神殿の最上階へ到達した。
そこには法衣を着たエルフが居た。
おそらく法王であろう。
そしてその向かいのやや上空に、大きな翼を持つ人影が浮かんでいた。
天使よりもはるかに大きい。
主天使ドミニオンであろう。
最上階が明るいのは月明かりによるものではなかった。
この天使が光を放っているのだ。
その神々しい姿は本能的にひれ伏したくなる思いを沸き上がらせる。
しかし、冒険者たちはひれ伏さなかった。
神魔ドミニオン。
それは決して天使ではないことを知っているからだ。
突然の来訪者に法王は狼狽し声を上げた。
「神託の場に踏み入るとは……!
ああ、主よ!
どうかお許し下さい!」
法王は冒険者たちに何かを言うよりも、天を仰いでひれ伏した。
冒険者たちはドミニオンを見据えた。
ドミニオンは人では成し得ない整った顔をしている。
見るものは皆、天使にふさわしい美しさと思うことだろう。
しかし、冒険者たちの心に浮かんだ印象は『造り物の顔』であった。
微動だにせずドミニオンは言葉を発した。
「何故、お前たちは抗うか。
人の成した蛮行の数々
もはや悪魔の所業なり。
神に選ばれし種はエルフのみ。
従順なる神の下僕として
唯一生きる道を与えん。
時は満ちた。
聖戦を今再び。
悪魔の子らを全て滅ぼし
千年王国を築きあげん。」