太陽が昇る前に私は目を覚ます。
 太陽神トナティウに夜の暗闇を打ち破り世界に光をもたらした事を感謝するためだ。
 そしてその時トナティウから力を貰い、右目で部族の未来を見なくてはならない。それが神官である私の務めだ。
 今朝も皆が起き出す前に私は起きた。まだ隣で寝ている夫と息子を羽で撫でてから祈りの丘へと登る。
 祈りの丘は人間で言う所のズイタウンに近い場所にある。かつてはそんな所に街など無かったのだが、私が小さい頃に最初の家が建った。人間という存在が珍しく、何度か見に行った事を覚えている。
 その頃はうまく住み分けが出来ていたのだが、最近は人間が増えたようで街はどんどん大きくなっていた。そしてあろう事か牧場を大きくするために祈りの丘を切り崩そうとまでし始めたのだ。
 勿論私達は人間が祈りの丘を穢さないように抵抗した。毎朝私が未来を覗くのもそのためだ。人間がどのような時間にどのような機械に乗ってどのようなルートで来るのかを知り、先回りして阻止するのである。
 私が祈りの丘の祭壇に到着した頃には空が白み始めていた。木の枝で組んだ祭壇に手早くトナティウへの供物を用意すると、私は右目を凝らしいつでも未来を覗けるように準備する。
 太陽光が稜線を越えて私の目に届いた。
 夜の神テスカトリポカを見事に打ち倒した事を私は称える。そして未来を覗く力を分けて貰えるよう懇願した。
 トナティウは捧げ物を気にいったようで、今日も力を分ける事に同意したらしい。私の右目に澄んだ空と太陽以外の光景が広がる。

 赤。血の赤。

 いきなり眼前に広がったそれに私は小さく声をあげてしまった。映像が消えかけたので、慌てて精神を集中させる。
 そして知った。人間が総力戦で来る事を。
『集落が……!』
 私は未来を覗かせてくれた事をトナティウに感謝もせずに集落へと飛び立った。
 それがトナティウの怒りを買わなかったかもしれない。しかし私は集落に残してきた家族の死を見せ付けられ、それを考える事が出来なかったのだ。



 私が村に着いた時にはもう手遅れだった。
 木で編んだ巣は壊され、集落の者は捕まえられるか――撃ち殺されていた。
『誰かっ! 誰か生きている者は!?』
 私は必死にテレパシーで呼び掛ける。崩れた巣の枝を払い、下敷きになっている者を探した。
 だが残されているのは死体ばかりだった。未来を知り、穏やかに暮らしていた平和の民はもう存在していなかった。
 私は立ち尽くして泣いた。涙が枯れ果て目が乾いてこようとも心の中で泣き続けた。
 夫と息子の死体が見付からなかったのが唯一の救いだった。逃げたのか捕まったのかは分からないが、とにかくまだ生きているはずだ。
 だが……私はどうすれば?
