刑事実務


【刑事事実認定】

  • 石井一正『刑事事実認定入門』判例タイムズ社(2015年7月・第3版)……元刑事裁判官による刑事事実認定テキスト。この分野において最初に読むべき本であろう。第Ⅰ部は、事実認定の基礎を、第Ⅱ部は、事実認定の方法を扱う。全8章。A5判、181頁(本文170頁)。

  • 植村立郎『実践的刑事事実認定と情況証拠』立花書房(2020年9月・第4版)……元刑事裁判官による著作。刑事事実認定にも要件事実的思考が有用であるとする論文及び情況証拠に関する論文からなる。第3版(2016年6月)は、刑事事実認定概観、刑事裁判における事実認定の2章を書き下ろし。第4版において、下掲『刑事事実認定重要判決50選 上・下』の総論的役割をも果たすこととなった。全5章。判例索引あり。A5判、480頁。
    なお、刑事裁判官志望者にとっては、同著者による「実務現代刑事法(その3)・刑事の裁判に関するワンポイントアドヴァイス集」(判例タイムズ1345号74頁、植村立郎『骨太実務現代刑事法・上』法曹会(2021年2月)219頁にも収録。)も有用である。

  • ☆植村立郎『続・骨太実務現代刑事法(骨太シリーズ4)』法曹会(2023年11月)……平成期の最高裁判例(判例時報連載の「最高裁刑事破棄判決の実情」などが情報源)につき、(1)事実認定を直接の対象としているもの、(2)法解釈を示したものであっても事実認定に関係するもの、(3)事実認定をする前提となる証拠能力に関するもの、(4)刑事事件だけでなく、再審事件、医療観察事件、少年事件も事実認定と関係するもの、と体系立てして、著者がコメントを付して概観した著作。著者の喜寿記念作。A5判、740頁。

  • 植村立郎編『刑事事実認定重要判決50選 上巻・下巻』立花書房(2020年3月・第3版)……判例タイムズ社の方が改訂されないまま古くなったので、現在はこちらが代表格である。なお、第2版(2013年10月)まで編者の1人であった小林充は2013年に逝去。重要論点に関する重要判例を多数収録しており、そこにおける判例の準則やあてはめの指針を見極めるうえで、非常に有益。司法試験対策にも直結するので、受験生も読むべき本である。第2版(2013年10月)では8項目追加、対象判例の変更・執筆者変更15項目(全63項目)。第3版では新たに21項目が追加され全84項目になり、それに伴いページ数も大幅に増加した。全3編、全84項目。A5判、768頁・784頁。

  • 小林充・香城敏麿編『刑事事実認定-裁判例の総合的研究-上・下』判例タイムズ社(1992年9月、1992年11月)……判例タイムズ「事実認定に関する裁判例の総合的研究」(全26回)連載を書籍化したもの。執筆者はいずれも裁判官。刑事事実認定の基本的文献。なお、編者の小林充は2013年に逝去。絶版。A5判、477頁・488頁。

  • 木谷明編著『刑事事実認定の基本問題 木谷明先生古稀記念出版』成文堂(2015年11月・第3版)……刑事事実認定の基本テーマ15題を解説。修習生は是非とも読んでおきたいところである。出版社品切れ。A5判、574頁。

  • 木谷明『刑事裁判の心 事実認定適正化の方策』『事実認定の適正化 続・刑事裁判の心』『刑事事実認定の理想と現実』『刑事裁判のいのち』法律文化社(2004年7月・新版、2005年7月、2009年8月、2013年8月)……元刑事裁判官による著作。調査官時代の論文、講演録、小論等からなる。いずれも冤罪防止という観点から論じられており、刑事裁判に関わる者ならば必読。特に前三者は木谷事実認定三部作と呼ばれる。A5判、296頁・310頁・252頁、四六判、180頁。
    同著者による『違法捜査と冤罪-捜査官! その行為は違法です。』日本評論社(2021年10月、四六判、264頁)も参照されたい。

  • 大阪刑事実務研究会「事実認定の実証的研究(1)-(13)」(判例タイムズ227-322号)……刑事事実認定に関する古典的文献。

  • 司法研修所編『自白の信用性』『情況証拠の観点から見た事実認定』『共犯者の供述の信用性』『犯人識別供述の信用性』法曹会(1991年7月、1994年5月、1996年7月、1999年6月)……刑事事実認定に関する司法研究報告書全4部作。なお、『自白の信用性』については、再審無罪が確定した布川事件(自白の信用性を否定)を自白の信用性を判断する一事例として掲げているという難点(本書を利用するにあたって)がある。A5判、280頁・612頁・404頁・408頁。

