K-クラスシナリオ(SCP Foundation)

登録日: 2016/12/29 Thu 23:48:56
更新日:2021/09/06 Mon 19:02:42
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問題がある。タンポポのお酒を作るときにはまず花を摘み取らないといけないってことが問題だ。




ここでは、シェアード・ワールド怪奇創作『SCP Foundation』に於ける、「終末論」について解説する。


概要――K-クラスシナリオとはなにか?

すでにアニヲタWikiで多数のオブジェクト記事を読んできた諸兄は、
財団世界において多数の異常物品があることと、財団をはじめとした幾多の団体が、
それらを収容したり、破壊したり、あるいは目的のために利用・奪取しようとしていることを理解していることであろう。

異常存在は概して性質が完全に判明しておらず、不用意な使用によって人や動物、環境などに害を齎すこともありえる。
また、それらに害が少なくとも、それを悪用する者達によって世界が脅かされる危険もある。
酷い場合にはそれこそ、「世界滅亡」という事態に陥ることもあるわけだ。
これが、財団が異常存在を確保・収容・保護し、GOCが異常存在を徹底的に破壊する理由である。
…まあ、時々財団がしまいこんだことや、GOCが破壊したことがきっかけで世界がやばいことになることが稀によくあるんだけど。

で、財団は「世界が滅亡の危機に瀕する、あるいは滅亡してしまう」ものをさして「K-クラスシナリオ」と呼称している。
特に敵意の強いオブジェクトや放置するとどんどん悪化していくオブジェクトなどは何かしらのK-クラスシナリオのトリガーになりうるため、
財団からも厳重にチェックされている。…のだが大概が収容困難or不可能。財団世界の明日は大丈夫か?というか昨日がすでに大丈夫か?
早い話、「K-クラスシナリオ」とは「世界\(^o^)/オワタ」状態だと思えばいい。

これらはその出来事に応じていくつかに分けられている。


説明する際の問題点

…さて、分けられているのはいいんだが、SCP創作は個々人のヘッドカノンによって創作されることが、
K-クラスシナリオの説明を困難にしている。
ヘッドカノンとはざっくり言えば「俺設定」であり、例えばある人が「AとはBである」と言ったのに対して、
「いいや、AとはCのことだ」という新たな定義付けを行っても許される(面白ければ、だけど)のがSCP創作である。
よって、同じAという概念があっても、それがBなのかCなのかはその作品を読んでみない限りわからないのである。


もちろん、全く皆が違うとそれはそれで読みづらいので、大概は議論の末に決着を見せたり、
ある特有の偉大な先駆者に則って定義付けが似たようなものになることが多い。ただ似ていても若干違ったりもする。
そういったものをひと括りに語りにくい、というのがK-クラスシナリオの説明の難しさであるといえよう。
以下の説明も、大多数の人のある程度共有されたヘッドカノンを元に、
やはり項目作成・編集者の独自の解釈が入るということを前提の上で読まれることを推奨する。

これからSCPの世界で起きるであろうK-クラスシナリオの例

  • 2019年3月5日:SCP-3519(静かなる日々)の影響で全人類が自殺
  • 約30年後:SCP-2317(異世界への扉)の封印が解け全長200キロメートルの巨人が復活
  • 2234年:SCP-2700(テレフォース)が起動し宇宙が崩壊
  • 3128年:SCP-1436-JP(それはずっと先の話で、たいしたことではないかもしれない)の影響が地球全域に拡大。
    12月31日の午後22〜24時の2時間の体感時間が約2904年に拡大
  • 約5700年頃:SCP-1548(きらいきらい星)が地球に衝突
  • 銀河歴10997年頃:クラス-10 Behemoth実体により地球の生物の90%、人類の95%が死亡。
    銀河歴54000年に再び地球に襲来。地球を犠牲に返り討ちに成功(SCP-4100「フューチャー・インパーフェクト」)
  • いつか:SCP-1690-JPに地球が飲み込まれる

等SCPの世界はK-クラスシナリオで満ちているのである。


各シナリオについて

AK-クラス:世界終焉シナリオ

人間の知覚プロセス・思考プロセスのいずれかの、あるいは両方の崩壊が起き、「すべてが狂ってしまう」シナリオ。
みんなの常識がまるっと置き換わり、もはや元の人間らしさを失ってしまうシナリオ。

