民法(債権各論)


【基本書:債権各論】

〔メジャー①〕

  • 潮見佳男著、長野史寛補訂『基本講義債権各論Ⅰ・Ⅱ(ライブラリ法学基本講義)』新世社(Ⅰ 契約法・事務管理・不当利得: ☆2025年3月第4版補訂版、Ⅱ 不法行為法: ☆2025年3月第4版補訂版)…… 通称「潮見イエロー」。ですます調。分量が手ごろかつ要件事実も意識されており、競合する本が少ないため、学部講義の教科書としても圧倒的なシェアを有する。判例・通説の解説が主たる目的である(もっとも、控え目ではあるが判例に反対する立場も多い)本書の情報量は、学部講義+α程度であることから、短答試験で高得点を目指す場合には、適宜、判例集(不法行為→本書の要件と判例との距離につき法教534号67頁以下参照)や情報量の多い本で補完する必要がある。初学者向けの教科書であるため、同著「法律学の森」シリーズと違い、脚注による引用文献の明示はない。第4版で、2017年債権法改正に対応。著者急逝のため、第4版補訂版からは、門下生の長野史寛(京都大学教授)が補訂。「はしがき」(長野)によると、補訂は明らかな誤記修正のほか、本記内では【】、新コラム追記では◎で示される。補訂内容は、芦部憲法と同様に、判例のアップデートなど必要最小限である。「受験新報」2019年12月号特集「合格者が使った基本書」債権各論で1位。全25・15章。2色刷。A5判、432頁・288頁。

〔その他①〕

  • 藤岡康宏・磯村保・浦川道太郎・松本恒雄『民法IV 債権各論(有斐閣Sシリーズ)』有斐閣(☆2023年3月・第5版)……第4版において、平成29(2017)年の民法(債権法)改正に対応。全6章。四六判、548頁。

  • 滝沢昌彦・武川幸嗣・花本広志・執行秀幸・岡林伸幸『新ハイブリッド民法4 債権各論』法律文化社(2018年5月)……『ハイブリッド民法』の2017年民法(債権法)改正対応版。序(債権各論を学ぶにあたって)+全7章。A5判、350頁。

  • 山野目章夫『民法概論4 債権各論』有斐閣(2020年3月)……民法財産編全体を概説するシリーズの第二弾。本巻では契約法序説から不法行為までを扱う。平成29(2017)年民法(債権関係)改正に対応。情報量は必ずしも網羅的ではないが(例えば不法行為の効果論)、論文対策として用いるならばこれで十分だろう。ざっくりイメージを掴むのに向いている。条文索引あり。全17章。A5判、540頁。

  • ☆原田剛『債権各論講義』成文堂(2021年10月)……債権各論の一冊本だが情報量は意外と多い。民法立法史的な記述があること、小フォントのコラム(用語解説・深める・立法小史)が充実していることなどが特徴。事項索引・判例索引あり。全10章。A5判、496頁。

(平成29年債権法改正未対応)
  • 山﨑敏彦『債権法各論講義 要件事実論的アプローチ』成文堂(2013年4月)……著者は『ケースブック要件事実・事実認定』(有斐閣)の編者の一人で、元司法試験考査委員。判例集と要件事実本の要素を内容に取り入れた債権各論の教科書。また、コアカリキュラムにも対応しており、巻末にて本書での対応関係を明記している。A5判、644頁。

  • 笠井修・片山直也『債権各論I——契約・事務管理・不当利得(弘文堂NOMIKAシリーズ4-1)』弘文堂(2008年12月)……無難な出来という評価。通説にはその旨を明記し、有力説は論者名を挙げて解説。判例は比較的長めに引用されており、理解に資する図表もそこそこあるが、要件事実には配慮されていない。NOMIKAの債権各論は潮見イエローと同じ分冊であるため(Iが契約・事務管理・不当利得、IIが不法行為)、潮見イエローが肌に合わない場合の乗り換え先にしやすい(ただし、民法改正に対応していないことには留意する必要がある)。なお、便宜上、「債権各論」のカテゴリーに記載されているが、本書には「不法行為」が含まれていないことに注意。A5判、464頁。

