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旧神と旧支配者

登録日:2011/08/02 Tue 07:35:26
更新日:2026/08/01 Sat 05:16:58
所要時間:約 6 分で読めます




この項目はクトゥルフ神話に登場する神格を纏めたものである。

H・P・ラヴクラフトが起源となり、後に多くの作家によって発展してきたクトゥルー神話だが、現在基礎とされるものはA・ダーレスが肉付け、リン・カーターなど後続の作家が整理したものである。
そのため、現在でも公式で分類が煩雑で、資料によっては異なる分類がなされている場合がある。*1
というより、クトゥルーの神格は人間の認識・倫理を遥かに超越した存在なので、ある意味ではこうした分類自体が無意味なものともいえる。
またファンの中にはラヴクラフト神話を重視し、こうしたカテゴライズを忌避する者もいるので、その点は注意すべし。*2

そもそも旧支配者という言葉自体が、創始者であるラヴクラフトの時点では定義は曖昧で、ざっくりと太古に存在したものを示すものだった。
  • クトゥルフは旧支配者を崇める司祭に過ぎない
  • 狂気山脈の海百合型の宇宙人「旧支配者」
  • 深きものどもと敵対した勢力「旧支配者」
などなど


基本的に、クトゥルー神話の世界観において一部を除いた「神格」とはいわば宇宙人であり(一部を除く)、地球は植民地、あるいは活動地域の一つに過ぎない。
彼らはおよそ三つに分類される。


外なる神(the Outer Gods)

TRPGで設定された比較的新しい分類。旧支配者よりも別格の力を持つ神格に対する呼称だが、TRPGに限っても版によって外なる神にされていたり旧支配者にされている邪神がいるなど定義は曖昧。

その名の通り、この宇宙が存在する以前から存在した別次元存在。
ほとんどがこの宇宙の物理法則によらない超自然エネルギー的存在で、地球に干渉してくることはある一体を除き稀。
だが、ひとたび干渉してくれば極めて甚大な影響を及ぼす。

日本名アザトース、アザトホソート等。
万物の支配者たる盲目白痴の魔王。ビッグバンあるいは放射能の化身体。
現在は無限の混沌、あるいは宇宙の中心にある己の神殿で眠りについているという。
魔導書『妖蛆の秘密』にその召喚法が記されていると言われる。
自身の代行者たる『闇』『這い寄る混沌』『無名の霧』を生み出した。

『無名の霧』より生まれしもの。
日本名ヨグ=ソトース、ヨグ=ソトホート等。
過去にして未来、門にして鍵、全にして一、戸口に潜むもの等、多くの異名を持つ副王。
CthulhuやHasturなど何柱かの神の父でもあり、人間と交わり子をなすこともある。
あと、マスターテリオンの父。

『這い寄る混沌』
日本名ナイアルラトホテップ他多数。
Azathothの忠実なる部下にして全ての神格を嘲る強壮なる使者。
例外的に人間と多く関わる外なる神。

『真なる闇』から出でしもの。
日本名シュブ=ニグラス、シュブ=ニググラト等。
『クタート・アクアディンゲン(水神クタアト)』によると稀有な女性、あるいは両性具有の神。
意外にも人間には恩恵を与える機会が多く、古代の祭祀書等にその名が多く見られる。

  • Ubbo-Sathla
日本名ウボ=サスラ、ウボ=サトゥラ。
地球上すべてのものの生みの親。アニヲタ的に言えばリリス。
自存する源とされ、アザトースとは双子であるとも。
多くの旧支配者を産み出したとされる。

  • Nameless Mist, Magnum Innominandum, N'yog-Sothep
日本名無名の霧、マグヌム・イノミナンドゥム。
別名「名を呼ばれざる偉大なもの」。
詳細は不明だが、実態のない霧のような姿で顕現することが多く、この際には体内に複数の怪物や神々が潜んでいることがある。旧支配者の中でも飛び抜けて強大な力を持つとされる存在。実体化した際には全身に眼が開く灰色の柱のような姿。
呪文を知る者には逆らえず、どんな命令にも従うが血肉を代償に求める。他の旧支配者を追放するような命令には惑星一つの全生命を捧げる必要があり、生贄にする星はN'yog-Sothep自身が選ぶ。

