商法(会社)


【基本書】

〔メジャー〕

  • 髙橋美加・笠原武朗・久保大作・久保田安彦『会社法』弘文堂(2020年12月・第3版、☆25年4月・第4版)……通称「紅白本」。東大出身3人、早稲田出身1人からなる学者陣による共著。近年、受験生の人気が高い一冊。本書は、判例・通説の解説を目的とする教科書である。下掲・伊藤ほか『会社法』よりも記述の理由付けがしっかりしており、論文式試験における論証にも使いやすい。重要論点は、太字のゴシック体で強調されており、学生を意識した記述となっている。「条文ガイド」という条文の読み方についての解説が、ところどころにあり理解の助けとなる。判例を引用する箇所には、裁判所・年月日だけでなく百選や商法判例集の番号も付され、巻末には事項・条文索引もあり、検索がしやすい。全体的に言葉を尽くし、平易で分かりやすい説明が本書の特徴であるが、ときにはくどい印象を受けるような箇所もある。その点に関して、第3版「はしがき」には「本書を用いて独習する人のためには多少くどい位に説明したほうがよいだろうという方針に基づいている。とはいえ、説明のあり方については今後も随時検討し、改訂していくつもりである」とある。苦手とする受験生の多い組織再編は、イラストや図表を用いて説明されており、類書よりも分かりやすい。「受験新報」2019年12月号特集「合格者が使った基本書」会社法2位。
    【改訂】第3版で、令和元年改正に対応し、「計算」の章が二分割されるなど章立ての見直しがなされた。フォントが変更された点については、読みやすくなったという声と、前のフォントの方が良いという声がある。全12章。A5判、656頁。第4版では、第3版以降の裁判例のアップデート、理解しにくい箇所の記述見直し、近時の実務傾向に対応したコラムの充実を図った。なお、株主提案議題拒絶につき、本書では303条1項括弧書を根拠(3版133頁、4版でも同じ)とするが、下掲・伊藤『ケースで探索』では、適切でないとする(45頁注)。

  • 伊藤靖史・大杉謙一・田中亘・松井秀征『会社法(LEGAL QUEST)』有斐閣(☆2025年3月・第6版)……東大・京大出身の有力学者らによる共著。LEGAL QUESTシリーズの中で人気が高いものの一つである。本書はケースメソッドを、会社法の基本書として、初めて本格的に導入した。伝統的な論点に対する解説が薄いかわりに、先端的な論点を解説するコラムが充実しており、法と経済学やファイナンスの知見などを駆使した発展的な知識を得ることができる。紙幅の関係で説明が足りない点は、下掲・伊藤ほか『事例で考える会社法』(有斐閣)の解説を参照させることが多いため、併読すると良い。記述は平易でわかりやすく、通読は容易である。引用判例には、百選や商法判例集の番号も掲載しており、クロスリファレンスも徹底されている。(江頭説以外の)学説を批判し、判例の立場に立つことが多いうえ、記述は上場会社に偏っており、議決権行使書面の書式を載せるなど、司法試験向きの教科書ではある。
    もっとも、会社法改正直後の発刊であり、内容が斬新であったために人気が出たが、①条文の分析や判例に基づく紛争解決の仕方などの基本的解説は上記の高橋ほか『会社法』に見劣りする、②判例の引用が大ざっぱである、③分担執筆者の個性が強く出ているため初学者向きではないなど、といった否定的な意見がある。また、④見せ金や利益供与といった試験での重要論点がコラムに投げられていたり、⑤改訂により記述内容が大きく変わったりする点などにも注意が必要である。本書のみに頼らず、まずは条文を素読し、適宜他の書籍も参照しつつ、学習すべきである。「受験新報」2019年12月号特集「合格者が使った基本書」会社法1位。
    【改訂】第4版において、企業グループについて独立した章(第10章)が追加され、近年の重要判例・コーポレートガバナンスコードの適用開始への言及などのアップデートがなされた。第5版では、令和元年法改正対応と判例をアップデートした。全12章。第6版では、判例をアップデートした。A5判、592頁。

  • 田中亘『会社法』東京大学出版会(☆2025年3月・第5版)……東大教授の手による、学生だけではなく研究者・実務家も読者対象とする体系書である。ケースやコラムを多用。特にコラムは数・内容ともに充実しているうえ、最新の実務に関する発展的内容を含み、読み応えがある。発展的内容のコラムには、★印が付されているので、初学者はそれを読み飛ばし、基本的な論点のみ読むこともできる。本書の特徴は、①諸制度や手続きの内容説明が、とりわけ丁寧である点、②目新しい記述がみられる点(たとえば、取締役の義務の基本的内容として、株主利益最大化の原則に加えて、株主の共同の利益を図る義務を項目として明記など)、③買収・結合・再編(Merger, Acquisition and Restructuring)という章立て、④会社法制に関係する範囲内で「法と経済学」の諸概念についても説明を加えている点、⑤株式会社の計算において、複式簿記の基本的なルールについて解説をしている点(司法試験には無関係だが、実務では非常に重要)、など。百選、商法判例集の判例番号、引用文献リスト、法令索引が付されており至便。以上のことから、司法試験受験生の基本書ないし辞書的に使用する書物として、有力な選択肢である。「受験新報」2019年12月号特集「合格者が使った基本書」会社法3位。
    【改訂】第4版では、重要判例のアップデートと令和元年法改正に対応した。第5版では、改正金融商品取引法の反映、判例などをアップデートした。全12章。A5判、920頁。

〔その他〕

  • 江頭憲治郎『株式会社法』有斐閣(☆2024年4月・第9版)……鴻門下。縦書き。実務家向けに書かれた本であり、学界においても現時点における第一人者による最高水準の体系書という評価が確立している。ただし、想定読者が実務家であることから、法科大学院のカリキュラムや司法試験の出題範囲とは大きなズレがあり、基本書にするのは難しい。具体的には、会社法だけでなく実務で扱われる会社法周辺分野・会計制度・税制・外国法制の記述も含まれている一方で、実務での利用が少ない持分会社や会社法総則に関する記述がない(なお、著者によると、今後持分会社の実務での利用が増えた場合には書名を変更して会社法全体をカバーする可能性もあるとのこと)。本書を使いこなすためには関連分野の予備知識がある程度必要であるし、結論を端的に指摘するのみにとどまる箇所もあるうえ、本文の記述は簡潔である一方で、詳細な注に重要なことが書かれていることが多いことから、それなりの実力が求められる。もっとも、株式会社に関するほぼ全ての論点を網羅し、制度趣旨から分かりやすく書かれている本書は、参考書ないし辞書としては非常に有用である。短所としては、目次から辿れる用語はあえて索引に載せていないなど、検索がしにくいという点が挙げられる。第9版において、産業競争力強化法(バーチャルオンリー型株主総会の許容)、会社法施行規則・会社計算規則、金融商品取引法(四半期報告書の廃止、四半期決算短信への統合)等の改正に対応した。全9章。A5判、1122頁。

  • 神田秀樹『会社法(法律学講座双書)』弘文堂(☆2025年3月・第27版)……竹内門下。ほぼ毎年改訂がなされており、「神田会社法の改訂は早春の風物詩」とも言われる。それゆえに常に最新の情報が得られるため、江頭会社法と並んで実務家必携の1冊となっている。本文の記述は簡潔で大部分が条文と結論のみで構成されているが、脚注を多用し、そこにしばしば高度なことがさらりと書かれていることが特徴。教科書に指定する学部及びロースクールが多いが、①薄すぎてとっつきにくいため、初学者には推奨できない、②大枠を押さえることに適しており、初学者にも幅広く推奨できる、という両極端の評価があり、賛否が分かれる(前者の評価をするものとして、法セ07択一解説[上柳]参照)。一例を挙げると、定款の絶対的記載事項のひとつに発行可能株式総数があることの根拠として、本書は単に(37)という条文を記載するのみであるが、新株発行の節まで読み進めると、授権株式制度として発行可能株式総数の説明がなされている。いずれにせよ、可能な限り記述を圧縮し叙述する本書は、会社法を一通り勉強した中上級者にとっては有用である。以上のような記述の性質上、予備試験短答や重要判例のカバー率は高い反面、論点に関する記述は薄い。また、脚注の中で判例の結論を紹介しつつ、本文では判例と反対の結論をとることもあり、本書は判例・通説をコンパクトにまとめた本とは言えない。全7章。A5判、492頁。