  • 原田國男『逆転無罪の事実認定』勁草書房(2012年7月)……量刑法の第一人者である元刑事裁判官による著書。I 刑事裁判へのメッセージ(えん罪を防ぐ審理のあり方、控訴審における審理のあり方、刑事裁判の魅力)、II 逆転裁判の事実認定(自身が担当した控訴審で逆転無罪となった20件16事例の判決文とその解説)。A5判、264頁。
    なお、同著者の一般人向けの著作として『裁判の非情と人情(岩波新書)』がある。

  • 菊地幸夫『新司法試験 LIVE刑事事実認定特訓講座―刑事系論文演習問題集』『続・LIVE刑事事実認定特訓講座』辰已法律研究所(2008年10月、2010年2月)……元司法研修所(刑事弁護)教官による著作。A5判、209頁・222頁。

  • 中川孝博『刑事裁判・少年審判における事実認定 証拠評価をめぐるコミュニケーションの適正化』現代人文社(2008年12月)……全13章。A5判、304頁。

  • 丸山輝久『判例を基にした刑事事実認定の基礎知識』現代人文社(2011年12月)……入門的教科書。全8章。B5判、544頁。
    同著者による『55の再審裁判事例から誤判の原因を探る-有罪率99.9%に潜む冤罪の危険』現代人文社(2021年7月、A5判、964頁)も参照されたい。

  • 髙森高德『Q&A 実例 捜査における事実認定の実際』立花書房(2014年4月・第2版)……捜査における事実認定に関し、認定の在り方、各種証拠の検討の在り方、個別犯罪認定上の問題等を解説。第2版において、供述の信用性に関する問題が追加等された。全110問。A5判、248頁。

  • 門野博『白熱・刑事事実認定 -冤罪防止のハンドブック-』青林書院(2017年10月)……元刑事裁判官が刑事事実認定が問題となった裁判例を素材に、A弁護士とB弁護士(いずれも架空)の対談形式で検討を加え、さらに著者の研究ノートを付すスタイル。全10講。A5判、280頁。
    同著者による『刑事裁判は生きている-刑事事実認定の現在地』日本評論社(2021年4月、A5判、340頁)も参照されたい。

  • 最高裁判所事務総局刑事局監修『自白の任意性・信用性に関する刑事裁判例集』司法協会(1997年9月)……絶版。

  • 守屋克彦『自白の分析と評価─自白調書の信用性の研究』勁草書房(1988年12月、OD版:2005年4月)……(元)刑事裁判官による著作。なお、著者は2018年に逝去。A5判、394頁。
    なお、同著者の自伝として、守屋克彦・著、石塚章夫、竹内謙治・インタビュアー『守柔-現代の護民官を志して(ERCJ選書)』日本評論社(2017年4月、四六判、296頁)がある。

  • 渡部保夫『無罪の発見─証拠の分析と判断基準─』勁草書房(1992年3月)……(元)刑事裁判官による著作。なお、著者は2007年に逝去。A5判、448頁。
    なお、同著者による一般人向けの著書(刑事裁判入門)として『刑事裁判を見る眼(岩波現代文庫)』岩波書店(2002年8月、A6判、280頁)、『刑事裁判ものがたり(JLF選書)』日本評論社(2014年6月、四六判、210頁)がある。

  • ☆吉弘光男・宗岡嗣郎編『犯罪の証明なき有罪判決 23件の暗黒裁判』九州大学出版会(2022年2月)……A5判、320頁(評価待ち)。


【刑訴法実務書】

  • 渡辺弘・谷口安史・中村心・髙原知明・下津健司・江口和伸『民事裁判実務の基礎/刑事裁判実務の基礎』有斐閣(2014年6月)……法学教室の連載「民事裁判実務講座」「刑事裁判実務講座」に、渡辺弘による「民事裁判の流れ」(同誌381号掲載)を加えて単行本化したもの。裁判官が執筆している。まずはここから。全6・6講。A5判、250頁。

  • 司法研修所検察教官室編『検察講義案』法曹会(☆2020年3月・平成30年版)……司研テキスト(白表紙)。隠れた名著。予備試験の刑事実務や口述対策に役立つという声もある。全8章。A4判、252頁。

  • 司法研修所編『刑事判決書起案の手引』法曹会(2007年6月・平成19年版)……司法修習生の判決起案の参考として作られたもの。全5章。A5判、152頁。

  • 石丸俊彦・仙波厚ほか『刑事訴訟の実務上下』新日本法規出版(2011年3月・3訂版)……普通に基本書として使われることもある。A5判、1510頁。

  • 石井一正『刑事実務証拠法』判例タイムズ社(2011年11月・第5版)……元裁判官による実務書。証拠法の分野では他の追随を許さない。実務家必携本。A5判、600頁。

  • 大阪刑事実務研究会『刑事公判の諸問題』判例タイムズ社(1989年8月)、『刑事実務上の諸問題』(1993年12月)、『刑事証拠法の諸問題上下』(2001年4月)……関西の刑事裁判官による論文集。絶版。

