民法(全般)


※このページでは、原則として、民法のほぼ全範囲を扱った書籍が紹介される。

【基本書】

〔単著〕

  • 内田貴『民法I-IV』東京大学出版会(I 総則・物権総論: 2008年4月・第4版(☆2025年5月 第5版予定)、II 債権各論: 2011年2月・第3版、III 債権総論・担保物権: 2020年4月・第4版、IV 親族・相続: 2004年3月・補訂版)……旧司時代の圧倒的な定番書。平成27年債権法改正に対応しているのは、今のところⅢのみである。東大系研究者の研究成果を平易に解説することを目的としたケース・メソッド形式の教科書であり、判例を簡明にまとめたケースを起点とした解説が特徴。内容は高度だが全体的に読みやすく、読み手を飽きさせない構成になっている。
    旧版では、限られた頁数で試験に必要な事項を網羅する方針のため、初学者がまず理解すべき基本事項の説明が圧縮されている。広い行間を自力で補い、さらりと書かれた記述から重要情報を読み取ることは、初学者にはかなり困難である。条文の要件・効果に関する記述は曖昧な箇所が多く、要件説明自体が本記ではなくコラムに投げられていることすらある。そのため本書のみでは、条文を起点として解釈するという法律学習における基本的な姿勢が身につきにくい。現在の通説をあたかも克服されたかつての説のように説明したり、現在も実務上重視されている判例について、先例性は失われたと述べたりする箇所があるなど、自説を前面に押し出して判例通説を軽視する傾向が、特にⅠ(総則・物権総論)において強く出ている。もっとも、著者の専門であるⅢ(債権総論・担保物権)では、民法改正作業での実務家との交流経験を踏まえ(はしがき)技術的な要素を分かりやすく説明するなど、改訂により使いやすくはなっている。以上のことから、初学者であればあるほど、本書だけではなく、授業や判例集・他の基本書を適宜活用したほうがよい。なお、IV(親族・相続)は長らく改訂されず、ここ二十年の相次ぐ法改正や新判例に対応していないため、もはや古典である(補訂内容は平成16年民法現代語化改正)。
    【改訂】Ⅰの第5版は17年ぶりの改訂となり、平成27年債権法改正に対応する。総則(Ⅰ-1)と物権(Ⅰ-2)の2分冊となり、改訂内容が期待される。A5判、544頁・680頁・720頁・576頁。

  • 大村敦志『新基本民法1-8』有斐閣(1総則編―基本原則と基本概念の法:2019年11月・第2版、2物権法編―財産の帰属と変動の法:☆2022年3月・第3版、3担保編―物的担保・人的担保の法:☆2021年3月・第2版、4債権編―契約債権の法:2019年12月・第2版、5契約編―各種契約の法:2020年4月・第2版、6不法行為編―法定債権の法:2020年4月・第2版、7家族編―女性と子どもの法:2025年3月・第2版、8相続編―遺産管理の法:2017年4月)……基本民法シリーズをリニューアル。1・2・3・4・5・6の第2版は平成27年債権法改正に、7の第2版は令和6年家族法改正に対応。個々の条文や判例についての細かな知識を伝達するというよりも、むしろ民法に定められた各種の制度ごとに、民法学界での最新の議論状況・研究動向を反映させた概説を提供することを目指した書物。文章自体は平易で読みやすいが、著者の「民法観」や学問的関心に従って叙述が組み立てられているため、初学者が読む場合は(本書の特長を生かすためにも)他の教科書と併用することが望ましい。2色刷。電子書籍版あり。A5判、284頁・228頁・242頁・252頁・264頁・224頁・226頁・230頁。

  • 近江幸治『民法講義Ⅰ-Ⅶ』成文堂(Ⅰ民法総則:2018年4月・第7版、Ⅱ物権法: 2020年4月・第4版、Ⅲ担保物権法: 2020年4月・第3版、Ⅳ債権総論:2020年9月・第4版、Ⅴ契約法:2022年2月・第4版、Ⅵ事務管理・不当利得・不法行為:2018年10月・第3版、Ⅶ親族法・相続法:2015年6月・第2版)……内田以前の定番書。二色刷り・図表の多用など、見た目は予備校本風であるが、内容には定評がある。著者の専門分野であるⅢの担保物権法は特に評価が高い。事例を解決するにあたって結論に影響を及ぼさない点についても、学説を豊富に紹介しつつ、どのような解釈論があるのかを図を用いて丁寧に説明しているため、わかりやすい。ただし、①司法試験には不要な部分も多々あるのに、司法試験に頻出する重要論点の記述が、現在の出題傾向と比べて簡略すぎること、②所々で異説を採用している部分がある(例えば、物権行為の独自性を肯定する立場からの売買契約の記述など)点には、注意が必要である。近年のメジャーな基本書が肌に合わない人や、基本的な内容からきっちりと学びたい人向けの書物である。
    Ⅰの第7版第1刷は、訂正・正誤表が作成されている。Ⅰ~Ⅵは最新版にていずれも債権法改正に対応。A5判、Ⅰ:428頁、Ⅱ:322頁、Ⅲ:404頁、Ⅳ:352頁、Ⅴ:368頁、Ⅵ:302頁、Ⅶ:412頁。

  • 山野目章夫『民法概論1-4』有斐閣(1民法総則:2022年3月・第2版、2物権:2022年3月、3債権総論:☆2024年4月、4債権各論:2020年3月)……民法財産編全体を概説するシリーズ、財産法完結。平成29年民法改正後の条文に基づいた講述となっている。2物権は令和4年までの改正法に対応。本文で基本的事項(文献引用なし)、囲みのコラムで発展的事項(文献引用あり)を扱う。特徴としては、①常に具体例を挙げて説明しているため、初学者にもイメージが掴みやすいこと、②要件事実にも配慮していること(著者は「要件事実論30講」の編者)、③既存の説明を所与のものとはしていないこと、④コラムで発展的な内容も解説しており、中上級者の需要にも耐えること、などが挙げられる。ウィットに富んだ山野目節ともいうべき独特の文体は、好き嫌いが分かれるかもしれない。条文索引あり。電子書籍版あり。A5判、394頁・576頁・586頁・540頁。

  • 平野裕之『民法総則』『物権法』『担保物権法』『債権総論』『債権各論Ⅰ契約法』『債権各論Ⅱ事務管理・不当利得・不法行為』日本評論社(民法総則:2017年9月、物権法:2022年10月・第2版、担保物権法:2017年3月、債権総論:2023年4月・第2版、債権各論Ⅰ契約法:☆2024年11月・第2版、債権各論Ⅱ事務管理・不当利得・不法行為:2019年12月)……財産法完結(引き続き、親族法・相続法の出版予定あり)。同著者によるコア・テキスト民法シリーズ(新世社)と民法総合シリーズ(信山社)の中間レベルに位置づけられる中・上級者向けの通読用テキストシリーズ。通称「平野レインボー」。学力の向上に合わせ段階的に学習ができる構成を意識したとされる。図表はあえて用いず、発展的内容は◆マークを付して小フォント化。判例の解説・分析を中心として、比較法や起草過程は最小限の解説に留め、学説も代表的なものに限定して説明している。重要判例を引用しているのも親切。決して初学者向けではないが、特定の項目について判例の理論的立場を確認したり学説の対立状況を調べるという目的のためには、時々突然登場する独自説に注意すれば初学者にとっても大変便利な書物であった。
    2024年11月刊行の債権各論I第2版より本シリーズの位置付けが変更され、『民法総合』シリーズに代わって本シリーズが上級者・実務法曹向け体系書としての役割も併せて担うこととなった。その結果、自説主張を厭わないとする執筆方針の変更がなされたため、試験対策としては使いにくくなってしまった。平成29年改正に対応。物権法第2版で令和3年物権法改正に対応。電子書籍版あり。A5判、512頁・498頁・332頁・604頁・666頁・528頁。

  • 平野裕之『コア・テキスト民法Ⅰ-Ⅵ』新世社(Ⅰ民法総則:2017年9月・第2版、Ⅱ物権法:2018年9月・第2版、Ⅲ担保物権法:2019年1月・第2版、Ⅳ債権総論:2017年10月・第2版、Ⅴ契約法:2018年3月・第2版、Ⅵ事務管理・不当利得・不法行為:2018年5月・第2版)……財産法完結(親族・相続法の刊行予定あり)。レベルは平野レインボーの一段階下の位置づけ。未修者から上級者までを対象とした中級テキスト。判例通説をわかりやすく解説しているだけでなく、同程度のレベルの類書と比較すると、学説の最新動向や著者の自説もきちんと明示しており、独習にも使える内容になっている。図表・網掛け・下線に加え、レジュメ的な文体は好みが分かれる。理論面の解説に重きを置いているので、短答試験に必要な細かい知識は、別途、択一六法等で適宜補充する必要がある。本書に対応した演習書として『コア・ゼミナールI-IV』が、本書のダイジェスト版一冊本として『コア・テキスト民法 [エッセンシャル版]』がある。A5判、384頁・296頁・304頁・392頁・424頁・352頁。

  • 平野裕之『民法総合3・5・6(民法総合シリーズ)』信山社(3担保物権法:2009年8月・第2版、5契約法:2008年3月、6不法行為法:2013年6月・第3版)……著者のシリーズの中では最も高いレベルの位置づけ。読者として学生のみならず、実務家・研究者も対象としている。詳細な記述に加え、判例集も兼ねた、重厚な体系書に仕上がっており、調べ物に適する。上掲の「平野レインボー」と統合するとのことで、続刊が出版される可能性がなくなった。A5変型判、432頁・776頁・576頁。

  • 平野裕之『基礎コース民法Ⅰ・Ⅱ(基礎コース[法学]3・4)』新世社(Ⅰ総則・物権法:2005年4月・第3版、Ⅱ債権法:2005年4月・第2版)……2冊で財産法全分野を概説。著書曰く現代のダットサンを目指したとのこと。A5判、504頁・520頁。
    なお、同シリーズの民法財産法における入門書として、『基礎コース 民法入門(基礎コース[法学]2)』新世社(2001年4月)がある。A5判、200頁。

