第1話:わたしたち、変身!
プロローグ
――――号姫視点――――
私の名前は天降 号姫(あまおり なづき)。
青空町に住んでいる、小学5年生だ。
青空町に住んでいる、小学5年生だ。
今日、理科の授業で習ったこと。
それは、なんとか座(なんだっけ、忘れちゃった)流星群が極大を迎えるという話だった。
それは、なんとか座(なんだっけ、忘れちゃった)流星群が極大を迎えるという話だった。
夜、星空を見れば、光のシャワーが降り注ぐさまをこの目で見られるという先生の話に、私はワクワクしっぱなしだった。
そしてついに夜がきた!
どんな素敵な流れ星が見られるんだろう、とっても楽しみ!
どんな素敵な流れ星が見られるんだろう、とっても楽しみ!
――――奈緒視点――――
私の名前は、古代 奈緒(ごだい なお)。
青空町に住んでいる、小学5年生。
パソコンから目を離して、窓越しに夜空をぼーっと眺めていたら、今日の理科の授業のことを思い出した。
流星群がどうとか、先生言ってたな。
それを聞いてた、確か…天降さん、そう天降さんが、えらくはしゃいで、うるさかったのを覚えている。
「流星、見えるかな…?」
なんて独り言を言いながら、私は窓を開けた。
青空町に住んでいる、小学5年生。
パソコンから目を離して、窓越しに夜空をぼーっと眺めていたら、今日の理科の授業のことを思い出した。
流星群がどうとか、先生言ってたな。
それを聞いてた、確か…天降さん、そう天降さんが、えらくはしゃいで、うるさかったのを覚えている。
「流星、見えるかな…?」
なんて独り言を言いながら、私は窓を開けた。
――――三人称カメラ――――
一方その頃、青空町上空高度100km の宇宙空間では、少女が1人、流星群をひたすら小さく砕いていた。
驚くべきことに少女は宇宙服の類を着ていない。ひらひらとしたフリルがついた、かわいらしい装いである。
しかし見る人が見れば、動きやすい実用的な恰好であることがわかるだろう。
頭部や手足の一部は真空の宇宙空間にさらされている。
それでも少女は平気な顔で流星群と格闘していた。
驚くべきことに少女は宇宙服の類を着ていない。ひらひらとしたフリルがついた、かわいらしい装いである。
しかし見る人が見れば、動きやすい実用的な恰好であることがわかるだろう。
頭部や手足の一部は真空の宇宙空間にさらされている。
それでも少女は平気な顔で流星群と格闘していた。
そこに、ウサギと天使のキューピッドを足して割ったような、謎の生き物が羽をパタパタさせながら近付いてきた。
「ケートゥ、時間がありませんわ。これを使って!」
「わかった、キュビット」
ケートゥと呼ばれた少女は、小振りの矢の無い弓を受け取って構える。
「リュミエール、力を貸して…!」
すると少女の背後に、神々しい光に包まれた女性のようなシルエットが浮かび上がる。
「力を貸しましょう…」
威厳のある、よく響く声で答えた女性のシルエットは、少女の後ろでやはり光る弓を構える。
すると、何もないところに光の矢が現れた。
そして矢を放つと、一本の光の矢は無数の光の矢に分裂して、流星群を粉々に砕いていく。
「ケートゥ、時間がありませんわ。これを使って!」
「わかった、キュビット」
ケートゥと呼ばれた少女は、小振りの矢の無い弓を受け取って構える。
「リュミエール、力を貸して…!」
すると少女の背後に、神々しい光に包まれた女性のようなシルエットが浮かび上がる。
「力を貸しましょう…」
威厳のある、よく響く声で答えた女性のシルエットは、少女の後ろでやはり光る弓を構える。
すると、何もないところに光の矢が現れた。
そして矢を放つと、一本の光の矢は無数の光の矢に分裂して、流星群を粉々に砕いていく。
「やった…」
そうつぶやくケートゥと呼ばれた少女。しかし、
「まだですわ!」
キュビットの叫びを聞いて、振り向くと、ひときわ巨大な流星が突っ込んでくるところだった。
流星にはね飛ばされる少女。
「ケートゥ!リュミエール様!」
落下していく少女を追いかけるキュビット。
そして大きな流星は、大気圏で燃え尽きることなくかろうじて残り、そして…。
そうつぶやくケートゥと呼ばれた少女。しかし、
「まだですわ!」
キュビットの叫びを聞いて、振り向くと、ひときわ巨大な流星が突っ込んでくるところだった。
流星にはね飛ばされる少女。
「ケートゥ!リュミエール様!」
落下していく少女を追いかけるキュビット。
そして大きな流星は、大気圏で燃え尽きることなくかろうじて残り、そして…。
――――号姫視点――――
「学校の裏山に落ちた!!」
そう叫ぶと、号姫の身体はすでに動き出していた。
「こんな遅くにどこ行くんだい」
号姫のおばあちゃんだ。
「学校の裏山ー!」
そう答える号姫におばあちゃんは、
「駄目だ!裏山には祟りの降りかかる大岩があるんだ。行っちゃなんねえ!」
「大丈夫ー!おばあちゃんは迷信深いんだからー!」
玄関で靴を履く号姫。
「駄目だと言って…!はわ、こ、腰が!いたたたた…!」
「いってきまーす!すぐ帰るからー!」
そう言うと号姫は、学校の裏山へ駆け出して行った。
そう叫ぶと、号姫の身体はすでに動き出していた。
「こんな遅くにどこ行くんだい」
号姫のおばあちゃんだ。
「学校の裏山ー!」
そう答える号姫におばあちゃんは、
「駄目だ!裏山には祟りの降りかかる大岩があるんだ。行っちゃなんねえ!」
「大丈夫ー!おばあちゃんは迷信深いんだからー!」
玄関で靴を履く号姫。
「駄目だと言って…!はわ、こ、腰が!いたたたた…!」
「いってきまーす!すぐ帰るからー!」
そう言うと号姫は、学校の裏山へ駆け出して行った。
出会い
――――号姫視点――――
私、天降 号姫は、学校の裏山へと続く道を早足で歩いていた。
流れ星が落ちた。かけらなんか見つけたら、きっと大発見だ。
取材が来て、褒められたりなんかしちゃったりして…。
取材が来て、褒められたりなんかしちゃったりして…。
妄想を膨らませながら、角を曲がっ…
ドシン!
何かにぶつかった。
「あいたっ!」
相手は私と同じくらいの背格好、おそらく同学年だろう。
「ごめんなさい、考え事していて…」
「こちらこそごめんなさい、よそ見をしてた…って、天降さん?」
相手が私のことを呼ぶ。えっ、同級生?
