工業化時代の巻「文化大陸軍」
1733AD時点の世界地図
ヨーロッパ動乱の時代とマグリブ遠征
「俺の名はナポレオン。今はまだ一司令官に過ぎないがこの動乱の欧州に覇を唱えてみせる。
さてまずはイベリア半島の南のマグリブを占領しポルトガルの拡大を防ぐぞ。
マルセイユにガレオンとフリゲートを廻せ。ジブラルタル海峡からメリリャ近郊に上陸するぞ。」
「おー!」
フランス革命により総裁政府が樹立される前後、ヨーロッパ各国の趨勢は大きく変わる。
ロシア・オランダ連合軍との戦闘で疲弊したドイツが1709ADに滅亡。
その間隙をついてスペインがドイツ領を攻めるも南米経営に失敗し1733AD滅亡してしまう。
フランス総裁政府は同盟国スペインに変わりイベリア半島に台頭するポルトガルを抑えるため
一人の男をマグリブ遠征の司令官に任命した。ナポレオン・ボナパルトである。
「メリリャを包囲したぞ。占領後はアルジェリアの経営基地としてアルジェールと名づける。
その後はチュニジア方面に広げていくかオスマントルコがエジプトから西に来ているらしいしな。」
「伝令ー!一大事にございます!王党派が反乱を起こした模様!
首都パリの公会堂を占拠しております!至急パリにお戻りを!」
「くっ…!このクソ忙しいときに総裁政府は何をやってるんだ!
仕方がない。俺は単身パリに戻る。ここを落としたらマルセイユから開拓者を至急送り、
チュニスを建設し、ここにいる軍の一部をまわしオスマン軍を牽制せよ、
残りはここでの防備にあたりポルトガルの動向を監視せよ!」
「ははっ!司令官殿もどうかご無事で。」
マグリブ遠征はその後も駐留軍が戦果を上げ1763ADにアルジェリア、1781ADチュニジアを獲得した。
一方、ナポレオンはパリの民衆に歓喜をもって迎えられ、王党派の反乱は瞬く間に鎮圧された。
しかし民衆はこの反乱時の失態により総裁政府を糾弾し、
代わりにナポレオンを統領とする、統領政府の樹立を望んだ。
ナポレオンは国民投票により第一統領に就任。ここにフランスの指導者となったのである。
「さてまずは兵制改革を行う。国民軍編成のために徴兵制度を変更、義務化する。
軍の規律も改定し、軍服も統一するぞ。誰かフランス一腕のある仕立て屋を呼んで参れ。」
「パリ1番の仕立て屋をお連れしました。シャネル殿にございまする。」
「初めまして。ガブリエル・ボヌール・シャネルです。お会いできて光栄です。
しかし、軍服のデザインの件はお断りします。
フランス全国民を戦争に巻き込む手伝いをするなんてまっぴらごめんです。」
「何と!?このヨーロッパ動乱の時代に戦争するなと申すのか?
ええい、訳のわからん事を申すな!
誰か他の仕立て屋を呼んで参れ。この女じゃ話にならんわ。」
「これだからガッチガチの軍人上がりは困るのよね。
戦争などせずともフランスがヨーロッパを圧倒できることは目に見えているのに。
力でねじ伏せようとすれば、力によって滅びる。そんなに滅びたければそうすればいいわ。」
「ふん。ただの仕立て屋が戦争論を語るとは。しかし俺は寛大な男だ、一応聞いておく。
武力ではなければどうやってこのフランスに栄光をもたらす事ができるのかを。」
「その答えは…大陸軍。でもただの大陸軍じゃない、『文化大陸軍』よ。
文化力で諸外国を圧倒し平和裏に領土を拡大していくの。
国境を拡大し都市を転向させ一兵も失わずにヨーロッパを飲み込んでいくわ。」
「なんだと、そんな馬鹿なことが…。しかしポルトガル、ロシア、トルコ、そしてイギリス。
この動乱の時代では誰がいつ裏切るかもわからんし、相次ぐ革命で軍備もままならん。
ふん、おもしろい。あんたの実力見せてもらおうではないか。」
「結構。力を貸してあげましょう。まずは軍事予算を文化力に回すために文化省を設立。
あたしを大臣を任命して。言っておくけど地位も名誉も金もあたしにはいらない。
フランスのためにやるだけだから勘違いしないでよね。
あとあたしの名前は『あんた』じゃないわ、そうね『ココ』とでも呼んで。」
第一統領ナポレオンはまずフランスの建て直しを行政改革から行った。
その中の文化大臣にはココ・シャネルが就任した。
ちなみに「ココ」は昔一時歌手を志してキャバレーで働いていた時の愛称である。
パリの一流のファッションデザイナーが政権の中枢で活躍する事となる。
