soundとaroundを合わせて、「取り囲む音」の意味を表す為に作られた造語。
音声の記録再生方法の1つで、モノラル(1.0ch)、
ステレオ(2.0ch)音声よりも多くのチャンネル(2.1ch以上)を有する。
現在では、サラウンドのチャンネル数は通常「5.1ch」,「7.1ch」などと記述される。
人間の耳は超低音域の方向性を聞き分ける能力に乏しいため、超低音域再生専用の
スピーカー(サブウーファー)は少なくなる。
- LFE(Low-frequency effect)
「0.1ch」分の超低音域信号のこと。
通常のチャンネルに比べて、超低音域専用のチャンネルは情報量が少ない(通常のchにも超低音は含まれており、専用域のチャンネルは補助的に付加しているに過ぎない)ため、「0.1ch」と数える。
ドルビーサラウンドは、基本的にはフロント2ch(ステレオ信号と互換性を保つため)+リア1chの3.0chのサラウンドである。
ドルビープロロジックでは、これを方向強調回路により、フロント2ch+センター1ch+リア2chの合計5.0chとしている。
DTSステレオは、センター、左、右、リアの4.0chサラウンドを、アナログ2.0chステレオで記録する方式である。
DTSデジタルサラウンドは、標準的には5.1chサラウンド(48kHz/24bit)である。
スピーカーの配置の基本となるのは5.1chであり、元となるDVDのソフトに含まれている信号は5.1ch分である。
(6.1chのドルビーデジタルサラウンドEX,7.1chのドルビーデジタルプラスといった上位互換性のある方式も存在する)
通常のステレオスピーカーと同様に、聴く人の位置(リスニングポジション)の前方左右にフロントスピーカーを配置する。
フロントスピーカーの中央にセンタースピーカーを配置する。
(映画のセリフなどがより鮮明に再生される)
後方(あるいは横)にリアスピーカー(あるいはサラウンドスピーカー)を左右に2つ配置する。
(後方から聞こえる音を再現するほか、音の反響などが表現できるようになるため臨場感が格段に増す)
低音域専用のサブウーファーを加える。超低音域専用のため、これを「0.1ch」と数える。
(通常スピーカーは超低音域の再生能力が弱い場合が多いため、サブウーファーを設置すれば全体の迫力が強化される)
これらをベースに、仮想サラウンド技術を利用してスピーカーを減らしたり、より臨場感の高い音響を再生するためスピーカーを増やしたりする。
フロントスピーカーとサブウーファーのみにする。
フロントスピーカーとサブウーファーは必須とし、リア左右を省略するか、センターを省略してリアを中央1本だけにする。
フロントスピーカーとサブウーファーは必須とし、センターを省略するか、リアを中央1本だけにする。
リアスピーカーを前方と同じように3本にしたもの。後方中央のスピーカーはサラウンドバックまたはリアセンターなどと呼ばれる。
ドルビーデジタルサラウンドEXでは標準であるが、従来のドルビーデジタル方式を再生する場合はAVアンプの側の処理で擬似的に6.1chとする。
サラウンドスピーカーを左右それぞれ横・後方の計4chにする。
ドルビーデジタルプラスでは標準となる。
存在はするが、元となる信号としては現在の所は7.1chが上限である。
それを超えるものは、各オーディオメーカーが独自に拡張したものであるため、配置方法はまちまちである。
2005年にNHK放送技術研究所が発表した、2つのLFEや上下に設置したスピーカーなどで、あらゆる方向の音響を表現する方式。
次世代の映像規格であるスーパーハイビジョンでの採用が予定されている。
- 仮想サラウンド(擬似サラウンド、バーチャルサラウンド)
人間の聴覚の特性(いわゆる錯覚)を利用してステレオの環境(2つのスピーカー)だけでも、多チャンネルのサラウンドのような音響を再現する技術。
現在のドルビーデジタルに比べれば、はっきりとした音の定位を再現するのは難しい。
アナログ音声の時代には元々のソフトにサラウンド信号が含まれていた例は少なく、多くのソフトがステレオ信号であり、AVアンプの側でステレオ音声を擬似的にサラウンド化し、フロント2ch以外の信号を人工的に作り出していた。
現在では再生機器の多くに仮想サラウンド機能が搭載されており、ドルビーデジタルなどの多チャンネル音声をリアルタイムで加工し、仮想サラウンド化したステレオ音声として出力したり、元々ステレオの音声を擬似的にサラウンド化する。
あらかじめ仮想サラウンド加工されたステレオ音声がソフト側に含まれている場合は、ユーザーが特別な環境を用意しなくても広がりのある音を再生することができる。
ステレオスピーカー用の仮想サラウンドをヘッドフォンで再生すると、意図した音響を再現することができず、こもったような音になってしまう場合が多い。
ヘッドフォン専用の仮想サラウンド技術(ドルビーヘッドフォンなど)や、ヘッドフォン専用の仮想サラウンドデコーダ機器が存在する。
前後方向の音響ではなく、左右方向の広がりのみを強化したもの。
小さなテレビやラジカセのように、左右のスピーカーの距離が短い場合を想定した技術である。
スピーカーの接続の工夫によって仮想サラウンドを実現する方式。
オーディオ評論家の長岡鉄男の提唱によるものが特に有名で、サラウンド効果の比較では劣るが、スピーカーマトリックスの方が自然であり、音質が優れている。
最終更新:2009年08月17日 00:22