「って…えっと…」
「古代 奈緒」
「…!ああー、そうそう、古代さん!」
相手は私と同じくらいの背格好、おそらく同学年だろう。
「ごめんなさい、考え事していて…」
「こちらこそごめんなさい、よそ見をしてた…って、天降さん?」
相手が私のことを呼ぶ。えっ、同級生?
「って…えっと…」
「古代 奈緒」
「…!ああー、そうそう、古代さん!」
そうそう、古代さんだ。クラスでちょっぴり浮いていて、どこの輪にも入っていない、そんな子。
でも、電灯の下で浮かび上がる、眼鏡の向こうからの視線は、鋭くて知的だ。
いたずらが過ぎて、輪に入れない私とは違うタイプの子。
でも、電灯の下で浮かび上がる、眼鏡の向こうからの視線は、鋭くて知的だ。
いたずらが過ぎて、輪に入れない私とは違うタイプの子。
なんだかんだ言って、輪に入れない同士の二人がここにいる。
「裏山に行くの?」
古代さんが話しかけてきた。
「暗いわ、無理よ」
どうやら古代さんは、先に裏山に行こうとして、暗くて引き返してきたらしい。
「大丈夫!ほら、いたずら七つ道具の一つ、強力ペンライト〜」
ネコ型ロボットの真似をして、顔の下から光を当てる。
「お化けだぞー」
「ドラちゃんかQちゃんか、どっちなの」
古代さんがクスリと笑った。そのうえ私のネタにいい返しをしてくる。
実は私たち、もっと仲良くなれる?
はっ!そんなことより流れ星だ。
「というわけで、灯りもあるし、一緒に行かない?」
古代さんに問いかけると、ちょっと考えてたようだけど、
「ええ、行く」
と答え、私たちは行動を共にする事になった。
古代さんが話しかけてきた。
「暗いわ、無理よ」
どうやら古代さんは、先に裏山に行こうとして、暗くて引き返してきたらしい。
「大丈夫!ほら、いたずら七つ道具の一つ、強力ペンライト〜」
ネコ型ロボットの真似をして、顔の下から光を当てる。
「お化けだぞー」
「ドラちゃんかQちゃんか、どっちなの」
古代さんがクスリと笑った。そのうえ私のネタにいい返しをしてくる。
実は私たち、もっと仲良くなれる?
はっ!そんなことより流れ星だ。
「というわけで、灯りもあるし、一緒に行かない?」
古代さんに問いかけると、ちょっと考えてたようだけど、
「ええ、行く」
と答え、私たちは行動を共にする事になった。
――――号姫視点――――
「ねえ、古代さん」
「なに?」
裏山のてっぺんに続く、なだらかな坂道を歩きながら、私は聞いてみた。
「なんで古代さんは、裏山に落ちた流れ星を見たいと思ったの?」
「…私、放送部だから。明日のお昼放送のネタを拾いに…かな」
「放送部!?」
言われて言葉に詰まる。
なぜなら、私はその放送部の幽霊部員だからだ。
「なに?」
裏山のてっぺんに続く、なだらかな坂道を歩きながら、私は聞いてみた。
「なんで古代さんは、裏山に落ちた流れ星を見たいと思ったの?」
「…私、放送部だから。明日のお昼放送のネタを拾いに…かな」
「放送部!?」
言われて言葉に詰まる。
なぜなら、私はその放送部の幽霊部員だからだ。
無言でしばらく歩く二人。
すると、生い茂った木々に遮られていた視界が開けた。
すると、生い茂った木々に遮られていた視界が開けた。
裏山のてっぺん、そこには寂れた神社があった。
そして神社で祀られている御神体こそ、おばあちゃんが祟りがあると私に警告した大岩だ。
雲間から満月が顔を覗かせると、サッと明るさが増し、状況が明らかになる。
そして神社で祀られている御神体こそ、おばあちゃんが祟りがあると私に警告した大岩だ。
雲間から満月が顔を覗かせると、サッと明るさが増し、状況が明らかになる。
大岩に大きなひびが入っていた。おそらく流れ星が直撃したのだろう。そして大岩に巻いてあった巨大な注連縄が、スパッと真っ二つに切れて垂れ下がっていた。
その注連縄の先には女の子が倒れていた。
――――奈緒視点――――
「…!!」
倒れている女の子を見ると、天降さんはもう駆け出していた。
こういう、すぐに行動するところはすごいと思う。
女の子の胸に耳を当てる天降さん。学校で防災訓練をしたのは一月前だったな。
「大丈夫、気を失っているだけみたい」
天降さんの言葉に、私も胸をなでおろす。
その時、
「あなたたち、誰ですの!」
甲高い声が響いた。
声のする方を見ると、うーん、何だろう。
ウサギと天使が悪魔合体したような、それでいてかわいらしい謎生物がいた。
かわいい羽でパタパタ飛び、足で水を汲んだ柄杓を掴んでいた。
「人に名前を聞くときは、まず自分から名乗るものじゃないの?」
「うっ!」
「古代さん、ツッコミが容赦ないね…」
「ま、まあ、いいですわ…私の名前はキュビット。光の御使いですわ」
「ヒカリノミツカイ?」
そうオウム返しに言いながら、天降さんは柄杓を受け取り、気を失っている子の口に水を含ませた。
「う、うーん…」
どうやら気がついたようだ。
「そしてその子が、ケートゥこと、らみこ。ジョジピュアですわ」
「「ジョジピュア??」」
私と天降さんの声がハモる。
「リュミエール様に力を与えられた戦士、輝きの使者ですわ」
何だろう、夢でも見てるのだろうか?と思った瞬間だった。
天降さんに、私のほっぺをつねられた。
「痛い…!」
「ごめん、もしかして夢かなーと思って」
「夢じゃないみたい。こういう設定なのかも」
「んまあー!設定などではありませんわ!」
キュビットが抗議の声を上げ、らみこが首をふるふると横に振って否定した。
その時、
倒れている女の子を見ると、天降さんはもう駆け出していた。
こういう、すぐに行動するところはすごいと思う。
女の子の胸に耳を当てる天降さん。学校で防災訓練をしたのは一月前だったな。
「大丈夫、気を失っているだけみたい」
天降さんの言葉に、私も胸をなでおろす。
その時、
「あなたたち、誰ですの!」
甲高い声が響いた。
声のする方を見ると、うーん、何だろう。
ウサギと天使が悪魔合体したような、それでいてかわいらしい謎生物がいた。
かわいい羽でパタパタ飛び、足で水を汲んだ柄杓を掴んでいた。
「人に名前を聞くときは、まず自分から名乗るものじゃないの?」
「うっ!」
「古代さん、ツッコミが容赦ないね…」
「ま、まあ、いいですわ…私の名前はキュビット。光の御使いですわ」
「ヒカリノミツカイ?」
そうオウム返しに言いながら、天降さんは柄杓を受け取り、気を失っている子の口に水を含ませた。
「う、うーん…」
どうやら気がついたようだ。
「そしてその子が、ケートゥこと、らみこ。ジョジピュアですわ」
「「ジョジピュア??」」
私と天降さんの声がハモる。
「リュミエール様に力を与えられた戦士、輝きの使者ですわ」
何だろう、夢でも見てるのだろうか?と思った瞬間だった。
天降さんに、私のほっぺをつねられた。
「痛い…!」
「ごめん、もしかして夢かなーと思って」
「夢じゃないみたい。こういう設定なのかも」
「んまあー!設定などではありませんわ!」
キュビットが抗議の声を上げ、らみこが首をふるふると横に振って否定した。
その時、
ビシイッ!!