  • 法曹会編『刑事裁判書集 上・下』法曹会(1984年3月、1985年5月)……刑事裁判書事例集

  • 門野博『裁判員裁判への架け橋-刑事裁判ノート』判例タイムズ社(2012年10月)……元裁判官が自身が担当した高裁刑事事件について解説したケースブック(裁判例も収録)。判例タイムズ連載に、布川事件、少年事件編を追補して単行本化したもの。裁判官志望者は必読。絶版。A5判、398頁。

  • 虎井寧夫『令状審査・事実認定・量刑-刑事裁判官の思索と実践』日本評論社(2013年9月)……元刑事裁判官が簡裁裁判官の研修用にまとめた令状審査、事実認定、量刑に関するQ&A集。特に令状審査に関する文献はあまりないだけに貴重。任官希望者はもちろん刑事弁護人志望者にも役立つだろう。A5判、340頁。

  • 佐藤嘉彦『刑事裁判覚書―裁かば裁かれん 念ずれば花ひらく』成文堂(2014年3月)……同志社ロー教授(元裁判官)による刑事論文集。第1章・事実認定論、第2章・量刑論が読みどころ。古今東西の文献を参照しつつ自らの裁判経験に基づく事実認定論、刑の量定論を展開しており参考になるし、読み物としておもしろい。A5判、328頁。

  • 裁判所職員総合研修所監修『刑事実務(公判準備等) 講義案』司法協会(2017年6月・5訂版)……B5判、474頁(本文455頁)。

  • 裁判所職員総合研修所監修『公判手続と調書講義案』司法協会(2018年6月・3訂補訂版)……B5判、436頁(本文400頁)。

  • 三好一幸『略式手続の理論と手続』『刑事公判の理論と実務』司法協会(2017年12月・第2版、2019年6月・第2版)……簡裁判事による刑事手続マニュアル本。B5判、172頁(本文141頁)・222頁。

  • 前田雅英編著、青木英憲・藤井俊郎・丸山哲巳・峰ひろみ著『刑事訴訟実務の基礎』弘文堂(2017年3月・第3版)……法科大学院での必修科目「刑事訴訟実務の基礎」用のテキスト。記録篇と解説篇からなる2分冊。第2版(2013年3月)では、文書を作成する作業を学ぶ手がかりとなる「発展課題」が加えられ、第3版では、旧版(2013年3月・第2版)以降の法改正や判例の動向が踏まえられ、さらに、予備試験における具体的出題も意識した設問や解説が加えられ、予備試験対策がより強化された。解説篇は全15講。A5判、532頁。(評価待ち。)

  • 司法研修所刑事裁判教官室編『プラクティス刑事裁判』法曹会(2019年1月・平成30年版)……本書は、司法研修所の教材として用いられている「プラクティス刑事裁判」とその別冊を合冊したもの。これらの教材は、「当事者及び裁判所は、公判前整理手続においてどのように争点及び証拠を整理し、公判手続において何をなすべきなのだろうか。本書は、これからの司法を担う修習生に、これらの点を考えてもらうために作成したものである。」(「はしがき」より)というコンセプトのもと、司法修習生に提供されているもの。平成30年版において、旧版(2015年6月)以降の刑訴法の改正等を踏まえて改訂された。全5章。A4判、176頁。

  • 司法研修所刑事裁判教官室編『プロシーディングス刑事裁判』法曹会(2019年1月・平成30年版)……『プラクティス刑事裁判』を参照しつつ、第一審刑事裁判手続の流れについて復習してもらうために作成されたものである。というコンセプトのもと、司法修習生に提供されているもの(はしがき)。レジュメ調。平成30年版において、旧版(2016年11月)以降の刑訴法の改正等を踏まえて書き改められたうえ、著名な裁判例を踏まえた「Q」を、その裁判例で問題となった手続時点の箇所に加筆され、刑訴法上の問題が手続のどの段階で生じ得るのかの理解に資するように工夫がなされた。全5章。A4判、124頁。

  • 髙嶋智光編集代表、園原敏彦・清野憲一編集委員『新時代における刑事実務』立花書房(2016年12月)……裁判所、検察庁、法務省矯正局、同省保護局などの刑事司法の最前線で活躍する方々に、その最前線の知見を紹介していただくという企画(はしがき)。3編構成で21論文を収録。A5判、512頁。

