『ドロローサへの道』
更新日:2020/07/24 Fri 11:03:20
目次
時はまた巡り8月!本格的な夏休みの到来に、殆どの子供達は歓喜していた!
今は8月15日の正午すぎ!子供達は皆元気に遊んでいるだろう。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
しかしそんな中溜め息をつく娘が一人いた。
「めんどくさいなぁ」
愛歩である。彼女は中々エンジョイサマー出来ていなかった。
天号やきゅーばんの家でゲームしたり、玲亜や龍香と連続女児誘拐事件や比護組について調べたり、色々と忙しくはしていたが、学校に行っていたとしても代わり無い事だった。
むしろ、中々連絡が出来ないのでめんどくさかった。学校なら廊下で会ったとき等に約束できるのだが、長期休暇ではそれが出来ない。
愛歩は鉛筆を机に転がした。
夏休みの宿題、と言うのも中々の厄介者だった。
元々愛歩はそんなに勉強が得意ではない。得意な教科でも中の上くらいだ。
エアコンのジィィィィと言う音がうるさい。
いっその事、学校にエアコンをつけて夏休みなんか無くしちゃえばいいのに……と愛歩は思っていた。
「愛歩~!ご飯よ~」
「は~い……」
一階からのお母さんの声に、愛歩は力なく返事をした。
今は8月15日の正午すぎ!子供達は皆元気に遊んでいるだろう。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
しかしそんな中溜め息をつく娘が一人いた。
「めんどくさいなぁ」
愛歩である。彼女は中々エンジョイサマー出来ていなかった。
天号やきゅーばんの家でゲームしたり、玲亜や龍香と連続女児誘拐事件や比護組について調べたり、色々と忙しくはしていたが、学校に行っていたとしても代わり無い事だった。
むしろ、中々連絡が出来ないのでめんどくさかった。学校なら廊下で会ったとき等に約束できるのだが、長期休暇ではそれが出来ない。
愛歩は鉛筆を机に転がした。
夏休みの宿題、と言うのも中々の厄介者だった。
元々愛歩はそんなに勉強が得意ではない。得意な教科でも中の上くらいだ。
エアコンのジィィィィと言う音がうるさい。
いっその事、学校にエアコンをつけて夏休みなんか無くしちゃえばいいのに……と愛歩は思っていた。
「愛歩~!ご飯よ~」
「は~い……」
一階からのお母さんの声に、愛歩は力なく返事をした。
「わぁ~豪華だ~!」
そんな愛歩だったが、一階に降りて食卓を見ると、たちまち元気を取り戻した。
愛歩の食べたいものばかりが並べられていたのだ。
鶏肉がたっぷり入ったシチュー、シーザーサラダにコーンの乗ったベーコンエッグパン。飲み物はミルクの入ったココアだった。
「どうしたのこんなに沢山。まだお昼だよ?」
「なんだか退屈そうだったから…作ってみたの」
「嬉しい!ありがとう!」
お母さんの料理は、見た目通りに美味しかった。
料理を全て食べ終え、ミルクココアを飲み干していると、デザートを出してくれた。
「これ、何?」
始めて見るお菓子だ。愛歩はそれをスプーンでつついて聞いた。
「ババロアよ」
「へぇ~」
一口食べると、まろやかな甘さが口に広がる。
「お、おいしい!」
夢中でスプーンを動かす愛歩に、お母さんは顔を綻ばせた。
「良かった。あ、ちょっと聞いてほしい事があるんだけど」
お母さんの真面目な顔に、愛歩は手を止めた。
「お母さん、パートをしようと思っているの」
元々大石婦人は風華総合ショッピングセンターという大型ショッピングセンターでパートをしていたが、娘の早生が行方不明になってから退職していた。
「家で一人になる事も多くなるかもしれないけど……」
愛歩はにこりとした。
「心配しないで。危ないことはしないから」
無くなった物を、ただ取り戻したいだけだから。
そんな愛歩だったが、一階に降りて食卓を見ると、たちまち元気を取り戻した。
愛歩の食べたいものばかりが並べられていたのだ。
鶏肉がたっぷり入ったシチュー、シーザーサラダにコーンの乗ったベーコンエッグパン。飲み物はミルクの入ったココアだった。
「どうしたのこんなに沢山。まだお昼だよ?」
「なんだか退屈そうだったから…作ってみたの」
「嬉しい!ありがとう!」
お母さんの料理は、見た目通りに美味しかった。
料理を全て食べ終え、ミルクココアを飲み干していると、デザートを出してくれた。
「これ、何?」
始めて見るお菓子だ。愛歩はそれをスプーンでつついて聞いた。
「ババロアよ」
「へぇ~」
一口食べると、まろやかな甘さが口に広がる。
「お、おいしい!」
夢中でスプーンを動かす愛歩に、お母さんは顔を綻ばせた。
「良かった。あ、ちょっと聞いてほしい事があるんだけど」
お母さんの真面目な顔に、愛歩は手を止めた。
「お母さん、パートをしようと思っているの」
元々大石婦人は風華総合ショッピングセンターという大型ショッピングセンターでパートをしていたが、娘の早生が行方不明になってから退職していた。
「家で一人になる事も多くなるかもしれないけど……」
愛歩はにこりとした。
「心配しないで。危ないことはしないから」
無くなった物を、ただ取り戻したいだけだから。
昼食を食べ終え、ちょっと眠くなった愛歩は、自室につくなり昼寝を始めたのだった。
「ん?」
愛歩は目の前に広がる花畑を訝しげに見た。自分はどうしてここにいるんだっけ……
確か自室で寝ていたような……
「あなたね、オウマがトキをめちゃくちゃにしようとしてるお馬鹿さんは♪」
「え?!」
振り返ると、頭のてっぺんから爪先までエメラルド色の身体をした少女が立っていた。
目の回りが黒く、不気味な緑眼が覗いている。
優しげな表情だが、その目は全く笑っていない。
「……あなたは誰?」
愛歩は二、三歩後ずさって聞く。
「私?私はメローナ・ロリポップ。もう一つの名前は比護みどり」
愛歩は驚きの声をあげた。
「あなたが……?」
体色は異状と言え、同じぐらいの年頃の女の子を、愛歩は穴があく程見つめた。
「そんなに見つめないでちょうだい。無作法よ」
もし彼女が本当に比護組の娘なら、血は争えないと言う事だろう。彼女にはマフィアの長に似た気迫があった。
「あなたに何があったというの?」
愛歩は声を潜めた。
「そんな事を聞いて何になるというの?」
みどりは聞き返した。その声には諦めが滲んでいた。
「他の子はどうなっているの?あなたのように人ではない何かになったの?」
「それを言ってどうするって言うの。あなたが戻る方法を知ってるとでも言うの?」
愛歩は黙るしか無かった。
「もう、あなたに話すことは何も無いわね。さようなら」
『メルヘン・フレグランス』
絶対零度の眼差しで呟くメローナ、彼女の周りの空気が変わった。
愛歩は思わず時を止めた。メローナは符号を発動した状態で動きを止めている。
(何か…危険な気がする……)
愛歩は距離をとった。どんな攻撃をされるのだろう。空気を刃に変えるのか?酸素を操作するのか?