天降さんとらみこの背後の大岩の亀裂が深くなり、真っ二つに割れた。
そしてその中から、怪しい男が出て来たのだ。
そしてその中から、怪しい男が出て来たのだ。
脅威
――――号姫視点――――
「おお…!封印石が砕けたぞ。我が召喚魔法で、流星を召喚し続けた甲斐があったわ!」
怪しいお兄さんが、岩から出てきた。
私も古代さんも、状況についていくのがやっとだ。
「ワルフクケス…!とうとう封印を破りましたか!」
キュビットが声を絞り出すように言うと、ワルフクケスと呼ばれた怪しいお兄さんは、
怪しいお兄さんが、岩から出てきた。
私も古代さんも、状況についていくのがやっとだ。
「ワルフクケス…!とうとう封印を破りましたか!」
キュビットが声を絞り出すように言うと、ワルフクケスと呼ばれた怪しいお兄さんは、
「ふはははは、この勢いで我らが奇怪魔界の王、大魔王アンコクマー様も復活させてみせるわ!」
さらに不穏なことを言い放った。
「そのような企み、私とケートゥが阻止いたしますわ!」
「やってみるがいい!」
ケートゥこと、らみこちゃんが、怪しいお兄さんに立ち向かっていく。
しかし…
またたく間に返り討ちにあってしまった。
さらに不穏なことを言い放った。
「そのような企み、私とケートゥが阻止いたしますわ!」
「やってみるがいい!」
ケートゥこと、らみこちゃんが、怪しいお兄さんに立ち向かっていく。
しかし…
またたく間に返り討ちにあってしまった。
「ああっ!宇宙での戦いのダメージが回復しきっていないのですわ!」
「そういうことは早く言ってよ!」
古代さんと二人で、倒れかかってくる、らみこちゃんを支えながら、私は言った。
「そういうことは早く言ってよ!」
古代さんと二人で、倒れかかってくる、らみこちゃんを支えながら、私は言った。
――――三人称カメラ――――
ところで、この騒ぎを見ていた者が、もう一人いた。
ふわっとした髪の毛にラフな恰好、そしてお尻の二股に分かれた尻尾。
木の上からそっと見つめる視線。
そう、のじゃロリ猫ちゃんだ。
「うーむ…割って入るタイミングを逃してしまったのじゃ…」
のじゃロリ猫は頭を足で掻いた。
「ま、いいじゃろ。連中とは、あまり関わりあいになりたくないし、あの子供らの片割れは…」
のじゃロリ猫の視線は、天降 号姫に注がれていた。
ふわっとした髪の毛にラフな恰好、そしてお尻の二股に分かれた尻尾。
木の上からそっと見つめる視線。
そう、のじゃロリ猫ちゃんだ。
「うーむ…割って入るタイミングを逃してしまったのじゃ…」
のじゃロリ猫は頭を足で掻いた。
「ま、いいじゃろ。連中とは、あまり関わりあいになりたくないし、あの子供らの片割れは…」
のじゃロリ猫の視線は、天降 号姫に注がれていた。
――――奈緒視点――――
「ちょっと!そこの怪しいお兄さん!」
「小娘め!我には大魔導師ワルフクケスという名があるわ!」
天降さんが大魔導師とかいうのに食ってかかっている。
「私にだって、天降 号姫って名前があるわよ!」
天降さんには、恐ろしいものというのがないのだろうか?
「小娘で十分だわい。我は大魔王アンコクマー様の復活の儀式に忙しいのだ。邪魔をするな!」
「謝れ」
「むっ?」
「らみこちゃんにひどい事をして!らみこちゃんに謝れ!」
ああ、違う。怖いものがないわけじゃないんだ。これは天降さんの、やさしさが彼女を衝き動かしているんだ。
「小娘め!我には大魔導師ワルフクケスという名があるわ!」
天降さんが大魔導師とかいうのに食ってかかっている。
「私にだって、天降 号姫って名前があるわよ!」
天降さんには、恐ろしいものというのがないのだろうか?
「小娘で十分だわい。我は大魔王アンコクマー様の復活の儀式に忙しいのだ。邪魔をするな!」
「謝れ」
「むっ?」
「らみこちゃんにひどい事をして!らみこちゃんに謝れ!」
ああ、違う。怖いものがないわけじゃないんだ。これは天降さんの、やさしさが彼女を衝き動かしているんだ。
そんなことを考えたその時、
ズズン…!
地面が揺れた。
「地震!?」
「違うなあ。この山に封じられているアンコクマー様がお目覚めになろうとしているのよ!」
えっ、それってかなりまずいのでは。
「この砕けた封印石こそ、アンコクマー様の自由を奪うクサビそのもの。これさえなければ、山を割りご復活あそばされることなど、お前らの手をひねるより簡単なことよ!」
えっ、それってかなりまずいのでは。
「この砕けた封印石こそ、アンコクマー様の自由を奪うクサビそのもの。これさえなければ、山を割りご復活あそばされることなど、お前らの手をひねるより簡単なことよ!」
ズシン…!
また揺れた。あいつは本気なんだ…!
