【名前】美堂蛮
【出典】GetBackers-奪還屋-
【性別】男
【年齢】19歳
【名ゼリフ】「ジャスト一分。いい夢、見れたかよ……」
      「もしもテメェが言うようなろくでもねえ未来が来たとしても、オレ達ゲットバッカーズが失われた刻を奪り還してやる!」
【支給武器】ライオンハート@ファイナルファンタジーⅧ、簡易レーダー@厨二ロワ

【本ロワでの動向】

原作終了後より参戦。
『GetBackers-奪還屋-』の主人公。
天野銀次と奪(と)られたものは奪(と)り還(かえ)すという奪還屋『GetBackes(ゲットバッカーズ)』を営んでいる。
上条当麻に負けず劣らず中々のウニ頭である。
最強スレで一時最上位だったこともあるほどのチートだが依頼が絡まなければヤクザには勝てず警察にも弱い。
尚、彼の強みは邪眼を始めとした各種チート能力以上にその戦闘センスである。

本ロワでは登場話にてOPにて幼なじみを見せしめにされた藤井蓮と出会うところから蛮の物語が始まる。
「失ったものはもう二度と戻らない」「失って戻ってくるものに価値はない」という信条の蓮と心底反発しあい殴り合いへと発展。
片や神の子、片や悪魔の子。世界を変えうる力を持つ二人の戦いは悪鬼の戦いの再来か、否。
それはただの喧嘩だった。互いにこいつが気に食わないというその一念での殴り合いだった。
ああそうだ、蛮はこいつが、泣きそうな顔で泣くこともせずに失ったものは取り戻せないとかほざきやがるガキが心底気に食わなかった。
確かに。確かに失われても戻ってこないものはある。それは一つの真理だ。オレにだって覚えはある。
けどよ、だからといって想うことすらしてはいけねえのか。
悲劇的な別れを嘆くだけで楽しかった思い出すら悲しい過去にしちまうのか。
テメエと香澄って奴の共にあった時間はそんなもんじゃねえだろ。
そんなもんじゃねえからてめえはそんなにも泣きたそうな声で吠えてるんじゃねえか。
なら奪り還してやるよ、てめえとそいつの“絆”を。オレ達はGetBackers、依頼成功率100%の奪還屋だ!

「いい夢、見れたかよ?」

クロスカウンターと共に叩き込まれるの幸せな夢。
蓮と喪われた幼なじみが過ごした日常のほんの一欠片。
一分にしか満たないその幻覚にされどようやく一筋の涙を流した蓮を目にし、決め台詞とともにタバコに火をつけようとするも

「お前に言われるまでもねえ!」

なんと崩れ落ちるのを寸でのところで踏ん張った蓮の活動位階の斬撃によりタバコを落とされる。
大切なモノを無価値にしたくないからこそ失って戻ってくることを否定する蓮に大切な時間を再確認させたことはある意味で逆効果だった。
この時には蛮にも蓮の想いは拳越しに幾らか伝わってきていたのだが……。んなこたあ関係ない。プチリ。
煙草を邪魔された怒りと分からず屋相手に意地になったこともあり、やっぱこいつぶん殴ると更に殴り合い続投。
そのまま両者ノックダウンまで喧嘩は続くと思われたがそこに球磨川禊が乱入。

『そんなの失ったことも奪われたことも、なかったことにすればいいじゃないか』

死すらなかったことにでき、死者すら蘇らせられるクマーからすれば、本気の提案だったのだが、聞いた二人は激怒。
蓮は取り返しがつかないからこそ失ってしまったものには価値があるのだと叫び、蛮は奪われたものを大切と思うのならばこそ奪り返すべきなんだとし、
共に“なかったことにしてしまうこと”を拒否。

「「てめえはお呼びびじゃねえんだよ!」」

蓮/蛮は気に食わないがそれ以上にこいつは許せないと示し合わせたわけでもない両者のパンチが思いの外息があってしまったこともあって球磨川を一蹴。
互いに気概を削がれ、下手に相手の本音が分かってしまったせいでもう一度殴り合う気にもなれなかった二人は決まりが悪そうにしながらも拳を下ろすことに。

