彼の頼みというのは、あの牢に入っている自分の仲間のことだった。
共犯者だったようで、自分だけ助かるのはその仲間に申し訳ない、自分が出ていけるなら仲間も出してやりたいという。
俺は同じように手術を受けることを条件にその要望を受けてやり、前と同じように牢の番に金を掴ませて鍵を手に入れ、解放してやった。
死刑囚を二人も解放してしまったことになるが、警察公認の上で行っている以上何も問題はない。いざとなれば裁判官も買収してしまえばいい。
捕まっていた奴の種族はボスゴドラ、なるほどこうして二人並べてみれば、いかにもな悪人という雰囲気だった。
キュウコンに頼んでこちらも同じように改造してもらうが、彼女の気まぐれなのかバンギラスのように触手を付けたと言うわけではなかった。
見た目で変化が分からない、しかし彼女がいつになく御機嫌だったのを見ると、どうやらまたろくでもない改造を施したに違いない。
それも全て、家に帰れば分かることだ、俺は二人の死刑囚と共に家に帰った。
この二人に裏切られる心配はあまりしていないが、万が一を考え改造時に腹の中に爆弾を仕込んでもらったのでぬかりはない。
ピジョットを拘束してある部屋に二人を通すと、俺を除く全員が目を丸くした。
「・・・ん?どうかしたのか?」
「あ、あんたたち・・・なんでここにいるのよ!」
何が何だかさっぱりだが、ピジョットに問い詰めてみたところこの二人を自分が捕まえたのだという。
道理で二人がニヤニヤしているわけだ。俺としてもおもしろくなってきたと思い、一つこの巡り合わせを利用することを考えた。
「こいつはお前達を犯罪者として晒しあげたんだろ?今度はお前達がこいつを世間に晒しあげてやれ」
今の時代、インターネットを利用すればデータなどあっと言う間に世界中に拡散する。
カメラの回っている目の前で、俺の実況付きでこのピジョットの痴態を撮影し、バラ撒いてやる、もちろん顔と名前をしっかり写して、だ。
言うが早いか、二人はもうピジョットに近づき、犯す気満々の表情で彼女の体を掴んでいた。
「む・・ぐぅう!臭いっ!・・・なによコレぇっ!!」
二人が近寄ろうとしたとき、ピジョットが大声で悲鳴を上げた。
縛られているからまともに動けないが、身じろぎして少しでもその場から離れようと務めている。
この言葉を聞いて俺は一つ思い出すことがあった。キュウコンが話していたことに、調教用に雄を改造するなら雌が嫌がるような改造をすると。
事実、俺のような逸物を好む雌など居ないだろうし、背中から触手が生えたバンギラスを好む者も居ないだろう、つまりボスゴドラに施された改造も、雌が嫌がる『何か』のはずだ。
「ボスゴドラ、あの雌鳥を抱きしめてやれ、ぎゅーっとな」
「?・・・わかった」
キュウコンの言葉とピジョットの反応、そして見た目では分からなかったボスゴドラへの改造の内容。この三つのことが意味するものは、今からピジョットが見せる反応でおそらく明らかになるだろう。
「むぐぅう!!?臭いっ!ぐざぃいぃいい!!」
抱きしめられた途端に狂ったように叫びだすピジョット、これで明らかになった、キュウコンがボスゴドラに施した改造の内容は、体臭を目一杯雌が嫌がるようにしたものだった。
雄の俺やバンギラスが近くに居てもなにも感じないあたりがつくづく良くできていると言える。
そういえばキュウコンもボスゴドラの近くに居て平気だった、というより顔をやや赤くしていたような気がする。
もしかして改造内容は雌の嫌がることではなく彼女が好むことなのではないか・・・偶然の一致ということにしておこう。
ともかくこれでもう一つ、俺がピジョットに対して切れるカードが増えた訳だ。撮影用のカメラを彼女が中心に映るように回し、俺はボスゴドラの体臭に悶える彼女に言った。
「おい、このお二人がお前にお礼をしたいんだとよ、何をしてほしいか言ってみろ」
初めから期待通りの答えが得られるとは思っていないので、模範解答を書いた紙をカメラに写らないように見せてやった。
「なっ・・・こんなこと頼むわkぐぎゅうう!!?」
模範解答以上の事を言うなら許すが、関係ないことを話すのは許さない、余計な単語が出たらすぐにボスゴドラの体に彼女の顔を押しつけ、強烈な体臭に鼻を晒させる。
俺には感じ取れないがよほど酷い臭いなのか、俺の逸物を舐めたときと違い、いつまで経っても慣れる様子もなく顔を歪ませていた。
「ちゃんとそこに書いてある通りに言うんなら、離してやるってよ」
アメとムチで行う調教はつまらないと思っている、この強烈な体臭を延々と嗅ぎ続けるか、カメラの前で痴態を晒すか。