  • 本田純一『債権各論(新・論点講義シリーズ 8)』弘文堂(2010年6月)……全23講。2色刷。B5判、298頁。

  • 織田博子・後藤巻則・執行秀幸・山﨑敏彦『新・民法学4 債権各論』成文堂(2006年5月)……A5判、420頁。

  • 水辺芳郎『債権各論』三省堂(2006年4月・第2版)……コンパクト。文章に難ありという声も。A5判、468頁。

  • 清水元『プログレッシブ民法〔債権各論〕』成文堂(Ⅰ:2012年3月、Ⅱ:2015年2月)…著者は2014年12月に逝去。A5判、314頁・388頁。

(古典)
  • 松坂佐一『民法提要 債権各論』有斐閣(1993年7月・第5版、OD版:2001年7月)……我妻門下。かつての定番書。A5判、394頁。

  • 広中俊雄『債権各論講義』有斐閣(1994年3月・第6版、2刷(1995年11月)にて487頁に項目[196の2]新設あり。)……幾代通、鈴木禄禰とともに「東北大民法三羽烏」と呼ばれた碩学による名著。法社会学的な記述や民法起草過程の解説、判例の引用などが特徴的。A5判、556頁。

  • 水本浩・遠藤浩編『債権各論(青林教科書シリーズ)』青林書院(1993年2月・改訂版)……A5判、348頁。

  • 田山輝明『口述契約・事務管理・不当利得(口述法律学シリーズ)』成文堂(1997年・第2版)……『契約法』(民法講義案Ⅴ)に続いて書かれた口述シリーズの一冊。なお、便宜上「債権各論」の欄に掲載しているが、「不法行為」が含まれていないことに留意されたい。A5判、606頁。


【基本書:契約法】

〔メジャー②〕

  • 中田裕康『契約法』有斐閣(2021年10月・新版)……信頼の体系書。「契約法のおもしろさ」を伝える1冊。執筆期間20年。今般の民法改正によって契約法が一新されたわけではないとの認識から、改正民法を反映してはいるものの、改正民法の解説を直接の目的とするものではなく、改正前民法の解説も併記されている(初版はしがき)。債権総論同様、比較法・歴史的記述も充実している。新版では初版刊行後の文献や判例などを反映。反面、改正前民法の解説はオミットされたので初版も保管しておきたいところ。詳細すぎて通読には向かないが、論点を網羅しバランスの取れた立場で客観的に叙述されている。国家試験・資格試験志望者が辞書的に使うには最善の選択肢。本書の読みどころは、第1部 契約法総論である。序章(民法改正と契約法)+全2部、全18章。A5判、656頁。

〔その他②〕

  • 野澤正充『契約法 セカンドステージ債権法I(法セミLAW CLASS シリーズ)』日本評論社(☆2024年3月・第4版)……法学セミナーの連載をまとめたもの。判例・通説中心で引用文献も厳選。重要判例を本文に織り込む。自説僅少。第3版において、新民法(債権法改正)に完全対応。全2部、全17章。A5判、360頁。

  • 平野裕之『債権各論1 契約法』日本評論社(☆2024年11月・第2版)……初版より平成29(2017)年改正に対応。第2版はシリーズの位置付けを変更し、上級者・実務家をも読者対象とし、大幅増頁している。全5編、全15章。A5判、666頁。

  • 平野裕之『コア・テキスト 民法Ⅴ 契約法』新世社(2018年3月・第2版)……学修につき「コア」となる重要論点の解説に重きを置いたテキスト。A5判、424頁。

  • 山本豊・笠井修・北居功『民法5 契約(有斐閣アルマSpecialized)』有斐閣(2018年4月)……平成29(2017)年民法改正に対応。契約総論の記述が充実しているのが特徴的。全14章。四六判、428頁。

