SCP-587-JP

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&font(#6495ED){登録日}:2016/09/25 Sun 21:34:05 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 3 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){&bold(){在り来りな結末と教訓。結局、在り来りじゃなかったのは死体だけだったのだ。}} SCP-587-JPとは、怪奇創作サイト[[SCP Foundation]]日本支部版で作成された記事の一つ。 [[オブジェクトクラス>オブジェクトクラス(SCP Foundation)]]はSafe。 さて、このオブジェクトの外見だが、一言で言ってしまえば身元不明の他殺体である。 どこかの海の沖のとある島にて一年に一度、不定期に島内に出現する。年齢や性別はランダムで服装は全裸。 殺害方法は多種多様だが、凶器や犯人を特定するような証拠は発見されていない。 現在、3体までの同時出現が確認されており、複数出現した場合はお互いに近親関係にあるかのような特徴が見受けられる。 財団も行方不明者との照合なども含めて身元を特定しようと試みたが、失敗に終わっている。 このオブジェクトが発見されたのは、その島で起きたとある事件が切欠であった。 以下にその事件についての詳細を記す。 *事件記録 時は19██年の夏。██島に住む島民が若い女性の死体を発見したのがその始まりである。 その死体の顔は潰されていたため身元の判別がつかず、当初は島民の誰かではないかと思われたが、 島民全員が顔なじみという狭いコミュニティであり、すぐに全員の無事が確認できたため、その可能性は却下された。 結局、死体の身元は不明のままだったが、殺人事件に関わることで日常が崩壊することを恐れた島民達(駐在含む)の全会一致により、 &bold(){遺体は沖に運ばれてから捨てられ、事件はなかったこととして葬り去られた}。 だが、翌年の春先には年老いた男の、翌々年の冬には小さな女の子の死体が次々と発見される。 そのたびに島ぐるみの隠蔽が行われたが、ついに一人の青年が本土に事件のことを知らせるべきだと主張した。 これまでの隠蔽が公になれば島全体が罪に問われる。そう考えた島民たちは、あろうことか&bold(){&font(#cc0000){彼の家に火を放ち、彼の唯一の肉親である父親もろとも殺害。}} さらに、隠れて本土に連絡を取ろうとしていた&bold(){&font(#cc0000){駐在も同様に殺害される}}。 そして、それ以降は疑心暗鬼と猜疑心に駆られた島民たちによる、あいつが密告者だ、こいつが裏切り者だという根拠もろくにない告発により、次々と島民が殺害されていった。 結局、駐在からの定期報告がないことを不審に思った本土の人間が島を訪れて事件が明るみになるまでに、 &bold(){&font(#cc0000){島民17人が同じ島民の手によって殺害される}}という大惨事となった。 >一体どうして。私も皆も、ただ静かに暮らしたかっただけだったのに。 >私も、皆も、まともじゃなかった。罪が暴かれるのを恐れて、それで・・・全員が、あんな恐ろしい事を・・・――島民の一人 事件の当事者から経緯を聞いた財団の博士は、このオブジェクトは何らかのミーマチックエフェクトを持つ認識災害ベクターであり、それによってこのような惨劇が引き起こされたのではないかと推測した。 つまり、「何らかの精神影響特性を持った死体を出現させる現象系オブジェクト」ではないか? と考えたのである。 というわけで、クラスD職員を件の島に長期滞在させ、SCP-587-JPを毎年目撃させる追加実験を実施。 だが、この実験と島民への追跡調査を行った結果――SCP-587-JPにはいかなるミーム的効果も存在しないと結論付けられた。 つまり、このオブジェクトは本当に出現するだけ、ただそれだけの&bold(){「無害」}なSCPであり、上記のような惨劇を引き起こす特異性は有していないのである。 &bold(){&font(#cc0000){島民17名が犠牲となった惨事はSCPオブジェクトの特異性の結果ではなく、島民たちの膨れ上がった疑心暗鬼の生み出したものだったのだ。}} この調査結果をもって財団はSCP-587-JPのオブジェクトクラスをEuclidからSafeへと格下げ。 追加実験の中止と島民への追跡調査と監視の中断が決定された。 >&bold(){&font(#0000ff){これ程嬉しくないオブジェクトクラス格下げは、恐らく他に類を見ないだろう。}} ──██博士 SCPオブジェクトは確かに恐ろしい。 