行政法


【基本書】

〔メジャー〕

  • 中原茂樹『基本行政法』日本評論社(☆2024年2月・第4版)……小早川門下。元司法試験考査委員。現在、基本書としてはトップシェア。従来の行政法の教科書と異なり、判例の事案をベースにしたケースメソッドを用いて、抽象的な行政法理論がわかりやすく理解できるよう工夫されている。最終ページの行政訴訟フローチャートは分かりやすい。しかし、基本的・基礎的な講学上の行政法体系が曖昧になっているとの批判もある。下記の「簡易問題集」を見れば分かるが、各ケースでは個別法の解釈が求められる。行政法初学者が、いきなり挑むのは難しいため、下掲の櫻井・橋本(サクハシ)などの基礎的な本の次に読むと、大きな効果が得られるかもしれない。「受験新報」2019年12月号特集「合格者が使った基本書」行政法1位。
    【改訂】第4版では、下掲の演習書・同著『基本行政法判例演習』とリンクさせ、記述を見直した。正誤情報簡易問題集(日本評論社HP)。序章+全27講+終章。A5判、508頁。

  • 櫻井敬子・橋本博之『行政法』弘文堂(☆2025年2月・第7版)……塩野門下の夫妻による共著。通称「サクハシ」。判例・通説を中心に、コンパクトに講学上の行政法体系知識を得ることができる。その柔らかく平明な記述は、予備校本よりもわかりやすいとの評価がある。第6版までは、ビジュアル面も工夫されていた。行政組織法についても言及があるほか、行手法や情報公開・個人情報保護法制などについても、ある程度の分量をもって触れられており、収録されている判例数も多いため、予備短答対策として有用。短所としては、①総じて、理由付けが脱落しがちである点、②本書のみでは、個別法解釈が身につきにくい点、③文献引用がない点、などが挙げられる。短所があるとしても、初学者・独習者が最初に手に取る本としては、最有力な選択肢である。「受験新報」2019年12月号特集「合格者が使った基本書」行政法2位。
    【改訂】第6版では、個人情報保護法、行政機関個人情報保護法、国税通則法、地方自治法改正による住民訴訟制度の改正等の法改正を反映するとともに、重要な新判例を追加し、内容をアップデートした。また、処分性や原告適格などの判例の多いテーマを、整理し一覧表にまとめるなどした。第7版では、記述全般の見直しや新判例など内容のアップデートのほか、フォントの変更や本文の2色刷廃止など、大幅な体裁の変更が行われた。なお、下掲の判例集・橋本『行政判例ノート』とリンクもさせた。全24章。2色刷。A5判、436頁。

  • 宇賀克也『行政法』有斐閣(☆2023年7月・第3版)……通称「宇賀レインボー」。著者は、田中孫弟子(雄川門下)。現最高裁判事。ロースクールの未修者クラスの教科書として使うため、下掲『行政法概説I・II・III』のエッセンスを抽出して、一冊にまとめたもの。なお、『概説III』の公務員法・公物法はカットされており、司法試験に必要十分な知識のみが凝縮されている。上記のサクハシに比べ、記述はやや堅いが、理由付けはサクハシよりもしっかりしている。収録判例数も多く、予備試験の択一対策としても有用。全10章。A5判、528頁。

〔その他〕

  • 宇賀克也『行政法概説Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』有斐閣(Ⅰ行政法総論:☆2023年8月・第8版、Ⅱ行政救済法:2021年3月・第7版、Ⅲ行政組織法/公務員法/公物法:☆2024年7月・第6版)……極めて情報量が多く、判例や学説の網羅性は圧倒的。3冊合わせて1800頁を超える大著であるが、章のはじめにポイントを摘示したり、重要度によって文字のサイズを変えたりするなど、教科書として読みやすいように工夫されている。判例の体系的なデータ整理が、徹底されているのも特徴のひとつ。もっとも、伝統的通説に関する記述を「塩野参照」とするなど、著者の自説について、結論をはっきりと示していないなど、理論面では塩野に劣るという評価もある。また、塩野Ⅲとは異なり、地方自治法は、後掲の『地方自治法概説』で扱っている。「受験新報」2019年12月号特集「合格者が使った基本書」行政法3位。A5判、574頁・626頁・658頁。

  • 塩野宏『行政法Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』有斐閣(Ⅰ 行政法総論:☆2024年9月・第6版補訂版、Ⅱ 行政救済法:2019年4月・第6版、Ⅲ 行政組織法:2021年4月・第5版)……田中門下。現在の行政法学における第一人者による体系書。著者は現在、一線を退いているが、弟子の協力により改訂を継続。塩野説は行政過程論を展開し、通説の地位にある。試験対策としては、網羅性に少し欠ける面もあるが、それでも情報量は豊富であり、理論的には、簡潔でありながらも考察は深い(例えば、三権分立における地方自治の位置づけなど)。Ⅲ(行政組織法)では、地方自治法・公務員法・公物法も扱っている。Ⅱ(行政救済法)第6版で、2014年改正の行政不服審査法を反映。
    【改訂】Ⅰ(行政法総論)第6版補訂版で、誤記等の訂正、法令改正(民法等)へ対応、行政法判例百選8版への差し替えを行い、後注にて、2023年改正個人情報保護法に対応。はしがきに「著者が高齢に達したため、本補訂版の作成においては、その最後の段階で、山本隆司先生にご協力いただきました。」とあり、以後の補訂は、塩野門下の学者の手によると予想される。A5判、444頁・450頁・476頁。

  • 大橋洋一『行政法Ⅰ・Ⅱ』有斐閣(Ⅰ 現代行政過程論:2023年12月・第5版、Ⅱ 現代行政救済論:☆2025年3月・第5版)……塩野門下。考査委員を長年務めた著者による意欲的な基本書。事例(Case)における問いと解題という対話型講義のスタイルで書かれており、内容は高度であるが非常に読みやすく、独修しやすい教科書となっている。『行政法Ⅱ』も、個々の救済手段を念頭に置いて、典型事例を軸に据えて解説しており、理解しやすい。特に、司法試験に頻繁に出題される処分性及び原告適格は、司法試験受験生必読とすらいえよう。各Caseも、『基本行政法』に比べると簡潔なもので、初学者にも取り組みやすい。Ⅱ第5版参考文献リスト等。全20・20章。A5判、544頁・548頁。

