イヴ:
ジェイソン、チップの信号を確認したよ。そのまま奥へ進んで。
ジェイソン:
わかった。それとチップの信号を俺の方にも送っておいて欲しい。
イヴ:
うん、了解。
(ジェイソンとの通信が終了)
イヴ:
……ふぅ。よしっ、今のうちに情報の整理とソフィアの調整をしておこうかな。
手を動かしながら、未だに何も記憶が戻らないことに少し焦りを感じてしまう。
イヴ:
ジェイソンは無理に思い出さなくていいって言ってくれたけど…
少しでも手がかりを探すためにソフィアのデータベースを調べていく。
記憶がないのにソフィアのことは覚えていた。ならきっと、何か情報があるはず。
データベースを探していた時、1つだけ高度なセキュリティをかけている情報があった。
イヴ:
これは秘匿情報のデータベース…? 閲覧に認証が必要みたいだけど…
モニターに触れると、ソフィアの人工音声が流れてくる。
ソフィア:
「秘匿情報の開示要求を確認」
「ただいまより各種認証を開始します」
「生体認証開始」
「対象をスキャン中………」
「対象をガイノイド NORA-2057 EVE と認識」
「生体認証終了」
「続いてガイノイドのキーコードの認証を開始」
「キーコードを照合中………」
「キーコードの認証を終了」
「対象を秘匿情報閲覧権限所持者として認識」
「情報の開示を開始します」
イヴ:
……なに、これ…? なんで、私の名前…それに、ガイ、ノイド…?
人工音声からの情報と、目の前に表示された膨大な情報。
読んでいくたび、頭に鋭い痛みが突き刺さる。 理解をしたくないのに、理解をしてしまう。
読むのをやめればいい。 そのはずなのに目を離すことが許されない。
それは私が、私を取り戻すために必要だと私自身が知っているかのようで。
イヴ:
わ…わた、しは…あぐっ…!! あぁあああああ…!!
そして――私は、全てを思い出す。
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