「来やがれ豚野郎、最後の勝負だ!」
「ローンを背負った空賊なんぞ、絵にもならねぇ!」
「みんな聞け!俺はフィオ嬢の心意気に惚れた!この決闘は我がマンマユート団が取り仕切るぞ!!」

  • フェラーリン (Ferrarin)
声:稲垣雅之
ポルコの元戦友のイタリア空軍少佐。ポルコのことをマルコと呼ぶ数少ない人物。
皮肉屋。ファシストに従わないポルコを諫めているが、裏ではイタリア空軍がポルコとジーナに手出しできないように手を回している。
他人のポップコーンを奪って食い尽くすのはどうかと思う。
モデルはアルトゥーロ・フェラーリン。
「冒険飛行家の時代は終わっちまったんだ!国家とか民族とかくだらないスポンサーを背負って飛ぶしかないんだよ…!」
「飛んだところで豚は豚だぜ…!」
「気を付けろ、奴等は豚を裁判にかける気はないぞ。 あばよ、戦友…」

  • ピッコロのおやじ (Master Piccolo)
声:桂三枝
ミラノの飛行艇製造会社「Piccolo S・P・A」の経営者。
ポルコの昔馴染み。
気さくで面倒見の良い性格だが金には厳しい。
エンジンチューニングが最も得意。12歳の頃にはエンジンをバラしていたそうな。
「だがコイツのせいじゃない、メカニックがヘボだったからさ!」
「そういうのをな、アジアじゃ”ブッダに教えを説く”って言うんだよ」
「いい音だ!このエンジンは当たりだぜェッ!!!」

  • 空賊連合のボス達
声:仁内建之、野本礼三、阪脩、島香裕、藤本譲、田中信夫など
眼帯とチビと頬キズと金髪とハゲキズとハゲサングラスと顎髭。
凶悪な空賊達をまとめるボスの集団だが、皆ジーナの前ではデレデレ。そして愛すべきバカ達。
「次はお前だ!豚出てこい!」

  • ばあちゃん
声:関弘子
ひ孫に小遣いをやりたくて飛行艇改修に参加した。
ポルコとも昔からの知り合い。そして本作の真のヒロイン…ウソです
「ポルチェリーノ!」
「アンタもいい男になっっちまったねぇ」
「曾孫に小遣いやりたくてねぇ、イッヒッヒ」

  • ピッコロ一族の娘達
モニカ、シルヴァーナ、ソフィア、ラウラ、コンスタンス、タンバリン、ヴァレンティーナ、
ジリオラ、サンドラ、ドラム、マリエッタ、マリア、ティナ、アンナ、ミレッタ
改修後の初飛行時に一人だけズッこけてるのがいる。

  • ベルリーニ
ポルコの古い仲間。ジーナの元夫。
ジーナとの結婚の2日後、オーストリア=ハンガリー軍との交戦で戦死。

  • 地中海の女王号の用心棒
「1号艇、黒いエスタリオン。シニョール・バラッカ」
「2号艇、ティベレの狼。ビスコンティ中尉」

空賊連合が結成直後に襲った客船の用心棒達。
コイツ等の存在を想定していなかった連合を混乱させたが、カーチスによってアッサリ撃退されたらしい。
ラジオニュースによれば、パイロットは脱出できたため死人は出なかったみたい。


メカニック

  • サボイアS.21試作戦闘飛行艇
乗員:1名
全長:7.92m
全幅:10m
出力:430馬力
武装:7.92mmシュパンダウ機関銃×2
ポルコの赤い飛行艇で単葉機。
一機だけ作られ、扱いが難しいことから乗り手が居らず倉庫で埃を被っていたとこをポルコが買い取った。
これについてはフィオも「過激なセッティング」と評していた。
モデルは実在のサボイアS.21ではなくマッキM.33
ポルコ曰く「難しいのは離着水の時だけさ、スピードに乗れば粘りのある翼だ」とのこと。