  • 弥永真生『リーガルマインド会社法』有斐閣(2021年4月・第15版)……竹内門下。全体的にコンパクトな記述と丁寧な理由付けが特徴。内容も独自色は強くなく、通説に近い見解なので安心できる。冒頭に分析視座を提示しており、特に旧司時代には説明問題など論文式試験向きだと言われていた。概念の定義がきちんと書かれていることが、本書の大きな長所として挙げられる。例えば、株主総会決議における特別利害関係のある株主とはどのような者か、あるいは、利益相反取引における間接取引とはどのようなものか、他の基本書の多くは、いくつかの具体例を挙げるのみで、これらの定義がきちんと書かれているものは少ない。そのような中、本書のように概念の定義が丁寧な本は、長文の事例から事実を拾い、一定の概念に当てはめなければならない新司法試験においても、大きな威力を発揮する。もっとも、コンパクトであるため、株式の準共有などカバーされてない論点があったり、百選掲載レベルの有名判例が索引に振られてなかったりしている点などには注意が必要。全11章。A5判、538頁。

  • 龍田節・前田雅弘『会社法大要』有斐閣(☆2022年4月・第3版)……旧著『会社法(有斐閣法学叢書)』有斐閣(2005年3月・第10版)の全面改訂版。著者の龍田(2022年に逝去)は江頭以前の会社法学の第一人者。第2版から弟子の前田が著者に加わった。第2版・第3版の改訂は主に前田によるものと思われる。高度な内容を分かり易く説明する。著者と同門の執筆陣による『会社法事例演習教材』との相性が良い。「なじみ型」「ミニ取締役会」などユニークな表現が多い。所々に皮肉な記述も散見され、読み飽きない。文章は接続詞が少なく、単文をポツポツつなげるスタイル。第3版において令和元年改正に対応。全12章。A5判、620頁。

  • 近藤光男『最新株式会社法』中央経済社(2020年3月・第9版)……鴻門下。「株式会社法」と銘打っているが、持分会社法も含む。明快な記述で淡々と会社法を解説しており、知識整理のための通読に向く。情報量は普通~やや詳しい程度。有力説で解釈立体化。第9版で、令和元年の会社法改正に対応した。全11章。A5判、600頁。なお、副読本として『取締役・取締役会制度——発展・最新株式会社法』中央経済社(2017年9月)がある。

  • 柴田和史『会社法詳解』商事法務(2021年4月・第3版)……竹内門下。わかりやすい文章で書かれた、学生を意識した体系書。情報量もちょうどよく、「神田は薄すぎるが、他の体系書は厚すぎる」という学生にお薦め。『リーガルクエスト会社法』との違いは、(1)単一著者による「体系書」であること、(2)設例やコラムの類がないシンプルな作りの2点にある。全29章。A5判、576頁。

  • 河本一郎・川口恭弘『新・日本の会社法』商事法務(2020年10月・第2版)……河本一郎(2017年に逝去)は元日本学士院会員の大家で、手形法における「河本フォーミュラ」で著名。本書は、河本一郎ほか『日本の会社法』商事法務(2010年12月・新訂第10版)の実質的改訂版である。旧著は元はオランダのエンサイクロペディアの原稿として書かれたもの。日本における会社の実態に即して会社法を解説している。記述は平板かつ淡白で、初学者には不親切な部分もあるが、論点は網羅的に取り上げられている良書。A5判、416頁。

  • 黒沼悦郎『会社法』商事法務(2020年8月・第2版)……江頭門下。著者の専門である金融商品取引法の制度との関係が適宜織り込まれているのが特徴。第2版において、令和元(2019)年改正会社法に対応。全13章。A5判、424頁。

  • 宮島司『会社法』弘文堂(☆2023年7月・第2版)…… 旧著『新会社法エッセンス』(2015年8月・第4版補正版)を全面リニューアルしたもの。体系書と比べて独自の見解がそれほど強くない。コンパクトにまとまっており、図も多用されている。他方、初学者向きに懇切丁寧に説明されているような感は無い。それならばまとめ用には有用か、と思って見てみると、類書に比べて判例の収録数が寂しい。図解は分かりやすいので、別の基本書の補充の用途には適するかもしれない。全4編、全10章。A5判、400頁。
    他に、旧法下における法人論・社団論、法律行為論などの基本理論を解説した『会社法概説』弘文堂(2004年10月・第3版補正2版、全3編、全14章。A5判、578頁。)がある。

  • 高橋英治『会社法概説』中央経済社(2019年12月・第4版)……司法試験を念頭に置いたテキスト。論文式試験のための習熟した知識の獲得を目的としており、枝葉の議論は思い切って簡略化し、重要事項に焦点をあてて解説している。また、事例問題の解き方の解説と答案例が載っている。第4版で令和元年会社法改正に対応。全4編、全25章。A5判、364頁。

  • 青竹正一『新会社法(法律学の森)』信山社(☆2024年2月・第6版)……判例紹介が充実している。自説の主張が強く自著を頻繁に引用している。その点に目をつぶれば、論点についての記述も比較的充実しており、内容も悪くないが、類書と比べて高価であり、司法試験対策としては無用な部分が多い。A5変型判、880頁。

  • 三浦治『基本テキスト会社法』中央経済社(2020年3月・第2版)……司法試験受験者を想定し、必要にして十分な情報量を厳選して解説。条文の理解・解釈という学修の基本を重視しながら、平易な表現を心がけるという方針を堅持して執筆されている。第2版において、令和元(2019)年会社法改正に対応。全4編、全20章。A5判、368頁。

  • 丸山秀平・藤嶋肇・髙木康衣・首藤優『全訂株式会社法概論』中央経済社(2020年4月)……かつて丸山の単著だった『新株式会社法概論』中央経済社(2009年10月)を共著で全面改訂したもの。令和元年の会社法改正に対応。全15章。A5判、368頁。

  • 畠田公明・前越俊之・嘉村雄司・後藤浩士『新会社法講義』中央経済社(2020年9月)……A5判、408頁。

  • 木俣由美『アタック会社法』中央経済社(2022年4月・第2版)……旧著は『VIRTUAL会社法』悠々社(2016年4月・第4版)。著者は日本笑い学会理事も務める。ポップな体裁の、入門書と基本書の中間に位置するような書であるが、内容は本格的。本書ではゲームソフト開発・製造・販売を営む「ランダム社」を舞台に、アフロヘアの社長アフロ、その仲間のセイコ、ハヤオはじめ多くのキャラクターが登場する。著者のイラストによる図が多く、また条文が注に引用されている等、読み手に親切につくられている。なお、登場する企業やキャラクターは実在の企業やどのようなアニメキャラクターとも一切関係がないとのこと。A5判、368頁(本文349頁)。

  • 岡伸浩『会社法』弘文堂(☆2023年9月・第2版)……著者は弁護士(元伊藤塾講師)。全70講。A5判、1136頁。

  • ☆舩津浩司『やさしい会社法講義』日本評論社(2024年3月)……法学セミナー連載「やさしい会社法」(2019年4月号-2021年9月号・全30回)を書籍化したもの。全36講。A5判、584頁。

(令和元年改正未対応)
  • 前田庸『会社法入門』有斐閣(2018年10月・第13版)……鈴木竹雄門下。著者は2013年に逝去。第13版の改訂作業は、平成26年会社法改正の要綱を参照して前田が遺した改訂稿を元にして、神田および神作の両名によって行われた。「入門」とあるものの入門書の類ではなく、ベーシックな基本書に当たる。会社法のありとあらゆる規定・理論を、趣旨から懇切丁寧に解説した結果、横書き約900頁という驚異的な厚さを達成した。徹底したクロスリファレンスと、ほどよく咀嚼された分かりやすい説明に定評がある。多くの論点で伝統的通説を採用しているため安定感はあるが、最新の重要論点への踏み込みは浅く、判例の引用も類書に比べて少ない。脚注がなく、改行もそこそこに、同じサイズの文字で細かな条文までびっしりと説明するため、初学者には重要なところとそうでないところとの区別がつきにくく、その厚さもあって、そもそも通読することすら難しい。もっとも、いったんそれに慣れてしまうと、分かりやすさゆえに逆に離れられなくなるとも言われる。細かい要件も網羅しているため(例・360条3項「回復することができない損害」の意義)、参考書として他のより薄い教科書と併用するのもよい。六法を片手に、地道に条文を引きながら読み進めていけば、理解が進むだろう。第13版において、平成29年民法改正に対応。全4章、全16節。A5判、898頁。

  • 落合誠一『会社法要説』有斐閣(2016年11月)……A5版、324頁。コンパクトに会社法全体を概説。経営者はすべてのステークホルダーが納得できるようにするため、最劣後にある株主利益の最大化を図ることを目的に経営を行うべきとし、会社法を効率性と公正性の確保という二大目的を達成するためにふさわしい法規範の体系として捉えることを提唱する。一貫した理念のもとに流れるような文章は心地よさがある。令和元年改正未対応。