その時、足元に地割れが走った。
本当に大魔王なんてのが復活するのかもしれない。
あまりにことが大きすぎて、理解が追い付かない。
巨大な地割れから、巨大な腕が天を衝くように伸び、私たちは振り下ろされてきた巨大な手のひらに…
その時、足元に地割れが走った。
本当に大魔王なんてのが復活するのかもしれない。
あまりにことが大きすぎて、理解が追い付かない。
巨大な地割れから、巨大な腕が天を衝くように伸び、私たちは振り下ろされてきた巨大な手のひらに…
――――号姫視点――――
私たちが巨大な手のひらにつぶされる!…と思った瞬間、不思議なことが起こった。
らみこちゃんの体から光の奔流が飛び出し、巨大な手のひらを受け止めたのだ。
その光は、次第に人のような姿に変わっていく。
髪の長い、輝く女の人。そんな風に見えた。
「リュミエール様!ご無事だったのですね!」
キュビットが安心したような声を上げる。
「キュビット、心配をかけましたね」
「そんな、もったいないお言葉」
どうやらキュビットや、らみこちゃんよりえらい人のようだ。
「しかし、大魔王アンコクマーは強力です。私のすべてのエネルギーを使わなければ、再封印できないでしょう」
「リュミエール様…」
「リュミエール…」
キュビットと、ケートゥこと、らみこちゃんが心配そうに口を揃える。
らみこちゃんの体から光の奔流が飛び出し、巨大な手のひらを受け止めたのだ。
その光は、次第に人のような姿に変わっていく。
髪の長い、輝く女の人。そんな風に見えた。
「リュミエール様!ご無事だったのですね!」
キュビットが安心したような声を上げる。
「キュビット、心配をかけましたね」
「そんな、もったいないお言葉」
どうやらキュビットや、らみこちゃんよりえらい人のようだ。
「しかし、大魔王アンコクマーは強力です。私のすべてのエネルギーを使わなければ、再封印できないでしょう」
「リュミエール様…」
「リュミエール…」
キュビットと、ケートゥこと、らみこちゃんが心配そうに口を揃える。
その様子を見て、私は、口を開いた。
「何か、手伝えることはないですか?」
「天降さんっ!?」
古代さんが驚いたように私を見た。
私は言葉を続ける。
「私には、コミックに出てくるような『女児符号』なんてものはないけど、誰かのために何かしたいという気持ちはあります。何かお手伝いできませんか?」
「そうは、させるかあああ!!」
ワルフクケスが邪魔に入る。
「怒りに満ちた、天地を貫く雷の精霊よ、我が召喚に応じ、姿を現せ!」
何か呪文みたいなものを唱えると、リュミエールの周囲に雷が落ちる。ものすごい音と光だ。
私は思わず目を閉じ耳をふさいだ。
「いでよ、奇雷獣!!再封印など、させるなあああ!!」
「何か、手伝えることはないですか?」
「天降さんっ!?」
古代さんが驚いたように私を見た。
私は言葉を続ける。
「私には、コミックに出てくるような『女児符号』なんてものはないけど、誰かのために何かしたいという気持ちはあります。何かお手伝いできませんか?」
「そうは、させるかあああ!!」
ワルフクケスが邪魔に入る。
「怒りに満ちた、天地を貫く雷の精霊よ、我が召喚に応じ、姿を現せ!」
何か呪文みたいなものを唱えると、リュミエールの周囲に雷が落ちる。ものすごい音と光だ。
私は思わず目を閉じ耳をふさいだ。
「いでよ、奇雷獣!!再封印など、させるなあああ!!」
雷は姿を持った奇妙な化け物になっていた。
これが、ワルフクケスの言う『奇雷獣』なのだろうか。
リュミエールの周囲に召喚された奇雷獣たちは、引っ掻いたり噛み付いたり、尻尾を叩きつけたりと、リュミエールを攻撃しはじめた。
リュミエールが苦しそうな呻きをあげ、膝をつく。
このままじゃ私たち、大魔王の手のひらに潰されちゃう!
これが、ワルフクケスの言う『奇雷獣』なのだろうか。
リュミエールの周囲に召喚された奇雷獣たちは、引っ掻いたり噛み付いたり、尻尾を叩きつけたりと、リュミエールを攻撃しはじめた。
リュミエールが苦しそうな呻きをあげ、膝をつく。
このままじゃ私たち、大魔王の手のひらに潰されちゃう!
「…私の力を、二人に渡すことならできる」
「ケートゥ!?」
らみこちゃんの言葉にキュビットが驚きの声を上げる。
「今の私では、戦えない。だから…」
「でも、らみこ…」
「キュビット…!」
ケートゥ=らみこちゃんの眼に決意が宿る。それを見たキュビットも決意を同じくしたようだ。
「いいですわ。二人とも、ケートゥからの力を受け入れる準備をして!」
「そうこなくっちゃ!」
私は応じる用意をする。
「ちょっと待って、私も!?」
古代さんが難色を示す。
「二人とも戦士としてはひよっこ同然、一人前の戦士の力を渡しても、制御しきれませんわ」
「う、いや、やるって話じゃなくて…」
「ねえー古代さん、やろうよ。私一人だと怖いからさあ」
「どこがよ!」
「実は足、震えてるんだ」
震えてるのは本当。
「でも、ここで大魔王に潰されたら、明日のおやつの、子門堂のクリームたい焼きが食べられないじゃない」
「たい焼き!?」
「だから、ここを乗り切ろう。たい焼き半分こしてあげるから」
「ふ、ふふ、あはははは!…いいわ」
「じゃあ!」
「ただし、私がクリームたっぷりの頭のほうね!」
「しょうがないなあー。オッケー!」
「ケートゥ!?」
らみこちゃんの言葉にキュビットが驚きの声を上げる。
「今の私では、戦えない。だから…」
「でも、らみこ…」
「キュビット…!」
ケートゥ=らみこちゃんの眼に決意が宿る。それを見たキュビットも決意を同じくしたようだ。
「いいですわ。二人とも、ケートゥからの力を受け入れる準備をして!」
「そうこなくっちゃ!」
私は応じる用意をする。
「ちょっと待って、私も!?」
古代さんが難色を示す。
「二人とも戦士としてはひよっこ同然、一人前の戦士の力を渡しても、制御しきれませんわ」
「う、いや、やるって話じゃなくて…」
「ねえー古代さん、やろうよ。私一人だと怖いからさあ」
「どこがよ!」
「実は足、震えてるんだ」
震えてるのは本当。
「でも、ここで大魔王に潰されたら、明日のおやつの、子門堂のクリームたい焼きが食べられないじゃない」
「たい焼き!?」
「だから、ここを乗り切ろう。たい焼き半分こしてあげるから」
「ふ、ふふ、あはははは!…いいわ」
「じゃあ!」
「ただし、私がクリームたっぷりの頭のほうね!」
「しょうがないなあー。オッケー!」
わたしたち、変身!
