HEAL CYCLE

効率的なヒール回しと諸要因の影響



概要

ここでのヒールとは、アークビショップスキルである、ヒール、コルセオヒール、ハイネスヒールを意味する。これらのスキルにはクールタイムがあることから、いずれかを連続使用するよりもこれらを適宜織り交ぜて使用するほうが、時間あたりのヒットポイント回復量は大きい。ここでは理論上のシミュレーションと実測からより効率的なヒールスキルの”回し”を検討する。

ヒールスキルの使用を制限する要因

基本

ディレイ、クールタイム、モーションディレイ、このいずれかの時間内にあるときスキルは(再)使用できない。また、キャスティングタイムも時間あたりスキル使用回数を制限する要因となる。

モンスターハンタールール

モンスターハンターでは、ヒールスキルのクールタイムとキャスティングに、使用上不利な変更がなされる。その一方で、ブラギの唄によるスキルディレイの軽減はスキルの取り回しに利する。こうしたことから、ヒールスキルの使用感は一般環境とはかなり相違する。

ヒーラーロールアップデート前のヒール回し

ヒールスキルの仕様

まず、旧仕様について再確認したい。ロールアップデート前のヒールスキルの仕様を次の表にまとめた。回復量の補正については省略する。
ハイネスヒールのクールタイムは1秒とされた。一般環境ではアクセサリ「治癒の光」に付与された「治癒1」により、ハイネスヒールのクールタイムは実質ゼロ秒であることから、この仕様は実際にはクールタイム1秒追加、として機能した。一方、コルセオヒールのクールタイムは1秒短縮され、1秒とされた。


(灰字は未検証、黒字は公式(ヒーラーロールアップデート未対応)より引用)

これらの仕様を念頭に、旧仕様での効率的なヒール回しを考える。効率的とは、時間あたりのヒール回復量が大きい、ことを意味する。
ここではヒールスキルのディレイ(青)、クールタイム(灰)、モーション(橙)を次図のように図式化する。赤線(これ以降の図では省略する)がスキル使用のタイミングを示し、小数字はタイムカウント(1=1/10秒)を示す。
この図は、ディレイカットなしのハイネスヒールを連打したケースを示す。ディレイないしクールタイムが1秒あるため、これが再使用を制限し、1ハイネスヒール(260%)/1秒、のヒール効率となる。


ヒールサイクル(旧)

ついで、ブラギの唄を得たものとする。ハイネスヒールのディレイは0.3秒短縮する(水色)。しかし、クールタイム1秒は変化しないため、再使用は同様に制限される。そこで、ハイネスヒールに続けてコルセオヒールを使用したケースが下図となる。コルセオヒールは、ハイネスヒールのディレイが解消したタイミングで使用できる。
コルセオヒールにはディレイがないため、それに続けてのスキル使用は、モーションにより制限される。モーション(ディレイ)は、スキルやキャラクターのアタックスピードにより変化する。ここでは議論を単純化するため、一律0.7秒として作図した。これは説明のためのやや恣意的な数値であるが、実測調査の結果と照らし合わせると、おおよそ妥当な値であるようだ。
コルセオヒールのモーション解消後に、ハイネスヒールを使用、これでヒールスキルのサイクルが完結する。1ハイネスヒール(260(※))と1コルセオヒール(78(※))/1.4秒、よってヒール効率は240%/秒となる。
(※いずれも新環境の検証値)


上記の想定では、ヒール効率は、ハイネスヒールを連打したケースに劣る。しかし、ここで注目すべきは、モーションはキャラクターの移動や被弾、スキルの先行入力によりキャンセルできることである。
コルセオヒールのモーションをキャンセルし、0.2秒(下図黄色部分)短縮したとき、サイクル/1.2秒、ヒール効率280%/秒となり、ハイネスヒールを連打するケースを上回る。旧仕様環境ではこのことが周知されており、ハイネスヒールとコルセオヒールを、モーションキャンセル(通称「ダンス」)を挟みつつ交互使用することが、ヒーラーの基本であった。


ブラギの唄に追加してのディレイカットや、モーションキャンセルの精度向上のためのアタックスピード増はサイクルをさらに短縮する。とはいえ、ハイネスヒールないしコルセオヒールのクールタイム1秒の制限による、サイクル/1秒に理論的な限界がある。

ヒーラーロールアップデート後のヒール回し

これによる変更点

ロールリバランスの一環として、ヒーラーロールスキルのモンスターハンタールールにも仕様変更がなされた(ヒーラーロールアップデート)。ハイネスヒールに短縮不可キャスティング(”Irreducible cast time”)が追加され、クールタイムが延長された。コルセオヒールのクールタイム短縮が撤回され、一般環境と等しいクールタイム2秒となった。
平時はノーマルヒールを使用し、ここぞという場面でハイネスヒールを使用する、という運用を意図しての新仕様であるようだ。しかし、新ハイネスヒールの使用感は悪いことから、ハイネスヒールをノーマルヒールで代用することが一般的となった。ヒール倍率は大きく低下するが、ヒール回復量ペナルティが緩和されたため回復量は2~3割の減少にとどまった(旧:75%減少→新:40%減少)。
また、環境の大きな変化として、ヒーラーロールにディレイカット20%が付与されるようになった。これ以降ではこれを考慮し、これにブラギの唄を加えたディレイカット50%状態を前提として議論する。


