魂売り/Spiritmonger(MtG)

登録日:2010/06/07(月) 21:59:56
更新日:2024/11/25 Mon 23:02:45
所要時間:約 3 分で読めます




魂売りはマジック・ザ・ギャザリングのアポカリプスに収録されたクリーチャーである。レアリティはレア。


魂売り/Spiritmonger (3)(黒)(緑)
クリーチャー:ビースト(Beast)
魂売りがクリーチャーにダメージを与えるたび、魂売りの上に+1/+1カウンターを1個置く。
(黒):魂売りを再生する。
(緑):魂売りは、ターン終了時まであなたが選んだ1色の色になる。
6/6


アポカリプスは数あるマジックのエキスパンションの中でも強力な部類に入り、特にそれまでは弱かった対抗色の多色カードを推している。
魂売りはその象徴とも言えるカードである。

能力からわかるように、クリーチャーのパワーインフレが進む昨今においてもここまでコストパフォーマンスに優れるクリーチャーは少ない。当時のスタンダード環境にはマナブースト呪文である「暗黒の儀式」が存在したため、スピードの面で他の色よりも有利な位置にある黒いクリーチャー(正確には黒のカード全般)は抑え目にデザインされていた。
なのに魂売りは5マナで6/6。しかもデメリットがない。黒の対抗色とはいえ緑が加わっただけでここまで違うのか。初手のマナクリーチャー経由から2ターン目に暗黒の儀式から出てきた魂売りはまさに悪夢だった。


魂売りの強みは基本カラーに黒を含む点にある。
クリーチャー除去カードは色の特性から黒が主体になる訳だが、当時はその大半のテキストに「黒以外のクリーチャー」と書かれていた。黒いというだけで除去をかいくぐり易くなるのだ。黒のクリーチャーが弱めにデザインされていたもう一つの理由でもある。ちなみにこの当時、単体除去で黒いクリーチャーを無条件で除去できるカードは《終止》しかない。全体除去まで含めても《神の怒り》程度。たった1体のこのカードが処理できないためにラスゴを打たされることも多々あった。

更に、魂売りは自身で色を変える事も出来るので、当時よく利用されていた《洗い流し》についても、呪文の特性上バウンス自体は防げないが他の自分のクリーチャーとまったく違う色に変更する事で、魂売りまたは他のクリーチャーのどちらを残すのか?と対戦相手に嫌な選択肢をかける事も出来る。*1この他にも、緑対策の《非業の死》を回避でき、かつ色に対するプロテクションや白お得意の防御円を無効化できるのは非常にでかい。


一応欠点もある。
その一つが、トランプルや飛行のような回避能力がないので、リバーボアに代表される再生持ちクリーチャーに止められしまう事だ。なので小粒のクリーチャーにもチャンプブロックされてなかなかダメージが与えられない状況も起こり得る。
だが、一つ目の能力によってブロックされてもダメージを与えたらどんどん巨大化するので決して不利な状況とは言えず、逆に相手にプレッシャーを与える事すらできる。基本サイズが6/6だから数回のブロックで《ファイレクシアの巨像》すら追い抜いてしまう。


なんだ、この化け物。


もう一つの欠点だが、プロテクションや被覆のような回避能力がないので、当時ならば《威圧》のようなコントロールを奪うスペルに弱い。巨大化した所でかっぱらわれたら目も当てられないので注意が必要。
また上記の洗い流しや《排撃》のようなバウンスにも耐性は無い。普通ならば時間稼ぎにしかならないが、青お得意の打ち消しをされることがほとんどだろう。暗黒の儀式を使って出てきたのならばその分損になるし、せっかく置かれたカウンターも全て消えてしまう。


その規格外のパワーから、当然トーナメントで大暴れした。
スタンダードでもメタの中核にあった赤緑ステロイド【Fires】にタッチ黒にして投入され、コントロールでも同エキスパンションに収録された《破滅的な行為》をキーパーツにした【Deed】では強力なフィニッシャーとしてエクステンデッドでも活躍した。破滅的な行為や《ネビニラルの円盤》で一掃された戦場に不気味に佇む魂売りの姿に恐怖したプレイヤーも少なくないのではないだろうか。
また単体で強力なフィニッシャーの例に漏れずコントロールデッキの【カウンターモンガー】フィニッシャーとしても使用された。緑青黒の3色となってしまうが、上記の通りアポカリプスには強力な対抗色のカードがたくさん収録されていた上に、待望の対抗色ペインランドも収録されたので難なく組むことが出来た。上記のDeedとほぼ同じデッキではあるが。



魂売りがスタンダードやエクステンデッドからも去った後、時のらせんにてタイムシフトカードに収録するか検討されたそうだが、クリーチャー対策が進んだその頃ですらあまりに強すぎて、他の新しいクリーチャーが見向きもされない危険があるとして断念された。


今現在ではエターナルでしか使用できないが、あまり採用されることはない。
更に打ち消しがあふれる環境なので、かの《タルモゴイフ》などの軽量クリーチャーに押されているのだ。また魂売りが3、4ターン目に出てきた頃にはタルモゴイフは何回か殴っている上に大きさも育ってきているだろう。
また除去と言えば《剣を鍬に》が飛んで来ることが多く、《真の名の宿敵》対策の《悪魔の布告》を見かけることが多いため、再生能力が除去耐性とは言い難くなっていることも大きい。色変え能力も今現在ではインクの染みに近い。
もし仮にモダンで使うことが出来たならば、居場所があっただろうに残念なことである。

追記・修正お願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • MtG
  • クリーチャー
  • マルチ
  • 対抗色の力
  • バーゲンセール
  • 壊れカード
  • 再録の見込み無し
  • 魂売り
  • Spiritmonger
最終更新:2024年11月25日 23:02

*1 《洗い流し》は指定した色のクリーチャー全てを手札に戻すソーサリー。なお、解決時にバウンスする色を指定するため、《魂売り》の色変え効果を使っても《洗い流し》を使った側は変更した先の色を指定すれば《魂売り》を洗い流せる