――――号姫視点――――
「んまあー!たい焼きの話をしている場合ですか」
キュビットがちょっと呆れ気味だけど、らみこちゃんは、
「でも、大事なことだと思う」
とフォローしてくれた。
「さあ、いつでもいいよ。力をちょうだい!」
らみこちゃんがそれに頷く。そして、両手に力をため始める。
その力は、光り輝く球状のエネルギーとなり、私と古代さんの背中へと押し付けられる。
らみこちゃんがその手にぐっと力を込めると、球状のエネルギーは、私たちの体内にするっと入っていった。
キュビットがちょっと呆れ気味だけど、らみこちゃんは、
「でも、大事なことだと思う」
とフォローしてくれた。
「さあ、いつでもいいよ。力をちょうだい!」
らみこちゃんがそれに頷く。そして、両手に力をため始める。
その力は、光り輝く球状のエネルギーとなり、私と古代さんの背中へと押し付けられる。
らみこちゃんがその手にぐっと力を込めると、球状のエネルギーは、私たちの体内にするっと入っていった。
体内に清らかな光が満ちるのを感じる。光の力は全身の隅々まで行き渡り、それから胸のあたりに集まってくる。
胸が…熱い。
そしてその熱さが胸から飛び出そうとしている。私はそのままエネルギーの流れに身を任せることにした。
ポンッ!!
私の中を駆け巡った光のエネルギーが胸から飛び出した。そして光は一枚のカードのような形をとり……
ピカッ!
一つのガジェットに姿を変えた。
それを手に取る私たち。これは…!
「やったー、スマホだー!」
「私も二台持ちか…」
なんか二人の反応が違うけど、私と古代さんは、変身アイテムを手に入れた!
胸が…熱い。
そしてその熱さが胸から飛び出そうとしている。私はそのままエネルギーの流れに身を任せることにした。
ポンッ!!
私の中を駆け巡った光のエネルギーが胸から飛び出した。そして光は一枚のカードのような形をとり……
ピカッ!
一つのガジェットに姿を変えた。
それを手に取る私たち。これは…!
「やったー、スマホだー!」
「私も二台持ちか…」
なんか二人の反応が違うけど、私と古代さんは、変身アイテムを手に入れた!
「さあ、私に続いて、変身の言葉を言うのです!」
「「は、はいっ!」」
キュビットの言葉に答える私と古代さん。
「ピュアセッター!ジョジピュア メタモルフォーメーション!!」
ピュアセッターと呼ばれたスマホを前に向けて構える。
「「ピュアセッター!ジョジピュア メタモルフォーメーション!!」」
そう叫ぶと、私たちは噴き上がる光の柱に包まれた。
「「は、はいっ!」」
キュビットの言葉に答える私と古代さん。
「ピュアセッター!ジョジピュア メタモルフォーメーション!!」
ピュアセッターと呼ばれたスマホを前に向けて構える。
「「ピュアセッター!ジョジピュア メタモルフォーメーション!!」」
そう叫ぶと、私たちは噴き上がる光の柱に包まれた。
――――三人称カメラ――――
立ち昇る光の柱。
それを離れた樹上で見ていたのじゃロリ猫は、こう呟いた
「おや、おやおや、やはり美代の孫がそうなったか。これは『数奇』な」
さらに、凄味のあるにやけ顔を作って言葉を続ける。
「…いや、あなたは『好き』でしたなあ、そうやっていたいけな女児を弄ぶのが」
のじゃロリ猫はさらに相好を崩す。そのにたにたとした表情は、もはや女児離れした怪異のそれだった。
「…そうでしょう。ねえ、リュミエール」
それを離れた樹上で見ていたのじゃロリ猫は、こう呟いた
「おや、おやおや、やはり美代の孫がそうなったか。これは『数奇』な」
さらに、凄味のあるにやけ顔を作って言葉を続ける。
「…いや、あなたは『好き』でしたなあ、そうやっていたいけな女児を弄ぶのが」
のじゃロリ猫はさらに相好を崩す。そのにたにたとした表情は、もはや女児離れした怪異のそれだった。
「…そうでしょう。ねえ、リュミエール」
――――三人称カメラ――――
立ち昇る光の柱。
「むうっ!まさか、この光は!」
少しの戦慄をおぼえるワルフクケス。
「新たなジョジピュアだとでもいうのか…!」
「そう、その通りですわ!」
キュビットが叫ぶ。
その時、光の柱が弾けた。
そして、地上に降り立ったのは…
「むうっ!まさか、この光は!」
少しの戦慄をおぼえるワルフクケス。
「新たなジョジピュアだとでもいうのか…!」
「そう、その通りですわ!」
キュビットが叫ぶ。
その時、光の柱が弾けた。
そして、地上に降り立ったのは…
「輝きの使者、ピュアゴダイ!」
「輝きの使者、ピュアテンゴウ!」
「「わたしたち ジョジピュア!!」」
「「まもれ日常 すてきな夢! 今日をふんばれ 明日のために!!」」
新たなジョジピュア、大地に立つ!
「輝きの使者、ピュアテンゴウ!」
「「わたしたち ジョジピュア!!」」
「「まもれ日常 すてきな夢! 今日をふんばれ 明日のために!!」」
新たなジョジピュア、大地に立つ!
――――ピュアテンゴウ視点――――
「これが…私?」
私はこれまで着たことが無いというくらい、かわいい衣装を身に纏っていた。古代さんも同様だ。
こんなひらひらとした衣装で、本当に戦えるのだろうか?
私はこれまで着たことが無いというくらい、かわいい衣装を身に纏っていた。古代さんも同様だ。
こんなひらひらとした衣装で、本当に戦えるのだろうか?
「ええい、所詮はなりたてのひよっこ。こけ脅しよ!奇雷獣、やってしまえ!」
ワルフクケスがそう叫ぶと、奇雷獣が私たちを認識したようだ。
奇雷獣と簡単に書いてるけど、相手は学校の校舎と見紛うばかりの大きさだ。そんな大きなモンスターに睨まれたら、背筋がブルブルしちゃう。
奇雷獣が、私たちを攻撃対象にしたことで、リュミエールへの攻撃はひとまず止んだ。
あとは、らみこちゃんとキュビットを守りながら、こいつらをやっつけなきゃだね。
私はピュアゴダイの方を見る。
「何かいい作戦、ある?」
「あるわ」
さすがピュアゴダイ、頼もしいー!
「先手必勝…よ!」
と言うが早いか、ピュアゴダイは奇雷獣のアゴまで跳躍してのアッパーカットをキメる。
アゴを砕かれた奇雷獣は頭を振り仰いで身悶える。
作戦…作戦?
古代さんの意外な一面かもしれない。
とはいえ、クリーンヒットしたアッパーカットは威力もあるし、何よりカッコイイ!