  • 椎橋隆幸監修、寺本吉男・大野勝則・山上秀明編著『実務家に必要な刑事訴訟法―入門編』弘文堂(2018年7月)……A5判、224頁。

〔令状実務〕

  • 新関雅夫・佐々木史朗ほか『増補 令状基本問題 上・下』判例時報社(2002年9月、原著1996年6月、1997年2月)……捜査法の実務的な論点について一行問題・簡単な事例問題の形式で実務家が解説。一粒社倒産のため、判例時報社が引き継いだ。ほぼここにしか書かれていない論点が出題されたこともある(平成23年度刑訴の準現行犯逮捕)。A4判、472頁・383頁。

  • 高麗邦彦・芦澤政治編『令状に関する理論と実務I・II(別冊判例タイムズ34・35号)』判例タイムズ社(2012年8月、2013年1月)……令状に関する実務上の問題202問について実務家(ほとんどは裁判官または元裁判官)が解説。全2冊(I 総論・逮捕・勾留:109問、II 保釈・鑑定留置等・勾引・捜索・差押え・検証等・準抗告・抗告:93問)。上記『令状基本問題』の実質的な後継本。B5判、244頁・216頁。

  • 三好一幸『令状審査の理論と実務』司法協会(☆2024年4月・第3版)…B5判、244頁。

  • 恩田剛『逮捕勾留プラクティス』『捜索差押等プラクティス』司法協会(2018年9月、2020年10月)……書記官から副検事・検事に転じた後、簡裁判事に任官した異色の経歴を持つ著者による令状実務マニュアル本。A5判、228頁(本文214頁)、272頁(本文252頁)。

  • 田中康郎監修、安東章・河本雅也・河原俊也・鈴木巧編『令状実務詳解』 立花書房(☆2023年4月・補訂版)……執筆者は100名を超える裁判官。ということで内容は玉石混交で、『令状基本問題』や『令状に関する理論と実務』に取って代わるほどのものではない。補訂版は少年法改正を反映。A5判、1408頁。

〔刑事控訴審実務〕

  • 小林充『刑事控訴審の手続及び判決書の実際』法曹会(2000年6月)……元裁判官による控訴審判決書作成マニュアル書。控訴審弁護人にとっても有用。なお、著者は2013年に逝去。A5判、204頁。

  • 石井一正『刑事控訴審の理論と実務』判例タイムズ社(2022年7月・第2版)……元裁判官による刑事控訴審実務書。全10章+付章。A5判、552頁(本文494頁。)


【刑事弁護】

  • 岡慎一・神山啓史『刑事弁護の基礎知識』有斐閣(2018年12月・第2版)……同名の法教連載の書籍化したもの。著名な刑事弁護士がケース・セオリー理論(本当は何が起こったかについての論理的で説得的なストーリーを積極的に主張・立証していく弁護方針)を柱に、刑事弁護「技術」の基礎になる「考え方」を分かりやすく解説した著書。(刑事)弁護活動の限界に1章を設けているのも特徴の一つ。修習生、刑事弁護人は必読。第2版において、刑事弁護における重要なテーマである「量刑弁護」について新たな編が設けられた。全5部、全22章。A5判、310頁。

  • 高野隆・河津博史編著『刑事法廷弁護技術』日本評論社(☆2024年6月・第2版)……A5判、396頁。

  • 『刑事弁護ビギナーズ』現代人文社(2019年3月・ver.2.1)……季刊刑事弁護増刊。刑事弁護のいろはを学ぶ本。実務家になったら、最初に参照する本。実務で使える書式・資料集を収録したDVDも付属しており、至便。ver.2.1は、ver.2(2014年9月)に刑訴法改正に伴う変更が加筆されるとともに、従前の内容についてもよりわかりやすくするための修正が加えられたもの。B5判、268頁。
    なお、少年事件に特化した姉妹書として、『少年事件ビギナーズ』(2023年10月・ver.2.1、B5判、264頁)がある。

  • 東京弁護士会刑事弁護委員会編『新・実践刑事弁護 昇平弁護士奮闘記』現代人文社(2018年12月・第2版)……刑事弁護の入門書。『実践刑事弁護』(国選弁護編)と(当番弁護編)を合本した著書。とりわけ東京地裁における運用に詳しい。A5判、212頁。

  • 第一東京弁護士会刑事弁護委員会編『国選弁護活動の手引き 公判前整理手続編』『同 上訴審編』第一東京弁護士会(2018年3月、2020年11月・第3版)……公判前整理手続、上訴審国選弁護のマニュアル本。A5判、135頁、83頁。なお、本書に関連して、植村立郎「講演:上訴審弁護について-第一東京弁護士会刑事弁護委員会編「国選弁護活動の手引き上訴審編」(以下「手引き」という。)の紹介を兼ねて 」『学習院法務研究』第8号79-113頁(2014年3月)(学習院大学リポジトリからDL可能。)、同「上訴審における刑事弁護について」『東京大学法科大学院ローレビュー』第12号67-85頁(2017年11月)(ウェブでDL可能)も参照されたい。

