モグラ獣人

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モグラ獣人 - (2015/12/16 (水) 18:30:12) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2015/12/13(日) 23:53:07
更新日:2024/05/03 Fri 22:07:34
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モグラ獣人とは、特撮番組『仮面ライダーアマゾン』に登場する怪人にして、仮面ライダーシリーズ史上初敵組織を裏切り人類側に付いた怪人である。
(厳密に言うと仮面ライダー1号と2号も似たような立場ではあるが)

声優は槐柳二



概要

初登場は第5話「地底から来た変な奴!」…わかりやすいサブタイだ。
この時点では純然たる悪の獣人であり、野獣帝国ゲドンがアマゾンに遣わした5番目の刺客である。
表皮はオレンジ色でツルツルしており、ハナモグラのようなハナをしている。
余談だが、デザイン画を見た平山亨プロデューサーが「何だよこいつすっげー可愛いじゃん、いっそ味方にしたら?」と冗談で言った所
脚本がその気になって味方にした、というウソかホントかわからない噂があるらしい。
(※実際、企画段階で獣人を手名付けるという案はあったとか)

…と、ここで何分古い作品でもあるため、少し世界観の解説を。
「獣人」とは、ゲドンやその上部組織であるガランダー帝国の保有する生体兵器であり、ただ1匹の例外*1を除いて、
「動植物を巨大化させ、人間並みの知識を与えた」という手法で誕生する。
従って獣人は過去のショッカー、デストロン、GODと言った悪の組織の作り上げた「改造人間」に比べると獣性が目立ち、
人間も餌か何かとしかみなしていない奴が多い。


さて、モグラ獣人は首領の十面鬼ゴルゴスから、アマゾン/山本大介の有する「ギギの腕輪」*2を奪い取る指名を受け、地中を掘り進む。
ちょうど逃走中の殺人犯とイザコザを起こしていた大介を見つけると、モグラ獣人は大介を地中に引きずり込もうとする。
しかしそこに警官隊が駆けつけたのでモグラ獣人は大介をほっぽらかして逃走。
ノコノコ帰ってきたモグラ獣人を見た十面鬼は激怒し、「次に敵前逃亡したら殺す」と脅迫しまたアマゾンを襲わせる。

モグラ獣人は今度は大介のトモダチである岡本家を強襲するが、生憎アマゾンは留守。
仕方なしに長男のマサヒコを拉致して地中を掘り進み、テキトーな空き地に連れ帰るとマサヒコを杭に縛り付ける。
駆けつけた大介がアマゾンライダーに変身すると果敢に立ち向かうがまるで敵わず、体をズタズタに切り裂かれてしまい、
這う這うの体で逃げ出してしまった。

当然、十面鬼はこれに大激怒。
オマケにモグラ獣人がうっかり「ギギの腕輪をよこせ!」と口走り、
ゲドンがアマゾンを付け狙う目的をバラしてしまったことで遂に堪忍袋の緒が切れ、
モグラにとっては一番辛い磔天日干しの刑を下す*3
大の苦手な日光にさらされ続け、モグラ獣人の命は刻々と削られていく。

「苦しい~! 水をくれ~!!」

誰に対してでもなくモグラ獣人が叫んだその時、ぼたぼたと口の中に水が零れ落ちる。
助けに来たのは、なんとアマゾンだった。
実は処刑場まで連行(バイクで引きずるというひどいもの)をたまたま目撃していたアマゾンは、
残酷な死刑に処されていたモグラを見て水を汲んで与えてあげたというのだ。
アマゾンは続けざまに縄を解き、いやがるモグラを岡本家まで連れ帰り、薬を塗る。
マサヒコは「ゲドンはお前を殺そうとしたんだぞ、戻る義理は無いだろ」と告げるが、
モグラはそれを無視し「例はいわんぞ」と地中に帰ってしまう。