  • 後藤巻則『契約法講義』弘文堂(2017年11月・第4版)……学部およびロースクールの授業用の教科書。設問も付いている。第4版において、債権法改正に対応。正誤表あり。序章(民法典と契約法)+全6章。A5判、480頁。

  • 藤村和夫『新民法基本講義 契約法』信山社(2018年3月)……序論+全2部、全18章。A5変型判、344頁。

  • 潮見佳男『新契約各論I・II(法律学の森)』信山社(☆I:2021年3月、☆II:2021年4月)……同著者による下記『契約各論I——総論・財産権移転型契約・信用供与型契約(法律学の森)』の実質的改訂版。債権法改正に全面対応。新債権総論のコンセプトを引き継いでおり、学生向けの教科書ではなく研究者・実務家向けの本格的体系書となっている。契約不適合責任につきレメディ・アプローチを採用していること、理論面のみならず要件事実もきちんと明記していること、終身定期金契約の解説を省略していること、などが特徴。なお、契約総論については『新債権総論I』に掲載されている。A5変型判、Ⅰ:548頁、Ⅱ:532頁。

  • ☆曽野裕夫・松井和彦・丸山絵美子『民法IV 契約(LEGAL QUEST)』有斐閣(2021年12月)……A5判、446頁。

  • 近江幸治『民法講義V 契約法』成文堂(☆2022年2月)……A5判、384頁。

(平成29年債権法改正未対応)
  • 山本敬三『民法講義IV-1 契約』有斐閣(2005年11月)……契約法の各論点について通説・有力説・判例がレジュメ調に網羅され、各説ごとの要件事実ブロック・ダイアグラムも載っていることが特徴。情報量が多く、辞書向き。全14章。A5判、852頁。

  • 潮見佳男『契約各論I——総論・財産権移転型契約・信用供与型契約(法律学の森)』信山社(2002年1月)……理論の洗練度はかなりのもの。ただし、体系書&潮見語。なお、契約総論は『債権総論I(法律学の森)』にて論じられている。A5変型判、456頁。

  • 平野裕之『民法総合5 契約法』信山社(2007年2月)……判例集も合わせているため、読むのに苦労する。A5変型判、776頁。

  • 半田吉信『契約法講義』信山社(2005年4月・第2版)……最新の学説や消費者契約などにも目配りが利いている。比較法(とりわけ2001年ドイツ債務法現代化法)に詳しい。A5変型判、536頁。

  • 佐藤孝幸『実務 契約法講義(実務法律講義)』民事法研究会(2012年8月・第4版)……全12章。A5判、578頁。

  • 吉田邦彦『契約各論講義録(契約法Ⅱ)』信山社(2016年10月)……A5変型判、290頁。

(古典)
  • 来栖三郎『契約法(有斐閣法律学全集)』有斐閣(1974年9月、OD版:2007年8月)……古典的名著。契約総論はない。A5判、758頁。

  • 三宅正男『契約法 総論・各論(上)(下)(現代法律学全集)』青林書院(1978年2月,1983年3月,1988年10月)……雇用はない。A5判、344頁、548頁、788頁。

  • 石田穣『民法V (契約法)(現代法律学講座)』青林書院(1982年3月)……A5判、472頁。

  • 水本浩『契約法』有斐閣(1995年3月)……著者は1999年に逝去。我妻弟子による体系書。来栖契約法のように大著になりがちな契約法理論を我妻説を中心にまとめあげたもの。名著。A5判、440頁。

  • 平井宜雄『債権各論I上 契約総論(法律学講座双書)』弘文堂(2008年8月)……著者は2013年に逝去。はしがきからして熱い、平井ファン待望の一冊。著者の強い実学志向から、現代的な契約を巡る法現象を直視し、事業者間契約を記述の中心に据えている。そのため、受験生の類はすっかりおいてけぼりとなってしまった。ただし、実務家にとっては非常に示唆的で有用な一冊であるため、合格後に思う存分楽しむとよい。全3章。A5判、276頁。