  • 東京弁護士会法友全期会刑事弁護研究会編『新・刑事弁護マニュアル-手続の勘所と実践知』ぎょうせい(2022年2月)……A5判、512頁。

  • 宮村啓太『事例に学ぶ刑事弁護入門―弁護方針完結の思考と実務』民事法研究会(2018年2月・補訂版)……「最善努力義務」を果たすための思考とノウハウを書式等豊富な資料を織り込み解説したもの。補訂版において、刑の一部執行猶予制度、公判前整理手続に付する請求権等新たな制度が織り込まれた。A5判、214頁。

  • 日本弁護士連合会編『法廷弁護技術』日本評論社(2009年3月・第2版)……裁判員制度をふまえた日弁連公式の弁護技術テキスト。修習生以上なら必携。しかし、著者は、概ね研修所教官と世界観を異にしている。全14章。A5判、308頁。

  • 日本弁護士連合会編『裁判員裁判における弁護活動─その思想と戦略』日本評論社(2009年1月)……上記「法廷弁護技術」の続編。自由と正義連載の単行本化。公判前整理手続についての解説は特に詳しく、「証拠開示の最前線」と題する章は司法試験受験生にも役立つだろう。修習生以上必携。全16章。A5判、244頁。

  • 櫻井光政『刑事弁護プラクティス-新人弁護士養成日記』、『同2』現代人文社(2013年9月、2020年12月)……雑誌季刊刑事弁護連載「桜丘だより」の単行本化。桜丘法律事務所における若手弁護士の刑事弁護事件の執務内容を日記形式で記録したもの。実際の刑事弁護事件の事例が豊富であり、その丁寧な事件処理方針についてはとても参考になる。修習生・刑事弁護人必読。四六判、254頁、296頁。

  • 『刑事弁護フロンティア 季刊刑事弁護新人賞全作品(2004-2015)』現代人文社(2015年9月)……季刊刑事弁護新人賞の歴代の最優秀賞、優秀賞、特別賞の受賞作品(刑事弁護レポート)をまとめたもの。修習生・刑事弁護士必読。B5判、233頁。

  • 東京弁護士会春秋会編『実践 訴訟戦術[刑事弁護編]-やっぱり弁護士は悩んでいる』民事法研究会(2016年2月)……新人・若手・中堅・ベテラン弁護士の座談会形式で刑事弁護にまつわる戦術的視点を詳解。全10章。A5判、391頁。

  • 三木祥史ほか著『ベーシック刑事弁護実務』三協法規出版(2016年2月)……元司法研修所刑事弁護教官(及び所付)弁護士による実務入門書。そのため上訴審の弁護活動については割愛している。各論点はサマリー形式で冒頭にて重要事項を要約。刑訴法改正案にも対応しており、取調べ可視化制度、司法取引制度、刑事免責制度についても言及しているのが特徴。執筆者(三木祥史・遠藤常二郎・千葉肇・二島豊太・吉田秀康・宮田桂子・中重克巳)。全7章。A5判、420頁。

  • 浦功編著『新時代の刑事弁護』成文堂(2017年9月)……A5判、716頁。

  • 瀨野泰崇、伊藤寛泰編著『こんなときどうする刑事弁護の知恵袋』現代人文社(2021年3月)……刑事弁護実務の初歩的な疑問点をQ&A形式で回答。A5判・176頁。

〔分野別〕

(捜査弁護)

  • 大阪弁護士会刑事弁護委員会編『捜査弁護の実務』大阪弁護士協同組合(2009年3月・第3版)……書式集CD-ROM付き。A4判、385頁。

  • 服部啓一郎・深澤諭史・淺井健人編著『先を見通す捜査弁護術』第一法規(2018年2月)……捜査弁護(起訴前弁護)に特化した内容。刑事事件の弁護活動において、捜査弁護段階で弁護士として押さえておくべき知識とノウハウをテーマ別に解説。執筆者(髙木小太郎・後藤晃輔・菱沼秀樹)。A5判、416頁。

(勾留理由開示)

  • ☆戸舘圭之編、斎藤司・津金貴康・渕野貴生・水谷恭史・水野智幸編著『勾留理由開示を活かす-勾留理由開示の理論と実務(GENJIN刑事弁護シリーズ)』現代人文社(2025年3月)……勾留理由開示に特化した内容、A5判、256頁。

(保釈実務)

  • 丹治初彦編、丸田隆・春日勉・斎藤司著『保釈-理論と実務』法律文化社(2013年7月)……保釈実務に関する記載が詳しい。罪名ごとの保釈金額調査表が載っている。A5判、210頁。

