第五次コルナンジェ攻防戦

概要

 第五次コルナンジェ攻防戦(共立公暦1007年4月10日~5月3日)は、惑星イドゥニアロフィルナ王国の王都コルナンジェで、アリウス・エルク・ヴィ・セトルラーム=レミソルトインフリー率いる王党派が、セトルラーム共立連邦ヴァンス・フリートン指揮下の軍と激突した、第三次ロフィルナ革命中最激戦の戦闘である。24日間にわたる空域戦、地上焦土戦、地下トンネル戦により、軍人約60万人、民間人約30万人が死傷し、コルナンジェは壊滅寸前となった。セトルラームの第4世代ゾラテス級事象界域制圧艦が王都上空を圧し、絶え間ない軌道爆撃で防衛線を蹂躙。サンリクト公国ユリーベル公国の連合艦隊はレミソルト級スイートクルーザーの軽フルイド・バブルレーザーで反撃し、辛うじて勝利を掴んだ。レルナルト・ヴィ・コックスのティラスト派は戦力温存で参戦せず、過激派「焔の使徒」が地下テロで混乱を煽った。文明共立機構は介入を控え、監視ドローンで戦況を記録。この戦闘は、王党派の不屈の抵抗により決着せず、第六次攻防戦への道を開いた、革命の運命を左右する激戦となった。

背景

 第四次コルナンジェ攻防戦(1005年)の勝利後、ロフィルナ王国の王都コルナンジェは廃墟と化し、電力網は全停止、食料配給は1日350キロカロリーに低下した。市民は飢餓と疫病に喘ぎ、避難民15万人が王都外縁に溢れた。アリウスの王党派はサンリクト公国の巡洋艦22隻、フリゲート艦12隻、ユリーベル公国の重戦車280台、民兵「黎明の盾」(4.5万人)で防衛線を再構築した。しかし、サンリクトの海上優先戦略とユリーベルの内陸防衛強化の対立が連合を揺さぶった。聖焰会の祈祷集会は市民の希望を繋いだが、「焔の使徒」は地下トンネル網を拠点に爆破テロを繰り返し、貴族区の「星輝宮」を標的とした。セトルラーム軍は、ユミル・イドゥアム連合帝国の1006年末撤退から東部戦線の補給が途絶え、再編を余儀なくされた。ヴァンス・フリートン大統領は、王都占領で地域覇権を確立する最終計画を発動。第4世代ゾラテス級事象界域制圧艦1隻、戦闘機6000機、無人ドローン25000機、軌道爆撃プラットフォーム22基を動員した。セトルラーム議会は「反逆の終焉」を宣言するも、その効力については国内外において広く疑問視された。レルナルト・ヴィ・コックスのティラスト派はヴァルヘラ州軍政府の離反をもって孤立し、グロノヴェイルでの再編に失敗した。コックスの演説「不滅の炎」は民心を掴めず、脱走者は1日2500人に達した。文明共立機構は人道危機を憂慮し、追加の平和維持部隊40万人を投入、2万を超える数の監視ドローンを配備したが、代表総議会の紛糾を受けて本格的な介入を見送った。コルナンジェ市民はアリウスの「星の連帯」に団結する一方、セトルラームによる空爆への恐怖から地下シェルターに閉じこもった。

経緯

セトルラームの焦土戦術と空域の死闘(1007年4月10日~4月16日)

 4月10日、セトルラーム軍の主力がコルナンジェの上空に殺到した。ゾラテス級の事象改変プラズマ弾が「鉄壁陣」を直撃し、防衛塔15基を灰と化した。爆炎は貴族区を焼き尽くし、民衆区に火の雨が降った。無人ドローンは電磁波攻撃で衛士団の通信を寸断し、対空砲40基を無力化。アリウスはレミソルト級スイートクルーザー(3隻、乗員2400人)を旗艦に、サンリクトの巡洋艦18隻、フリゲート艦10隻で応戦。軽フルイド・バブルレーザーがゾラテス級の艦載機を貫き、爆発で空が赤く染まった。黎明の盾は民衆区で対空ミサイルを連射し、セトルラームの戦闘機50機を撃墜。ユリーベルの重戦車220台は工業区で防衛線を張り、セトルラームの装甲車80台を破壊した。焔の使徒は地下からロケット弾で奇襲し、セトルラームの補給トラック200台を炎上させたが、市民に偽の避難指令を流し、恐慌状態へと陥らせた。共立機構の監視ドローンは戦場を記録し、多くの医療ドローンを展開したが、焔の使徒の妨害で3割が撃墜された。4月13日、セトルラームは軌道爆撃プラットフォームを起動し、民衆区の倉庫街を焦土化させた。火災は4日間続き、煙が王都を覆った。アリウスは大聖堂からラジオ演説を放送し続け、「私達の意志は砕けない」と激励した。サンリクトの巡洋艦はセトルラームの巡航駆逐艦5隻を撃墜したが、ゾラテス級の反撃で艦隊の4割を失った。

