応急手当て

登録日:2011/03/12(土) 08:04:19
更新日:2022/05/27 Fri 13:42:52
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応急手当とは医師以外の民間人による負傷などに対しての手当てのこと。
救急隊員が行うものは「応急処置」と呼ばれるのが厳密な区別なのだが、あまり区別はされていない。

応急処置も含めて「善きサマリア人の法」等、いろいろな面で課題はあるのだが、
行動できることで助かる人が増えるのは事実である。

この項目では事故や災害によりケガなどをした人を応急手当てする際に役立てていただきたい。
事故・災害は、いつ、だれの身に起こるのか分からないのだから。


・傷病者を発見したら

〇安全の確認/周囲の協力を得る
まずはじめに状況に合わせ周囲の安全を確認する。傷病者の近くに何かしらの危険がある場合は特に迅速に。
また、手当や救助は一人では非常に困難なのでこちらも状況に合せて周りの協力を仰ぐ。
その場合、人間心理上、「誰か助けてください」などではなく「そこのあなたは○○してください」と個人個人を指定して頼んだ方がいい。

〇保温
顔面蒼白や体温の低下などがみられる場合、乾いた毛布・衣類などで保温する。
地面やコンクリートなどの上に寝かせる場合は、かけるものより下に敷くものを厚くする。
※熱中症など放熱・冷却が必要な場合を除き、季節に関係なく行う。

〇衣服
傷病者の楽な体勢にし、衣服・ベルトを緩める(状況によるが、優先順位は救命処置が先)。
意識がある場合は希望を聞きながら。無理強いはしないように。

〇体位
症状ごとに適した体位をとらせることで、苦痛を和らげることができる。
こちらも傷病者の希望を優先し、一番楽な体勢で安静にする。当然強要はNG。

+ 体位一覧
・仰臥位(ぎょうがい)
いわゆる仰向け。
全身の筋肉に無理な緊張を与えない一番自然な体勢。
心肺蘇生を行う場合もこの体位で行う。

・腹臥位
腹ばいになり、顔を横に向けた状態。
背中にケガをしているときに有効なほか、傷病者が吐いているときなどにも適する。

・膝屈曲位
仰臥位の膝を立てた状態。
体内の痛みや外傷を問わず、腹部に何らかの症状を訴えた場合に適する。

・側臥位(回復体位)
意識(反応)のない傷病者に適する体位
横向きに寝かせ、下顎を前にだして気道を確保し、上側の腕の手の甲を顔を乗せる形で添える。
さらに上側の脚の膝を前に90度曲げ、後ろに倒れないようにする。
要するに、 _(:3」∠)_ ←この姿勢。

・半座位
上体を軽く起こした体位。
胸から上に関して異常を訴える場合に適する(呼吸や頭部外傷、脳内へのダメージなど)。

・座位
クッションなどを抱え座った体位。
胸、呼吸の苦しみを訴える傷病者に。

・ショック体位(足側高位)
仰臥位の体勢で足を15~30cm高くした状態。
貧血や出血によるショック状態の傷病者に適するが、頭にケガをしている場合や足をケガして固定していない場合にはやってはいけない。

+ ※ショック状態
・症状
顔色は青白く、目はうつろ、表情はぼんやりし、唇は白~紫(チアノーゼ)になり、呼吸は速く浅い。
冷汗が出て、体は小刻みに震え、皮膚は青白く冷たくなる。

・対応
保温・楽な状態(服装を緩め、ショック体位)へ移行し、声をかけ励ます。
ショック体位を行えない場合(頭部損傷など)は仰臥位とする。


〇簡易担架(搬送)
足にケガを負っていたり、意識が無いなどの理由で傷病者の移動が難しい場合に有効。
必要な物は丈夫な棒×2と上着数枚。もしくは毛布が1枚あるだけでも良い。

棒と上着を用いる場合、まず上着のボタン及びファスナーを閉め、棒2本をそれぞれ左右の袖に通し完成。

棒と毛布を使う場合、まず一本の棒を毛布の上の1/3のところに置き、短い方を折り返す。
次に二本目の棒を折りしろ15cm以上余裕をもった折り返した方の上に置き、二枚目(下)ともども手前に折る。これで完成。
※上に人が乗ると摩擦が発生するため滑らない。

