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エヌマ・エリシュ

登録日:2011/11/13 Sun 23:07:06
更新日:2026/06/20 Sat 16:57:36
所要時間:約 3 分で読めます





エヌマ・エリシュとは、古代メソポタミア文明圏に伝わるバビロニア=アッシリア系の創世神話である。

▽目次

【概要】

名称は冒頭の一節「昔、高きところに(Enūma eliš)」に由来しており、日本語ではそのまま『エヌマ・エリシュ』と呼ばれている。
古代オリエント神話の中でも特に重要視される神話体系の一つであり、後世の神話研究や比較宗教学にも大きな影響を与えた。

この神話は、アッシリア最後の大征服王として知られ、また優れた文化保護者でもあったアッシュールバニパル王の「ニネヴェ図書館」から発見された粘土板によって広く知られるようになった。
発掘を担当したのはイギリスの考古学者ヘンリー・レイヤードらであり、断片化していた粘土板を修復・解読した結果、『エヌマ・エリシュ』は七枚の書版から構成されていることが判明した。

文章はアッカド語の楔形文字で記されており、その総行数はおよそ1000行にも及ぶ大長編である。
ただし第五書版については損傷が激しく、現在でも欠落部分が多い。
それでも残る部分だけで十分に壮大な神話体系を読み取ることができるため、古代メソポタミア研究における超重要資料として扱われている。

成立年代については諸説あり、一般的には紀元前18世紀頃に原型が成立したと考えられている。
一方で、実際に現在の形へ整理・編纂されたのは紀元前14世紀から前12世紀頃とも言われる。
なお、ニネヴェ図書館から発見された版自体は紀元前7世紀頃の写本である。


【内容】

遥か太古、世界にはまだ天も地も存在しておらず、ただ淡水の神アプスと海水の女神ティアマトのみが存在していた。
二柱の混じり合いによって汽水が生まれ、そこから次々と新たな神々が誕生していく。

しかし神々の数が増えるにつれ、若い神々は騒がしくなり、アプスは次第にその喧騒に耐えられなくなってしまう。

「うるせぇ! 静かにしろ! もう全員消し飛ばしてやる!!」

などと半ば逆ギレ状態となったアプスは、ついには若い神々を皆殺しにしようと決意。
ティアマトは夫の暴走に困惑しつつも、最終的には息子である知恵と魔術の神エア(エンキ)へ事態の解決を託した。

エアは得意の魔法を用いてアプスを眠らせ、そのまま討ち取る事に成功。
さらにアプスの側近ムンムも追放し、新世代の神々が実権を握ることとなった。

その後、エアの子として誕生したのが英雄神マルドゥークである。
彼は四つの目と四つの耳を持つとされ、父を凌ぐほどの強大な魔力を備えていた。
だが、その力があまりに強大だったため、彼が戯れに起こす嵐だけでもティアマトの海は大荒れとなった。

ついに堪忍袋の緒が切れたティアマトは、アプスの復讐を掲げて反乱を決意。
巨大な竜の姿となり、自らに従う神々や11体の怪物軍団を率いて若い神々へ宣戦布告する。
さらに彼女は新たな配偶者としてキングーを迎え、「天命の書板」を授けて総司令官に据えた。

神々はティアマト軍の圧倒的戦力を前に恐怖したが、唯一マルドゥークだけがこれに立ち向かう事を宣言。
その代わり、勝利した暁には自分を最高神として認めるよう要求した。

かくして始まった大戦争は凄惨を極める。
ティアマトが大口を開けてマルドゥークを飲み込もうとした瞬間、彼は魔法で「悪風」を吹き込み、その口を閉じられなくした。
さらに隙を突いて放たれた矢がティアマトの身体を貫き、ついに原初の女神は倒された。

そしてマルドゥークはティアマトの亡骸を引き裂き、その半身から天と地を創造する。
さらに両目からはティグリス川とユーフラテス川を生み出し、尾からは天の川を作ったとされる。

マルドゥーク「天地創造は任せろー!!」バリバリ

ティアマト「やめtぎゃあああああああああ!!」

その後、マルドゥークはティアマト側についた神々を隷属させ、首謀者であるキングーを捕縛。
キングーはエアによって処刑され、その血肉から人類が創造された。

マルドゥーク「人類創造も任せろー!!」バリバリ

キングー「やめtぎゃあああああああああ!!」

こうして人類は神々に代わって労働を担う存在となり、神々は労役から解放された。
そして神々は世界を救ったマルドゥークを最高神として称え、50もの尊名を捧げたという。


【余談】

ちなみに名前の響きから誤解される事もあるが、『ギルガメシュ叙事詩』とは直接の関係はない。

なお、日本では知名度の割にフィクション作品で扱われる機会は意外と少ない。
それでも『Fate』シリーズではギルガメッシュの宝具名として『天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)』が登場し、知名度向上に大きく貢献した。
他にも『モン娘☆は〜れむ』などで、ティアマトやマルドゥークをモチーフとしたキャラクターが登場している。




追記・修正は第5版の欠けている部分の解読に成功した人がお願いします。

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最終更新:2026年06月20日 16:57