  • 興津征雄『行政法Ⅰ 行政法総論(法学叢書2-I)』新世社(2023年9月)……行政救済法を含まない行政法総論としては異例の大著で、「紙幅を費やしてでも思考や推論の過程をなるべく丁寧に言語化することを試み」ている(はしがき)。①個別法の解釈方法を具体的条文を用いて解説していること、②行為形式論を基軸とする行政過程論を体系として採用せずに、要件効果論として論じていること(個別法解釈の基礎であり、事案解決に直接的に有効)、③公物法も論じていること、などが特徴。予備・司法試験の短答で問われた箇所を明記しているのは、至便(巻末に事項・判例索引のほか、司法試験・予備試験問題参照部分索引を付している)。著者の「note」に訂正情報など本書に関連する情報あり。なお、本書でも何度か参照されている同著者による学習者向けの論文として、興津征雄「法学の出発点としての条文――イントロダクション」法学教室451号(2018年)10頁と、中川丈久=興津征雄「令和4年司法試験(行政法)の出題に関する疑義」法学セミナー818号(2023年)44頁がある。全32章。A5判、864頁。

  • 芝池義一『行政法読本』有斐閣(2016年3月・第4版)……『行政法総論講義』『行政救済法講義』有斐閣(2006年10月・第4版補訂版、2006年4月・第3版)の2冊を、初学者向けにコンパクトにまとめたもの。初学者向けという性質上大胆に削っている論点が多いが、説明がわかりやすく隙のない良書となっている。特に異端説を採っているわけでもなく、通説・有力説にはしっかりと言及しているので、安心感がある。芝池が採用した学説が今日の行政法の通説になっていることも多い。芝池の独自説があるとすれば、従来の学説が論じてこなかった間隙を埋めている箇所である。例えば、「形式的行政処分の拡張」のように、従来の学説では指摘されてこなかった短所を指摘している箇所など。2016年刊行のため古くなっているが、本書以降に出現した判例学説等を自力で補充できるようなら、威力を発揮するだろう。全27講+補講(届出)。A5判、494頁。

  • 芝池義一『行政救済法』有斐閣(2022年12月)……『行政救済法講義』の全面改訂版。使用者は、少ない。A5判、414頁。

  • 高橋滋『行政法』弘文堂(2023年11月・第3版)……田中孫弟子(南博方門下)。著者の講義レジュメをベースとして執筆されたテキスト。高水準の内容を無難に解説しており、独自説はあまりない。大小フォントを使い分け、判例の事案につき、詳しく解説しているのが特徴。判例の要点が簡潔にまとまっており、まとめ用にも向く。難点は、サクハシと同じく文献の引用がないこと。第3版において、R3個人情報保護法の改正に対応。全4編、全18部。A5判、544頁。
    なお、同著者による実務家向けの著作として『法曹実務のための行政法入門』判例時報社(2021年9月、A5判、594頁)がある。行政法特有の論点が含まれているにもかかわらず、民事法的思考に基づいて、目前の事案を処理・分析しようとしがちな法曹実務家に対し、行政法思考方法の独自性・固有性・重要性を伝える(はしがき)一冊本。

  • 稲葉馨・人見剛・村上裕章・前田雅子『行政法(LEGAL QUEST)』有斐閣(☆2023年3月・第5版)……元司法試験考査委員らによる教科書。まとめ用の本としてシェアを伸ばしている。本書は、わかりやすくまとめられていて初学者にも推奨できるという評価と、簡潔な記述で高度な内容まで説明しており、初学者が利用するのは難しいという評価の二つがある。全5章、全18節。A5判、422頁。

  • 藤田宙靖『行政法総論 上巻・下巻』青林書院(上巻:2020年4月・新版、下巻:2020年4月・新版)……田中門下。元最高裁判事。『行政法Ⅰ(総論)(現代法律学講座)』の実質的な改訂版。書名は「総論」と銘打たれているが、行政救済法も内容に含まれている。新版から、上巻(行政法通則)・下巻(行政救済法)の二分冊となった。著者自身は、本書について、「今日のわが国の行政法について、その全体ないし部分の切断面をいわばCTスキャンの如く詳細に描写する先端的な著作」ではなく、「そのような成長の基盤にあったのが何であったのか、そういった成長は法理論的に如何なる意味を持つものであるのか、といったバックグラウンドを理解するための、一つの手掛かりとしての機能を果たし得るかもしれない」と述べており、本書は「体系書」や「教科書」ではないと謙遜気味に評している。しかし、本書はもともと学部の講義用テキストとして書かれたものであり、基本書としても全く差し支えない。行政法理論の基礎的・体系的な理解を得るためには、大変有用な一冊。内容としては、表現の限りを尽くした丁寧な説明が特徴。行政法の制度と理論全体を、法律による行政の原理という物差しを用い、法律、行政行為、行政強制といった三段階モデルでそれからの偏差を測定する方法(以上、阿部泰隆『行政法再入門(上)』44頁より引用)をとり、いわゆる行政過程論には懐疑的である。A5判、440頁・372頁。
    なお、同著者による行政組織法の体系書としては『行政組織法』有斐閣(2022年4月・第2版、A5判、534頁)がある。

  • 神橋一彦『行政救済法』信山社(2023年3月・第3版)……田中孫弟子(藤田門下)。著者による大学での講義案を書籍化したものであり、2色刷で図や表が多く、読み手の理解を助ける。判例文を長く引用しており、特に藤田裁判官の補足意見の引用が充実している。また、取消訴訟の訴訟要件論については紙幅を割いて非常に丁寧に説明している。折に触れて行政法総論についても軽く言及しており、読者に優しい。A5変型判、456頁。

  • 髙木光『行政法』有斐閣(2015年11月)……塩野門下。歴々の行政法学者のテキスト読解、ドイツ法などアカデミックな内容が盛り込まれており、内容は高度。著者は公法上の当事者訴訟活用論者(学説としては有力説にとどまる)であり、判例の傾向とされる処分性拡大論には否定的。一応ケースメソッドを採用しているが、説明にはあまり生きていない。全10部、全50UNIT。A5判、556頁。

  • 原田大樹『例解行政法』東京大学出版会(2013年10月)……一般的な行政法の基本書と異なり、総論(行政過程論・行政救済法)と各論(租税法・社会保障法・環境法・都市法)という独特な解説の形式を採る。両者を有機的に統合して解説することで、複雑な行政法の理解を促すことを目的としている。図表が充実している点も嬉しい。著者が大橋門下ということもあり、大橋『行政法』との相性が良い。やや古いことが難点。全2部、全6章。A5判、544頁。