  • Abhoth
日本名アブホース、アブホート。
Hyperboreaに生息する神。
自ら産んだ異形の怪物を無数の触手で捕食する、不浄なるものの父にして母。
Ubbo-Sathlaとの類似性が指摘されているほか、旧支配者とされる場合も。

  • Tulzscha
日本名トゥールスチャ。
Azathothの周りで踊り狂うものの一柱。
崇拝者を腐敗しながらに生き長らえさせるという。

  • Trunembra
日本名トルネンブラ。
音楽の神にして音そのもの。
作曲家を狂気に染め上げAzathothの楽団に永遠に幽閉する。


【旧支配者】(the Great Old Ones)

太古の地球に飛来した、肉体を持つものども。「神」と呼ばれそのように崇拝されているものの、あくまで生物であり本質的な神ではないため、外なる神より力は劣る。
外なる神とは対照的に、人間に積極的に干渉する。

日本名クトゥルフ、クトゥルー他多数。
人類誕生の遥か昔、ムー大陸に古代都市R'lyehを築いた水神。
その後人類が現れてからは自身を崇拝することを教えたが、地殻変動により大陸が水没。
しかし今なお滅んではおらず、死のごとき微睡みの中にいる。
兄弟にクタニドという、姿形そのままの旧神がいる。

日本名ハスター、ハストゥル等。
名状しがたきもの。
ヒヤデス星団のセラエノに存在する風神。
慈悲深くも残忍で、CthulhuやNyarlathotepと敵対し、Byakheeを使役する。
利害が一致さえすれば人間にも手を貸すし、召喚にも応じる。
外見には謎が多い神だが、蒼白の面、黄衣の王と混同される。黄衣の王はハスターの化身であり、破滅を招く本である。
設定上効き目がなさそうな「旧神の印」を掲げられて速攻でトンズラかましたケースも。

日本名クトゥグア、クトゥグァ。
地球に最初に現れた火神。現在はフォマルハウトに存在。
Nyarlathotepの天敵。彼の地球での拠点の一つであるンガイの森を焼き払った。

日本名ツァトゥグァ、ツァトホッガ等。
極めて怠惰だが非常に博識な神格。

  • Ithaqua
日本名イタクァ、イサカ等。
北米伝承のウェンディゴと同一視される風神。
人間を攫い連れ回して凍死させるはた迷惑な神。

  • Lloigor/Zhar
日本名ロイガーとツァール。
ミャンマーにかつて存在した古代都市アラオザルの地下に潜む双子の卑猥なるもの。

  • Atlach-Nacha
日本名アトラック=ナチャ、アトラク=ナクア。
巨大な人面の蜘蛛。その巣が仕上がると世界が滅ぶとされる。
クトゥルー神話とは無関係の作品でも名前が蜘蛛のモチーフとして引用されたりと日本での知名度は高い方だが、実は初出作品の『七つの呪い』における出番はほんのちょっとのオチ要員。

日本名ヴルトゥーム
火星の洞窟に隠遁したYog-Sothothの息子。
ちなみにこの旧支配者の初出である『ヴルトゥーム』、2020年現在日本語訳はプレミア化している書籍一本にしか収録されておらず、読むのが非常にハードルが高い作品としても知られる。

  • Ghadamon
日本名ガダモン。
Mi-Goによって創造された膿疱だらけの粘液質な神。

日本名クァチル・ウタウス
触れたものを風化させる子供のミイラのような姿。塵を踏むもの。

日本名グラーキ。
イギリス、ブリチェスターの近くの湖の中に棲んでいる怪魔であるご当地系旧支配者。
故郷は酸性の湖で覆われ、大気は汚染された蒸気に満ち、宇宙を漂っていた隕石都市だったらしく、隕石と共に移動する事が可能。
かつての住人が死に絶えた後、グラーキは己が乗っている隕石を地球へと落下させたという。
現在のブリチェスターから16キロ離れたド田舎の森林地帯に落下した隕石のクレーターはやがて湖となった。
グラーキは力がある程度衰えたようだがこの怪しげな湖を調査しに来た人間を配下に置き、そこから勢力を伸ばし始める。
余談だがこの隕石都市はユゴスやシャッガイなどファンならニヤリとできる惑星にも立ち寄っているらしい。

