ドルビーデジタル

  • ドルビーデジタル(Dolby Digital,AC-3:Audio Code number 3)とは
 ドルビーラボラトリーズ(Dolby Laboratories,Inc.)が開発した、音声のデジタル符号化方式。
 ドルビーデジタルは、1.0chモノラルから5.1chサラウンドまでの音を、デジタル的に圧縮してデータ量を減らし、フィルムやDVDビデオなどに記録するのに用いられる。
  • ドルビーデジタルと映画
 映画の場合、音声をエンコード処理しフィルムのパーフォレーションの間(フィルムの両端に等間隔であいている穴と穴の間)に信号を光学的に記録している。
 ほとんどの映画作品には5.1chサラウンドを使ったサウンド方式(センター、左、右、リア左、リア右、サブウーファー)を採用しており、これをドルビーデジタルでエンコーディングする事が多い。
  • ドルビーデジタルとDTS
 音質の評価は一般に悪くはないが、ドルビーデジタルの量子化ビット深度が16bitであるのに対し、DTSの量子化ビット深度は24bitであるため、高音質を謳う競合規格の「DTS」が好まれる場合がある。
 ドルビーデジタル5.1chサラウンド(48kHz/16bit)の場合、リニアPCM5.1chサラウンド(48kHz/16bit)を約1/10の640kbpsに圧縮するのに対し、DTS 5.1chサラウンド(48kHz/24bit)の場合は、リニアPCM5.1chサラウンド(48kHz/24bit)を約1/4の1.5Mbpsに圧縮し、圧縮率が低く量子化ビット深度が大きいため高音質である。
 DTSが後発の規格であるため、初期の再生機や安価な機器では非対応のものもあり、普及率の点からもドルビーデジタルが現在のデファクトスタンダードとなっている。
 DVDビデオでは後発の規格であるDTSはオプションで扱われており、DVDビデオには規格上、"DTS音声のみを収録することが出来ない"という制約がある。

  • 関連規格
①ドルビーステレオ<アナログ>:
 センター、左、右、リアの4.0chサラウンドをフィルムにアナログで2.0chステレオ記録する技術。
②ドルビーサラウンド<アナログ>:
 ドルビーステレオを一般家庭用にした技術で、ビデオやレーザーディスク、カセットテープなどの2.0chステレオのみ記録できる媒体に、アナログの4.0chサラウンドを記録する技術。
 専用のデコーダーや機材の無い場合は通常の2.0chステレオ、機材のある場合は4.0chサラウンドを再生させることができる。
③ドルビースペクトラルレコーディング(spectral Recording,ドルビーSR)<アナログ>:
 ドルビーステレオで行われていたノイズリダクション効果を強力にし、記録音域もさらに広げて音響のクオリティを向上させたもの。
④ドルビーデジタル(またはドルビーSRD)<デジタル>:
 ドルビー社の音声高効率符号化方式であるAC-3(AC-3とドルビーデジタルは同じ意味)を使った記録方式。
 1チャンネルからマルチチャンネルまで幅広いチャンネルに対応し、アナログではなくデジタルで音声を圧縮記録する。
 音声をデジタル処理して、フィルムのスプロケット穴と穴の間(フィルムの両端に等間隔であいている穴と穴の間)に信号を記録している。
⑤ドルビーデジタルサラウンドEX<デジタル>:
 右後スピーカーと左後スピーカーの間に後部の中央サラウンドスピーカー(リアセンター)を加えた6.1chサラウンド形式。
 ドルビーデジタルと上位互換性があり、EX非対応の環境で使用すると5.1chサラウンドで再生される。
⑥ドルビーデジタルプラス<デジタル>:
 次世代DVD規格(ブルーレイディスク・HD DVD)で採用されている次世代サラウンド規格。
 最大7.1chサラウンドで可逆圧縮音声も収録できる。
 再生機器にはDD+をドルビーデジタル(5.1chサラウンド)に変換する機能が標準搭載され、既存のAVアンプ等でもサラウンドが再生できるように互換性が確保される。
 DD+のデジタル転送(ビットストリーム出力)にはHDMI ver1.3が必要となる。
(Dolby DigitalにエンコードすることでS/PDIFでのサラウンド出力が可能になる)
⑦ドルビーTrueHD (Dolby TrueHD)<デジタル>:
 BDビデオやHD DVDに採用(HD DVDでは必須となるほか、BDビデオではオプション)された音声技術で、DVDオーディオで採用されている「MLPロスレス」の機能拡張版。
 96kHz/24bitでは最大7.1chサラウンド、192kHz/24bitでは最大5.1chサラウンドまで記録できる。
 ドルビーTrueHDはDVDオーディオフォーマットでは使用不可。BDビデオやHD DVDに使用される場合にのみドルビーTrueHDが使われる。
(Dolby DigitalにエンコードすることでS/PDIFでのサラウンド出力が可能になる)
⑧ドルビープロロジック<アナログ>:
 2.0chステレオを4.0chサラウンドに変換する技術。
 「2.0chステレオから位相的にサラウンド信号成分を抽出するだけの簡易型技術」がドルビーサラウンド、「ロジック(方向性強調)回路により、隣接チャンネルの分離度を高めるよう4.0chサラウンドに変換する技術」がドルビープロロジックである。
⑨ドルビープロロジックII,ドルビープロロジックIIx,ドルビープロロジックIIz<デジタル>:
 プロロジックIIでは、2.0chステレオを5.1chサラウンドに拡張する。
 プロロジックIIxでは、2.0chステレオや5.1chサラウンドを6.1chサラウンドや7.1chサラウンドに拡張する。
 プロロジックIIz(2.0chステレオや5.1ch~7.1chまでのサラウンドを9.1chサラウンドに拡張する。

最終更新:2009年08月17日 01:01
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