【基本書:法定債権】

  • 野澤正充『事務管理・不当利得・不法行為 セカンドステージ債権法III(法セミLAW CLASSシリーズ)』日本評論社(☆2024年2月・第4版)……法学セミナーの連載をまとめたもの。判例・通説中心。自説僅少。第3版において、新民法(債権法改正)に完全対応。全3章、全26節。A5判、360頁。

  • 橋本佳幸・大久保邦彦・小池泰『民法V 事務管理・不当利得・不法行為(LEGAL QUEST)』有斐閣(2020年3月・第2版)……質量ともに司法試験対策として十分な内容を持つ。その反面、高度な議論を圧縮したような個所もあるので、全くの初学者は、例えば潮見イエローなどの後に読めば、より効果が上がるだろう。第2版において、旧版執筆時(2011年11月)以降の重要判例や法改正の内容が織り込みまれた。全2編、全9章。A5判、390頁。

  • 平野裕之『債権各論2 事務管理・不当利得・不法行為』日本評論社(2019年12月)……平成29(2017)年改正に完全対応。全2編、全7章。A5判、528頁。

  • 平野裕之『コア・テキスト 民法Ⅵ 事務管理・不当利得・不法行為』新世社(2018年5月・第2版)……学修につき「コア」となる重要論点の解説に重きを置いたテキスト。A5判、352頁。

  • ☆大塚直・前田陽一・佐久間毅『民法6 事務管理・不当利得・不法行為(有斐閣アルマSpecialized)』有斐閣(2023年8月)……事務管理・不当利得は佐久間教授が単独執筆。不法行為は大塚教授と前田教授が分担執筆。四六判、404頁。

(平成29年債権法改正未対応)
  • 加藤雅信『新民法大系V 事務管理・不当利得・不法行為』有斐閣(2005年4月・第2版)……最高裁をも動かした加藤理論(転用物訴権)。いま事務管理・不当利得を真面目に学習しようとするならば第一に読まれるべき本。論旨明快。特に不当利得についてはこの本の右に出るものは無いといっていい。不法行為二分説。A5判、488頁。

  • 吉田邦彦『不法行為等講義録』信山社(2008年12月)……平井弟子による不法行為等(法定債権)の講義録。独習に耐えるレジュメといった趣。A5変型判、304頁。

  • 石崎泰雄・渡辺達徳編『新民法講義5 事務管理・不当利得・不法行為法』成文堂(2011年3月)……若手研究者(執筆者の多くが准教授)による法定債権の教科書。比較的新しい情報を平易に解説している。設例と図解が豊富であるのが本書の特徴。A5判、318頁。

  • 円谷峻『不法行為法・事務管理・不当利得——判例による法形成』成文堂(2016年11月・第3版)……著者は2017年2月に逝去。判例の引用が詳しいことと比較法的記述(とりわけドイツ法)が充実していることが特徴。A5判、390頁。

(古典)
  • 我妻栄『事務管理・不当利得・不法行為(新法学全集)』日本評論社(1937年3月、復刻版:1988年11月)……古いが民法講義では未完となった不法行為法パートが読みどころ。A5判、216頁。

  • 四宮和夫『事務管理・不当利得・不法行為、上・中・下(現代法律学全集)』青林書院(1981年11月、1983年10月、1985年8月。なお、のち中・下巻(不法行為パート)は合本されている。)……分厚い体系書。不法行為:行為不法論・危険範囲説(危険関連説)・全規範統合説など、不当利得:類型論(運動法型不当利得、財貨帰属法型不当利得、負担帰属法型不当利得、三者不当利得)。絶版。A5判、272頁、610頁。