常識では測れない力を持っているし、それは日常をたやすく崩壊させてしまう。 だが忘れるなかれ、それらの大半は「人間」なくしては意味を失う。 日常を作るのは人間だが、それを壊すのも人間なのだ。 &bold(){だから、本当に怖いのは――――} #center(){&bold(){&size(35){SCP-587-JP}}} #center(){&bold(){&font(#cc0000){&size(35){死体に非ず}}}} 追記・修正はSCP-587-JPの無害さを噛み締めながらお願いします。 ---- #right(){CC BY-SA 3.0に基づく表示 SCP-587-JP - 死体に非ず by locker http://ja.scp-wiki.net/scp-587-jp この項目の内容は『[[クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス>https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/deed.ja]]』に従います。 } #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,77) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 誤ってコメント一つ消してしまった。申し訳ない -- 名無しさん (2016-09-25 22:28:34) - 結局本当に恐ろしいのは人間ということをアピールする珍しいSCP -- 名無しさん (2016-09-25 23:04:19) - 確実に異常ではある。でも恐ろしいのはこのSCPではなく人間なんだよな… -- 名無しさん (2016-09-26 00:13:58) - 一番好きなSCPだ。「正体不明のもの」に翻弄される人間を、哀れに、残酷に描いている。 -- 名無しさん (2016-09-26 04:40:16) - 横溝正史の推理小説とかのクローズドサークルみたいな日本人らしいSCPだな -- 名無しさん (2016-09-26 12:08:53) - ただでさえキツイ話なのに、読み終わってからのタイトル名の皮肉がまたキツイ -- 名無しさん (2016-09-26 21:57:41) - これが大都市圏なら単なる「狩られた浮浪者」でsafeどころかanomalousだったのかねぇ -- 名無しさん (2016-09-26 22:05:57) - オブジェクトクラスの「格下げ」ってだけちょっと表現が…あくまでも収容方法とかの違いであって、safeはEuclidの下位って訳じゃなかったはず。とはいえ最後のフレーバー的には全く同意だからこれで良いんだけどさ… -- 名無しさん (2016-09-26 22:14:43) - 444-JPと同じ人が書いてるんだな -- 名無しさん (2016-09-26 22:48:17) - ↑2広義の意味では収容難度を表すランクだから別に格下げでも問題ないんでは。結局年に一度のペースで身元不明の死体が流れ着くだけでなんらミーム的な効果とかの異常性は見られなかったんだし -- 名無しさん (2016-09-27 07:27:22) - あと普通の人からしたら「Safe」のほうが嬉しいけど、財団の若干キチった職員からするとむしろ危険な方が嬉しい可能性あるよねw&br()財団って奇人変人の集まりみたいな部分あるしさw -- 名無しさん (2016-09-27 12:35:58) - ↑いくら奇人変人の集まりでもある程度の一線はあるよ。コンドラキはクレフ=コンドラキ事件があるから仕方なく残されてるだけ -- 名無しさん (2016-09-27 15:31:04) - アニヲタwikiにあるSCP記事全てに言えることではあるが、SCP記事の文体に慣れて元ページ見た方が良い。こういう所にあるページはあくまでレビューみたいなもんだ -- 名無しさん (2016-09-27 15:39:57) - ↑3 確保、収容、保護の「保護」って -- 名無しさん (2016-09-27 16:11:07) - ↑途中「異常存在を収容することで人類を保護する」ってことでもあるんだよね。だから、オブジェクトの危険性を軽んじる職員は死ぬか、消される -- 名無しさん (2016-09-27 16:13:49) - いや軽んじるのはっていうけど1000-jpとか本部682とかの扱い見りゃわかるけど洒落にならん問題起こしてるぞ? -- 名無しさん (2016-09-29 21:31:40) - これ本当に面白いよな精神汚染能力があった方が救いがあったという救えない結末 -- 名無しさん (2016-10-05 19:05:08) - 実際記憶処理すらも要らず、見つけたらすぐ身元不明遺体の処理手続きだけしてればよかったんだよね -- 名無しさん (2016-10-05 20:00:15) - どこかの動画で「ぶっちゃけ本土だったらSCPとして把握されたかすらわからない」とまで言われてる -- 名無しさん (2016-10-05 20:18:17) - このSCPを読んで思い出したのが「アイヒマン実験」「スタンフォード監獄実験」だった。