  • 近藤光男・柴田和史・野田博『ポイントレクチャー会社法』有斐閣(2015年4月・第2版)……未修者や学部生を主たる対象とした共著テキスト。もっとも、会社法の概説書に求められる程度の網羅性は確保されている。解説が平易であるだけでなく、レイアウトにも工夫が見られ、項目立てがすっきりしていて、余白も大きくとられている。また、予備校本のように、何が論点であるかが視覚的にもはっきりと分かるため読みやすい。内容は大規模公開会社を前提としており、叙述のスタイルも標準的であるが、『リーガルクエスト会社法』とは違ってケースを用いてはいない。執筆陣の個性は消して、教科書に徹しており、時々新しい問題意識を交えつつ、江頭や前田を頻繁に引用しながら、現在の判例及び通説を解説していく。便宜上、全体を28+2(応用的諸問題)の合計30Unitに分けている。択一の肢のほとんどをカバーしており、事業譲渡に関する記述が欠けている点を除けば、直前期に通読するのにも使える。A5判、534頁。

  • 石山卓磨『現代会社法講義』成文堂(2016年5月・第3版)……著者は予備校講師経験もあり。標準的な体系で会社法制度の変遷・概要を淡々と説明している。論点網羅。文章は非常に読みやすく、判例も丁寧に紹介しており、全体的に無難なつくりとなっている。残念ながらライブ本のようには面白くない。中立的な本のため、初学者も使える。全7編、36章。A5判、648頁。

  • 川村正幸・仮屋広郷・酒井太郎『詳説会社法』中央経済社(2016年8月)……法科大学院生を主な対象とする基本書。全3編、全21章。A5判、584頁。

  • 鳥山恭一・福原紀彦・甘利公人・山本爲三郎・布井千博『会社法』学陽書房(2015年4月・第2次改訂版)……早稲田・中央・上智・慶應・一橋の5人の研究者が説く会社法の概説書。必要十分な情報量で、通読向き。第2次改訂版において、平成26年の会社法改正と、諸法令の改正、最新判例などをフォロー。全6章。A5判、352頁。

  • 福原紀彦『企業組織法(企業法要綱 3)』文眞堂(2017年5月)……B5判、415頁。

  • 吉田直『重要論点株式会社法』中央経済社(2016年6月)……法学部・法科大学院生を対象とした会社法のテキスト。著者が所属していた法科大学院の講義ノートを基に、会社法総論から株式、企業再編、株式会社の設立などを扱う。設例や判例を豊富に盛り込み、理解のしやすさに配慮。全22講。A5判、344頁。

  • 新山雄三編著、正井章筰・西尾幸夫・矢崎淳司・佐藤誠『会社法講義 会社法の仕組みと働き』日本評論社(2014年10月)……『会社法の仕組みと働き』を新版化。2014年法改正に対応。 A5判、456頁。

  • 吉本健一『会社法』中央経済社(2015年4月・第2版)……法学部生・法科大学院生に向けた会社法の基本書。A5判、514頁。

(平成26年改正未対応)
  • 田邊光政『会社法要説』税務経理協会(2006年4月・新版)……注のない流れるような文章。簡潔な記載、脇道に逸れない。A5判、440頁。『会社法読本』中央経済社(2008年6月)……誤植がやや多いとの声がある。A5判、456頁。

  • 関俊彦『会社法概論』商事法務(2009年12月・全訂第2版)……竹内門下。全体として自説の主張が強い。少数説を採用したり、結論自体は通説と同じでも理由づけがそれと異なっていたりするところがちらほら見られるが、文章自体は読みやすく、神田以上江頭未満の標準的な厚さなので、とっつきやすい。章立てなどを見ると学習者に対する配慮もうかがえる(会社の設立を後回しにして株式から解説する、など。)。たまに意味の分からない日本語があるが、全体として“読ませる文章”となっており、横書きで500頁あるが、余白も多く、比較的学習の進んだ者であれば一回しするのにそれほど時間がかからないだろう。冒頭の会社法総論ともいうべき記述が充実しているところに著者の個性がみられる。良書だが判例索引がないのが玉に瑕。全11章。A5判、540頁。

  • 滝川宜信『リーディング会社法』民事法研究会(2010年3月・第2版)……元デンソー法務部長による会社法テキスト。A5判、916頁。

  • 大隅健一郎・今井宏・小林量『新会社法概説』有斐閣(2010年3月・第2版)……大隅(元最高裁判事)は1998年他界。改訂は主に小林によるものと思われる。章立ては多少独特だが、解釈論では概ね「現在の」多数説を採用している。本文の記述は簡潔かつ要領よくまとめられているが、それゆえ初学者には余り向かないかもしれない。他方で、注釈ではしばしば江頭もカバーしていないような最新の重要論点に深く踏み込んでいる。そこでは最新の文献もきちんと引用されており、発展的学習へのつながりも良い。新司法試験の問題意識にも丁寧に応えている。横書き600頁ほどだが、この詳細な注釈によって、本書はかなり重厚な体系書に仕上がっている。なお、執筆陣が京大系であるためか、『会社法事例演習教材』とかなり相性がいい。全6章、全28節。A5判、630頁。

  • 落合誠一・神田秀樹・近藤光男『商法Ⅱ 会社(有斐閣Sシリーズ)』有斐閣(2010年4月・第8版)……鴻門下(落合・近藤)、竹内門下(神田)による共著。豪華執筆陣が判例・通説を中心にコンパクトに会社法を解説している。ただし、近年の法改正には対応していないので注意。薄いため、まとめ本としての利用が主である。全6編。四六判、378頁。

  • 森田章『上場会社法入門』有斐閣(2010年9月・第2版)……タイトルのとおり、特に会社法では例外扱いになってしまう上場会社を踏まえた本。少数説が満載であるため、思ったほどは使えない。野心的な著作といえる。序章+全15章。A5判、472頁。

  • 成和明哲法律事務所編『実務 会社法講義(実務法律講義)』民事法研究会(2011年3月・第3版)……弁護士によって法科大学院生向けに執筆されたテキスト。理論と実務の架橋を目的としている。隠れた名著。図や表が豊富。A5判、608頁。

  • 加美和照『会社法』勁草書房(2011年9月・新訂第10版)……判例・学説を網羅。会社法改正の歴史を丁寧に踏まえた記述が特徴。一方最新の議論には余り配慮していない面もある(例・株主平等原則や買収防衛策についての記述)。昭和20年代からの改正を確認できる基本書はこれだけである。A5判、644頁。

  • 石山卓磨・河内隆史・尾崎安央・川島いづみ 『ハイブリッド会社法』法律文化社(2012年1月)……法学部とロースクールを架橋することを目的とした会社法テキスト。現在出版社品切れ。全27章。A5判、402頁。


【その他参考書】

  • 西岡清一郎・大門匡編集『商事関係訴訟(リーガル・プログレッシブ 2)』青林書院(2013年2月・改訂版)……会社関係訴訟を類型別に解説しており、下掲『類型別会社訴訟』の簡略版といった趣。マニアックな訴訟類型は省略されている。実務家向けの書籍だが、司法試験受験生の参考書としても有用。改訂版において、「第12章 合併,会社分割,株式交換及び株式移転の無効の訴え」が新設された。全11章。A5判、420頁。

  • 東京地方裁判所商事研究会編『類型別会社訴訟I・II』判例タイムズ社(2011年12月・第3版)……実務に極めて影響力が強い東京地裁商事部(民事8部)の見解がわかる実務化向けの本である。取締役の解任訴訟や新株発行差止め訴訟などにおける訴訟要件、必要な書証などが分かる。また、実務的に重要な論点についても、見解が示されている。訴状や仮処分命令申立書などの書式が付いている。第3版は、17章に「役員の地位を仮に定める仮処分」の項目を追加し、18章に「株券電子化に伴う会社訴訟における留意事項について」という項目が追加された。絶版。

  • 大竹昭彦・氏本厚司・小野寺真也・岩井直幸編『新・類型別会社非訟』判例タイムズ社(2020年4月)……東京地裁民事第8部に在籍した裁判官が、非訟事件手続法の制定、その後の会社法の改正等を前提として、民事第8部の部内における取扱いや裁判官室での議論を踏まえて、東京地方裁判所商事研究会編『類型別会社非訟』判例タイムズ社(2009年7月)を全面的に書き改めたもの。全17章。A5版、360頁。