  • 加藤雅信『クリスタライズド民法 事務管理・不当利得』三省堂(1999年9月)……薄いが、類型論を乗り越えた箱庭理論の粋が詰まった名著。新民法大系と記述が重複する箇所もあり既に絶版なため、無理して手に入れる必要はないが、個々の論点が、同書よりも、かなり絞られているため内容はかなり濃い。古書店などで見かけた時は是非買うべきである。A5判、275頁。

  • 澤井裕『テキストブック事務管理・不当利得・不法行為』有斐閣(2001年4月・第3版、OD版:2010年5月)……不法行為部部分が詳しく、違法性と故意・過失を区別する二元説・相当因果関係説をとる。不当利得類型論(給付利得、三者間給付利得、侵害利得、その他の不当利得、転用物訴権)。各節の冒頭に設例が、本論の後に解説が付いている。参考書に最適。入手方法がオンデマンド版(定価9,400円・税別)なのが残念。A5判、400頁。

<不当利得法>

  • 藤原正則『不当利得法(法律学の森)』信山社(☆2024年11月・全訂第2版)……不当利得類型論(給付利得、侵害利得、支出利得、対第三者関係)。ドイツ法の解釈論に依拠するところが大きいが難解。全訂第2版にて債権法改正・物権法改正・相続法改正に対応。A5変型判、572頁。

<不法行為法>

  • 窪田充見『不法行為法——民法を学ぶ』有斐閣(2018年4月・第2版)……設例方式。内容は高度であり、読みこなすにはそれなりに実力が必要だが、基礎理論の深い考察は白眉の出来である。行間を省略せず、丁寧に叙述していることが特徴。辞書的に用いる者が多い。第2版において、平成29年の民法改正や、初版(2007年4月)刊行後の重要判例が織り込まれた。なお、筆者は2024年に逝去されたため、今後改訂される見込みは薄い。全6部。A5判、562頁。

  • 前田陽一『債権各論II 不法行為法(弘文堂NOMIKAシリーズ4-2)』弘文堂(2017年9月・第3版)……薄いが必要十分な情報量。学説の提唱者名を明記していること(ただし文献の引用はない)、かゆいところをきちんと言語化していることが特徴。第3版において、近年出された最高裁判決(サッカーボール事件・JR東海事件等)への解説にあわせ、全面的に学説・判例等が見直された。改正債権法に対応(改正された債権法の新旧両法への対応あり)。全5章。A5判、256頁。

  • 吉村良一『不法行為法』有斐閣(☆2022年8月・第6版)……関西系(違法性/故意・過失の二元論)。比較的穏当な立場から書かれた読みやすい基本書。判例法理と学説の状況をバランスよく概観。ただし、判例は結論のみの引用が多い。第5版では、東日本大震災や不法行為法の将来的な改正を踏まえた記述が追加された。全5章+終章。A5判、372頁。

  • 藤村和夫『新民法基本講義 不法行為法』信山社(2020年11月)……著者は、交通事故賠償についての研究者として著名であるが、オーソドックスな体系書を目指したため(はしがき)、詳しい自説は別著(モノグラフィ)の参照を求めている。それでも、損害論(損害項目や損害賠償算定の調整)などに特徴的な記述がみられる。改正債権法には対応しているが学説を両論併記する程度の内容にとどまっている。全5章。A5変型判、568頁。

(平成29年債権法改正未対応)
  • 潮見佳男『不法行為法(法律学の森)』信山社(1999年5月・初版)、『不法行為法I(法律学の森)』『同II』信山社(2009年9月、2011年2月・いずれも第2版、I(不法行為制度の意義・目的から一般不法行為責任の要件論)、II(特殊不法行為責任論)。III(不法行為責任の効果論)は未完。)……判例・学説を詳細に整理し、かつ自らの体系も明らかにした本邦最高峰の体系書(とくに第2版)。受験生が読む本ではない。A5変型判、560頁・498頁・472頁。

