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クラス139気動車

登録日:2025/11/02 Sun 11:48:16
更新日:2026/05/25 Mon 16:07:45
所要時間:約 5 分で読めます



鉄道発祥の地、イギリス
この国はネット界隈に英国面(British Sense/British Humor)という言葉がある通り、長い歴史と優れた技術、そして意外と厳しい気候風土からとんでもないものが生み出されることも多い。
もちろんイギリス発祥の鉄道も例外ではなく、
  • 最高速度200km/hだが伝統の外開きドアを堅持するHST
  • その後継機(の予定)にして電気機関車牽引で在来線を最高速度225km/hで爆走するIC225
  • ツッコミどころ満載の機構と、イギリスでは持て余したが車体傾斜装置の可能性を示したAPT
  • 空前絶後の海上電車ブライトン海岸鉄道
  • 子供からガチオタまで楽しめる世界一の鉄道擬人化にして、その実態はイギリス版股尾前科とも言えるブラックユーモア溢れるきかんしゃトーマス
  • 地下鉄からローカル気動車に華麗なる転身、これぞ英国流MOTTAINAI精神だクラス230気動車D-Train
と、今に至るまで様々な個性あふれる車両やコンテンツが生み出されている。

そして2009年、またしても新たなイカれたメンバーが爆誕してしまった。

それが今回紹介するクラス139気動車「PPM60/50」である。

概要


まずはこちらをご覧いただきたい。


………。
うん。
鉄ちゃんでなくても色々「なんだこれ」と思うよね。特に某フィアットのアイツを思わせる全面とか、やたら短い車体とか。
それもそのはず、この車両は「単行でも輸送力が余る路線なら、それよりもっと小さいやつ入れればよくね?」で開発された超小型気動車、レールバスもといレールカーである。

もう少し詳しく経緯を説明しよう。
クラス139気動車は、ロンドン・ミッドランド社がスタウアブリッジ支線で運行する超小型気動車「レールカー」。
このスタウアブリッジ支線はキダーミンスターと、ウスターソース発祥の地であるウスターを結ぶたった1.3kmの盲腸線である。
イギリスどころかヨーロッパ最短の路線だ。
この「1.3km」という距離がどれだけ短いのかというと、
  • 「元」日本最短の私鉄、紀州鉄道線が全長2.7km
  • 現日本最短の私鉄の芝山鉄道線が2.2km
  • JR最短の宮崎空港線でも1.4km
…これでスタウアブリッジ支線の短さがわかるだろう。え?神戸高速鉄道南北線の400mに比べりゃ全然長いって?
イギリス国鉄の民営化直後は、クラス153形気動車…日本で言うならキハ40みたいなポジションの車両の単行で運行されていたが、1.3kmの盲腸線ではこれですらオーバースペック。
当時の運行会社のセントラル・トレインズは「もっと安上がりにできないものか」と頭を悩ませていた。
そんな折に。

パリー・ピープルムーバーズ「なら、ちょうどいいもの作ってますよ?」

丁度パリー・ピープルムーバーズ社が「PPM50/60」という超小型気動車を発表していたのに目をつけ、2002年に999900形として試験導入を行った。テスト機の形式番号が9ナンバーなのがそこはかとなく日本的である
テスト運用の結果が良好だったため、セントラル・トレインズの後継となったロンドン・ミッドランド社は本車を「クラス139」として2両導入することとなった。

仕様

クラス139の車体は全長9.6mのステンレス製。
この9.6mという数値がどれくらい短いのかというと、日本でかつてあった軽便鉄道の頚城鉄道の気動車ホジ3が同じぐらい。
さすがに幅・高さはホジ3が約2.1m・約3mに対し、こっちは2.4m・3.2mとゆとりはあるが大差はないし、
非電化軽便に限っても仙北鉄道・衣笠鉄道・静岡鉄道では最後のほうではこれより大型気動車を使っていた。

もう少し最近のもので例えると最近の普通のバスは全長が10mを軽く超えるので比べ物にならず、「コミュニティバス」という自主運行路線などで使われる小ぶりなバスで
日野の「ポンチョ」というバスが有るが、あのポンチョの全長が7mである。
つまりこのクラス139、ポンチョより一回り大きい程度でしか無い車体なのだ。
(ポンチョを知らない人は「なんか最近あちこちの街で見る、丸っこくてやたら小さいバス」だと思ってもらえればいい。)

あと、ここまで飽くまで「気動車」という表記に徹していたことにもお気づきだろうか。
「あー、鉄ちゃんにありがちなこだわりね、電車で一括りにすると怒るみたいな」と思った方、そういう理由ではない。
なぜならそもそもこの車両、ディーゼルカー」ですらないのだから。

クラス139の動力はLPGエンジン+フライホイールのハイブリッド方式。ディーゼルエンジンではなくLPGエンジンを使用している。
エンジンはフォード製の2300ccであり、86馬力を発揮する。エンジンは油圧式CVTでフライホイールに接続され、フライホイールが発車の際の加速をアシストしている。
「よくあるエンジン+モーターではだめなのか」と思った方もいるだろうが、フライホイールは電気系統が最小限で済む分メンテナンス性に優れており、この手のローカル向け小型車には有利なのだ。

ドアは折戸が片側一箇所ずつ。
座席は片側がロングシート、その反対がクロスシートという、これも日本の路線バスのような仕様である。

なお、安全上の理由で本線系統の走行はできない模様。海外に輸出された軽自動車じゃあるまいし

導入してどうなった

クラス139が導入された翌年からは、増発もあって利用者は年間27000人から50000人となり、現在も増加中。2009年末までに、テスト運用の時代からも含めて合計20万人乗車を達成した。
一両あたりの輸送力は減ったものの、増発と新車の効果で好評な模様。
また、パリー・ピープルムーバーズ社もこの成功を経て、スタウアブリッジ支線と似た環境の路線に向けてPPM50/60を売り込んでいるようだ。

小型バス程度の大きさの車体に、フライホイールによるハイブリッド仕様という割り切り仕様で扱いやすさや取り回しに優れた、奇妙に見えて合理性を突き詰めたデザインのこの車両、類似車両を日本でも導入する余地は意外とあるかもしれない。

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最終更新:2026年05月25日 16:07
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