『呪いを受けた子』
更新日:2020/07/10 Fri 21:29:01
愛歩は冷や汗を垂らして二人を見守っていた。
「あいつが一瞬油断したすきに時を止めろ」
のじゃロリ猫の言葉が脳裏に甦る。
時を止めろとはどう言うことか、自分が何かしなければならないのか?愛歩は十年生きた中で一番緊張していた。
のじゃロリ猫とですロリ蛇がぐるぐる周りだした。
「私があいつを食って時を制する。抜け駆けさせない!」
「バカが、お前なんかにくれてやるものか」
「あいつが一瞬油断したすきに時を止めろ」
のじゃロリ猫の言葉が脳裏に甦る。
時を止めろとはどう言うことか、自分が何かしなければならないのか?愛歩は十年生きた中で一番緊張していた。
のじゃロリ猫とですロリ蛇がぐるぐる周りだした。
「私があいつを食って時を制する。抜け駆けさせない!」
「バカが、お前なんかにくれてやるものか」
のじゃロリ猫とですロリ蛇、同時に足を地面から離した。
のじゃロリ猫が前に。ですロリ蛇が後ろに。
距離を詰めて引っ掻こうとするのじゃロリ、距離を置いて毒攻撃をしようとするですロリ。
「おらぁ!」
のじゃロリ猫の拳がですロリ蛇の腹を掠める。ですロリ蛇は毒霧を吐いて応戦した。
のじゃロリ猫がまともに毒霧を食らってしまう。
ですロリ蛇が一瞬気を緩めた。
「今だ!」
愛歩は思いっきり息をすって止めた。
二人の動きや、木の葉の揺れ、空中を飛んでいた鳥までも、世界の全てが止まる。
愛歩はどうしようか迷った。のじゃロリ猫の顔面から毒霧を拭うか?
近づこうとした瞬間、のじゃロリ猫の指がピクリと動いた。
「うむ、止まった時の世界ってのも中々いいもんじゃの」
止まった時の中で立ち上がり、顔面についた毒を拭いとるのじゃロリ猫。
驚く愛歩の顔を見て、その黒猫は邪悪に笑った。
のじゃロリ猫が前に。ですロリ蛇が後ろに。
距離を詰めて引っ掻こうとするのじゃロリ、距離を置いて毒攻撃をしようとするですロリ。
「おらぁ!」
のじゃロリ猫の拳がですロリ蛇の腹を掠める。ですロリ蛇は毒霧を吐いて応戦した。
のじゃロリ猫がまともに毒霧を食らってしまう。
ですロリ蛇が一瞬気を緩めた。
「今だ!」
愛歩は思いっきり息をすって止めた。
二人の動きや、木の葉の揺れ、空中を飛んでいた鳥までも、世界の全てが止まる。
愛歩はどうしようか迷った。のじゃロリ猫の顔面から毒霧を拭うか?
近づこうとした瞬間、のじゃロリ猫の指がピクリと動いた。
「うむ、止まった時の世界ってのも中々いいもんじゃの」
止まった時の中で立ち上がり、顔面についた毒を拭いとるのじゃロリ猫。
驚く愛歩の顔を見て、その黒猫は邪悪に笑った。
のじゃロリ猫は愛歩の隣に立つと、地面から石を拾い上げ、ですロリ蛇の方に投げた。
「ぷは!」
愛歩の息が限界に達する。
時が動きだし、投石がですロリ蛇の身体に突き刺さった。
「な、なにぃぃぃぃぃ!」
痛みと驚きで悲鳴を上げるですロリ蛇に、のじゃロリ猫が告げる。
「遠隔攻撃が得意なお主が遠隔攻撃で隙を作られるとは皮肉な話じゃの」
ですロリ蛇がハッとして慌ててのじゃロリ猫の姿を探す。
が、遅い。
「オラオラオラオラオラオラオラオラ!!!」
「ギィィィィィィィ!!!」
のじゃロリ猫のラッシュがヒット。ですロリ蛇はまた空に吹っ飛ばされたのだった。
「ぷは!」
愛歩の息が限界に達する。
時が動きだし、投石がですロリ蛇の身体に突き刺さった。
「な、なにぃぃぃぃぃ!」
痛みと驚きで悲鳴を上げるですロリ蛇に、のじゃロリ猫が告げる。
「遠隔攻撃が得意なお主が遠隔攻撃で隙を作られるとは皮肉な話じゃの」
ですロリ蛇がハッとして慌ててのじゃロリ猫の姿を探す。
が、遅い。
「オラオラオラオラオラオラオラオラ!!!」
「ギィィィィィィィ!!!」
のじゃロリ猫のラッシュがヒット。ですロリ蛇はまた空に吹っ飛ばされたのだった。