 1匹だけで生きて行く自信など無い。集落の者からの貢物で身を立てていたのだ。そんな者が自分で獲物を取れる程自然は甘くは無いだろう。
 途方に暮れて立ち尽くす。傍から見ればさっきまでとの違いは分からないだろうが。
 その時だ、蹄の音が聞こえてきたのは。
「Yee-HAW!! 騎兵隊の到着だ! 赤肌の野蛮人はどこにいる!? 狩りの時間だぜ!!」
 その男はギャロップに乗り集落に突進してきた。ズイタウンにうろついている人間の御多分に洩れずルンパッパのような格好をしている。
「……ありゃ、乗り遅れたようだな。チクショーダックハントに参加したかったのによぉ! 俺のウィンチェスターとSAAが火を吹く貴重なチャンスが!」 
 男は肩から下げた銃を手に取り八つ当たりするように発砲する。
 その轟音でようやく私は気付いた。コイツは憎き仇だと。
「大体こんな早朝からやらなくてもよぉ。なんだ、俺が朝弱い事への当てつけか? そうなのか? 怒っちゃうぞ? おっ?」
 ブツブツ呟いていた男が木が擦れる音に振り返り、そして私と……男に尖った方を向けた数多の枝に気付く。巣の枝を全てサイコキネシスでかき集め、矢の代わりにしたのだ。
「……いるじゃん。活きのいいのが」
『部族の仇……ここで取らして貰う』
 舌舐めずりしながらモンスターボールを取り出す男にテレパシーで宣戦すると、私は枝を最高速で打ち出した。
 幾らギャロップでも避けれない程の速度と密度で矢は押し寄せる。だが男はニヤけ顔を崩さずにモンスターボールを放った。
「ハニー、お・仕・事」
 モンスターボールから発せられた閃光で一瞬男が見えなくなる。その間に矢は男のいる場所を通過し、後ろの木々に次々と刺さった。
 やったか、と私は思ったのだが、
『マスター、いい加減土壇場でアタシを出すのを止めて下さい』
 男の突き刺さるはずだった矢は空中で静止していた。寸前に出されたポケモン、サーナイトによって止められたらしい。
「おまっ! 来る時決めたじゃん! 今日はボニー&クライドで行くってさ! マスターじゃなくてダーリンって……」
『あまり知りもしない癖に何言ってるんですか。大体ボニー&クライドって禁酒法時代の人じゃないですか。服装とミスマッチです』
 唐突に出された事にサーナイトは怒っているらしい。私を無視して男と口論し始めた。
 私はこの隙に逃げ出す事を決めた。技を1発放てば相手の力量くらい読める。悔しいが私ではあのサーナイトには勝てない。
 私が空に飛び立つと男が声を上げた。
「おっ! やっこさん、鴨役になってくれるようだぜ! よーしダックハントだ!」
 男は銃を構えて私を狙った。みらいよちを使って避けようとしたが、どうみても銃口がこちらを向いているようには見えないので、使うまで無いだろう。
 下方で火の咆哮が聞こえた。弾は私から逸れ、明後日の方向に飛んでいく。
 男と私の距離はどんどん広くなり、銃声も微かに木霊するだけとなった。
 ひとまず安心かなと私が息を吐く。
 無事に逃げ出す事は出来た。しかしこれからどこに行けば……
『あがっ……!?』
 そこまで考えた所で、脇腹から火が出た。翼が力を失い、揚力を得る事が適わなくなる。
 体を抱えてうずくまりたい衝動を必死で抑えながら滑空し、どうにか大したダメージを負わずに不時着する事に成功した。
『カフッ……う、撃た、れた?』
 脇腹を見ると鮮血が流れ出ている。寒気がしてきたのに身を焦がすような痛みが私を襲った。
 どうにか止血しようと翼で押さえるのだがそれも叶わず、血はどんどん地面に吸い込まれていく。
 ここで死ぬのか、私は暗くなる意識でそう考えた。家族を思うと胸が痛むが、これも運命かと受け入れる。
 最後に覚えているのは、段々と近付いてくるあの忌まわしい蹄の音だった。



「おい、起きろ」
『うっ……?』
 顔を叩かれ私は目を覚ました。
 目の前いっぱいにあの男の顔が広がる。