ムチとムチで少しでもましなほうを選択させるほうが見ていて面白味があるというものだ。
そしてこれを繰り返していくうち、調教を受ける者はまず最初に自分が妥協して選択した事象に順応するようになる。
順応がさらに進んだ先に待つのは、もっと苦しいもう一つの選択から逃げられるという『快楽』なのだ。
「さーて、そろそろ二人へ頼みたいことは決まったかな?」
「ぎゅ・・ぅ・・・そんなもの・・・ない・・・」
「そうか、それなら仕方ないな」
「ひ・・ひぃい!あ、あります・・・ありますぅうう!!」
ボスゴドラの方で屈服させられないのは癪だったが、あまり長引いても埒があかないので俺が逸物を出そうとすると、すぐに感づいたのかあわててピジョットは前言を撤回した。
やはり体内を貫通されたという恐怖は強くトラウマとして残っているらしい。彼女の中ではおそらく一番苦しむ事が俺に貫かれることなのだ。
「それならちゃんと頼めよ、この二人は優しいから遠慮なんかいらないはずだ」
拘束を外せば間髪入れずにその鋭い嘴と強靱な翼で打ちのめしてやろうとでも思っているらしい、嘴がさっきからギリギリと軋む音を立てている。
しかしそれは調教する者にとって一つの心地よいBGMでしかない、反抗する雌を屈服させるのが調教の醍醐味なのだから、反抗するのならいくらでもしてくれていい。
とはいえ、将来の主人になる者に向けてあまり反抗してくる奴隷にはお仕置きが必要である。
なかなか口を開こうとしないピジョットにもう一度逸物を出す素振りを見せてやると、ようやく堅く閉ざされた口を開いた。
「ぐ・・・ぅ・・・わ、わたしに・・・あなた達の・・・・を・・・」
「聞こえないぞ?腹の中を抉ればもっと良い声がでるかな?」
「っ・・・!わ、私にあ、あなた達のチンポをしゃぶらせてください!!」
待っていましたとばかりに二人の死刑囚はピジョットに近づき、それぞれの逸物を引っ張り出す。
改造された俺の物と比べればさすがに小さいが、元々大きな体格のせいか、一般的な物とくらべればやはり規格外の大きさであることに違いはない。
数メートル離れている俺の嗅覚さえ刺すような雄の臭いが部屋に漂い、それに対しピジョットが声を上げようとする頃には、二本の重槍は彼女の喉を容赦なく突き上げていた。
「ンンーーー!!・・・ーーー!!」
既に顎ははずれている上、呼吸する隙間もないほどにギッチリと気管に割り込む逸物は彼女に苦悶の声を上げることすら許さない。
初めはただ突いているだけだったが、自分の逮捕した警官を犯すというシチュエーションが次第に二人の中の嗜虐心を駆り立てていく。
吐き出される欲望は微かに残されていた彼女の呼吸の余地さえ奪い、絶え間なく突き上げられる逸物はそれを嚥下する暇すら与えない。
延々と続く強烈なピストンに気絶することも叶わない彼女は、ただただ二人の欲望と恨みを小さな体に受け止めることしかできなかった。
終わりがないように見えた地獄の時は、皮肉にも二人のさらなる悪意によって一度止まる。
一つの穴を犯すだけではつまらない、この雌鳥を自由に使わせてくれ。という、刹那の休息に浸る彼女をさらなる苦痛の極みへとたたき落とす言葉で。
「ひ・・・ひゃ・・は・・・」
ピジョットは顎が外れて閉まらない嘴を虚ろに動かしながら、喉から空気をこぼしていた。
あれだけの時間、屈強な雄二人がかりで喉を犯されたせいだろう、ただでさえ閉まらない口の上に声帯が痛んでしまい、ろくに声を発することすら出来ないようだ。
しかし雌の悲鳴は調教する上での至上のスパイスとなる、俺は無理矢理彼女の顎をくっ付け、とりあえず声を出せるようにしてやった。
「い・・・や・・・もう・・・許して・・・」
何を言うかと思えば、ただ許しを請っていただけだった。
許しを請うという事は、この状況からの逃げ道を欲しがっているということ。そこに逃げ道を敷けば、先に魔物が大口を開けていようとその道を辿る。
「その二人が満足したら、もうあんたには用がないから許してやるよ」
これが俺の用意する逃げ道だ。おそらく今ピジョットは長くても数日、二人の言うことを聞けば助かると思っているのだろう。
それは半分正しいが、半分は間違っている。
だが自分を殺さんとするライオンからの逃げ道を通らない兎はいない。彼女は躊躇いもなくその条件を飲み、満足するまで二人の奴隷となることを誓った。
俺は彼女に媚薬と特製の薬を入れた点滴を繋ぐと、きちんと何をされているのか俺にわかるように、胸に取り付けたマイクに向けて説明するよう言った。
二人に調教室を一時的に明け渡し、自室のテレビで彼女の痴態を観察することにする。実況付きの調教ショーが今まさに始まらんとしていた。
