5億年ボタン

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5億年ボタン - (2020/04/27 (月) 22:25:01) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2016/04/21 Thu 15:15:53
更新日:2024/02/07 Wed 19:16:50
所要時間:約 4 分で読めます




菅原そうた作の漫画【みんなのトニオちゃん】に登場する恐ろしいボタン


概要

登場したのは【アルバイト(BUTTON)】という話にて。
この話は元々【BUTTON A PART TIME JOB】という漫画を、みんなのトニオちゃんの単行本に収録する際、キャラクターを差し替えて収録されたものである。
その為、内容はどちらも同じである。
作中には5億年ボタンという名称は登場しないが、ネット上では5億年ボタンという俗称で通っている。
バンドグループB-DASHのDVD『エべれーター』にも収録されている。



5億年ボタンとは?

見た目は何の変哲もない、白い台座に赤いボタンが付いているだけの物。
このボタンを押すと100万円出てくるが、その代わり5億年を何もない空間で過ごさなければならない

ボタンを押した瞬間に感じないレベルで微弱電流が流れ、何もない空間へとワープする。
その空間は白いタイル張りの地面がどこまでも続いている空間で、辺りは薄暗く本当に何もない。
なお、意識はハッキリしており、お腹が空かないので食事を取る必要もなく、睡眠を取る必要もなく、死ぬ事もできない。
ただひたすら何もない空間で5億年というとんでもなく長い時間を、1人で何もせずに過ごす必要がある。
5億年経過すると、5億年分の記憶がリセットされ、体も時間も元通りの状態でボタンを押した瞬間に戻れる。
その為、押した人にとっては一瞬記憶が飛んだ感覚に陥り、気が付くと一瞬で100万円稼げているという物である。
体感時間は一瞬ではあるが、実際には5億年過ごしているという代物。
ボタンを押すのに制限はなく、もっと稼ぎたいのならボタンを連打しても構わない。



話の内容

ここではみんなのトニオちゃん基準で説明する。

登場人物の1人、スネ郎は楽して稼げるバイトを探していた。
そんな時に母親にお使いを頼まれ、同じクラスの舎弟のトニオを引き連れてスーパーへと買い物に出かける。
その途中、同じクラスのヤンキーであるジャイ太と出会う。
ジャイ太はバイトをクビになってしまい(時給650円の所でバイトしてたが店長がウザかったからレンガでろっ骨を折ってしまった為)、新しいバイトを探している所であった。
共に良いバイトがないか話し合うスネ郎とジャイ太は、トニオに何か良いバイトがないか相談する。
するとトニオは、誰でもできる一瞬で100万円稼げるバイトがあると二人に持ちかける。
それこそが、5億年ボタンであった…

トニオから説明を聞いたジャイ太は、トニオの警告を聞かず早速5億年ボタンを押す。
すると、本人からするとただボタンを押しただけなのに100万円出てきた為、逆に壊れてるんじゃないかと心配する。
だが、本当に100万円を稼げたとトニオから説明され、気をよくしたジャイ太はもう一回ボタンを押し、計200万円稼げた。
最初スネ郎は5億年という途方もない時間に不安を感じていたが、ジャイ太が何もない事を知り、自分も押してみる事にした。
そしてスネ郎はボタンを押すが、押した瞬間意識が何もない空間に飛ばされ、5億年をその何もない空間で過ごすはめになるのである…

スネ郎は5億年という時間を甘く認識しており、最初は何もない空間を走って回る。
だが、いくら走っても同じ地面と空間が続いてるだけで、3日経った所で入口も出口もない事に気づく。
そして最初の1週間は、不安になりながら家族や友達の事を考えながら過ごすのであった。

そして3ヶ月経過。
本当に何もない空間に長期間過ごすはめになったことに気づき始める。
腹も減らないし苦しくもない、だが漠然とした恐怖が襲い掛かってくるのであった。

半年経過。
暇潰しに1人ジャンケンや1人しりとり、抜いた歯を投げてその歯を探す歯探しゲーム、タイルの溝を踏んだら負けゲーム、タイルの溝を指でなぞる溝迷路…
とにかく1人で暇を潰せる方法を片っ端から繰り返し、飽きたらまた別の暇潰しの方法を考える日々を送っていた。

1年経過。
妄想の世界へと逃避していた。
だが、しばらくしたらむなしいと気づくのであった。

40年経過。
姿形は変わらないが、何もしなくなっていた。
今更ながら5億年ボタンを押した愚かさを後悔し、5億年という時間がどれだけ途方もない時間なのか理解し始めていた。
もう現実で生きた時間より長い時間を過ごしているのである。

100年経過。
あとどれだけ過ごせば良いのか考えるのであった。

1万2066年経過。
スネ郎は考える事をやめていた。
意識を失う事も死ぬ事も出来ず、1秒1秒をじっくり認識しながら生きていた。

504万9272年経過。
スネ郎はふと、ここは現実の世界ではないのかと考える。
自分がいた場所とはなんだ?宇宙とはなんだ?自分の存在とはなんだ?
哲学的な発想に至ったスネ郎は、自分の歯を抜いてペン代わりにし、タイルの地面に様々な数式を書き、真理の追究を始めた。

2000万年経過。
人類の英知を遥かに超えた発想と理論の枠で、スネ郎は真理を追究していた。

1億2316万9649年経過。
宇宙を理解し何かを悟る。

そして3億7683万351年間、
スネ郎は空間と調和した。

そして5億年。
全ての記憶がリセットされ、スネ郎は元の世界へと還るのであった。

そして現実世界。
スネ郎は記憶がなくなったため、ジャイ太と同じく一瞬で100万円を稼げたのであった。
ジャイ太はこんな割りの良いバイトはないと考え、もう一度5億年ボタンを押し、計300万円稼ぐ。
そしてスネ郎は、5億年ボタンを16連打し、5億年×16回、更に1600万円稼ぐために計80億年を何もない空間で過ごすのであった。



5億年と言う時間

やはり5億年という時間は聞いただけだと長すぎてピンと来ない。
今から5億年前は、地球では古生代の最初のカンブリア紀と呼ばれる時代であった。
更にほんの数千万年ほどさかのぼれば先カンブリア紀に突入する、と言えばその壮絶な古さがわかるだろうか。
また人類もゴキブリも恐竜も誕生しておらず、カンブリア爆発と呼ばれる適応放散現象が起き、三葉虫などの比較的大型の動物が現れ始めた時代である。

日にすると1825億日、時間だと4兆3800時間、分だと262兆8000分、秒だと1京5768兆秒。
やはりピンと来ないが、とてつもなく長い時間だと言うのが分かるだろう。

なお、5億年過ごして100万円を得るということは、異空間で生活することによる年給は、計算上2厘(1/500円)ということになる。



解釈

作家・哲学者の三浦俊彦氏は、その著書「思考実験リアルゲーム」の中で、
「人格の連続性は記憶の連続性だと考えれば、五億年ボタンを押した瞬間に『異空間で5億年を生きる自分』と『すぐに100万円を受け取る自分』の二通りの人生に分岐するとみなせる」
という解釈を披露している。
この場合、もし前者の分岐に入ってしまったら当然5億年後に死ぬだけとなる。
……もっとも、5億年を生きた上で真理と悟りの境地に達した人間が、今更現世での人生数十年に未練を持つか言われれば微妙なところだが。



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