 すかさず私はくちばしで男をつついた。まだ本調子ではなかったので男の脳漿は拝めなかったが。
 ぐわぁあと転げまわる男を眺めている内に意識がはっきりしてきた。
 どうやら私はどこかの部屋に監禁されているらしい。無駄に広い無機質な部屋だ。光源はあまり多くは無く、全体的に薄暗い。
 私はというと部屋の中央に設置された十字架に翼を広げさせられて括り付けられている。外そうともがいてみたがビクともしなかった。
 体を確認してみると不時着時の擦り傷や脇腹の銃創は消えている。しかしそれと一緒に念力あサイコキネシスの力も消えているのを感じた。
 私がため息を吐いたのと同時に男が立ち上がた。
「おいこのFuck’nインディアンのコスプレ鳥!! テメェ自分の立場分かってんのか!! そのボケーとした顔少しはシャキッっとさせてやらぁああああああ!!!?」
 男が殴り掛かってきたのでその軌道上にくちばしを持っていった。私はそれ以外に行動しなかったが、それなりに尖ったくちばしを全力で殴り付けたので男の拳から血が噴き出る。
「いって、いってっぇぇぇぇえええ!! こんのお糞ったれぶっ殺して……!」
『何やってるんですかマスター……』
 サーナイトがどこからともなく現われた。彼女は男に近寄るとテキパキと応急処置を行う。
『このネイティオは殺してはいけませんって雇い主から言われてるじゃないですか。破ると罰金ですよ? 清貧なんてアタシはゴメンですからね』
「知るかっ! この生意気なポケモンは今すぐ殺しゅぅうぅ……」
 サーナイトが男の首筋を掴むと最後まで言い終わらずに気絶した。
『マスター、話がこじれそうなので少し寝てて下さい』
 落した後にサーナイトがそう言った。そしてこちらに顔を向けると近付いてくる。
『さてと……初めまして、アタシは……』
『お前の名前など聞く意味は無い』
 挨拶してきたサーナイトに私が挑発的に言い返すと、サーナイトはクックッと笑いだした。
『言えてるわ。名前なんて意味は無いわよね。じゃあ簡単に貴女の状況説明しよっか……女の子で合ってるわよね?』
 性別を聞いてきたが返事をする義理は無い。顔を背ける私を気にせずサーナイトは続けた。
『アタシ達はあるクライアントに依頼されたの。こちらの待ち伏せをして襲いかかってくるネイティオを捕まえろってね。どうも貴女のみらいよち能力に興味があるみたい。手元に置いておきたいんだけど、貴女達って重機相手に渡り合っていたでしょ? 相当危険視されてるわよ。どうも人間に懐く懐かないの次元じゃないようだし』
 そういってサーナイトは男を一瞥した。
『てな訳でアタシ達の出番。ポケモンの調教業をやっております♪ どんな凶悪ポケモンでもアタシ達に掛かればイチコロ! 調教成功率100%! 以後お見知りおきを……嫌でも、だけどね』
『それなら私が最初の失敗例になってやる』
 私が鼻で笑うとサーナイトもニヤけた。
『これはマスターが殴りたくなる理由も分かるわ~。まぁ最初はどのポケモンもそう考えるんだけどね。でも……』
 サーナイトが密着してくる。私はその頭をつつこうとしたが、上手く死角に入られてしまった。
『何を……うっ!?』
 サーナイトは私の体を撫でまわすと首筋を舌を這わせる。悪寒が背筋を走り、私はあらん限りの力で暴れた。
『あはは、このくらいでその反応するなら成功は確実ね。顔に似合わず可愛いじゃない』
 パッと私から離れたサーナイトがそう言ってくる。私は今までに感じた事の無い程の屈辱と羞恥心で顔を赤くしてしまった。
『まぁ本格的な調教は明日からだから今日はゆっくり休んで。アタシも貴女と遊ぶ事を楽しみにしてるわ。じゃね♪』
 サーナイトは言い終わると男の襟首を掴みながらテレポートする。部屋には私以外には何もいなくなり、心を侵してくる静寂と一緒に私は取り残された。



目を覚ました。いつもの習慣で空を見上げるが蛍光灯が光るのみで星は見える訳がなかった。
 体内時計ではそろそろ日の出。だがそれを確かめる術は私にはない。
