民法(債権総論)


【基本書】

〔メジャー〕

  • 中田裕康『債権総論』岩波書店(☆2025年3月・第5版)……債権総論基本書の決定版。弁護士経験もある学者による本格的体系書。潮見説などの京大系学説や比較法にも目配りが利いている。かゆいところに手が届く丁寧かつ分かりやすい記述は、学生はもとより学者からも評判がよい。判例・通説をしっかり解説したうえで学説の整理を行い、その上で自説を展開するため、押さえるべきポイントが明確になっている。文献引用も丁寧で行間を読む必要もない。厚すぎるため、初学者が全体を通読するのには適さないが、学説の紹介を読み飛ばして判例・通説の部分だけを読む使い方も容易なので、初学者にとっても、便利な書物である。以上の理由から、国家試験・資格試験志望者が、辞書的に使うのには最善の選択肢。「受験新報」2019年12月号特集「合格者が使った基本書」債権総論2位。
    【改訂】第4版は、2017年債権法改正が織り込まれ、全面改訂された。第5版では、担保法改正の動向や判例のアップデートがなされた。序章(債権総論とは何か)+全4編、全10章。A5判、828頁。

  • 潮見佳男『プラクティス民法 債権総論(プラクティスシリーズ)』信山社(2020年4月・第5版補訂)……債権総論における定番基本書の一つ。著者は2022年に逝去。本書は学部・ロースクールのテキストとしての使用が想定されているが、その情報量は多く、かつ理論水準も高い。内容は同著『債権総論Ⅰ・Ⅱ(法律学の森)』を要約した部分も多いが、本書では判例・通説+有力説1個程度の説明にとどめており、著者の自説と判例・通説に距離がある場合は自説を主張しない部分も多い。もっとも、明示的ではないが、言葉の端々に著者の考えが反映されている(「…と考えられている」など)。教科書としての役割を持たせることが意識はされているが、文章自体の読みやすさは、上記の中田『債権総論』には劣る。他に中田『債権総論』との違いとして、①本文中にCaseが多用されていること(Caseの解答はないものの、それを踏まえて原理原則・判例の解説がなされている)、②要件事実を意識した構成になっていること、③判例のとる論理をナンバリングを用いて丁寧に整理していること、などが挙げられる。中田『債権総論』が東大系通説に近い立場から引用文献を明示したうえで、近時の有力説を整理しているのに対し、本書は引用文献なしで、京大学派やその他の有力説の立場を前提に説明を進めている部分があるため、本書の記述をうのみにして、判例・通説とイコールであると考えてはいけない。著者の債権各論教科書は圧倒的定番となっているため、債権分野を同一著者の書籍で揃えたい人には、良い選択肢となる。第5版補訂において、債権法・相続法の改正に対応。2023年1月増刷分からソフトカバー化。「受験新報」2019年12月号特集「合格者が使った基本書」債権総論1位。全14章。A5変型判、730頁。

〔その他〕

  • 松井宏興『債権総論(民法講義4)』成文堂(2020年2月・第2版)……担保物権法の基本書が人気を博している著者による債権総論の基本書。設例を通し、判例・通説に沿って、債権総論を平易に解説する。上記の中田や潮見と比べると論点の記述に鋭さはなく、内容も十分に整理されていないなど完成度は見劣りするが、コンパクトであるという点で存在価値がある。全7章。A5判、344頁。

  • 内田貴『民法3 債権総論・担保物権』東京大学出版会(2020年4月・第4版)……旧司法試験時代の定番書。著者は法務省参与として債権法改正において中心的役割を果たした学者の一人。機能的観点から、債権総論と担保物権をセットにして解説している。第4版において、2020年4月に施行された改正民法に完全対応し、実務に役立つことも視野に入れる執筆方針の見直しがされた(はしがき参照)。内田民法シリーズの中では、最も評価が高い。全3部、全17章。A5判、720頁。

  • 近江幸治『民法講義IV 債権総論』成文堂(2020年10月・第4版)……内田以前の定番書。A5判、352頁。

  • 潮見佳男『新債権総論Ⅰ・Ⅱ(法律学の森)』信山社(Ⅰ:2017年6月、Ⅱ:2017年7月)……法制審幹事として債権法改正に関わった著者による改正法対応の体系書。Ⅰは第1編・契約と債権関係から第4編・債権の保全まで、Ⅱは第5編・債権の消滅から第7編・多数当事者の債権関係までを収める。「新法をもとに法律問題を処理していくプロフェッショナル(研究者・実務家)のための理論と体系を示した書物」で「「教科書」としての性質を持たせることは意識の片隅にすらない」(はしがき)と明言されており、受験生が通読するための本ではない。内容は質・量ともに圧倒的であり、調べ物用に適する。なお、下掲『旧森』に比べ、いわゆる「潮見語」は減っており、格段に読みやすくなっている。A5変型判、906頁、864頁。

  • 奥田昌道・佐々木茂美『新版 債権総論 上巻・中巻・下巻』判例タイムズ社(上巻:2020年6月、中巻:2021年4月、下巻:2022年3月)……下掲『債権総論』悠々社(1992年7月・増補版)の実質的な改訂新版。今般の改訂は佐々木、執筆補助者の裁判官らが主導して行ったものと推測され、そのため従来の判例実務の延長線上に債権法改正を位置づけるなど、手堅い内容となっている。そのため実務向けの内容の加筆が多く、理論的体系書であった悠々社版とは全く別物と言って良い。全3冊、本文1307頁の大作。上巻:序論+全3章(総論・債権の目的・債権の効力)、中巻:全2章(債権の効力・多数当事者の債権関係)、下巻:全2章(債権譲渡と債務引受・債権の消滅)。A5判、368頁・516頁・560頁。