  • 垣内正編、東京地方裁判所商事研究会著『会社訴訟の基礎(裁判実務シリーズ6)』商事法務(2013年5月)……会社訴訟実務特有の基本事項をコンパクトにまとめた「会社訴訟の入門書」。会社関係訴訟を類型別に解説。『類型別会社訴訟』や『商事関係訴訟』の簡略版といった位置づけで、ロースクール生にも使いやすいと思われる。全8章。A5判、248頁。

  • 岩谷敏昭『会社訴訟の要件事実』新日本法規(2022年8月)……元司法試験考査委員のロースクール実務家教員による会社訴訟の要件事実の解説書。司法試験の論文式問題で過去に出題された訴訟物や論点を中心に取り扱っている(はしがき)。類型別会社訴訟が絶版の現在、もっとも役に立つ要件事実本といえる。事項索引、判例索引付。全5編(第1編 会社の組織に関する訴え、第2編 差止請求権、第3編 役員等の会社に対する責任、第4編 役員等の第三者に対する損害賠償責任、第5編 取締役の解任等)。A5判、268頁。

  • 柴田和史『類型別 中小企業のための会社法』三省堂(2015年5月・第2版)……株式会社の多くを占める非公開会社・中小規模型会社のための会社法の概説書。中小企業の類型別に、根拠条文を示し、必要事項に限定して簡潔に解説している。A5判、384頁。

  • 大坪和敏監修『図解 会社法(図解シリーズ)』大蔵財務協会(2020年8月・令和2年版)……「令和2年版」において、令和元(2019)年会社法改正に対応。全2編、全11章+巻末資料(1~10)。B5判、480頁。

  • 浜田道代・岩原紳作編『会社法の争点(新・法律学の争点シリーズ 5)』有斐閣(2009年12月)……いわゆる争点シリーズ。基本的な論点を中心に解説している。議決権行使書面による議決権行使などの比較的新しい論点も取り上げられている。B5判、220頁。

  • 宮島司『現代会社法用語辞典』税務経理協会(2008年8月)……平成17(2005)年制定の会社法に関するすべての法令用語および最近登場した会社実務用語まで広く収録。約680語を解説したもの。 四六判、228頁。

  • 江頭憲治郎・門口正人編集代表『会社法大系〔全4巻〕』青林書院(第1巻:2008年7月、第2巻:2008年6月、第3巻:2008年7月、第4巻:2008年6月)……会社法改正部分のみならず、旧未来的・今日的問題まで、会社法務・訴訟実務に係る問題を網羅的に取り上げた実務解説書。A5判、第1巻〔会社法制・会社概論・設立〕:496頁、第2巻〔株式・新株予約権・社債〕:508頁、第3巻〔機関・計算等〕:480頁、第4巻〔組織再編・会社訴訟・会社非訟・解散・清算〕:604頁。

  • 江頭憲治郎編『株式会社法大系』有斐閣(2013年8月)……A5判、676頁。

  • 中島茂『株主総会の進め方(日経文庫)』(2009年1月・第2版)、『取締役の法律知識(同)』日本経済新聞出版社(☆2021年6月・第4版)……企業法務弁護士による会社法実務書。会社法において重要なウェイトを占める機関について概観するのに最適。新書判、240頁・288頁。

  • 長島・大野・常松法律事務所編『アドバンス会社法』商事法務(2016年1月)……長島・大野・常松法律事務所編『アドバンス新会社法』商事法務(2010年9月・第3版)の改題新版。実務向けの本で、実務に重要かどうかで事項解説の濃淡も分かれる。 A5判、1064頁。

  • 成和明哲法律事務所編『会社法実務大系』民事法研究会(2017年9月)……全10章。A5判、657頁。

  • 落合誠一編『会社法Visual Materials』有斐閣(2011年10月)……「目で見る」サブテキスト。B5判、166頁。

  • 田中亘編著『数字でわかる会社法』有斐閣(2021年4月・第2版)……会社法に関係する諸科学(ファイナンス理論、統計学、会計など)についても解説したもの。全10章。A5判、324頁。

  • 相澤哲編著『Q&A会社法の実務論点20講』きんざい(2009年12月)……執筆者(松本真・清水毅・小松岳志・澁谷亮)。A5判、265頁。

  • 宍戸善一監修、岩倉正和・佐藤丈文編著『会社法実務解説』有斐閣(2011年12月)……実務家が会社法実務について実際の書式例を挙げて解説した実務書。主たる読者対象は実務家であるが、基本書だけでは知ることができない会社法実務について詳しく解説されている。書式例が掲載されているので、具体的イメージを掴むことができる。本書を一回しすれば会社法の苦手意識は相当程度解消されるだろう。全7章。A5判、758頁。

  • 中村直人・倉橋雄作『会社法の実務』商事法務(2016年6月)……2006年に刊行された『新会社法(第2版)』の改題・改訂版。平成26年会社法改正を受けて、改正事項を反映したほか、コーポレートガバナンス・コードやスチュワードシップ・コードなどのソフトローによるルールについても適宜盛り込む。全10章。A5判、558頁。

  • 内田修平『実務解説 会社法』商事法務(2016年9月)……全8章。A5判、288頁。

  • 弥永真生ほか監修、西村あさひ法律事務所編『会社法実務相談』商事法務(2016年11月)……全8章、全87問。A5判、536頁

  • 大阪株式懇談会編、前田雅弘・北村雅史著『会社法 実務問答集Ⅰ(上)・(下)』、『同Ⅱ』、『同Ⅲ』商事法務(いずれも2017年3月、2018年3月、2019年10月)……上場企業の法的問題・課題に対して研究者(京大教授)が回答するスタイル。A5判、392頁・312頁・492頁・480頁。

  • ☆後藤元監修、会社法・実務研究会編著『実務問答会社法』商事法務(2022年3月)……旬刊商事法務連載の単行本化。A5判、472頁。

  • 三笘裕・荒井紀充・中野智仁編著『会社訴訟・紛争実務の基礎——ケースで学ぶ実務対応』有斐閣(2017年3月)……「法学教室」の連載(第1回:2015年4月号(No.415)~第12回:2016年3月号(No.426))を単行本化したもの。なお、単行本化につき、2章(第7章:買収防衛策を巡る紛争、第8章:企業買収関係の紛争 )追録。序章+全8章。A5判、248頁。

  • 高橋均『実務の視点から考える会社法』中央経済社(2020年7月・第2版)……第2版において、令和元年改正までをフォローして、大きく改訂された。序論(会社法の学習と会社法の読み解き方)+総論(会社法と株式会社)+全7編、全26章。A5判、344頁。

  • 東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会編『会社法の今日的課題と実務(弁護士専門研修講座)』ぎょうせい(2009年12月)……東弁弁護士研修センター運営委員会主催「弁護士専門研修講座」で開講された「会社法」講座をもとに解説を加え必要な資料を掲載したもの。A5判、頁。

  • 東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会編『会社法の知識と実務 ガバナンス・不祥事対応・役員の義務と責任(弁護士専門研修講座)』ぎょうせい(2017年7月)……社外役員を務めるに当たって必要とされる会社法・金融商品取引法その他ガバナンスに関する知識、不祥事対応・役員の義務と責任など、高度な専門知識を解説したもの。A5判、頁。

〔平成17(2005)年会社法立案担当者関係〕

  • 小川秀樹・相澤哲編著『通達準拠 会社法と商業登記』金融財政事情研究会(2008年7月)……会社法立案担当者並びに法務省商事課による会社法の解説書。一般的な基本書では、読者の理解を深めるために体系通りの解説をすることが少ないが、本書は平成18年3月31日民商第782号通達に基づき会社法を解説するため、会社法典に沿った体系となっている。通達の引用が多い一方で、判例の引用が少ないため、司法試験対策には不要である。もっとも、適宜商業登記法を引用する上、事実上の法務省見解本のため、司法書士試験対策で重宝されており、改訂を望む司法書士が多い。なお、現在は絶版になっている。事項索引、判例索引なし、条文索引あり。A5判、511頁。

  • 葉玉匡美・郡谷大輔編著『会社法マスター115講座』ロータス21(2010年5月・第4版)……会社法立案担当者による会社法を整理した本。表や図を用いた入門書であり、ビジュアル的に分かりやすく書かれている。A5判、316頁。

  • 相澤哲編著『一問一答 新・会社法(一問一答シリーズ)』商事法務(2009年9月・改訂版)……会社法立案担当者による立案趣旨の回答集。Q&A形式で254問。立案担当者の見解を否定した2008年2月22日の最高裁判例に対応していないなどの改訂漏れも見られる(24頁)。全10章+巻末資料(改正点一覧表)。A5判、329頁。