  • 曽和俊文『行政法総論を学ぶ(法学教室ライブラリィ)』有斐閣(2014年3月)……法教連載を単行本にしたもの。単行本化にあたり「行政情報」について2項目(情報公開制度、個人情報保護制度)が追加された。A5判、510頁。
    なお、「行政救済法を学ぶ」(法学教室・No.415~No.438、全20回)は現在のところ未刊。

  • 木村琢磨『プラクティス行政法(プラクティスシリーズ)』信山社(2022年4月・第3版)……教育的配慮から、行政救済法を中心に記述し、総論はそれが救済法と関わってくる箇所にて逐次説明するという独特の形式を採る。かつての「各論」的要素を取り入れており、行政作用を典型的な4類型に分け、短いケースを用いつつ解説する。全8章。A5変型判、384頁(本文370頁)。

  • 岡田正則『行政法Ⅰ 行政法総論』『同Ⅱ 行政救済法』日本評論社(2022年9月、2024年8月)……A5判、260頁・272頁。

  • 岩本章吾『行政法講義』成文堂(2023年3月・第3版)……A5判、522頁。

  • 高橋信隆編著、岩崎恭彦『行政法講義』信山社(2014年10月)……全27講。A5変型判、416頁。

  • 村上武則監修、横山信二編『新・基本行政法』、『新・応用行政法』有信堂高文社(2016年11月、2017年10月)……A5判、328頁・384頁。

  • 橋本博之 『現代行政法』岩波書店(2017年9月)……全16章+補章(行政組織法)。A5判、336頁。

  • 大浜啓吉『行政法講義I・II』岩波書店(I 行政法総論:2019年10月・第4版、II 行政裁判法:2011年10月)……A5判、526頁・568頁。

  • 市橋克哉ほか『アクチュアル行政法(アクチュアルシリーズ)』法律文化社(2020年4月・第3版)……基本原理や行政組織法の説明が多いのが特徴。行政法を憲法原理や民主主義原理から読み解こうとする。判例や通説的議論に引っ掛かりを覚える、飽き足らない者にとっては面白いかもしれない。全6部、19章。A5判、384頁。

  • ☆小川亮『一元的司法審査論』東京大学出版会(2025年4月1日)……違憲審査は憲法学、行政裁量審査は行政法学という公法学の垣根を越えようとする意欲作。公法学界での憲法と行政法の垣根は、まだまだ高く、“使える”司法審査論は、学問領域を超えたところに存在する。本書は、憲法学・行政法学を哲学的見地から再構成して諸学を貫く「一元的司法審査論」を提示する。図書館での参照推奨。

(古典)
  • 田中二郎『新版 行政法 上・中・下(法律学講座双書)』弘文堂(上:1974年4月、中:1976年6月、下:1987年2月・いずれも全訂第2版)……元最高裁判事。1982年1月に逝去。かつては行政法で通説といえば田中説を指した。現在では田中説は「伝統的通説」と位置づけられ、本書は「古典的名著」と称される。実務上の影響力は今なお強い。下巻は弟子の塩野の手によって改訂された。なお、2014年にオンデマンド版で復刊。A5判、388頁・352頁・280頁。

  • 遠藤博也『行政法II(各論)(現代法律学講座)』青林書院(1977年11月)……田中および雄川門下。1992年4月に逝去。行政組織法・行政作用法各論を扱う。行政作用法各論分野の数少ない体系書。行政庁の危険管理責任論の提唱など学説形成に大きな影響を与え続けている名著。 絶版。A5判、388頁。

  • 新井隆一『行政法(青林教科書シリーズ)』青林書院(1992年2月)……2017年6月に逝去。A5判、330頁。他に、『口述 行政法(口述法律学シリーズ)』成文堂(1989年、A5判、288頁)、『行政法(法学基本問題双書)』成文堂(1991年・第4版、B6判、236頁)等がある。

  • 小早川光郎『行政法 上(法律学講座双書)』『行政法講義 下I・II・III』弘文堂(1999年6月、2002年11月、2005年11月、2007年8月。下I・II・IIIはOD版あり。)……著者は行政法学の第一人者の一人。原告適格の要件論で著名。田中・塩野に続く代表的な基本書の地位を得るかと思われたが、未完。上も改訂されていないため、内容はかなり古くなっている。もっとも、理論面での検討は緻密で、なお味読に値する。A5判、352頁、132頁、144頁、128頁。

  • 南博方『行政法』有斐閣(2012年2月・第6版補訂版)……田中門下。2010年に死去。まとめの一冊として有益な概説書。全15章。四六判、338頁。

  • 原田尚彦『行政法要論』学陽書房(2012年3月・全訂第7版補訂2版)……田中門下。「簡にして要を得た」という表現がぴったりの基本書。自説を主張している部分も少なくないが、判例・通説との区別はきちんとなされており、弊害は少ない。判例の収録数がやや少ないため、本書のみでは司法試験対策としての情報量がもの足りないことは否めないが、問題点の分析は鋭く、論旨が明快で、文章もとても分かりやすいため、初学者にも推奨できる一冊である。なお、今後改訂や増刷をする予定はないとのこと。全11章。A5判、480頁。



【その他参考書】

  • 橋本博之『行政法解釈の基礎:「仕組み」から解く』日本評論社(☆2023年12月・新版)……新司法試験の過去問(H29-R4)を素材にして具体的な行政法の問題を解くために必要な技法を修得するための参考書。独習で個別法を解釈して、行政法の問題を解くことができるようになりたい人には有益である。A5判、332頁。

  • 伊藤建・大島義則・橋本博之『行政法解釈の技法』弘文堂(2023年3月)……学者(橋本)とロースクール実務家教員(伊藤・大島)による共著。A5判、352頁。

  • 阿部泰隆『行政法再入門(上) ・(下)』信山社(いずれも☆2024年11月・第3版)……既刊の『行政の法システム上・下』『行政法解釈学Ⅰ・Ⅱ』などのエッセンスをまとめて更にバージョンアップした著書。行政法をある程度学ばれ、おかしいな、よくわからないなどと思われる方を対象としている(はしがきより)。いわゆる通説に対する強烈なアンチテーゼであり、その主張は解釈論のみならず立法論にまで及ぶ。著者の研究者・実務家としての経験がふんだんに盛り込まれており、行政法を糧にする弁護士や研究者にとってはまさしく「宝の山」である。A5変型判、544頁・466頁。