吹っ飛んでいくですロリ蛇には目もくれずに、愛歩はのじゃロリ猫に駆け寄っていった。
「凄い!凄いよのじゃロリ猫ちゃん!時間の中を動けるの?!」
愛歩は胸がドキドキした。今まで自分の能力を他人と共有すると言う事がなかったのだ。
時の止まった世界は自分だけのものだと。でも違った。
だがここで、ある1つの違和感を感じた。
「でも、どうして私が時を止められるって知ってたの?私、のじゃロリ猫ちゃんに教えてなかった筈だけど?」
「フッフッフ、わしはのじゃロリ猫じゃからなら、大抵の事は何でも出来るのじゃよ」
のじゃロリ猫が胸を張ってどや顔した。
「わぁ……」
孤児院でも、学校でも、大石家でも、心にどこか孤独を抱えていた。
それはきっと、自分の全てを他人に理解されないと思っていたからだ。
だからあまり人と喧嘩してこなかった。自分の方が優れていると思ったからだ。
嫌いな子もいたし、突っ掛かれる人もいたにはいたが。
それでもいつも、自分の方が優れているからと想いを飲み込んでいた。
でものじゃロリ猫は違う。
「皆にも、のじゃロリ猫ちゃんの事、紹介していい?」
「フッフッフ、いいぞ……まあ殆どの物がわしの事を知っとると思うがな」
愛歩は興奮のあまり、のじゃロリ猫の後半の台詞を聞いていなかった。
「じゃあ行こう!」
「わっと…」
愛歩はのじゃロリ猫の白い手を握って走り始めたのだった。
「凄い!凄いよのじゃロリ猫ちゃん!時間の中を動けるの?!」
愛歩は胸がドキドキした。今まで自分の能力を他人と共有すると言う事がなかったのだ。
時の止まった世界は自分だけのものだと。でも違った。
だがここで、ある1つの違和感を感じた。
「でも、どうして私が時を止められるって知ってたの?私、のじゃロリ猫ちゃんに教えてなかった筈だけど?」
「フッフッフ、わしはのじゃロリ猫じゃからなら、大抵の事は何でも出来るのじゃよ」
のじゃロリ猫が胸を張ってどや顔した。
「わぁ……」
孤児院でも、学校でも、大石家でも、心にどこか孤独を抱えていた。
それはきっと、自分の全てを他人に理解されないと思っていたからだ。
だからあまり人と喧嘩してこなかった。自分の方が優れていると思ったからだ。
嫌いな子もいたし、突っ掛かれる人もいたにはいたが。
それでもいつも、自分の方が優れているからと想いを飲み込んでいた。
でものじゃロリ猫は違う。
「皆にも、のじゃロリ猫ちゃんの事、紹介していい?」
「フッフッフ、いいぞ……まあ殆どの物がわしの事を知っとると思うがな」
愛歩は興奮のあまり、のじゃロリ猫の後半の台詞を聞いていなかった。
「じゃあ行こう!」
「わっと…」
愛歩はのじゃロリ猫の白い手を握って走り始めたのだった。
3班の皆は飯盒炊飯で作ったカレーをよそっていた所だった。
「お~い!皆!」
愛歩は大きな声で3班の元に駆け寄っていった。
「あれ、アユミンどったの?今から持ってこうと思っとったんだけど」
「のじゃロリ猫ちゃんじゃん!何かあったのかな?」
むらサメときゅーばんが気付き、愛歩の後ろにいるのじゃロリ猫を見て、首をかしげる。
「愛歩ちゃん、なんか苦しそうだけど大丈夫?」
「ほら、水あるよ」
「ご、ごめん…息が上がっちゃって…ありがとう」
心配してくれる天号に、水をくれた古代。愛歩はお礼を言って水の入ったコップを受け取った。
乾ききった喉に水を流し込む。
生き返った……そう思いながら視界の隅に写っていた物を何気なく見る……
すると、愛歩の見ている世界が真っ赤に染まった。
「お~い!皆!」
愛歩は大きな声で3班の元に駆け寄っていった。
「あれ、アユミンどったの?今から持ってこうと思っとったんだけど」
「のじゃロリ猫ちゃんじゃん!何かあったのかな?」
むらサメときゅーばんが気付き、愛歩の後ろにいるのじゃロリ猫を見て、首をかしげる。
「愛歩ちゃん、なんか苦しそうだけど大丈夫?」
「ほら、水あるよ」
「ご、ごめん…息が上がっちゃって…ありがとう」