  • 野村豊弘・栗田哲男・池田真朗・永田眞三郎・野澤正充『民法III 債権総論(有斐閣Sシリーズ)』有斐閣(☆2023年4月・第5版)……第4版において、平成29(2017)年の民法改正に対応。なお、永田は2017年に逝去。また、第4版(2018年5月)から、野澤が執筆者として加わった。全8章。四六判、342頁。第5版評価待ち。

  • 平野裕之『債権総論』日本評論社(☆2023年4月・第2版)……平成29年改正に対応。債務不履行の帰責事由について、新しい契約責任説(契約の拘束力説)ではなく、特約のない場合のデフォルト・ルールとしての過失責任主義を採用したものとする説を採る。全11章。A5判、604頁。

  • 野澤正充『債権総論 セカンドステージ債権法II(法セミLAW CLASSシリーズ)』日本評論社(☆2024年4月・第4版)……法学セミナー誌上での連載を書籍化したもの。適度に高度な内容を盛り込みつつも、判例・通説中心でまとめられており使い勝手が良い。引用は重要文献に厳選。重要判例は本文に織り込む。自説僅少。第3版において、新民法(債権法改正)に完全対応。全6章、全27節。A5判、384頁。

  • ☆山野目章夫『民法概論3 債権総論』有斐閣(2024年4月)……講義調というか物語調というか独特の文体。常に事例を挙げて説明してくれるのでイメージをざっくり掴むのに向いている。反面説明が冗長と見る向きもあるだろう。従来の説明を所与のものとしないという意味で高レベル。条文索引(事項索引・判例索引もあり)が付されているのは至便。全11章。A5判、586頁。

  • 松尾弘・松井和彦・古積健三郎・原田昌和『新ハイブリッド民法3 債権総論』法律文化社(2018年10月)……『ハイブリッド民法』の債権法改正対応版。序+全6章。A5判、350頁。

  • 中舎寛樹『債権法 債権総論・契約』日本評論社(2018年3月)……便宜上、「債権総論」において取り上げているが、書名の『債権法』からも推定できるように、債権各論分野(契約)も含まれている。内容に誤りが散見される点(425頁:債務者自身が権利を行使していないことが債権者代位権の再抗弁事由であるとするが、正しくは債務者自身が権利を行使したことが抗弁事由となる。459頁:詐害行為取消権の確定判決が勝訴であれ敗訴であれその既判力が債務者及びすべての債権者に対して及ぶとあるが、認容確定判決のみ既判力が及ぶのが正しい。←山野目章夫『民法概論3 債権総論』243頁は、「判決の既判力は民事訴訟法115条が定めるところに従う。その際、詐害行為取消請求を棄却する判決の既判力も、同条の範囲の者に及ぶ。この点は、425条が定めるところと異なる。」とされているので同記述は正しいのではないか。)には注意。平成29(2017)年改正に対応。序章+全22章。A5判、552頁。

  • 手嶋豊・藤井徳展・大澤慎太郎『民法III 債権総論(LEGAL QUEST)』有斐閣(2022年3月)……A5判、434頁(本文412頁)。

  • 石田穣『債権総論(民法大系(4))』信山社(2022年11月)……比較法(独・仏・瑞)的記述が充実した体系書。独自説多数で債権法改正にも批判的。債務者の責務としてのObliegenheit、債務不履行の類型論(客観責任的債務不履行・主観責任的債務不履行・結果責任的債務不履行)、損害賠償の範囲における危険性関連説、債権の二重移転(譲渡)不可能説など。A5変型判、1068頁。

  • ☆片山直也・白石大・荻野奈緒『民法4 債権総論(有斐閣アルマSpecialized)』有斐閣(2023年4月・第2版)……初版と執筆者を入れ替えており実質的な新著。情報量は多くクオリティも高くまとめ用に適するが、反面初心者向けとは言いがたい。序章+全16章。四六判、452頁。

  • ☆原田剛『債権総論講義』成文堂(2024年8月)……2017年債権法改正にかかる重要論点については必要に応じ改正前の学説判例についても言及していること、沿革的記述に詳しいこと、於保・奥田(=佐々木)・前田など京大学派の引用が多いことなどが特徴的。事項索引・判例索引あり。全6章。A5判、496頁。

(平成29年債権法改正未対応)
  • 潮見佳男『債権総論Ⅰ・Ⅱ(法律学の森)』信山社(Ⅰ 債権関係・契約規範・履行障害:2003年8月・第2版、Ⅱ 債権保全・回収・保証・帰属変更:2005年3月・第3版)……「学部における債権総論を対象とした準教科書(学習書)としての役割を切り捨てて理論ベースでの叙述に徹し」(はしがき)、債権者利益(契約利益)中心の体系という観点から債権総論(及び契約法総論)を再構築した理論と実務を架橋する意欲的な体系書。債権法改正の理念を支える理論的支柱といっても過言ではなく、新版注釈民法の潮見執筆部分(10巻1、10巻2、13巻)と併せて債権法改正に関する必読文献の一つである。内容は極めて難解であり、「潮見語」と呼ばれる著者独特の用語法に起因する読みづらさとも相俟って、学生からは「森」ならぬ「樹海」であると皮肉られている。A5判、640頁・A5変型判、770頁。