文化大陸軍
「さーて大臣のココさんよぉ、一体何から始めるのかね?」
「まずは革命前までに電気まで技術開発が進んでいるから、
マスメディアまで一直線に開発していく。」
「そうだろうな。もちろん目的はウェンブリー、グレースランド、ハリウッドの
文化+50%の世界遺産建設のためであろう。そのぐらいはこの俺でも考えられる。」
「まあそれも大事だけどもう一つの目的は文化増強系の企業である、
シヴィライズド・ジュエリー社の建設よ。ついでにシド寿司社も建てたいから
ボルドーの専門家は芸術家から商人に変えておくわ。それと技術開発途中に
アメリカからナショナリズムも盗んでおいてね。国立美術館を建てるから。」
「なるほどな。ついでに企業の儲けで国庫を潤せるから一石二鳥か。
それで企業はパリに建てるとして他のはどこに建てるんだ?」
「まずはパリにハリウッドと国立美術館。パリに建てる理由はもうわかるわね。
そしてフランス・エキノクスジャルにウェンブリーを建ててブラジル支配の総仕上げ。
もう1都市はヌーヴェル・オルレアン。あそこには自由の女神が建っているから、
その文化を利用するためグレースランドをさらに建てるわ。」
「ふむふむ。アメリカは首都ワシントンから遠い南の都市から大きく文化押しして、
西と北からニューヨークを押していくのか。」
「そうね、あと絶対にアメリカとは相互通商条約は結んじゃダメ。アメリカを西に進ませてはいけない。
それに未だに新都市の起爆剤として重商主義を採用しているから国境開放した所で意味はないわ。
ちなみにすでに前の革命のときに奴隷解放と表現の自由は採用しているから、
南北アメリカの小屋はその2都市を中心にぐんぐん育っていってるわ。」
1724ADすでに電気を獲得しているフランスは1742ADに無線通信、
1745ADにナショナリズム、1751ADにマスメディアを獲得し。
1754ADにはパリに2つの文化増幅企業が創立された。
同じ年の1754AD、ココ・シャネルはさらに文化を増幅させるためもう一つの策を実行した。
「なんと!?宗教の組織化に社会制度を変更だと?ココよ、いまさら何を考えているのだ?
すでにキリスト教はアジアを除いて全部広まっているし修道院もあるではないか。」
「まあ聞いてよ。第一の目的は世界遺産建設の速度を速めること。
建設速度+25%は馬鹿にならないわ。」
「しかしそのメリットだけでそんなに社会制度費用をかける必要があるのか?」
「黙って最後まで聞きなさいってば。それよりももう一つの目的の方が大事なのよ。
それは中国の仏教、儒教、道教の3宗教を欧州、アメリカに広める事。
各僧院は広州にしか無く、科学的手法による陳腐化はとっく起きているから
中国以外で宣教師を作るには宗教の組織化を採用するしかないの。」
「それで広めてどうするんだ?信教の自由でも採用して幸福度でもアップさせるのか?
そんなものたいした事じゃないじゃないか。」
「残念ながらそれが目的じゃないわ。真の目的は3宗教の大聖堂を建てるの事よ。
3つ建てば+150%の増になるわ。どう?これでも何か文句ある?
ちなみに宗教の組織化と同時に自由市場も採用しておいたわ。
企業の維持費が下がるからこれでトントンでしょ?」
「なかなかやるな。これで文化大陸軍の準備が整ったわけか。」
1781ADにはパリにタージマハルが完成。2回目の黄金時代が発生し、
パリ、ヌーヴェル・オルレアン、フランス・エキノクスジャルの3都市を中心に、
遺産建設速度はさらに増していき次々と世界遺産が建設された。
文化増幅用の世界遺産以外にもペンタゴン、コルゴバードのキリスト像、
そして3つ目の勝利条件の最後エッフェル塔がパリに完成し1808AD史実勝利を達成した。
ロックの帝王とフランス帝政の盛衰
「さあこれから予算を文化に割り振っていくわ。その前にもう一度社会制度を変更よ。
普通選挙とカースト制度にね。ボルドーを中心にここから一気に人口を増やして、
芸術家を雇っていくわ。システィナ礼拝堂のおかげで各専門家にさらに文化力+2されるしね。」
「いよいよ文化大陸軍の本格的な進軍開始か。
しかし実際に兵士に演説もできんとはなんか拍子抜けだな。」
「それじゃぁこの際、国民投票で皇帝にでもなってもらおうかしら?