  • サボイアS.21"F"試作戦闘飛行艇
前述の機体がカーチスによって破壊され改修された後の機体。FとはフィオのF。
乗員は2名となり機関銃は1つになる。さらにタブも新しく付けられた。
エンジンはフォルゴーレのレーサーカスタムをカリカリにチューンしたもの。このエンジンには何故か「GHIBLI」というロゴが入っている。
ピッコロのおやじがこのエンジンを調達できたことをポルコは不思議がっていたが、
当人は「出所は聞くな」と一蹴したのでどうも闇ルート辺りで調達した可能性がある。

  • カーチスR3C-0非公然水上戦闘機←魔改造機
カーチスの乗る群青色の水上機。
モデルは実在のシュナイダー・トロフィー・レース優勝機カーチスR3C-2。
モデルとなったカーチスの改造機であり、プロペラ同調式機関銃(回転するプロペラの隙間を弾丸が通る)を2丁装備。
レーサー時の翼面冷却をやめて機頭下面に外付けラジエータをつけられいる。
また、垂直尾翼上には幸運のガラガラヘビが描かれている。

  • ダボハゼ
マンマユート団の大型飛行艇。
飛行艇なのに何故か迷彩。
冒頭でポルコに中破させられたが修理されて再登場。
しかし修理費が嵩んでペンキ代が足りなかったため、ケツの部分だけ塗装されていなかった。

  • マッキM.39 (M.52)
フェラーリンがポルコを先導したときの機体。
モデルは実在のM.39とM.52。

  • マッキM.5
ポルコがまだ人間だった頃に乗っていたイタリア軍機。

  • ハンザ・ブランデンブルクCC
ポルコと戦っていたオーストリア・ハンガリー海軍の飛行艇。




  • Kar98k
ドイツ製の騎兵銃。

  • モーゼルC96
ドイツ製自動拳銃。シングルアクション。

  • ルイス軽機関銃
マンマユート団が使用する軽機関銃。

  • M24型柄付手榴弾
マンマユート団の下っ端が群衆に投げ入れた手榴弾。

  • エンフィールドNo.2
回転式拳銃。
カーチスが弾切れ時に使った拳銃。
ムスカ大佐や帝劇のタチバナさんが使用している銃の同タイプ。
「ハイヨ~シィルバァ~」



小話

挿入歌「さくらんぼの実る頃」、EDテーマ「時には昔の話を」はどちらもジーナ役の加藤登紀子さん本人が歌っている。

ポルコはラスト、隣にいたカーチスが「ちょっと顔を見せてみろ」と駆け寄る描写から、人間に戻った様子であるが顔は意図的に映されておらず、
パヤオによると「人間に戻ってもまたすぐに豚に戻り、十日くらい経つと飯を食いにジーナの前に現れる」との事の他、あの夏の後ポルコとジーナは結婚したらしい。
それで第二次世界大戦も生き延びてるんだから相当な強運の持ち主である。ジーナはサゲマンじゃないんだ!
ラストのフィオの語りのシーンの背景をよく見るとジーナの家に赤い飛行艇が留まっているのが確認できる。
この時飛んでいる飛行機が明らかにジェットエンジンだった+その前後で姿を見せた空賊連合のボス連中の老け具合を見る限り、
作中時間の10数年後に当たる1945年から更に数十年は軽く経過していることが伺える。

なおポルコ役の森山周一郎はもともと吹替畑(刑事コジャックが有名)の人なので、下書きや未完成の映像を頼りに声を当てるアニメの収録が苦手なのだが、
そんな彼のために宮崎駿がほぼ完成に近いフィルムを用意してくれたとインタビューで語っている。

実はラストシーンはカットされた箇所があり、
一説によると更にパワーアップしたサボイアS.21がジェットエンジン搭載の旅客機を追い抜くという凄い物だったとか。


追記・修正しねぇヲタはただのヲタだ。

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