私もやろうっと。
私は別の奇雷獣のアゴに狙いを定めて…
跳んだ!
ワルフクケスがそう叫ぶと、奇雷獣が私たちを認識したようだ。
奇雷獣と簡単に書いてるけど、相手は学校の校舎と見紛うばかりの大きさだ。そんな大きなモンスターに睨まれたら、背筋がブルブルしちゃう。
奇雷獣が、私たちを攻撃対象にしたことで、リュミエールへの攻撃はひとまず止んだ。
あとは、らみこちゃんとキュビットを守りながら、こいつらをやっつけなきゃだね。
私はピュアゴダイの方を見る。
「何かいい作戦、ある?」
「あるわ」
さすがピュアゴダイ、頼もしいー!
「先手必勝…よ!」
と言うが早いか、ピュアゴダイは奇雷獣のアゴまで跳躍してのアッパーカットをキメる。
アゴを砕かれた奇雷獣は頭を振り仰いで身悶える。
作戦…作戦?
古代さんの意外な一面かもしれない。
とはいえ、クリーンヒットしたアッパーカットは威力もあるし、何よりカッコイイ!
私もやろうっと。
私は別の奇雷獣のアゴに狙いを定めて…
跳んだ!
「でえええええっ!?」
確かに奇雷獣のアゴに狙いをつけた。
しかし私は、奇雷獣の高さを越え、リュミエールの高さも越え、青空町の上空まで跳んでしまった。
そして重力が私を捕まえる。
「今度は、落ちるうううううう!!」
確かに奇雷獣のアゴに狙いをつけた。
しかし私は、奇雷獣の高さを越え、リュミエールの高さも越え、青空町の上空まで跳んでしまった。
そして重力が私を捕まえる。
「今度は、落ちるうううううう!!」
――――ピュアゴダイ視点――――
私は奇雷獣にアッパーを決め、着地した。
なるほど、なかなかのパワーね。
ピュアテンゴウはどうしたかしら?と周囲に気を配ると、あらぬ方へと跳んでいくピュアテンゴウの姿が視界の端に写った。
まったく、世話が焼けるわね。
ピュアテンゴウの着地点を予測し、その地点へとダッシュする。
そして落ちてきたピュアテンゴウを抱きとめてキャッチした。
「あっはは…ありがとーゴダイ」
「大雑把に動くと今のテンゴウみたいになるわ。正確に体を動かす事を意識して」
「あは、アドバイスありがとう!」
「相手の数を減らすわ、私がダメージを与えた奇雷獣に攻撃を集中するわよ」
「オッケー、ゴダイ!」
なるほど、なかなかのパワーね。
ピュアテンゴウはどうしたかしら?と周囲に気を配ると、あらぬ方へと跳んでいくピュアテンゴウの姿が視界の端に写った。
まったく、世話が焼けるわね。
ピュアテンゴウの着地点を予測し、その地点へとダッシュする。
そして落ちてきたピュアテンゴウを抱きとめてキャッチした。
「あっはは…ありがとーゴダイ」
「大雑把に動くと今のテンゴウみたいになるわ。正確に体を動かす事を意識して」
「あは、アドバイスありがとう!」
「相手の数を減らすわ、私がダメージを与えた奇雷獣に攻撃を集中するわよ」
「オッケー、ゴダイ!」
――――ピュアテンゴウ視点――――
受け止めた私を下ろすと、ピュアゴダイは跳躍して、奇雷獣のほっぺ?辺りに蹴りを叩き込む。
よーし、私も負けてられないぞ!
低く跳躍する事を意識する。
そして…跳ぶ!
これで高さは奇雷獣の手の高さくらいか。よーし!
奇雷獣の手が迫る。
次の瞬間、
ズズン…!!
奇雷獣がもんどり打って倒れ込んだ。
私が奇雷獣の指と指の間をすり抜けざまに、思いっきりひねってやったのだ。
赤子の手をひねる、というけど、これは奇雷獣の手をひねる?
だんだんパワーのコントロールのしかたがわかってきたよ。
そこへ、倒れ込んだ奇雷獣に向かって、ピュアゴダイがものすごい勢いで落下してくる。
ピュアゴダイは勢いのままに、かかとを鋭く振り下ろした。
かかと落としが奇雷獣のお腹にヒット。
その衝撃で大地が揺れる。
そして奇雷獣は、もとの雷に戻り、雲散霧消した。これであと二匹!
よーし、私も負けてられないぞ!
低く跳躍する事を意識する。
そして…跳ぶ!
これで高さは奇雷獣の手の高さくらいか。よーし!
奇雷獣の手が迫る。
次の瞬間、
ズズン…!!
奇雷獣がもんどり打って倒れ込んだ。
私が奇雷獣の指と指の間をすり抜けざまに、思いっきりひねってやったのだ。
赤子の手をひねる、というけど、これは奇雷獣の手をひねる?
だんだんパワーのコントロールのしかたがわかってきたよ。
そこへ、倒れ込んだ奇雷獣に向かって、ピュアゴダイがものすごい勢いで落下してくる。
ピュアゴダイは勢いのままに、かかとを鋭く振り下ろした。
かかと落としが奇雷獣のお腹にヒット。
その衝撃で大地が揺れる。
そして奇雷獣は、もとの雷に戻り、雲散霧消した。これであと二匹!
ふんばれ、ジョジピュア!
――――ピュアゴダイ視点――――
私が着地すると、そばへピュアテンゴウが駆け寄ってくる。
「あと二匹だね!」
とピースサインを作るピュアテンゴウ。
「また、一匹づつ倒していこう」
と言って、ピースサインの手を中指、人さし指とたたんでいく。
「あと二匹だね!」
とピースサインを作るピュアテンゴウ。
「また、一匹づつ倒していこう」
と言って、ピースサインの手を中指、人さし指とたたんでいく。
「そうね、一匹づつ」
私もそう答える。
ところがこれが、うまくいかない。
二人とも、息が上がってきている。
そうか…!
今までは、狭い裏山のてっぺんに三匹の奇雷獣がぎゅうぎゅう詰めで動けなかったから、楽に一匹を倒すことができた。
ところが奇雷獣が二匹になって、動けるスペースができたんだわ。
だから、かわされてしまう。
戦いって、なかなか甘くはないわね…。
私もそう答える。
ところがこれが、うまくいかない。
二人とも、息が上がってきている。
そうか…!