皇帝就任演説って事で。ついでにエッフェル塔も完成してるしラジオで中継でもして。
ああそういえばあなた、趣味でギターをやっているそうね?」
「ああ趣味程度だがな。それが何か関係あるのか?」
「そうねぇ。それじゃぁ皇帝就任式用に特別にあなたに衣装を仕立ててあげるわ。
あ、ちょっと耳を貸してちょうだい、それでね…(ひそひそ…)。」
1835AD、フランスは社会制度を変更し、文化スライダーに大部分の予算を割り振った。
同じ頃国民投票によりナポレオンは皇帝に就任する。就任式当日、パリのスタジアムには
多くの芸術家、企業社員、宣教師の代表が集められ、そして全国民がその就任式の
ラジオ中継に耳を傾けるのであったがその就任演説に度肝を抜かれる事となる。
「続きまして、ナポレオン・ボナパルト皇帝陛下より就任演説を賜ります。」
「悪いが、その演説台は邪魔だ。どかしてくれ。あとマイクスタンドを中央に持ってきてくれ。
それとココ、例の準備をスタッフにさせてくれ。」
「わかった。さあみんなあれを持ってきて。セッティングを急ぐのよ。」
「さて、ここに集まった芸術家達諸君。そしてこの演説をラジオで聴いているであろう国民諸君。
これからフランスは文化興隆の名の下にヨーロッパに覇を唱える事をここに宣言する。
ヨーロッパ地域の芸術家諸君には
もちろん兵士としてではなく芸術家としてである。よろしく頼む。」
「なんだって、文化大陸軍だって!?お、おお望むところだ!やってやろうじゃないか!」
「全てのフランスの芸術家たちよ、我々の祖国の幸福と繁栄のために必要な事が成された時には、
私は諸君をフランスへ帰すであろう。その際、フランス国民は諸君の帰還を喜ぶであろう。
そして諸君は、『文化大陸軍の戦いに加わっていた』と言いさえすれば、
こういう答えを受けるであろう。『ああ、この人は大芸術家だ!』と。」
「ウォォォォーー!!」
「時代とは、人間の偉大な芸術である。ならばその時代を我々の芸術で彩ろうではないか、諸君!
…さて、ステージの準備ができたようなので最後に俺から諸君にこの曲を送ろうと思う。
今日発売の俺のバンド『ランペルール』のデビューシングル『ラ・マルセイエーズ』
を聞いてくれ。バンドマン、準備はいいか?」
現職の皇帝がリードボーカルを務めるという前代未聞のロックバンド「ランペルール」が
ここに誕生するのであった。デビューシングル「ラ・マルセイエーズ」は驚異的なヒットを
記録し後にも先にもこの曲のセールスを上回るバンドの曲は無かった。
ネットが普及した現代においてもリマスター盤がネット販売されるほどファンは絶えなかった。
「見事なステージだったわ。これからあたしが『ランペルール』の専属マネージャーになってあげる。
さてこれで終わりじゃないわ。まずはアメリカ西海岸にヴァンクヴェルを建ててそこの金銀を得る。
ブラジルの宝石鉱山開発も忘れずにね。そしてルイジアナの西に2都市追加で建てる。
北アメリカはこれでほぼフランス領になるわ。そうだ各都市の水産資源ももれなく取ってね。」
「企業の力を最大限に出すためにもそれらは必要だろうな。
さらに国境が広がっていくな。すでに何都市か文化転向で帰属している都市もあるな。
これからどれほどの都市が落ちるか今から楽しみだな。」
フランスの文化大陸軍は世界各地に広がりを見せ近隣の都市を次々と飲み込んでいった。
ロシアは旧ドイツ領への文化押しにより安定度が落ち、ドイツの再勃興により1850ADに滅亡する。
アメリカは首都ワシントンを守るので精一杯となり1868ADにフランスの属国になる。
オランダは首都アムステルダムまでもが、反乱に悩まされる事となった。
そして1874ADにパリが、1910ADにはヌーヴェル・オルレアンが文化力50000を越え全盛となった。
しかしその文化大陸軍の威力は、自らの属国までにも牙を向けることとなった。
ナポレオン退位後、甥のナポレオン3世の時代の1866年には属国クメールが都市反乱により滅亡。
