自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた@創作発表板・分家

SS 001-020 17

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203 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/07/30(金) 23:54 [ qUq6iUEM ]
    激震の続く機体、ほとんどの人がしがみつくだけで精一杯であった。
    窓の外は真っ赤な炎に覆われ敵の攻撃の激しさが伺われる。
    そして温度は上昇し続ける。チリチリと頬を焼く空気、青島たちの頬をダラダラと汗が流れた。
    「こんな振動・・・天野さんが・・・天野さんが!」
    佐藤が奥歯をギリッ、と噛みしめる。汗の中には涙が混じっているようにも見受けられた。
    自衛隊内で彼の自衛隊員としての全てを叩き込んできた男、それが今、命の危機に瀕しているのだ。
    「こ、これは・・・ど、どうなって・・・ガッ!」
    叫ぼうとした福地が舌を噛む、しかし今はそんなことにかまう余裕のある人間は居ない。

204 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/07/30(金) 23:55 [ qUq6iUEM ]
    セフェティナは生き延びる方法を必死で考えていた。
    ジファンは今すぐにでも魔法の追撃を仕掛けてくるだろう。この鉄の箱がいくら頑丈だとはいってもそう何発も持つまい。ジファンは自分に魔力で劣るとは言え、熱・炎系統の魔法を得意としている、その威力ならもってあと二発だろう。
    そして魔法の対処法を知っているのは自分だけ、つまり今の状況を変えられるのも自分だけなのだ。
    ピクン・・・。マナの干渉波が窓の外側から感じられた。
    そしてマナの糸(爆弾で言えば導火線の役割を果たす。)がガラス(と言ってもこんな純度の高いものは見たことが無いが)を通ってこちらに入ってきて、青島の目の前で止まる。
    「な、なんだ・・・光る、糸・・・?」
    青島は触ろうとするがそれはかなわず手はすり抜けてしまう。

205 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/07/30(金) 23:55 [ qUq6iUEM ]
    「いけない・・・。」
    目の前で光る糸はもう間も無く灼熱を発し、この機体内のあらゆる物を焼き尽くすだろう。
    しかし、ジファンには誤算があった。それはヘリの中には自分以上の魔法の使い手が居ることを忘れていたことである。
    セフェティナは魔法の篭手をはめなおした。
    そして窓を通るマナの糸に自らの魔法の被害を機体内に及ぼさないように窓に手を押し付けるようにして触れる。
    そしてジファンがこれから魔力を通すであろうマナの糸に魔力干渉をし、詠唱を始める。
    ジファンの熱と炎の呪文と反対である冷却と氷の呪文の詠唱を。

206 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/07/30(金) 23:56 [ qUq6iUEM ]
    図解
    ジファン:炎魔法→――――――――マナの糸――――――――←氷魔法:セフェティナ

207 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/07/30(金) 23:56 [ qUq6iUEM ]
    青島は呆然としてセフェティナを眺めていた。
    突然もうかなりの熱を持っているだろうガラスに手を押し付けた彼女が何かを囁くように唱えるのを。唱えると同時に彼女から何か威圧感のような物が発される。
    彼女の篭手に埋め込まれた大きな宝石が光り、それに呼応するようにマナの糸が輝きを増す。
    「セ、セフェティナ・・・さん?」
    「大丈夫です。」
    ただ聞くだけの青島にセフェティナは手を焼かれながら少し苦痛に歪んだ笑顔で答えた。

208 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/07/30(金) 23:56 [ qUq6iUEM ]
    一方ジファンもマナの干渉波を感じていた。
    紛れもなく自分が攻撃しているあの竜モドキの中から、である。
    しかし惜しむべきは彼にセフェティナほどの魔法知識がなかったこと。
    自分の作り出したマナの糸が利用されているなど夢にも思わなかった彼は、セフェティナの作り出した糸が自分のほうに来ていないことで安心しきっていた。
    「とどめとなるな?これは。」
    詠唱が完成し、魔法を放つ。
    再び手元から赤い火線が竜モドキへと空中をすべるように接近する。
    そしてそれと、同時に見える。
    竜モドキ付近のマナの糸が霜を纏い、その部分がどんどんこちら側へと近づいてくるのが。
    「な、なんだ!?あれは。」

209 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/07/30(金) 23:57 [ qUq6iUEM ]
    赤い光と霜を纏う光はぶつかり、打ち消しあい消滅する。
    それどころか霜の光は竜モドキを覆う炎までかき消してしまった。
    「ぐぐっ・・・冷気系かっ!」
    確実に勝利したと思い込んでいただけにショックも大きい、ジファンは歯軋りし、それと同時に相手にセフェティナが居ることを思い出した。
    奴は小賢しい事に自分よりも断然魔法発動が早い。
    「あまり近くに居ては追撃を食らうか。」
    ジファンはワイバーンをヘリから放し、新たな魔法を唱え始めた。
    しかし、ジファンにはここにも誤算があった。
    異世界の戦力―――日本の兵器を舐めすぎていたことである。

210 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/07/30(金) 23:57 [ qUq6iUEM ]
    ガガガァンッ!
    「!?」
    激しい音がし、何かが来る、そうジファンが気づいた時には54口径127ミリ単装速射砲が彼とそのワイバーンの身体をもはや原形も残さぬほど木っ端微塵に砕いていた。
    「あ・・・あ・・・。」
    ―――こちらこんごう、敵アンノウンの撃墜に成功。―――
    呆然と海に落ちていくジファンの肉塊を見つめるセフェティナの耳にただ無機質な通信手の声が響いていた。

211 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/07/30(金) 23:58 [ qUq6iUEM ]
    任務完了!
    前々回の終わりには次々回で決着とか言ってたくせに大嘘こいてる・・・。
    まぁそれはそれとして・・・。

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