  • 田山輝明『民法要義Ⅰ-Ⅵ』成文堂(Ⅰ民法総則:☆2023年2月・第4版追補版、Ⅱ物権法:2012年5月、Ⅲ担保物権法:2013年10月・第3版、Ⅳ債権総論:2011年4月・第3版、Ⅴ契約法:2006年5月、Ⅵ事務管理・不当利得・不法行為:2016年5月・第3版)……財産法完結。手堅い記述ながらも、図表やケースメソッドを多用しており、理解しやすい。民法総則の第4版追補版は、第4版(2010年)の一部を修正の上、別冊資料として2017年以降の民法(債権法)改正等による改正点とその改正理由を付けたものであり、2017年以降の民法改正に全面的には対応していない。A5判、362頁・270頁・252頁・281頁・388頁・346頁。

  • 清水元『プログレッシブ民法』成文堂(物権法:2010年5月・第2版、担保物権法:2013年4月・第2版、債権総論:2010年4月、債権各論I:2012年3月、債権各論II:2015年2月)……未完。著者は2014年に逝去。A5判、212頁・338頁・360頁・314頁・388頁。

(古典:平成16年民法現代語化以前)
  • 我妻榮『民法講義Ⅰ-Ⅴ4』岩波書店(Ⅰ・1965年5月・新訂〔10刷にて補訂あり〕、Ⅱ・1983年5月・新訂〔有泉亨補訂。3刷にて補訂あり〕、Ⅲ・1968年11月・新訂〔3刷にて補訂あり〕、Ⅳ・1964年3月・新訂〔10刷にて補訂あり〕、V1・1954年12月、V2・1957年5月〔16刷にて補注あり〕、V3・1962年7月、V4・1972年1月、いずれもOD版対応。)……著者は1973年に逝去。民法学における「伝統的通説」は、概ね我妻説を指す。不法行為法・親族法・相続法は民法講義としては未出版だが、同著者による『事務管理・不当利得・不法行為(新法学全集)』日本評論社(1937年3月、復刻版1988年11月)、『親族法(有斐閣法律学全集)』有斐閣(1982年3月、OD版2001年4月)があるため、ほぼ全範囲にわたって著書があることになる。大部であるので、マイナーな議論まで網羅的に取り扱っていることのほか、極めて抽象的な定義付けから体系的に論じていく点に、近時の本には見られない特徴がある。古いとはいっても、今なお実務への影響力は強く、余力のある学生は、総則・物権・債権総論などを今から読んでおきたい。なお、文中で登場する「通説」は鳩山説などを意味していて、著者がそれに対して異論を述べた説が現在の通説となっていることがある。本書で紹介される学説には、すでに絶滅したものも少なくないため、民法の全分野を一通り理解し、学説の展開にも詳しくなければ、混乱をきたす可能性もある。我妻であるから、あるいは実務であるからといって無批判・無条件に鵜呑みにすることなく、本書で展開されているのは基本的に戦前ないし戦後初期の理論であるということを念頭に置いて熟読することが望まれる。

  • 鈴木禄彌『民法総則講義』『物権法講義』『債権法講義』『親族法講義』『相続法講義』創文社(2003年9月・2訂版、2007年11月・5訂版、2001年10月・4訂版、1988年4月、1996年8月・改訂版。創文社オンデマンド叢書でOD版対応。)……著者は2006年に逝去。物権法のみ現代語化に対応。学習の便宜のため、あえて体系を崩しており、早くからケースメソッドを採用するなど、時代を先取りした画期的な教科書であった。抽象的な定義や要件・効果の羅列を避け、制度のあり方や実際の機能に専ら着目するという内容になっている。情報量も絞られており、端的に答えを知りたいときの辞書的な用法には向かないが、常に具体例をもとにして条文の趣旨が極めて明快に語られているので、通読によって大きな効果を発揮するだろう。抽象的な定義が書かれている教科書と併読するのが良いと思われる。主張・立証責任の配分についても充分な記述があり、本書に取り組むことで要件事実に関する理解も深まるであろう。時折挿入される図表がすこぶるよくできている点もよい。なお、判例に言及する際、判決文を引用しないため、判例集や判例付六法を準備して読むべきである。シリーズの中でも、特に『物権法講義』は名著といわれ、星野英一も自著のはしがきで「最高の水準」と絶賛している。

  • 星野英一『民法概論Ⅰ-Ⅳ』良書普及会(Ⅰ序論・総則:1993年6月・改訂第16刷、Ⅱ物権・担保物権:1994年5月・合本再訂第10刷、Ⅲ債権総論: 1992年2月・補訂版第6刷、Ⅳ契約:1994年10月・合本新訂第5刷)……著者は2012年に逝去。自治大学校における講演テープに加筆し「自治実務セミナー」誌に連載したものにさらに手を加えたもの。本書の特徴としては、制度や概念につき、民法の規定と離れていきなり定義を書くことを努めて避けたこと(はしがき)が挙げられる。これは、民法の理解は、まず条文の効果から出発し、次に判例によるその適用要件の知識を経なければならないとの考え方による。効果→要件の考え方は、結果的には一般化しなかったが、事例問題を考える際のアプローチ思考には有効である。改版せずに加筆がされているので、できるだけ新しい刷数をチェックすべきである。契約法まで。版元の良書普及会が出版終了。家族法については放送大学のテキスト(放送大学教育振興会、1994年3月、A5判、201頁)あり。

  • 松坂佐一『民法提要1-5』有斐閣(1974年12月・第3版、1980年12月・第4版、1982年2月・第4版、1993年7月・第5版、1992年3月・第4版、いずれもOD版対応。)……著者は2000年に逝去。かつての定番書(昭和50年代)だった。財産法完結・家族法あり。我妻説に立っている。

  • 北川善太郎『民法講要1-5』有斐閣(2001年6月・第2版、2004年5月・第3版、2004年4月・第3版、2003年12月・第3版、2001年4月・第2版)……著者は2013年に逝去。財産法完結・家族法あり。記述は平板ながら、詳しい。契約責任説の主唱者である。自説僅少。判例が豊富に紹介されている。なお、潮見佳男と山本敬三は北川ゼミ出身である。

  • 船越隆司『民法総則』『物権法』『担保物権法』『債権総論』尚学社(2001年4月・改訂版、2004年4月・第3版、2004年4月・第3版、1999年4月)……中央大学名誉教授。

  • 井上英治『財産法概論』中央大学出版部(2001年1月・第三版)……著名な予備校講師による財産法の教科書。法曹同人から出版されていた旧版を改訂し、大学出版部から刊行したもの。伝統的なパンデクテン体系を切り崩し、実際的観点から財産法分野を再構成。簡潔な叙述で、まとめ用として適していた。A5判、491頁。

(古典:平成16年民法現代語化以前)
  • 川井健『民法概論I-V』有斐閣(Ⅰ民法総則:2008年3月・第4版、Ⅱ物権:2005年10月・第2版、Ⅲ債権総論:2009年4月・第2版補訂版、Ⅳ債権各論:2010年12月・補訂版、Ⅴ親族・相続:2015年12月・補訂版[良永和隆補訂])……著者は2013年に逝去。図表の類を用いないオーソドックスな基本書。伝統的通説(我妻説)の立場から、ひっかかる論点を地引網のように次々と拾っていく。取り上げられる判例・学説は網羅的で、民法概論の名にふさわしい。判例の数・網羅性については類書の中では群を抜いており、択一式試験対策には非常に有益であった。自説の主張は控えめで、各説を比較的公平に紹介しており、記述は、かなり平板だが分かりやすい。しかし、概説書に徹するためか、論点ごとのつながりが悪くなっていることも多く、全体として論点をぶつ切りにして提供している印象を受ける。また、II(物権)、特に担保物権の記述は、主要判例の判示事項と判決要旨を並べただけといってもよく、その値段に見合うものとはいえないと評価する者もいる。もっとも、見方を変えれば、基本書としての「無色透明さ」があり、幅広いニーズに応えることができるともいえる。A5判、412頁・536頁・404頁・572頁・266頁。

  • 大村敦志『基本民法Ⅰ-Ⅲ』有斐閣(Ⅰ総則・物権総論:2007年3月・第3版、Ⅱ債権各論:2005年4月・第2版[2010年・第6刷補訂]、Ⅲ債権総論・担保物権:2005年5月・第2版)……財産法完結。内田民法と同じ体系を採り、内田民法の7割程度の分量でコンパクトに財産法をまとめている。初学者向けながら、高度な内容にも踏み込んでいる部分もあり、上級者であっても得るものが多い。むしろ、非常に広い行間が、初学者には難しいかもしれない。その場合には、他の基本書を読んだうえで、二冊目の基本書として読むのがよいであろう。著者自身も、本書だけでなく、他の本との併読を進めている。2色刷。副読本として『もうひとつの基本民法Ⅰ・Ⅱ』有斐閣(Ⅰ2005年2月、Ⅱ2007年10月)がある。『民法のみかた-『基本民法』サブノート』有斐閣(2010年6月)は、民法全分野(家族法含む)にわたる必要最低限の情報を凝縮したレジュメで、学者が書いた予備校まとめ本といった趣である。

  • 加藤雅信『新民法大系I-V』有斐閣(Ⅰ民法総則:2005年4月・第2版、Ⅱ物権法:2005年4月・第2版、Ⅲ債権総論:2005年9月、Ⅳ契約法:2007年4月、Ⅴ事務管理・不当利得・不法行為:2005年4月・第2版)……筆者は「民法(債権法)改正検討委員会」委員の一人であったが、同委員会とは一線を画し、民法財産法の全面改正を目的とした「民法改正研究会」を立ち上げ、独自に活動している。財産法完結(ただし、担保物権法はない)。歴史的視座、比較法的視座、法社会学・法人類学的視座から独自の民法理論を構築。民法の関連分野の記載も充実。学生を主要な読者層としているため、基本的事項・通説(我妻説)・判例の紹介が平易な文章できちんとされているほか、要件事実論にも配慮している。また、少数学説も網羅しており、事項索引・判例索引の他、条文索引や詳細な参考文献一覧、更には新旧の民法・破産法の条文対照表まで付く至れり尽くせりの本である。しかし、分量の関係で自説の説明以外はかなり圧縮されているうえ、論点落ちもある。なお、研究書としての性格も持たせているため、部分的には極めて高度である。不当利得については、加藤説(転用物訴権)が最高裁判例に採用されていることもあり、一読の価値がある。