  • 淡路剛久『債権総論(法学教室ライブラリィ)』有斐閣(2002年12月)……法教連載の単行本化。とはいえ、中身は正統派の体系書。立法経緯、外国法については活字のポイントを落として記載している。奥田ら伝統的通説、平井説の後世代かつ内田・潮見・中田らの前世代という位置づけ。連載・出版時期が国際的な債権法現代化の潮流が起こる直前なので、その意味で過渡期の内容となっている。全6章。A5判、656頁。

  • 平野裕之『債権総論(プラクティスシリーズ)』信山社(2005年2月)……学説が上手く整理されている。序章+全6章。A5変型判、560頁。

  • 内田勝一『債権総論(法律学講義シリーズ)』弘文堂(2000年10月)……損害賠償で自説。図がないのが難。全9章。A5判、376頁。

  • 中田裕康・高橋眞・佐藤岩昭『民法4 債権総論(有斐閣アルマSpecialized)』有斐閣(2004年4月)……全9章。四六判、336頁。

  • 渡辺達徳・野澤正充『債権総論(弘文堂NOMIKAシリーズ3)』弘文堂(2007年11月)……無難な出来。全7章。A5判、344頁。

  • 本田純一・小野秀誠『債権総論(新・論点講義シリーズ7)』弘文堂(2010年3月)……全27講。2色刷。B5判、252頁。

  • 吉田邦彦『債権総論講義録(契約法I)』信山社(2012年7月)……A5変型判、288頁。

  • 小野秀誠『債権総論(法律学の森)』信山社(2013年9月)……パンデクテン体系に沿った構成で、図式を多用。通説的見解を最新の学説や比較法的見地(とりわけ詳しい)を取り入れて微修正するといった趣きであり、先行する潮見や中田より穏当な学説を採る。学説は代表的な見解の紹介にとどめており、債権法改正についてはあえて触れていない(ただし、その背景にある思想を学ぶことは可能である)。従来の基本書と比較して、一風変わった判例や事案を紹介していると感じる箇所がいくつかあり、著者の視野の広さが伺われる。法律学の森の水準を保ちながらも、受験生にとっても読みやすい。中田の情報量に圧倒された人におすすめ。A5変型判、560頁。

  • 遠藤研一郎『民法3(債権総論)』中央大学出版部(2009年3月)……債権総論に関する基本的事項について、項目を立てて分かりやすく紹介している。本書は中大通信教育部での講義テキストであり、初学者向けの教科書という趣に徹しているため、主に判例・通説に従って記述されている。ただし、一般向けには販売していないため、欲しい人は中大生協で直接購入するか、Amazonなどで中古品を手に入れるしかない。

(古典)
  • 於保不二雄『債権総論(有斐閣法律学全集)』有斐閣(1972年4月・新版、OD版:2006年4月)……A5判、435頁。

  • 奥田昌道『債権総論』悠々社(1992年7月・増補版)……元京大教授・最高裁判事。伝統的通説。各種文献で引用される回数が圧倒的に多く、我妻民法講義以降の債権総論の代表的体系書。判例・学説解説共に徹底的。『債権総論(増補版)』(1992年・悠々社)の前身は、『債権総論(1)上』(1982年)、『債権総論(1)下』(1987年・共に筑摩書房)であり、平成4年(1992年)に合本するに際し、若干の加筆・修正を施して、新たに悠々社から刊行されたものである。A5判、632頁。

  • 前田達明『口述 債権総論(口述法律学シリーズ)』成文堂(1993年4月・第3版)……著者の京大での講義を録音したテープをもとに書かれている。執筆段階でかなり手が加えられているため、臨場感はそれほどでもないが、平易な口語を用いた説明は非常に丁寧で分かりやすい。判例その他の具体例を豊富に挙げるが、いわゆるケースメソッドとは異なる、オーソドックスなスタイルである。歴史的沿革の説明が詳しい(一般的な概説書の水準を遥かに超えている)点に特徴がある。伝統的な債権法理論を箇条書きではなく、説明するお手本。著者の体系がそれほど前面に出ていないため、読み手の学習段階を問わないとっつきやすさがある。A5判、590頁。

  • 平井宜雄『債権総論(法律学講座双書)』弘文堂(1994年1月・第2版(1996年11月の4刷にて部分補正)、OD版:2019年3月)……通説に対するアンチテーゼとして一時代を画した。立法者意思や制度趣旨から演繹的かつ丁寧に解釈していくスタイルに定評がある。現在は平井説の批判をふまえた新しい世代の学説が主流となりつつあり、その意味では本書はその役割を終えたというべきだろう。試験対策としては有用とはいいがたいが、相当因果関係説批判は、理解のために一読の価値はあるかもしれない。判例・通説を十分に理解した上で取り組むべき本。現在絶版。オンデマンド版については、第2版8刷:2007年5月30日の内容。なお、著者は、2013年11月に逝去。全6章。A5判、386頁。

  • 林良平(安永正昭補訂)・石田喜久夫・高木多喜男著『債権総論(現代法律学全集)』青林書院(1996年8月・第3版)……A5判、590頁。

  • 遠藤浩・水本浩編『債権総論(青林教科書シリーズ)』青林書院(1986年3月)……A5判、248頁。

  • 円谷峻『債権総論——判例を通じて学ぶ』成文堂(2010年9月・第2版)……著者は2017年に逝去。「学生、とくに未修者が債権総論を最初から最後まで学習することが、大陸法の民法を有するわが国では依然として重要であり、体系的思考性の涵養のために必要」という観点から作成された債権総論の「教材」。債権総論の体系を尊重しつつ、なるべく判例の動向、判例法による法形成を中心にして論述(以上、はしがきより。)。学説の検討については最低限に留めているとされるが、脚注も含めれば相当な情報量を含んでいる。比較法的記述(ドイツ債務法現代化法に対応)も充実している。A5判、448頁。