「その……さっきは悪かったな。もう一度あいつの陽だまりを俺に見せてくれてありがとう」
「へ、なら今度テメエが落とした分の煙草とコーヒーを一杯でもおごれ。それでチャラにしてやるよ」

なんだかんだで手を組むことになり、通称カドケウス(双頭の蛇)コンビを結成。
互いに蛇を象徴とするこの二人、言い忘れていたが共に男ツンデレである。
蛮はひねくれているようでいて仲間思いだったりするのだ。
蓮とも友情でもないし当然愛情もない、けれど確かに絆はそこにある。
友達というより仲間、GetBackersとはまた違った主人公とライバルのような不思議な関係を築くこととなる。

そのまま続く話で涼宮ハルヒと遭遇し、蓮の恋人であるマリィがハルヒに支給されていた縁もあって一方的にSOS団の団員にされてしまう。
チームを組むのは久しぶりだなとか蛮が過去に思いを馳せている間に日常を愛する蓮と退屈嫌いで幻想を求めるハルヒの喧嘩が勃発。
蓮の野郎喧嘩ばかりしてねえかとうんざりする蛮を尻目に、マリィの静止も聞かずエスカレートした口喧嘩の末ハルヒが飛び出してしまう。
探しに行こうにも蓮はふてくされるばかりで頭の痛い蛮だったが、そこに更に鬼柳京介が襲撃。
夜神月に愚痴を聞いてもらったことで幾らか落ち着いて戻ってきたハルヒを攫っていってしまう。
それでもまだ取り戻そうと踏み出せない蓮を、奪り返したものが本当に無価値かどうか教えてやると炊きつける。
なら、俺の、俺たちの奪われた絆を奪り返してくれと絞りだすように口にした蓮の依頼を承諾し、二人で救出に向かう。

鬼柳との戦いでは神の記述編での経験を活かし目が多けりゃいいってもんじゃねえとワンハンドレッド・アイ・ドラゴンを蛇殺で破壊する。
神の記述とは実際にTGC化されて発売されもした人の運命をも変えるといわれるカードであり、奇しくそのカードもまた死人を蘇らせる力があった。
死人……そう、鬼柳京介は冥界の王に蘇らされた死人だった。
“失った物は戻らない”と叫び死者の生を否定する蓮に対し、蛮はというと鬼柳がそうまでしてこの世にしがみつく未練の方を気にかける。
鬼柳が口にしている“満足”という口癖、しかし彼はその死に際し満足できなかったからこそダークシグナーになったのではないか。
では鬼柳にとっての満足は何だ?

蛮「ちぃっ……さっきから笑い声がうるせぇんだよ、テメーは!」
鬼柳「ひゃーっはっはっはっはっ!! どうしたぁ、ゲットバッカーズぅ? この小娘を助けたいんじゃねぇのか?」
ハルヒ「ぐぅ」
蛮「そもそも、てめぇ、どうしてハルヒを目の敵にしやがるんだ!?」
鬼柳「……むかつくんだよ。SOS団などとほざいて、仲よしこよしのチームごっこをしているのがよぉ!!」

考えるまでもなかった。
鬼柳が何故ハルヒをさらったのか、それこそが全ての答だった。
鬼柳もまた“絆”を失ってしまっていたのだ。
だからこそ、満足満足叫びながらも、一向に満足できない。
元の世界に帰って復讐するのだと口では言っているが、本当にそれがてめえの願いなのか?
そうじゃねえだろ、なあ。
てめえが本当にしたかったのは復讐じゃない、喪われた“絆”を奪り返したかっただけなんだ。