遭遇した人間によれば、外見は蛞蝓に似ており背中から金属製の針が針鼠のように無数に伸びている、数メートルぐらいのでっぷりとした毛虫のような姿。

主な能力は2つで、1つは夢を通じて相手に忍び寄って操る能力。
…なのだが、今では湖の近くにある家に引っ越してきた哀れな犠牲者を頑張って操ろうとするのがせいぜいで時間がかかる。

もう1つは相手に自慢の刺を刺して謎の液を注入してゾンビ化させて操る能力。
こちらの方がより確実に操れるだろうが、しかし下僕になったまま60年ぐらい経つとやがて強い日光の元には出られなくなる。
何せ強い日光を浴びると彼らの肉体は緑色崩壊(グリーン・デイケイ)という現象で崩れてしまうからだ。
なお、液が体に回り切る前に棘を引き抜ければ人間として死ぬ事ができる。
グラーキ初登場作品「湖畔の住人」ではこの弱点(?)を突かれ、
刺をブッ刺した画家カートライトに手斧で棘をぶった切られ悲鳴を挙げて湖に逃げ帰るという可愛い姿を見せた。
自分の命と引き換えに人外の存在に手傷を負わせるとは大したものだが、まあクトゥルー神話ではよくある事である。

  • Ayi'ig
蛇神イグとイースラ(イドラ)との間に生まれたとされる。
タコに似たゴム質の球体。テレパシー能力で動く、本体から独立した8本の触手を持つ。
インディアンに禁忌の地と忌まれる峡谷に存在する、洞窟の地下水内に潜む。
かつては東の地に存在した文明で崇拝されていたが、その文明は「ヨグ=ソトースの復讐」で崩壊している。古代ミノア文明の時代にはクトゥルフ、ヨグ=ソトース、ゼウス、オリンポスの神々と手を組んで文明を襲っていたと文献に記されている

日本名ウッギウトゥ。
宇宙の知的生命体全てを創造したと伝えられる螺旋の神。
惑星カリの人型宇宙人種族カリアンに信仰されているのだが、化身を都合よく利用されている側面が強い。

  • Gloon
日本名グルーン。
夢見る者の魂を捕らえ拷問するというアトランティスの神。

  • Gol-Goroth
日本名ゴル=ゴロス。
蹄をもつ蟇蛙の姿で表される。

  • Sebek
日本名セベク。
人身鰐頭の実在するエジプトの神。

  • Han
日本名ハン。
Lenから現れるというだけで詳細不明の神格。

  • Mordiggian
日本名モルディギアン。
食人儀礼を行った屍喰鬼の神。

  • Rlim Shaikorth
日本名ルリム・シャイコース。
万物を凍らせる白蛆姿の神。
クトゥグアの配下アフーム=ザーの尖兵。

  • Hziulquoigmnzhah
日本名フジウルクォイグムンズハー。
Tsatuggaの叔父にあたり、土星で隠遁生活を送っている。

日本名ボクルグ。
敵対者には容赦ないが穏やかで緩慢なトカゲのような神。大きさはオオトカゲ程。

日本名ムノムクァ。
Bokrugの上司の月に棲むドラゴン。

  • Eihort
日本名アイホート。
迷宮の神。白く巨大な蟲のようにも見える神。
腐って膨らんだパンに細い馬の脚やゼリー状の赤い無数の目が付いている。
地下迷宮の奥に獲物となる人間を誘い込み子供の卵を産み付け。卵が孵るとその人間は無数の蟲サイズの幼虫たちに身体を喰い破られて息絶える。
なお、人間を喰い破った幼虫たちが、その後どうなるのかは不明。