 やる事が無いので翼に力を入れてみた。何度かもがいてみたが、やはり拘束が解ける気配はない。
 諦めて状況を打開できるチャンスが訪れる事をじっと待つ事にした。

 私の体内時計で太陽が天頂に昇る頃に昨日の男とサーナイトがテレポートで現われた。どうやらこの部屋には扉という物が無く、移動はテレポートのみで行っているらしい。
「おーおー糞鳥! いい気味だなオイッ! この暇さに少しは堪えたかっ! どうだ俺の戦略は!」
 男が何やら喚いたが無視する。私達ネイティオはそもそもほとんど動かないので、今の仕打ちもいつも通りの事と言えばいつも通りだ。堪える訳が無い。
『……マスター、単に寝坊したのをそんな風に誤魔化すと逆に恥ずかしいです』
「う、うるさい! 昨日牧場主や土方の連中と記念の飲み会行ってたんだから仕方ねーだろ! ようやくあの忌々しい丘を切り崩せるからな。全く手間掛けさせやがって」
『うぐッ!?』
 男が腹の辺りを蹴り上げてくる。私は少しだけ顔を歪めてしまったが、直ぐに元の表情に戻す。
「……つまんねー。つまんねーなコレ。まだ使えないからお手軽コースしかできねーしよ。お前に任せるわ」
『もうハニーって呼ばないんですか?』
「それも飽きた。戻って寝る。とりあえず俺が楽しめるようにしとけ」
『了解しました。おやすみなさい』
 サーナイトはそう言うと男をテレポートさせた。
『じゃ、始めましょうか。ポケモン同士、仲良くしましょ?』
 その言葉も私は無視する。サーナイトはその反応が気に入ったようでニヤニヤ笑った。
『やっぱ調教するならこうじゃないとね♪ それじゃあまずは……』
 サーナイトの横に台が現われた。その上には沢山の得体のしれない器具が並んでいる。私には用途が皆目見当も付かなかった。
『あら、ディルドーやバイブ見ても結構冷静ね。勘のいいポケモンならこれで大騒ぎするのに』
 キョトンとしている私を見てサーナイトが呟く。そして合点がいったようだ。
『あ、直立してるから忘れてたけどアナタ鳥ポケモンだったわね! そりゃ使い方分からないか!』
 そうかそうかと頷きながらサーナイトは台からある物を取り出す。
 効果は分からないがどのような物かは私にも分かった。
『少し身を固くしたわね? そして警戒心の中にちょっとだけ混じる恐怖……あぁやっぱりこの感覚はさいっこうっ! 心を読む力ってこういう時のためのものよね』
 サーナイトは注射器を手にしていた。一度も打たれた事は無いが先端の針を見れば虫ポケモンが抵抗する時に出す毒針のような物だと判断出来る。
『そう、あの気持ち悪い虫達がどく状態にしたりねむり状態にしてくるヤツよ。まぁ一番近い状態は……メロメロかな?』
 私の心を読んでサーナイトが説明した。注射器の針先を叩いて液を滴らせる。
『さぁアナタの旦那さんとのあつ~い夜を思い出させてあげる』



 サーナイトが一切挙動せずに私の首筋に注射器を当てた。不意打ち過ぎて反応する事が出来ない。
『つっ……』
 そして針が血管に侵入した。
 痛いというよりも冷たいという感覚が首筋から昇ってくる。血管に直接打ちこまれた液体が頭に回ってくるのを感じた。
 すぐにサーナイトをつつこうとしたがその前に離れられる。
『ガッツあるわねー。いい加減諦めたらいいのに。まぁそうじゃないと面白くないけどね。で、どう? 感想は』
 サーナイトが何を聞いているのか分からなかった。こう離れられてしまっては何も出来ない。私はまた元のように無表情に戻り、じっと無視する事に決めた。
 ……おかしい。
 何故か体が熱い。体全体が言い様の無い焦燥感に包まれじっとしている事ができなくなった。思わず足をもじもじさせてしまい、それを止める事も出来ない。
『……何をした』
『あ、ようやく会話する気になったわね。まずはステップ1終了♪ じゃあ問題! 今の感覚は何回か経験した事があります。何でしょう? ヒント:毎年春に来るものです』
 春に来てメロメロ状態に似ている状態……