「ジャスト一分。いい夢、見れたかよ……」

邪眼で見た仲間たちとの夢を振り払えず、ハルヒへの地縛神によるダイレクトアタックを止めてしまった鬼柳。

「夢じゃ…満足…できねえよ」

仲間たちとの絆と、そして本当に叶えたかった願いを奪り返した男が、地縛神のカードともども灰になるのを蛮は見送った。

ハルヒ「満足……」
蛮(鬼柳だろ……)
鬼柳「なんだ?」
蛮「返事すんのかよ、おい!?」

かと思いきや実は鬼柳は生きていた。正しくは死に直し残っていた。
命まで奪り返すことになってしまったこの事態には流石の蛮もびっくり。
鬼柳はそもそも死人だし、蓮は死者蘇生なんかするわけないし、自分はそんな芸当できもしないわで消去法でハルヒの仕業かと思い至る。
GetBackersである自分にすらできなかった奪還を無意識にとはいえ成し遂げたハルヒの頭をすげえじゃねえかとわしわし撫でる。
刹那オブサティスファクション団の立ち上げに際しても、前述の件や、一瞬を、刹那を、満足すると宣言するその姿に夏美を重ねたのもあって団長と認めた。
なし崩し的に始まったパーフェクト・サティスファクション・デュエル教室でもデュエルのルールの複雑さに悪態をつきつつも楽しんでいた。
鬼柳の仲間入りに複雑そうな蓮に対しても、奪還もたまには悪くなかったろとしたり顔で声をかけ、頷いた彼に勝ち誇る。

蛮「オレの勝ちだな」蓮「おい、ちょっと待て、どうしてそうなるんだよ!?」蛮「んじゃ、せっかくだ。これで決めるか」蓮「分かったよ、付き合ってやるよ」
二人「「デュエル!」」

なんだかんだで仲良くなっていくSOS団であった。


とはいえ遊んでばかりもいられないのがバトル・ロワイアルである。
友好的な接触を装って完全催眠をかけようとした藍染惣右介との間に催眠合戦が勃発。
邪眼VS鏡花水月の催眠合戦は幻覚落ちに次ぐ幻覚落ちで訳の分からない戦いが繰り広げられたのだが、その実かなり高度な戦いであった。
催眠同士の戦いとは、つまるところ相手の催眠を先取りしそれも組み込んだ幻覚で相手を信じこませる必要がある。
真理や頭脳、互いの催眠以外の手札も合わさっての難解な駆け引きが行われた。
催眠の性質上、引っ掛けることができれば決着は一瞬でつくのだが、長期的な視野で見ると蛮が圧倒的に不利だった。
連発でき持続性もある完全催眠とは違い、質では勝りうるとはいえ邪眼の効果時間は一分だけで、しかも回数制限がある。
蓮と鬼柳に邪眼を使っていた蛮に残された邪眼の使用回数はこの一度だけ。
今行われている最近合戦に破られた時、それは蛮の敗北であり、SOS団の敗北でもあった。
が、催眠合戦は思いもよらない形で幕引かれることとなる。
催眠合戦に巻き込まれた湊斗景明がトラウマを刺激されたこともあり藍染を切り捨て、藍染は這々の体で逃走したのだ。
情報交換をした後プッチ神父を追っていた景明と別れたSOS団は、藍染相手に邪眼なしで立ち向かうのは下策と判断。
追いかけようとするハルヒを蛮と鬼柳で押しとどめ、万一藍染が襲ってきた時には斬魄刀を抜かれる前に蓮の時間停滞で逃げることに決定。
それでも納得いかないハルヒに手を焼きつつも、藍染が逃げたのは逆方向であるやってきた方へと進む。

そこで傷を癒していたアーチャーをハルヒがつまらなそうな顔をしているのがムカつくという理由で仲間に引き入れる。
死人であり幻想であり英雄でもあるという一見またしても蓮が喧嘩しそうなアーチャーではあったが……。
なんと問題を起こしたのは蛮だった。
陽も暮れ団長の提案で皆で夕食を囲んでいる中、蛮が目にしたのは見知らぬコーヒー豆。
鬼柳いわく一杯三千円もするというそれに万年金欠な蛮は目を輝かせ、カフェでの日課のごとくコーヒーを入れようとした。しかし