  • Baoht Z’uqqa-Mogg
別名「疫病をもたらすもの」。
シャッガイ出身の棘の生えた翼を持つサソリに似た姿の神。頭部は痙攣しブンブンと奇妙な音を響かせる触手に覆われている。体表は膿んだ傷や腫瘍に蝕まれ、伝染病のキャリアとなる害獣が這い回っている。
汚れた地に現れ、汚物や毒液を浴びせる。

  • MAPPO NO Ryûjin
日本名、末法の龍神。
別名「イグの母」。ケツァルコアトルやウロボロスなど、様々な神話に伝えられる蛇神の正体だとされる。
時代の終わりを告げ、新時代の到来を告げるとされる、蛇に飲まれ蠢く人体のような仮足が羽毛のように全身を覆う全長1000フィートほどの龍。イグを含めた全ての蛇を生み出した存在だとされる。
時間と空間を貪り、六道世界を融合させて末法をもたらす力を持つ。末法が発動すると旧神による封印が無効化され、全ての旧支配者が存在する空間への門が地球上に開かれる。

  • Lung Crawthok
ヨグ=ソトースの空間内に住む守護者。
アカエイや蟹に似た特徴を持つ人型の戦士の姿をしている。

  • Shabat Cycloth
別名「千の鉤の淑女」、「門の女神」。
Lung Crawthokの妻。肉体はLung Crawthokと自身との間に生まれたヤツメウナギに似た落とし子の集合体。落とし子の群れが、中身が空洞の女性のドレスのような形状を象っている。
水面を踊るように移動し、まるで抱擁するかのように落とし子の群れを食い付かせて人間を捕らえヨグ=ソトースや落とし子の糧とする。落とし子は、本体から分離させて獲物を追跡させることも可能。
一度、獲物に食い付いた落とし子は簡単には引き剥がせないがヨグ=ソトースの空間外では長時間存在することはできず墨のように溶けて消える。

  • Oroarchan
別名「想像を絶する恐怖」、「万色の母」*3
地球の水の起源となった氷の彗星と共に来訪した、色彩の生命体の起源である漆黒の色彩。イス人の賢者ザールによって時間と空間の外側の領域に建てられたザールの塔に、眠りについた時間のまま封じられている。
貪食で時間さえも貪り食らう。敵対する種族を発生する前の時間軸ごと食らい存在ごと抹消するような芸当も行う。イス人に観測された復活に成功した可能性の未来では、地球からは他の旧支配者含めた生命全てが消え去り黒い海だけが広がっている。
地球の水と同一化しており、肉体の大部分が水でできている地球生物は必然的に影響を受けている。生命の進化はOroarchanに歪められた結果であり、Oroarchan本体が封じられ忘れ去られたとしても信者となる生命の出現を妨げることは不可能。
最初に宇宙から地球に降り立った旧支配者であり、後から地球にやってきた旧支配者とは敵対関係にある。クトゥルフとは疲弊させる程度には苦戦させられるが、ほぼほぼ圧倒される力関係。

  • Vastarara
豊穣の女神と荒れ狂う火の神の二面性を持つ旧支配者。支配地では自然豊かで人間でも暮らしやすい環境が広がる。
ほぼ確実に間違いだとされるが、シュブ=ニグラスの娘説、クトゥグアの化身説も唱えられている。

  • Zum-Trivalis
別名「名ばかりの鼠神」、「害獣の王」。
顔は人間で、太い蜘蛛の脚と蠍の尾を持つ。黄衣の王教団からはハスターの配下だと認識されている。
口から際限なく人面鼠の群れを吐き出し続ける力を持つ。
登場作の『Tree of Azathoth』では、化身ではあるが手負いのショゴスに完敗しており本当に旧支配者と呼べる格があるのか疑問視されている。

  • Kugappa
クトゥルフと同郷の海神。力と知恵を司るとされており、人肉を好んで食し人食人種に信仰される。
時空を超えて存在する魂が本体で地球上には物質的な化身としてのみ存在しており、基本的には美麗なタコの姿をとる。
作中では、8本の足の先端が信者8名と融合したタコの姿の化身で登場。融合した信者は、元の人格を保っているがKugappaの意思に飲まれると瞳がオレンジ色の光を放つ。