  • 清水元『プログレッシブ民法[債権総論]』成文堂(2010年4月)……著者は2014年に逝去。全10章。A5判、360頁。


【その他参考書】

(平成29年債権法改正未対応)
  • 田山輝明『特別講義 債権総論』法学書院(2009年5月)……第1講で、債権法全体の基礎〈債権法の構成と体系、債権の意義、債権の目的、価格算定不能の目的物〉を掲げ、第2講~第19講で、債権総論の重要テーマについて解説したテキスト。全19講。A5判、224頁。

〔H29債権法改正関連書〕

<改正法成立(平成29(2017)年6月2日)以前>

  • 大村敦志『民法改正を考える(岩波新書)』岩波書店(2011年10月)……東京大学における「民法改正——留学生のため民法案内(2)」の講義ノートをまとめたもの。債権法改正にとどまらず、家族法改正等を含めて、「民法を改正することはどういうことか」を論じた著作。新書判、210頁。

  • 内田貴『民法改正——契約のルールが百年ぶりに変わる』ちくま新書(2011年10月)……債権法改正論者が、債権法改正を正当化づける立法事実(要するに債権法改正の必要性)を解説した入門書。新書判、240頁。

  • 内田貴『債権法の新時代——「債権法改正の基本方針」の概要』商事法務(2009年9月)……債権法改正の最重要中心人物による「債権法改正の基本方針」入門書。四六判、249頁。

  • 民法(債権法)改正検討委員会編『債権法改正の基本方針(別冊NBL No.126)』商事法務(2009年4月)……債権法改正の基本方針本文。後掲の『詳解』を買うなら本書は不要。B5判、438頁。

  • 民法(債権法)改正検討委員会編『シンポジウム「債権法改正の基本方針」(別冊NBL No.127)』商事法務(2009年8月)……債権法改正の基本方針についてのシンポジウムの講義録とレジュメ集。委員会の委員が基本方針について解説したもの。B5判、184頁。

  • 民法(債権法)改正検討委員会編『詳解・債権法改正の基本方針I-V』商事法務(Ⅰ 序論・総則:2009年9月、Ⅱ 契約および債権一般(1):2009年10月、Ⅲ 契約および債権一般(2):2009年11月、Ⅳ 各種の契約(1):2010年1月、Ⅴ 各種の契約(2)2010年6月)……債権法改正の基本方針の全文+注釈。委員会の委員による公式注釈書。現行法の問題点を網羅しており、さながら債権法についての最高水準の体系書である。A5判、429頁・532頁・476頁・484頁・517頁。

  • 民事法研究会編集部編『民法(債権関係)の改正に関する検討事項-法制審議会民法(債権関係)部会資料〈詳細版〉』民事法研究会(2011年1月)……法制審議会民法(債権関係)部会の各会議で提出された「民法(債権関係)の改正に関する検討事項 詳細版(1)~(15)」を1冊にまとめた資料集。本書の内容は法務省HPで無料公開されているが膨大な量なので重宝する。B5判、831頁。

  • 「民法(債権関係)の改正に関する中間的な論点整理(NBL953号別冊付録)」商事法務(2011年5月)……法制審による債権法改正関連資料。法務省HPでダウンロード可能。

  • 商事法務編『民法(債権関係)の改正に関する中間的な論点整理の補足説明』商事法務(2011年6月)……法制審による債権法改正関連資料。上記「論点整理」に簡潔な解説を加えたもの。したがって、本書を購入すれば上記「論点整理」は不要。法務省HPでダウンロード可能。

  • 松尾弘『民法改正を読む 改正論から学ぶ新民法』慶應義塾大学出版会(2012年9月)……A5判、256頁。

  • 「民法(債権関係)の改正に関する中間試案(NBL997号)」商事法務(2013年3月)……法制審による債権法改正資料。法務省HPでダウンロード可能。

  • 商事法務編『民法(債権関係)の改正に関する中間試案の補足 説明』商事法務(2013年5月)……法制審による債権法改正資料。法務省HPでダウンロード可能。A5判、536頁。

  • 内田貴『民法改正のいま——中間試案ガイド』商事法務(2013年6月)……上記中間試案を平易に解説した著書。

  • 森田宏樹『債権法改正を深める——民法の基礎理論の深化のために』有斐閣(2013年8月)……法学教室の連載(2010年4月号から2012年3月号まで)に、連載終了後に公表された「民法(債権関係)の改正に関する中間試案」との対応を付記してまとめたもの。A5判、454頁。

  • 「民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案(NBL1034号)」商事法務(2014年9月)……法制審による債権法改正資料。法務省HPでもダウンロード可能。

  • 「民法(債権関係)の改正に関する要綱(NBL1045号)」商事法務(2015年3月)……法制審による債権法改正資料。法務省HPでもダウンロード可能。

  • 商事法務編『民法(債権関係)改正法案新旧対照条文』商事法務(2015年5月)……国会(第189回)に提出された民法(債権関係)改正法案の新旧対照表。法務省HPでもダウンロード可能。法務省版対照表と比較した本書の意義は、未改正条文も掲載されているところ。A5判、204頁。

