未曾有

登録日:2011/05/11(水) 18:13:25
更新日:2023/02/09 Thu 02:18:57
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未曾有

【意味】
いまだかつて無いこと。きわめて珍しいこと。

類義の言葉として「稀有」「前代未聞」「空前絶後」などが考えられる。

漢文の訓読読みで対応するならば「未だ曾て有らず」と読める。
「未」はいわゆる再読文字であり、書き下し文で書くと
 未
二  ダ 
 曾
   テ
 有
一  ラ
となる。入試対策もばっちりだぜ。国語の教師かオメーはよォ

例文:私達の国、日本は今未曾有の危機に直面している。

滅多にないことならば何でも使っていい言葉ということになっているが、このようによっぽどの悪いことが起こった場合に使うことが多い。



【語源・由来】
奇跡という意味を持つサンスクリット語の『adbhuta(アドゥブタ)』が漢訳された仏教用語で、仏の功徳の尊さや神秘なことを賛嘆した言葉であった。

仏教の経典(聖典)をその内容・形式によって分類するのには九部経と十二部経がある。
どちらの分類にせよその九番目に位置されているのが「未曾有法」サンスクリット語の読みに添った漢訳だと「阿浮陀達磨」である。
内容面としては要するに「すげえよブッダの神秘と功徳は…」というものである。

まさしく名前に冠した経典としては、パーリ仏典の経蔵中部(中編くらいの長さってことね)第123段に「希有未曾有法経」がある。
弟子のアーナンダの言を主に介して、ブッダが自分の入胎の様相・効果を派手な表現でお話になるというもの。かの「天上天下唯我独尊」もあるよ!

その漢訳である「中阿含経」では第32段に「未曾有法経」があり、こちらではブッダが菩提樹の下で解脱する様相を述べている。

このように、本来は極めて縁起のいい言葉であり、原語出典のインドでは例えば詩情における驚きの気持ちを説明するのにも使っている。

日本でも元は中立的な意味だったと思われるが、鎌倉時代辺りから悪い意味で使われている例がある。

例文:かくの如くの優婆夷などの身にて、比丘を堀へ蹴入れさする、未曾有の悪行なり。(兼好法師、『徒然草』、百六段)

もちろん日本でもどちらかというとよい意味で使うことがあり。たとえば遠山の金さんで知られる遠山金四郎のパパンである遠山景晋が蝦夷地に出張した際の約半年間の紀行をまとめた「未曽有記」「続未曽有記」という書物がある。幕府にとっても、遠山家にとってもあまりなかったような職務であったが故に「未曾有」と名付けたのだという。まんまやな






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Q.未曾有←なんと読みますか?










A.みぞう



この項目を見ている君は正しく読めたかな?



しかしこの読み方も厳密にはちょっと違う。
それぞれを呉音読みで表記すると「み」「ぞう」「う」となるため、一つに読むと「みぞうう」となるはずである。「う」が消滅してしまってるわけ。
上記の徒然草百六段でも仮名をつけるときはそう表記してある。

しかし読みにくいのも確かであり、現在はとりあえず長音ぽく「うー」とするか「う」と短くするかにしても別に正解でよい。

というか忘れられすぎて「みぞうう」で打ってもほぼ変換できない。言葉の消滅悲しいなぁ…(諸行無常)








なお、有の「ゆう」は漢音読みであるので、未曾有(みぞうゆう)普通に間違いである。



追記修正は『未曾有(みぞうゆう)』がちゃんと読める人にお願いします

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最終更新:2023年02月09日 02:18