  • Dhumin
ウクテナ(Uktena)*4の中でも最も恐ろしいものだと伝えられる存在。登場作『The Burrower From the Bluff』では、ウクテナも旧神による追放を免れて地球に残ったグレート・オールド・ワンという設定。
深海、高所、そして地底に潜み、現世と死者の国を自在に生き来し、人間の魂を深淵へと引き摺り込むこともあるとされる。光を嫌い基本的には夜に活動するが、暗い場所を察知する力を持ち昼間でも地上に現れることもある。
メンフィスの岩盤を削り地下に貯水源を生み出した存在でもあり、インディアンたちからは畏敬の念を持ち接されていたが、無差別に人間を襲い始め集落を一夜で滅ぼす惨劇も引き起こしたことで、松明で追いやられ硬い岩の中に封じられた。
封印を解いた人間を(工事の許可を出した事業主など)関係者含め執拗に狙い殺害すると、犠牲者の血に塗れた鱗を1枚残す。

  • Curmonga
別名「征服者」。
身長12フィート。ワニのような爬虫類を人化させたような容姿の筋骨隆々の大男。腹部には闇で出来た複数の触手が隠されている。
複数の次元に同時に存在し、地球での姿も物質的なものの一つに過ぎないため真の意味で殺すことは不可能(肉体を破壊し地球から永遠に追放することは可能)。
登場する『Monster Among Men』の作中では、「人間の武器で俺を傷付けることは不可能だ!」と豪語している。一方で斧で胸部を裂かれたり触手を切り落とされたり、銃で脳天に風穴を空けられ驚愕する様子も見せる。
太古にはシャーマンを配下とし人間を奴隷や食料として扱っていたが、ある種の神々と手を組み離反したシャーマンによって深淵へと追放された。

  • Izothaugnol
巨大な頭部から蛇のような胴体が7つ生える旧支配者。季節の移り変わりを逆転させる力を持つと伝えられる。
地球には頭部だけで召喚され、生贄7人の体を引き伸ばして同化する形で肉体を得る。

  • Asterias
以下、UmôrdhothまではTRPG『Arkham Horror』で設定された神。
『Arkham Horror』では、Great Old OnesではなくAncient Onesの表記が使用されている。

七本の腕を持つヒトデのような姿の神。元から神だったのか他の神を食らうことで神に至った存在なのかは不明とされる。
性質もヒトデに近く、僅かな破片からも完全体に復活する生命力を持つ。そもそもヒトデという生き物が、この神に連なる宇宙生物。
惑星の深海に潜むと四方八方に腕を伸ばし、あらゆる生物を飲み込み拡大し最終的には惑星の残骸だけを遺して去る。

  • Crothoaka
細く長い芋虫のような迷宮の神。
尾を噛み、巨大な輪となることで自身の体そのものを迷宮とする。
人間の感情に興味を持ち、迷宮の中に誘い込み弄び観察する。

  • Ezel-zen-rezl
スカラベやタランチュラに似たtrylogogsと呼ばれる生物の群体。
世界から世界を渡り、あらゆる有機物をtrylogogsに変化させ拡大する蝗害の神。

  • Mag'han Ark'at
成長し続ける巨大な卵。
周囲の気温を上昇させ、動植物を原始的な姿に変化させる。時折、卵の中から凶暴な怪物を吐き出す。

  • Silenus
宇宙の熱的死そのものである霧とガスの神。
存在する宇宙は既に滅び、生命を食らうことへの渇望から他の宇宙に渡ろうとする。

  • Syrx-Crugoth
煌めく小さな結晶の破片の集合体。悪意と血への渇望から人類を破滅させることを望む。
現在は牙状の結晶内に封印されており、テレパシー能力で人間の夢に干渉して封印を解かせようと企てる。
小説『Lair of the Crystal Fang』では、予知夢の中では赤い霧で地球を覆い人類を滅ぼす光景が幻視されたが、実際には封印が解けた瞬間にダイナマイト一発で撃退され力尽きたところを再封印されている。