『無理矢理……発情させたのか』
『ピンポン。人間って凄いわよね。こんな下らない物を平気で作っちゃうんだから……苦しい?』
 サーナイトの問いを無視したが、正直なところ少し苦しかった。焦燥感はいつの間にか倦怠感に形を変えて肥大化し、鼓動を無意味に高めている。
『う……げほっ……』
 いつの間にか私は息を荒げていた。こんな感覚は普通の発情じゃない。普通は相手を求める欲求だけだが、これは……何かが、違う。
 だが何がどう違うのかが分からない。そう思っている内にも体が火照り、異から内容物がこみ上げてくる。それをどうにか止めようと思ったが、体は一向に言う事を聞かなかった。
『が……げぇっ……!』
 私は吐き戻してしまった。中に何も入って無かったので胃液しか出てこなかったが。
 息が出来ない。呼吸は早くなったのに苦しかった。いくら吸っても体に酸素が行き渡らない。
 暴れてもどうにもならないのに体が痙攣した。視界がどんどん暗くなる。
 意識が無くなる寸前に、また私の首筋から何かが頭に駆け昇ってくるのを感じた。
 冷たいそれが心臓と頭を冷やし、徐々に私は落ち着いてくる。
『はぁ……はぁ……ごほっ……』
 私が息を荒げながらながら睨みつけるとサーナイトが謝ってくる。
『ごっめーん! 鳥ポケって交尾のやり方違うの忘れてた。雄にペニス付いてないもんねぇ。媚薬の成分そのままじゃ拒否反応起こるのかも。業務レポートに書かないとね』
『……絶対に……殺して、やる』
『あ~、謝ったのにその言い草? ならこっちにも考えがあるもんね! ここでバイブ登場!』



 私が殺意を向けると、段々と変わってきた口調でサーナイトがそう言った。そして今度は台からサボテンのような物を取り出す。スイッチを入れるとそれはヴヴヴと音を立てながら回転し始めた。
『さ~あ覚悟しなさ~い?』
『何だそれは』
 そう言ってサーナイトがにじり寄ってきたのだが、私が何をされるか全く理解してないので、出鼻を挫かれたように彼女は肩を落とした。
『……そっか。鳥ポケだもんね。分かんないよね……あぁもう面倒臭い! 習うより慣れろよ!』
『うわっ!?』
 いきなり私を縛り付けている十字架が倒された。受け身も取れずに私は頭をぶつけてしまい、目の前に火花が飛び散る。
『さぁてご開帳~ごかい……ちょ、アナタのお尻ってどこにあんのよ?』
 露わになった私の下半身を覗きこみながらサーナイトが呟いた。
『なぜそんな事……』
『まぁいいわ。まさぐれば見付かるでしょ』
『……ぁっ!?』
 いきなりサーナイトが私の下半身に手を突っ込む。
『そうそうそういう声を待ってたのよ。もっと聞かせて』
『誰が……くっ』
 ここか? ここか? とサーナイトが手の位置を変える度にくすぐったくて体を震わしてしまう。それが相手を満足させる事は分かっているのだが、止めようと思っても止めれない。
『あ、みーーけった! ……このコケシみたいなスカートホント邪魔ね。ヤる時はどうやるのよコレ』
『あっ!? やめろ! 触るな!』
 サーナイトの指が私の総排泄孔の辺りを撫でた。見られている事で私の怒りと羞恥心がどんどん大きくなった。
 どうにか離れさせようと必死でサーナイト足蹴にするが、それも直ぐにサイコキネシスで押さえられてしまった。
 全く身動き出来なくなった私の総排泄孔をサーナイトが指で押し広げる。そしてバイブを構えたのが羽を通して感じられた。



『じゃあ1、2の3で行くわよ』
『あ、くぅ……やめろ! やめろぉっ!』
 ここまでされたらやられる事は1つしかない。私は全身全霊で体を捩り、どうにかサーナイトの行動を阻止しようとする。
 が、それも叶わず、バイブは私の中に吸い込まれた。
『あがっ……あ、あ、あ、ああぁあ!!? うああぁああぁああああ!!!』
 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!!!!!!!!!
