思いがけないお客
本日の更新は、お休みとなります。
代わりにこちらで、
薬の魔物のSSを書かせていただきますね。
ネア
「なにやつ」
「…鉛筆なのかな」
「ちびこい鉛筆が、足元でくるくる踊ってから、お花を置いて去ってゆきました…」
「おや、鉛筆の精ですね。ある基準迄鉛筆を使い切ると、鉛筆を長く使える祝福を届けるそうですよ」
「まぁ。大事に使ったことで、祝福が貰えるのですね!」
「鉛筆なんて…」
ディノ
「ご主人様…」
「これは、…ちび敷物聖人さんです?まぁ、ディノの爪先がびしゃびしゃに!」
「踏んでしまったらとても怒っているのだけれど、どうして廊下にいるのだろう…」
「困った聖人さんですねぇ」
「
ノアベルトは、落ちてしまったのかな…」
「むむ、狐さんの足跡があちこちに!」
エーダリア
「い、いや、あの糸は食べられないのだからな?」
「どうされましたか?」
「先日の儀式で使った糸を食べていた妖精が、糸を隠したと怒っているのだ。食べ物ではないと説明したのだが、何度も体当たりされてな…」
「相手にする必要はありませんよ。捨てておきましょう」
「
ヒルド?!」
ノア
「ふぅん。妙なものが来たね。これは僕が排除しておくから、ネアは部屋に入っていていいよ」
「食べられないのです?」
「え…食べようとしてるの?!」
「むちむちした鳥さんなので、きゅっと…」
「ありゃ。凄い勢いで逃げたね。それと、あれは祟りものだから、絶対に食べられないからね?!」
ヒルド
「おや、どうされましたか?」
「ふぇぐ。ヒルドさん、おかしなことになりました…」
「ああ、この編み目ですね。少し貸していただいても?」
「ふぁい…」
「妖精は、編む事にかけては特別な祝福がありますので、このような事で頼っていただけるのは嬉しいですね」
「ふぁ!直りました!」
ちびふわ
「ちびふわ、どうしました?」
「フキュフー!」
「窓ですか?誰もいませんよ?」
「フキュフ?!」
「むぅ。なぜ尻尾でぱすぱすするのだ…」
「フキュフ!」
「窓の外には、誰もいませんよ?」
「フキュフー!」
「ネア、窓の隅ではないかな。ボラボラの幼体だと思うよ」
「フキュフ!」
ウィリアム
「
グレアム?これは、思いがないお客だな」
「…あわいの列車が事故で止まっていてな。途中で地上に出たのだが…」
「ちょうど、一人で飲もうとしていたんだ。今夜はいい月だからな。一緒にどうだ?」
「折角だ。付き合わせて貰ってもいいか?」
「よし、グラスを出そう。いい酒なんだ」
ドリー
「イブリース、どうしてここにいるんだ?」
「外遊付いてきて、何が悪い。これから、近くに店がある筈の焼肉弁当を買いに行くんだ」
「やれやれ、それが目的か。
ヴェンツェルに報告するまで少し待つように」
「一緒に弁当を買いに行く予定だぞ」
「…それなら、外出予定の確認もしておこう」
フランツ
「この部屋で何をしているんだ?」
「旅支度だ。お忍びで他国を訪れるのが王の道楽だからな」
「どうせ近衛騎士に見付かると叱られるから、この部屋に来たんだろう」
「時には、心が洗われるような景色を見ないとな」
「どうでもいいが息子と食事に行くので、早くしてくれ」
「自慢か?!」
グレアム
「…そうか。そのような用向きでの訪問だったか。よく間違われるのだが、会違いだ。領主の会は、受け付けが別の者になるし、銀狐の会は、あの店に行くといい」
「やれやれ、最近、会違いの問い合わせが増えましたね」
「急に増えたからだろう。それにしても、今の者は高位の精霊だったな…」
ゼノーシュ
「ゼノ、お出かけですか?」
「明日ね、ザルツから来る貴族が、家族を連れて来るんだって」
「…むむ?」
「僕、本人しか来られないようにしてくる」
「…まさか、ご家族というのは、奥様とお嬢さんなのです?」
「妹とその娘なんだよ。
グラストには会わせない…」
「お、お顔が!!」
アルテア
「おい、何でここにいるんだよ」
「むむ。お散歩中に迷い込んだ小さなお家に、アルテアさんが来ました」
「キュ」
「言っておくが、排他結界を…くそ、契約のせいか」
「美味しいものなどを常備しているのなら、隠してはいけませんよ」
「何でだよ。いいか、さっさと帰れ。おい!寛ぐな!」
ノア
「アルテア、どうしたの?」
「あの狐を見なかったか?」
「…ど、どうだろう?ええと、…氷酒飲む?」
「お前と二人でか?」
「そ、そうだよね!エーダリアに用があるんだった。そろそろ行こうかな!」
「ここにもいないのか」
「…アルテア、…その、僕は君のこと結構好きだから」
「…は?」
以上となります!
お付き合いいただき、有難うございました。
最終更新:2022年05月07日 15:27