  • 髙木小太郎・中原潤一編著『事例から掴む 保釈請求を通す技術』第一法規(2021年8月)……保釈請求に特化した内容。A5判、224頁。

  • 愛知刑事弁護塾編『保釈を勝ち取る-90事例の裁判理由からみる傾向と対策(GENJIN刑事弁護シリーズ28)』現代人文社(2021年12月)……保釈に特化した内容。A5判、352頁。

(公判弁護)

  • 大阪弁護側立証研究会編『実践!弁護側立証』成文堂(2017年6月)……刑事弁護における弁護側立証に特化した内容となっている。全5章。B5判、244頁。

  • 後藤昭監修、K-Ben NextGen編著『伝聞証拠との向き合い方と弁護技術』第一法規(2024年12月)……伝聞証拠に対する対応に特化した内容。A5判、220頁。

(否認事件弁護)

  • 後藤貞人編著『否認事件の弁護——その技術を磨く 上下』現代人文社(2023年4月)……「最高の否認弁護技術」を70のQ&Aで論じた著作。A5判、346頁・354頁。

(情状弁護)

  • 『情状弁護アドバンス』現代人文社(2019年10月)……季刊刑事弁護増刊。B5判、224頁。

(上訴審弁護)

  • 植村立郎監修、岡慎一・神山啓史編『刑事上訴審における弁護活動』成文堂(2016年3月)……全83問のQ&A方式で刑事上訴審弁護につき経験豊富な刑事弁護士が解説し、監修者が裁判官視点からのコラムを付すというスタイル。刑事弁護人必読。A5判、254頁。

(外国人弁護)

  • 大木和弘・金竜介・児玉晃一・関聡介『外国人刑事弁護マニュアル』現代人文社(2014年8月・改訂第3版)……A5判、196頁。

(被害者対応)

  • 兵庫県弁護士会「実践犯罪被害者支援と刑事弁護」出版委員会編著『実践 犯罪被害者支援と刑事弁護-弁護士による被害者支援と刑事弁護人の対応』民事法研究会(2015年7月)……兵庫県弁護士会において刑事弁護人と被害者参加弁護士により共同で開催された「刑事弁護実務と犯罪被害者支援」研修会の成果を書籍化した珍しい著作。刑事弁護の観点からみても被害者保護法制の内容を知る上で有用である。

〔刑事弁護人〕

  • 木谷明編集代表、趙誠峰・吉田京子・高山巌編『憲法的刑事弁護 弁護士高野隆の実践』日本評論社(2017年7月)……A5判、392頁。

  • 神山啓史編著、『五・七・五で伝える刑事弁護』刊行委員会編集協力『五・七・五で伝える刑事弁護-その原点と伝承』現代人文社(2019年10月)……著名な刑事専門弁護士である著者が5・7・5で刑事弁護の技術と精神を説く第1部、座談会とインタビューからなる第2部で構成。現在の刑事弁護修習カリキュラムの概要を知ることができる資料〔第3章(座談会)司法研修所の刑弁教育改革を振り返る〕としても有用。A5判、264頁。

  • ☆神山啓史編著、神山啓史弁護士の弁護の「技」を伝承する会編『神山啓史流あきらめない弁護術-伝承していく刑事弁護』現代人文社(2025年3月)……A5判、252頁。

〔古典〕

  • 佐藤博史『刑事弁護の技術と倫理─刑事弁護の心・技・体』有斐閣(2007年5月)……刑法学者藤木英雄の元助手である弁護士による著書。刑事弁護のスピリットを伝える。A5判、410頁。

  • 大出良知・高田昭正・神山啓史・坂根真也編著『刑事弁護』現代人文社(2009年10月・新版)……刑事弁護にまつわる51テーマにつき、問題の所在、弁護活動のポイント、理論上のポイントを解説。神山啓史弁護士の裁判員裁判Columnも参考になる。新版において、裁判員裁判など新制度にも対応できるよう配慮された。 B5判、211頁。

  • 三木祥史『Q&A類型別刑事弁護の実務』新日本法規出版(2010年3月・改訂)……元刑事弁護教官による著書。A5判、638頁。

  • 大木孝『和光だより-刑事弁護教官奮闘記』現代人文社(2010年10月)……刑事弁護教官(弁護士)が横浜弁護士会のメーリングリストに寄稿した「和光だより」を書籍化したもの。司法研修所の刑事弁護科目に関する解説内容が充実しており、図表を用いてわかりやすく説明されている。
    ただし、現在は本書執筆当時から刑事弁護カリキュラムが大幅に改訂されていることに注意が必要である。現在のカリキュラムについての概略:ダニエル(藤田充宏)・裁判員裁判レポート。A5判、215頁。

  • 庭山英雄・荒木和男・合田勝義編著『実務 刑事弁護と証拠法』青林書院(2011年5月)……全9章。A5判、536頁。

  • 東京弁護士会法友全期会刑事弁護研究会編『刑事弁護マニュアル』ぎょうせい(2012年3月・全訂)……犯罪被害者への対応、外国人・少年事件の弁護など、効果的な弁護を実現するための留意点を随所に解説。A5判、306頁。