このSCPの真に恐ろしいところは、「俺たちも、こうしてしまうかもしれない」所だと思うんだ。 -- 名無しさん (2016-11-01 03:15:55) - 結局、この島の人々はどうなったんだろう?殺しすぎて絶滅しちゃったのかな? -- 名無しさん (2016-11-01 13:35:46) - ↑多くの人は生き延びてるけど財団に偽の記憶を植え付けられて別の場所で暮らしてる -- 名無しさん (2016-11-01 13:36:59) - 名前がいいよね -- 名無しさん (2016-11-01 16:03:52) - 馬鹿な連中と一笑にするのは簡単だが誰もがこの島の人々と同じになる要素はあると考えられると笑えないよな -- 名無しさん (2016-11-04 16:17:53) - ミーム的効果はないって言ってるけど死体自体おっかないものだからな -- 名無しさん (2016-11-04 19:15:51) - 事件さえなければAnomalousクラスだったよなこれ・・・ -- 名無しさん (2016-11-06 11:25:22) - 緋色と同じ人かよ…天才かこの人 -- 名無しさん (2016-11-11 16:49:13) - なんかこれの元ネタを読んだことある気がするぞ。死体が島に流れ着いて駐在が呼ばれたものの、いつの間にか消えていて「あのう、やっぱりなかったことにしてくれんかのう」って老人に頼まれて駐在も幻覚だったような気になり終わるってやつ。ホラーだったか筒井康隆だったかネットの実在の事件の紹介だったかは忘れたけど。どこで見たんだったかなあ。 -- 名無しさん (2016-11-30 07:28:28) - 諸星大二郎の「黒石島殺人事件」だよ。 -- 名無しさん (2016-12-03 22:34:28) - もしかしたら、人間の疑心暗鬼という醜い面をさらけ出し、警告するために、生み出されたSCPだったのかも。 -- 名無しさん (2017-01-24 14:23:30) - ↑AAの二次創作でそういうのあったな。サイガ派が関わってるって設定で、多少なり希望を感じさせるラストだった -- 名無しさん (2017-01-24 19:31:29) - やっぱ田舎って糞だな -- 名無しさん (2017-01-24 22:30:24) - 原因がSCPにないから「死体に非ず」なのか。考えてるなぁ -- 名無しさん (2017-03-26 14:08:59) - これほかの記事みたいに最後にSCPの名前持ってきても面白いと思った -- 名無しさん (2017-05-29 17:20:59) - これを見るとセイラムの魔女裁判をおもいだす。 -- 名無しさん (2017-07-04 17:20:25) - 収容……出来てるのか、これ?人目に付かないようにするって形で収容したってこと? -- 名無しさん (2017-10-12 20:47:11) - 島を指定区域にして封鎖、島民は記憶処理して外に出してる。 島内に不定期に出現するだけのただの死体なんでこれで現状完璧。 -- 名無しさん (2018-02-06 17:24:40) - なんか世にも奇妙なにありそうな話…。 -- 名無しさん (2018-05-19 02:10:08) - 異常実体は存在するからExplainedじゃないけど、人によってはAnomalousとExplainedで別々の報告書作ってたかもしれない案件 -- 名無しさん (2018-11-27 00:16:07) - 一島まるまる封鎖する必要があるからSCPオブジェクト未満になることはないと思うけどね。収容できるし実害もないけど収容範囲について特別プロトコルが必要なSCiP -- 名無しさん (2019-02-01 11:22:17) - 死体の出所が案外ヤバイ案件かもしれない。 -- 名無しさん (2019-10-09 17:21:07) - むしろ死体が新鮮ならナンラカに利用できそうじゃね?(鬼畜) -- 名無しさん (2019-11-22 23:58:35) - どっかの平行世界の財団では「ある海に面した県で年に一度、亡くなった人の遺体が沖合の島に向かって流されてしまう、しかし途中で消えるのか島には流れつかない」というSCPがあるかもしれない… -- 名無しさん (2019-11-23 11:05:05) - 諸星大二郎のパクリなのにCC継承していいのか? -- 名無しさん (2020-02-20 03:38:58) - 黒石島の方は別に再出現とかしてないし島民も「死んだの島民じゃないしスルーして良くね?」