好きでたまらニャい(ドラえもん)

登録日:2020/02/26 Wed 19:38:00
更新日:2020/03/21 Sat 00:05:42
所要時間:約 8分で読めます




「好きでたまらニャい」とは、漫画『ドラえもん』のエピソードの1つである。
「小学四年生」1971年2月号に掲載され、てんとう虫コミックス7巻に収録されている。
小四掲載順ではこの次の話が後味の悪さに定評のある最終回「ドラえもん未来へ帰る」である。

【ストーリー】


どうも、ドラえもんの様子が近頃おかしい。

昼食の時間までゴロゴロと昼寝をし、起きると焦点の定まらない目に寝ぐせのついたヒゲ。


ポヤ~ン


ドラちゃん、おいしい?まずい?


自動的に食べてる感じ。


「どうもこのごろ食欲がない」と言いながらのび太の分のおかずを食べ、「冷たい水で顔でも洗いな」と差し出された水を「どうもありがと。」とのび太にぶっかける始末。


あいつ、このごろどうにかしてる。きたときから中古ロボットだからな。そろそろこわれたのかな?

部屋に戻ったのび太を待っていたのは巨大な化け猫・・・もとい段ボールの耳をつけたドラえもんだった。


なんだい、そのかっこう。


ぼくは、もともとネコ型ロボットだ。だめだ!ボール紙のつけみみなんか、いかさない。

せっかく作った耳を捨ててしまうドラえもん。

おい、いったいどうしたんだよ。


うるさいなあ。ぼくはなやんでいるんだぞっ。


きみが、なやんでる?

ウヒ ウヒウヒ ゲシ ゲシシ ドヒャヒャ

...笑い転げるのび太に怒り、ドラえもんは外に出て行ってしまう。


ごめんよ。もう、わらわない。そのなやみというのを、きかせてよ。ぼくにできることなら、なんでもするぜ。


じつは・・・・・・。


フン・・・フン・・・。


そう、ドラえもんの悩みとは・・・


エエッ、すきなネコができた?


プーッ ング・・・・・・。ク。ウ、ウ。・・・・・・わらわないね。で、相手はきみのことを?


さあ、どう思ってんだか・・・・・・。どうせぼくなんか・・・。


はっきり聞いてみなきゃ、わかんないだろ。


そうんな。はあずかしい!



ひとりでくよくよしても、しようがないよ。さ、さ。


だってん・・・。



ドキン


屋根の上に寝ていた白い猫。それこそドラえもんの意中の相手だった。


ははあ、あのネコかい。


ドキ ドキ ドキ ブル ブル ガタ ガタ


ハヒイ。

恥ずかしさのあまり、のび太のシャツに隠れてしまうドラえもん。


てれるがらじゃないだろ。

よ、よ、ようし!


意を決して屋根に上り、白猫に接触しようとするが・・・


ガタ ガタ ガタ ガタ ガタ ガタ

ツルリ ゴロゴロ ドテン


...勢い余って屋根から転げ落ちてしまうのだった。

もう一度上ったところで白猫が目を覚ましたため、勇気を出して話しかけるのだが...


ニャ、ニャニャニャゴ・・・。

ゴロニャ・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

ドラえもんはなぜか話の途中で屋根を駆け下り、家に戻ってしまう。


そしてやすりで自分の体を削り、ハンマーで頭を殴る。


ゴリ ガリ ガリ

ばかなまねはよせっ。やめろってば。



ドラえもんを落ち着かせ、話を聞くのび太。


あのネコになんていったんだ。


あけましておめでとう、と。


ちょっと気がはやいみたい。


きょうは中ぐらいのお天気ですね・・・と。

なぜ中ぐらいかといえば、とくにいい天気でもなく、さりとて悪くもないです。


りくつっぽすぎる。

そしたらあの子、じいっとぼくの顔をみて・・・、

うん、なんていった?



デブはいやだって。

風船みたいな顔は、きらいだって。

再びやすりとハンマーで自傷行為に走ってしまうドラえもん。



あいつが、そんなことをいったのか。


そういう目つきで、じいっと見たんだ。


ぼくはもう、こわれてしまいたい。


しかし、のび太はドラえもんの背中を叩き励ます。


しっかりしろ。男だろ!どうして見かけにばっかりこだわるんだ。


だってん・・・・・・。


人間のねうちは中みだぞ。たとえひと目見てふき出すような顔でも・・・。ふた目と見られない顔でも、はじることはない。


それほどでもないぞっ。


だから自信をもてといってるんだ。


のび太はドラえもんに、告白がうまくいくようコーチすると約束。そして白猫へのプレゼントとして、台所にあったかつお節を拝借する。


しかられるよ。

いいんだ。きみには、いつもせわになってるしな。これくらいのことは、しなくちゃ。


あ、あ、ありがと・・・・・・。なかせるなあ。


チーン


ドラえもんは感極まって涙し、のび太のシャツで鼻をかむのだった。


次は、「プレゼントを渡した後は面白い話で相手を引き付けよう」ということで、日常会話の練習を始める。


きょ、きょ、きょうは中の上くらいのお天気ですね。


天気なんか、どうでもいい。


どうでもいい天気だね。


べつの話題。


公害についてですね。


もっとゆめのある話を。


ドラやきを100こ食べた夢を見てね。


すきだってこといわなきゃ、しようがないだろう。


すきです!ドラやきなら、まい日食べてもあきません。


...この見事なまでのポンコツっぷりに、のび太も流石に呆れ果ててしまう。


だめ?