「貴様、何をしている」

アーチャーが、切れた。
それはもうブチ切れた。
実は蛮の器用さは荒事にしか発揮できず、コーヒーを淹れる腕前は壊滅的だったのだ。
それではせっかくの高級豆がもったいない、いいから貸せと言われた蛮は鬼気迫るアーチャーに渋々豆を渡す。
するとなんととっつきにくそうなニヒルな男だと思っていたそいつは見事な手際でコーヒーを淹れるではないか。
その味には蛮も思わず舌鼓を打つほど。
ハルヒも蓮もマリィも鬼柳も満足し、やれ主夫だ、家政夫だと大盛り上がり。
なら料理は、ついでにデザートもと味をしめたSOS団総出でアーチャーをこき使ったせいで出奔されてしまう。
結果的に執事という形でハルヒ主導で連れ戻すことに成功したが、コーヒー目当てもあってこの時の蛮は蓮に呆れられるほどマジになってアーチャーを追いかけていた。

なんやかんやでアーチャーの奪還というか和解にも成功。
夜が明け日にちが変わったことで邪眼の回数制限もリセットされ、SOS団はこと外敵への備えにおいては無敵と言っていいほどの戦力を誇ることに。
道中ヨハネ・クラウザーⅡ世の歌に感化された鬼柳に置いてけぼりを食らわされたりするも日中は平和に過ごす。
しかしそのチートさに囲まれ次々と超常現象を体験したハルヒの常識が揺らぎ始めてしまう。
デモンベインや安心院なじみのちょっかい、常識にとらわれない現人神東風谷早苗の影響もあり、閉鎖空間と巨神が発現。
危うく今ある世界が壊されかけるも、団長代理として鬼柳に率いられた蛮は蓮、アーチャーとの見事な連携で巨神たちを圧倒。デュエッ!
偉大な先達であるイエス・キリストの協力もあって事なきを得る。
力を制御できなかった赤ん坊の頃に母親に意図せず邪眼をかけ忌み嫌われてしまった蛮は、この件以来ハルヒを気にかけるようになる。
祖母がそうしてくれたように、決して甘やかすことなく、やや厳し目に接しながらもハルヒが力に呑まれることなく強くなれるよう尽くした。

キリストたちと食堂に向かう道中での夜神月たちとの遭遇時、蛮は月を疑い、月の肩を持つハルヒと対立。
鬼柳がハルヒにつき、蓮が蛮に同意し、アーチャーが中立として俯瞰するという何度目かのSOS団解散の危機に陥るも、月によるキリスト暗殺未遂が発覚。
蛮はデスノートの危険性をいち早く見ぬいた遠野志貴や蓮の時間停滞のサポートを受け、月に邪眼をかける。
ノートによる皆殺しが成功したという幻覚により月の本性を晒すことにも貢献した。

続くクラウザーさんにまつわる騒動が収まると、食堂に対主催を集めた張本人である巴マミトゥーサン・ネシンバラがようやく到着する。
「ロッソファンタズマの到達点ね!」っと詳細名簿で邪眼のことを知っていたマミのはしゃぎっぷりにたじろぐも、
彼らから二時間ほど前に銀次と出会ったばかりなことと、銀次も仲間を連れてこちらへと向かっていると聞く。
蓮に迎えに行ってやらないでいいのかよと気を遣われるもあいつなら大丈夫だろとニヤリと返す。

「なんたってオレたちは無敵のGetBackersだからよ。いらねえ心配するくらいならお前やハルヒの心配でもしているさ」

事実、蓮と天魔・夜刀との戦いでは夜刀の語る未来や覚悟、矜持に押されながらも食いついていこうとする蓮を激励する。

「ワリィがオレはカワイソーな過去にもクダラネー未来にも興味はねぇ。刹那だとか幻想だとかどうでもいい。
 たった今―――ダチが……テメーが死にかかってんだ!! とっとと勝ちやがれってんだ、蓮! 
 テメーの未来でもそいつの過去でもダメだっつうんなら、第三の未来を生み出しやがれ!」