モグラ獣人が脱走したことを知った十面鬼は口封じ(あわよくばギギの腕輪の奪取)のために次なる刺客・ヤマアラシ獣人を送り込む。
ヤマアラシの強襲に驚いたアマゾンは変身できず苦戦するが、マサヒコの手助けもあり、何とか脱走。
そして、城北大学に眠るインカ縄文字(キープ)にゲドンの秘密が隠されていると知ったアマゾンは、単路城北大学に向かう。
それを知ったヤマアラシは大学を襲撃してキープを奪い取り、赤ジューシャ軍団と協力してキープをゲドン本部に持ち帰った。

「おまえ、トモダチ」

…が、ここでモグラ獣人はゲドンを見限り、アマゾン側に付くことを決意。
地下を掘り進んでゲドン本部に向かうと、倉庫からキープを奪還し、アマゾンに手渡した。
勿論ブチ切れたヤマアラシはアマゾンを襲うが、アマゾンライダーに変身されては適わずあっさり返り討ち。

こうしてモグラ獣人は、完全にゲドンから離反し、アマゾンの仲間になったのである。
(まあ、続く第7話ではギギの腕輪を盗んでゲドンに帰れば十面鬼も許してくれるかも、とかほざいてたんだけどね)


「マサヒコ、ラジオ貸せや」
「なんでだよぅ」
「オレも生きていくために少し社会勉強をしなくちゃ、長生きできんもんな」
「モグラがラジオ? 変なの」

住処は地中でも、暮らす世界は現代日本。
マサヒコらと交流するうちに、モグラ獣人は日に日に知識を増していく。
しかしながら外見はデカいもぐらのバケモノであることには変わりないため、
人間に対しても「オレと出くわしたら腰を抜かしちまうもんな…」と哀しそうな表情(?)で去っていくなど、
「異形なる者の悲哀」という石ノ森作品のお約束もちゃんと守っていた。

人間側についたモグラ獣人は、その地中穿孔能力を活かし、情報収集や脱走経路確保など、様々な場面でアマゾンを支えていた。
…まあ、アマゾンライダーにフルボッコにされている時点でお察しの通り戦闘力はゲドンの中でもかなり低い方で、
戦闘員(ガランダー帝国)の黒ジューシャよりは幾分かマシ程度、戦いにおいては時間潰しにもならないというのもある。
得意の穴掘りも、アマゾンが地下1000mの岩盤の下に閉じ込められた際には
「申し訳無いが無理なんだよ…俺の縄張りはせいぜい地下10mの土の中だ。1000mの、それも岩の中となっちゃあなぁ…」
と肩を落としており、肝心な所で役に立たないのはまあお約束であった。
え? どうやってアマゾンは助かったかって? 肝心な所で役に立つのはいつもギギの腕輪の超パワーだったンスよ…。

???「さすがだぜ先輩!!!」

また獣人は人間を常食としており、アマゾンが赤ジューシャを捕縛した際には「焼いて食う気だな」という
子供番組にあるまじき発言をしているため、こいつの食生活は一体どう賄っていたのかも疑問が残る。
多分スーパーで買った肉とか、その辺の虫とかで妥協していたとは思うが。


さて、ゲドンがアマゾンの活躍により壊滅すると、今度はその上部組織であるガランダー帝国が出現した。
「ガランダー…ああ、口にするのも恐ろしい!!」
更なる強敵にマジでビビるモグラ獣人だったが、その通りガランダーはゲドンの非ではない程大がかりなテロを起こしまくった。
ゲドンの首領である十面鬼が「ギギの腕輪よこせ~!!」だけで動く脳筋野郎だったのとは異なり、
ガランダー皇帝のゼロ大帝は「日本を焦土にしてでも世界征服の本拠地とする」と
過激かつ誇大妄想狂的な発想を持つろくでもない男だったのもあり、
ガランダーは人工地震を発生させたり、石油コンビナートを放火したり、果ては富士山を噴火させてマグマを東京地下に流し込んだりと
ムチャクチャな作戦を数多くとるようになった。