心配してくれる天号に、水をくれた古代。愛歩はお礼を言って水の入ったコップを受け取った。
乾ききった喉に水を流し込む。
生き返った……そう思いながら視界の隅に写っていた物を何気なく見る……
すると、愛歩の見ている世界が真っ赤に染まった。
「それで、なんでのじゃちゃんがいるんや?」
「フフン、それは…」
むらサメの言葉にのじゃロリ猫が答える前に、古代が手を叩いた。
「あの黒猫……!」
「「「あぁぁぁぁ!」」」
古代の声に3班の3人が合点がいったと声を上げる。
「でも、どうしてのじゃロリ猫ちゃんって分からなかったんだろう?私だったら分かったと思うんだけど」
きゅーばんの疑問に、のじゃロリ猫はどや顔で答えた。
「それはわしがいると認識させなかったからじゃ。認識を妨害…ってとこじゃな」
「のじゃロリ猫ってそんな事も出来るんだ……」
ガシャーン。
辺りにガラスが割れる音が木霊する。
その音に皆が振り返ると、白目を向いて口から泡を吹き出し、身体をガクガク痙攣させながら宙に浮いている愛歩がいた。
飯を炊いた焚き火後からいつの間にか炎が吹き出し、愛歩の近くでうねっている。
「な、なにぃぃぃぃぃぃ!」
のじゃロリ猫は焦った。
ですロリ蛇に集中しすぎて、狐の接近に気付かなかったというのか?!
彼女の状態は悪い。かなりヤバイ。彼女が死ぬのは後味が悪い。
何より"あいつとの約束"が守れなくなるのは困る。
「いひひ」
背後から狂ったような蛇の笑い声が聞こえた。
「フフン、それは…」
むらサメの言葉にのじゃロリ猫が答える前に、古代が手を叩いた。
「あの黒猫……!」
「「「あぁぁぁぁ!」」」
古代の声に3班の3人が合点がいったと声を上げる。
「でも、どうしてのじゃロリ猫ちゃんって分からなかったんだろう?私だったら分かったと思うんだけど」
きゅーばんの疑問に、のじゃロリ猫はどや顔で答えた。
「それはわしがいると認識させなかったからじゃ。認識を妨害…ってとこじゃな」
「のじゃロリ猫ってそんな事も出来るんだ……」
ガシャーン。
辺りにガラスが割れる音が木霊する。
その音に皆が振り返ると、白目を向いて口から泡を吹き出し、身体をガクガク痙攣させながら宙に浮いている愛歩がいた。
飯を炊いた焚き火後からいつの間にか炎が吹き出し、愛歩の近くでうねっている。
「な、なにぃぃぃぃぃぃ!」
のじゃロリ猫は焦った。
ですロリ蛇に集中しすぎて、狐の接近に気付かなかったというのか?!
彼女の状態は悪い。かなりヤバイ。彼女が死ぬのは後味が悪い。
何より"あいつとの約束"が守れなくなるのは困る。
「いひひ」
背後から狂ったような蛇の笑い声が聞こえた。
身体のいたる所に石や砂を引っ付けた血だらけのですロリ蛇がニヤニヤと笑う。
「なんや自分!」
不審者めいた存在に蟹の髪留めを取って臨戦態勢になるむらサメを、のじゃロリ猫は手で制した。
「あいつ、愛歩になにしたんじゃ?」
「簡単な呪いですってよ。火を見たら苦しむってだけのね」
でも…とですロリ蛇が続けた。
「あんな状態なら食べれないかもしれないですねぇ……抜け駆けしようと思ったのですが」
「食べる?!愛歩ちゃんを?!」
きゅーばんの恐怖に叫びに、ですロリ蛇はにこりとした。
「愛歩さんは珍しい家系でねぇ……彼女達の心臓を食べると時間を操れるようになるのですよ」
いひひ…ですロリ蛇はそれを想像したのか気味の悪い顔をして見せた。
「愛歩ちゃんを元に戻してよ!」
「そのうち戻りますよ……生き肝じゃなければ意味がないですから……あ、号姫さん。感謝しているそうですよ」
「え?!」
「あなたを操ったお陰で簡単に愛歩さんを呪うことが出来たと……あの人が言ってましたから」
ショックを受ける天号。古代が天号の後ろから声をあげた。
「あなたには仲間がいるのね!」
「仲間……ただの駆け引きの相手、ですよ、いひひ」
愛歩の側の炎が弾けて、こちらに向かって降ってきた。