  • 相澤哲・葉玉匡美・郡谷大輔編著『論点解説 新・会社法——千問の道標』商事法務(2006年6月)……立案担当者による逐条的な会社法の辞書。立案担当者の見解を知るためには必須文献である。Q&A形式で1000問。なお、現在は絶版になっている。A5判、789頁。

  • 相澤哲編著『立案担当者による新会社法関係法務省令の解説』商事法務(2006年11月)……B5判、182頁。

〔平成26(2014)年改正解説書〕

  • 坂本三郎編著『一問一答 平成26年改正会社法』商事法務(2015年8月・第2版)……立案担当者がまとめた改正会社法解説書。監査等委員会設置会社制度の新設、社外取締役および社外監査役の要件の厳格化などを内容とする「会社法の一部を改正する法律」が平成26年6月20日国会で可決・成立したことを受けて、立案担当者が、改正法の重要なポイントについてQ&A形式で解説したもの。文章がとても読みやすく、論理的である。第2版は、会社法の全体像を理解できるよう、2015年5月1日に施行された改正法務省令の内容を盛り込み、大幅に加筆・修正。全4編+資料(会社法制の見直しに関する要綱)。A5判、454頁。

  • 坂本三郎『別冊商事法務No.393 立案担当者による平成26年改正会社法の解説』商事法務(2015年3月)……立案担当者が解説した解説書。2014年8月から11月まで、旬刊商事法務で9回にわたって連載された「平成26年改正会社法の解説」を1冊にまとめて刊行されたもの。B5判、320頁。

  • 坂本三郎・辰巳郁・渡辺邦広編著『別冊商事法務No.397 立案担当者による平成26年改正会社法関係法務省令の解説』商事法務(2015年7月)……立案担当者が解説した解説書。2015年6月1日から6回にわたって旬刊商事法務に連載された解説を1冊にまとめて刊行されたもの。B5判、112頁。

  • 神田秀樹編『論点詳解 平成26年改正会社法』商事法務(2015年5月)……旬刊商事法務連載の単行本化。「研究者の視点から一歩踏み込んだ検討や問題提起がされている」(はしがき)点が本書の特徴。立案担当者解説本を読んだ後に読むべきオススメ本。A5判、260頁。

  • 岩原紳作・神田秀樹・野村修也編『平成26年会社法改正——会社実務における影響と判例の読み方(ジュリストブックス)』有斐閣(2015年5月)……ジュリスト2014年10月号特集「会社法の改正」に法務省による省令解説を加え、アップデート。2014年7月開催の有斐閣セミナーも併せて収録。A5判、232頁。

  • 岡伸浩編『改正会社法・施行規則等の解説』中央経済社(2015年5月)……制定以来最大の改正となる平成26年改正会社法とそれに対応する会社法施行規則・会社計算規則・株式振替法の改正を解説。実務上の論点および経過措置を重点的に解説。A5判、304頁。

  • 第一東京弁護士会総合法律研究所会社法研究部会編集『平成27年5月施行会社法・同施行規則主要改正条文の逐条解説』新日本法規出版(2015年6月)……改正会社法の新設条文と主な改正条文について、改正箇所を明確にしたうえで、その趣旨やポイントを会社法施行規則の内容を織り込んで解説。A5判、414頁。

〔令和元(2019)年改正解説書〕

  • 別冊商事法務編集部編『令和元年改正会社法①―中間試案、要綱、新旧対照表―(別冊商事法務No.447)』、『同②―立案担当者・研究者による解説と実務対応―(別冊商事法務No.454)』、『同③―立案担当者による省令解説、省令新旧対照表、パブリック・コメント、実務対応Q&A―(別冊商事法務No.461)』商事法務(2020年2月、2020年9月、2021年5月)……令和元年改正会社法の改正資料等を収載したもの。B5判、362頁、300頁、190頁。

  • 近藤光男・志谷匡史『改正株式会社法 V』弘文堂(2020年2月)……第V巻では、会社法制定後の初めての本格的な改正であった平成26年改正および平成29年の民法(債権法)改正による会社法への影響にも触れたうえで、令和元年改正の内容を解説。A5判、176頁。

  • 松嶋隆弘編著『実務が変わる!令和 改正会社法のまるごと解説』ぎょうせい(2020年4月)……全8章。A5判、288頁。

  • 第一東京弁護士会総合法律研究所 会社法研究部会編集『〔新旧対照表付〕Q&A 令和元年 改正会社法-株主総会資料の電子提供制度の創設、株主提案権・取締役報酬の規律の見直しなど-』新日本法規出版(2020年4月)……令和元年12月公布の改正会社法を実務の視点から解説。A5判、316頁。

  • 日本弁護士連合会編『実務解説 改正会社法』弘文堂(2021年2月・第2版)……日本弁護士連合会・会社法制(企業統治等関係)部会バックアップチームによる逐条解説書。A5判、440頁。

  • 竹林俊憲編著『一問一答 令和元年改正会社法』商事法務(2020年9月)……令和元(2019)年会社法改正(株主総会に関する規律、取締役等に関する規律、社債の管理等に関する規律の見直し)の法律の概要を立案担当者がまとめたもの。全4章+資料(1~3)。A5判、392頁。

  • 野村修也・奥山健志編『令和元年 改正会社法 改正の経緯とポイント』有斐閣(2021年2月)……A5判、240頁。

  • 田中亘ほか編著『Before/After 会社法改正』弘文堂(2021年2月)……A5判、224頁。

  • ☆藤田友敬・澤口実編著『新・改正会社法セミナー-令和元年・平成26年改正の検討』有斐閣(2023年3月)……ジュリスト誌連載の単行本化。令和元年・平成26年会社法改正の重要論点を座談会形式で議論。A5判、598頁。



【入門書・概説書】

  • 中東正文・白井正和・北川徹・福島洋尚『会社法(有斐閣ストゥディア)』有斐閣(2021年4月・第2版)……序章+全7章。A5判、272頁。

  • 伊藤雄司・笠原武朗・得津晶『会社法(日評ベーシック・シリーズ)』日本評論社(☆2021年6月)……全7章。A5判、244頁。

  • 近藤光男・志谷匡史・石田眞得・釜田薫子『基礎から学べる会社法』弘文堂(2021年3月・第5版)……初学者を対象にした概説書だが、司法試験的にも必要十分な量。令和元年改正対応。全7章。2色刷。A5判、336頁。

  • 丸山秀平『やさしい会社法』法学書院(☆2021年5月・第14版)……第13版は、平成26年改正会社法に対応し、「会社法施行規則」も踏まえた最新版。全3章、全22節。A5判、257頁。

  • 大塚英明『会社法のみちしるべ』有斐閣(2020年9月・第2版)……会社法の大枠を小説形式で学ぶことができる。砕けすぎとも思える文体は賛否が分かれるかもしれないが、会社法が無味乾燥でとっつきにくいと感じる初学者に有用。全4Part、全22Unit。四六判、246頁。

  • 末永敏和・中村美紀子『テキストブック会社法』中央経済社(2021年2月・第3版)……全5章。A5判、304頁。

  • 川村正幸・品谷篤哉・山田剛志・尾関幸美『コア・テキスト 会社法(ライブラリ 商法コア・テキスト3)』新世社(2020年6月)……令和元年会社法改正を含め、債権法改正にも完全対応。全3編。2色刷。A5判、304頁。

  • 松嶋隆弘・大久保拓也編『商事法講義1 会社法』中央経済社(2020年9月)……松嶋隆弘編『会社法講義30講』中央経済社(2015年4月)の実質改訂版。若手・中堅研究者による共著。ケースを用いつつ、学部生向けに判例・通説を淡々と解説する(将来に司法試験を受ける学部生も視野に入れて執筆されている)。しかし、判例の理由付けが抜け落ちている箇所があるため、百選等の判例集を読む必要があることや、松嶋執筆部分の百選番号が2版準拠であったりと粗末な部分が見受けられる(たとえば44頁)。加えて、条文索引が無いため、初学者には多少使い勝手が悪い。そのような点を除けば、少数説を採ることもなく、分量も適度であるため、通読に適した書であるといえる。令和元年会社法改正対応。全8編、A5判、358頁。

  • 高橋英治編著、伊藤吉洋ほか著『プリンシプル会社法』弘文堂(2020年10月)……「平成17年に成立した会社法は、あまりにも精緻にできていて、これを学ぶ者にとって、この法律を貫く「プリンシプル」(「原理」や「原則」と訳される)が何であるかについて把握することが困難であるという欠点がある。本書は、会社法を貫く「プリンシプル」を解明するものである。」(本書はしがきより)。Ⅰ総論+Ⅱ各論、全7章+最終章(事例問題の解き方)。A5判、306頁。

