アザトース

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アザトース - (2017/05/31 (水) 14:48:52) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2011/12/24 (土) 19:19:16
更新日:2023/08/09 Wed 13:13:42
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すなわち時を超越した想像もおよばぬ無明の房室で、下劣な太鼓のくぐもった狂おしき連打と呪われたフルートのかぼそき単調な音色の只中、飢えて齧り続けるは

あえてその名を口にした者とておらぬ、果てなき魔王アザトース。

――――――未知なるカダスに夢を求めて





アザトース(Azathoth)とはクトゥルフ神話内で語られる神?の一柱である。
訳によってはアザトート、アザトホート等と訳され、主な二つ名として「万物の王」「盲目白痴の神」「沸騰する混沌の核」等がある。

クトゥルフ神話の創始者(体系化したのはダーレスだが)ラヴクラフトはこの存在については詳しい描写をしておらず、一部の作品にて語られるだけとなっている。
この存在は他神話でいう主神のポジションに当たる存在であり、クトゥルフ神話の世界を形作っているもの…だと思われるのだが実際の所「神」なのかどうかすらも定かではない。
これは上記の通りラヴクラフトが作中で詳しい描写をしていなかったためでもあるが、暗黒神話の「宇宙的恐怖」というテーマの謂わば根源であるため人間が描写できなかったり、詳細が不明なのは仕方の無い事だと言える。そのためその数少ない描写についても「よく分からないがとりあえず凄まじく強大で恐ろしい」と言った程度に抑えられている。この「Azathoth」という名前自体も「慈悲深く覆い隠されている」らしく、実際は違うらしい。

しかし、多くの作家が設定と世界観を共有し構築するシェアード・ワールドである現在のクトゥルフ神話ではこのアザトースに関する説や設定も多い。

一説によればこの存在は上記の通り凄まじい力を有してはいたものの生まれた時、もしくはある時を境に狂い知性を失ったらしく、通常の時空と物理の法則が働かない宇宙、もしくは混沌の中心にある自らの宮廷(ただし「膜」のような物で宇宙と宮廷は分けられているとか)で永遠に沸騰し続け身を捩らせているか、眠り続けているだけだという。
その眠りを妨げぬように彼の宮廷には盲目の楽器隊である従者たちがフルートと太鼓を吹き鳴らし彼を落ち着かせている。アザトースの子守唄という事だろうか。

このアザトースの正体や役割については諸説あり、一例を挙げると

  • 万物、宇宙の創造者であるという説
  • 上から派生し、この宇宙そのものがアザトースの見ている夢ではないかという説
  • ビッグバン、もしくは放射能の暗喩や擬神化
  • 実は更なる怪異への予兆

といったものがあるが真相は定かではない。

■他の神々との関係
神々達の系譜の始まりはこのアザトースにあり「闇」「無名の霧」をこの神が生み出した後にそこからshub-niggurath、yog-sothothが誕生した。
どちらも神話内では大きな影響力を持つ重大な神であり、ここから多くの無秩序極まる邪神系図が展開されていく事になる。それら神々の魂であり、使者ともなるNyarlathotepを生み出したのもアザトースである。
Nyarlathotepは神々の中で唯一の「人格と魂」を持っている存在であり、知性の無いアザトース等神々の願いを聞き、神々のために行動する正しく主従といった関係である。向こう側としては知性が無い主人の事を冷笑しながらもしっかりと仕えてはいる様子。

ちなみに彼の周囲にいる楽器隊だが全てが異型の怪物というわけではなく、時折Nyarlathotepやシャンタク鳥といった神話生物がアザトースのために地球の人間の中でも優れた技能と感受性を持つ芸術家や音楽家の魂を運んでくるらしい。そのような哀れな犠牲者はアザトースの宮廷で永遠に彼を楽しませ続ける事となる。

■他種族からの信仰
他の旧支配者や外なる神とは違い、この存在を信仰しようとする者は極めて少なく人類は皆無と言っても良い。そのような者がいるとするなら完全に精神構造が崩壊した狂人であろう。
信仰の見返りとして他の神々は気紛れに恩恵や贈物を授けてくれる事もあるのだが、アザトースには知性が無い為信仰の見返りどころか信仰を受けている事にも気付かないためである。正気や身の安全と引き換えに信仰を行ってもメリットが何も無いのだから当然と言えば当然。
魔道書にもこの神に関する記述は少なく、これに対する情報はまさに禁断の知識といっても過言ではない。一応地球上に召喚する事も可能らしいがどう考えても碌な事にならないのは想像に難しくない。


この神の正体を知る事は破滅と同義なのであり、決して人類如きが触れてはならない物なのである…







Q.で、一体こいつの正体は何なの?
A.ぶっちゃけ宇宙規模のニート。
…そんなわけでこちらからちょっかいをかけなければ(出す手段も限られているが)寝ているだけなんで人畜無害である。起きたら滅茶苦茶寝相が悪いんでそっと寝かしておいてあげるのがお互いにとっても幸せだろう。

現在においてはデモンベイン等に代表されるクトゥルフ神話を取り入れたバトル物も少なからず存在するが、そういった作品でもこのアザトースをどうこうするといった物はまず見受けられない。
そもそも元々クトゥルフ神話のジャンルはコズミック・ホラーでありバトル物等では無い。どうしようも無い宇宙の恐怖そのものを「強さで測ったり」「戦いの対象」にする事自体が愚かしい事なのかも知れない。

と、思いきや日本の漫画内では擬人化されて可愛らしいお姫様になった事も。御大ェ…


追記・修正はシャンタク鳥で宇宙の中心に出向いてからお願いします。

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