  • 阿部泰隆『行政法解釈学Ⅰ・Ⅱ』有斐閣(2008年12月、2009年9月)……通説・塩野説を理解した人向けのオルタナティブな体系書。著者の弁護士としての経験談が豊富に盛り込まれており、実務家にとっても示唆に富む。A5判、674頁・644頁。

  • 高木光・宇賀克也編『行政法の争点(新・法律学の争点シリーズ 8)』有斐閣(2014年9月)……B5判、288頁。

  • 大貫裕之『ダイアローグ行政法(法セミ LAW CLASS シリーズ)』日本評論社(2015年9月)……法学セミナー連載の単行本化。行政法の基礎的な論点を、対話形式で解説する。入門から進化、また復習まで、読み手の需要に応じて姿を変える一冊。全25回。A5判、420頁。

  • 北村喜宣・川崎政司・渡井理佳子編『行政法事典』法学書院(2013年3月)……行政法を100項目に分類して、項目ごとに基本概念・考え方・用語・判例・論点を解説したもの。全6章。A5判、544頁。

  • 高橋滋・野口貴公美・磯部哲・大橋真由美編著『行政法Visual Materials』有斐閣(2020年12月・第2版)……「目で見る」サブテキスト。B5判、222頁。

  • 紙野健二・市橋克哉編 『資料現代行政法』法律文化社(2008年9月・第3版)……副読本。ただし、行服法等の近時の法改正に対応していないため、留意が必要である。A5判、368頁。

  • 櫻井敬子『行政法講座』『行政法講座2』第一法規(2010年7月、2015年12月)……『行政法講座』は、月刊誌「自治実務セミナー」に連載された内容を加筆、修正し、単行本化したもの。A5判、296頁・264頁。

  • 原田大樹『行政法学と主要参照領域』東京大学出版会(2015年3月)……A5判、368頁。

(個人情報保護法)
  • 岡村久道『個人情報保護法の知識(日経文庫)』日本経済新聞出版社(2021年7月・第5版)……新書判、276頁。

  • 岡村久道『個人情報保護法』商事法務(2022年5月・第4版)……全5編。A5判、688頁。

(都市法)
  • ☆大橋洋一『都市法』有斐閣(2024年7月)……全14章。A5判、342頁。

  • ☆久保茂樹『都市法入門』三省堂書店/創英社(2024年9月)……序章+全10章。A5判、276頁。

  • 碓井光明『都市行政法精義Ⅰ』『同Ⅱ』信山社(2013年11月、2014年7月)……全5章+終章。A5変型判、608頁・688頁。

  • 安本典夫『都市法概説』法律文化社(2017年9月・第3版)……都市法をテーマに法解説から紛争処理制度まで概観。とかく抽象的な議論に偏りがちな行政法を具体的に理解する手助けとなるだろう。A5判、426頁。

  • 生田長人『都市法入門講義』信山社(2010年3月)……24章の廃棄物、25章の防災が特徴的。著者は特に防災法が専門。全25章。A5版、423頁。

〔行政救済法:参〕

  • 高木光・常岡孝好・橋本博之・櫻井敬子『行政救済法』弘文堂(2015年10月・第2版)……逐条解説のコンメンタール調。「行政不服審査法」、「行政事件訴訟法」、「国家賠償法」という救済3法と「行政手続法」の条文の構造を解説。「損失補償法」も扱う。区切りごとに主要判例が載っている。本書は、過去に有斐閣から出版されていた『条文から学ぶ行政救済法』(2006年4月)の改題・改訂版だと推定される。序章(行政救済法の全体像)+全5章。A5判、464頁。

〔地方自治法:参〕

  • 宇賀克也『地方自治法概説』有斐閣(2023年3月・第10版〔☆2025年3月・第11版改訂予定〕)……第8版において、内部統制制度の法定化、監査制度の充実強化を図るなどした2017年改正、地方分権第7次・第8次一括法など重要な法改正が反映された。全9章。A5判、548頁。

  • 川崎政司『地方自治法基本解説』法学書院(2018年2月・第7版)……第7版において、平成29年の地方自治法改正と関連法改正に対応。全8章。A5判、448頁。

  • 松本英昭『要説 地方自治法 新地方自治制度の全容』ぎょうせい(2018年3月・第10次改訂版)……地方自治法を中心に、地方自治「制度」全般を解説したもの。第10次改訂版において、平成29年改正地方自治法の内容等を反映。全15章。A5判、850頁→?頁。

  • 松本英昭『地方自治法の概要』学陽書房(2014年11月・第6次改訂版)……全15章。A5判、548頁。

  • 人見剛・須藤陽子編著『ホーンブック 地方自治法』北樹出版(2015年4月・第3版)……全8章。A5判、252頁。

  • 橋本基弘・吉野夏己・土田伸也・三谷晋・倉澤生雄『よくわかる地方自治法(やわらかアカデミズム・〈わかる〉シリーズ)』ミネルヴァ書房(2009年1月)……全7章。B5判、192頁。

  • 猪野積『地方自治法講義』第一法規(2020年5月・第5版)……本書は、旧自治省行政局行政課課長補佐、同理事官、公務員課長等を歴任してきた著者が、地方自治法の基本を解説した入門書である。第5版にあたり、令和2年4月1日施行の地方自治法の改正(内部統制に関する方針の策定等、監査基準の策定等、長等の損害賠償額の一部免責条例の策定等)を反映。全12章。A5判、408頁。

  • 池村正道・西原雄二編『地方自治法(Next教科書シリーズ)』弘文堂(2019年9月)……全11章。A5判、256頁。


【入門書・概説書】

  • 村上裕章『スタンダード行政法』有斐閣(☆2024年12月・第2版)……リーガルクエスト共著者による概説書。講義レジュメ・法学教室連載の書籍化。簡潔かつ明快な筆致で、行政法の「スタンダード」を描き出す。重要事項は太字になっており、図表も豊富に挿入され、各章末の練習問題には解答例までついている。極めて読者フレンドリーな書。第2版では、初版刊行後の重要判例を含む最新の動きに対応し、全体の文章もブラッシュアップされた。電子書籍版あり。序章+全7章。A5判、394頁(本文379頁)。