  • 加賀山茂編著『民法(債権関係)改正法案の〔現・新〕条文対照表<条文番号整理案付>』信山社(2015年8月)……国会(第189回)に提出された民法(債権関係)改正法案の新旧対照表。法務省版対照表には「どの条文がどのように変化したのか」について不備があるとして、「単なる条文番号にもとづく比較ではなく、内容面から現行法の条文と改正法案の条文を対象し、現行法から何がどのように変わるのか、より分かりやすくすべく、大幅に編集を加えたもの」(はしがき)。A5変型判、334頁。

  • 信山社編集部編『民法改正法案(新法シリーズ3)』信山社(2015年8月)……①民法の一部を改正する法律案要綱、②民法の一部を改正する法律案(付:理由)、③民法改正案新旧対照条文、④民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案を収録。A5変型判、568頁。

  • 伊藤滋夫編『債権法改正法案と要件事実(法科大学院要件事実教育研究所報第15号)』日本評論社(2017年3月)……A5判、160頁。

<改正法成立(平成29(2017)年6月2日)以降>

  • 山野目章夫『新しい債権法を読みとく』商事法務(2017年6月)……「民法(債権関係)改正のビューポイント(1)-(16)」(NBL連載、1038~1053号)を改正法に対応させて加筆修正したもの。ユニークな設例で改正法を解説しており読者を飽きさせない。A5判、300頁。

  • 債権法研究会編『詳説 改正債権法』きんざい(2017年7月)……改正民法につき金融実務に影響を与えると思われる事項を中心に解説。執筆者は金融機関の法務担当者や金融法務に関わる弁護士。したがって、立場に偏りがあることに注意。金融法務事情の連載(債権法研究会報告、2008-2055号)を単行本化したもの。A5判、544頁。

  • 日本弁護士連合会編『実務解説 改正債権法』弘文堂(2020年3月・第2版)……改正債権法に係る逐条解説書。第2版は、初版刊行後の文献や新しい論点を盛り込み、施行後を見据え、よりグレードアップした改訂版。A5判、600頁。

  • 大阪弁護士会民法改正問題特別委員会編『実務解説 民法改正─新たな債権法下での指針と対応』民事法研究会(2017年7月)……128の設問に対する一問一答形式で解説。A5判、416頁。

  • 東京弁護士会法制委員会民事部会編集『【債権法改正】事例にみる 契約ルールの改正ポイント』新日本法規出版(2017年7月)……A5判、392頁。

  • 第一東京弁護士会司法制度調査委員会編『新旧対照でわかる 改正債権法の逐条解説』新日本法規出版(2017年8月)……B5判、420頁。

  • 田中嗣久・大島一悟『民法改正がわかった(わかったシリーズ)』法学書院(2019年4月・補訂版)……補訂版では、2020年施行の「債権法」大改正、2019・2020年施行の「相続法(自筆証書遺言・配偶者居住権・遺留分制度等)」改正、2022年施行の「成年年齢関係」改正が盛り込まれた。A5判、403頁。

  • 小賀野晶一・松嶋隆弘編著『民法(債権法)改正の概要と要件事実』三協法規出版(2017年8月)……A5判、496頁。

  • 潮見佳男『民法(債権関係)改正法の概要』きんざい(2017年8月)……平成29年5月26日に可決成立した改正債権法について、『民法(債権関係)改正法案の概要』を増補改訂した私的解説書。まさに必読書。A5判、376頁。

  • 山本敬三『民法の基礎から学ぶ 民法改正』岩波書店(2017年9月)……公益財団法人海の星学寮公開講演会における著者(法制審幹事)の一般向け講演原稿をもとに加筆してブックレット化したもの。したがって、民法入門を兼ねており、民法の基礎や歴史についても言及している。反面、改正内容については網羅的ではなく、重要事項の解説に重点が置かれているが、ケースや図表を用いており親切。ただし、条文順でなく、改正目的順に解説しているので、パンデクテン体系に慣れている向きには読み辛いかも。A5判、184頁。

  • 大村敦志・道垣内弘人編『解説 民法(債権法)改正のポイント』有斐閣(2017年10月)……少数精鋭の豪華な執筆陣(ほぼ研究者)による債権法改正解説書。現行制度の概要から改正に至るこれまでの動きを解説。改正に至らなかった項目(Unbuilt)もきちんと解説している。各節の冒頭に「改正のポイント」をチェックリスト付きの箇条書きでまとめているのは親切。判型(46判)もコンパクトで持ち運びに便利。1冊選ぶならこれである。著者(五十音順):石川博康・大澤彩・大村敦志・加毛明・角田美穂子・筒井健夫・道垣内弘人・幡野弘樹・吉政知広の9名。四六判、552頁。

  • 松尾弘『債権法改正を読む 改正論から学ぶ新民法』慶應義塾大学出版会(2017年10月)……A5判、336頁。(評価待ち。)

  • 三井住友銀行総務部法務室著、井上聡・松尾博憲編著『practical 金融法務 債権法改正』きんざい(2020年3月・2版)……金融機関法務部の金融実務家(社内弁護士含む)及び金融法務に関わる弁護士による著作。したがって、契約条項例などを含んでおり実践的な内容。金融法務に関わる実務家必携、ただし、受験生向けとは言い難い。A5判、536頁。

  • 中田裕康・大村敦志・道垣内弘人・沖野眞已『講義 債権法改正』商事法務(2017年12月)……法制審の部会メンバーである著者4名が行ったセミナー・講演会で話したものを基礎としつつ書かれた簡潔な解説書。ですます調で講演の語り口を残しているが、取り上げるべき項目を協議し、検討の仕方についてもある程度の統一を図っている。というわけで期待の一冊だったのだが、残念ながら一般人向けの内容となっており、既に債権法改正をフォローしてきた向けとは言いがたい。A5判、328頁。