「『創成撹震』!」
きゅーばんが咄嗟に符号を展開させる。むらサメ達の目に、火球が止まって見えた。いや、動きがゆっくりになったと言うべきか。まるでコマ撮りのように。
「皆避けて!」
きゅーばんが叫びと同時に、時間の流れが元に戻った。
「うぉぉぉぉ!」
のじゃロリ猫はですロリ蛇に飛びかかっている。
火球が古代の耳すれすれを通過していた。
「オラァ!」
のじゃロリ猫の拳は、ですロリ蛇の尻尾に弾かれ、距離を取られる。
「いひひ」
その笑い声だけ言い残してですロリ蛇は姿を消したのだった。
「くそ!」
のじゃロリ猫は追うか迷ったが、意識を失った愛歩が宙から降ってきた為に結局直ぐに追う事はなかったのだった。
「なんや自分!」
不審者めいた存在に蟹の髪留めを取って臨戦態勢になるむらサメを、のじゃロリ猫は手で制した。
「あいつ、愛歩になにしたんじゃ?」
「簡単な呪いですってよ。火を見たら苦しむってだけのね」
でも…とですロリ蛇が続けた。
「あんな状態なら食べれないかもしれないですねぇ……抜け駆けしようと思ったのですが」
「食べる?!愛歩ちゃんを?!」
きゅーばんの恐怖に叫びに、ですロリ蛇はにこりとした。
「愛歩さんは珍しい家系でねぇ……彼女達の心臓を食べると時間を操れるようになるのですよ」
いひひ…ですロリ蛇はそれを想像したのか気味の悪い顔をして見せた。
「愛歩ちゃんを元に戻してよ!」
「そのうち戻りますよ……生き肝じゃなければ意味がないですから……あ、号姫さん。感謝しているそうですよ」
「え?!」
「あなたを操ったお陰で簡単に愛歩さんを呪うことが出来たと……あの人が言ってましたから」
ショックを受ける天号。古代が天号の後ろから声をあげた。
「あなたには仲間がいるのね!」
「仲間……ただの駆け引きの相手、ですよ、いひひ」
愛歩の側の炎が弾けて、こちらに向かって降ってきた。
「『創成撹震』!」
きゅーばんが咄嗟に符号を展開させる。むらサメ達の目に、火球が止まって見えた。いや、動きがゆっくりになったと言うべきか。まるでコマ撮りのように。
「皆避けて!」
きゅーばんが叫びと同時に、時間の流れが元に戻った。
「うぉぉぉぉ!」
のじゃロリ猫はですロリ蛇に飛びかかっている。
火球が古代の耳すれすれを通過していた。
「オラァ!」
のじゃロリ猫の拳は、ですロリ蛇の尻尾に弾かれ、距離を取られる。
「いひひ」
その笑い声だけ言い残してですロリ蛇は姿を消したのだった。
「くそ!」
のじゃロリ猫は追うか迷ったが、意識を失った愛歩が宙から降ってきた為に結局直ぐに追う事はなかったのだった。
「ねえ、のじゃロリ猫ちゃん、愛歩ちゃん…大丈夫かな?」
「ああ…あいつらはこいつの生き肝を欲っしているのじゃ。死ぬことはない」
のじゃロリ猫は愛歩の腕を見た。忌まわしい呪いがかけられている。
「……ごめん。私のせいで」
「いや、天号のせいじゃない。あいつがお主をマインドコントロールしただけじゃ。お前は悪くない」
古代が愛歩の顔を覗き込んで呟く。
「これから愛歩さんはどうなるんだろう」
「十中八九、奴らに狙われるじゃろうな」
「そんなら、うちらが守るで!友達やからな!」
むらサメが掌と拳を打ち合わせて言う。
(いい友を得たな…)
のじゃロリ猫は心の中でそう思ったのだった。
「ああ…あいつらはこいつの生き肝を欲っしているのじゃ。死ぬことはない」
のじゃロリ猫は愛歩の腕を見た。忌まわしい呪いがかけられている。
「……ごめん。私のせいで」
「いや、天号のせいじゃない。あいつがお主をマインドコントロールしただけじゃ。お前は悪くない」
古代が愛歩の顔を覗き込んで呟く。
「これから愛歩さんはどうなるんだろう」
「十中八九、奴らに狙われるじゃろうな」
「そんなら、うちらが守るで!友達やからな!」
むらサメが掌と拳を打ち合わせて言う。
(いい友を得たな…)
のじゃロリ猫は心の中でそう思ったのだった。