  • 山内久光『Q&A刑事弁護の理論と実践-実務における基本的思想』日本加除出版(2012年10月)……元刑事弁護教官である弁護士が公判前整理手続・裁判員裁判時代における刑事弁護の標準を明らかにした著書。刑事弁護人であれば必読。A5判、404頁。

  • 荒木和男ほか編著『はじめての刑事弁護Q&A実務書式58』青林書院(2013年5月)……東弁刑事弁護委員会の有志によるQ&A+書式集。A5判、392頁。

  • 後藤昭・高野隆・岡慎一編著『実務体系 現代の刑事弁護〔全3巻〕』第一法規(2013年9月-2014年9月)……第1巻:弁護人の役割、第2巻:刑事弁護の現代的課題、第3巻:刑事弁護の歴史と展望。A5判、434頁・472頁・448頁。


【裁判員裁判・公判前整理手続】

  • 司法研修所編『裁判員裁判における第一審の判決書及び控訴審の在り方』法曹会(2009年4月)……平成19年度司法研究報告書。A5判、142頁。なお、控訴審の運用については、東京高等裁判所刑事部陪席裁判官研究会(つばさ会)「裁判員制度の下における控訴審の在り方について」(判タ1288号5頁)、東京高等裁判所刑事部部総括裁判官研究会「控訴審における裁判員制度の審査の在り方」(判タ1296号5頁)もチェックすべし。

  • 司法研修所編『裁判員制度の下における大型否認事件の審理の在り方』法曹会(2008年4月)……平成18年度司法研究報告書。A5判、352頁。

  • 司法研修所編『難解な法律概念と裁判員裁判』法曹会(2009年4月)……司法研究報告書。「裁判員に分かりやすい審理の実現のために、専門用語の平易化という道を選ぶのではなく、各用語・法律概念の本当に意味するところを、刑事法に関するこれまでの研究成果と裁判例を分析することによって検討し、これを裁判員に伝えるための説明方法を考えようとする」司法研究。A5判、304頁。

  • 司法研修所編『科学的証拠とこれを用いた裁判の在り方』法曹会(2013年3月)……平成22年度司法研究報告書。A4判、156頁。

  • 司法研修所編『裁判員裁判において公判準備に困難を来した事件に関する実証的研究』法曹会(2018年11月)……平成27年度司法研究報告書。A4判、160頁。

  • 司法研修所編『裁判員裁判と裁判官-裁判員との実質的な協働の実現をめざして』法曹会(2019年11月)……司法研究報告書。間接事実からの総合判断について「意味合い・重み」という概念を提唱。A4判、188頁。

  • 大阪刑事実務研究会「裁判員裁判における法律概念に関する諸問題」(判例タイムズ1350号-連載中)……上記『難解な法律概念と裁判員裁判』の難解概念研究のアプローチをも参考にしながら、裁判員裁判において争点となることが想定される法律概念や論点について、実際の裁判員裁判における実例を踏まえつつ、公判前整理手続や審理、評議の在り方等について研究する連載。全14回を予定。

  • 酒巻匡編著『刑事証拠開示の理論と実務』判例タイムズ社(2009年11月)……公判前整理手続における証拠開示を題材とした論文集。多数の未公刊裁判例を収録しており参考になる。絶版。

  • 大阪刑事実務研究会「公判前整理手続に関する諸問題」(判例タイムズ1294-1331号・全16回)……関西の刑事裁判官による共同研究。

  • 大阪弁護士会裁判員制度実施大阪本部編『コンメンタール公判前整理手続』現代人文社(2010年6月・補訂版)……弁護士による公判前整理手続逐条解説。したがって、実務的に受け入れられていない見解が多数あることに注意されたい。A5判、244頁。

  • 落合義和・辻裕教ほか『新法解説叢書21 刑事訴訟法等の一部を改正する法律(平成16年法律第62号)及び刑事訴訟規則等の一部を改正する規則の解説』法曹会(2010年7月)……立案担当者による公判前整理手続等の法律・規則の逐条解説。A5判、542頁。

  • 日本弁護士連合会裁判員本部編『公判前整理手続を活かす(GENJIN刑事弁護シリーズ05)』現代人文社(2011年7月・第2版)……公判前整理手続制度開始後の運用状況を踏まえて全面改訂された日弁連の公判前整理手続(半)公式テキスト。A5判、176頁。

  • 杉田宗久『裁判員裁判の理論と実践』成文堂(2013年12月・補訂版)……元刑事裁判官による著作。A5判、494頁。

  • 庭山英雄・宮﨑大輔・寺崎裕史編著『公判前整理手続の実務』青林書院(2015年1月)……弁護人の側から公判前整理手続を論じた著作。序章(国民の良識を反映させるために)+全22章+資料集は全20点。A5判、302頁。