とかクッソ賢い選択して穏便に済ましてるから全然違くね? -- 名無しさん (2020-02-22 11:26:06) - なんでこれを似てると思ったのか逆に気になる -- 名無しさん (2020-02-22 11:27:04) - 以上存在ですらない、たまたまの偶然で身元不明の死体が立て続けに流れ着いただけでも同じ事が起きた、と -- 名無しさん (2020-09-21 01:31:47) - 異常である必要も、SCPである必要もない、人間誰しもが心の中に飼う『鬼』、『疑心暗鬼』が引き起こした悲劇。 -- 名無しさん (2020-12-10 01:13:12) - 人間こえーwみたいなscp好きじゃない -- 名無しさん (2022-04-18 10:24:44) - この記事のラストに項目名持ってきてるの良いよな、ゾクッとする -- 名無しさん (2022-10-27 16:10:35) #comment #areaedit(end) }
&font(#6495ED){登録日}:2016/09/25 Sun 21:34:05 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 3 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){&bold(){在り来りな結末と教訓。結局、在り来りじゃなかったのは死体だけだったのだ。}} SCP-587-JPとは、怪奇創作サイト[[SCP Foundation]]日本支部版で作成された記事の一つ。 [[オブジェクトクラス>オブジェクトクラス(SCP Foundation)]]はSafe。 さて、このオブジェクトの外見だが、一言で言ってしまえば身元不明の他殺体である。 どこかの海の沖のとある島にて一年に一度、不定期に島内に出現する。年齢や性別はランダムで服装は全裸。 殺害方法は多種多様だが、凶器や犯人を特定するような証拠は発見されていない。 現在、3体までの同時出現が確認されており、複数出現した場合はお互いに近親関係にあるかのような特徴が見受けられる。 財団も行方不明者との照合なども含めて身元を特定しようと試みたが、失敗に終わっている。 このオブジェクトが発見されたのは、その島で起きたとある事件が切欠であった。 以下にその事件についての詳細を記す。 *事件記録 時は19██年の夏。██島に住む島民が若い女性の死体を発見したのがその始まりである。 その死体の顔は潰されていたため身元の判別がつかず、当初は島民の誰かではないかと思われたが、 島民全員が顔なじみという狭いコミュニティであり、すぐに全員の無事が確認できたため、その可能性は却下された。 結局、死体の身元は不明のままだったが、殺人事件に関わることで日常が崩壊することを恐れた島民達(駐在含む)の全会一致により、 &bold(){遺体は沖に運ばれてから捨てられ、事件はなかったこととして葬り去られた}。 だが、翌年の春先には年老いた男の、翌々年の冬には小さな女の子の死体が次々と発見される。 そのたびに島ぐるみの隠蔽が行われたが、ついに一人の青年が本土に事件のことを知らせるべきだと主張した。 これまでの隠蔽が公になれば島全体が罪に問われる。そう考えた島民たちは、あろうことか&bold(){&font(#cc0000){彼の家に火を放ち、彼の唯一の肉親である父親もろとも殺害。}} さらに、隠れて本土に連絡を取ろうとしていた&bold(){&font(#cc0000){駐在も同様に殺害される}}。 そして、それ以降は疑心暗鬼と猜疑心に駆られた島民たちによる、あいつが密告者だ、こいつが裏切り者だという根拠もろくにない告発により、次々と島民が殺害されていった。 結局、駐在からの定期報告がないことを不審に思った本土の人間が島を訪れて事件が明るみになるまでに、 &bold(){&font(#cc0000){島民17人が同じ島民の手によって殺害される}}という大惨事となった。 >一体どうして。私も皆も、ただ静かに暮らしたかっただけだったのに。 >私も、皆も、まともじゃなかった。罪が暴かれるのを恐れて、それで・・・全員が、あんな恐ろしい事を・・・――島民の一人 事件の当事者から経緯を聞いた財団の博士は、このオブジェクトは何らかのミーマチックエフェクトを持つ認識災害ベクターであり、それによってこのような惨劇が引き起こされたのではないかと推測した。 つまり、「何らかの精神影響特性を持った死体を出現させる現象系オブジェクト」ではないか? 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