SCP-4290

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SCP-4290 - (2019/05/10 (金) 11:43:34) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2019/03/31(日) 22:37:32
更新日:2023/10/19 Thu 22:29:28
所要時間:約 4 分で読めます




SCP-4290はシェア・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクトオブジェクトクラスはKeter。項目名は『飢えたる子』。下記で説明するように、ドキュメントを一読してもなんだか釈然としないオブジェクトである。

概要

SCP-4290は中国の青海省にある青海湖に封印された実体。なんと一万年も封印されているらしいが、封印は7日間以内に破られると予想されている。……ずいぶん急な話だ。

どんな封印かというと、青海湖の湖底にベリリウム銅でできたトーテム8個がフラクタル状に配置されており、これらのトーテムは装甲をつけた人間の形をしていて、魔除けのルーン文字まで刻まれている。なんだかSCP-2317を彷彿とさせる仰々しい封印だが、封印の中心からは赤色光の爆発が定期的に観測され、先月から明るさを増しているとのこと。これ、大丈夫……?

財団はSCP-4290について書かれた古い記録を見つけたが、それによるとSCP-4290は「戦士たちの攻撃をもとのもせず、指一本で辺り一帯を爆発させて溶かし、10日間で全てを飲み込んでしまった」らしい。どうやら、封印が解けてしまったらK-クラスシナリオ待ったなしの代物のようだ。

こんな危険な存在を財団が放っておくわけもなく、特別収容プロトコルによると、収容のために機動部隊アルファ-1「レッドライトハンド」(財団最高幹部O5の直属部隊)、タウ-5「サムサラ」(不死のクローン人間部隊)、ニュー-7「下される鉄槌」 (財団最大規模の武装集団)が投入されるという豪華っぷり。さらには核地雷や軌道上兵器まで配備する念の入れ用だ。なんだかもう収容違反フラグがビンビンである。

で、赤い爆発がどんどん明るくなっていくわ、さらには青海湖周辺のテレビが謎のメッセージを受信しはじめるわでいよいよヤバくなり、財団が禁じ手の放浪者の図書館まで使って必死になって調べたところ、過去、財団よりも前にSCP-4290の封印の修繕を試みた人たちがいたことがわかった。なんと夏王朝ダエーバイト文明である。どちらの文明も財団の技術を大きく上回るオーバーテクノロジーを備えた異常古代文明だが、彼らをもってしてもSCP-4290を滅することはできず、封印を補強するしかなかったようだ。

そんなこんなで見つけた古代の記録を参考に、財団は遠隔操作探査機で「贄」(3体の死体と天使の生きた心臓)を届けることで封印を補強しようと試みたが、なんと赤色の爆発が探査機を直撃、制御不能となった探査機が封印トーテムに刻まれたルーン文字を傷つけてしまった。そして青海湖周辺のテレビは「おい、贄が届かなかったぞ、覚悟せいや」という内容の放送を受信。財団のエージェントの一人も「夏王朝がどうにもできなかったんだから俺たちにどうにかできるわけねーだろ」と言って逃げ出してしまった。もうダメだこれ。

そして赤色の光が辺り一帯を覆い、トーテムは崩壊した……。


「シナリオ4290/解錠」の発生

2022年8月17日、封印トーテムは完全に崩壊した。青海湖から全長40mの痩せた人型実体がゆっくりと出現した。そして財団の軍事力は、SCP-4290の活動が確認されるまで3時間もの待機を強いられた。……あれ?

いっこうに動きを見せないSCP-4290に財団はしびれを切らし、ついには遠隔操作探査機を送って調べるも生命活動の兆候は一切なし。検死を行ったところ、SCP-4290は栄養失調で9千年前に死亡していたことが判明した。そしてオブジェクトクラスはNeutralizedに再分類された。めでたしめでたし。

「……って死んどるんかーい!!!」と思ったあなた、「一件落着だけどなんだかもやもやするなあ」と思ったあなた、それはある意味、極めて正しいリアクションである。

ネタばらし

実はこのオブジェクト、「144時間ジャムコンテスト」という本家SCP Wikiで開かれた大会の作品。大会のルールは、48時間ごとに計3つのお題が発表され、各お題が発表されてから48時間以内にそのお題にまつわる記事を書いて投稿しなければならないというもの。

そして、1つ目のお題「毛むくじゃらの犬」で堂々一位を勝ち取ったのがこのオブジェクト。「毛むくじゃらの犬の話」は英語でshaggy dog storyと書くが、これは英語のスラングで、「なんか長大だけど内容もオチも意味がよくわからない小説」の意。SCP-4290は、SCP-2317を思い起こさせる仰々しい封印、夏王朝やダエーバイト文明といった超古代文明の登場、要注意団体「蛇の手」の異常施設である放浪者の図書館の使用、機動部隊オールスターズの投入といった贅沢すぎる設定のわりに、あまりにも釈然としないもやもやするオチが評価されたのか、見事一位となった。

SCPには、このように記事だけを読んでもよくわからないオブジェクトが存在するが、何らかの大会の作品であることも多い。そういうとき、記事のタグが手がかりになることがある。例えば、SCP-4290の場合は「jam-con2019」というタグがつけられており、このタグからコンテストのページにたどりつける。そこから、大会に応募された他の記事も読むことができ、思いもよらない良記事に出会うこともある。有名なSCP記事を一巡りしたあなた、もう一歩深みにはまって、このような楽しみ方をしてみるのはいかがだろうか。

追記・修正をお願いします。



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