〔共著〕

  • 山田卓生ほか『民法Ⅰ-Ⅴ(有斐閣Sシリーズ)』有斐閣(Ⅰ総則:2018年1月・第4版、Ⅱ物権:2022年3月・第5版、Ⅲ債権総論:☆2023年4月・第5版、Ⅳ債権各論:☆2023年3月・第5版、Ⅴ親族・相続:2012年9月・第4版)……定評のあるSシリーズ。特に重要な部分には、★印が付されている。入門はもとより、択一用のまとめテキストにもよい。淡白かつ平板な記述ではあるが、旧試時代〜新司施行直後までは実力者に愛用されていた。近年は佐久間・潮見などの登場で影が薄くなっているが、現在もⅠ-Ⅳは改訂が続いており、財産法分野については基本的に外れはなく、基本書として十分に使える。ただし、V(出版社品切れ)は基本書とするには情報量不足である上、伊藤執筆部分で独自説が展開されており使いにくい。四六判、340頁・406頁・342頁・548頁・252頁。

  • 佐久間毅ほか『民法I-Ⅵ(LEGAL QUEST)』有斐閣(Ⅰ総則:2020年3月・第2版補訂版、Ⅱ物権:2022年3月・第4版、Ⅲ債権総論:2022年4月、Ⅳ契約:2021年12月、V事務管理・不当利得・不法行為:2020年3月・第2版、Ⅵ親族・相続:☆2024年3月・第7版)……共著本。Ⅵ(親族・相続)の出来が極めて良く、定番書となっており、改訂を重ねている。Ⅵ(親族・相続)では、新判例と親権についての法改正に関する「第7版補遺」がある。対照的に、Ⅰ〜Vは分担執筆者によって記述の出来にムラがあり、共著の弊害が出てしまっている。章末に練習問題付き。電子書籍版あり。A5判、366頁・450頁・頁・400頁・390頁・504頁。

  • 我妻榮ほか『民法1-3』勁草書房(1総則・物権法:2021年4月・第4版、2債権法:2022年12月・第4版、3親族法・相続法:☆2024年1月・第5版)……通称「ダットサン民法」。本書の原型は、同著『民法Ⅰ・Ⅱ(岩波全書)』という80年以上前の書籍である。体系書である『民法講義』とは異なり、伝統的通説の立場から民法の全分野を簡明に概説する。小型であり要件事実に関する言及もなく、司法試験対策としては情報量が心もとないが、旧試時代は本書で情報量は足りるとされていた。民法と関連法の概要・歴史、条文の趣旨・要件・効果といった基本書に求められる要素を一通り網羅している上、文章が非常に読みやすく記述も安定感があるため、一読の価値がある。総まとめにも便利である。シリーズ第4版にて、債権法、相続法等の改正に対応。また、横組み2色刷となった。なお、第4版以降の改訂は、1は鎌田薫、2は野村豊弘・沖野眞已、3は野村豊弘がそれぞれ担当。四六判、608頁・704頁・488頁。

  • 奥田昌道ほか編『法学講義民法1-6』勁草書房(1総則:2018年5月・第3版、2物権:未定、3担保物権:未定、4債権総論:未定、5契約:未定、6事務管理・不当利得・不法行為:未定)……悠々社から出版されていたものの改訂新版。平成29年改正民法(債権法)に対応。1A5判、368頁。

  • 小野秀誠ほか『新ハイブリッド民法1-5』法律文化社(1民法総則:☆2023年10月・第2版、2物権・担保物権法:2023年5月・第2版、3 債権総論:2018年10月、4債権各論:2018年5月、5 家族法:2021年11月)……『ハイブリッド民法』の民法債権法改正に対応した改訂版。電子書籍版あり。A5判、362頁・352頁・350頁・350頁・408頁。

  • 松尾弘ほか『民法1-5(弘文堂NOMIKAシリーズ)』弘文堂(1総則: 未刊、2物権・担保物権法:2008年9月・第2版、3債権総論: 2007年11月、4-1債権各論Ⅰ―契約・事務管理・不当利得: 2008年12月、4-2債権各論Ⅱ―不法行為法:2017年9月・第3版、5親族・相続法: 2020年7月・第3版)……「弘文堂NOMIKAシリーズ」は、パンデクテン・システムに沿って、あえて《総論から各論へ》・《一般原則から具体的問題へ》というオーソドックスなスタイルを用いて民法を叙述することを基本コンセプトとした民法テキストのシリーズである。二色刷、図表を用いてわかりやすく説明する。現在、「総則」に相当する部分が未刊となっている。A5判、頁・450頁・344頁・464頁・256頁・480頁。

  • 千葉恵美子ほか『民法1-7(有斐閣アルマSpecialized)』有斐閣(1総則:☆2024年3月、2物権:2022年5月・第4版、3担保物権:2020年12月・第3版、4債権総論:☆2023年4月・第2版、5 契約:2018年4月、6事務管理・不当利得・不法行為:☆2023年8月、7親族・相続:☆2023年10月・第7版)……共著本。7の親族・相続はスタンダードな家族法教科書として使われている。四六判、470頁・428頁・404頁・452頁・428頁・404頁・488頁。

  • 小野秀誠ほか『ハイブリッド民法1-5』法律文化社(1民法総則: 2014年4月・第2版、2物権・担保物権法:2007年3月、3債権総論:2006年11月、4債権各論:2007年4月、5家族法:2017年4月・第2版補訂)……法学部と法科大学院を架橋する教材となることを目的として執筆されている(はしがきより要約)。新トピックも網羅。5の家族法は定評あり。A5判、360頁・350頁・346頁・340頁・396頁。

(古典)
  • 遠藤浩ほか『民法(1)-(9)(有斐閣双書)』有斐閣(1総則:2004年9月・第4版増補補訂3版、2物権:2003年5月・第4版増補版、3担保物権:2003年12月・第4版増補版、4債権総論:2002年12月・第4版増補補訂版、5契約総論: 1996年12月・第4版、6 契約各論:2002年9月・第4版増補補訂版、7事務管理・不当利得・不法行為:1997年1月・第4版、8 親族:2004年5月・第4版増補補訂版、9 相続: 2005年1月・第4版増補補訂版)……かつての司法試験民法のスタンダードテキスト(昭和〜平成初期)。有力な中堅学者が長老陣になるまで30年間にわたり改訂を重ねてきたため、記述は安定している。判例・通説を基礎に有力説を加え、基本的事項を丁寧に解説する良書である。判例についても文字サイズを落として事案と判旨と評価をコンパクトに解説している。自説を抑えて書いてあるため、平板との声もあるが、よく読みこめば、それぞれの著者の個性が出ており飽きない。しかし、平成16年民法現代語化に対応したのは(9)のみであり、(5)と(7)は1996年の改訂が最後。

  • 奥田昌道ほか『法学講義民法1-6』悠々社(1総則:2007年・第2版、2物権:2005年10月、3担保物権:2006年7月、4債権総論: 2006年、5契約:2008年、6事務管理・不当利得・不法行為: 2006年)……判例・通説を踏まえたスタンダードテキスト。財産法完結。判例については、本シリーズの姉妹編ともいうべき『判例講義民法Ⅰ総則・物権』、『同・Ⅱ債権』との連動が図られていた。A5判、382頁・212頁・256頁・392頁・388頁・336頁。なお、出版社である株式会社悠々社は、平成29(2017)年6月30日をもって廃業となり、書籍の販売はすべて終了となった。

【その他参考書】

  • 近藤昌昭『判例からひも解く実務民法』青林書院(2022年9月・改訂版)……元裁判官、現慶応ロー教授。実務家の観点から、民法(財産法)の主要な論点を、判例の考え方に基づき、全体を横断的に解説。ロー授業での質疑により、記述をさらに分かりやすいものに見直した。A5判、360頁。

  • 内田貴・大村敦志編『民法の争点(新・法律学の争点シリーズ1)』有斐閣(2007年9月)……B5判、368頁。

  • 池田真朗編著『民法Visual Materials』有斐閣(2021年3月・第3版)……資料、図表などを用いた「目で見る」サブテキスト。B5判、190頁。

  • 椿寿夫・中舎寛樹編著『解説 類推適用からみる民法』日本評論社(2005年6月)……A5判、300頁。

  • 椿寿夫・新美育文編著『解説 関連でみる民法1・2』日本評論社(2007年2月、2007年3月)……A5判、240頁・276頁。

  • 椿寿夫・中舎寛樹編著『解説 新・条文にない民法――概念・制度がもっとよくわかる』日本評論社(2010年12月)……A5判、405頁。

  • 北居功・花本広志・武川幸嗣・石田剛・田高寛貴『コンビネーションで考える民法』商事法務(2008年10月)……A5判、347頁。

  • 加賀山茂『民法条文100選―100ヵ条で学ぶ民法』信山社(2017年2月)……A5変型判、260頁。

  • 武川幸嗣『プラスアルファ基本民法(法セミ LAW CLASS シリーズ)』日本評論社(2019年3月)……学生が民法学を学ぶ上で重要なテーマ、学習上苦労するテーマを24選び、条文・条文解釈・判例を整理したもの。全24章。A5判、304頁。

  • 遠山純弘『請求権から考える民法1・2・3(シリーズ全3巻)』信山社(1 契約に基づく請求権:☆2024年3月、2 契約に基づかない請求権:2023年3月・第2版、3 債権担保:2020年10月)……「2 契約に基づかない請求権」は、事務管理・物権・不法行為・不当利得。事例問題の解決を考える際に、その問題を考える順序に従って、各制度を学ぶという内容。誤植が多い。A5変型判、492頁・432頁・356頁。