今までは、狭い裏山のてっぺんに三匹の奇雷獣がぎゅうぎゅう詰めで動けなかったから、楽に一匹を倒すことができた。
ところが奇雷獣が二匹になって、動けるスペースができたんだわ。
だから、かわされてしまう。
戦いって、なかなか甘くはないわね…。
――――三人称カメラ――――
そう、甘くはない。
実際、二匹目の奇雷獣を倒すのに、5分くらい動き回って、体力を消耗してしまった。
二人とも余裕がなくなってきた。
しかし、奇雷獣も残り一匹。
これを倒せは、後はリュミエールと取っ組み合いをしている大魔王アンコクマーが残っているのだが、まあリュミエールもいるし、何とかなると二人は考えていた。
しかし、ここにきて新たな動きが起きる。
「ふはははは、やっと見つけたぞ。封印石を砕いた流れ星!」
「まずいですわ!ワルフクケスは、キライ融合をするつもりですわ!」
キュビットはワルフクケスの周りを飛び回って邪魔しようとするが、
「ええい、邪魔だ!」
「きゅうっ!」
ワルフクケスに叩き落とされてしまった。
「奇雷獣よ!キライ因子を取り込んでパワーアップするのだ!」
「キライ!キラーイ!」
奇雷獣って、こんな風に鳴くんだ…とピュアゴダイとピュアテンゴウは思ったが、そのせいで反応が遅れた。
「奇雷獣、キライ融合!」
ワルフクケスが流れ星の欠片を放り投げる。奇雷獣はそれを体内に取り込むと、大きさを増していき…
巨大な流れ星となった!
「ふはははは、これぞキライ融合!奇雷獣の真の力を引き出す形態よ!」
実際、二匹目の奇雷獣を倒すのに、5分くらい動き回って、体力を消耗してしまった。
二人とも余裕がなくなってきた。
しかし、奇雷獣も残り一匹。
これを倒せは、後はリュミエールと取っ組み合いをしている大魔王アンコクマーが残っているのだが、まあリュミエールもいるし、何とかなると二人は考えていた。
しかし、ここにきて新たな動きが起きる。
「ふはははは、やっと見つけたぞ。封印石を砕いた流れ星!」
「まずいですわ!ワルフクケスは、キライ融合をするつもりですわ!」
キュビットはワルフクケスの周りを飛び回って邪魔しようとするが、
「ええい、邪魔だ!」
「きゅうっ!」
ワルフクケスに叩き落とされてしまった。
「奇雷獣よ!キライ因子を取り込んでパワーアップするのだ!」
「キライ!キラーイ!」
奇雷獣って、こんな風に鳴くんだ…とピュアゴダイとピュアテンゴウは思ったが、そのせいで反応が遅れた。
「奇雷獣、キライ融合!」
ワルフクケスが流れ星の欠片を放り投げる。奇雷獣はそれを体内に取り込むと、大きさを増していき…
巨大な流れ星となった!
「ふはははは、これぞキライ融合!奇雷獣の真の力を引き出す形態よ!」
――――ピュアテンゴウ視点――――
「で、でかい…!」
上空に浮く、流れ星に姿を変えた奇雷獣を見て、思わず私の口から声が漏れた。
「ええ、100メートルはありそうね」
「ゴダイ、100メートルってそれマジ?」
「ざっとね」
「それってどのくらいの重さ?」
「計算したくない」
「奇雷獣!ジョジピュアどもを押しつぶせ!」
「キラーイ!」
流れ星奇雷獣が、私たちに向かって落下を開始する。
ヤバイ。
ヤバイヤバイヤバイヤバイ!!
このままじゃ、私たち押しつぶされちゃう!
上空に浮く、流れ星に姿を変えた奇雷獣を見て、思わず私の口から声が漏れた。
「ええ、100メートルはありそうね」
「ゴダイ、100メートルってそれマジ?」
「ざっとね」
「それってどのくらいの重さ?」
「計算したくない」
「奇雷獣!ジョジピュアどもを押しつぶせ!」
「キラーイ!」
流れ星奇雷獣が、私たちに向かって落下を開始する。
ヤバイ。
ヤバイヤバイヤバイヤバイ!!
このままじゃ、私たち押しつぶされちゃう!
そして、
流れ星が落ちてきて、
私たちは……。
流れ星が落ちてきて、
私たちは……。
ズズズズン……!!
「キライ?」
「つぶされて、たまるかああああっ!!」
私たちは、思いっきりふんばって、流れ星奇雷獣を受け止めた。
「ふんばれ、私!ふんばれ、ゴダイ!!」
「ええ、テンゴウこそ、ふんばりなさい!」
そして私たちは、巨大な流れ星を、
「うわあああああああっ!!」
横にいなすように、地面へ叩きつけた!!
すると、叩き落とされていたキュビットが、
「今ですわ、浄化の光を!」
いいタイミングで起き上がる。
「ゴダイ!」
「ええ、テンゴウ!」
何をすればいいか、もう大体わかる。
私たちは手をつないで…
「「かがやけ日常 きらめく夢! 光あふれる 未来めざして!」」
反対の手を奇雷獣に向けてかざす。
そして…
「「ジョジピュア シャイニング ピュリファイケイション!!」」
かざした手から、光が溢れだす。
奇雷獣を貫く、浄化の光だ。
「キライ…キラ…キラ…ダイスキー!…」
光を浴びた奇雷獣は、これもまた光となって、散り散りに消えていった。
「やったね、ゴダイ!」
「ええ、テンゴウ」
「キライ?」
「つぶされて、たまるかああああっ!!」
私たちは、思いっきりふんばって、流れ星奇雷獣を受け止めた。
「ふんばれ、私!ふんばれ、ゴダイ!!」
「ええ、テンゴウこそ、ふんばりなさい!」
そして私たちは、巨大な流れ星を、
「うわあああああああっ!!」
横にいなすように、地面へ叩きつけた!!