 お腹が破れる!! 痛い!! やめろ!!! やめて!!!!
『あ、ヤバ。また間違えた。あ~もうこういうのはマスター担当なのに』
 私の腸を?き回していたバイブが止まり、私の体が一気に力を失う。撃たれた時も痛かったがなまじ意識がはっきりしている分こちらの方が辛かった。 
『鳥ってホント面倒臭いわぁ。え~と卵管はこっち、かな?』
『んぅっ!』
 バイブは一気に引き抜かれた後、今度は卵管に突っ込まれた。言い様の無い違和感に襲われ、私は身を強張らせる。
『っ……! 気持ち悪い、早く抜け!』
『だからそんな態度取っちゃったらスイッチ入れざるを得ないわよ~?』
 カチリと音がするとバイブがまたうねり出した。卵管内をウネウネと動くが卵がある時に飛ぶ事に比べればなんて事は無い。十分に耐えられる。
『あら、こっちも全く感じず? 少しくらい濡れても……』
 息は荒くなったが声をあげない私の様子をサーナイトは不思議がったが、やがて根本的な問題に気付いたらしい。
『あ、ペニス突っ込まれる事が無いから濡れる事も無いのか』
 サーナイトはため息を吐いてからバイブを抜き取った。私は浅くなった呼吸を元に戻すのに必死で何も言わない。
『正直に白状するわ。鳥を調教するのは初めてなの。だから色々実験するけど我慢してね』
 サーナイトはそう言うと今度はモンスターボールを取り出してきた。
『今度は何をする気だ』
『ん~ホントはもっと後の予定だったけどこのままじゃ調教しようがないし~。ちょっとだけ肉体改造』
『……』
 何をするかは分からないがとてつもなくロクでもない事だけは分かった。
『じゃーぁメタモン出ておいで~』
 モンスターボールからはメタモンが現われた。牧場に大量に預けられているのを見ているので用途は分かる。
『まさかお前……!』
『あーあーあー大丈夫その心配はナッシング。おめでたにするのはアタシ達の業務じゃないわ。とりあえず今は頼まれてないわよ。言ったでしょ? 肉体改造するって。女を楽しめる体にしてあげる。という訳でメタモン、やっちゃって』
 メタモンは微かに震えると私の方へと這ってきた。そして私を包み込むように薄く広がる。
『がぽっ!? あ、あぇろ! はぁれろ!! ンんっ!?』
 口と総排泄孔からメタモンが私の体内に入り込む。卵管から背骨に掛けて電撃が走り、私は体を跳ね上げた。
『あぁあああぁあ!! な、何をしたぁがあぁあああ!!?』
『卵管に性感帯新しく作ってるのよ。後卵管から快感を伝える神経バイパス作ってそれを受け取るシナプス回路作って……』
 私は聞いてはいなかった。痛みでそれどころではない。
 体を何回も跳ね上げ、メタモンの混じった涎をくちばしから垂らしてしまった。



 どれくらいそれが続いたのだろう。いつの間にか痛みは止まっていた。
 私の体の拘束も解かれている。久々に自由になった翼をさすった。うっ血し掛けているが動かすだけなら問題ない。
 立ち上がりながらぼうっとした意識で辺りを見回すと、少し離れた場所でサーナイトが何かの本を読みながら椅子に坐っている。
 私の視線に気付いたようで、熱心に読んでいた本からサーナイトは目を上げた。
『あ、気付いた? お疲れ様。手術は成功よ』
 私は慌てて距離を取ろうとする。飛ぶ事もねんりきで移動する事も出来ないのでノロノロと後ずさる事ぐらいしか出来ないが。
『最初に比べれば表情が出るようになったわね。じゃあとりあえず今日のノルマを達成しちゃいましょうか』
 サーナイトがまた注射器とバイブを手に近付いてきた。私は背を向けて駆けだしたが直ぐに彼女に捕まってしまう。