  • 澤田和也監修、大坪和敏編著ほか『図解 民法(総則・物権)(図解シリーズ)』、『図解 民法(債権)(同)』、『図解 民法(親族・相続)(同)』一般財団法人大蔵財務協会(総則・物権:2019年11月・令和元年版、債権:2019年11月・令和元年版、親族・相続:2020年8月・令和2年版)……「図解 民法(親族・相続)(令和元年版)」(2019年8月)において、平成30年民法改正における「成人年齢の引下げ」、『遺言制度の見直し』、『遺留分制度の見直し』、『特別の寄与』、『配偶者の居住の権利』の新設等「相続法制」の改正及びそれに伴う所要の措置等を織り込み、最新の裁判例等を踏まえて改訂。「図解 民法(親族・相続)(令和2年版)」において、令和元(2019)年の特別養子縁組制度の改正を反映。B5判、364頁・404頁・580頁。

 (注)「債権法改正関係」については、「民法(債権総論)」のページを、「相続法改正関係」については、「民法(家族)」のページを参照。


【入門書・概説書】

〔一冊本〕

  • 潮見佳男『民法(全)』有斐閣(2022年3月・第3版〔☆2025年3月・第3版補訂版〕)……旧著『入門民法(全)』を改題したもの。通称「潮見全」。著者は2022年に逝去。一冊で、民法総則から親族・相続法までの民法全範囲をカバー。パンデクテン体系に沿う。民法全体を判例・通説に絞って簡潔に記述しており、司法試験向きの実践的なまとめ本として、受験生の間で支持を得ている。ただし、紙幅の都合上、重要な論点の記述は厚いが、その他の論点は大胆に省略されているため、論点落ちも多く網羅性はあまり高くはない。なお、著者は、債権法の一流学者だが、物権法については専門外であり、本を書けるほどの知識がないため、本書の執筆も出版社に頼まれて行ったものと述べていた。したがって、物権法に関しては、他の書籍の記述をなぞるだけになっており、穏当な記述とも平凡な記述とも言え、賛否が分かれる。なお、旧書名には「入門」とあったが、初学者に配慮した十分な説明はなく、入門用途には適さない。著者自身も、民法全体を学んだ者のための再入門の本であるとしていた。
    【改訂】第2版で、相続関係改正や成年年齢関係改正などの各種法改正に対応した。第3版は、所有者不明土地に関する令和3年改正等に対応。著者急逝のため、第3版補訂版からは門下生(長野史寬・下村信江・冷水登紀代)が補訂にあたる。補訂内容は、2024年9月までの主要判例と22年以降の2度の家族法改正を反映した。補訂は、潮見執筆部分は、原則として改変しない(明らかな誤記は修正、法改正によって不要になった記述は削除する)。補訂箇所は、【】や■で示している。電子書籍版(※プリントレプリカ版とリフロー版の2種類)あり。全9部。A5判、782頁。

  • 平野裕之『コア・テキスト民法 [エッセンシャル版]』新世社(2021年9月)……既に民法全体を一通り学んだ者向けの総まとめ本。はしがきにもあるように、入門用途には全く適さない。物権法、相続法改正など2021年までの改正を盛り込んでいる。著者の他のシリーズにはない親族法と相続法の解説もされているのが特徴。基本的には、判例・通説の立場で解説されているが、異論がある点では、私見を加えている。売買の特則である消費者契約法や特定商取引法、不動産賃貸借の特則である借地借家法といった特別法の解説は、ほとんどされておらず民法が中心である。他の基本書とは異なる独自な構成を取っている部分がある。性質としては『潮見全』に近いが、本書はコア・カリキュラムと『趣旨・規範ハンドブック』を用いて、重要な論点が落ちていないかをチェックした(はしがき)とのことであり、本書の方がより受験生に親切な内容となっている。A5判、776頁。

  • 新井誠・岡伸浩編著『民法講義録』日本評論社(☆2023年3月・第3版)……一冊で民法全体(総則・物権・債権・親族・相続)を通覧。改訂版において、債権法改正に準拠し、相続法改正も反映された。全7篇、全48章。A5判、1210頁。

  • 道垣内弘人『リーガルベイシス 民法入門』日本経済新聞出版社(☆2024年1月・第5版)……旧著『ゼミナール民法入門』を改題したもの。初版(2014年1月)までは財産法分野のみだったが、第2版(2017年6月)から親族法・相続法が追加され、一冊で民法全体が学べる書となった。また、法律を初めて学ぶ者のために、第1章に法学入門も置かれた。教育効果や実際の機能を意識して、パンデクテン体系を崩した説明となっている。上掲の潮見『民法(全)』に比べると情報量が少なく、読み物としての性格が強いが、その分、読み手を飽きさせない記述となっている。また、一般的な基本書では十分な説明がない歴史的沿革や背景知識にも適宜触れられており、初学者が民法理論の全体像をつかむには最適の一冊と言える。
    【改訂】第3版で、平成30年相続法改正、商法改正、消費者契約法改正、成年年齢の引き下げ等に対応。2017年・2018年民法改正に関係する箇所は、本文中に[改正点]マークが入れられ、明示されており、改正前民法との違いを意識しながら学ぶことができる。第5版では、2023年10月現在の法改正、重要判例が織り込まれている。電子書籍版あり。全13章。A5判、784頁(本文744頁)。

  • ☆松尾弘『民法』慶應義塾大学出版会(2023年11月)……著者による後掲『民法の体系(第6版)』をパンデクテン体系に即した内容に編成し直して改訂した体系書。一冊本だが960頁という大著で、二段割注を多用していることから多くの情報量がある(有斐閣Sシリーズの民法レベルの情報は載っている。)。ただ、論点の解説は薄いのでまとめ本か民法全分野を概観する辞書としての用法がメインとなるだろう。A5判、960頁。

  • 松尾弘『民法の体系 市民法の基礎』慶應義塾大学出版会(2016年10月・第6版)……民法全分野を権利主体論、権利客体論、権利変動論、権利効果論へと体系化。一冊本としては相当分厚いため、内容的に細かい知識も載っている。第6版で民法(債権関係)改正法案に対応した。難点は誤植が多いこと。出版社のHPにおいて正誤表・補足情報をDLできる。A5判、848頁。

  • 長坂純『民法〔財産法〕講義』勁草書房(☆2023年2月・第2版)……財産法分野のみ。2020年4月1日に施行された改正債権法を踏まえ、民法の財産法分野(総則編・物権編・債権編)を解説。第2版でR3物権法改正に対応。司法試験用のまとめ本としてはやや情報不足。全22講。事項索引・判例索引あり。A5判、432頁(本文410頁)。

(平成29年債権法改正未対応)
  • 川井健『民法入門』有斐閣(2012年7月・第7版)……一冊本。パンデクテン体系に沿い、伝統的通説(我妻説)に従って、民法全分野を概説。タイトルには「入門」とあるが、受験生が直前期にさっと通読するためにも有益である。判例の準則をしばしば簡略化しているので、読み手の学力がないと使いこなせない可能性がある。また、誤植や脱字の類がしばしば見られる。第7版において、家事事件手続法等の改正も織り込みつつ、旧版(2007年12月・第6版)刊行以降の判例が織り込まれた 。なお、債権法等の改正には対応しておらず、また、2013年に著者が逝去したため、今後の改訂は見込めない。序論+全5編。A5判、582頁。
    なお、姉妹本として『はじめて学ぶ民法―所有、契約、不法行為、家族』有斐閣(2011年12月)がある。

  • 淡路剛久『入門からの民法――財産法』有斐閣(2011年12月)……財産法分野のみ。放送大学の教材テキストを加筆修正したもの。典型化された紛争(Case)から民法規範にアプローチする方法を取り入れたとのこと。書名には「入門」とあるが、一通り学んだ者の復習用として使用されることも想定されている。全28章。A5判、532頁。

〔概説書〕

  • 原田昌和ほか『民法(日評ベーシック・シリーズ)』日本評論社(民法総則:2022年2月・第2版、物権法:☆2022年3月・第3版、担保物権法:2019年4月・第2版、債権総論:☆2023年9月・第2版、契約法:☆2024年2月・第2版、事務管理・不当利得・不法行為:2021年6月、家族法:☆2023年9月・第4版)……民法総則(第2版)については、R3相続分野、物権分野の改正に対応。物権法(第3版)については、R3相続分野・物権分野の改正に対応。担保物権法(第2版)については、債権法改正に対応。家族法(第4版)については、R3相続法改正・R4親族法改正に対応。A5判、240頁・216頁・208頁・280頁・264頁・280頁・276頁。NBSとストゥディアを比べると、情報量ではNBSが勝る。ただし、NBSは、執筆者の裁量が大きく、共著の弊害が出ている部分もある。他方、ストゥディアは山本敬三監修の下で、初学者に向けた一貫した執筆方針の記述が特徴であり、共著の弊害が小さくなっており、今後の共著の発刊スタイルとなるかもしれない。また、ストゥディアが全体的に新しい発刊であることも優位である。

  • 山本敬三監修、栗田昌裕・坂口甲・下村信江・吉永一行『民法1-7(有斐閣ストゥディア)〔全7巻〕』有斐閣(1 民法総則:2021年3月、2 物権:☆2025年3月、3 担保物権:2021年11月、4 債権総論:☆2024年12月・第2版、5 契約:2022年9月、6 事務管理・不当利得・不法行為:2022年9月、7 親族・相続:2023年12月)……山本敬三監修の下、一貫した執筆方針で、共著の弊害なく基本事項を抑えるには最適な入門書。下部のnoteに定義が載っており、初学者には非常に便利である。2色刷。A5判、316頁・394頁・316頁・368頁・324頁・282頁・344頁。

  • 中田邦博ほか『新プリメール民法1-5(αブックス)』法律文化社(1 民法入門・総則:2020年3月・第2版、2 物権・担保物権法:2018年6月、3 債権総論:2020年4月・第2版、4 債権各論:2020年3月・第2版、5 家族法:☆2023年4月・第3版)……初学者向けに読みやすさ・わかりやすさを追求したシリーズ。旧著『プリメール民法』法律文化社(2005年10月-2014年10月)のリニューアル版。2017年の民法(債権関係)改正に対応。なお、過去のものとは執筆者がかなり変更されている分野があるので、共著の弊害が出ている可能性があるため、注意が必要である。A5判、354頁・298頁・286頁・260頁・272頁。