毛布のみの場合、両端を三重ほどに丸めて握れるようにし、4~8人で運ぶ。

※運ぶ際は原則脚を前に。保温も忘れず、揺れは少なく。

なお、徒手搬送法という担架を使わないやり方もあるが、
傷病者に負担が大きいためここでは安易に説明するのを控える。

動けない人を見つけたらまず周囲に助けを求めること。


〇火傷
・水で冷やす
すぐに水道水などの清潔な流水で冷やすことで、痛みの軽減と悪化を防止する。
靴下など衣類を着ている場合、衣類ごと冷やす。
氷などを使って長時間冷やすとかえって悪化する場合もあるので注意する。
広い範囲に火傷した場合は、火傷の部分だけではなく体全体が冷える可能性があるので冷却は10分程度に留める。

災害等により火災が発生、火傷を負い包帯が不足しているなどの場合

必要な物。
綺麗なガーゼ(ハンカチ可) ワセリン サランラップ。

作製方法。
患部にワセリンを塗りガーゼで押さえサランラップで包帯のようにぐるぐるに巻く、と簡単に出来ます。
ただし体質でサランラップによってかぶれる事もあるので注意。

※火傷の程度・留意点

●第1度
赤くなりヒリヒリ痛む。
水泡は出来ない。

●第2度
水ぶくれが出来る。
水ぶくれは傷口を保護するので破いてはいけない。
仮に破けても薬を塗ってはいけない。

●第3度
皮膚が白くなったり黒焦げになり、傷病者は痛みをあまり感じない。

中~重度は迅速に医療機関を受診すること。


〇簡易ギブス(固定)

・部位確認
痛みのある場所を聞き、可能なら痛みを訴える箇所を視認する。
その際、痛がる場所を動かさない。

●骨折の症状
激しい痛み、腫れ、動かせない。
変形が分かる、骨が飛び出している。

骨折の疑いがあれば結果に関わらず骨折の手当をする。

・固定
必要な物は木の枝やノートなど丸めることの出来る本と縛る包帯のようなもの。
まず、変形している場合は無理に元の形に戻してはいけない。
次に協力者もしくは傷病者に骨折箇所を支えてもらう。
関節間で折れているときは、それぞれの関節が一直線になるように添え木を当て、三角巾などで添え木を固定する。

関節が折れているときも同様。
大腿部が折れている場合は長い棒やダンボールを使って固定すると良い。

固定する際に包帯の代わりにする物がないときは、女性のパンストが伸縮性に富んでいるので非常に有効。
ただし新品の清潔なもので。


〇止血
  • まず出血部位を確認し、できれば高い位置に上げる。

・直接圧迫止血
傷口にきれいなガーゼやハンカチ、タオルを当て、そのうえから手で圧迫する。
このとき感染予防としてビニール(手)袋などをして止血する。

・間接圧迫止血
傷口より心臓に近い動脈を手や指で骨に圧迫、血の流れを止める。

・直接と間接の併用
どちらか一方だけでは止まらない場合に。基本優先度は直接>間接。

・止血帯
上記の止血では止まらない、運搬の際に止血帯を用いなければならない場合に限る止血法。
決して安易に用いてはいけない。

まず止血帯を用意(幅5cmほどが望ましい)し、心臓に近い方に3~5cmのところで当て布を置き、止血帯を緩く結ぶ。
止血帯と当て布の間に棒を入れ、出血が止まるまでゆっくり回す(蛇口の要領)。
止まったらそれ以上キツくせず棒を固定し、止血開始時間を記録する。

30分以上続ける場合には、30分に1回止血を緩め、血流の再開を図る。


〇溺水
  • 119番に通報。
  • 浮くものがあれば投げ入れ、ロープがあれば投げ渡し、引き寄せる。
  • 暖をとらせる。
  • 意識がない場合は気道を確保し、人口呼吸。
    循環のサインがないときはさらに心臓マッサージ+人口呼吸を続ける。

※原則として溺れている人を救助しに行くのは消防職員やライフセーバーに任せる。
特に海、川、湖などでは救助者が巻き込まれる場合が非常に多いため、資格を持たない素人は極力救助に行ってはいけない。


〇痙攣(けいれん)

  • 周囲を安全にする(椅子やテーブルがある場合は移動し、階段などからは遠ざける)。
  • 舌噛み防止に口の中に手や物を入れない
  • 発作後に反応がない場合は気道確保、意識がハッキリしない場合や、
    初めて痙攣を起こした場合には側臥位(回復体位)にし、119番通報する。



最後に。
記したのはその場に居合わせた際の最低限の知識のみであり、専門的な心肺蘇生法などはない。
この項目をきっかけに、この項目以上にしっかりした内容の応急処置法の分かるサイトなどに行ってもらえれば幸いである。


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  • _(:3」∠)_

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最終更新:2022年05月27日 13:42