SCP-571(自己喧伝性感染図形)が有名な例で、これは「その図形を見た人は必ずそれを書き写したくなり、
書き写したあとは他者にそれを見せて書き写させようとする」という概念オブジェクトであるのだが、
最終的にこの図形を一度見た人は延々とこのサイクルを文字通り死ぬまで行い続ける。
すごく変な形でではあるが文明が崩壊していくシナリオである。なにしろ書き写すことが他の活動より優先されるから。

「文明を人類から取り去る」=「事実上の世界終焉」という立場から、「世界終焉シナリオ」と呼ばれる。


CK-クラス:再構築シナリオ

歴史や物理法則が書き換えられて、今いる世界とは別の世界に上書きされるシナリオ。

SCP-239(ちいさな魔女)が典型例で、彼女がサンタさんは実在すると思えばサンタさんは実在するし、
目の前の人が「ともだち」だと思えばその人は「ともだち」になってしまう。
他にもSCP-1000-JP(特別回収任務)における小惑星は表象サーバによって「日本」に塗りつぶされてしまっている。

そのためSCP-1941-JP(その時歴史が動かなかったら)では、「歴史が改変されかねないために『第二次大戦での日本の勝利』をなんとしても止めねばならない」と日本支部理事”獅子”が述べている。


GH-クラス:”デッドグリーンハウス”シナリオ

80%以上の生命は死に絶えるが、地球は存続し、生命を維持できるまでに回復可能なシナリオ。
財団世界においては、Tale『マリアナ海溝から回収された文書』が有名であろうか。
このTaleでは「ほぼすべてのSCPが収容違反し、文明はあらかた破壊され尽くしてしまうが、財団は何かしらの方法で文明を立て直した」ということがわかる。
このなかでは「GH-0"デッドグリーンハウス"シナリオ」と呼称されている。

このTaleに対してのアンサーこそが、SCP-2000(機械仕掛けの神)である。
この機械を起動することで、地球上の人類を生産し、再び世界を元の状態に戻すことができる。
ただし、あくまで地球そのものが無事ではないと意味はないので、GHあるいはGHと等価のシナリオに持ち込めないと使えない。
要は地球は守らないといけない。あと現在は停止している。


IK-クラス:世界文明崩壊シナリオ

XKに近い定義だが、このシナリオを肯定するメンバー内では「SCP封じ込め違反を直接の理由としない」シナリオ、
例えば小隕石の衝突で地球の半分の人が死んでしまうとか、そういったタイプのシナリオとして位置づけられるようだ。

…じゃあなんで財団で対応するのかという話になるが、例えば「それに乗じて数百レベルの収容違反が起きる」とか、
「財団の持つ武力と政治力なら有効に対処できるから」とかの理由が大きい。
財団のサイトは世界中にあるわけだから、どこに隕石が落ちても収容違反は起きてしまうだろう。
だとするならば、財団の関与したいたぐいの異常性がなくとも世界を守るというためには対応は必至となる。

…よく考えれば、世界を守るっつってんだから異常性なくとも動かなきゃいけない時はあるわなという感じではある。
ただし物語に織り込むためには、単に危険だからではなく、財団世界でそれをTaleにする意義を見せないといけない。

またSCP-1238(トンネルフィッシュ)は「既存の生物学からは考えにくい魚」ではあるが、
もしかしたらさかなクンさんも驚嘆の魚としていずれ図鑑に載るかもしれない魚である(つまりExplainedになるかも)。
だが、今は生物学者をワクワクさせている場合ではない。名前の通りこの魚、トンネルを掘ってそこに卵を産み付けるのだが、
なんと個体数が増えすぎてトンネルが増え、「プレートが破壊される」危険が出てきてしまったのだ。  
この場合は魚のせい、ではあるのだが、魚が直接壊しているというよりは結果的に壊れてしまう、というものであるため、
IK-クラスあつかいされている。


NK-クラス:世界終焉シナリオ

「自己増殖する物質」による終焉シナリオ。
「NK-クラス"グレイ・グー"世界終焉シナリオ」とも呼ばれる。

SCP-505(インクの染み)では、自己増殖するインクによって環境汚染が起きるというシナリオが語られる。
これによってどんどん黒く汚れて地球環境がどんどん悪化していくわけである。
別名となっているグレイ・グーもこういった事象を指す言葉であり、ナノマシン実用化についての課題の一つ。
自己増殖と侵食を行えるナノマシンが開発された際、エラーによって暴走したナノマシンにより乗算的に侵食が進み、
最終的には地球上の存在全てと地球そのものがナノマシンの塊(灰色の泥(グレイ・グー))と化してしまう事である。

アニヲタWikiの読者ならばドラえもんの『栗まんじゅう問題』といえばどういう顛末か想像がつくだろう。
財団世界は栗まんじゅうを増幅させるエキスは存在しない。え、栗まんじゅうがなければケーキを食べればいいじゃない?


