&font(#6495ED){登録日}: 2017/05/09 Tue 19:12:17 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 12 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- SCP-2700は、[[The SCP Foundation]]に登場する[[オブジェクト>オブジェクト(The SCP Foundation)]]のひとつである。 [[オブジェクトクラス>オブジェクトクラス(The SCP Foundation)]]はSafe。 項目名は「Teleforce(テレフォース)」。[[SCP-2000]]コンテストの出品作品である。 *特別収容プロトコル このオブジェクトの収容手順はかなり簡素で、要するに厳重バンカー(地下室みたいなもの)に収容し、さらにその中でコンクリート製の金庫室に収めたうえで、4/2700クリアランスを持っていない職員の接触を禁止する、というものである。 Safeに対する手順の見本のようなシンプルっぷりである。 *概要 コイツが何かというと、かの天才発明家ニコラ・テスラによって作られた&bold(){指向性エネルギー兵器}である。何を作ってんだあのヒト。 ただ、翻訳された発見経緯が少々わかりづらく、 >1946年に装置は発見され、1934年に[編集済]の現存していないが厳重に確保されたテスラが使用していた研究施設から回収されました。 //なぜか発見より回収が前。どういうこっちゃ。 //建て主の頭では理解できなかったのでわかる方、修正お願いします。 ぱっと見だと「発見が1946年なのに回収が1934年?」と首を傾げるかもしれないが、 どうもここでいう1934年とはテスラが研究施設を建てた年のことのようだ。 気を取り直そう。 このオブジェクトは「操作パネル」「加速装置」「コア」の三要素から成立している機械的実体である(それぞれSCP-2700-1、-2、-3と指定)。 操作パネルは現在のパソコンのものと同様のキー配置を持った鋼鉄のキーボードで、表示画面に加えてレバーやスイッチが据え付けられている。 OSについては現在調査中。 加速装置は線形粒子加速装置という種類で、タングステン鋼でできた円形の容器に収められている。 この装置には当時の粒子加速器に必要な要素が全て含まれているが、当時の技術力ではありえないレベルで小さい。 長さはわずか7.35mである。 コアはタングステン鋼でできた未知の機構で、テスラの設計図ではこれが装置のコアとされている。この装置は石英ガラスの覗き穴を通じて観察することができ、未確認の物質から製造された球面の枠でできていることがわかっている。 さらに、直径約10cmの透明な球体の中で浮いており、その構成要素もわかっていない。 テスラのメモによれば、この球体の中の空間は永続的な真空状態を維持する設計になっている。枠内に観測できる存在は連続的なプラズマの流れであり、これは未知の理由により連続的に発生している。 さて、この装置が具体的に何をする装置なのかと言えば、ずばりビーム兵器である。 コアで生成された粒子を加速装置に送り、エネルギーで満たして加速装置のむいている標的へと射出する。 具体的にどういう動力を使っているのか、コアが生成している粒子がなんなのかはわかっておらず、現在も調査中である。 ………さて。 >&bold(){注意、クリアランス4/2700職員へ: この文章を読みセキュリティクリアランスが確認できれば、以下の文書へのアクセスができるようになります。文書-2700-DEに続いてください。レベル4以下の職員は、Ω-R5規定のもと緊急時のアクセスが許可されます。} もはやおなじみだが、上記の記述はカバーストーリーである。 偽造文書の部分は、オブジェクトクラスと特別収容プロトコルとSCP-2700-3について。 まずオブジェクトクラスだが、これはお察しのとおり&bold(){Keter}。 続けてプロトコルだが、このようになっている。 >SCP-2700の収容金庫室は厳重バンカー-███の地上入り口から180mに位置します。金庫室自体は地震活動から断絶された状態にされ、3セットの補強された鋼鉄のドアで保護します。差し迫った収容違反の可能性と偶発処理が必要でない限り、金庫室への出入りは30分毎の点検を除き禁じられています。金庫室に入る全職員はシアン化カリウムの首輪を身につけ、規約違反が発生した場合は起動することになっています。 >SCP-2700は絶えず監視を維持し、SCP-2700-オメガの状態に関する全てのデータは30分毎に更新します。SCP-2700のオペレーティングシステムに従事する職員は文書-SCP-2700-1の指針を厳守しなければなりません。O5会議の全会一致の承認なしに、SCP-2700-3との直接的な接触はしてはいけません;この規約違反は即時処分に該当します。SCP-2700-オメガの動作の変化はYK-クラス事象に繋がる可能性があるため、即座に報告することになっています。 >SCP-2700の収容を担当する職員はSCP-2700の起源と機能に関する資料を調査することになっています。