  • 田井義信監修、大中有信編ほか『ユーリカ民法1~5』法律文化社(1 民法入門・総則:2019年7月、2 物権・担保物権:2018年4月、3 債権総論・契約総論:☆2023年4月・第2版、4 債権各論:2018年7月、5 親族・相続:2019年5月)……「ユーリカ」(「わかったぞ!」という意味)という企画趣旨のもと、複雑な民法体系がどのような仕組みでどのような役割を果たしているのかを解説したシリーズ。 A5判、334頁・258頁・292頁・322頁・290頁。

  • 永田眞三郎ほか『エッセンシャル民法1-3(有斐閣ブックス)』有斐閣(1 民法入門・総則:☆2023年3月・第5版補訂版、2 物権:2019年10月・第2版、3 債権:☆2022年11月・第2版)……財産法のみ。平成29年民法(債権法)改正に対応。A5判、254頁・254頁・382頁。

  • 椿寿夫・松本恒雄監修『コンシェルジュ民法2 物権・担保物権法』『同3 債権法I[契約・債権総論]』『同4 債権法II[契約各論・不法行為等]』北大路書房(2023年3月、☆2024年12月、☆2024年4月)……初学者・未修者向けの民法テキストシリーズ(全5巻予定)。コンシェルジュ<総合案内係>というタイトルどおり民法の全体像を把握するのに適した内容のテキスト。ということで幹となる知識を修得させることを目的としており、細かい枝葉の情報は必ずしも網羅的ではない。平成29年債権法改正・令和3年物権法改正に対応。A5判、248頁・272頁・304頁。

(平成29年債権法改正未対応)
  • 後藤巻則・滝沢昌彦・片山直也編『【プロセス講義】 民法Ⅰ~Ⅵ (プロセスシリーズ)』信山社(Ⅰ 総則:2020年3月、Ⅱ 物権:2019年8月、Ⅲ 担保物権:2015年9月、Ⅳ 債権1:2016年12月、Ⅴ 債権2:2016年9月、Ⅵ 家族:2016年6月)……プロセス講義民法シリーズでは、基本コンセプトとして、①趣旨説明、②基本説明、③展開説明という叙述の3段階化が図られている。「Ⅰ 総則」は、平成29年民法(債権法)改正に対応。A5変型判、340頁・260頁・272頁・320頁・336頁・320頁。

  • 甲斐道太郎・乾昭三・椿寿夫編『新民法概説1-3(有斐閣双書)』有斐閣(1 総則・物権:2005年4月・第4版、2 債権:2005年4月・第3版、3 親族・相続:2006年4月・第3版)……通説・判例にしたがって簡潔・明快に解説したコンパクトなテキスト全3巻。ただし、刊行以降の法改正・判例等が反映されていないため、注意が必要である。四六判、398頁・364頁・272頁。

〔その他入門書〕

  • 野村豊弘『民事法入門(有斐閣アルマBasic)』有斐閣(2022年3月・第8版補訂版)……民法(財産法・家族法)を中心として、民事法の全体像を案内する入門書。1章の民事法(民事法の意義・構造/法源)から、16章の権利の実現(権利の実現/紛争の解決と裁判制度)までを扱う。第8版において、成年年齢変更や相続法、親子法関係の改正が織り込まれた。第8版補訂版において物権法改正等に対応。全16章。四六判、268頁。

  • 米倉明『プレップ民法(プレップ・シリーズ)』弘文堂(☆2024年7月・第5版増補版)……典型的な売買契約をモデルに、想定される法律問題を時系列順に解説する。含蓄のある良書だが、初学者がその深みを理解することは難しいとの声もある。第5版において、債権法改正をふまえ全面改訂。第5版増補版において、初学者にわかりやすい解説を試み、さらに選択的夫婦別氏制度についての著者の見解(導入賛成)を示している。四六判、264頁。

  • 我妻榮・良永和隆著、遠藤浩補訂『民法』勁草書房(☆2023年11月・第11版)……最も適用の多い事柄に即して、関連する制度と横断的な知識を集約し、民法の全体像を鳥瞰する。第11版において、令和3年、4年の民法改正に対応。全3編、全30章。縦組み。B6判、328頁。

  • 潮見佳男・中田邦博・松岡久和編『18歳からはじめる民法(〈18歳から〉シリーズ )』法律文化社(☆2023年4月・第5版)……第4版において、債権法改正から2019年6月成立の特別養子制度などの法改正に対応。電子書籍版あり。全16講。B5判、114頁。

  • 松久三四彦・遠山純弘・林誠司『オリエンテーション民法』有斐閣(☆2024年10月・第3版)……文中に登場する法律用語に逐一脚注で説明を付しており、また、読みづらそうな漢字にはフリガナがふられているため、全くの初学者であっても問題なく読み進めることができる。なお、第4部は「まとめ」となっている。事項索引が充実しているので民法の簡易辞書として用いることもできる。第3版は2024年親族法改正に対応。電子書籍版あり。全4部、全10章。四六判、436頁。

  • 渡邊力編『民法入門ノート』法律文化社(☆2024年3月・第2版)……民法の全範囲(財産法・家族法)を75のトピックに分類し、各トピックの冒頭に事例Caseを置き、民法の果たす役割を読み解く。各テーマ2頁読み切りとなっており、空欄・穴埋め問題と巻末の練習問題で理解度確認もできる。近時の法改正に対応。第2版はR3物権法改正、R4親子法改正に対応。全27Chapter。B5判、180頁。

  • 長瀬二三男・永沼淳子『民法入門(Next教科書シリーズ)』弘文堂(2020年8月)……法学部以外で民法を分かりやすく教えるために作成されたが、必要最低限度の条文や判例を引用しており、法学部生で民法の学習をこれから始める者やまとめ用テキストにも最適である。入門と題するだけあって、転用物訴権等、やや発展的分野については触れられていないので物足りなさはある。2017年債権法改正および2018年相続法改正などの法改正に対応。全6章。A5判、404頁。

  • 遠藤研一郎『民法[財産法]を学ぶための道案内』法学書院(2018年4月・第2版)……第2版において、平成29(2017)年6月に公布された改正民法を踏まえ、内容が改訂された。全13章。A5判、240頁。

  • 池田真朗『民法への招待』税務経理協会(2020年11月・第6版)……全10章。四六判、304頁。

  • 円谷峻・武川幸嗣『民法』放送大学教育振興会(2017年3月・新訂)……放送大学の教材。改正債権法については本書の中では簡単に言及されるのみで、詳しい解説については放送される講義の中で行うこととしているため、本書のみで改正法に対応することは困難。全15章。A5判、300頁。

  • デイリー法学選書編修委員会編『ピンポイント民法』三省堂(2018年4月)……法学部生・ビジネスマン・一般読者向けの新法学教養シリーズの民法編。四六判、192頁。

  • 田中嗣久・田中義雄・大島一悟『民法がわかった(わかったシリーズ)』法学書院(2019年9月・改訂第5版)……全7部。2色刷。A5判、448頁。

  • 河上正二『新ブリッジブック鳥瞰民法(全)』信山社(2021年9月)……1冊で民法全分野を概観するコンパクトな入門書。名宛人として留学生をも対象としており、難読漢字にルビを振るなどしている。R3物権法・相続法改正には未対応。債権法改正については対応している箇所もあれば対応していない箇所もありと中途半端な内容となっている。46変型判、216頁。

  • 窪田充見『契約法入門─を兼ねた民法案内』弘文堂(2022年3月)……契約法概説を兼ねた民法(財産法)入門書。講談社ブルーバックスのように面白く読めるものを書きたいというコンセプト(はしがき)ということもあり、ユーモアを含んでおり初学者にも読みやすい。とりわけ債権法改正マターにつき高度な内容をわかりやすく解説している。事項索引がないのが残念。全22章。四六判、272頁。

  • ☆遠藤研一郎『教養としての「民法」入門』日本実業出版社(2025年2月)……民法全範囲(財産法+家族法)を概ねパンデクテン体系に沿って解説。事項索引あり。全9章。四六判、456頁。

(平成29年債権法改正未対応)
  • 我妻榮ほか『民法案内1-11,13』勁草書房(2006年1月-2014年8月)…… 講義口調の格調高い入門書。12巻が未刊のため、契約各論は使用貸借まで。家族法はない。扱う判例や学説がやや古いが、最近の基本書では説明が省かれている箇所について詳細な説明があるという特色がある。知識を補うための副読本としても有用。我妻『民法講義』とは異なる見解を採用している部分があるなど学術的な価値もある。1巻は「私法の道しるべ」と題され、民法の勉強の心構えや最小限知っておくべきことが述べられており、初学者にとって特に有用。川井によって各巻について順次改訂がなされていたが、川井の逝去(2013年)に伴い、改訂は中断している。なお、未刊の12巻は、我妻執筆の賃貸借の途中と川井の執筆からなる予定であったが、川井の逝去と債権法改正を理由に延期されたままとなっている。

  • 幾代通・遠藤浩編、奥田昌道補訂『民法入門(有斐閣双書)』有斐閣(2012年6月・第6版)……旧版(第5版:2006年4月)以後の民法の改正(公益法人制度改革、離婚後の子との面会交流、親権制限など)のほか、利息制限法等の関連法改正に対応。全21章。四六判、326頁。

  • 裁判所職員総合研修所監修『民法概説』司法協会(☆2021年6月・五訂版)……財産法のみ。裁判所職員総合研修所が初めて民法を学ぼうとする人のために、民法の考え方の基本を解説したもの。A5判、326頁(本文304頁)。

  • 山野目章夫編『ブリッジブック先端民法入門(ブリッジブックシリーズ)』信山社(2010年1月・第3版)……民法のコアコンセプト(重要概念─ルール・システム)に容易にアクセスできるように工夫された民法の入門書。第3版において、平成18(2006)年の法人法改正に対応。執筆者(山野目章夫・角田美穂子・池田雅則・高田淳・本山敦)。全20Access。四六判、360頁。