  • ☆正木宏長・板垣勝彦・横田明美・海道俊明『入門行政法』有斐閣(2023年12月)……行政過程論をとり通説的立場から書かれた入門書だが、著者らの専門分野に係る発展的記述も一部盛り込まれている。裁判例を多数引用しているので(判文までは引用していないが)知識の再確認にも適するだろう。全15章。横組み。四六判、302頁。

  • 藤田宙靖『行政法入門』有斐閣(2016年2月・第7版)……元最高裁判事による定評ある入門書。抽象的で苦手意識を持たれやすい行政法を、口語体で初学者にもわかりやすく解説する。一文がやや長いが、論理性は損なわれておらず、慣れてくれば気にならない。第7版において、改正行政不服審査法(2016年4月施行)に対応。全16講。縦組み。四六判、326頁。

  • 野呂充・野口貴公美・飯島淳子・湊二郎『行政法(有斐閣ストゥディア)』有斐閣(☆2023年3月・第3版)……序章(行政・行政法・行政法理論)+全13章。A5判、308頁。

  • 下山憲治・友岡史仁・筑紫圭一『行政法(日評ベーシックシリーズ )』日本評論社(2017年3月)……序章(行政法の全体像と本書の構成)+全6章。A5判、244頁。

  • 芝池義一・大田直史・山下竜一・北村和生編『判例行政法入門』有斐閣(2022年10月・第7版)……判例を起点として行政法全体を解説する入門書。判例・裁判例を通じた、生きた行政法の理解が目指されている。事実・判旨に加えて数行のコメントが付されている。時折、コラムも挿入されている。はしがきにおいては、本書の最大の特色として、「単に裁判例の事実関係と判決内容を叙述・紹介するにとどまらず、行政法の理論について若干の説明を加えた」旨述べられている。よって、本書のみでも読者は最低限の行政法理論の知識を獲得できることになる。第6版において、編者に大田・山下・北村が加わり、章立ても全体的に見直された。A5判、282頁。

  • 今村成和著・畠山武道補訂『行政法入門(有斐閣双書)』有斐閣(2012年4月・第9版)……著者は経済法学者としても有名。また、憲法学説においても「営業の自由」論にてその名を残している。著者亡き後は弟子の畠山によって改訂が続けられている。改訂は、芦部憲法などと異なり、最新判例や学説を加えるのみならず原文にも手を入れている。本書は藤田『行政法入門』等の影に隠れがちであるが、名著である。入門書としては高度な内容も含まれているが、わかりやすくまとめられていて読みやすい。示唆に富んだ文章が多く、行政法を一通り学んだ者が読んでも有意義であろう。全10章。四六判、284頁。

  • 畠山武道・下井康史編著『はじめての行政法』三省堂(☆2023年4月・第4版)……行政法の基本的な30テーマの見取り図を設問形式で解説した入門書。第3版において、新行政不服審査法に対応。全30講。A5判、360頁。

  • 櫻井敬子『行政法のエッセンス』『行政救済法のエッセンス』学陽書房(2016年8月・第1次改訂版、2015年9月・第1次改訂版)……全15章・序章(行政救済法の世界)+全15章。A5判、224頁・244頁。

  • 曽和俊文・山田洋・亘理格『現代行政法入門』有斐閣(☆2023年3月・第5版)……全5編、全20章。A5判、450頁。

  • 石川敏行・藤原静雄・大貫裕之・大久保規子・下井康史『はじめての行政法(有斐閣アルマBasic)』有斐閣(☆2022年3月・第5版)……第4版において、2014年の行政不服審査法・行政手続法改正に対応。序章+全6章+終章+巻末「全体の見取り図」「行政法(学)関係年表」。四六判、298頁。

  • 石川敏行『新プロゼミ行政法 「3つの手続」で行政法の基本を学ぶ』実務教育出版(2020年6月)……『はじめて学ぶプロゼミ行政法』(2000年3月・改訂版)の実質的な改訂版。本書では許認可と手続3法(行政手続法・行政不服審査法・行政事件訴訟法)を行政法の「背骨」ととらえて一気に学んだ後、周りに知識を肉づけ。さらに、行政不服審査法と行政事件訴訟法は同時並行の「パラレル学習」を行うという新しい学習スタイルが採用されている。第0章(本書で学ぶこと)+全15章。2色刷。A5判、422頁。

  • 田村泰俊・千葉実・津軽石昭彦編著『先端・ハイブリッド行政法』八千代出版(2019年6月)…… 田村泰俊・山本未来編著『最新・ハイブリッド行政法』八千代出版(2016年7月・改訂第3版) の実質的な改訂版。今回の改訂では公務員志望者、自治体実務者を主たる読者対象とし項目立てや内容変更が行われた。執筆者(早川和宏・土田伸也・廣地毅・山口道昭・吉田勉)。ガイダンス講義+全37講+ロー・スクール/予備試験/公務員試験へのガイダンス。A5判、516頁。

  • 長野秀幸・川崎政司『行政法がわかった(わかったシリーズ)』法学書院(2009年5月・改訂第7版)……全8部。A5判、376頁。

  • 宮田三郎『行政法の基礎知識(1)-(5)』信山社(2004年8月-2006年6月)……講師と学生の対話形式により行政法全分野を概観する入門書。

  • 宮田三郎『現代行政法入門』信山社(2012年3月・第2版)……全9章。B6判、208頁。

  • 高木光『プレップ行政法(プレップ・シリーズ )』弘文堂(2012年3月・第2版)……全10Lesson。四六判、162頁。

  • 宇賀克也編『ブリッジブック行政法(ブリッジブックシリーズ)』信山社(2017年2月・第3版)……執筆者(宇賀克也・木村琢麿・桑原勇進・中原茂樹・横田光平)。全5部、全19講。四六変型判、352頁。