工品収容の主な目的は、YK-クラス事象が発生する前に対処することです。SCP-2700による違反が示す破滅の程度を考慮し、規則-30-Aは5/2700クリアランス職員により放棄される場合があります:その他SCP対象物(Keterクラス含む)との交差無力化試験の提案は、審査のためO5議会に提出される場合があります。 >差し迫った収容の不備が発生した場合、SCP-2700-3は現在承認されている交差無力化試験のSCP対象物を通じて処分されることになっています。 このオブジェクトの本当にヤバいのは、SCP-2700-3。 装置のコアである。 *危険性 実はこのオブジェクトは、テスラが作ったビーム兵器ではない。 テスラがビーム兵器を作ろうとして、それとは別の能力を持って完成してしまった機械である。それは、収容後の財団の調査で明らかとなった、とんでもない機能であった。 コアの内部にある不明な現象はプラズマではなく、SCP-2700-オメガと分類された&bold(){反エントロピー現象}である。わかる人にはこの言葉だけで、SCP-2700がいかに恐ろしいかわかるだろうが、ピンとこない人に向けて説明する。 エントロピーとは熱力学で用いられる言葉の一つで、簡単に言うと、エネルギーはすべからく、安定した状態から無秩序で不安定な状態へと、不可逆的に移り変わるのだ、という流れのことである。 わからないのであれば、庭に水を撒いているところを想像してもらいたい。水は、ホースから出てきた時は一つの方向に流れていても、進むにつれて飛び散り、それは戻ることはない。 つまり、エントロピーとはそういうことなのだ。 で、SCP-2700-3の内部で起きている反エントロピーはこの逆で、無秩序の状態から安定した状態へとエネルギーが移行している。 そしてそれは、宇宙の安静と相反している。宇宙の膨張もまた、エントロピーによるものだからである。 宇宙の始まりとされるビッグバンは巨大なエントロピーそのものであり、今は無という安定状態から宇宙という不安定状態へ移行している真っ最中なのだ。 ところが、コアの中ではこれと反対の現象が起きている。そしてエネルギーの流れが逆ということは、相対的に時間の流れも逆であるということになる。 現在コアの外部を構成している不明な物質は、この反エントロピーをコアの内部へと封じ込める役割を果たしているが、万が一、億が一、これが壊れて反エントロピーが基底現実に流出してしまったら? 連鎖反応的に反エントロピーが拡大し、瞬く間に宇宙全域に拡散したそれは、宇宙のエネルギーの流れを逆転させてしまう。その先に待っているのは、YK-クラス:未定義“エントロピー消滅”シナリオ。 宇宙の原初への回帰、ビッグクランチである。 ここまでなら、コアが破壊されないように、破損しないように対処すればいいのでは、と思うだろうが、甘い。 SCP-2700を構成するものは、コアの他に加速器と操作パネルが存在する。 そして、操作パネルSCP-2700-1の設定を確認したところ、なんとSCP-2700-3はすでに作動しており、西暦2234年、最初にテスラがこれを作動させた1934年からきっかり300年後に反エントロピーを解放する設定となっていた。しかもこの設定は取り消すことが出来なくなっている。 このままではあと200年少々で宇宙が消えてしまう。 財団は現在、急ピッチでこれを阻止するための手順を構築しており、万一の場合はSCP-2700-3を無力化するプロトコルを策定している。 しかし、ニコラ・テスラはいったい何を考えてこんなトンデモマシーンを作ってしまったのか? もちろん、彼が世界を滅ぼしたかったわけではない。 それは、テスラによって書かれた日記が示していた。 その内容は長く、またわかりづらいため、簡潔に要点だけをまとめよう。 テレフォースを作りあげたテスラに、ある時謎の男が接触した。 別の宇宙から来たと語ったその男は、それぞれの宇宙でもっとも独創的な発想を探しており、この世界においてのそれはニコラ・テスラだったと語った。 当時のテスラは、世界中で起きている戦争を、退廃した世界を嫌悪しており、これをどうにか出来ないかと考えていた。そうして作り出したのがあのビーム兵器(になるはずだった)SCP-2700、テレフォースだったのだろう。 謎の男は、彼自身の出身世界と財団世界の他に5つ、合計7つの平行世界を見つけていた。 そしてその男は、「科学の最後の謎を解く」ために、テスラを自分の世界へといざなった。 当時のテスラは、テレフォースの操作パネルと加速器は完成させていたが、それを動かすための動力を作り出せずにいた。 だからテスラにとってそれは、テレフォースを完成させるための手がかりを求める旅でもあったのだ。 テスラが連れて行かれた謎の男「旅行者」の世界では、旅行者がさらに別の世界から連れてきた、恐らくはそれぞれの世界におけるテスラと同一の存在達が顔を揃えていた。 「旅行者」がテスラたちを集めた理由、それは無限のエネルギーの発生装置を作り出すこと。そのために、それぞれの世界における最高の頭脳の持ち主を集め、それぞれの世界の知識を合わせることで装置を完成させようとしたのだ。 テスラは、もしそれが完成したらテレフォースをテストに使わせてほしいと申し出、これは快く受け入れられた。 