  • 近江幸治『民法講義0 ゼロからの民法入門』成文堂(2012年2月)……第1部 ゼロからの民法入門、第2部 教養民法(民法概論)の2部構成。第2部は、「民法講義」から文章、イラストを補訂・再製作して使用。全9章。A5判、304頁。

  • 椿寿夫『民法(財産法)25講(有斐閣双書)』有斐閣(2006年7月・第2版3訂版)……四六判、300頁。

  • 後藤巻則『条文で読む民法 総則・物権・債権』法学書院(2006年5月)……条文に即して民法総則・物権・債権の基本事項・重要事項を解説。序説(民法の世界へ)+全3編、全22章。A5判、360頁。

  • 成田博『民法学習の基礎』有斐閣(2014年4月・第3版)……四六判、254頁。

  • 木山泰嗣『弁護士が教える 分かりやすい「民法」の授業(光文社新書)』光文社(2012年4月)……紙上における2日間の集中講義。全13時限。新書判、282頁。


【注釈書・コンメンタール】

  • 我妻榮・有泉亨・清水誠・田山輝明『我妻・有泉コンメンタール民法―総則・物権・債権』日本評論社(2022年9月・第8版)……定評のあった我妻・有泉コンメンタール(分冊)を合冊し、現行法又は改正法に合わせて補訂したコンメンタール。したがって、我妻説をベースに現行法・判例等をつぎはぎ補訂していることから、内容に一貫性がないという評価もある。既に克服された我妻説をそのまま載せている箇所もある(たとえば、契約の無効取消における物の返還につき、法189条以下の果実返還、損害賠償、費用償還の規定が適用されるか否かという論点)。原著が民法のみならず関連法令にも多数言及していたことに起因する改訂漏れと思われる箇所もある。内容的な誤りも見受けられる。ただし、短答レベルの知識は網羅している。第8版において2021年物権法改正に対応。債権法改正には第5版(2018年3月)から一応対応はしているものの、改正条文に対する解説はそれほど多くなく、改正前条文の解説をほぼそのまま残しているので、債権法改正をきちんと勉強したい向きには向かない。なお、我妻は1973年に、有泉は1999年に、清水は2011年に逝去。信頼すべき書籍が改訂のたびに、自滅していく姿はロー制度を想起させる。全3編、全22章。A5判、1736頁。

  • 大村敦志・道垣内弘人・山本敬三編集代表ほか『新注釈民法 1、2Ⅱ、5、6、7、8、10、11Ⅱ、13Ⅰ、14、15、16、17、19(有斐閣コンメンタール)〔全20巻(予定)〕』有斐閣(2017年2月-)……判例・学説の現在の到達点を示す本格的コンメンタール。A5判、1(総則(1) §§1~89):862頁、2Ⅱ(総則(2) §§93~98の2):354頁、5(物権(2) §§180~294):854頁、6(物権(3) §§295~372):836頁、7(物権(4) §§373~398の22):674頁、8(債権(1) §§399~422の2):862頁、10(債権(3)§§466~520の20):822頁、11Ⅱ(債権(4) §§533~548の4):436頁、13Ⅰ(債権(6) §§587~622の2):746頁、14(債権(7) §§623~696):712頁、15(債権(8) §§697~711・第2版):1048頁、16(債権(9)§§712~724の2):696頁、17(親族(1) §§725~791):804頁、19(相続(1) §§882~959・第2版):884頁。

  • 谷口知平ほか編『新版注釈民法』有斐閣(1988年6月-2015年9月)…… 研究者、実務家必携の最も信頼できる注釈書。全28巻(全29冊)予定であったが、第9巻・物権(4)改訂版(2015年9月)をもって、諸事情により以降刊行取止めとなった。未完となったのは第5巻(138条-174条の2)、第8巻(295条-368条)、第11巻(427条-473条)、第12巻(474条-520条)、第19巻(709条)、第20巻(710条-724条)だが旧注釈民法で論理的な部分は補うことが出来よう。刊行時期が古いものが多いので注意が必要とはいえ、司法試験対策として最も使いやすいだろう。近年旧版注釈民法とともにデジタルデータ化(DVD)された。また絶版分につきオンデマンド出版で復刊された。

  • 松岡久和・中田邦博編『新・コンメンタール民法(財産法)』日本評論社(2020年9月・第2版)……財産法全分野を1冊にまとめたコンメンタール。コンセプトは「現在の民法に関する法状況をコンパクトに知るために最適化されたコンメンタール」(はしがき)。学説の対立状況にはあえて踏み込まず、判例・通説(多数説)に依拠した叙述を心がけている。判例の引用は基本的に最高裁のものに限定し、学説の引用も判例の考え方を理解するのに必要な限度で行うことを基本としている。条文の重要度に応じて解説に濃淡をつけており、たとえば、相隣関係の条文について注釈がなかったりする。第2版は、主として債権関係を中心とした改正に対応し、2022(令和4)年施行の改正民法(成年年齢引下げ)にも対応。さらに消費者契約法(実体法部分)の条文解説も付されている。我妻有泉コンメより解説は薄いものの、改正債権法にいち早く完全対応している(改正債権法の解説は我妻有泉コンメよりはるかに詳しい。)。なお、本書の内容はTKCのインターネットコンメンタールとしても提供されている。全3編、全22章。A5判、1360頁。

  • 遠藤浩ほか編『基本法コンメンタール 民法総則(別冊法学セミナー)』『同 物権(同)』『同 債権総論(同)』『同 債権各論1(同)』『同 債権各論2(同)』『同 親族(同)』『同 相続(同)』日本評論社(民法総則:2012年4月・第6版、物権:2005年10月・第5版新条文対照補訂版、債権総論:2005年7月・第4版新条文対照補訂版、債権各論1:2005年8月・第4版新条文対照補訂版、債権各論2:2005年8月・第4版新条文対照補訂版、親族:2008年2月・第5版、相続:2007年9月・第5版)……スタンダードなコンメンタール。初版から年月を重ねているため、執筆者の多くが民法学界の大御所となっている。民法現代語化、一般法人法改正に対応した本シリーズは、『新版注釈民法』より新しく、細かい裁判例や学説にまで言及しているため、実務的な利用価値は高い(第一法規の「判例民法シリーズ」は基本判例の紹介が多く、情報量が少ない)。一方で、学生向けという点では、やや情報が古いことは否めない。なお、我妻コンメでは扱われていない親族・相続の出版年月は、それぞれ、2008年2月、2007年9月と比較的新しい。ただし、家族法分野における近時の法改正(平成23・25年等)には未対応であるため、注意が必要である。B5判、民法総則:328頁、物権:384頁、債権総論:248頁、債権各論1:256頁、債権各論2:196頁、親族:372頁、相続:276頁。

  • 鎌田薫・松岡久和・松尾弘編ほか『新基本法コンメンタール 物権(別冊法学セミナー)』『同 債権1(同)』『同 債権2(同)』『同 債権3(同)』日本評論社(物権:2020年2月、債権1:2021年10月、債権2:2020年9月、☆債権3:2024年8月)……学生向けの安価なコンメンタール。『物権』は、2019年までの法律の制定・改正、新判例に対応。『債権1』は、「第3編債権・第1章総則」を扱う。2021年までの法改正、新判例に対応。『債権2』は、「第3編債権・第2章契約」を扱う。債権法改正を受け、2020年までの法改正、新判例に対応。『債権3は、「第3編債権・第3章事務管理・第4章不当利得・第5章不法行為」を扱う。2022年までの法改正、新判例に対応。事項索引・判例索引あり。なお、同シリーズの『親族』『相続』は、以下に記載。B5判、物権:422頁・債権1:368頁・債権2:346頁・債権3:228頁。

〔家族法(親族・相続法)〕

  • 松岡久和・中田邦博編『新・コンメンタール民法(家族法)』日本評論社(2021年4月)……同編者による『学習コンメンタール 民法2 親族・相続(学習コンメンタールシリーズ)』を『新・コンメンタール』シリーズにあわせて改題・改訂した最新のコンメンタール。主に法学部生、法科大学院生が家族法を理解するために、必要不可欠な判例、学説情報を織り込み、条文ごとにメリハリを付けて解説。H30相続法改正など2022年施行の改正民法に対応。A5判・500頁。

  • 松川正毅・窪田充見編『新基本法コンメンタール 親族(別冊法学セミナー)』『同 相続(同) 民法第882条〜第1044条』日本評論社(2019年9月・第2版、☆2023年7月・第2版)……「親族」は、民法親族編、任意後見契約に関する法律、後見登記等に関する法律の逐条解説。再婚禁止期間、成年後見人の事務、特別養子に関する改正等、令和元年6月までの法改正に対応。「相続」は、民法相続編の逐条解説に、相続税、遺言書保管法の解説を加えたもの。民法改正(平成30年、令和3年)に対応。B5判、420頁・368頁。

  • 大塚正之『臨床実務家のための家族法コンメンタール 民法親族編(勁草法律実務シリーズ)』『同 民法相続編(同)』勁草書房(2016年1月、2017年1月)……元裁判官による親族法と相続法のコンメンタール。逐条で本条の趣旨、立法の経緯、実務の運用をそれぞれ解説。A5判、424頁・352頁。

  • 梶村太市『最新民法親族編逐条解説』『最新民法相続編逐条解説』テイハン(2021年8月、☆2022年8月)……A5判、624頁、564頁。

  • 本山敦編著『逐条ガイド親族法 民法725条~881条』『同相続法 民法882条~1050条』日本加除出版(2020年2月、☆2022年11月)……『戸籍時報』連載を書籍化したもの。1.「判例・通説に即して簡潔・明瞭に条文を説明」、2.「戸籍先例に目配りをする」という編集方針でまとめられた法律実務家・戸籍行政従事者用の逐条解説書。債権法・相続法の大改正、重要な最高裁判例に対応。A5判、480頁、508頁。

【判例集・ケースブック】

  • 潮見佳男・道垣内弘人ほか編『民法判例百選I・II・III』有斐閣(I 総則・物権: ☆2023年2月・第9版、II 債権: ☆2023年2月・第9版、III 親族・相続: ☆2023年2月・第3版)……スタンダードな判例集。第8版等は、総則・物権分野101件、債権分野111件、親族・相続分野101件を収載。B5判、212頁・232頁・212頁。