  • 平野裕之『民法総合6 不法行為法』信山社(2013年7月・第3版)……『契約法(民法総合5)』と同じく、判例集込みで分厚い本。A5変型判、576頁。

  • 塩崎勤・羽成守・小賀野晶一 編著『実務 不法行為法講義(実務法律講義)』民事法研究会(2011年12月・第2版)……全2部、全38章。A5判、680頁。

  • 藤岡康宏『民法講義V 不法行為法』信山社(2013年3月)……不法行為法の大家による体系書。不法行為法を「権利の保護」と「あらたな利益の法実現」を目的とする「権利の法実現の法」として捉える。中心的な読者としては法学部の学生を対象としている(はしがき)とされるが、筆者独自の「法的判断の三層構造論」が随所に出てくるなど手強い体系書である。また、情報の網羅性に欠けている(特に効果論)。A5変型判、568頁。

(古典)
  • 加藤一郎『不法行為(有斐閣法律学全集)』有斐閣(1974年10月・増補版、OD版:2001年10月)……いわゆる伝統的通説。古典的名著。A5判、323頁。

  • 前田達明『民法VI-2 不法行為法(現代法律学講座)』青林書院(1980年5月)……違法性一元説。A5判、451頁。

  • 森島昭夫『不法行為法講義(法学教室全書)』有斐閣(1987年3月、OD版:2013年11月)……定評ある不法行為の体系書。通常の体系書とは異なり、特殊不法行為から叙述されている。図書館での調査用に。A5判、512頁。

  • 幾代通・徳本伸一『不法行為法』有斐閣(1993年1月(1997年5月の5刷にて補訂)、OD版:2007年1月)……幾代=徳本の愛称で知られる名著。A5判、384頁。

  • 平井宜雄『債権各論II 不法行為(法律学講座双書)』弘文堂(1992年4月(1994年12月の3刷にて部分補正)、OD版:2019年3月)…… I上のはしがきによれば、現在改訂中とのことであったが、著者逝去(2013年11月)により叶わなくなった。独自の体系(過失一元説・保護範囲説)により『債権総論』と同じく民法学界に多大な影響を与えた(『損害賠償法の理論』を併読すると平井説に対する理解が進みやすい)。平井説がすべて受け入れられたわけではないが、学者、実務家いずれの側においても、その影響を受けていない者はいない。名著であるが、抽象的かつ難解なので、初学者はまず平井説を踏まえた新しい世代の基本書を読むべきだろう。現在絶版。オンデマンド版については、初版9刷:2006年9月30日の内容。全4章。A5判、272頁。


【その他参考書】

  • ☆山城一真『契約法を考える』日本評論社(2024年10月)……同名の法学セミナー連載(795-824号)の単行本化。タイトルに契約法とあるが、債権各論の契約法パートのみではなく、広義の契約法(民法総則や債権総論の一部も含む)も考察対象とする。基本事項を網羅的に解説したいわゆる基本書ではなく、従来の通説的理解を問い直したり、著者の萌芽的思想を展開する研究ノートのような趣。引用文献も厳選されており、ゼミ等の調べ物に至便。A5判、520頁。

(平成29年債権法改正未対応)
  • 小賀野晶一『判例から学ぶ不法行為法』成文堂(2010年1月)……B5判、224頁。

  • 良永和隆『不法行為法 基本判例解説』日本加除出版(2010年8月)……総収録判例数60件。A5判、248頁。

  • 大村敦志『不法行為判例に学ぶ——社会と法の接点』有斐閣(2011年11月)……A5判、370頁。


【入門書・概説書】

〔債権各論〕

  • 池田真朗『スタートライン債権法』日本評論社(2020年3月・第7版)……債権法全般を通覧する入門書。債権総論も内容に含まれている。債権各論→債権総論の順序で債権法全体を平易に解説。入門書としては最良の選択肢の一つ。第1課に「ガイダンス」が置かれている。第7版で民法改正に完全対応。全24課。A5判、416頁。