  • 伊藤滋夫編著『新民法(債権関係)の要件事実Ⅰ・Ⅱ』青林書院(いずれも、2017年12月)……伊藤滋夫の「裁判規範としての民法」という考え方で一貫して改正条文の要件事実を検討したもの。A5判、378頁・320頁。

  • 筒井健夫・村松秀樹編著『一問一答 民法(債権関係)改正』商事法務(2018年3月)……法務省の立案担当者による民法(債権関係)改正の解説書。A5判、416頁。

  • 潮見佳男・千葉恵美子・片山直也・山野目章夫編『詳解 改正民法』商事法務(2018年5月)……A5判、592頁。

  • 東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会編『これだけは押さえておきたい! 債権法改正の重要ポイント(弁護士専門研修講座)』ぎょうせい(2018年6月)……A5判、270頁。

  • 松尾博憲・山野目章夫『新債権法が重要判例に与える影響』きんざい(2018年6月)……A5判、208頁。

  • 安永正昭・鎌田薫・能見善久監修『債権法改正と民法学Ⅰ~Ⅲ〔全3巻本〕』商事法務(2018年9月)……債権法改正に至るまでの背景や議論について、研究者たちが改めて考察を行い、さらに改正法のもとでも残された課題、新たな論点について論究したもの。Ⅰでは総則・総論、Ⅱでは債権総論と契約、Ⅲでは契約を取り扱う。全17章・16章・14章。A5判、584頁・528頁・488頁。

  • 加賀山茂『求められる改正民法の教え方 いや~な質問への想定問答』信山社(2019年3月)……新しい民法で説明が困難と思われる12のトピックを厳選した想定問答集。全4章。四六変型判、120頁。

  • 鎌田薫・内田貴・青山大樹・末廣裕亮・村上祐亮・篠原孝典『重要論点 実務民法(債権関係)改正』商事法務(2019年7月)……森・濵田松本法律事務所所属の弁護士が企業法務の実務経験を活かして書き下ろしたQ&Aに、法制審における審議に関与した鎌田・内田がコメントを付すスタイル。A5判、384頁。

  • 道垣内弘人、中井康之編著『債権法改正と実務上の課題(ジュリストBOOKS)』有斐閣(2019年11月)……ジュリストの同名連載〔2018年1月号(1514号)~2018年12月号(1526号)・全12回〕に、山本和彦教授と高須順一弁護士のオリジナル対談を2回(債権者代位権、詐害行為取消権)、さらに共編者によるまとめの対談を付加して書籍化したもの。改正民法の論点につき研究者と実務家が対談形式で解説するスタイル。A5判、386頁。

  • 筒井健夫、村松秀樹、脇村真治、松尾博憲『Q&A改正債権法と保証実務』きんざい(2019年12月)……改正債権法の立案担当者が保証に関する諸規定をめぐる諸問題につきQ&A形式で解説。A5判、240頁。

  • 中込一洋『実務解説改正債権法附則』弘文堂(2020年3月)……改正債権法の附則(経過措置)に特化した内容の実務書。A5判、184頁。

<改正法施行(令和2(2020)年4月1日)以降>

  • 大塚直編『民法改正と不法行為』岩波書店(2020年4月)……債権法改正の不法行為に関する部分を取り上げ、従来の判例、学説を整理し、今般の改正における審議を分析し、残された課題について素描(はしがき)した著書。全6章。A5判、136頁。

  • 内田貴『改正民法のはなし』民事法務協会(発行)、東京大学出版会(発売)(2020年4月)……法務省参与として債権法改正に関わった著者が興味深い論点をピックアップして、改正民法の特色を分かりやすく解説することを目的とした(はしがき)著書。雑誌「民事法務」連載の単行本化。全12章。A5判、168頁。

  • 田中豊『論点精解 改正民法』弘文堂(2020年7月)……改正民法の論点の中核を、具体的紛争と要件事実論で読み解く(出版社案内より)。序章(民事紛争と改正民法)+全15講。A5判、352頁。

  • 伊藤進監修、長坂純・川地宏行編集『改正民法(債権法)における判例法理の射程~訴訟実務で押さえるべき重要論点のすべて~』第一法規(2020年9月)……「改正民法(債権法)」の法制審議会において取り上げられた重要判例について、当該判例の理論的位置づけを明らかにし、改正法においてこれまでの判例法理を、実務上どう捉え直すのかを解説した書。全91項目。A5判、704頁。

  • 松岡久和・松本恒雄・鹿野菜穂子・中井康之編『改正債権法コンメンタール』法律文化社(2020年10月)……2020年4月施行の改正債権法を対象とする注釈書。執筆者は研究者と弁護士。その分野の専門家を執筆担当にしている箇所が多く参考になる反面、またこの本でもこの人の執筆かと思うことがままある。A5判、1044頁。