  • Tsocathra
精神と物質の2つから肉体が構成され、現在は呪文の言葉そのものに封印されている神。
呪文を知った者を知覚し、夢を蝕み封印を解かせようとする。

  • Umôrdhoth
芋虫のような形をとる闇の塊。食屍鬼に信仰される公平な神。
普段は地底に潜み、飢えると地上に現れ死体や瀕死の者を捕食する。

  • Yoth-Tlaggon
日本名ヨス=トラゴン。
例によって名状しがたい姿をしている神。九大地獄の王子。
元々ヨス=トラゴンとはラヴクラフトがある書簡で使用した謎の名称だったが、朝松健がクトゥルー神話作品を書く際にヨス=トラゴンという名の神を設定した。
登場作品では日本でも古くからこの神が信仰を受けていたとしている。

旧支配者に対抗するには旧支配者を知り必要がある、調べるためには旧支配者を創らなければならないと人造された旧支配者。
ありとあらゆる旧支配者と図書館一つ分にも及ぶ膨大な魔導書のデータが組み込まれている。

  • Lilith
日本名リリス。
アダムの妻にしてサタンの配偶者。不老の美女の姿で現れ、対象の精神を支配する。Nyarlathotepの娘とも。
現在では旧支配者から転落、大いなるものの一柱となってしまっている。


【旧き神】(the Elder Gods)

外なる神や旧支配者と敵対する存在だが、明確に区別されない場合もある。
ダーレスが体系化する際に生まれた区分で、宇宙における善・秩序的な神々として扱われる傾向にあるが、必ずしも慈悲深い人類の味方の神々とはまでは断言できない。*5
リーダーは概ねノーデンスかクタニドとされている。

  • Nodens
日本名ノーデンス。
ケルト神話のヌァザと同一視される、大いなる深淵の大帝。
Night Gauntsを従え、夢の国(幻夢境)で旧支配者を監視しているという。
ラヴクラフト初期のダンセイニ風幻想小説の中でもやたらと長い名作「未知なるカダスを夢に求めて」では颯爽と登場し、ニャルラトホテプ配下の邪神達を謎のビームで焼き払うシーンが強烈なため印象に残っている人も多いと思われる。
後に「サセックス草稿」「クトゥルー神話小辞典」などの書籍で旧神扱いされ、ダーレスもこれらに影響を受けて旧神としてノーデンスを扱うようになったと考えられている。
同じくラヴクラフトの「霧の中の不思議の館」では「貝殻を模した戦車に乗る白髪白髭の老人」というよくありそうな神様っぽい姿で登場している。
しかし、某TCGでは這い寄る混沌よりもなお濃密な混沌を世界中にバラ撒き非難轟々の末に封印されたという。元ネタにとってはいい迷惑。

  • Kthanid
日本名クタニド、サニド。
ブライアン・ラムレイ設定の世界観における旧神の王。クトゥルフとは兄弟で、外見もそっくりだが慈悲深さが溢れ出ている。
なおラムレイの世界観では、クトゥルフたち旧支配者も元は旧神の同胞で裏切りにより追放され袂を分かった設定である。

  • Bast
日本名バースト。
人身猫頭のエジプトの女神。要はエジプト神話のバステトのこと。
一部の達にも崇拝されている。クトゥルフ神話における猫は知的で強いのだ*6

  • Hypnos
日本名ヒプノス。
ギリシャ神話の眠りの神。
気にかけた者(主にドリームランドで無茶をした者)をドリームランドへ永遠に引き込むとされる一方、ドリームランドおよびドリームランドと現実の世界の境界の守護神でもある。

  • N'tss-Kaambl
日本名ヌトス=カアンブル。
ローブをまといを構えるアテナヴァルキュリアのような戦女神。
旧支配者の眷属に対抗する旧の印(エルダーサイン)を作ったとされている。