  • 吉田利宏『つかむ・つかえる行政法』法律文化社(2017年10月・第2版)……A5判、244頁。

  • 北村和生・佐伯彰洋・佐藤英世・高橋明男『行政法の基本-重要判例からのアプローチ-』法律文化社(2023年4月・第8版)……A5判、374頁。

  • 磯部力『行政法』放送大学教育振興会(2012年・新訂)……全15章。A5判、244頁。

  • 見上崇洋・小山正善・久保茂樹・米丸恒治『レクチャー行政法(αブックス)』法律文化社(2012年4月・第3版)……全8章。A5判、228頁。

  • 三好充・仲地博・藤巻秀夫・小橋昇・前津榮健・木村恒隆『ベーシック行政法』法律文化社(2021年3月・第3版)……総論から各論(公務員法、警察法、公物法など)までの基本を解説。第2版は、2014年行政不服審査法関連3法対応版。全21章。A5判、310頁。

  • 池村正道編『行政法(Next教科書シリーズ)』弘文堂(2022年3月・第4版)……全14章。A5判、372頁。

  • 大浜啓吉『「法の支配」とは何か——行政法入門(岩波新書)』岩波書店(2016年2月)……法の支配に関する歴史に詳しいのが特徴。タイトルに行政法入門とあるが、いわゆる通説的行政法の紹介ではなく、それを批判する大浜説の入門書となっているため、初学者には難解で理解することは困難と思われる。通説的行政法を理解している者が教養を深めるため、または大浜説を理解するために読むべき本。新書判、288頁。

  • 原田大樹『グラフィック 行政法入門(グラフィック[法学]6)』新世社(2017年5月)……全16章。2色刷。A5判、288頁。

  • 大橋洋一『社会とつながる行政法入門』有斐閣(2021年9月・第2版)……全18章。A5判、186頁。

  • 渡邊賢『行政法』放送大学教育振興会(2018年3月)……放送大学の教材。全15章。A5判、240頁。

  • 田中嗣久・藤島光雄『行政法の基礎がわかった (わかったシリーズ)』法学書院(2018年10月)……全6章。A5判、384頁。

  • 板垣勝彦『公務員をめざす人に贈る 行政法教科書』法律文化社(☆2023年10月・第2版)……交告門下。本書は著者の法科大学院での講義経験をもとに書かれており、司法試験受験生が基礎知識の定着を図る上でも有益。全15講。A5判、300頁。

  • デイリー法学選書編修委員会編『ピンポイント行政法』三省堂(2018年11月)……法学部生・ビジネスマン・一般読者向けの最新法学教養シリーズの行政法編。四六判、192頁。

  • 吉田としひろ『公務員試験 最初でつまずかない行政法(公務員受験BOOKS)』実務教育出版(2020年7月)……「公務員試験」向けの書籍であるが、「行政法」につまづいている受験生等のために、初学者向けテキストとして、ここに取り上げるものである。全8章。2色刷。A5判、247頁。

  • 木山泰嗣『小説で読む行政事件訴訟法——基本からわかる行政訴訟の手引き』法学書院(2018年8月・第2版)……A5判、328頁。


【注釈書・コンメンタール】

〔行政手続法:注〕

  • 髙木光・常岡孝好・須田守『条解行政手続法(条解シリーズ)』弘文堂(2017年9月・第2版)……実務家用の注釈書。初版(2000年4月)は、塩野、髙木の共著で刊行され、第2版は髙木を中心に2名の新たなメンバーを加え、17年ぶりに全面改訂された。A5判、672頁。

  • 行政管理研究センター(IAM)編集『逐条解説 行政手続法』ぎょうせい(2016年5月・改正行審法対応版)……A5判、473頁。

  • 室井力・芝池義一・浜川清・本多滝夫編著『コンメンタール行政法1 行政手続法・行政不服審査法』日本評論社(2018年9月・第3版)……「行政手続法」・「行政不服審査法」の逐条解説書。第2版(2008年6月)については、2005年(平成17年)改正対応。第3版については、平成26年の行政不服審査法全部改正とその後の学説・判例に対応。A5判、704頁。

(古典)
  • 南博方・高橋滋編『注釈行政手続法』第一法規(2000年2月)……A5判、518頁。

〔行政不服審査法:注〕

  • 小早川光郎・高橋滋編著『条解行政不服審査法(条解シリーズ)』弘文堂(2020年3月・第2版)……実務家用の注釈書。新行政不服審査法(平成28(2016)年4月1日施行)、全87条、附則の逐条解説。A5判、728頁。

  • 行政管理研究センター(IAM)編集『逐条解説 行政不服審査法』ぎょうせい(2016年4月・新政省令対応版)……平成28年4月からスタートする新法の趣旨・制度を解説。なお、新法の逐条解説だけでなく、整備法の附則、政令についても、逐条で解説。A5判、628頁。

  • 宇賀克也『行政不服審査法の逐条解説』有斐閣(2017年2月・第2版)……全部改正された行政不服審査法のコンメンタール。第2版では政省令に対応。A5判、396頁。

  • 橋本博之・青木丈・植山克郎『新しい行政不服審査制度』弘文堂(2014年11月)……52年ぶりに全面改正された新法の逐条解説書。A5判、304頁。

〔行政事件訴訟法:注〕

  • 司法研修所編『行政事件訴訟における調査検討・審理運営の在り方について』法曹会(☆2024年11月)……本書は、司法研修所の行政基礎研究会における東京地裁部総括判事(当時)岩井伸晃氏(現高松高裁長官)による講演(行政事件訴訟における調査検討・審理運営の在り方についての講演)の内容を基に、同氏がこれを取りまとめた講演録に行政事件訴訟の執務の参考に資する観点から補筆を加えたもの。判例を極めて簡明正確に要約しており、行政事件訴訟の全体を学説の雑音なく俯瞰できる。行訴法H16改正後の実務は本書でフォローできる。A5判、153頁。

  • 司法研修所編『行政事件訴訟の一般的問題に関する実務的研究』法曹会(2000年2月・改訂版)……司法研究報告書。行政事件を担当する裁判官向けの基本書。行訴法H16年改正には未対応だが、上掲『行政事件訴訟における調査検討・審理運営の在り方について』を用いればその後の実務運用の状況を補うことができる。A5判、404頁。

  • 南博方原編著、高橋滋・市村陽典・山本隆司編『条解行政事件訴訟法(条解シリーズ)』弘文堂(☆2023年8月・第5版)……実務家用の注釈書。A5判、1144頁。

  • 室井力・芝池義一・浜川清編著『コンメンタール 行政法2 行政事件訴訟法・国家賠償法』日本評論社(2006年10月・第2版)……2004年(平成16年)行訴法改正対応。A5判、608頁。