  • 森田修『「債権法改正」の文脈——新旧両規定の架橋のために』有斐閣(2020年10月)……「法学教室」での全35回にわたる同名連載に加筆するとともに債権譲渡の章が新たに書き下ろされた。債権法改正について、法制審においてなされた議論を主たる検討対象として、そこで為された議論を、従来の判例学説の展開の中にどう位置づけられるか(大きな文脈)、及び、新規定が法制審審議過程の中でどのような審議を経て修正・取捨選択され最終法文に至ったか(小さな文脈)という観点から、そこにいかなる実定的意義が見いだせるかを、重要論点毎に検討する連載。債権法改正の内容を知りたい向きというより、それを既に熟知している人がさらにその理解を深めるためのハイレベルな内容となっている。したがって、今は理解できなくても、いつか役に立つ内容と思われるので是非ともチェックしておきたい。最終法文化されなかった事項につき今後の解釈論に影響があるかどうかについて論じられているのも本連載の特徴のひとつ。序章(はじめに)+全13章+終章(結びにかえて)。A5判、812頁。

  • 平野裕之『新債権法の論点と解釈』慶應義塾大学出版会(2021年1月・第2版)……A5判、592頁(本文576頁)。

  • 磯村保『事例でおさえる民法 改正債権法』有斐閣(2021年7月)……早稲田大学法学部における「応用民法Ⅰ」の授業資料を単行本化したもの。事例形式を用いているが演習書というより概説書といった趣。改正債権法の今後の解釈について示唆的な記述が盛り込まれている。A5判、362頁。

  • 秋山靖浩・伊藤栄寿・宮下修一編著『債権法改正と判例の行方-新しい民法における判例の意義の検証』日本評論社(2021年9月)……法律時報連載「債権法判例の行方」を単行本化したもの。改正前民法のもとで重要であると理解されてきた判例に焦点を当て、改正法との関係で判例の行方がどうなるかを検討。全33講。A5判、432頁。

  • 潮見佳男・北居功・高須順一・赫高規・中込一洋・松岡久和編著『Before/After 民法改正』弘文堂(2021年9月・第2版)……改正の前後で民法の解釈・適用にどのような違いが生じるのかを232のシンプルな設例(Case)をもとに、「旧法での処理はどうだったか」(Before)、「新法での処理はどうなるか」(After)に分け、民法学者および実務家が解説したもの。A5判、504頁。(評価待ち。)

  • 東京弁護士会法友会至誠会編著『債権法改正にみる要件事実~攻撃防御構造上の位置づけと論証例~』第一法規(2021年10月)……A5判、312頁。

  • 大阪弁護士会民法改正問題特別委員会編『実務家のための逐条解説 新債権法』有斐閣(2021年10月)……実務家のための改正債権法を対象とする注釈書。弁護士が執筆していることもあって、議論の掘り下げはあまり深くない。A5判、780頁。

  • 森田宏樹監修、丸山絵美子・吉永一行・伊藤栄寿・三枝健治著『ケースで考える債権法改正』有斐閣(2022年2月)……法教の同名連載の単行本化。具体的事例に即して改正規定を適用して一定の解決を導くうえで、どのような解釈論上の問題が生ずるのかについていちど詰めて考えてみようという企画(はしがき)。したがって一見演習書のようなタイトルだが演習書とは異なり答案技術的な記述は一切ない。いまだ確定した解釈・判例が存在しない分野が多いことから、両論併記となっている箇所が多い(例えば、債務不履行による損害賠償の帰責事由においては、過失責任説と契約責任説(契約の拘束力説)の両論併記となっている。)。予備試験・司法試験にはオーバースペックだが(現時点においては改正法制度の理解があれば合格点に達すると思われる。)、改正法におけるあるべき法解釈を知るために有用と思われる。A5判、402頁。

  • 大江忠『新債権法の要件事実』司法協会(2022年12月・第2版)……民法改正法案をもとに、その内容を簡潔に解説するとともに、主要な改正条文について、その要件事実及び主張立証責任の所在について、設例を設けて検討を加えた著書(はしがき)。A5判、498頁。

  • 長島・大野・常松法律事務所編『アドバンス債権法』商事法務(2023年2月)……実務家による実務家のための債権法の基本書。A5判、1108頁。

  • ☆村松秀樹・松尾博憲『定型約款の実務Q&A』商事法務(2023年9月・補訂版)……立案担当者による定型約款規定についての解説書。A5判、228頁。

  • ☆江原健志・大坪和敏編集代表、法曹フォーラム編著『事例シミュレーション新債権法の実務-弁護士・裁判官の視点に基づく解釈と運用』ぎょうせい(2023年12月)……A5判、504頁。

<雑誌>

  • 山口幹雄「改正民法講座Ⅰー契約の基本的効力編」(法学セミナー連載・2017年4月号(747号)~2017年9月号(752号)・全6回)……今般の改正によって新たに追加されることとなった規定のうち、契約の基本的効力に関する規定の多くは、現行民法の請負に関する3ヶ条(634-636条)の条文に規定されていることを、その立法趣旨に則して一般化したものにすぎないとの観点から解説を加える連載。

  • 平野裕之「民法(債権法)改正によって民法はどう変わったか」(受験新報連載:2017年10月号(800号)~2018年5月号(807号))……短期集中連載。

  • 『消費者法研究 第3号』信山社(2017年7月)……【特集】改正民法における「定型約款」と消費者法:定型約款に関する論文7本及び定型約款に関する立法資料を収録。

  • 『ジュリスト 2017年10月号(No.1511)』有斐閣(2017年9月)……【特集】債権法改正の要点:◇特集にあたって●道垣内弘人(p.14)、◇債権法改正の経緯と概要●筒井健夫(p.16)、◇履行不能の規律——プロセス変化の存否●池田清治(p.22)、◇相殺——債権の牽連性●山田八千子(p.28)、◇保証——保証意思の明確性の確保●白石 大(p.34)、◇契約不適合責任のシステム——請負契約を中心に●笠井 修(p.40)、◇定型約款の新規定に関する若干の解釈問題●山本 豊(p.46)、◇歴史は繰り返す?——債権法改正とこれからの民法学●大村敦志(p.52)、◇債権法改正と弁護士——金融法の観点から●井上 聡(p.54)、◇債権法改正と弁護士実務について——一般民事実務の観点から●飯島奈津子(p.56)。