  • 池田真朗『新標準講義 民法債権各論』慶應義塾大学出版会(2019年4月・第2版)……コンパクト。学部生、未修者向け。第7章に学習ガイダンスが設けられている。第2版において、民法(債権法)改正に対応。全7章。A5判、264頁。

  • 後藤巻則・滝沢昌彦・片山直也編『【プロセス講義】 民法Ⅴ 債権2(プロセスシリーズ)』信山社(2016年9月)……2017年6月の民法(債権法)改正に完全に対応できていないが、債権法改正時のポイントがコンパクトにまとめて付されている。全21章。A5変型判、336頁。

  • 青野博之・谷本圭子・久保宏之・下村正明『新プリメール民法4 債権各論(αブックス)』法律文化社(2020年3月・第2版)……初版(2018年4月)において、2017年の民法改正に対応。第2版において、2020年4月の民法(債権関係)改正法の施行に合わせ、新法についてより詳しく解説。序章(債権各論を学ぶための基礎知識)+全12章。A5判、260頁。

  • 田井義信監修、手嶋豊編『ユーリカ民法4 債権各論』法律文化社(2018年6月)……「債権各論」のうち、「契約総論」については、同シリーズの『ユーリカ民法3 債権総論・契約総論』に記載〔債権総論を参照〕されており、本書には記載されていないため、注意が必要である。全2部、序論(契約)+全8章。A5判、322頁。

  • 小賀野晶一・亀井隆太『基本講義 契約・事務管理・不当利得・不法行為』成文堂(2021年3月)……A5判、266頁。

  • 根本尚徳・林誠司・若林三奈『事務管理・不当利得・不法行為(日評ベーシック・シリーズ)』日本評論社(2021年6月)……電子書籍版あり。A5判、280頁(本文264頁)。


〔契約法〕

  • 松井和彦・都筑満雄・岡本裕樹『契約法(日評ベーシック・シリーズ)』日本評論社(2024年2月・第2版)……民法(債権法)改正に対応。全17章。A5判、264頁。

  • ☆窪田充見『契約法入門─を兼ねた民法案内』弘文堂(2022年3月)……契約法概説を兼ねた民法(財産法)入門書。講談社ブルーバックスのように面白く読めるものを書きたいというコンセプト(はしがき)ということもあり、ユーモアを含んでおり初学者にも読みやすい。とりわけ債権法改正マターにつき高度な内容をわかりやすく解説している。全22章。四六判、272頁。

  • ☆山本敬三監修、大澤彩、三枝健治、田中洋『民法5 契約(有斐閣ストゥディア)』有斐閣(2022年9月)……A5判、324頁。

(平成29年債権法改正未対応)
  • 我妻榮・川井健著、水本浩補訂『民法案内10 契約総論』勁草書房(2009年6月)……四六判、212頁。

  • 我妻榮・川井健著、水本浩補訂『民法案内11 契約各論 上』勁草書房(2010年2月)……贈与、売買、交換、消費貸借及び使用貸借を収録。四六判、192頁。なお、現在、『民法案内12 契約各論 下』については、未刊となっている。

  • 笠井修・鹿野菜穂子・滝沢昌彦・野澤正充『はじめての契約法』有斐閣 (2006年3月・第2版)……序章+全6章。A5判、244頁。

  • 半田正夫『やさしい契約法』法学書院(2004年12月・第2版)……A5判、200頁。

〔法定債権〕

  • 山本敬三監修、中原太郎、根本尚徳、山本周平『民法6 事務管理・不当利得・不法行為(有斐閣ストゥディア)』 有斐閣(2022年9月)……A5判、282頁。

(平成29年債権法改正未対応)
  • 川井健著、良永和隆補筆『民法案内13 事務管理・不当利得・不法行為』勁草書房(2014年8月)……序章(法定債権)+全3章。四六判、228頁。

  • 田上富信『やさしい事務管理・不当利得・不法行為法』法学書院(2015年4月・第3版補訂版)……全3章。A5判、276頁。


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最終更新:2025年04月07日 13:21
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