新仕様では、ハイネスヒールは常用に向かないことから、先ず、ノーマルヒールとコルセオヒールをメインとしてヒールサイクルを検討する。
次の図は、旧仕様で一般的であったところのハイネスヒールとコルセオヒール交互使用、これのハイネスヒールをヒールで置き換えたバージョンである(旧ヒールサイクル)。コルセオヒールのクールタイムが伸びたため、クールタイムの解消待ち時間(図中黒塗り部分)が発生し、サイクルの回転を制限する。ヒール効率は89%/秒となり、これは明らかにヒールの連続使用による100%/秒より少ない。


ヒールサイクル(新)

そこで、コルセオヒール、ヒール、ヒール、という新サイクルを検討した(新ヒールサイクル、下図)。ヒールのクールタイム待ち時間が発生するが、2ヒール(100%)と1コルセオヒール(78%)/2.4秒であるから、ヒール効率116%/秒となり、ノーマルヒール連続使用よりヒール効率は大きくなる。


旧仕様の汎用サイクルと同様に、この新サイクルについてもモーションキャンセルによるヒール効率の上昇が可能である。これによ理論上は、コルセオヒールのクールタイムが再使用制限となるサイクル/2.0秒が可能であるが、実際にはヒールとコルセオヒールのモーションを連続しキャンセルすることは難しい。コルセオヒールのモーションをキャンセルしたとして(下図、黄色部分)、サイクル/2.2秒、ヒール効率126%/秒付近に上限があると推測する。


ハイネスサイクル

次に、ハイネスヒールを含めたサイクルを検討する。ハイネスヒール開始とし、コルセオヒール、モーションをキャンセルしヒール、ヒール、コルセオヒール、モーションキャンセルしハイネスヒール、これを新ハイネスサイクルとする(下図)。1ハイネスヒール(260%)と2ヒール(100%)と2コルセオヒール(78%)/4.1秒であるから、ヒール効率150%/秒となる。
使用感の悪さからショートカットから追いやられた印象のあるハイネスヒールであるが、ヒール回しにこれを組み込むことで、ヒール効率の上昇を見込めることが示された。


以上は理論上の比較である。しかし、すでに記述した通り、モーションについて仮定に基づく議論である。また、そのキャンセルについては、実際の短縮限界や、その再現性について未知数である。そこで、実測を行い、それぞれのヒールサイクルについてヒール効率の検証を行った。

ヒール効率の比較検証

検証条件

サベージコースト、エクスペディションモードで行った。使用したキャラクターはモンスターハンター向けにセットアップされたアークビショップで、特記すべきことはない。新旧ヒールサイクルおよびハイネスサイクルをリプレイファイルに記録し、連続する10サイクル間の経過秒数を測定した。モーションキャンセルは出来る限り試みたが、成功率は低かった。サイクルあたり秒数に関与すると予想されるアタックスピードとディレイを変え、3条件で測定した。


結果を上表に示した。値は10サイクルあたり秒数である。ヒール連続使用(カッコ付き値)は理論値である。旧ヒールサイクル(コルセオヒール~ヒール)は上記シミュレーションの結果に合致したが、新ヒールサイクル(コルセオヒール~ヒール~ヒール)、ハイネスサイクルでは、サイクルあたり秒数はシミュレーション結果より数秒大となった。仮定されたモーション秒数が不正確なことも原因であるが、やはりモーションキャンセルの成功率の低さの影響が大きいと考えられる。
ブラギの唄を未使用のとき(左列)、新ヒールサイクルのサイクルあたり秒数は増加し、このサイクルによるスムーズなヒール回しにはブラギの唄によるディレイカットが必要なことが示された。これはスキルのモーションが0.7秒より短い、あるいは偶発的にヒールのモーションキャンセルに成功している可能性を示唆する。


ヒールサイクルあたり秒数の逆数を、サイクルあたり回復量に乗じた値が秒あたりヒール回復量すなわちヒール効率となる。結果を上表に示した。ヒールサイクル間の比較では、旧ヒールサイクル<新ヒールサイクル<ハイネスサイクルとなり、シミュレーションの順位に合致した。しかし、実測値は、理論値(緑色斜体)に比べると低かった。これは、スキル入力が早すぎることによる詰まり、遅すぎることによるタイムロス、モーションキャンセルの失敗、といった操作ミスを反映している。新環境のヒールサイクル操作に習熟する必要がある。
追加のディレイカットやアタックスピードの上昇はハイネスサイクルの秒数を短縮した。これが本質的な効率化なのか、操作ミスのリカバーに過ぎないのかは、操作に習熟したうえで改めて検証する必要がある。

一般に、アークビショップのヒール能力はヒーラーロールアップデートにともなって低下したとされる。それに対応したヒールサイクルの最適化が行われていないことが、その原因であることは明らかである。新たに実装されるフルングニルでは被ダメージとヒール回復量がふたたびシビアなバランスに調整される可能性がある。新たなヒール回しに、指を慣らしておく必要があるだろう。

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最終更新:2020年11月24日 15:41
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