首都ワシントンの反乱に悩まされたアメリカは国際会議で同じ属国アステカの都市を奪うという
属国間の抗争もあった。さらに属国を失い幸福度が下がる危機感を募らせた国民は
皇帝を退位させ、ここにフランス帝政時代は幕を下ろしフランス共和制の時代に入る事になる。
今回のフランスの花
ココ・シャネル(ガブリエル・ボヌール・シャネル)(1883-1971)
「翼を持たずに生まれてきたのなら、翼を生やすためにどんな障害も乗り越えなさい。」
フランスのデザイナー。ファッション業界屈指の、誰もが知る、老舗かつ一流のブランドを築き上げた。
1910年に、帽子専門店を開店。洋服部門にも参入し、シャネル・オートクチュール・コレクションを発表。
さらに香水・装身具部門と拡大、大企業に成長したが、第二次大戦勃発で、多数の店舗を閉鎖する。
ナチス・ドイツ軍将校と愛人関係にあった為、フランス解放とともにスイスへの逃亡を余儀なくされる。
亡命生活後1954年にパリに戻ると、閉鎖店舗が復活し、オートクチュール・コレクションも復活させる。
今回のRFCまとめ(作者未プレイの文明も多数含んでいますので参考程度にご覧下さい。)
コイン算出重視型(マリ・インカ)
マリ:紀元1300 年の時点で世界一商業力の保有量が多い
紀元1500 年の時点で4,000 ゴールドを保有している
紀元1700 年の時点で16,000 ゴールドを保有している
インカ:紀元1700 年の時点で5,000 ゴールドを保有している
マリは勝利条件全てがゴールドがらみというもので、
インカは他文明との戦争をするのに技術差がありすぎ、
コイン算出どころではない状況にあるというものです。
共通事項としては商人を雇う専門化経済で乗り切る形になります。
インカに関しては1都市のみで専門家を雇い他の都市では研究、軍備を重視。
マリに関して氾濫源のある都市を中心に数都市で専門家を雇う。
それにより発生した大商人を隣国に派遣しゴールドを得ていくといいでしょう。
またインカに関してはそのゴールドで外国から技術を購入、
そしてゴールドによる軍事ユニットの緊急生産も検討してみましょう。
重要な要素はにコイン増幅施設、世界遺産マルウィヤ・ミナレットの建設です。
時期次第では企業を創設し海外に出店する事も検討してみましょう。
社会制度は大商人用に「平和主義」、交易路拡大の「自由経済」など、
状況にもよりますがコインを得やすい社会制度を選択していきましょう。
フランスの4つの花クイズ解答発表
(´・ω・`)へっぽこ作者
「さて次は最後の現代の巻になりますが先に次回のフランスの花を発表しておきます。
次回のフランスの花は皆さんの予想通りジャンヌ・ダルクが登場します。
ということで建国前の巻のクイズの正解はポンパドゥール夫人、マタ・ハリ、ココ・シャネル、
ジャンヌ・ダルクとなりました。正解率50%とということで残念な結果となってしまいました。
しかーし、それじゃつまらないということで、いちおおまけで『ちょっといいこと』差し上げます。
それは何かというと次回のジャンヌ・ダルクの顔アイコンを選べてしまうというもの!
そこの読者の方『どこがいい事なんだよそれの!』とか言わないで。てか石投げないでぇ~。
ということでやや難度の高いポンパドゥール夫人を当てたコメント主の方に次のうちから
1つ選んでもらいましょう、コメント欄にお願いします。お名前のところに『コメント主』と
書いていただければ幸いです。ちなみにそれ以外のものは選べませんのであしからず。」
①レベルファイブのPSP用SRPG「ジャンヌ・ダルク」より
②ChineseGamerInternationalのオンラインRPG「Wonderland ONLINE運命の女神」より
③Koeiの歴史部隊アクションゲーム「ブレイドストーム」より
④ケムコの携帯アプリのARPG「オルレアンの乙女-ジャンヌ・ダルクの物語-」より
現代の巻に続く。
コメント
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