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ティアマトの11の怪物

登録日:2012/03/07 Wed 01:29:07
更新日:2026/10/27 Tue 19:51:26
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この項目では、メソポタミア文明を代表する創世叙事詩『エヌマ・エリシュ』に登場する、原初の女神ティアマトが生み出した11体の怪物について解説する。

『エヌマ・エリシュ』は、神々の誕生から、バビロニアの主神マルドゥクが宇宙の支配者となるまでを描いた創世神話である。
物語の始まりでは、原初の淡水を象徴する神アプスーと、原初の海水を象徴する女神ティアマトが、若い神々の祖として存在していた。しかし、騒がしい子供たちを疎ましく思ったアプスーは、彼らを滅ぼそうと企てる。
これを察知した神エア(エンキ)は、先手を打ってアプスーを殺害した。

夫を失ったティアマトは、当初こそ若い神々との戦いを望んでいなかったものの、やがて彼らと敵対することを決意する。そして、怪物たちを生み出して武装させ、若い神々に対抗する軍勢を整えた。

ティアマトが生み出した怪物たちは、牙や毒を備えた恐るべき姿をしており、その身体には毒が血液の代わりに満たされていたとされる。さらに、ティアマトは彼らに恐怖をまとわせ、戦場で決して退かない勇猛さを与えた。
彼らは「嵐の獣達(ウーマー)」「獣達(ウーマーマーヌ)」と呼ばれた。


ムシュマッフ

アッカド語ではMušmaḫḫūなどとも表記される、7つの頭を持つ大蛇。
名称は「高貴な蛇」「傑出した蛇」などと解釈される。
『エヌマ・エリシュ』では「鋭い歯と容赦のない牙を持ち、血の代わりに毒を体中に満たしている」とされ、ティアマトが生み出した怪物たちの中でも特に恐ろしい存在として描かれている。
鱗はパッパルディル石、鼻はサームトゥ石、目はムッシャル、顔はラピスラズリと金でできているともされる。

ムシュフシュ

アッカド語ではMušḫuššuと表記される、蛇と複数の動物の特徴を併せ持った怪物。
名称は「赤みがかった蛇」「獰猛な蛇」などと解釈される。
全身が鱗に覆われ、後脚は鷲に似ており、前肢はライオンに似ており、長い首と尾、頭には2本の角、蛇のような舌、そして鶏冠を持つともされる。

後世にはマルドゥクやティシュパクと結び付けられ、神の威光を示す聖獣としても知られるようになった。
特にバビロンのイシュタル門などに描かれた姿は有名であり、バビロニアを象徴する怪物の一つとなっている。

ユダヤ教のダニエル書にも門番として登場している。
……ダニエルに爆弾で爆殺されるという役割ではあるが。

バシュム

アッカド語ではBašmuと表記される、毒蛇あるいは毒を持つ竜に類する怪物。
その名称は「毒蛇」と解釈されることが多い。
ツノのある蛇で、さらに2本の前脚と翼を持つ。

「海で創造され、60マイル(96560.6メートル)もの巨体を持ち、魚・鳥・ロバそして人間を手当たり次第に貪り喰ったため、神々の不興を買い、ネルガル神によって倒された」という神話もある。
このためギリシャ神話のヒュドラに関連付けられることもあるとか。

クルール

アッカド語ではKulullûと表記される、半人半魚の怪物。
名称もそのまま「魚人間」を意味する。

基本的には人魚として表される。水木しげるの『悪魔くん 世紀末大戦』ではクトゥルフと結び付けられ、深海魚人アンドリアス・ショイクゼリ(深きものども)に崇拝される存在として登場した。

ウリディンム

アッカド語ではUridimmuと表記される、ライオンまたは犬のような怪物。
名称は「狂った獅子」「狂犬」「狂暴な獣」などと解釈される。

犬と人間の身体的特徴を組み合わせた存在ということで、ギリシャ神話におけるキメラやおおかみ座に関連付けられることもあるそうな。

ウガルルム

アッカド語ではUgalluと表記される、獅子の頭と鳥の脚を持つ人間のような姿をした怪物。ウガルルとも呼ばれる。
名称は「大いなる日」や「大いなる嵐」などと解釈され、その名の通り天候を操るという。

「獅子頭人の姿で風を操る」という特徴から、バビロニアに伝わる風の魔王パズズと同一視されるとも。

ウームー・ダブルートゥ

アッカド語ではUmū dabrūtuなどと表記される、嵐や荒天に関係する怪物。
名称は「激しい嵐の獣」などと解釈される。

実はその形態についてはよくわかっていないが、『エヌマ・エリシュ』では「戦いを恐れることなく残酷な武器を携えていた」と記されている。

ギルタブリル

アッカド語ではGirtablullûなどと表記される、上半身が人間、下半身がサソリという姿をした怪物。
名称は「サソリ人間」を意味する。

メソポタミア神話に登場するサソリ人間「パピルサグ」とは似てるようで似てない。
ギルガメシュ叙事詩では、ギルガメシュが旅の途中で訪れるマシュ山の門を守る存在(太陽神シャマシュの配下)として登場する。

ラフム

アッカド語ではLaḫmuと表記される、大蛇、あるいは毛深い(天パという説もあり)男性の姿をした怪物。
名称は「泥」のほか「毛深い者」を意味するとも解釈され、現代の怪物図鑑では獣人や異形の巨人として紹介されることもある。
創世神話の冒頭に登場するアプスーとティアマトの最初の子と名前が被っていて紛らわしい。

ユダヤ教やキリスト教ではラハブという名で登場しているほか、創作物には「ラーム」「ラハム」という名で登場する例も見られる。

クサリク

アッカド語ではKusarikkuと表記される、牛の特徴を持つ怪物。
名称はそのまま「野牛」または「牛男」。
人間の頭と牛の身体を組み合わせた姿だったり、その逆(牛の頭に人間の身体)だったりする。

ウシュムガル

アッカド語ではUšumgalluと表記される、大蛇あるいは竜に類する怪物。
名称は「巨大な蛇」や「偉大な毒蛇」といった意味に解釈されることがある。
他の蛇っぽい怪物たちと同一視されることもあるという、なんか今一地味な子。




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最終更新:2026年10月27日 19:51