  • 遠藤浩・川井健・民法判例研究同人会編『民法基本判例集』勁草書房(2020年9月・第4版)……ダットサン民法に対応した、解説なしのシンプルな判例集。第4版において、旧版(2014年12月・第3版補訂版)を抜本的に刷新、民法全編452件の重要判例を事実と判旨のみでコンパクトに収録。姉妹書・ダットサン民法第1巻(未刊行)、第3巻(2020年3月・第4版)と相互のクロスレファレンスがなされ、学習の便宜が図られている。 債権法・相続法改正に対応。なお、編者の遠藤は2005年5月に、川井は2013年5月に逝去され、第4版から、民法判例研究同人会が編者となった。四六判、576頁。

  • 原田昌和ほか『民法①〜⑤ 判例30!(START UPシリーズ)』有斐閣(①総則:2017年12月(2025年3月第2版改訂予定)、②物権:☆2023年4月・第2版、③債権総論:2017年11月、④債権各論:2017年11月、⑤親族・相続:2017年12月)……はじめての判例学習のためのシリーズ。2色刷。B5判、124頁・132頁・140頁・136頁・126頁。

  • 河上正二ほか編著『新・判例ハンドブック』日本評論社(民法総則:2015年5月、物権法:2015年4月、債権法I:2018年3月、債権法II:2018年4月、親族・相続:2014年3月)……民法総則は消費者契約も含めた158件、物権法は担保物権法を含む134件、債権法I(債権総論)は181件、債権法II(債権各論)は238件、親族・相続は184件の判例を収録。債権法I・IIはいずれも平成29年改正民法に対応。四六判、192頁・160頁・216頁・288頁・216頁。

  • 内田貴ほか『民法判例集』有斐閣(総則・物権:2014年4月・第2版、☆担保物権・債権総論:2023年9月・第4版、債権各論:2020年4月・第4版、親族・相続:2014年4月)……内田民法と同じ体系でまとめられている。取り上げられている判例の数が多く、判旨の引用も長い。解説は判例百選よりも短いが、端的に書かれている。『総則・物権』は、判例205件(総則131件、物権74件)を、『親族・相続』は、判例167件(親族84件、相続83件)を収録。A5判、416頁・444頁・458頁・396頁。

  • 松本恒雄・潮見佳男編『判例プラクティス民法I・II・III』信山社(☆I 総則・物権: 2022年5月・第2版、☆II 債権: 2023年9月・第2版、III 親族・相続: 2020年12月・第2版)……収録判例数は順に393、407、195件と多数。B5版1ページに事案・争点・判旨・解説と多くの事項を盛り込みすぎの感がある。ひとりの執筆者が同じ分野の複数の判例をまとめて解説しているので、判例相互の関連を理解しやすい。B5判、442頁・438頁・214頁。

  • 奥田昌道・安永正昭・池田真朗編『判例講義民法I・II』悠々社(I 総則・物権:2014年11月・第2版、II 債権:2014年11月・第2版)……学生向けの参考書として定評のある判例集。判例百選に比べて平易なので、初学者向きである。ただし、本のサイズは、判例百選より大きく重い。I 総則・物権(第2版)は、新判例24件を取り込み、総則77件、物権106件の合計183判例を、II 債権(第2版)は、新判例18件を取り込み、合計194件をそれぞれ1~3頁で解説。A5変型判、277頁・278頁。

  • 佐久間毅・松岡久和編『判例講義民法I 総則・物権』池田真朗・片山直也・北居功編『判例講義民法II 債権』勁草書房(I 総則・物権:☆2024年5月・第3版、II 債権:2023年2月・新訂第3版)……上記『判例講義民法』を勁草書房が引き継ぎ全面改訂。ひとりの執筆者が同じ分野の複数の判例をまとめて解説。B5判、288頁・304頁。

  • 佐藤貴則・林道晴編著『Catch the CASE 民法』商事法務(2013年7月)……司法研修所民事弁護教官や法科大学院で実務家教員の経験をもつ弁護士が、民法の主要判例15のケースを素材に、判例の事案や当事者の主張について解説。執筆者(原田史緒・植松祐二・姫野博昭・木内雅也)。A5判、244頁。

  • 水野謙・古積健三郎・石田剛『〈判旨〉から読み解く民法(法学教室ライブラリィ)』有斐閣(2017年5月)……法学教室(391 号~ 414 号)の連載「逆引き民法☆24の判旨」に新たに6つの判例を加え、単行本化したもの。全30講を収録。債権法改正等にも対応。A5判、536頁。

  • 新美育文ほか編著『民法(財産法)基本判例』有斐閣(2018年8月)……昭和45年以降(昭和45 年1 月~平成29 年12 月)の最高裁判例のうち、民法(財産法)に関する重要判例を391件収録。収録判例は、学習上の重要度に応じて「基本判例」と「参考判例」に分類して掲載されている。編者(新美育文・長坂純・難波譲治・川地宏行・武川幸嗣・青木則幸)。全6編。A5判、410頁。

  • 髙橋眞『判例分析による民法解釈入門』成文堂(2018年6月)……全11章。A5判、258頁。

  • 髙橋眞『民事判例の観察と分析』成文堂(2019年4月)……A5判、330頁。

  • 能見善久・加藤新太郎編『論点体系 判例民法 第1巻~第11巻〔全11巻〕』第一法規(2018年12月-2019年8月・第3版)……判例の状況を逐条形式で解説した判例コンメンタール。条ごとに法律上の問題点(論点)を体系化し、論点ごとに判例の到達点を明示。また、必要に応じて学説との関連も解説。第3版において、改正民法(債権法・相続法)完全対応。なお、「債権総論」が2分冊となり、全11巻となった。A5判、第1巻〔総則〕:592頁、第2巻〔物権〕:536頁、第3巻〔担保物権〕:388頁、第4巻〔債権総論Ⅰ〕:496頁、第5巻〔債権総論Ⅱ〕:416頁、第6巻〔契約Ⅰ〕:496頁、第7巻〔契約Ⅱ〕:548頁、第8巻〔不法行為Ⅰ〕:552頁、第9巻〔不法行為Ⅱ〕:694頁、第10巻〔親族〕:716頁、第11巻〔相続〕:674頁。

〔ケースブック〕

  • 磯村保・大橋正春・川島清嘉・松本恒雄編著『民法(法科大学院ケースブック)』日本評論社(2004年10月)……全30章。B5判、640頁。


【演習書】

  • ☆岩川隆嗣・大塚智見・小峯庸平・瀬戸口祐基『民法演習 はじめて解いてみる16問』有斐閣(2024年10月)……東大出身の若手研究者らによる初学者のための民法演習書。大学1年からロースクール生まで使え、基本的な事例問題に対する民法の解き方を指南する。演習に入る前に、法的三段論法についての説明や、判例・学説の答案への落とし込み方等が記載されている。実践編では、16の事例に対し、詳細な解説が施されており、5つの問題には答案構成、答案例が記載されている。また、それらが記載されていない問題については、有斐閣サポートに追記されており、全問に答案構成、答案例がある。答案例は、詳細で初学者に分かりやすい反面、予備校答案よりは冗長であることには留意すべきである。ストゥディア民法、アルマ(Specialized)、リーガルクエストの各該当ページも示されており、独習者にも大変優しい書籍である。なお、入門向けであることから、要件事実は意識されていない。まずは、ここから。A5判、188頁。

  • ☆池田清治『新・基本事例で考える民法演習(すっきり民法玉手箱)』日本評論社(2025年2月)……下掲『基本事例で考える民法演習1・2(法セミ LAW CLASS シリーズ)』日本評論社(2013年3月、2014年11月)の新法対応の続編。著書は北大ローの教員。問題→参考答案→解説は、同一の形式。学生からの質問を基にしたコラムもある。設問は、家族法を含む全範囲の16問。上掲・有斐閣『はじめて…16問』は全くの入門用演習書だが、こちらは、法科大学院で出題した試験問題(未修1年対象)を基にした一段階上の演習書。論点解説は、知識があることを前提にしている。参考答案は、法的三段論法に忠実で実践的である。論文勉強法を解説するガイダンス的なサンプル(問題)レジュメと解説動画が、日本評論社にある。六法だけで答案を「書く」ということの意味を再認識させる。なお、要件事実には触れていない(はしがき)。A5判。192ページ。

  • 岡口基一『要件事実の考え方で解いてみよう 司法試験・予備試験の民法の解法-物権編-』創耕舎(2025年3月)……著書への質問アカウントが、エックスにある。修習での基本姿勢でもある調べ尽くした上での質問など、有益となる活用が望まれる。なお、誤字脱字・内容過誤などの指摘は、岡口講師が歓迎しており、該当箇所も上記エックスでポストしている。総則や債権など、続編が望まれる。

  • 古積健三郎『実戦演習民法——予備試験問題を素材にして』弘文堂(2021年10月)A5判、288頁。……平成23年から令和2年(令和元年度は著者が考査委員の為なし)までの予備試験の過去問を解説している。基礎編、応用編、発展編と分けており、初学者であっても基礎編を読めば概ね学習が可能である。また、中上級者でも応用編では学べる点も多々ある。発展編は、学者としての威厳を示すためか学術的な記述が多く、試験対策としては一読すれば十分である。また、参考答案は実際の試験において書くことが可能な範囲で抑えられている(2000〜2500字)ため、答案の練習としても最適な一冊である。なお、平成25年の問題については、「率直にいえば、今回の問題には個人的にはかなり疑問がある」とし、参考答案はない。予備校の答案と学者の答案を見比べ、答案の質を上げることが出来るのではなかろうか。著者の予備校嫌いが如実に出ている記述も、一読すると面白い。

  • ☆執行秀幸『民法の事例問題を解けるようになるのは何故難しいのか——認知科学の知見から民法の学びを考える』信山社(2025年1月)……標題の通りである。悩める人は、図書館等で参照されたい。末尾の加賀山茂による要約を一読すれば足りる。全盛期の伊藤真講師のフローチャートや論証パターンが解決になるのではなかろうか。A5変。272頁。