やはりぼくなんか。

何と今度は、ダイナマイトで焼身自殺を図るドラえもん。


話なんか、どうでもいいんだ。口先よりま心さ。


いちばんいけないのは、じぶんなんかだめだと思いこむことだよ。


自信を持て!ぼくは世界一だと!自分ほどすぐれたロボットが、この世にいるものか、と。


世界一とはいわないけど、ネコ型ロボットとしては、二番目か三番目だな。そうだ!ぼくは科学文明の、22世紀からきたんだぞ。


そう、そう。その調子だよ。


何とか自信を取り戻したかに見えたドラえもんは、意気揚々と出かけていくのだが・・・


よう、どこ行くんだウスラデブ

通りかかったスネ夫の心無い言葉に、再び落ち込んでしまった・・・


だめ・・・、とてもだめ。


しかし、一々こう自身を無くされてはキリがないため、のび太は自分で会話のお手本を見せることにした。
やって来たのはしずちゃんの家。


ぼく、野比のび太というものだけど。


知ってるわ。


ぼくと友だちになってよ。


もともと、友だちじゃない。


な、かんたんだろ。


なんの話よ。



これ、ほんのつまんないものだけど。


まあ、どうもありがとう。


...というぐあいに、きがるになにげなくわたすのがこつだ。


きみってすばらしいよ。頭もいいしきれいだし。


あら。そんなこと・・・。



と、まあ、おせじのひとつもわすれずに。

...当然、静香は怒って家の中に戻ろうとするのだが・・・


まだつづきがあるんだよ。ぼくはいつも思ってる・・・。きみのためならどんなことでもしてあげたいと。



ほんと!


なぜか電話をかけ始める静香。


さっきは、どうも・・・。るす番ができたから、でかけられるわ。


?ちょ、ちょっと!るす番ってだれのこと?


もちろんあんたよ。なんでもしてくれるっていったでしょ。


...流石は連載初期の黒しずちゃん。「今何でもするって言ったよね?」のノリで留守番をのび太に押し付けると、スネ夫と一緒に出掛けてしまった。
*1


それはないでしょ。


それからどうするの?


うるさい!ひとりで考えろ。


むせきにんだなあ。



ともかく、頼まれた留守番を投げ出すわけにもいかず、一人で白猫の元へ向かうドラえもん。


ニャーゴ。(なによ、いいたいことがあるなら、さっさといいなさいよ。)

ニャゴン。(お友だちに?いいわよ。)


...告白は見事成功。大喜びのドラえもんは、白猫と一緒に屋根から屋根へと飛び移り、歌を歌う。


フニャーゴ。


うるさい。うるさあい!


その家は、よりにもよって留守番中のしずちゃんの家だったのだが・・・


余談

このエピソードには何と一切のひみつ道具が登場しない
また、普段はダメダメなのび太が逆にドラえもんにアドバイスをするという、珍しい構成になっている。
(「いちばんいけないのは~」のくだりは、ドラえもん屈指の名言として取り上げられることも多い)

全体的に悲恋で終わることが多いドラえもんの恋愛エピソードの中では、(お友達という段階ではあるが)ハッピーエンドで終わっているのも特徴。
(とは言っても、この白猫が後のエピソードで特に取り上げられたことはないため、本当に「お友達」で終わってしまった可能性はあるが。というかドラえもん、お前未来に彼女いるだろ)

ちなみにこの回は登場人物の顔芸が多く、幾つかはアスキーアート化もされている。
特にのび太がドラえもんに悩みを打ち明けられる場面の、人をバカにしきった笑い顔は必見。


アニメ版


大山版と水田版で一回づつ放送されてる他、日テレ版でも「屋根の上の素敵な子」というタイトルで1973年4月8日に放送されており、この話を元に作られた挿入歌「哀愁のドラえもん」という歌がある。

○大山版「好きでたまらニャい」
1980年3月29日放送。


○わさドラ版「好きでたまらニャい」
2005年6月17日放送。
しずかを迎えに来たのはスネ夫ではなく出木杉に変更されている。
また、ドラえもんへの暴言にはジャイアンも加わり、「よう、どこ行くんだふうせんネコ」「威勢いいなまんまるロボット」とソフト(?)なものになっている。


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