  • 松岡啓祐『最新会社法講義』中央経済社(2020年3月・第4版)……第4版において、令和元年会社法改正に対応し、最新事例も収録された。A5判、256頁。

  • 三枝一雄・南保勝美・柿﨑環・根本伸一『最新 基本会社法』中央経済社(2021年3月・第2版)……初学者向けの概説書。全5編。A5判、444頁。

  • 北村雅史・柴田和史・山田純子『現代会社法入門』有斐閣(2015年4月・第4版)……初学者向けに、「なぜそのような制度になっているのか」という部分の説明に重点を置いている。間違えやすい専門用語をまとめた頁があるのも特徴のひとつ。内容も司法試験的には必要十分。著者は3人とも司法試験委員を経験しており、その記述には安定感がある。全7編。A5判、420頁。

  • 落合誠一『会社法要説』有斐閣(2016年12月・第2版)……全12章。A5判、338頁。

  • 酒井太郎『会社法を学ぶ(法学教室ライブラリィ)』有斐閣(2016年3月)……法学教室の連載を単行本化したもの。単行本化にあたり、平成26年法改正に対応するなど大幅加筆。全10章。A5判、308頁。

  • 加藤徹・伊勢田道仁編『会社法の基礎』法律文化社(2019年3月)……旧著『新会社法の基礎』(2015年4月・第3版)の改題・改訂版。全6章。A5判、244頁。

  • 菊地雄介ほか『レクチャー会社法(αブックス)』法律文化社(2019年4月・第2版)……第2版において、初版刊行(2015年5月)以降の判例や学説動向を反映させアップトゥーデート。執筆者(菊地雄介・草間秀樹・横田尚昌・吉行幾真・菊田秀雄・黒野葉子)。全3PART、全15CHAPTER。A5判、312頁。

  • 藤田勝利・北村雅史編 『プライマリー会社法』法律文化社(2015年4月・第4版)……全8編。A5判、354頁。

  • 高橋英治編『入門会社法』中央経済社(2015年3月)……序章(会社法総論)+全2編、全11章。A5判、314頁。

  • 高橋英治編『設問でスタートする会社法』法律文化社(2016年4月)……学部生やロースクール受験生向け。設問を解きながら会社法の全体像を理解するという新しいタイプの教科書。学部期末試験で出される一行問題・事例式問題に始まり、ロースクールの入学試験問題に至るまで、問題の解き方を基礎から実践的に解説。A5判、256頁。

  • 田邊光政『基礎コース 会社法入門(基礎コース[法学]5)』新世社(2016年10月・第2版)……全10章。2色刷。A5判、264頁。

  • 小林量『基礎コース 商法II 会社法(基礎コース[法学]7)』新世社(2010年9月・第2版)……全5編。2色刷。A5判、344頁。

  • 布井千博『基本講義 会社法(ライブラリ 法学基本講義10)』新世社(2011年8月)……全10章。2色刷。A5判、320頁。

  • 吉田正之『コンパクト 会社法(コンパクト 法学ライブラリ9)』新世社(2012年6月)……全9章。2色刷。四六判、288頁。

  • 角田大憲・山田和彦『会社法がわかった(わかったシリーズ)』法学書院(2008年7月)……全6部。2色刷。A5判、384頁。

  • 永井和之編著『よくわかる会社法(やわらかアカデミズム・〈わかる〉シリーズ )』ミネルヴァ書房(2015年5月・第3版)……全10章。B5判、248頁。

  • 山下眞弘編著『会社法の道案内 ゼロから迷わず実務まで』法律文化社(2015年2月)……序章(「会社法」とは何か-民法と商法の関係)+全10章+終章(「会社法」に共通するルール-会社法総則)。A5判、194頁。

  • 葭田英人『会社法入門』同文舘出版(2020年2月・第6版)……全6編、全30章。A5判、332頁。

  • 山本爲三郎『会社法の考え方』八千代出版(2022年3月・第12版)……2021年6月に改訂されたコーポレート・ガバナンス・コード、産業競争力強化法に対応。全27章+補章。A5判、327頁。

  • 鈴木千佳子『入門講義 会社法』慶應義塾大学出版会(2017年4月・第2版)……全30章。A5判、320頁。

  • 久保田安彦『会社法の学び方』日本評論社(2018年2月) ……学習参考書。全17章。A5判、240頁。

  • 柳明昌編著『プレステップ会社法(プレステップシリーズ 18)』弘文堂(2019年1月)……全15章。2色刷。B5判、176頁。

  • 周劍龍『現代株式会社法講義』中央経済社(2021年3月)……A5判、292頁。

  • 秋坂朝則『株式会社法読本』中央経済社(2021年4月)……A5判、360頁。

(一般読者向け)
  • 神田秀樹『会社法入門(岩波新書)』岩波書店(☆2023年4月・第3版)……一般読者向けの入門書。新版は令和元年改正、コーポレートガバナンス・コードやスチュワードシップコードの改訂などに対応。新書判、302頁。

  • ☆太田洋『敵対的買収とアクティビスト(岩波新書)』岩波書店(2023年5月)……一般読者向けの入門書。新書判、270頁。

  • 中島成『令和元年改正法対応 図解 会社法のしくみ』日本実業出版社(2021年3月)……A5判、248頁。

  • 川井信之『手にとるようにわかる会社法入門』かんき出版(2021年2月)……企業法務を専門に扱う弁護士による入門書。法律を全く学んだことがない者でも理解できるように書かれている。執筆にあたっては神田秀樹監修『ここだけ押さえる!会社法のきほん』(ナツメ社)、中島成『知りたいことがすぐわかる図解会社法のしくみ』(日本実業出版社)、浜辺陽一郎『図解 新会社法のしくみ』(東洋経済新報社)といった類書を強く意識したとのこと。正誤表。A5判、288頁。

  • 柴田和史『ビジュアル 図でわかる会社法(日経文庫1929)』日本経済新聞出版社(2021年1月・第2版)……『ビジュアル株式会社の基本』を改題したもの。公開大会社を念頭に置いて、株式会社の仕組みや決まりごとに関する会社法の知識を解説する入門書。見開き2頁で一つの項目を解説しており、見開きの右頁は当該項目に関する図表になっていて、まさにビジュアルに分かりやすい本である。会社法のほぼ全ての分野を網羅していることもあり、初学者が座右に置く本として最適。令和元年改正対応。小B6判、208頁。

  • 神田秀樹監修『ここだけ押さえる!会社法のきほん』ナツメ社(2020年12月・第2版)……株主の権利、TOB、M&A、コーポレートガバナンス、起業、決算、倒産などの基本をマンガや図解で解説。第2版で令和元年会社法改正に対応。A5判、224頁。

  • 宍戸善一『ベーシック会社法入門(日経文庫)』日本経済新聞出版社(2020年4月・第8版)……全7章。新書判、240頁。

  • 浜辺陽一郎『図解 新会社法のしくみ』東洋経済新報社(2020年4月・第4版)……第4版で令和元年会社法改正に対応。A5判、284頁。

  • 小林章博『初心者でもわかる!LawLゆいの会社法入門』第一法規(2020年7月・増補版)……著者は企業法務弁護士・京大特別教授。とある企業の法務部長と新人法務部員「ゆい」との軽快なやりとり(対話形式)で、会社法のポイントを解説した「LawLゆい」シリーズの第2弾。「会社法」をテーマにストーリー仕立ての内容となっており、本書は、特に「株式」「機関」「計算」をクローズアップした内容に特化されている。増補版において、令和元(2019)年改正会社法のポイントを書き下ろしコラムとして搭載された。全4章。新書判、256頁。

  • 木俣由美『民法がわかると会社法はもっと面白い! ~ユミ先生のオフィスアワー日記~民法改正対応』第一法規(2018年9月・改訂版)……四六判、352頁。

  • 葭田英人『基本がわかる会社法』三省堂(2017年1月)……全8章。四六判、256頁。

  • デイリー法学選書編修委員会編『ピンポイント会社法』三省堂(2018年6月)……法学部生・ビジネスマン・一般読者向けの最新法学教養シリーズの会社法編。四六判、192頁。

  • デイリー法学選書編修委員会編『社会人の法律レッスン 会社法ビギナーズ』三省堂(2020年5月)……ビジネスパーソン・一般読者向。令和元年の会社法改正にも完全対応。A5判、200頁。


