アクセス——我がシン
イザヘル・アヴォン・アヴォタヴ・エル・アドナイ・ヴェハタット・イモ—・アルティマフ……
イフユー・ネゲット・アドナイ・タミード・ヴェヤフレット・メエレツ・ズィフラム
轟々と渦巻く瘴気の風を身に浴びて、真紅の長身が踊るように旋回する。
辺り一面に霧のような血が噴くと、宙に漂うそれらは大気を巻き込む旋風と化し、前方に掲げられた右手の銃口に集束する。
熱く、熱く、魔性を孕む超高熱のプラズマが爆裂した。
出迎えの祝砲だ。受け取ってくれ
ジューダスの放ったプラズマはゲートの隔壁を突き破り、砕き割り、千々に至るまで文字通り粉砕した。
のみならず、ゲートに接触していた幾つかの
イルミナティの航空機もまた破壊に巻き込まれて爆散する。
ハハハ、アハハハハハハハハハハハハ
全身に血の霧を纏わせつつ狂笑するジューダス。
そして、彼の右肩胛骨から異形の器官が突出する。
漆黒の翼。
何の予備動作もなく、弾丸のように回転しながら、ジューダスは上空へ飛翔すると、眼下に見下ろすS区画へ照準する。
おお、グロオリア。我らいざ征き征きて王冠の座へ駆け上がり、愚昧な神を引きずり下ろさん。
堕ちろ。堕ちろ。堕ちろ。堕ちろ——。
Fuck off foolish Godッ !!
何発も何発も隔離街へ放たれる魔群のプラズマ。
発射と同時に幾条にも分裂した魔性の弾は、それそれ独自の意志を持つように破壊と蹂躙を繰り返し、阿鼻叫喚を演出する。
その悪と罪は常に主の御前に留められ、その名は地上から断たれるように
彼は慈しみの業を行うことに心を留めず、貧しく乏しい人々、心の挫けた人々を死に追いやった
彼は呪うことを好んだのだから、呪いは彼自身に返るように
祝福することを望まなかったのだから、祝福は彼を遠ざかるように
呪いを衣として身に纏え。呪いが水のように腑へ、油のように骨髄へ、纏いし呪いは、汝を縊る帯となれ
ゾット・べウラット・ソテナイ・メエット・アドナイ・ヴェハドヴェリーム・ラア・アル・ナフシ—
レェェエエスト・イン——
これまでで最大規模のプラズマが、その銃口に集束したその刹那——
+
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... |
——ックア
一体何を思ったのか、ジューダスは自らのこめかみに魔銃を押し付け、忌々しげに吐き捨てた。
——五月蠅いぞ、キサマらッ
虫ケラが、オレを支配出来るなんて思うんじゃないッ!
トリガー。
プラズマ化した大気の塊を受け、ジューダスの頭部は跡形もなく消し飛んだ。
しかし、それは十秒も経たずに瞬く間に再生する。
はあ、はあっ…ぅぐ……
……なるほど、こいつは正直、参ったな。少しでも気を抜けば…こうなるのか
ジューダスの眼下に広がるのは壊滅的な被害を受けた隔離街のS区画。
そして、その戦火は、ある図形を示していた。
逆五芒……オレをからかっているつもりなのか、嘗めるなよ糞虫
オレは敗けない。ようやく彼と同じ土俵に上がることが出来たんだ。キサマらごとき、絶対に乗りこなしてみせるさ
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備考
「気に入った相手と対等になる」
実は歴代の
観測者は何かしらこの要素に当て嵌まっており、時系列では
ズルワーンが元祖だが、発表順で言えば元祖はこのジューダスである。
関連項目
- 前世からの宿願さえ座の交代の為に植え付けられたものってホント観測者って虚無だな -- 名無しさん (2020-10-25 12:52:18)
- ハイペリオン(蟲) -- 名無しさん (2020-10-25 12:56:24)
- 最終的に、ズルワーン、ジューダス、司狼といった面々がブチ切れてヴァルナに殴りかかりそう -- 名無しさん (2020-11-01 05:35:17)
最終更新:2020年11月01日 05:35