〔国家補償法:注〕

  • 宇賀克也・小幡純子編著『条解国家賠償法(条解シリーズ)』弘文堂(2019年2月)……実務家用の注釈書。A5判、752頁。

  • 西埜章『国家賠償法コンメンタール』勁草書房(2020年6月・第3版)……第3版では、旧版(2014年3月・第2版)刊行後の6年間のおびただしい判例・裁判例と文献が盛り込まれたほか、さらに理論的深化が図られ、約200頁の増加となった。A5判、1584頁。

  • 佐藤英善編『実務判例 逐条国家賠償法』三協法規出版(2008年3月)……A5判、368頁。

  • 西埜章『損失補償法コンメンタール』勁草書房(2018年8月)……A5判、1080頁。

〔地方自治法:注〕

  • 村上順・白藤博行・人見剛編『新基本法コンメンタール 地方自治法』日本評論社(2011年11月)……2011年「地域主権改革関連3法」・「第2次一括法」による改正まで対応 。B5判、640頁。

  • 松本英昭『新版 逐条地方自治法』学陽書房(2017年11月・第9次改訂版)……第9次改訂版において、平成29年の地方自治法の大改正(内部統制制度の導入や監査制度の充実強化、首長や職員等の損害賠償責任の見直しなど)及び関係法令の改正等に対応。A5判、1792頁。


【判例集・ケースブック】

〔判例集等〕

  • 橋本博之『行政判例ノート』弘文堂(☆2023年3月・第5版)……最高裁判例を中心におよそ200件を収録。すべての判例にその要約(多くて数行)と簡単なコメントが付いている。択一対策に最適の一冊。収録順序は、サクハシに完全に準拠しているので、同書の利用者にとっては、一層使いやすい。A5判、344頁。

  • 斎藤誠・山本隆司編『行政判例百選I・II』有斐閣(☆2022年11月・第8版)……判例解説の定番書ではある。しかし、収録件数が多すぎる弊害がある。第7版では、旧版収録判例の精選・最新重要判例の追加だけでなく、現代社会に照らし、改めて注目すべき過去の判例の再録も行われた。第8版は、第7版刊行後に出されたものを中心に,1巻は13件,2巻は8件の新規判例を収録した。Iは126件、IIは124件を収載。B5判、272頁・276頁。

  • 磯部力・小幡純子・斎藤誠編『地方自治判例百選』有斐閣(2013年6月・第4版)……総計127件+Appendix24件。B5判、232頁。

  • 大橋洋一・斎藤誠・山本隆司編著『行政法判例集I・II』有斐閣(I 総論・組織法:2019年5月・第2版、II 救済法:2018年10月・第2版)……解説なし。事実関係を理解しやすくするため、図表を用いている。原典を尊重という観点から、担当裁判官名を明記している。初版(I:2013年12月、II:2012年10月)の判例収録数(見出しの判例数:I・215件、II・194件、計409件。参照判例も合わせるとI・II合計で800件超)は、他の判例集を圧倒している。A5判、538頁・498頁。

  • 大橋真由美・北島周作・野口貴公美『行政法判例50!(START UPシリーズ)』有斐閣(☆2024年11月・第2版)……B5判、176頁。

  • 村上裕章・下井康史編著『判例フォーカス 行政法』三省堂(2019年5月)……行政法初学者等のためのコンパクトに解説した小型判例集。基本的に見開き2頁で解説(重要判例は4頁)。同社既刊の畠山武道・下井康史編著『はじめての行政法』(2016年3月・第3版)に準拠。121件の判例を収載。事項索引あり。四六判、288頁。

  • 行政判例研究会編『行政関係判例解説』ぎょうせい(2012年3月・平成22年~2020年3月・平成30年)……検察担当者による判例解説書。平成30年版については、平成30年1月〜12月に言い渡しのあった裁判例のうち、行政・法曹実務に影響を及ぼす重要な行政関係判例21件を厳選して解説。A5判、248頁。

  • 小早川光郎・青栁馨編著『論点体系 判例行政法 第1巻~第3巻〔全3巻〕』第一法規(第1巻:2017年4月、第2巻:2017年1月、第3巻:2016年9月)……行政法分野での裁判実務において、実務上問題となる「論点」ごとに判例を整理した実務コンメンタール。A5判、第1巻〔行政活動の基本的な仕組み/行政上の手続・調査・情報の取扱い〕:608頁、第2巻〔行政訴訟〕:668頁、第3巻〔住民監査請求・住民訴訟/国家賠償・損失補償〕:628頁。

  • 原田大樹『判例で学ぶ法学 行政法(ライブラリ判例で学ぶ法学2)』新世社(2020年12月)……A5判、265頁。

〔ケースブック〕

  • ☆海道俊明・須田守・巽智彦・土井翼・西上治・堀澤明生『精読行政法判例』弘文堂(2023年12月)……「判例の読み解き方を独学で学べる教材」を目指して作られたケースブック。特徴は、①表題判例の主文および理由については全文を掲載していること、②事件当時の関連条文を漏れなく参照できるようにしていること、③関連裁判例のうち重要なものは抜粋を掲載していること、④判例の論理構造を意識させるために、判例文中に波線や下線等の書込みを施し、⑤さらに、側注で論証の流れを表現していること、⑥すべての表題判例に論理構造図を付していること、⑦各項目の末尾に設問を付していること、等が挙げられる(以上、はしがき)。これ以上の教材はないという安心感はあるが、反面、読者は必要な箇所を取捨選択することが求められる。表題判例は全66件。B5判、646頁。

  • 稲葉馨・下井康史・中原茂樹・野呂充編『ケースブック行政法』弘文堂(2022年4月・第7版)……弘文堂のケースブックシリーズで、最も出来が良いとされている。全国の行政法学者が総力を結集した判例集。百選よりも判決文が長めに記載されているほか、個別法を適宜載せているので、学習にも便宜である。また、20の主要テーマごとに、判例の流れを概説した各章冒頭の「判例の概観」も良く整理され、まとまっており、使い勝手がよい。収録判例数は約160件。下級審の裁判例も掲載。全19章。A5判、660頁。