【注釈書・コンメンタール】

  • 江頭憲治郎ほか編『会社法コンメンタール(1)-(21), (補巻)〔全22巻+拾遺会社法―会社法コンメンタールしおり・付録集+補巻〕』商事法務(2008年3月-2021年7月、補巻(平成26年改正):2019年10月)……実務必携の詳細な注釈書。新会社法に対応した文献を中心に解説・解釈がなされており、特に(7)-(9)機関は学生にとっても有用である。なお、(1)巻のはしがきと附属の月報では、会社法立案担当者に対するかなり強力な批判がされている。(21)罰則のうち、島田聡一郎執筆の特別背任罪の解説は、刑法の背任罪の解説としても秀逸。平成26(2014)年改正については、補巻にて対応。
    補巻は、社外取締役の設置強制と定義の見直し、監査等委員会設置会社制度の導入、企業結合、会社の実質的な基礎的変更に関する株主の権利保護など改正条文を会社計算規則、担信法も含め逐条形式で解説。前注(岩原紳作)+第1巻(§§1-31)増補、第2巻(§§32-103)増補、第3巻(§§104-154の2)増補、第4巻(§§155-198)増補、第5巻(§§199-235)増補、第6巻(§§236-294)増補、第7巻(§§295-347)増補、第8巻(§§348-395)増補、第9巻(§§396-430)増補、第10巻(§§431-444)・第11巻(§§445-465)増補、第12巻(§§466-509)増補、第13巻(§§510-574)増補、第16巻(§§676-742)増補、第17巻(§§743-774)増補、第18巻(§§775-816)増補、第21巻(§§939-979)増補。事項索引・判例索引あり。A5判、880頁。

  • 酒巻俊雄・龍田節編集代表『逐条解説会社法 第1巻-第6巻、第9巻〔全9巻+補巻1(予定)〕』中央経済社(2008年6月-)……中規模コンメンタール。『会社法コンメンタール』に比べて、執筆者の自説主張がやや強い。第1巻:総則・設立―会社法の沿革・会社法の性格・第1条~第103条、第2巻:株式・1―第104条~第187条、第3巻:株式・2/新株予約権―第188条~第294条、第4巻:機関・1―第295条~第373条、第5巻:機関・2―第374条~第430条、第6巻:計算等・定款の変更・事業の譲渡等・解散・清算―第431条~第574条、第9巻:外国会社・雑則・罰則―第817条~第979条。A5版、第1巻:560頁・第2巻:540頁・第3巻:508頁・第4巻:648頁・第5巻:464頁・第6巻:730頁・第7巻:頁・第8巻:頁・第9巻:844頁・補巻:頁。

  • 江頭憲治郎・中村直人編著『論点体系 会社法(1)-(6)〔全6巻〕』第一法規(☆すべて2021年4月・第2版)……中規模コンメンタール。出版年月日も新しく、そこそこ使えるが、司法試験レベルでここまで揃えるべきかは疑問がある。A5版、第1巻〔第1条~第170条〕:800頁、第2巻〔第171条~第328条〕:816頁、第3巻〔第329条~第465条〕:896頁、第4巻〔第466条~第675条〕:664頁、第5巻〔第676条~第802条〕:720頁、第6巻〔第803条~第979条〕:696頁。

  • 奥島孝康・落合誠一・浜田道代編『新基本法コンメンタール 会社法(1)-(3)(別冊法学セミナー)〔全3巻〕』日本評論社(2016年3月・第2版、2016年6月・第2版、☆2025年4月・第3版)……中規模コンメンタール。全3巻完結。サイズが大きめのために情報量はそれなりにあるが、文献の引用などは少なめ。学習用には有用であるが、条文について突っ込んだ検討をするには物足りない面がある。「1」は、第1編総則から第2編第3章:新株予約権まで(第1条~第294条)、「2」は、第2編第4章:機関から第9章:清算まで(第295条~第574条)、「3」は、第3編・持分会社から第8編・罰則まで(第575条~第979条)を扱う。第2版は、平成26年の会社法改正に対応して、全面改訂。第3版は令和元年の会社法改正に対応、「3」は令和4年会社法改正まで対応し、IT化改正に関わる令和5年改正については適宜改正条文・関連条文の解説において触れている。B5判、640頁・652頁・718頁。

  • 木俣由美『楽しく使う会社法』自由国民社(☆2022年4月・第4版)……アタック会社法(旧「VIRTUAL会社法」)の著者による語呂合わせとイラストを取り入れた平易なコンメンタール。条文の内容解説に徹している。覚え方の具体例として、104条「いーわよ、株主、責任ないわよ」や、327条1項(取締役会設置を義務付けられている会社)「こうかい(公開)?感(監)じるかい(会)?いいんかい(委員会)?」など。第4版は令和元年改正に対応。なお、本の表紙は、可愛いらしいといわなければならない。A5判、568頁。

〔コンメ:会社法施行規則など〕

  • 弥永真生『コンメンタール会社法施行規則・電子公告規則』商事法務(2021年7月・第3版)……会社法施行規則についての注釈書はかなり少ない。第3版において、令和2年改正に完全対応。A5判、1360頁。

  • 弥永真生『コンメンタール会社計算規則・商法施行規則』商事法務(2022年3月・第4版)……会社計算規則等の各条文に、実務上の問題も留意しながら理論的コメントを加えたコンメンタール。計算部門が何故か出題されない司法試験レベルではまず不要。第4版は、令和元年会社法改正、平成30年商法改正完全対応。判例索引も追加。A5判、836頁。

  • 田中亘、秋坂朝則監修『会社法関係法務省令 逐条実務詳解(会社法施行規則、会社計算規則、電子公告規則)』清文社(2016年1月・改正会社法対応版)……会社法施行規則、会社計算規則、電子公告規則のコンメンタール。A5判、1129頁。


【判例集・ケースブック】

〔判例集〕

  • 神作裕之・藤田友敬・加藤貴仁編『会社法判例百選』有斐閣(2021年9月・第4版)……会社法分野の最重要判例を厳選した判例教材のクラシック。本編合計102件を収載(これに次ぐ重要な判例44件をAppendixに選んでいる)。第3版(2016年9月)刊行以降の2019年会社法改正等の動きに対応し、内容のアップデートが行われた。B5判、246頁。

  • 野田博『会社法判例インデックス』商事法務(2013年11月)……160件の会社法判例を収録。見開き2頁で判例のエッセンスを関係図とともにコンパクトに解説する、単一著者による判例集である。百選、重判、並びに各種基本書及びコンメンタール等の参照頁が明記されており、発展的学習への繋がりがよい。総じて学習者向けに特化した内容となっている。有斐閣の商法判例集の対抗馬。A5判、326頁。

  • 倉澤康一郎・奥島孝康・森淳二朗編『判例講義会社法』悠々社(2013年3月・第2版)……判例収録数は百選よりも多い(150個)が、解説は全体的に薄味。

  • 岩倉正和・佐藤丈文編『企業法務判例ケーススタディ300 企業組織編』金融財政事情研究会(2007年12月)……企業法務に携わる弁護士の立場から会社法判例を解説。解説の内容は充実しており、判例を踏まえた実務上望ましい取り扱いを解説しているのが特徴。独占禁止法などの関連法分野にも触れている。この巻の判例収録数は100。

  • 酒巻俊雄・尾崎安央編『会社法重要判例解説』成文堂(2008年9月・第3版補正版)……会社法の判例を見開き2頁で収めている。会社法の判例収録数は類書で最大だが、判旨・解説ともにやや舌足らず。2006年の第3版に増補しただけなので内容はやや古い。A5判、418頁。

  • 酒巻俊雄・尾崎安央・川島いづみ・中村信男編『会社法重要判例』成文堂(2019年10月・第3版)……第3版において、新たに9件の判例を追加し、154件の判例を収載。判例索引付き。B5判、208頁。

  • 神田秀樹・武井一浩編『実務に効く M&A・組織再編判例精選(実務に効く判例精選シリーズ)』有斐閣(2013年5月)……B5判、256頁。

  • 野村修也・松井秀樹編『実務に効く コーポレート・ガバナンス判例精選(実務に効く判例精選シリーズ)』有斐閣(2013年12月)……B5判、264頁。

  • 鳥山恭一・高田晴仁編著『新・判例ハンドブック 会社法』日本評論社(2014年4月)……会社法の判例を四六判1頁でコンパクトに解説(事実・裁判所の見解・解説含む)。本書で判例を習得するというより、既存の判例知識の確認・まとめ用と割り切るべきだろう。最判H24.10.12民集66.10.3311までの199件収録。四六判、240頁。