愛歩は緊張しながら能力を解除した。
愛歩は目の前に広がる花畑を訝しげに見た。自分はどうしてここにいるんだっけ……
確か自室で寝ていたような……
「あなたね、オウマがトキをめちゃくちゃにしようとしてるお馬鹿さんは♪」
「え?!」
振り返ると、頭のてっぺんから爪先までエメラルド色の身体をした少女が立っていた。
目の回りが黒く、不気味な緑眼が覗いている。
優しげな表情だが、その目は全く笑っていない。
「……あなたは誰?」
愛歩は二、三歩後ずさって聞く。
「私?私はメローナ・ロリポップ。もう一つの名前は比護みどり」
愛歩は驚きの声をあげた。
「あなたが……?」
体色は異状と言え、同じぐらいの年頃の女の子を、愛歩は穴があく程見つめた。
「そんなに見つめないでちょうだい。無作法よ」
もし彼女が本当に比護組の娘なら、血は争えないと言う事だろう。彼女にはマフィアの長に似た気迫があった。
「あなたに何があったというの?」
愛歩は声を潜めた。
「そんな事を聞いて何になるというの?」
みどりは聞き返した。その声には諦めが滲んでいた。
「他の子はどうなっているの?あなたのように人ではない何かになったの?」
「それを言ってどうするって言うの。あなたが戻る方法を知ってるとでも言うの?」
愛歩は黙るしか無かった。
「もう、あなたに話すことは何も無いわね。さようなら」
『メルヘン・フレグランス』
絶対零度の眼差しで呟くメローナ、彼女の周りの空気が変わった。
愛歩は思わず時を止めた。メローナは符号を発動した状態で動きを止めている。
(何か…危険な気がする……)
愛歩は距離をとった。どんな攻撃をされるのだろう。空気を刃に変えるのか?酸素を操作するのか?
愛歩は緊張しながら能力を解除した。
「あら……?」
メローナは違和感を覚えた。敵がさっき立っていた場所と違う場所に立っている。瞬間移動か?いや、もしかしたら……
「あなた、のじゃ猫ちゃんが言ってた……」
「のじゃロリ猫?!」
メローナは声にしたつもりは無かったが、どうやら口から漏れていたらしい。耳ざといハイエナは不快な声を出した。
「今日はもういいわ。さっさとお家に帰りなさい」
「なっ!」
メローナの冷たい声に、愛歩は不満のようだ。
メローナは違和感を覚えた。敵がさっき立っていた場所と違う場所に立っている。瞬間移動か?いや、もしかしたら……
「あなた、のじゃ猫ちゃんが言ってた……」
「のじゃロリ猫?!」
メローナは声にしたつもりは無かったが、どうやら口から漏れていたらしい。耳ざといハイエナは不快な声を出した。
「今日はもういいわ。さっさとお家に帰りなさい」
「なっ!」
メローナの冷たい声に、愛歩は不満のようだ。
「大石さん…なんて絶対に呼びたくないから愛歩さんと呼ばせてもらうけど、これはあなたの関われるような話では無いわ。もう二度と詮索しないで」
メローナは吐き捨て、踵を返して歩いていく。
「ちょっと待って!」
愛歩はメローナを追った。後ろから白い光が追いかけている気がする。
振り返ると、確かに暖かく白い光が愛歩の顔を照らしていた。懐かしい声がその光から聞こえた気がする。とても安心する声だ。
もう一度メローナの方を振り返って見ると、花畑には似合わない豪勢な扉がいきなり現れた。
今取り逃したら二度と会えない……
愛歩は誘惑を降りきってメローナが入っていった扉に駆け込んだ。
メローナは吐き捨て、踵を返して歩いていく。
「ちょっと待って!」
愛歩はメローナを追った。後ろから白い光が追いかけている気がする。
振り返ると、確かに暖かく白い光が愛歩の顔を照らしていた。懐かしい声がその光から聞こえた気がする。とても安心する声だ。
もう一度メローナの方を振り返って見ると、花畑には似合わない豪勢な扉がいきなり現れた。
今取り逃したら二度と会えない……
愛歩は誘惑を降りきってメローナが入っていった扉に駆け込んだ。