  • Vorvados
日本名ヴォルヴァドス。
後に旧神扱いされるようになった神。
大昔はクトゥルー、イオド、イグらと共に信仰を受けており、これら人類に友好的な神々は、滅びゆく異次元から現われた名状しがたい姿の侵略者達を撃退し、地球を守り抜いた。
再び侵略者達がこちらの世界へ本格的に現れそうになったその時、召喚に応えて現われたヴォルヴァドスが侵略者達を再度撃退したという。


  • Yaggdytha
作品によっては旧神の反逆者とも記載される。
ヴォルヴァドスの双子の兄弟。旧支配者リサリアと、彼女の誘惑に負けたノーデンスとの間に生まれたとされる。
生命エネルギーでできた青い球体状の姿をしており、信徒には指先から青い炎を発射する能力を授ける。

  • Shavalyoth
形のない影のような旧神。

  • Oztalun
黄金に光り輝く旧神。
共に古代大陸アトランティスから見ても太古に存在したゼンドシュと呼ばれる農村の神殿で祀られていたと語られるのみで詳細不明。
ゼンドシュは旧支配者バイアグーナ(Nyarlathotep)の襲撃を受け、住人は2柱の神に救いを求めたが両神とも応えることはなかった。

  • 星の戦士
善なる旧神。若しくは、それに仕える天使の様な存在。初出は1931年の『潜伏するもの』。後続の作家どころかダーレス自身も再登場させていない。
巨大な人型をした炎のような生命体であり、旧支配者の復活を察知すると赤い火の玉となって地球に飛来して素手で格闘を挑み旧支配者を叩きのめした後に、三対の腕っぽいものを組み合わせた筒のようなビーム砲らしきものから光線を発射、旧支配者を再び封印する存在であるという。
そして筒のような乗り物に跨って飛び去るという実に尋常ならざる姿をしているが、上記の通り戦闘能力は極めて高い。
はて、日本にもそんなヒーローが来ていたような…?

ちなみに彼らはオリオン座の方角からやって来るのだが、そのヒーローの故郷も地球から見てオリオン座にある。また邪神をモデルにした怪獣もいたような?
クトゥルフ系ボードゲームの旧い版では、星の戦士のコマがどう見ても……だったりするが、うん、まあ。
果たしてこれは偶然の一致なのか、それとも…?
答えは神のみぞ知る…と言いたいが、あのヒーローは誤植で故郷があの方角になったのであり、本来は乙女座の方角だったはずなので信じ難いが偶然の一致である。

  • Sk'tai
クタニドの妻である旧神の女王。
ジョゼフ・S・パルヴァーに設定され、元はクトゥルフの妻であった彼女をクタニドが寝取り。その復讐でクトゥルフは旧神を裏切ったことになっている。
クトゥルフとの間にT'ith、クタニドとの間にEppirfonという息子がいる。T'ithもクタニドの教育により善良な性格に育っており、クトゥルフが都を襲撃した際には異父弟のEppirfonと母Sk'taiと共に死ぬとクトゥルフと対立している。

  • Ulthar/Uldar
日本名ウルタール。
『サセックス稿本』ではUlthar、『A Guide to the Cthulhu Cult』ではUldarの名が使用されている。
フレッド・L・ペルトンに設定された旧神。ノーデンスを除けば唯一固有の名を持つ旧神だとされる。
ユゴスで悪さをしていた旧支配者が地球に追放された際に、監視役の任を受けて同行した(そのため旧支配者の仲間だったと誤った伝承も伝えられている)。
魔力を神聖の外側に持つ旧神としては特異的な性質を持ち、その強さは信者の信仰心に依存する*7

  • Tanka
Beecher Smithの「The Burrower From the Bluff」での旧神の統率者。インディアンの伝承に実際に伝わる精霊ワカン・タンカのことだと思われる。
(Dhuminが率いるウクテナ族など極一部を除き)旧支配者を地球から追放し、それぞれの故郷の星に追い返したと伝えられる。