怯えてばかりはいられないとばかりにモグラ獣人はガランダーと闘う意思を固め、アマゾンのために東奔西走する。

アマゾンライダーをも退ける強敵・ガマ獣人からアマゾンを逃がし、捕虜たちをおやっさんと共に先導して地上に戻した17話。
地下のマイホーム(本人・談)が浸水したとの情報を携え、ガランダーの人工地震作戦を阻止した18話。
そして19話ではガランダーに攫われた子供たちの居場所を探し当て、フクロウ獣人の企てた地下鉄洪水事件を阻止。
これにはアマゾンも「今回ばかりはモグラのおかげだ」と大笑いするのだった。


そして、第20話…「モグラ獣人 最後の活躍!!」。
ガランダー帝国はキノコ獣人を作り出し、毒茸から強力な黴を培養することに成功した。
キノコ獣人一味は毒黴をばらまいてバイオテロを行い、何百人という命が無残にも奪われていく。
だがそのさなか、バイオテロの行われたマンションで、風邪を引いていた赤ちゃんだけが一命を取り留めるという謎の事態が発生。
これを見た医者が「せめて黴の解毒剤を作れれば…」と漏らしたのを聞いて、モグラは単身ガランダー基地に乗り込んでいく。

勿論ガランダーはこれを訝しむのだが、モグラは「もうオレはアマゾンにはうんざりだ」と裏切ったフリをして、
ガランダーの本拠地に入り込むと黴のサンプルを入手する。
しかし、基地から抜け出そうとした所にキノコ獣人が現れ、モグラの芝居を見破って激昂し襲い掛かる。
ガランダーの獣人はゲドンよりもずっと強いため、モグラは全く敵わず、遂に毒黴を浴びせられてしまう。
だがモグラは絶対にあきらめようとせず、キノコ獣人から逃げ延びると地中を掘り進み、サンプルを抱きかかえて医者の下に向かった。

サンプルを元に解毒剤が作られていくが、モグラの視界は徐々に歪んでいく。
おやっさんが、マサヒコが、そしてかつてはモグラを恐れ嫌っていたリツコが、「モグラ、死なないで」と涙する。
そして解毒剤が完成した時には、モグラの命の火は消えかけていた。
アマゾンはモグラに解毒剤を飲ませようとする。かつて、ゲドンに殺されそうになっていたモグラにそうしたかのように。

だが、モグラの答えは…理由は違えど、あの時と同じだった。



「いいんだ、もういい」



そして、アマゾンに向け、モグラは言葉を紡いだ。






「憎いガランダーを、やっつけてくれよ……」






モグラから託された解毒剤を服用したアマゾンは、毒黴をものともせずにガランダーの基地を襲撃。


そして大切断でキノコ獣人を討ち滅ぼすと、天に向かい、モグラ獣人の名を咆哮するのだった…。








モグラ獣人の最後の願いを聞き届け、アマゾンはガランダーの刺客を次々に討ち果たす。
そしてゼロ大帝からガガの腕輪を奪い取ると、インカの力を解放し、ゼロ大帝を討滅。
こうしてガランダーは壊滅し、アマゾンは勝利を掴んだのである。




東京の片隅、どことも知れぬ空き地に、小さな土の山が在る。
もう、太陽を恐れることもないのだ。
墓標には、こう刻まれた。




______『勇気の士(ひと)  モグラ獣人の墓』と。


『仮面ライダーアマゾン』で印象に残る回を聞かれ、上記の話を挙げる人は多い。
タレントの松村邦洋もラジオでモグラ獣人の最後を熱弁し、「キノコ獣人をやっつけてくれ!!」とTVのアマゾンに願ったそうである。







派生作品

石ノ森章太郎先生が『テレビマガジン』で連載していた漫画版には、改造人間として登場。
子供をゲドンが攫って強引に改造したという設定で、諜報役としてコキ使われていたが、アマゾンに味方することになった。