 後ろから手を回され胸部と総排泄孔をこねくり回された。
『何故……拘束を解いた……!』
 まさぐられる気持ち悪さを意識しないために私は質問する。
『そっちの方が燃えるんじゃないかな~と思って。じゃとりあえず第2ラウンド』
『あっ!?』
 注射器を刺されたので声を上げて暴れた。すぐに体が熱くなり息も荒くなる。
 だが前回とは違って焦燥感が倦怠感に変わる事はなく、下半身が何かを求めて焦がされる。
『うぅ……な、何だこれは……!』
 初めての感覚に溜まらず私は声をあげた。足に力が入らなくなり、思わず足首を付いてしまう。
『ホントは最初からこの状態に持って行きたかったんだけどねー。あ、もう濡れてる』
『ふぁっ!?』
 サーナイトの指が私の中に入ってきた。気持ち悪いはずだったそれは初めて経験する感覚に変わっている。
 下半身から湿っぽい音が響いてきた。今体には何も入っていないはずだが私は漏らしてしまったのだろうか。
『違うわよーアナタの卵管から液が出てるの。これを突っ込みやすくするためにね』
 目の前にバイブを突き出された。それは生理的嫌悪感をもたらす勢いで激しくうねっている。
 こんなものでさっきと同じ事をされたら今のままじゃ……!
『……ふんっ!!』
『あたっ!?』
 私は気力を振り絞ってサーナイトに後ろずつきを喰らわせた。怯んだ隙に思いきりもがいて彼女の手から逃れた。
 だが足に力が入らず立ち上がれない。しょうがないので翼で這って逃げようとするのだが、私の体はそのような動きでは中々進まなかった。
『ふ、ふふ、ふふふふ……う~ん、やっぱ適度に抵抗が無いとね。燃える、燃えるわ。やっぱこういうシチュが一番よ』
 何やらブツブツ言いながらゆっくりとサーナイトが近付いてきた。
『ち、近寄るな! これ以上近付いたら容赦しないぞ!』
 もう奇襲は通用しないと思うと声が上ずる。床に這いつくばりながらそんな事言ったって脅しにもならないのは私にだって分かっていた。
 サーナイトは黙ったままバイブを突き出してくる。それは彼女の手を離れ、私を目指してゆっくり飛んできた。
『あ、やだ……来るな!』
 私の下半身に潜り込もうとするバイブを翼で押さえようとしたが、バイブの周りに球状のリフレクターで覆われているようで、つるつる滑って止めようがない。
 遂に総排泄孔にバイブの先が触れた。
『っア”――!』
 私はいきなり走った電撃に体を仰け反らせてしまった。
 翼もバイブから離れてしまい、一気に中に入ってくる。
 そして液体でグチャグチャになっている私の卵管の壁を擦り回した。
『ピぁっ!? あぁああぅ!! ……ヅアぁあ!! や、止め!! 無理!!』
 体を弓なりに反らせながら逃れようとするがバイブが離れる事はない。
『……かはっ……! く、あぁあ……』
 涙で視界が歪む。頭の中が真っ白になり何も考えられない。それでも快感は下半身からどんどん送られてくる。
 部族の仇なのは分かっているが、勝手に慈悲を懇願する言葉が漏れ出るのを止められなかった。
『あがっ!! た、頼む!! と……止めて!! 止めてく……!』
『無理』
『そ、んあ!! あぁあああぁあアアア!!?』
 今まで回転するだけだったバイブに抜き差しされる運動も加わる。
『――――ァッ!!』
 何倍にも跳ね上がった快感に私は溺れ、意識を失った。



リクエストはこちらから
リクエスト用/リクエスト

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2020年05月14日 02:16