  • 安廣文夫編著『裁判員裁判時代の刑事裁判』成文堂(2015年5月)……安廣元裁判官の古稀記念論文集。執筆者は裁判官と研究者。A5判、534頁。

  • 山崎学『公判前整理手続の実務』弘文堂(☆2024年10月・第3版)……元刑事裁判官・元慶應ロー客員教授による公判前整理手続の体系書。実務の運用に詳しく、関連判例を詳しく解説しているのが特徴。著者の立場は必ずしも現状追認というわけではなく、立案担当者解説や大コンメンタール刑訴法の見解に異議を申し立てている箇所が少なくない。第3版ではR5刑訴法改正に対応し、刑事裁判のIT化にも言及。全10章。A5判、466頁。

  • 日本弁護士連合会刑事調査室編『起訴前・公判前整理・裁判員裁判の弁護実務』日本評論社(2019年5月)……全4章。A5判、192頁。

  • ☆秋葉康弘『裁判員裁判の実務』恒春閣(2024年7月)……東京地裁の裁判員裁判第1号事件を裁判長として担当した元刑事裁判官による著作。A5判、176頁。

【量刑理論】

  • 原田國男『量刑判断の実際』立花書房(2008年11月・第3版)、『裁判員裁判と量刑法』成文堂(2011年11月)……量刑研究の第一人者である刑事裁判官による二部作。『実際』に収録されている論文はいずれも重要文献だが、とくに「量刑基準と量刑事情」、「量刑判断の実際」は、刑事裁判における標準的な量刑実務を解説したものであり、修習生ならば必読である。A5判、448頁・299頁。

  • 大阪刑事実務研究会編『量刑実務大系 Ⅰ-Ⅴ』判例タイムズ社(I・2011年9月、II・2011年10月、III・2011年11月、IV・2011年12月、V・2013年7月)……判例タイムズに連載された実務家・研究者による共同研究「量刑に関する諸問題」(判例タイムズ1183号-1325号・全26回)を単行本化したもの。第5巻は裁判員裁判該当罪種のうち代表的なものについて、当該罪種において特に重視すべき量刑因子についての類型的研究で書き下ろしで判例を収録したCD-ROM付き (第1巻『量刑総論』、第2巻『犯情等に関する諸問題』、第3巻『一般情状等に関する諸問題』、第4巻『刑の選択・量刑手続』、第5巻『主要犯罪類型の量刑』)。A5判、416頁・376頁・448頁・320頁・352頁。

  • 第一東京弁護士会刑事弁護委員会編『量刑調査報告集』第一東京弁護士会(I・2000年8月、II・2008年8月、III・2010年4月、量刑不当破棄編・2011年3月、IV・2015年3月、V・2018年3月、量刑不当破棄編II・2018年3月)……一弁の「国選弁護結果報告書」を基礎資料として、罪名ごとに量刑その他の関連情報を集めた資料集(現時点で5冊+量刑不当破棄編2冊)。量刑不当破棄編は上訴審における量刑不当による破棄自判事例を集めたもの。刑事弁護人ならば必携。一般書店では市販されていないが、弁護士会館ブックセンターや至誠堂書店などで購入可能。

  • 司法研修所編『裁判員裁判における量刑評議の在り方について』法曹会(2012年10月)……司法研究報告書。裁判員裁判に相応しい量刑評議の在り方、判決書の在り方、審理・公判前整理手続の在り方についての考察。本書の提唱する見解が次第に浸透し、基本的には検察庁やいわゆる刑事弁護士からも支持を得たことにより、自白事件における量刑判断に変化が現われ、最近の第1審の判決書をみると、本書の見解に根ざした判決書の記載が数多く出されるようになったとの評がなされている(山崎学『公判前整理手続の実務』(弘文堂)133頁)。A5判、300頁。

  • 日本弁護士連合会裁判員本部編『裁判員裁判の量刑(GENJIN刑事弁護シリーズ14)』現代人文社(2012年5月)……裁判員裁判における量刑データ集。A5判、688頁。

  • 日本弁護士連合会刑事弁護センター編『裁判員裁判の量刑II(GENJIN刑事弁護シリーズ21)』現代人文社(2017年10月)……上記裁判員裁判の量刑の続編。CD-ROM付き。A5判、216頁。

  • ☆川上拓一編著、濵田毅・清水保彦・吉田秀康・互敦史著『裁判例にみる交通事故の刑事処分・量刑判断』学陽書房(2022年2月)……交通事故刑事事件の量刑判断に特化した内容の書籍。A5判、304頁。


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最終更新:2025年03月28日 20:04
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