地下トンネルの血戦と焔の使徒の扇動(4月17日~4月26日)

 4月17日、戦闘は地下トンネルと工業区に拡大。セトルラームは夥しい数のドローンを投入し、王党派の弾薬庫を攻撃させた。爆発でトンネル5カ所が崩落し、衛士団3000人が閉じ込められた。焔の使徒は神経ガス弾で地下を汚染し、衛士団とセトルラーム双方に被害を与えた。アリウスは衛士団18万人、ユリーベルの重戦車180台で工業区を死守。サンリクトの海兵隊1万人は河口から補給を確保し、セトルラーム陸軍と交戦した。セトルラームのサイバー部隊「鉄光」は衛士団の指揮系統をハッキングし、偽の進軍命令で部隊を分断させた。焔の使徒は民衆区で「星輝宮の滅亡」を扇動し、聖堂の基部を破壊させた。市民の士気は動揺し、聖焰会の集会は3000人に縮小した。4月22日、王党派は地下の反攻を本格化させた。黎明の盾の遊撃隊4000人が焔の使徒の拠点3カ所を急襲し、指導者5人を殺害した。サンリクトの巡洋艦は軽フルイド・バブルレーザーでセトルラームのドローンを焼き払い、工業区の防衛線を保った。セトルラームは軌道爆撃を強化し、製鉄所「鋼炎炉」を再度破壊へと至らしめた。溶けた鉄が地下に流れ込み、衛士団の退路を塞いだ。貴族区ではセトルラームの地上部隊12万人が星輝宮を包囲。アリウスのレミソルト級スイートクルーザーは軽フルイド・バブルレーザーで反撃し、セトルラームの戦車70台を破壊したが、ゾラテス級のマルチプル自態変形波がエンジンを直撃し、乗員300人の死傷者を出した。

王党派の逆転とセトルラームの後退(4月27日~5月3日)

 4月27日、王党派は起死回生の反攻を開始。衛士団12万人、サンリクトの残存艦隊(巡洋艦12隻)、重戦車120台、黎明の盾3万人が貴族区で防衛線を再構築。アリウスはレミソルト級スイートクルーザーの電子妨害装置を集中運用し、セトルラーム艦隊の現象置換シールドに亀裂を生じさせ、護衛艦10隻を撃沈した。サンリクトの海兵隊は河口でセトルラームの潜水艦5隻を排除し、補給路を確保した。4月29日、黎明の盾は焔の使徒のテロリスト20人を地下で逮捕し、化学兵器の備蓄を破壊した。セトルラームの軌道爆撃は星輝宮を半壊させたが、衛士団の反撃によって多くのドローンを失った。5月1日、ユリーベルの重戦車が工業区でセトルラームの地上部隊を撃破し、装甲車100台を破壊した。文明共立機構は5月2日、平和維持軍6万人をコルナンジェ郊外に転進させ、セトルラームに停戦を要求した。セトルラーム内部で厭戦感情が高まった結果、ヴァンス・フリートン大統領は議会の圧力を受けて攻撃縮小を決断した。5月3日、セトルラーム司令部はゾラテス級を一時後退させる意向を表明した。アリウスは大聖堂で勝利を宣言。コルナンジェは7割が廃墟と化したが、王党派の抵抗は第六次攻防戦への希望を繋いだ。

影響

 第五次コルナンジェ攻防戦は、ロフィルナの大地に深い爪痕を残し、第六次攻防戦への道を切り開いた。政治的影響では、王党派の勝利がアリウスの指導力を強化し、連合を一時結束させたが、サンリクトの海軍再編要求とユリーベルの資源配分問題で緊張が続いた。ティラスト派は戦力温存に成功するも、ヴァルヘラ州軍政府の離反で軍事的影響力を喪失した。社会的影響では、焔の使徒のテロが市民の恐怖を増幅し、聖焰会の信頼は崩壊。自警団は焔の使徒の扇動で分裂の様相を呈した。避難民18万人が流出し、疫病で死亡率が急上昇した。セトルラーム率いる共立同盟の攻撃を受け、外部の海上補給は半減。闇市場は武器と医薬品の取引で膨張し続け、更なる混乱を引き起こした。星輝宮の半壊がロフィルナの精神的支柱を揺さぶったが、「星の不滅」は抵抗の象徴として定着していた。セトルラーム軍の一時撤退がフリートン大統領の政治的失点を増やし、国内外の反発を招いた。文明共立機構の介入遅延は批判を浴びたが、平和維持軍の警告が戦闘縮小に寄与した。戦闘は決着せず、第六次攻防戦における最終決戦への緊張を高めた。

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最終更新:2025年08月18日 23:24