そうして蓮が、超越の物語の主人公としてではなく、夜都賀波岐の首領でもない、SOS団の藤井蓮として新たな未来を踏み出すのを見守った。
蓮が夜刀を打ち破り、夜刀がマリィに抱きしめられ満足の内に消滅した時は、テメーらが奪り返したあいつの刹那だと、複雑な心境の蓮とマリィを労った。
尚、遂にデレて蓮をダチと読んだことには照れくささもあったのか、蓮に礼を言われた時にはそっぽ向いていた。

蓮「ありがとな。おまえたち仲間がいたから勝てた」蛮「その、なんだ、ダチだしな」マリィ「見て見て、みんな、蛮、赤くなってる」
蛮「うっせえ! 赤くなってるのはあれだ、テメェの恋人がオレたちのこと宝石だとか臭いセリフはくからじゃねえか!」
鬼柳「ヒャーッハッハハハ! いいじゃねえか、俺たちはチームなんだしよ!」ハルヒ「ちょっと、団長は私よ私! 私のSOS団なんだから!」
アーチャー「全く、呼び方くらい統一したらどうだ? いや、これはこれで悪くはない、か」

すっかりとSOS団の一員になった蛮だったが、同時に彼はどこまでもGetBackers。
夜刀との戦いによる蓮の疲弊からラインハルト・ハイドリヒ討伐を断念し、集合場所の食堂に戻ったところで、遂に相棒との邂逅を果たす。
蛮ちゃ~んっと涙ながらに飛びついてくるタレ銀をいつもの癖でついつい蹴り飛ばしてしまい、感動の再会かと空気を読んでいたSOS団総員を唖然とさせる。
ひどいよ蛮ちゃ~んと頭を抑え見上げてくる銀次に悪かったなと手を差し伸べ、ガッチリ握手。
晴れて無敵のGetBackersが再結成――なるかと思われた。

実際のところGetBackersのツーショットは再会後の団欒だけで終わってしまう。
対ラインハルトの景気付けとして、アーチャーに入れてもらったブルーアイズマウンテンやノリノリな鬼柳たちと一本満足コールをしていたところ事態は急変。
ラストマーダーが残っている中、突如主催者より告げられた最終戦の開幕。
主催者とラインハルトとの二正面作戦を強いられることに。
軍師であるネシンバラが主催者の攻略には蓮が必須と判断。
そうなるとラインハルトをどうすべきかと皆が悩む中、蓮と夜刀の戦いを目にし創造や流出の何たるかを理解した蛮が、銀次なら対抗できると太鼓判を押す。
既にラインハルトと戦っていたこともあり、一度は逃げるしかなかったその危険性を十分理解していた銀次だが、蛮の信頼にこれを承諾。
蛮も相棒を危険に晒す以上はと共にラインハルト討伐に向かおうとするも、これを銀次止めたのは他でもない銀次だった。

「蛮ちゃんはまだ依頼を受けたままでしょ? オレたちは奪還率ほぼ100%のGetBackersなんだからまずはそっちを奪還してあげて」

確かに、確かにそうだった。蓮から最初に受けた依頼、喪われた絆の奪還はまだ完璧には済んでいない。
蓮から絆を奪った主催者たちを倒し、怒りと憎しみと哀しみに曇った蓮の目を晴らさないといけない。
分かったよとと蛮は頷いて、こんな時まで“ほぼ”ってつけんじゃねえとデコピンして、銀次と腕を組んだ後二人は決着後の再会を約束し各々の戦いへと向かう。

ミスター・ブシドーが切り開いてくれた道を進み、主催者の本拠地へと乗り込む蛮たち。
ひしめく数多の自律型巨大ロボもアスクレピオスの力を開放し天使の腕と翼を振るう蛮の敵ではなかった。
ただでさえチート対主催だったSOS団に優秀な軍師であるネシンバラや決戦兵器デモンベイン、直死の魔眼の志貴たちも加わってまさに無敵。
非戦闘員のハルヒたちも蓮やアーチャーが守りきり、傷一つなく敵中枢へとたどり着いてしまう。
主催者である黒のカリスマの駆るチートロボ宝石剣内蔵型のカオス・レムレースには苦戦するも、敵が邪眼のことを把握していることを逆手に取る。
蛮が邪眼を使いきったという幻覚を仕掛けることで誤魔化していた最後の邪眼で敵の切り札であるマップ兵器を見当はずれの方向に撃たせることに成功。
黒崎一護の最後の月牙天衝へと繋げ、蓮の幼なじみの命を奪った黒のカリスマに落とし前をつけた。