ゲーム『ヒーロー戦記 プロジェクト オリュンポス』では、ズバットの用心棒枠ゲドンの怪人として登場。
原作には登場しない人間態も披露していた(人間に変身した獣人はガランダーのゲンゴロウ獣人とサンショウウオ獣人しかいない)。
というか、原作とは違い、改造人間という設定になっている*4
しかしやっぱりこちらでもゲドンを裏切り、十面鬼に散々悪態をついてライダー側(正義の組織『ZEUS』)に味方する。
後半では物語の裏でネオショッカーに処刑されそうになった一文字隼人を間一髪救出していた。
なお、こいつが余りにおしゃべりなため、呆れた(主人公の一人である)南光太郎
「うるせえ! いつまでもベラベラくっちゃべりやがって! ROMの容量も考えろ!」と怒っており
一文字もEDで「命の恩人だから無下にできんが、こうも喋られるとこっちの気が滅入る」とげんなりしていた。

特撮冒険活劇 スーパーヒーロー烈伝』では原作通りモグラ獣人をアマゾンが助ける事で仲間にする事が出来る。
本作では死なないので、同じく生存するクジラ怪人やタックル、月の輪やバラバンバラと一緒に敵を倒していくのも夢ではない。

仮面ライダーディケイド』のアマゾン編には流石に登場しなかったが、光栄次郎がモグラ獣人のマネをしている。


そして漫画『仮面ライダーSPIRITS』では、遂に再生怪人として復活を果たした!
…しかし、バダンの再生怪人はいずれも魂を持たない傀儡であり、モグラ獣人もゲドンの一獣人として登場する。
阿蘇山にダイナマイトを仕掛けて噴火させる任務を仰せつかったモグラ獣人は、火口の山肌を削って地中にダイナマイトを仕掛けるが、
アマゾンライダーのインカの超パワーで溶岩は一瞬にして凍りついて石化してしまう。
しかしその隙を突いて獣人軍団はガガの腕輪を奪取し、十面鬼はアマゾンライダー(と獣人軍団)に火炎を吐いて、
時空魔法陣でゼロ大帝の待つ沖縄県の首里城まで逃走。
アマゾンライダーもこれに強引に同行し、モグラは阿蘇に取り残されてしまった。

アマゾンを応援しに行ったマサヒコはモグラを見るなり大泣きして抱きしめるが、
駆けつけたSPIRITS第十分隊から、「このモグラには魂も記憶もない」と知らされ愕然とする。
周囲の環境の変化、怪人を憎悪するSPIRITS隊員からの迫害などにビビりまくるモグラだったが、
記憶がないと知ってなお心を開く大介やマサヒコとの交流に際し、かつての(?)心を取り戻していく。
ところが、バダンの幹部であるニードル/ヤマアラシロイドは、そのモグラに特殊な鍼を打ち込むことで怪獣化させ、
アマゾンライダーを襲わせて、ギギの腕輪の嵌った左腕を切断させてしまう。
ギギの腕輪を失ったことでアマゾンは強制的に変身が解除され、仮死状態に陥る。
このままギギの腕輪が無いと、大介は死んでしまう。
そう判断したSPIRITSとZX/村雨良、そしてマサヒコは沖縄の森を走り、アマゾンの腕を捜し回る。
元に戻ったモグラも責任を感じ、森林を駆けまわり、遂にアマゾンの左腕を手にする。
ニードルの妨害に遭いながらもモグラは腕をSPIRITSに届け、大介の左腕は繋ぎ合わされる。
その勇敢な姿に、かつてモグラを忌み嫌っていたSPIRITSの隊員たちですら、「そのモグラ絶対死なすんじゃねえぞ」と漏らしていた。
こうして復活を遂げたアマゾンは、腕輪の力で疑似的にアマゾンライダー化したゼロ大帝を圧倒し、自滅に追いやる。
ZXと協力して再生ガランダーを滅ぼしたアマゾンは、変身を解いて沖縄の砂浜に舞い戻る。

新たなる勇気の士をその逞しい両の腕で抱くアマゾンの顔には、笑顔の花が咲いていた。
まるでかつてのモグラが恐れをなしていた、空に輝く太陽のように________。







「マサヒコ、追記・修正を尊敬するかい…?」
「ああ…もちろんだ!」

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