〔その他〕

  • 山本隆司『判例から探究する行政法』有斐閣(2012年12月)……比較的最近の最高裁判例30件の解説・評釈という形をとりながら、行政法全般にわたり、2004年行政事件訴訟法改正以降の最高裁判例の新動向を分析した著書(法学教室連載の単行本化)。関連判例も含めれば、判例集なみの判例数を紹介している。内容は、非常に高度で難解。著者が新たに発見した些末な論点についても詳しく説明されているので、読者にとっては情報を取捨選択してメリハリをつけて読むことが求められる。事案の分析能力は養われるかもしれないが、司法試験に合格するためにはオーバースペックであるし、やや古くなった。A5判、654頁。

  • 亘理格・北村喜宣編著『重要判例とともに読み解く 個別行政法』有斐閣(2013年4月)……A5判、498頁。

  • 高橋滋・石井昇編、大久保規子ほか著『判例ナビゲーション 行政法』日本評論社(2014年2月)……A5判、224頁。

  • 山村恒年編著『実践 判例 行政事件訴訟法』三協法規出版(2008年2月)……A5判、464頁

  • 宇賀克也『判例で学ぶ行政法』第一法規(2015年7月)……雑誌「自治実務セミナー」連載記事をテーマ別に再構成。行政法を理解するうえで欠かせない代表的な判例について解説。A5判、384頁。

  • 岡田正則・榊原秀訓・本多滝夫編著『判例から考える行政救済法』日本評論社(2019年9月・第2版)……A5判、296頁。


【演習書】

  • 曽和俊文・野呂充・北村和生編者『事例研究行政法』日本評論社(2021年8月・第4版)……行政法の演習書の決定版。良質の長文事例問題に丁寧な解説を付している。ロースクールで実際に試験に出題した問題を集めていることもあり、学生の誤解や間違いの多かった箇所についての指摘をしていることが、特徴的である。第3版では、全体の半数以上を新規の問題にし、ミニ講義も1本追加。第1部に「ウォーミングアップ」を入れ、全体的に当てはめをより丁寧にした。第4版の改訂概要は、日本評論社参照。A5判、560頁。

  • ☆中原茂樹『基本行政法判例演習』日本評論社(2023年1月)……A5判、472頁。

  • 土田伸也『基礎演習 行政法』日本評論社(2016年3月・第2版)……行政法の初学者向け事例演習・解説書。書名のとおり、基礎的な問題を扱っている。A5判、312頁。

  • 土田伸也『実戦演習 行政法 予備試験問題を素材にして』弘文堂(☆2022年10月・第2版)……司法試験予備試験論文式問題(平成23年から令和3年まで)を素材にした予備試験行政法対策本。参考答案例あり。A5判、336頁。

  • 大貫裕之・土田伸也『行政法 事案解析の作法(法セミ LAW CLASS シリーズ)』日本評論社(2016年3月・第2版)……法学セミナーの連載を書籍化したもの。法科大学院・司法試験対応の事例演習書。A5判、384頁。

  • 大島義則『行政法ガール』『同II』法律文化社(2014年7月、2020年10月)……ラノベ形式で平成18年から25年までの司法試験の過去問を解説。IIは平成26年から令和元年までの過去問を解説。A5判、270頁・232頁。

  • 北村和生・深澤龍一郎・飯島淳子・磯部哲『事例から行政法を考える(法学教室ライブラリィ)』有斐閣(2016年7月)……法学教室の連載を単行本化した長文事例問題集。各事例の解説の前に各事例で問われている論点(「CHECK POINT」)、末尾に「関連問題」とその「COMMENT」が新たに収録されている。上掲の『事例研究行政法』と比較すると、完成度は見劣りするとの声もある。A5判、458頁。

  • 石森久広『ロースクール演習 行政法』法学書院(2015年8月・第2版)……24問収録。解答例あり。A5判、448頁。

  • 石森久広『基本演習 行政法』法学書院(2016年4月)……巻末には「解答例」も掲載。全30項目。A5判、384頁。

  • 原田大樹『演習 行政法』東京大学出版会(2014年3月)……初歩から応用まで段階的に論述問題の書き方を修得できるように工夫されている。A5判、516頁。

  • ☆原田大樹『ファーストステップ 演習 行政法』東京大学出版会(2023年4月)……現考査委員(R7)による演習書。本書に対しては、興津征雄教授が、法学セミナー2023年12月号102-103頁・書評「もっと正確で解像度の高い説明を」において、痛烈な批評をしている。がんばれ、考査委員大樹さん。A5判、272頁。

  • 亘理格・大貫裕之編『Law Practice 行政法』商事法務(2015年10月)……Law Practiceシリーズの他の科目に比べて、解説を読んでも答案が見えてくるようなものが少なく、また、担当した学者によって解説の質にばらつきがある。内容としても高度な点があり、初学者が答案の基礎を学ぶことには適さない。全29テーマを収録。A5判、312頁。

  • 高木光・高橋滋・人見剛『行政法事例演習教材』有斐閣(2012年4月・第2版)……B5変型判、238頁。

  • 吉野夏己『紛争類型別 行政救済法』成文堂(2012年7月・第3版)……実務家教員による演習書。紛争類型別となっているので具体的紛争類型をイメージしやすい。A5判、578頁。

  • 新山一雄『新版・ゼミナール行政法』法学書院(2008年3月・第2版)……全9章、全55講。A5判、256頁。

  • 桜井昭平・西牧誠編『演習ノート行政法』法学書院(2005年6月・第5版)……全110問。A5判、240頁。-リスト

  • 兼重直樹『設例解説 実務環境法』民事法研究会(☆2025年2月)……筆者は司法試験合格者で環境省官僚。タイトルは環境法ではあるものの、行政法試験問題において頻出の参照法令(アセス法、土対法、廃掃法など)の学習を真正面から取り組みたい場合に有用。司法試験環境法の過去問がモチーフではあるが、行政法のトレーニングにも繋げられよう(ただし、問題文に参照条文として付されていない点に留意。)。判例をモチーフにした事例問題は最高裁調査官解説を踏まえた記載。勉強方法や試験合格のアドバイスが掲載されているほか、「環境法・論点カード」が付録として収録されている。全9章。A5判、438頁。

(古典)
  • 室井力・市橋克哉編『基礎演習行政法(基礎演習シリーズ)』有斐閣(1993年2月)……「法学教室」の演習欄に連載されたものに書き下ろしを加えて体系的にまとめられたもの。全60項目。四六判、320頁。

  • 塩野宏・原田尚彦『演習行政法(法学教室選書)』有斐閣(1989年4月・新版)……四六判、276頁。


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