SK-クラス:支配シフトシナリオ

名前の通り、別の「何か」に世界を支配されてしまうパターン。
現在の地球の支配種は、まあ異論はないと思うが人類である。そしてそれを守ってるのが財団である。
では新たな支配種が現れたらどうなるだろうか。「人類の世界」は当然、終わりを告げ、人類は駆逐されるか奴隷になるか。
幸せな場合でも「違う文化への理解を求められる」ことになるだろう。

財団世界ではSCP-435(『かの闇を作りし者』*1)およびSCP-2932(ティターニアの檻)を読む限りでは、
地球上にはかつて「妖精」のような支配種がいたが、それらは夜行性の類人猿に追われ、
そして彼らを今度は人間が隅に追いやった、つまり人間が地球上二度目の支配シフトに関わった可能性が指摘されている。
ちなみに違うヘッドカノンに基づく歴史も財団世界には存在しているが、そっちの支配種もやっぱり人類によって支配シフトを起こされている。


XK-クラス:世界終焉シナリオ

アブラハムの宗教的黙示録のイメージに近い、読んで字のごとく「世界が終わる」シナリオである。
塩漬けの地球」とも言われる、「もう文明を再建できない領域まで崩壊してしまった」シナリオ。
世界終焉シナリオの中でもイメージがしやすく、またありとあらゆる方法で、
たとえば未知の病とか、未知の放射線とか、大量に自己増殖したSCP-173とか、
それこそ意志を持った異常存在が人類から核ミサイルを奪取して全世界に撃ちこむことでも起こせるという
世界終焉シナリオのなかでももっとも「可能性が高い(かつ一番救いがない*2)」シナリオ。

あまりに使いやすいため、俗語として「XKが起きる」なんて使い方がされることもある。
(たとえばアベルの強さを指して「XKレベル」みたいな)

他に比べるとシナリオ開始時点でもう手遅れであるため、他のシナリオの『エピローグ』として齎されるものとも言える。
例えばSCP-3519(静かなる日々)では、記事の体裁こそ報告書ではあるが、現在のプロトコル制定時点で財団含めた人類が全滅しており、補遺にて破滅までのプロセスが語られる……という形式になっている。


YK-クラス:世界終焉シナリオ

または『YK-クラス:エントロピー消滅事象』。
ざっくり言うなら「宇宙の始まり=ビッグバン」の対極にある、「宇宙の消失=ビッグクランチ」がこの世界終焉シナリオにあたる。

XK-クラスが一応世界が残る(けどもう取り返しがつかないレベルで破壊しつくされている)のに対して、
こちらは世界自体が消えてしまう現象である。
SCP-2700(テレフォース)、及びSCP-1690-JP(トンあるいはウロボロス)では「世界がオブジェクトの暴走で消えてなくなる」、
SCP-3049(ゼロから作るアップルパイ)では「世界がオブジェクトの中でNK-クラスシナリオを経てアップルパイになる」という終わりを迎える。


ZK-クラス:現実不全シナリオ

いくつかの現実が「機能不全」を起こしてしまうというシナリオ。
…と言われても若干わからないと思うが、要はそれまでの現実がいきなり虚構になってしまう、というもの。

「それってCKでは?」と思う人もいるかもしれない。
だがZKを主張したサイトメンバーはかねがねZKについてこの認識で一致していたというので、
CKとは明確な差異があると考えられる。

現在ZK-クラスの代表的なものとしては「S・アンドリュー・スワンの提言」が挙げられるだろうか。
これは「俺達の世界はどうやら外側にいる悪趣味なホラー作家の一団によって紡がれたようだ」という
ややメタな話なのだが、「自分たちの世界の内側から現実改変者がいじくったら」CKで
「外側から書き換えられてしまう」ものをZKみたいに区分しているのかもしれない。
また、SCP-3999(私は私に起きること全ての中心にいる)では第四の壁の向こうで新たなSCPを生み出そうとしている執筆者の迷走ぶりが、
何故か執筆者のアバターであるタローラン博士を通じて財団世界にフィードバックされてしまった事により
財団世界がカオスの坩堝と化してしまう。
この場合、SCP-2442(時として治療は唯の痛々しき真実に過ぎず)や「tokage-otokoの提言」なんかもこれにあたりそうである。