誰一人欠けることなく勝利した蛮たち。
頼れる団長と黒猫小鳩たちが離脱のマテリアを見つけ、ジエー・ベイベルを締めあげて情報を得たことで、脱出手段は揃い、後は銀次たちを待つだけのはずだった。
けれども、ここに来て詳細名簿にただひとつ載せられていなかった真実が発覚する。
なんと主催者である黒のカリスマ、放送の司会であったジエー、そして死んだはずの参加者――ジ・エーデル・ベルナルは全員同一人物だったのだ。
正体を明かしたジエーことジ・エーデルは再度カオス・レムレースを召喚するばかりか、平行世界の自分を呼び出して三人がかりで襲ってくる。
カオス・レムレースとの初戦で既に力を使いきっていた蛮たちは倒しても倒しても湧いて出てくるジ・エーデルに窮地に追い込まれる。
次元力と宝石剣で文字通り無限に戦い続けられるジ・エーデルに対し、蛮たちの力は有限だった。
三度の邪眼の制限がその最たる例だろう。
余裕のジ・エーデルは明らかに手心を加え、時には舐めプレイや嫌がらせまで行ってき、蛮たちは完全にペースを握られてしまう。
その果てに遂に、蛮に最後の時が訪れる。
ジ・エーデルは卑劣にも戦う力のないハルヒや黒猫たちを狙い、マップ兵器ディメンジョン・フォール2012を発動させたのだ。
先ほどのように邪眼で逸らすことはもうできない。だったらまあしゃあねえな――死んだ人間は取り戻せない、なんだろ、蓮。
奪り戻せるよう喪わせないためにも、蛮は我が身を盾にジ・エーデルに背中を晒してまでハルヒを庇う。

「あ、んた、何、してんのよ。ちょっと、止めてよ。やめてったら。団長命令よ、そこをどきなさいよ!」

持久戦で積み重なった傷に加え、ディメンジョン・フォール2012の能力半減がトドメとなった。
アスクレピオスの力でマップ兵器自体はなんとか耐えたものの、半減させられた能力では、ジ・エーデルの追撃は防げなかった。
我が身を盾に守り続けたハルヒが腕の中で泣いているのを見てその涙を拭い、笑って言い残す。

「ワリイ、団長。この分はツケにでもしておいてくれ」

奇しくも時を同じくして、相棒である銀次もまたラインハルトとの戦いで命を落としていた。
ここに三代目GetBackersは終りを迎える。






それでも。それでも彼らはGetBackersなのだ。そして今はSOS団の一員なのだ。
蛮の死に動揺し、隙をつかれ昏睡状態に陥る蓮。
自身の力が世界を永劫に停止させる悪夢に苛まれた蓮を助けたのは誰であろう、蛮その人だった。
制約を破ってまでなした四度目の邪眼。
刹那の夢の世界で蛮は流出を躊躇う蓮の背中を押す。

「もしもテメェが言うようなろくでもねえ未来が来たとしても、オレ達ゲットバッカーズが失われた刻を奪り還してやる!」

制約を破った代償に本来なら忘れ去られるはずだったその言葉と蛮という存在は蓮の時間停止により蓮たちの中に繋ぎ止められる。
その時に蓮の軍勢変生の影響を受けたのかもしれない。
後にSOS団でただ一人生還したハルヒは、蛮が行きつけのカフェで銀次とちゃんとお金を払ってたらふく食った後、最後のコーヒー代だけツケて去っていく夢を見た。

「あいつらしいわね」

そう言ってハルヒが浮かべる笑みは、彼女を泣かせてしまった蛮と強くなったハルヒ自身が奪り返した笑顔だった。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2013年12月01日 10:45