  • 千葉恵美子・潮見佳男・片山直也編『Law Practice 民法Ⅰ・Ⅱ』、棚村政行・水野紀子・潮見佳男編『同・Ⅲ』商事法務(Ⅰ 総則・物権編、Ⅱ 債権編:☆いずれも2022年10月・第5版、Ⅲ 親族・相続編:☆2022年7月・第2版)……法学部の3・4年生から法科大学院生等を対象とした自学自習用の演習書。『Ⅰ』及び『Ⅱ』については、債権法改正に対応。『Ⅲ』は第2版において、平成30年相続法改正、令和3年民法・不動産登記法改正に対応。A5判、432頁・424頁・408頁。

  • 民法総合教材研究会編『民法総合・事例演習』有斐閣(☆2023年10月・第3版)……京大系の民法教授陣による事例問題集。通称「京大本」。ほとんどの問題に解説・解答はなく、設問・チェックポイント、参考文献が羅列されているだけであるので、独習には使えない。学生同士でゼミを組んで学習するにしても、問題がどれも高度かつ難解であり、司法試験合格レベルをゆうに超えていることから、消化不良に陥らないように注意しなければならない。第3版から、松岡久和・潮見佳男・山本敬三に京大の民法教授陣を加えた、民法総合教材研究会が編者となった。A5判、176ページ。

  • 沖野眞已・窪田充見・佐久間毅編著『民法演習サブノート210問』弘文堂(2020年12月・第2版、☆2025年3月第3版予定)……下掲「演習ノートシリーズ」の姉妹書。一冊で民法全体をカバーし、210の具体的な事例で民法の基本中の基本を学ぶための演習書。1項目2頁。1頁目(表)に簡単な設例と質問、そして、参考判例を、2頁目(裏)に解説。基本的に1項目1論点となっている。改正民法対応。第2版では、相続法改正に対応し、新判例や議論の展開を踏まえて全体をブラッシュアップした。A5判、438頁。

  • 平野裕之『新・考える民法I-IV』慶應義塾大学出版会(I 民法総則:☆2023年4月・第2版、II 物権・担保物権:2019年4月、III 債権総論:2020年4月〔☆2024年6月・第2版改訂予定〕、IV 債権各論:2020年10月)……司法試験で上位合格する論文力を養うことを目的とした演習書。上位合格を目指すための演習書だけあって問題の難易度はかなり高く、本試験以上と言っても過言ではない。解説は改正民法に対応している。答案構成サンプルあり。民法総則は14問、物権・担保物権は15問、債権総論は12問、債権各論は16問収録。正誤情報あり。A5判、288頁・352頁・240頁・352頁。

  • 平野裕之『コア・ゼミナール 民法(ライブラリ 民法コア・ゼミナール)I-IV』新世社(I 民法総則:2019年4月、II 物権法・担保物権法:2019年10月、III 債権法1:2020年5月、IV 債権法2:2020年6月)……財産法完結。同著者による『コア・テキスト 民法』シリーズの姉妹書。「事例問題の千本ノック」ともいうべき演習書。民法総則は173、物権法・担保物権法は233、債権法1(債権総論・契約総論)は225、債権法2(契約各論・事務管理・不当利得・不法行為)は222のCASE(設問)を収録。改正民法対応。A5判、184頁・248頁・256頁・256頁。

  • ☆千葉恵美子・川上良・高原知明『紛争類型から学ぶ応用民法I 総則・物権』『同II 債権総論・契約』日本評論社(2023年4月)…全4巻シリーズ予定。A5判、336頁。

  • ☆石田剛・野々上敬介・溝渕将章・吉永一行『民法チェックノート①総則』有斐閣(2023年12月)……B5判、160頁。(評価待ち)

(平成29年債権法改正未対応)
  • 松久三四彦・藤原正則・池田清治・曽野裕夫『事例で学ぶ民法演習』成文堂(2014年4月)……北大の民法教授陣によって執筆された演習書。通称「北大本」。財産法全体をカバー。問題形式は旧試に近く、民法の論点を満遍なくおさえるスタイルとなっている。解説は平易かつ丁寧で、判例・通説を踏まえ、あてはめもしっかりなされている。民法の基本的な力を蓄える問題集としては、これが最適であろう。A5判、332頁。

  • 池田清治『基本事例で考える民法演習1・2(法セミ LAW CLASS シリーズ)』日本評論社(2013年3月、2014年11月)……『事例で学ぶ民法演習』の著者の一人による問題集。同書よりも難易度が高いため、本書に取り組むならば、同書の次ということになろう。自説を強く押し出している箇所もあるので、その点には留意が必要である。解説は規範定立→あてはめ→結論という法的三段論法に忠実であり、民法の事例問題の解き方を学ぶには非常に有益な問題集となっている。A5判、192頁・200頁。

  • 佐久間毅・曽野裕夫・田高寛貴・久保野恵美子『事例から民法を考える(法学教室ライブラリィ)』有斐閣(2014年4月)……法学教室の連載を単行本化した問題集。家族法までカバーしている。新司法試験を意識した長文の事例問題であり、旧司法試験の問題形式に近い『事例で学ぶ民法演習』とは好対照をなす。全体的に難易度が高く、高度で些末な部分を問う設問が多い(特に佐久間担当箇所)ため、実践的でないという声もある。A5判、438頁。

  • 赤松秀岳『ロースクール演習 民法』法学書院(2015年1月)……全38問。A5判、376頁。

  • 赤松秀岳『基本演習民法』法学書院(2017年4月)……全31題。解答例あり。A5判、288頁。

  • 窪田充見・佐久間毅・沖野眞已編著『民法演習ノートIII―家族法21問(演習ノートシリーズ)』弘文堂(2013年12月)……執筆者(磯谷文明・ 浦野由紀子・小池泰・西希代子)。A5判、492頁。

  • 伊藤進『旧司法試験 論文本試験過去問 民法(LIVEシリーズ)』辰已法律研究所(2004年1月)……旧司法試験の過去問集。元旧司法試験委員の伊藤進教授の辰已での解説講義を書籍化。解説、教授監修答案(or再現答案)からなる。全26問。絶版だったがオンデマンドで復刊された。論点の解説をすることではなく、問題分析の思考過程を示すことに眼目をおいてあるため、明確な結論を示していないこともある。平成15(2003)年担保法改正まで対応。

  • 山野目章夫・野澤正充編著、滝沢昌彦・水野謙・松尾弘・田髙寛貴著『ケースではじめる民法』弘文堂(2011年3月・第2版)…… 入門書の次に読む2冊目のテキスト又はテキスト代わりの入門演習書。全30講。A5判、380頁。

  • 山野目章夫・横山美夏・山下純司『ひとりで学ぶ民法』有斐閣(2012年4月・第2版)……段階的な3つのステップの問題群で構成。Stage1(カドリーユ:分野ごとの基本的な問題):全30問、Stage2(シュジェ:社会生活上出くわす具体的主題を取り上げた事例問題):全16問、Stage3(エトワール:分野横断的な長文の問題):全4問を扱う 。A5判、316頁。

  • 田山輝明『事例演習 民法』法学書院(2012年2月)……全6編。財産法のみ。A5判、464頁。

  • 出口尚明監修『設題解説 民法(三)』法曹会(2015年11月)……初学者が理解しておくべき民法上の一般的、基本的な問題を設題として取り上げ、具体的な事案に即して、判例、通説の立場から解説。全20章。新書判、288頁。

  • 三和一博・橋本恭宏編『演習ノート 民法総則・物権法』法学書院(2007年10月・第5版)…A5判、232頁。

  • 石川信・藤村和夫編『演習ノート 債権総論・各論』法学書院(2012年3月・第5版)…A5判、240頁。

  • 小野幸二編『演習ノート親族法・相続法』法学書院(2009年3月・第4版)…A5判、288頁。

  • 山田卓生・野村豊弘・円谷峻・鎌田薫・新美育文・岡孝・池田真朗『分析と展開民法I 総則・物権』、『同II 債権』弘文堂(2004年6月・第3版、2005年8月・第5版)……A5判、376頁・368頁。

  • 川﨑直人『司法試験論文過去問演習民法 実務家の事案分析と答案作成法』法学書院(2018年10月)……サンプル問題から平成29(2017)年までの問題を収録。なお、改正民法には対応していない。序章(民法の事例問題分析法)+全13章。A5判、400頁。

(古典)
  • 安永正昭・道垣内弘人『民法解釈ゼミナール2 物権』有斐閣(1995年11月)……A5判、176頁。

  • 道垣内弘人・大村敦志『民法解釈ゼミナール5 親族・相続』有斐閣(1999年12月)……旧司法試験の問題のような短めの事例問題が並ぶ。理論的に高度な内容ではあるが、内容が古くなっている。A5判、218頁。

  • 遠藤浩・川井健編『ワークブック民法(有斐閣双書)』有斐閣(1995年8月・第3版)……四六判、400頁。

  • 池田真朗・浦川道太郎・瀬川信久・安永正昭『基礎演習民法(財産法)(基礎演習シリーズ)』有斐閣(1993年3月)……四六判、370頁。

  • 下森定・半田正夫編『民法1・2(司法試験シリーズ)』日本評論社(いずれも、1994年3月・第3版)……民法1は、総則・物権・担保物権・親族・相続を、民法2は、債権総論・債権各論・不法行為を扱う。B5判、頁・頁。

  • 加藤雅信『民法ゼミナール』有斐閣(1997年12月)……A5判、338頁。

  • 平野裕之『法曹への民法ゼミナールI [総則・物権]』法学書院(2003年12月)……受験新報の誌上答練を書籍化したもの。A5判、220頁。

  • 平野裕之『事例から考える民法 [債権法]』法学書院(2012年2月)……旧著『法曹への民法ゼミナールII [債権]』(2003年12月)の改題・改訂版。A5判、325頁。

  • 平野裕之『設例演習式 考える民法I-IV』辰已法律研究所(I 総則: 1999年12月、II 物権法・担保物権法: 2001年6月・補訂版、III 債権総論: 1997年1月、IV 債権各論: 1998年1月)……答案構成例あり。絶版。


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最終更新:2025年04月24日 22:03
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