かくして始まった無限エネルギー発生装置の開発だが、数週間をかけて彼らは一つの結論を導き出した。 >2つの特定の物質特性、それぞれ異なる宇宙の物質が、相互作用した時、無限のエネルギーを触媒作用する反応がもたらされる。 異なる宇宙の特定の物質それぞれが相互に働きかけることで、無限のエネルギーは生まれるのだと。 テスラはこれに並行してテレフォースの調整も進めていたが、この時「旅行者」が集めたうちの一人、テスラいわく「観察者」が手を貸してくれた。 基本的にはテスラの作業を見ているだけだった彼は、岡目八目とでもいうのか、テスラの些細なミスを指摘し改善を提案。 そして、無限エネルギー発生装置は完成し、テレフォースもまた完成した。彼らはやり遂げたのだ。 &bold(){しかし、その全ては罠だった。} 「旅行者」たちとともに、テスラは完成した装置=コアをテレフォースに接続した。 初めは予想通りの成果がもたらされたが、ある時別宇宙の一人が気付いた。コア内部のエネルギーが減少している。 これは無限エネルギーの発生装置ではなかったのか? 装置は完成したのではなかったのか? 調査を開始したテスラは、そこで恐ろしい事実に気が付いた。 エネルギーは減少していたのではなく、無限に集中していたことに。エントロピーの流れを、コアが逆転させてしまったのだ。このまま反応を無効にできなければ、宇宙が消えてしまう。 操作パネルを確認すると、最初に仕掛けを起動してから300年で装置が稼働する=反エントロピーが流出する設定が組まれていることがわかった。テスラは慌ててこれを停止しようとしたが、装置はコマンドを受け付けなかった。誰かに壊されていたのだ。 そしてテスラは思い当たり、確信した。 テレフォースの完成のために助言をしてくれた「観察者」がその犯人だと。 指摘を受けた「観察者」は、悪意に満ちた笑顔を浮かべてテスラに告げた。テレフォースの反応を、その時までコア内部に封じておく方法と、無理に停止・解体しようとすればその瞬間にすべては終わることを。 「観察者」は「旅行者」の世界を破壊しようとしていたのだ。 その際に生ずるリスクを無視するために、テスラの世界ではなく別の世界でテレフォースを作らせるために、そして「旅行者」の世界に行くために、あえて「旅行者」の誘いに乗ったのだ。 そして「観察者」が300年の猶予を設けたのは、単に彼が、その発動による世界消失に巻き込まれないためだった。 「観察者」が自らの世界へ、そこへ行くただ一つの方法とともに帰還したのち、テスラは「旅行者」の態度から、このすべては必然だったのだと確信。 「旅行者」の世界はテスラにとっては「素晴らしい」としか言いようのない世界であり、それを無にすることはテスラには受け入れられないことだった。 だから、テスラはテレフォースを、宇宙リセットの時限爆弾を持って元の世界に戻り、研究施設にテレフォースを隔離して自身は隠遁した。 もはや、開発者である彼にも、テレフォースは止められなかった。 望んでいたものとは全く違うが、確かにテスラの望み通り、退廃した世界は消えることになる。 ニコラ・テスラにとって、もはやこの退廃した世界は守る価値のないものだった。だから「旅行者」の誘いに乗ったのだ。 それは、彼の日記を締めくくるこのセンテンスが示している。 >もし、もっと簡単に時間を戻せるのなら、私はこの事件が起こるのを防ぎ、宇宙を救うことができただろう。いや、そうじゃない。 >&bold(){我々の宇宙を、ちゃんと守る価値のある宇宙にしただろう。} 追記・修正は今の世界に守る価値があると考える人にお願いします。 ---- #right(){ SCP-2700 - Teleforce by Anborough www.scp-wiki.net/scp-2700 ja.scp-wiki.net/scp-2700 この項目の内容は『[[クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス>https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/deed.ja]]』に従います。 } #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,2) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 許すまじ観察者!!(--# -- 名無しさん (2017-05-09 19:17:12) - 都会から来たスカウトマンに着いて行って仕事してたら悪い人に騙されて爆弾持って田舎に帰った -- 名無しさん (2017-05-09 19:37:59) - 明確な悪意が見えてるのがえげつねえなぁ。 -- 名無しさん (2017-05-09 20:00:04) - きゅっぷい! -- 名無しさん (2017-05-09 21:00:59) - 2317の世界に放り込もうぜ -- 名無しさん (2017-05-09 21:41:04) - ???「余計なことばかりしおって、やはり交流は危険だな……」 -- 名無しさん (2017-05-10 06:52:14) #comment #areaedit(end) }