  • 久保田安彦・舩津浩司・松元暢子『会社法判例40!(START UPシリーズ)』有斐閣(2019年12月)……B5判、166頁。

〔ケースブック〕

  • 丸山秀平ほか『ケースブック会社法』弘文堂(2015年2月・第5版)……スタンダードなケースブック。裁判例が長めに掲載されており、教科書では省略されている会社法の関連知識も書かれている。執筆者(丸山秀平・野村修也・大杉謙一・松井秀征・髙橋美加・河村賢治)。序(ケースブックによる会社法学習の意義)+全10章。A5判、240頁。

〔その他判例〕

  • 飯田秀総・白井正和・松中学『会社法判例の読み方——判例分析の第一歩』有斐閣(2017年7月)……会社法の講義で事案まで立ち入って深く掘り下げることの多い重要判例36件を厳選、判例により解説のアプローチを大きく変えている(はしがき)。各Part(章)がいずれも単独著者による執筆であるのも特徴の1つ。判例の判断枠組みを、その射程がどこまで及ぶのかも含めてわかりやすく解説しており有用。全8Part。A5判、414頁。

  • 田中亘・白井正和・久保田修平・内田修平編『論究会社法——会社法判例の理論と実務』有斐閣(2020年11月)……法学教室連載「会社法判例——より深く学ぶ、考える」(2017年10月-2019年9月)の単行本化。会社法判例百選掲載の重要判例の中から十数個を取り上げ、それらについて理論と実務の両面から教科や百選の解説よりも踏み込んだ内容の分析・検討を行ったもの(はしがき)。上記会社判例の読み方と比べるとより上級者・実務家向けで、司法試験の対策としてはオーバースペックである。座談会録+全14Unit。A5判、392頁。

  • 永井和之・中島弘雅・南保勝美編『会社法新判例の分析』中央経済社(2016年12月)……会社法制定後の重要判例(全60判例)を取り上げ検討を行った評釈集。平成26年会社法改正前の判例については、改正の内容も反映させた上で分析。A5判、468頁。

  • 石山卓磨監修『検証 判例会社法』財経詳報社(2017年11月)……判例解説集。全6章。A5判、640頁。


【演習書】

  • 伊藤靖史ほか『事例で考える会社法(法学教室ライブラリィ)』有斐閣(2015年12月・第2版)……『法学教室』連載の単行本化。リークエ著者陣を含む中堅学者6人による司法試験対策の長文事例問題集。著者が重なっていることもあってか、リークエ会社法との相性が非常に良い。各設問の難易度は標準ないし高度で、ボリュームも司法試験本番のそれと比べて遜色ないため(その気になれば3時間でも4時間でもかけられる問題が並ぶ)、全問を解くにはかなり骨が折れるが、解説が丁寧なので何とかなる。もっとも、斉藤真紀担当箇所にはついては、解説が難解であるといった評価がある。全問解けば重要論点は漏れなく拾うことができ、新しい議論も把握できる。リークエでは紙幅の都合で説明しきれなかった点についても、本書では丁寧な解説がなされている。第2版では、書き下ろし1事例が加えられ、平成26年会社法改正に対応した。執筆者(伊藤靖史・伊藤雄司・大杉謙一・斉藤真紀・田中亘・松井秀征)。A5判、538頁。

  • 前田雅弘・洲崎博史・北村雅史『会社法事例演習教材』有斐閣(2022年3月・第4版)……京大系教授陣による会社法演習書。同シリーズの民法と比べれば、基本的な設問、教科書的な内容が多く、そのような問題は引用文献を参照すれば難なく解ける。とはいえ、もちろん発展的内容も多い。試験対策として使える会社法の事例問題集が乏しい中、発売以来、ロースクールでは優秀者層を中心に使用者を増やしているが、使用者の実力次第では自滅する危険性もある。そもそも独習には向かないので、使用する際は優秀者とゼミを組むべきであろう。第3版で、平成26年会社法改正及びそれに伴う規則改正が織り込まれ、また、考え方の筋道を示す的確な解説が付いた演習問題も大幅に増やされた。第4版において、令和元年改正に対応。B5変型判、284頁。

  • 黒沼悦郎編著『Law Practice 商法』商事法務(2020年3月・第4版)……重要判例をベースにした基礎的な問題集。分かりやすく丁寧な解説が付せられており、取り組みやすい。第4版は、令和元年改正会社法を踏まえた改訂版。「株主総会の権限」、「利益相反の特則としての補償契約」、「取締役の解任」の3項目が新たに追加され、判例と文献がアップデートされた。執筆者(中東正文・福島洋尚・松井秀征・行澤一人)。A5判、388頁。

  • 小林量・北村雅史編著『事例研究 会社法』日本評論社(2016年4月) ……第1部の基本問題14問、第2部の発展問題12問、合計26問の長文事例問題を収載。平成26年改正対応。A5判、448頁。

  • 中村信男・受川環大編『ロースクール演習 会社法』法学書院(2022年2月・第5版) ……『受験新報』の誌上答練過去問から新司法試験向きの長文事例問題42問を選別したもの。雑誌掲載時の解説がアップデートされ、図や出題の意図、答案作成上のポイントも加筆されている。百選掲載判例や近時の重要判例を元ネタにした問題が多い。なお、答案例はない。第4版において、平成26年改正会社法に対応。この改正により立法的に解決された論点が削除される一方で、新たに導入された制度(例えば、多重代表訴訟、全部取得条項付種類株式の取得の差止請求、会社分割における分割会社の残存債権者の保護制度等)が織り込まれ、問題・解説が再編成・修正された。第5版において、令和元年改正会社法に対応。全43題。A5判、467頁。

  • 末永敏和『司法試験論文過去問LIVE解説講義本 末永敏和商法(新Professorシリーズ)』辰已法律研究所(2017年4月・改訂版)……元旧司法試験考査委員。辰已での新司法試験過去問解説講義を書籍化した本。平成18年~平成28年の問題を収録して検討しているが、他の科目のLIVE解説講義本と比較すると、内容が平板である。平成26年改正対応。A5判、頁。

  • 石山卓磨『事例演習 会社法』法学書院(2015年9月・第2版) ……第1編の基本問題34問と第2編に平成18年~27年度の司法試験論文式問題と解説も収録。第2版において、平成26年改正会社法に対応。A5判、408頁。

  • 奥島孝康・鳥山恭一編『演習ノート 会社法』法学書院(2016年6月・第7版) ……第7版において、平成26年改正会社法に対応。A5判、256頁。

  • 上田純子・松嶋隆弘編 『論文演習会社法 上巻・下巻』勁草書房(いずれも、2021年2月・第2版) ……本書は、新旧司法試験・予備試験の過去問・オリジナル問題×若手弁護士(模範答案)×研究者(コメント・解説)で構成された会社法論文演習書。過去問は、令和2年度分まで収録。A5判、320頁・288頁。

  • 久保大作・森まどか・榊素寛・松中学『ひとりで学ぶ会社法』有斐閣(2018年4月)……Stage1からStage3まで段階的にレベルアップしていく演習書。Stage1(25問)・Stage2(18問)・Stage3(6問)で全49問を収録。A5判、330頁。

  • 川﨑直人『司法試験論文過去問演習商法 実務家の事案分析と答案作成法』法学書院(2018年11月)……サンプル問題から平成29年までの問題を収録。改正民法には対応していない。A5判、392頁。

  • 鳥山恭一・福島洋尚編『商法演習Ⅰ 会社法』成文堂(2020年3月)……会社の権利能力、株主平等の原則、利益供与の禁止、事業譲渡など、会社法の基本的な問題である38項目を選定して解説し、各項目末に例題が付された演習教材。A5判、448頁。

  • ☆川村正幸・芳賀良編著『コア・ゼミナール会社法』新世社(2023年4月)……会社法の重要論点に関する100の設問と解説からなる。A5判、288頁。

  • 葉玉匡美・会社法立案担当者の会『新・会社法100問』ダイヤモンド社(2006年11月・第2版)……会社法立案担当者による会社法演習書。立案担当者の一人説が当然のように書かれているため内容を鵜呑みには出来ないが、立案担当者の見解を知るのは本書一冊で十分という意味では良書である。改訂予定だったがそのまま再版された。なお、現在は絶版。A5判、656頁。

  • 弥永真生『演習会社法(法学教室ライブラリィ)』有斐閣(2010年12月・第2版)……法学教室連載の単行本化。短い事例問題や一行問題を起点として、会社法の重要論点を解説する。『リーガルマインド会社法』の副読本的位置づけ。旧法との違いを論ずる過渡期的な性格も併せ持つ。A5判、202頁。

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最終更新:2025年04月24日 21:02
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