  • 名前の無い旧神達
ダーレスとマーク・スコラーの共著「潜伏するもの」で初登場した初期設定の旧神。
名前がないので何と呼ぶべきかよくわからない方々。
光の柱のような存在として描写されている。

今日のような旧神=人間と似ている神々という風潮はもう少々後になってから流行った模様。
ひとまずノーデンスが旧神であると名言される「破風の窓」までのダーレス作品では、誰一人名前を持たない神々という扱いであった。

クトゥルーとハスターを掴んでそれぞれが封印されている場所までブン投げるという強大な力を持っている。

なお、後年のTRPGの分野にて「Orryx(オリュクス)」という固有名称が用意された模様。

【大いなるもの】(Great Ones)

地球のドリームランドのカダスなどに住まう神々。
基本的に他の神々よりも弱く、外なる神(特にNyarlathotep)とノーデンスの庇護を受けている。

  • Ariel
日本名アリエル。
真実そのものともいわれる神。

  • Hagarg Ryonis
日本名アーガリグ・リーオニス。
爬虫類のような見た目で、人間の不信心や堕落、悪行を悔い改めさせる必要がある際に殺戮を行う。

  • Oukranos
日本名オーカラノス、オウクラノス。
ドリームランドの川の神。地域神であるため、下級のドリームランドの神ともされる。

  • Karakal
日本名カラカル。
炎の神で、主に魔術師に信仰される。

  • Koth
日本名コス。
設定揺れや対象の揺れがあるため一概にはいえないが、神を指す際には慈悲深い夢の神とされることが多い。

  • Zo-Kalar
日本名ゾ=カラル、ゾ=カラール。
かつてサルナスで信仰された主神で、生と死を司る。

  • Tamash
日本名タマシュ。
かつてサルナスで信仰された神で、幻影を操る。

  • Nasht and Kaman-Thah
日本名ナシュトとカマン=ター。
ドリームランドの入り口にいる神官。稀に彼ら自身も神々とされる。

  • Nath-Horthath
日本名ナス=ホルタース。
勇猛な神であり、ライオンを携えている。都市セレファイスの主神。

  • Robigus
ロビグス
夢の国の菌類の森に棲み、農耕者に崇拝される古代ローマの神。

  • Lobon
日本名ロボン。
かつてサルナスで信仰された神で、聖なる槍を持つ。


追記・修正は自身のSAN値に注意しながらお願いします。

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最終更新:2026年08月01日 05:16

*1 現在では『クトゥルフ神話TRPG』での区分を元にカテゴライズするものが多いが、同シリーズは「四大属性」や「善なる神たる旧き神と悪なる神旧支配者の対立」といった所謂ダーレス的要素を意図的に廃しているため、当然ながらダーレスによるところが大きい分類構造に対応しきれている訳ではないため、一定以上真面目に扱うのであれば参考程度に留めるのが無難だろう。

*2 実際、ラヴクラフト作品ではそもそも同じ名称を用いていても作品毎に別の物を指していかねない程に曖昧であり、他作家に広まった時点でも作家毎の自由性が尊重されており、全く聞いたことのない神が生み出されるのもその為である。

*3 前者は文明を滅ぼされたイス人からの呼称。他種族からは名前負けしているとの反応も

*4 チェロキーの伝承で実際に伝えられている蛇神。角が生え、額には人間が見ると死ぬ宝石の眼が存在するとされる

*5 そもそもラヴクラフト的なクトゥルー神話のコンセプトは大雑把に言って「宇宙には人類ごときでは到底太刀打ちできない強大な存在がいて、それらが本気になったら人類は大人しく滅びるしかない」というものであるため、「旧支配者から守ってくれる、旧支配者と同等以上に強大な存在」としての旧き神はそのコンセプトに真っ向から反しているとも言える。が、この「善神VS悪神」というわかりやすい構造こそがクトゥルー神話が最初に広まるきっかけになったのもまた事実である。

*6 TRPGでも、猫探索者で猫から見た世界を遊ぶ専用サプリメント『Cathulhu』(キャトゥルフ)なんてのが用意されるほど。

*7 エジプト神話のラーなどと似た特徴と説明されている