MKクラス:世界終焉シナリオ

これは財団の理念が現在これが「確保、収容、保護」であるにして、これがSCP-5000のように理念が変わってしまうシナリオ。
「財団の理念が変わると何があるの?」というと、「人類の根絶、オブジェクトの徹底破壊、世界の終焉」なんかになれば世界終焉真っ只中である。
多くの場合、現実改変なのでCKと似ているがこれは世界ではなく財団が変えられるため別のシナリオである。



以上の他にもいくつかのK-クラスシナリオがタイプ分けされている他、
世界終焉シナリオの新たなタイプを提案したり、古典的なシナリオに新たな拡張を齎すことも許されている。
画面の前の諸兄も独創的なK-クラスシナリオで世界を破滅に追い込もう!犀賀派「やめてね。」

ここからは少し色が異なるK-クラスシナリオである。

LV-Zero : 捲られたヴェールシナリオ

オブジェクトや要注意団体、自然災害等々の原因により世間一般に異常存在や財団などのアノマリーを扱う団体が存在する事を知られてしまうというシナリオ。
なお後述するSCP-1710-JPにおいてはLK-クラス: ”捲くられたヴェール”シナリオとされている。
「世界終焉関係ないやん!」と思うかもしれないが、考えて欲しい。
財団は、世間からアノマリーを隔離して収容し、平穏な日常を保護するための組織であり、このシナリオの発生はすなわち財団の完全敗北を意味する。当然財団としては許容できないだろう。
また、一般人がアノマリー開発や異常性を含む宗教に傾倒することでこれ以上財団の負担を増やされるのは御免であるという事情もあるのかもしれない。

しかし、SCP-2217ではサーキックとの戦争のためにヴェールが剥がされるのもやむなしであるとしており、他のK-クラスシナリオに比べると比較的セーフな部類としているようだ。
正直SCP-8900-EXで使われたアンニュイプロトコルをやっちまえばいい分財団も甘く見てるのだろう。それはそれで財団の敗北なのだが。

関連するSCPとしてはSCP-1710-JPによって意外すぎるベールの剥がされ方がされたり、SCP-2273のtaleではベールが剥がされた世界での異常性を孕む人間の待遇が描かれていたりする。
また、SCP-5000のピエトロさんが居た世界では財団が自分からベールをめくっちゃっているが、その理由は最後まで明かされない。最もその財団がXKシナリオを引き起こしているのであまり意味はないが。
ちなみにSCP-JPハブ『1998』は上記SCP-1710-JPのためにこのシナリオが起きた世界が舞台となっている。


ΩK-クラス : 死の終焉シナリオ

これは全人類が完全な不死となるシナリオである。ただし、普通に老いるし、妊娠もする。
まさしく、(これまでの)世界(の常識)終焉シナリオ。

これが何を意味するかというと、老いきって全く体が動かせなくなったにも関わらず、脳死状態とはならず結果的に長期睡眠状態に追い込まれたうん百歳の老体によるNK-クラスシナリオである。(厳密には異なるが、増え続ける物品により文明が崩壊するという意味では似たようなもの)

また、増え続ける人口により資源の奪い合いによる戦争が発生する事は想像に難くない。そこで見られるのはゾンビのようになりながらも銃を手にし敵陣に突っ込み合う不死兵士の群れだ。まさに地獄。

さらに、一般市民にとったら急に自分自身や家族も知り合いも不死になることからLV-Zeroシナリオも確実におまけでついてくる。財団にとっては完全に悪夢だ。

関連するSCPはSCP-1682-JP/AiliceHersheyや、SCP-1344-JPSCP-3866など意外に多くのオブジェクトがあるが、どれもΩK-クラスシナリオが発生したことに関与するSCPというよりそれが発生した後の世界での話が多い。


SD-クラス:“シャットダウン”シナリオ

SCP-JPの『筐体作り』ハブに登場するK-クラスシナリオ。
具体的に何が起きるのかはまったくわからないが、ある時点から64日後に発生することだけが判明しているという特異性から独立した呼称で呼ばれる事になった。
作中ではこの未知のシナリオへの対抗策としてSCP-2000=筐体が製作されることとなった。

追記・修正はK-クラスシナリオが発生する前にお願いします。


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最終更新:2021年09月06日 19:02

*1 鉄の隕石(SCP-435-1)と不規則な形状の物質(SCP-435-2)2つで構成されるオブジェクト。光を当て続けていないと極めて危険。

*2 ほかはまだ人類が逆転できるが、XK-クラスはそのまま滅びるしかない