テレビに映し出された映像はいきなり衝撃的なもので、バンギラスが改造によって身につけたばかりの触手を使いこなし、彼女の体に蹂躙の限りを尽くしている。
「ほら、実況はどうした?」
「くっぁ・・・お、おかされ・・・てぇ・・・」
「誰が誰にどうやって犯されてるのかを聞いているんだ」
「わ、私はぁっ・・・死刑囚にっぃいいいっ!!?」
ピジョットが静かだったのでマイク越しに実況をするよう
指示してやると、何とか言おうとしているものの、何度言おうとしても言い切る前に逝かされてしまう。
それもそのはず、彼女の腹には無数の触手に加え、二人の逸物が突き刺さっている。その上点滴で絶え間なく媚薬を流し込まれているのだから無理もない。
さっさと快楽に堕ちてしまえば楽になれるのに、警官というプライドの高さがそれを阻む、いずれそれごと崩れ落ちる脆い崖にかろうじて捕まっている状態だった。
ここは物語の中でなく、現実の世界なのだ。彼女を崖から救う蜘蛛の糸は百年待とうと垂れてはこない。その事実を一度でも認めてしまえば、彼女の理性は塵と消え果てるだろう。
「あっぁあ・・・っぁあぎぃい!!」
「お?今度はどうした?」
「あ・・ひゃっぁ・・・タマゴっ・・・がぁあ!!?」
しばらく拙い実況を聞き流しているうち、予想外の変化が起きた。
バンギラスの触手が所々コブのように膨らみ、その膨らみをピジョットの体内へと送り込んでいる。それがタマゴだと気づけたのは彼女の実況のお陰だ。
ただの触手では済まず、何が孵化するのか見当も付かぬタマゴが次々と彼女の子宮へ、腸内へと産みつけられる。
ただでさえ膨らんでいた腹部が、中に入っているタマゴの量の凄まじさを物語るように、葡萄のような形に姿を変えていく。
体を貫かれ、自分が捕まえた囚人達に犯され、それでも尚砕けなかった彼女の強靱な精神力も、そろそろ限界を迎えるころだった。
苦悶の表情の裏側に少しずつ歓喜の色が滲み出る、拒んでいた行為を歓迎するように体が動く。
快楽という名の黒い絵の具は、人の意志という綺麗な色彩をもどす黒く染めあげ、塗りつぶす。
ほんの数日前まで鮮やかに彩られていたピジョットの心は、見る影も無くなってしまった。
雄達の前、カメラの前で、快楽一色に染まった心で彼女は踊る。かつて忌んだ死刑囚に塵ほどでも多くの快感を与えてもらうために。
カメラを回しだしてから数日後、俺は調教室を訪れた。
その中には無数の肉片と、血に染まった体でなお快感を貪っているピジョットの姿があった。
彼女が堕ちたとわかった瞬間、俺は二人の爆弾を起爆させていた。元々死刑囚なのである、殺される相手と方法が変わっただけのことだ。
肉片から拾いだした逸物の残骸で自慰を続ける彼女を傷つけぬよう抱き上げると、彼女は俺の体に顔を押しつけ、掠れた声で囁いた。
「御主・・・人・・・?」
「御主人さま・・・の・・・匂い・・・?」
あの点滴に仕込んでいた特製の薬は、俺のフェロモンを濃縮した液体。これが体に回るころには、彼女の頭には雄といえば俺しか浮かばぬほどになっていただろう。
そしてその状態で『雄』により快楽に染められる、今の彼女に映る俺は、淫乱な雌鳥で自分に快感を与えてくれる主人の姿に他ならない。
「んっ・・・ぁああっ・・!!」
突然悶えだしたかと思うと、ピジョットは調教時に産みつけられた大量のタマゴを文字通り産卵し始める。
カメラ越しには見えなかったが、あのグロテスクな触手から産みつけられたとは考えられない、真っ白で綺麗なタマゴが彼女の体からこぼれ出す。
十、二十という数はゆうに越し、それでも産卵を続ける彼女の姿はまさしく産む機械そのものであった。
後になってこのタマゴの元を作ったキュウコンに聞いたところ、最初に産みつけられた数個が孵化し、ピジョットの子宮に住み着いてるのだろうと言う。
交尾をしなくとも産卵をし続ける雌。調教前に抱いていた、初めての作品に持たせたい個性としては十分すぎるほどの物だった。
一週間も経つころには、犯されて消耗した体力や痛んだ声帯もすっかり元に戻り、彼女の体は完全に回復していた。
しかし、黒い絵の具で塗りつぶされた彼女の心はもう元に戻ることはないだろう。
それでも今の彼女にはこれが至高の幸福であった、毎日のように無数のタマゴを産み、主人たる俺に犯される、それが彼女の生き甲斐であった。
今日も、俺と彼女は何事もない朝を迎える。
「なんだ・・・今朝も目玉焼きか?」
「はい、今朝も産み立ての目玉焼きですよ、御主人さまっ」
END
最終更新:2010年02月27日 11:17