川村信次郎

川村信次郎(かわむらしんじろう)〈1911年7月~2004年8月〉は、社会党4代目委員長全日本労働組合総評議会中央委員会組織部長。衆議院議員8期、参議院議員2期。

来歴

政界入りまで

1911年7月、新潟県・現南魚沼市出身。父は厳格の教員であった。小学校卒業後、旧制早稲田高校(現早稲田高等学校)を経て、早稲田大学政経部経済科を卒業。

1934年、大学卒業後に桜田百貨店へ入社。銀座桜屋大阪桜屋札幌桜屋の店舗係を経て、札幌桜屋店舗係長、札幌桜屋総務部人事課を歴任。1945年8月の終戦を経て、仙台桜屋管理部流通課係長として赴任。1947年に、全国桜流通グループ労働組合の立ち上げに参画、初代書記局官房次長。1949年の過度経済力集中排除法下における企業再編で、東洋百貨に移籍する。本社管理部流通課係長を経て、組合専従となる。
全国桜流通グループ労働組合中央委員会運動部長、組織委員長を経て、3代目中央委員長に就任。1952年には、「52合意」を締結させて、全日本労働組合総評議会への加盟を決め、桜田金融労働連合と決別を進めた。総評中央委員会運動部長を歴任する。

政界入り

1954年1月、社会党は、全日本労働組合総評議会の組織内候補者5名を次期参議院通常選挙に擁立する意向を決定し、総評組織内候補者として、東北地方に地縁のある川村が選任される。同年の第3回参議院通常選挙で、南東北選挙区から初当選を果たす。党の参院幹事補、参院幹事を経て、1957年の社会党全国委員会委員、1958年の両院議員総会長代行、1959年に全国社会党大集会全国委員長を歴任。若手の登竜門を次々に歴任し、将来の参院議長との呼び声も高かったが、のちに衆議院に転じる。

衆議院議員

1960年の第5回参議院通常選挙で2選目を果たすも、1961年に社会党から当選していた宮城1区渡辺紀見が急逝。その代理候補として補欠選挙に立候補したのが川村であった。川村は、自信を応援する総評の意向から衆議院への鞍替えを決意。1961年12月の補欠選挙で勝利を果たす。衆議院への鞍替えに成功すると、副幹事長情勢調査局長を経て、筆頭副幹事長に就任。議院でも、衆議院文教委員会総務委員会の野党筆頭理事として政策方面にも活躍の機会を広げる。1965年8月、常任幹事会常任幹事に就任。

第4代社会党委員長

1967年4月に、片山明彦が委員長退陣を表明。後任の委員長の選任について、常任幹事会に一任する方向で党内調整をかけた。常任幹事会では、片山委員長の後任として戦中活動家出身の村本紘一を選任する方向であったが、これに対して、総評を中心とする支援母体は、「戦後レジームからの脱却、福祉国家構想」への舵切を党に迫ることになる。その結果として、労働組合に近い人物として、川村にも白羽の矢が立つ。

1967年7月、国鉄中労連を支持母体に持つ、前団体運動本部長海穐吉両院議員総会による決選投票によって、第4代社会党委員長に指名される。同年8月の全国社会党大集会によって任命される。委員長就任以降、社会党は、これまでの左翼政党路線から決別することを決定した。福祉型社会主義への路線変更を目指した、政権綱領の再策定に入ることとなる。1968年8月の第21回全国社会党大集会で、政権綱領を大幅改定するに至る。急速に中道左翼路線への転換を図り、これまでの学生運動戦後革命運動から決別する流れをとる。この矢面に立ちながら政策を実現するに至る。1970年には、政権党に返り咲きを達成し、自らも入閣するように打診を受けるが、社会党の党是に従って入閣を固辞。1975年に、保守合流の末に自由党が結党すると、党諸派の一掃を名目に大同団結を図るため、委員長引退を宣言。自身の後任については、常任幹事会に一任するものとして距離を置いた。

衆議院議長

1976年11月、前任の社会党前田高太郎衆議院議長退任を発表したため、第72回国会において「第38代の衆議院議長」に選任される。1980年まで衆議院議長を務めたのち、社会党最高顧問の名誉職に就く。1982年には、社会党選出の衆議院議長である、前田高太郎福盛喜朗とともに「社会党議長の会」を設立。参議院議長経験者の高石和彦大森慎前川博則も加わる。

選挙歴

選挙 開票日 年齢 選挙区 政党 定数 順位
第3回参議院通常選挙 1954年6月13日 42 南東北選挙区 社会党
第5回参議院通常選挙 1960年6月12日 48 南東北選挙区 社会党
第19回衆議院総選挙・補欠選挙 1961年12月 50 旧宮城1区 社会党
第20回衆議院総選挙 1963年7月14日 52 旧宮城1区 社会党
第21回衆議院総選挙 1966年4月24日 54 旧宮城1区 社会党
第22回衆議院総選挙 1970年4月26日 58 旧宮城1区 社会党
第23回衆議院総選挙 1973年9月16日 62 旧宮城1区 社会党
第24回衆議院総選挙 1978年7月2日 66 旧宮城1区 社会党
第25回衆議院総選挙 1980年5月18日 68 旧宮城1区 社会党
第26回衆議院総選挙 1983年6月5日 71 旧宮城1区 社会党
第27回衆議院総選挙 1987年5月1日 75 北海道・東北比例区 社会党
第28回衆議院総選挙 1989年10月29日 78 北海道・東北比例区 社会党
最終更新:2025年11月10日 09:57