【入門書・概説書】

  • 山本敬三監修、栗田昌裕・坂口甲・下村信江・吉永一行『民法4 債権総論(有斐閣ストゥディア)』有斐閣(☆2024年12月・第2版)……第2版において法改正・判例を反映して大幅加筆し、新たにAdvanced Columnを付している。全14章。2色刷。A5判、368頁。

  • 石田剛・荻野奈緒・齋藤由起『債権総論(日評ベーシック・シリーズ)』日本評論社(2023年9月・第2版)……全3部、全13章。A5判、280頁。

  • 池田真朗『スタートライン債権法』日本評論社(2020年3月・第7版)……債権法全般を通覧する入門書。債権各論も内容に含まれている。債権各論→債権総論の順序で債権法全体を極めて平易に解説。入門書としては最良の選択肢の一つ。第1課に「ガイダンス」が置かれている。第7版で民法改正に完全対応。全24課。A5判、416頁。

  • 池田真朗『新標準講義 民法債権総論』慶應義塾大学出版会(2019年11月・全訂3版)……コンパクト。判例・通説に徹底した解説。パンデクテン体系を崩さず民法典の体系に沿って進めているため、最近のパンデクテン体系を崩した本が合わない場合の選択肢。あくまで初級者~中級者向けなので情報量は少ない。なお、第9章は、学習ガイダンスとなっている。全9章。A5判、304頁。

  • 松岡久和・山田希・田中洋・福田健太郎・多治川卓朗『新プリメール民法3 債権総論(αブックス)』法律文化社(2020年4月・第2版)……本書冒頭には「改正された民法(債権関係)を学ぶ」が掲載されている。初版(2018年5月)において、2017年の民法改正に対応。第2版において、2020年4月の民法(債権関係)改正法の施行に合わせ、新法についてより詳しく解説。序章(債権法へのはじめの一歩)+全10章。A5判、286頁。

  • 田井義信監修、上田誠一郎編『ユーリカ民法3 債権総論・契約総論』法律文化社(☆2023年4月・第2版)……序論(債権とは何か)+全2部、全7章。A5判、292頁。

  • 森泉章・鎌野邦樹『民法入門 債権総論』日本評論社(2020年9月・第4版)……森泉は2007年に死去。第3版(2006年5月)より鎌野が著者に加わった。第4版において、2020年施行の改正民法に完全対応。なお、本書は、「入門書」として執筆されているようであるが、出版社による難易度設定は、「中級」となっていることに注意を要する。全20章。四六版、336頁。

  • 生田敏康『債権法入門』法律文化社(2021年1月)……債権各論も含む。A5判、268頁。

  • 角紀代恵『基本講義 債権総論(ライブラリ 法学基本講義5)』新世社(2021年5月・第2版)……全6章。2色刷。A5判、273頁。

  • 永田眞三郎・松本恒雄・松岡久和・横山美夏『債権——エッセンシャル民法3(有斐閣ブックス)』有斐閣(2022年11月・第2版)……1冊で債権総論から不法行為までの債権法全分野を扱う。全15章。A5判、382頁。

(平成29年債権法改正未対応)
  • 後藤巻則・滝沢昌彦・片山直也編『【プロセス講義】 民法Ⅳ 債権1(プロセスシリーズ)』信山社(2016年12月)……2017年6月の民法(債権法)改正に完全に対応できていないが、第1章で、「中間試案」を中心に民法改正論議において議論された重要論点を解説し、各章末に債権法改正時のポイントがコンパクトにまとめて付されている。全15章。A5変型判、320頁。

  • 我妻榮著、水本浩・川井健補訂『民法案内7 債権総論 上』勁草書房(2008年2月)……四六判、352頁。

  • 我妻榮著、水本浩・川井健補訂『民法案内8 債権総論 中』勁草書房(2008年2月)……四六判、224頁。

  • 我妻榮著、水本浩・川井健補訂『民法案内9 債権総論 下』勁草書房(2008年2月)……四六判、336頁。

  • 半田正夫『やさしい債権総論』法学書院(2005年4月・第2版)……A5判、216頁。

  • 今西康人・木村義和・清水千尋・橋本恭宏・松井宏興・油納健一『導入対話による民法講義[債権総論](導入対話シリーズ)』不磨書房(2002年4月)……A5変型判、280頁。

  • 中野哲弘『わかりやすい債権総論概説』信山社(2004年12月)……元裁判官による解説書。A5判、320頁。

  • 片山直也・難波譲治・野澤正充・山田八千子『STEP UP 債権総論』不磨書房(2005年5月)……参考書として。A5変型判、312頁。

  • 執行秀幸・福田清明『事例で学ぶ債権総論』法学書院(2011年6月)……文章に難ありとの声も。A5判、296頁。

  • 高橋眞『入門債権総論(入門シリーズ)』成文堂(2013年4月)……全19章。A5判、404頁。(評価待ち。)


→ このページのトップ:民法(債権総論)に戻る。
→ リンク:民法(全般)民法(総則)民法(物権)民法(債権各論)民法(家族)

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2025年04月16日 16:57
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。