すると、叩き落とされていたキュビットが、
「今ですわ、浄化の光を!」
いいタイミングで起き上がる。
「ゴダイ!」
「ええ、テンゴウ!」
何をすればいいか、もう大体わかる。
私たちは手をつないで…
「「かがやけ日常 きらめく夢! 光あふれる 未来めざして!」」
反対の手を奇雷獣に向けてかざす。
そして…
「「ジョジピュア シャイニング ピュリファイケイション!!」」
かざした手から、光が溢れだす。
奇雷獣を貫く、浄化の光だ。
「キライ…キラ…キラ…ダイスキー!…」
光を浴びた奇雷獣は、これもまた光となって、散り散りに消えていった。
「やったね、ゴダイ!」
「ええ、テンゴウ」
「なんだと…、我が奇雷獣が敗れるとは…!」
ワルフクケスが驚きの声を上げる。
残るは、大魔王アンコクマーと光の化身リュミエールの戦いのみ。
「ありがとう、新たなジョジピュア。あなた達が奇雷獣を倒してくれたおかげで、私は大魔王との戦いに全力を傾けられます」
リュミエールに感謝された。
「私たちも手伝います!」
「だめよ、テンゴウ」
「ゴダイ!?」
「今、大魔王とリュミエールは、私たちには想像もつかないレベルでの戦いを繰り広げているわ。私たちが割って入れば、足手まといになってしまう」
「そんな…」
「私たちにできるのは、ここまでよ」
「うん…」
気付くと、らみこちゃんとキュビットが私たちのそばに来ていた。
「二人とも、私の代わりに、ありがとう」
「ええ、よくやってくれましたわ」
少し離れて向こうに、ワルフクケス。
「くうぅっ、小癪なジョジピュアめ…!」
こうなってはワルフクケスも、大魔王アンコクマーとリュミエールの戦いを見守るしかないのだろう。
そうやって、一分くらい見守っただろうか?
決着は、あっさりと付いた。
大魔王は粉々になり、無数の黒い雪のようになって青空町じゅうに降り注いだ。
「ああっ、アンコクマー様が無数のキライシードに分裂されてしまわれた!回収を急がねば。リュミエール、そしてジョジピュア!覚えておれー!」
捨て台詞を残してワルフクケスは消えた。
「私たち、勝ったんだね!」
「そうも、いかなかったようですわ…」
キュビットの声が弱々しい。
リュミエールが膝を付いた。
「リュミエール!?」
「大魔王との戦いで、私は力を使い果たしました」
「そんな…」
「大魔王の体は、奇雷獣の源、『キライシード』に分裂しました。ジョジピュアたちよ、キライシードを回収して、大魔王の復活を阻止するのです」
「わかりました…!」
「私たち、やってみせます…!」
私たちの誓いを聞くと、リュミエールは安心したようだ。
「頼みました。青い星の子供たちよ…」
そう言うと、リュミエールの体も光の粒になって消えていった。そしてやはり、青空町じゅうに降り注ぐ。
私たちの目の前にも、光の粒が降ってきた。それは、小さなたまごのようにも見えた。
「それは『フェアリーエッグ』、ジョジピュアを導く妖精たちのたまご…」
らみこちゃんが説明してくれた。
え、つまりジョジピュアになれるのは、私たちだけじゃないってこと?
「さあ、明日からが大変ですわよ。キライシードを回収し、フェアリーエッグを集めなくては!」
ワルフクケスが驚きの声を上げる。
残るは、大魔王アンコクマーと光の化身リュミエールの戦いのみ。
「ありがとう、新たなジョジピュア。あなた達が奇雷獣を倒してくれたおかげで、私は大魔王との戦いに全力を傾けられます」
リュミエールに感謝された。
「私たちも手伝います!」
「だめよ、テンゴウ」
「ゴダイ!?」
「今、大魔王とリュミエールは、私たちには想像もつかないレベルでの戦いを繰り広げているわ。私たちが割って入れば、足手まといになってしまう」
「そんな…」
「私たちにできるのは、ここまでよ」
「うん…」
気付くと、らみこちゃんとキュビットが私たちのそばに来ていた。
「二人とも、私の代わりに、ありがとう」
「ええ、よくやってくれましたわ」
少し離れて向こうに、ワルフクケス。
「くうぅっ、小癪なジョジピュアめ…!」
こうなってはワルフクケスも、大魔王アンコクマーとリュミエールの戦いを見守るしかないのだろう。
そうやって、一分くらい見守っただろうか?
決着は、あっさりと付いた。
大魔王は粉々になり、無数の黒い雪のようになって青空町じゅうに降り注いだ。
「ああっ、アンコクマー様が無数のキライシードに分裂されてしまわれた!回収を急がねば。リュミエール、そしてジョジピュア!覚えておれー!」
捨て台詞を残してワルフクケスは消えた。
「私たち、勝ったんだね!」
「そうも、いかなかったようですわ…」
キュビットの声が弱々しい。
リュミエールが膝を付いた。
「リュミエール!?」
「大魔王との戦いで、私は力を使い果たしました」
「そんな…」
「大魔王の体は、奇雷獣の源、『キライシード』に分裂しました。ジョジピュアたちよ、キライシードを回収して、大魔王の復活を阻止するのです」
「わかりました…!」
「私たち、やってみせます…!」
私たちの誓いを聞くと、リュミエールは安心したようだ。
「頼みました。青い星の子供たちよ…」
そう言うと、リュミエールの体も光の粒になって消えていった。そしてやはり、青空町じゅうに降り注ぐ。
私たちの目の前にも、光の粒が降ってきた。それは、小さなたまごのようにも見えた。
「それは『フェアリーエッグ』、ジョジピュアを導く妖精たちのたまご…」
らみこちゃんが説明してくれた。
え、つまりジョジピュアになれるのは、私たちだけじゃないってこと?
「さあ、明日からが大変ですわよ。キライシードを回収し、フェアリーエッグを集めなくては!」
――――奈緒視点――――
…こうして、私と天降さんはジョジピュアになりました。
「ワルフクケスとの戦いが始まるのね…」
「うん、でも、私たちは負けないよ!」
「お気楽ね、学校の宿題もあるのよ」
「うへえ、それこそ無しにしてほしい。学校の宿題、きらーい!」
東から光が差す。夜明けだ。
「ワルフクケスとの戦いが始まるのね…」
「うん、でも、私たちは負けないよ!」
「お気楽ね、学校の宿題もあるのよ」
「うへえ、それこそ無しにしてほしい。学校の宿題、きらーい!」
東から光が差す。夜明けだ。
「ひとまず、家に戻りましょう。放課後、たい焼きの頭側、おごってもらうわよ」
「ふわ〜い、また学校でね」
「ふわ〜い、また学校でね」
――――三人称カメラ――――
みんなそれぞれの家の方向へ帰っていく。
しかし、誰も気付いていなかった。
この裏山の片隅に、黒い雪のようなものが、うごめいていることを。
ぶるぶると震えながら、少しづつ大きくなっていることを。
そしてそれは、
「シュクダイ キライ シュクダイ キライ キラーイ!」
と言いながら、山道をゆっくりと転がり始めた…。
しかし、誰も気付いていなかった。
この裏山の片隅に、黒い雪のようなものが、うごめいていることを。
ぶるぶると震えながら、少しづつ大きくなっていることを。
そしてそれは、
「シュクダイ キライ シュクダイ キライ キラーイ!」
と言いながら、山道をゆっくりと転がり始めた…。
―かがやけジョジピュア!―
―第1話 完―